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2010年12月17日 (金)

【判例】 更新料支払い請求事件 (京都地方裁判所 平成21年09月25日判決 )1事案の概要

 判例紹介

◆事件番号・・・・ 平成20(ワ)1286
◆事件名・・・・ 更新料支払い請求事件
◆裁判所・・・・ 京都地方裁判所 第3民事部
◆裁判年月日・・・・ 平成21年09月25日
◆判示事項・・・・ 原告が,被告に対し,賃貸借契約の更新に際して更新料10万6000円の支払を求めたところ,被告が,更新料条項は消費者契約法10条に反して無効であると主張した。本判決は,更新料を賃料の補充とみることは困難であって,更新拒絶権放棄の対価や賃借権強化の対価ということもできないとした上で,更新料の額や原告と被告との間の情報量の格差等の事情を考慮して,更新料条項が消費者契約法10条に反して無効であるとした事案である。

 平成21年9月25日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官
 平成20年(ワ)第1286号 更新料支払請求事件
 口頭弁論終結日 平成21年7月9日

判      決

主      文

1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

第1 請求
 被告らは,原告に対し,連帯して10万6000円及びこれに対する平成20年5月11日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第2 事案の概要
 原告は,被告Aに対し,賃貸マンションの1室を賃貸し,被告Bは,被告Aの債務を連帯保証したが,被告らが約定の更新料を支払わないとして,被告Aについては賃貸借契約に伴う更新料の支払合意に基づき,被告Bについては連帯保証契約に基づき,未払更新料の支払と訴状送達の日の翌日から支払済みまで民法所定の割合の遅延損害金の支払を求めた。

1 争いのない事実
 (1) 原告は, 被告Aとの間で, 平成18年3月12日, 京都市a区b町c所在のdマンションe号室( 以下 「本件建物 」という。) を下記の約定で賃貸する契約を締結し(以下,この契約を「本件賃貸借契約」という。) ,同年4月1日,同人に対し,本件賃貸借契約に基づき本件建物を引き渡した。

 賃料  月額5万3000円(毎月25日までに翌月分を支払う )。
 共益費  5000円( 水道料金含む。 毎月25日までに翌月分を支払う。)
 契約期間  平成18年4月1日から平成20年3月31日までの2年間

(2) 本件賃貸借契約証書には, 同契約が更新される場合は, 法定更新, 合意更新を問わず,被告Aは,原告に対し,2年ごとに更新料として賃料の2か月分を期間満了の2か月前までに支払わなければならない旨の記載がある。

 また,被告Bが,原告に対し,本件賃貸借契約に基づき負担する一切の債務につき,本件賃貸借契約に定めた契約期間のみならず,法定更新,合意更新を問わず,更新後も連帯して保証するとの記載がある。

(3) 本件賃貸借契約の契約期間は平成20年3月31日で満了するにもかかわらず,同年1月31日までに被告らから更新料の支払はなかった。

(4) その後, 被告Aは, 平成20年3月21日付けの 「通知書」 と題する書面により,借地借家法26条1項に基づき法定更新がなされたこと,更新料の請求には応じないことを告げ,契約期間満了日である同月31日を経過した後も本件建物を占有している。

(5) 被告らは,更新料10万6000円(賃料の2か月分)を支払わない。

(6) 本件賃貸借契約証書には, 本件賃貸借契約に関する紛争については ,京都地方裁判所を管轄裁判所とする旨の記載がある。

 2 原告(貸主)の主張へ続く

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【判例】 2 原告(貸主)の主張 (京都地方裁判所 平成21年09月25日判決 )

2 争点
本件の争点は,更新料条項の有効性である。

 (1) 原告
 ア 本件賃貸借契約の締結に当たり, 同契約が更新される場合は, 法定更新,合意更新を問わず,被告Aは,原告に対し,2年ごとに更新料として賃料の2か月分を期間満了の2か月前までに支払わなければならない旨の合意をした。

 被告Bは,原告との間で,平成18年3月12日,被告Aが,原告に対し,本件賃貸借契約に基づき負担する一切の債務につき,本件賃貸借契約に定めた契約期間のみならず,法定更新,合意更新を問わず,更新後も連帯して保証するとの合意をした。

 イ 本件賃貸借契約は,自動更新(合意更新)ないし法定更新されたにもかかわらず,被告らは,更新料を支払わない。

 ウ 被告Aは,平成18年4月からC大学法科大学院に入学しており,契約前・契約後においても十分な知識・判断能力の持ち主である。

 エ 本件賃貸借契約証書3条2項では 「法定更新・合意更新を問わず, 借主は,頭書規定の期間ごとに,貸主に対し,頭書規定の更新料及び管理会社に所定の更新手続料を期間満了の2か月前までに支払わなければならない。」と規定されている。

 オ 被告Aは,更新料について重要事項として説明を受けている。また,本件賃貸借契約証書3条の条文を認識・理解していた。被告Aは,契約締結時には更新料条項について何ら異議を述べていない。

 カ 被告Aは, 更新料条項がない物件を選択しようと思えば選択できたのに,それをせずに本件賃貸借契約を選択している。

 キ 更新料は,賃料の補充,更新拒絶権放棄の対価,賃借権強化の対価といった複合的な性質を有しており,対価性を有する相当なものである。
 更新料条項は,消費者契約法10条に違反せず,被告らの更新料支払拒否は理由がない。

 ク 契約をした賃借人のほとんどは,約束した更新料の支払をしているのであり,その不払は,契約不履行であるだけでなく,賃借人間の公平も害する行為である。

 ケ また,賃貸人たる原告は,更新料条項を含む本件賃貸借契約の条項を信頼して本件建物を引き渡し,被告Aの使用収益に提供しており,約束された更新料が支払われないことにより不測の損害を被っている。

 コ よって,被告Aの法定更新を理由とする更新料支払拒否は,消費者契約法10条違反を口実とした更新料条項の不履行であり,当事者で合意した本件賃貸借契約の契約条件を契約締結後に一部不履行とするものであり,貸主である原告の信頼を裏切る契約上の信義に反する行為であって,直ちに更新料が支払われるべきである。

 サ 借地借家法26条1項,同2項の文言によれば,同条項は,更新の合意がなくとも,一定の要件の下に賃借人が使用継続した場合に契約の更新を認め,賃借人の賃借権を保護する趣旨であって,その際の更新料の支払義務の有無まで定めてはいない。よって,借地借家法26条1項,同2項から当然に法定更新の場合に更新料の支払義務がないことが導かれるとの解釈を前提にする被告らの主張は, 同条項の解釈を誤っており, 失当である。

 シ 本件賃貸借契約は, 中途解約の場合の更新料の精算条項を欠いているが,本件の更新料が更新拒絶権放棄の対価,賃借権強化の対価の性質も併せ持つことからすると,その対価性があるのであって,更新がなされた以上,その後の中途解約による精算の必要はそもそも存在しないものともいえる。 また,更新料に中途解約の場合の一部違約金としての性格が存在するにしても,民法618条,同617条1項2号等から平均的な損害額を超えているとはいえず, 消費者契約法9条違反はなく, 同10条違反もない。

 3 被告(借主)の主張へ続く

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【判例】 3 被告(借主)の主張 (京都地方裁判所 平成21年09月25日判決 )

(2) 被告
 ア 賃貸借契約証書の更新料条項の記載中,「 法定更新・合意更新を問わず」の部分は合意内容となっていない。被告Aは,更新料の支払時期,更新料の額については説明を受けたが,「法定更新・合意更新を問わず」 との説明はなく,被告Aにおいて,この点についての認識と理解はなかった。

 仲介業者がこれに基づいて被告Aに説明をした重要事項説明書では,更新料の支払時期, 更新料の額については記載されているものの,「 法定更新・合意更新を問わず」との記載はなく,説明もなかった。

 賃借人の予期しない賃借人に不利益な特別の負担を課す場合に,賃借人に同義務が契約内容となるためには,賃貸人あるいは仲介業者が口頭により説明し,賃借人がその旨を明確に認識し,それを合意の内容としたものと認められるなど,その旨の特約が明確に合意されていることが必要である。法定更新においても,賃借人に更新料の支払を課す義務は,賃借人に予期しない特別の負担を課す特約である。

 イ 被告Bは, 連帯保証人になるとの認識はあったが,「 本件賃貸借契約に定めた契約期間のみならず,法定更新,合意更新を問わず,更新後も連帯して保証する。 」との具体的な認識はなかった。

 なお,管轄についても,被告らは,契約締結時にその意味を説明されたことはなかった。

 ウ 賃貸借契約に関する知識・判断力について,被告Aは,法科大学院入学後は次第に知識はついてきているといえるが,法学未習クラスで入学しており,契約時に十分な知識・判断力があったとはいえない。

 エ 被告Aは,仲介業者から本件建物を勧められてそのまま契約締結に至ったもので,他の物件を全く当たっておらず,他に更新料のない物件があるかどうか知らなかった。仲介業者から更新料のない物件を紹介された事実はない。

 オ 更新料支払条項は,消費者契約法10条により無効である。
 建物賃貸借契約における更新料の徴求は,情報力,交渉力に劣る借主の犠牲の下,家主(貸主)が何らの合理的,正当な理由なく行ってきたものである。

 更新料の性質論について,①賃料補充説は,本来の賃料よりも割安であるとの誤解を与え,②異議権放棄説は,発生しない異議権をたてに,あるいは本来立退料を支払わなければならない場面で逆に金銭を徴求し,③賃借権強化説は, 強化されない賃借権を強化されると強弁するものであって,その不当性の程度は驚くばかりである。

 カ 法定更新時に更新料を支払う旨の条項は,借地借家法30条により無効である。

 法定更新の場合にも更新料の支払義務があるとすると,更新料を払えない賃借人は,期間満了の1年前から6か月前までの間に賃貸人に更新しない旨の通知をし,期間が満了した後建物の使用を止めることを余儀なくされ,借地借家法26条1項,同2項の適用を受けることができなくなる。

 このように,法定更新の場合にも更新料支払義務があるとすると,賃貸人は,更新料支払特約を設けることによって借地借家法26条1項,同2項の適用を事実上排除することができる。これは正に「この節に反する特約で建物の賃借人に不利なもの」であるから,無効である。

 4 裁判所の判断へ続く

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【判例】 4 裁判所の判断 (京都地方裁判所 平成21年09月25日判決 )

第3 当裁判所の判断
1 証拠(甲1,2,4ないし12,21ないし30,31の1・2,32,33,34の1・2,35の1・2,36の1・2,37ないし43,44の1・2,乙8ないし13,17ないし21,23,被告A)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。

 (1) 被告Aは, 昭和56年12月13日, 京都市f区で出生し, 平成18年4月,C大学大学院法務研究科に法学未修者として入学した。

 本件賃貸借契約締結当時,被告Aは,法学部卒業程度の法的知識を有していた。

 (2) 本件建物は,専有面積25.75平方メートル,間取り1Kである。

 (3) 本件賃貸借契約証書には, 「月次科目」 「月次金額 」として, それぞれ「 家賃」 「53,000円」 ,「共益費」 「5,000円」との記載があり,その下欄に 「合計」 「58,000円」 との記載がある。 なお,「 月次科目」 「月次金額」 の右欄には 「一時科目」「 一時金額」 として「 保証金 300,000円」との記載がある。

 合計欄の下欄には 「更新料」 賃料の2ヶ月分」 「更新手続料 15,000円(別途消費税750円) 」との記載がある。更新料欄の下欄には, 「敷金控除(明渡し引)」 「保証金引き(150,000円)を差し引く」との記載がある。


 これらの記載の更に下部に賃料等支払方法の記載がある。
 これらの賃借人の経済的出捐については,本件賃貸借契約証書の1ページ目にすべて記載されており,一覧性のあるものとなっている。

 同3ページ目には,本件賃貸借契約の約定が記載されているが,その3条1項では,「賃貸借期間は契約期間欄記載の通りとします。 期間満了の6カ月前迄に甲(貸主)より更新拒絶の通知がない場合は,契約期間欄記載の期間と同期間継続します。」, 同2項では,法定更新・合意更新を問わず,乙(借主)は頭書規定の期間毎に,甲(貸主)に対し頭書規定の更新料及び管理会社に所定の更新手続料を期間満了の2カ月前迄に支払わなければなりません。」,同3項では,「乙( 借主) の契約期間内の解約であったとしても ,甲 (貸主) は更新料の日割り・月割り計算による返金は一切行いません。」 となっている。

 原告,被告A及び被告Bは, 本件賃貸借契約証書に記名・押印をしている。

 (4) 本件賃貸借契約の重要事項説明書では,「2.賃貸借期間及び更新に関する事項」の中に,「更新に関する事項」として,「2年更新とし,契約期間満了の2ケ月前迄に借主は更新料を貸主に支払うものとする。」 との記載が,更新料」として「賃料の2ヶ月分」との記載がそれぞれある。

 そして, その下部の「3 賃料及び賃料以外に授受される金銭 」の中には,家賃,共益費,水道料金,保証金,保険料,仲介報酬額,仲介報酬額に係る消費税の記載はあるが,更新料の記載はない。

 (5) 被告Aは,仲介業者の株式会社Dから,重要事項説明書の説明を受け,「2.賃貸借期間及び更新に関する事項」についても簡単に説明を受けた。

 (6) 被告Aは,本件賃貸借契約締結当時,更新料がどのような性質のものかを 考えたことはなく,更新料は,契約期間が満了し,更新するときに支払わなければならない金銭と考えており,更新料が賃貸人の収入になるのか,不動産業者の収入になるのかの認識もなかった。また,株式会社Dからも更新料がどのようなものかの説明はなかった。

 (7) 被告Aは,株式会社Dに対し,平成20年3月21日ころ,本件賃貸借契約は,平成19年9月30日の経過によって法定更新されており,更新手続は不要であること,更新に関する費用の請求には応じられないことを通知した。

 (8) 生活保護の住宅扶助として更新料扶助があり,また,民事調停にも更新料の条項が定められたり,判決においても賃料3か月分相当の更新料が認められた例もある。

 (9) 賃貸物件情報誌の物件案内には,更新料の表示がなされているものもある。大学生を対象とした賃貸のパンフレットにも,更新料を含めた学生生活4年間の総費用を計算した上で,1年間の平均費用を算出し,年間総費用とし,また,更新料のある物件と更新料のない物件とを掲載しているものもある。

 さらに,インターネットのホームページでも,賃貸物件について更新料の表示があるものが多く,他方,更新料の表示のないものについても問い合わせ先を検索するなどして更新料の有無やその額を調べることができるようになっているものもある。

 もっとも,賃貸住宅情報誌の中にも,更新料の記載がないものもある。

 (10) 総住宅数に占める空き家の割合は,昭和38年の2.5パーセントから一貫して上昇を続けており,平成15年には12.2パーセントとなっている。他方で,賃貸物件の数は,年々上昇している。

 (11) 平成19年6月の国土交通省住宅局作成の民間賃貸住宅実態調査の結果によれば, 家主が更新料を徴収する主な理由としては,「 一時金収入として見込んでいる」 「長年の慣習」 が多い。 また, 更新料を徴収しているのは,東京及びその近郊が多く,京都でも55.1パーセントとなっている。他方,大阪や兵庫では0パーセントである。

 (12) 住宅扶助のうちの契約更新料の生活保護費は,平成18年度で5万2191件,252万5334円であり,平成19年度で5万6137件,273万8566円となっている。

 (13) 国土交通省作成の賃貸住宅標準契約書には,更新料条項の記載がない。

 (14) 住宅金融支援機構の賃貸住宅建設融資について,入居者との契約では更新料は設定できないこととなっている。

 (15) 本件建物の近隣物件の賃料について,平米当たりの平均価格は,1500円である。

2 まず,本件の更新が,自動更新(合意更新)であるか,法定更新であるかが問題となるが,本件賃貸借契約書3条1項の規定にかんがみれば,同項に基づく自動更新(合意更新)であると認めるのが相当である。

3 そこで,次に本件の更新料の法的性質が問題となる。
 (1) 賃貸借契約において 賃料は賃貸目的物の使用収益に対する対価として支,払われるものであるところ,使用収益期間に依拠して対価としての賃料が算出され,支払われるものということができる。そうすると,賃貸借契約における賃借人から賃貸人への給付が賃料と評価されるためには,賃借人の使用収益期間に対応する形で支払額が決定され,かつ,更新後に賃貸借契約が途中で終了した場合には,使用収益に至らなかった期間に対応する更新料額は賃借人に返還されるべき性質のものでなければならないというべきである。

 本件の更新料条項は,2年更新の本件賃貸借契約について,契約期間満了の2か月前までに賃料の2か月分を支払うというものであり,契約期間内の解約について更新料の日割り・月割り計算による返金を一切行わないものであるから,使用収益期間に対応する形で支払額が決定されているわけでもなく,契約が途中で終了した場合の精算も否定するものである。

 加えて,賃借人である被告Aは,本件賃貸借契約締結当時,更新料がどのような性質のものかを考えたことはなく,更新料は,契約期間が満了し,更新するときに支払わなければならない金銭と考えており,誰の収入になるのかの認識もなかったことが認められる。賃貸人である原告についても,本件賃貸借契約証書や重要事項説明書の記載の仕方にかんがみれば,これを賃料とは別の金銭の給付と捉えているものと解するのが相当である。

 そうすると,これを賃料の一部ないし補充とみることは困難といわざるを得ない。
 (2) 他方,建物の賃貸借において,賃貸人に明渡の正当事由がない限り,賃借人は何らの対価的な出捐をする必要がなく,継続して賃借物件を使用することができるが,本件建物のような居住用建物の賃貸借において,賃貸人がその使用を必要とする事情は通常想定できず,正当事由が認められる可能性はあまりないといえる。

 また,本件において,原告・被告がこのような認識を持って更新料に関する合意をしていたとも認めがたい。よって,本件の更新料は,更新拒絶権放棄の対価や賃借権強化の対価としての性質も有するものともいえないというべきである。

 なお,中途解約の場合の更新料の精算条項を欠いていることについての原告の前記反論は,本件の更新料に更新拒絶権放棄の対価や賃借権強化の対価としての性質が認められないし,また,これを違約金とするのも,月々の賃料との対比で不合理であるから採用できない。

 (3) 以上によれば,本件の更新料の法的性質は,賃借人( 被告A )が賃貸人 (原告)に対して更新時に支払をすることを約束した金銭という外なく,その対価性を認めるのは困難である。

4 以上を前提に,本件における更新料条項が消費者契約法10条に違反するか否かを検討する。

 (1) 争いのない事実及び弁論の全趣旨によれば 被告は消費者契約法2条1項,の「消費者」に,原告は同条2項の「事業者」にそれぞれ該当し,本件賃貸借契約に同法が適用される。

 (2) 次に,更新料条項は,賃貸人に対し, 民法601条に定められた賃料支払義務に加えて更新料という賃借人が賃貸人に対して更新時に支払をすることを約束した金銭の支払義務を課すものであるから,民法の規定の適用による場合に比し,消費者(賃借人)の義務を加重しているものとして消費者契約法10条前段に当たる。

 (3) そして, 前記のとおり,更新料は賃借人が賃貸人に対して更新時に支払をすることを約束した金銭であり,賃料の一部ないし補充としての性質も,更新拒絶権放棄の対価・賃借権強化の対価としての性質も有するものとはいえず,対価性を認めるのが困難な金銭であること,本件賃貸借契約は,専有面積25.75平方メートル,間取り1Kの本件建物に対して,賃貸借契約期間2年間で月々家賃5万3000円と共益費5000円を支払うものであるところ,更新料については賃料の2か月分を支払うもので,近隣物件に比して賃料が低額であるとはいえない状況の下でかかる更新料額は決して安価なものとは言い難いこと,中途解約の場合の更新料の精算も否定するものであること,更新料条項は原告側が作成したものであり,被告らに対しては,更新料の有無やその金額は所与の条件となっており,この点に関し,原告と被告らとの間で交渉の余地があったと認められる事情もないこと,被告Aが法学部卒業程度の法的知識を有していたことを考慮しても,前記のとおりの賃貸物件に関する情報の現状や賃借人が仲介業者を通じて賃借人と契約を締結していることからすれば,事業者(原告)と消費者(被告A)との間の情報格差については大きくはないものの,全くないとまではいえないことが認められ,以上の事実にかんがみれば,更新料条項について本件賃貸借契約証書に明記がされ,仲介業者から被告Aに対しても重要事項として説明があったこと,更新料条項が無効になることによる賃貸人の不利益や少なくとも京都においては更新料が一定程度社会に定着している状況であったこと等を考慮しても,民法1条2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものとして消費者契約法10条後段にも当たるというべきである。

 そうすると,本件の更新料条項は,消費者契約法10条に反し,無効である。

5 以上によれば,原告の請求はいずれも理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。

      

      京都地方裁判所第3民事部

         裁判官 佐 野 義 孝

 

 

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2010年12月16日 (木)

【判例】 1 保証金・更新料返還等請求事件 (京都地方裁判所 平成21年09月25日判決)

 判例紹介

♦事件番号  平成20(ワ)558
♦事件名  保証金・更新料返還等請求事件
♦裁判所  京都地方裁判所 第3民事部
♦裁判年月日  平成21年09月25日

♦判示事項
 原告が,被告に対し,更新料条項は消費者契約法10条に反し無効であるとして,賃貸借契約期間中に支払った更新料11万4000円の返還及び被告が原告のプライバシーを侵害したとして,不法行為に基づき10万円の損害賠償を求めた。本判決は,更新料の返還請求については,更新料を賃料の補充とみることや,賃借権強化の対価を有するとみることは困難であるし,更新拒絶権放棄の対価という性質も希薄であって,更新料は,更新の際,賃借人が賃貸人に支払う金銭という一種の贈与的な性格を有するものであるとした上で,原告と被告との間の情報量の格差等の事情も考慮して,消費者契約法10条に反して無効であるとし,プライバシー侵害については認められないとした事案である。

平成21年9月25日判決言渡 同日原本交付 裁判所書記官
平成20年(ワ)第558号 保証金・更新料返還等請求事件

主       文


 1 被告は,原告に対し,43万1000円及びこれに対する平成20年3月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
 2 原告のその余の請求を棄却する。
 3 訴訟費用はこれを3分し,その1を原告の,その余を被告の各負担とする。
 4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。

事 実 及 び 理 由

第1 請求

 被告は,原告に対し,63万6000円及びこれに対する平成20年3月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第2 事案の概要
 本件は,京都市a区bc番地A302号室(以下,Aを「本件建物」といい,本件建物302号室を「本件物件」という。)の賃借人であった原告が,賃貸人であった被告に対し,①保証金の解約引き特約は消費者契約法10条に反して無効であるとして,賃貸借契約終了に基づき,契約締結時に支払った保証金33万円から未払となっている平成19年11月分の家賃5万8000円を差し引いた27万2000円,②更新料条項は消費者契約法10条に反して無効であるとして,不当利得返還請求権に基づき,契約更新時に支払った更新料11万6000円,③防犯カメラの設置及び監視によってプライバシーを侵害され,不当な退去要求によって精神的苦痛を被ったとして,不法行為に基づき,慰謝料10万円及び弁護士費用10万円,4合意に基づく退去費用4万8000円並びにこれらに対する訴状送達日の翌日からの民法所定の遅延損害金の各支払を求める事案である。

1 前提事実(争いのない事実並びに各項掲記の各書証及び弁論の全趣旨によって認められる事実)
 (1) 原告と被告は平成18年3月19日,株式会社Fの仲介により,以下のような内容の賃貸借契約を締結し(以下「本件賃貸借契約」という。),被告は,原告に対し,同契約に基づき,同年4月1日,本件物件を引き渡した。

(甲1)
 ア 賃借物件  本件物件
 イ 契約期間  平成18年4月1日から平成19年3月31日まで(1年間)
 ウ 家賃  1か月5万8000円,共益費5000円(水道料10立方メートルを含む)
 エ 更新料  旧家賃の2か月分
 オ 保証金33万円(保証金解約引28万円)

 (2) 本件賃貸借契約には,別紙記載の条項がある。(甲1。なお,別紙2条2項及び3項を併せて「本件更新料条項」という。)

 (3) 原告は,本件賃貸借契約の締結に際して,「私は,上記物件の入居者として建物賃貸借契約書の内容を深く理解し,下記事項を厳守することをここに誓約いたします。万一,家主様及び他の賃借人や近隣に迷惑となる行為,または下記事項に違反する様な事があれば契約を解除(更新を拒否)されても,異議申し立て,並びに金員の請求は一切致しません。」,「<誓約事項>③乙以外の者を届けなく同居させ,その他不特定多数の人の出入りを賃貸人に無断で常時使用し,他の入居者や近隣に迷惑を与えたる場合,及び乙が契約期間中に他の入居者や近隣に対して財産的・精神的迷惑をかける場合,乙またはその連帯保証人は,その補償をすると共に契約期間中といえども,即時,甲は契約を解除する。」との記載のある「誓約書」に署名,押印した。(甲3。上記条項中「甲」,「乙」の意味は別紙と同じ)

 (4) 本件賃貸借契約締結時,原告はB大学文学部に入学する直前であり,18歳であった。
 被告は,平成16年2月ころに本件建物を建設し,1階部分を自宅として自ら使用し,2階及び3階の居室合計6室については,学生向けの単身者用物件として,同年4月から主にB大学の学生に賃貸している。(乙6)

 (5) 原告は,平成19年1月24日,被告に対し更新料として家賃2か月分に当たる11万6000円を支払い,原告と被告は,遅くとも同年3月末日までに,本件賃貸借契約を合意更新した。(甲7)

 (6) 被告は,平成18年7月ころから,本件建物1階の被告宅玄関前天井部分に防犯カメラを1台設置した(以下「本件防犯カメラ」という。)。本件防犯カメラは,玄関ポーチ,本件建物前道路及び階段の一部が写るように設置されており,人の動きを感知して録画を開始し,カメラの映像がデジタルレコーダーに自動的に録画される仕組みになっている。(乙2~5)

 (7) 原告は,平成19年3月に2週間,7月に1週間,それぞれ本件物件に女友達1人を宿泊させ,同年4月に2~3回,8~10月には頻繁に,交際相手を宿泊させた。それに対して被告は,同年9月ころ,原告に注意するとともに,原告の母親に対しても,原告が男友達を宿泊させていると電話で伝えて注意した。

 (8) 原告は,被告に対し,平成19年10月17日,株式会社F京大前店において,本件物件を退去する可能性があることを伝えた。さらに,平成19年10月26日,原告,被告,原告の父親であるC,株式会社Fの従業員であるD及びEが,本件契約の継続について話し合いをした。その際,原告と被告との間で,今後,被告は,必ず株式会社Fを介して原告と交渉し,直接交渉をしないこと,原告が退去する場合には退去に要する費用(引越費用の支払並びに敷金及び礼金の返却)を被告の負担とすることを内容とする合意が成立した。(甲2)

 (9) 原告は,平成19年11月9日に本件物件を退去し,同月22日,本件物件において原状回復箇所の確認の立ち合いをするとともに,被告に本件物件の鍵を返却した。

 (10) 原告は,被告に対し,平成19年12月28日付けで,2週間以内に保証金33万円及び引越費用4万8000円(甲5)から未払となっている平成19年11月分の家賃5万8000円を差し引いた32万円を支払うよう請求する内容証明郵便を送付し,同書は同年12月30日に到達した。

 (11) 関係する法律の定め
 ア 消費者契約法10条
 民法,商法(明治32年法律第48号)その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し,消費者の権利を制限し,又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって,民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは,無効とする。
 (以下,「条項であって」までの部分を「前段要件」,その後の部分を「後段要件」という。)。

 イ 借地借家法
 (ア) 26条1項
 建物の賃貸借について期間の定めがある場合において,当事者が期間の満了の1年前から6月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは,従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし,その期間は,定めがないものとする。
 (イ) 28条
 建物の賃貸人による第26条1項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは,建物の賃貸人及び賃借人・・・が建物の使用を必要とする事情のほか,建物の賃貸借に関する従前の経過,建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して,正当の事由があると認められる場合でなければ,することができない。

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【判例】 2 保証金・更新料返還等請求事件 更新料条項の有効性 (原告の主張)

 (1) 本件更新料条項の有効性
 (原告の主張)
 本件更新料条項は,消費者契約法10条により無効である。

ア 本件更新料条項の法的性質
 被告は,本件更新料条項は,①賃料の補充,②更新拒絶権放棄の対価,③賃借権強化の対価としての性質があって,更新料の支払には合理性があると主張するが,以下のとおり,更新料の支払には合理性がない。

 (ア) 賃料の補充
 賃貸借期間が長期で設定され,かつその期間中賃料相場が増額していくといった社会事情がある場合には,将来生じる賃料の不足分をあらかじめ更新料という形で補っておくことに合理性がないわけではない。しかし,現在の不動産価格の状況からはそのような社会事情があるとはいえないし,アパートやマンション等の建物賃貸借においては,賃貸借期間は1年や2年と短期であるから,賃料の不足分が生じるとは考えられない。また,賃料の不足分を補うとしても,賃貸借期間を考慮することなく一定の金額で算定することには合理性がない。

 また,更新料に賃料補充という性質があるのならば,その分月額賃料が低額になっていること,中途解約の場合の精算が定められていること,更新料が賃料の補充・前払いであることが賃借人に告知されていることが必須であるが,本件賃貸借契約では,月額賃料が低額になっているとは認められないし,中途解約の場合の精算条項はなく,むしろ更新料の返還には一切応じないとされており,使用収益期間と更新料は対応していない上,更新料が賃料の補充である旨の表示も一切ない。契約締結の際にも,更新料が何の対価なのかの説明は一切なく,賃料の補充であるという説明もなかったし,更新料の事前告知も一切されていない。

 以上によれば,賃料の補充であるとの考え方に合理性はない。

 (イ) 更新拒絶権放棄の対価
 賃貸借契約の更新に関する賃貸人の更新拒絶権は,期間満了の6か月前までに行使しなければならないところ(借地借家法26条1項),通常,合意更新がされる契約期間満了のころには,既に賃貸人による更新拒絶権行使の期間が徒過しており,更新拒絶権が発生しないことが確定している場合がほとんどである。したがって,このような場合には,もはや更新拒絶権の放棄とか,更新拒絶権行使に伴う紛争回避ということが問題となる余地はなく,更新拒絶権放棄や更新拒絶権行使に伴う紛争回避の対価として更新料の性質を説明することはできない。

 また,賃貸人が期間満了の6か月前までに更新拒絶権を行使した場合,その後賃借人が更新料の支払を申し出たからといって,賃貸人が更新拒絶権を放棄して合意更新に応じるとは通常考えられない。

 いずれにせよ,更新拒絶権が発生するか否かにかかわらず一律に合意更新の場合に更新料が徴収されていることの説明はつかない。

 加えて,本件賃貸借契約は,収益目的の居住用賃貸物件の建物賃貸借契約であるが,このような場合に正当事由が認められることは考えられず,究極的なケースを想定しても,立退料の支払もないまま正当事由が認められることはない。そうすると,賃借人が,立退料分を受領せず,逆に月額賃料の2か月分の更新料を支払わなければならないという本件更新料条項は,その料金に相応するサービスの提供がなく,更新拒絶権放棄との対価性をもたない。

 (ウ) 賃借権強化の対価
 法定更新の場合には,期間の定めのない賃貸借となり(借地借家法26条1項ただし書),賃貸人は,解約の申入れをすることができ,解約申入れから6か月を経過すると賃貸借契約は終了するが(同法27条1項),解約申入れにも,更新拒絶の場合と同様に,正当事由があることが要件となる(同法28条)。しかし,マンションやアパートのように,当初から他人に賃貸する目的で建築された物件の場合,賃貸人の自己使用の必要性は極めて希薄であるから,賃貸人に同法28条所定の解約申入れにおける正当事由が認められることは考えられず,更新料を支払って合意更新をしても賃借権の強化にはならない。

 また,本件更新料条項は,法定更新においても更新料が発生するとしており,この点において,そもそも本件では賃借権強化の対価という理屈は成り立ち得ない。

 (エ) 以上のように,被告の主張する本件更新料条項の法的性質は,いずれも当事者の意思に反し合理性がない。
 更新料は,賃借人から賃貸人に対して単に慣行的に支払われてきた贈与又は謝礼としか説明ができないものであるが,現在では賃貸物件数に比べ需要が少なくなっており,賃借人が一方的に贈与や謝礼をする根拠が欠けている。結局,更新料とは,賃貸人が,情報力や交渉力の格差を利用し,賃借人に十分な法的知識がないことを奇貨として,半ば強制的に徴収している金銭である。

イ 前段要件該当性
 本件更新料条項は,賃借人である原告にのみ一方的な負担を強いる不合理なものであって,民法601の賃料支払義務に加えて賃借人の義務を加重するものであるから,前段要件該当性がある。

 被告は,本件更新料条項は契約の中心条項であるとして,消費者契約法10条の適用がないと主張するが,中心条項と付随条項を判然と区別するのは不可能であるし,中心条項に同条の適用がないという見解そのものも誤りである。

ウ 後段要件該当性
 更新料には何らの合理性,対価性はなく,賃借人は合理性,対価性のない金銭の支払という重大な不利益を受けるのに対し,賃貸人には何らの不利益も発生しない。受領済みの更新料を返還しなければならないのは,本件更新料条項が無効になる以上,法が初めから予定している当然の法律効果であって,賃貸人の不利益ではない。

 賃貸人と賃借人との間に情報力,交渉力の格差があり,更新料支払条項を契約条件に入れるか否かの選択の自由,交渉が賃借人に保障されていないことからも,賃借人の受ける上記不利益が大きいことは明らかである。

 本件賃貸借契約においては,その金額も,1年間の契約期間に対して賃料2か月分と高額である。

 以上によれば,本件更新料条項は,信義則に反して,一方的に,正当な理由なく賃借人である原告の利益を害するものであり,後段要件に該当する。

エ 借地借家法30条との関係
 借地借家法30条は,「この節の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは,無効とする。」としているところ,同節の規定である同法26条1項,2項は,更新料の支払を条件としない法定更新を認めているから,本件更新料条項のように,法定更新に際して賃借人に更新料支払義務が発生するという内容の条項は,借地借家法30条によって無効となる。

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【判例】 3 保証金・更新料返還等請求事件 更新料条項の有効性 (被告の主張)

(被告の主張)
 本件更新料条項は有効である。

ア 本件更新料条項の法的性質

 (ア) 賃料の補充
 更新料は,賃料の補充,前払いとしての性質を有する。

 a 更新料で賃料を補充することの合理性
 賃貸人は,権利金,礼金,更新料なども含めた全体の収支計算を行った上で毎月の賃料額を設定するのが当然であって,その結果生じる設定賃料と本来受けるべき経済賃料との差額について,更新料により補充することは十分合理性を有する。現在では,全国的に賃貸物件は10パーセント以上余っており,京都においても,全賃貸物件のうち20パーセント,場所によっては30パーセントもの空き室が生じており,借り手市場となっていて,他の物件より不利な条件設定をすれば,競争力を失い,空き室に苦しむことになる。他方,毎月の賃料を低く設定することは,契約当初から更新までの賃料負担を軽減できるという点において,特に,更新前に退去する短期間の賃借人にとっては利益となるほか,賃借人は,更新時に更新料を支払って更新するか,更新料を支払わないで転居するかの選択も可能なので,賃借人を一方的に害することはない。

 b 当事者の合理的意思
 賃借人は,仲介業者から,複数の物件の紹介を受けて,物件の所在,設備,広さ等とともに,更新料を含む経済的な出捐(礼金,敷金,賃料及び更新料)を比較対照した上で,物件を選択しており,個別的な契約締結の場面においても,更新料が契約更新時に発生する旨重要事項として説明されるなどしているので,更新料を,更新の際に負担する金銭であり,自己の支出となり,賃貸人の収入となり,返還されない金銭であることを理解している。

 したがって,賃借人は,更新料を契約更新時に支払うことが必要であり,賃借する物件を使用収益するのに必要となる経済的負担として把握しているのであり,そのことから更に進めて,賃借人が,更新料を,賃借する物件を使用収益するのに必要な対価として把握していると意思解釈することは正当である。賃借人は物件の使用の対価として,賃料が毎月発生する経済的負担であり,更新料は更新時に発生する経済的負担という認識を有しているのである。

 また,更新料が広く利用され,社会的承認を受けてきたのは,更新料が使用収益の対価だからである。そうすると,当事者間で更新料の支払に関する合意がされている以上,その合理的解釈として,使用収益の対価の支払に関する合意がされているものと評価できる。

 c 原告の主張に対する反論
 原告は,本件更新料条項には中途解約の場合の精算条項がなく,更新料が使用収益期間に対応していないと主張する。

 しかし,それは,更新料が賃料の補充のみではない複合的な性質を有しているからであるし,そもそも賃貸借契約は継続的な使用の対価として賃料を設定するため,契約上厳密に使用収益の期間と賃料額を対応させること自体困難であって,そのような完全な対価性を有していないことをもって,不合理であるとはいえない。

 そして,本件の更新料は,1年間の更新期間ごとに支払うものであり,更新しなければ支払う必要がないから,この点で,まさに使用収益の期間に対応して支払うことが予定されているといえる。さらに,賃借人が更新料を含めて賃貸期間に応じて支払う金銭の合計は,ほぼ賃貸期間に比例している上,賃貸人たる被告においてはこれを収入の予定として,賃借人たる原告においては支出の予定として,あらかじめ契約締結時に互いに納得していたのであるから,本件物件の使用収益の対価としては,毎月支払われる賃料と1年ごとに支払われる更新料の2本立てになっていた,すなわち,本件の更新料は賃料の補充ないし賃料の前払いとしての性質を有していたと解するのが,当事者の合理的意思に合致する。

 (イ) 更新拒絶権放棄の対価
 更新料が授受されて賃貸借契約の合意更新が行われる場合,賃貸人は,正当事由があるときでも,正当事由が存在しないことが明らかではないときでも,更新拒絶をしないで契約を合意更新することになるから,その意味で,更新料は,賃貸人が更新拒絶権を放棄し,その結果賃借人が更新拒絶権行使に伴う紛争を回避することができることの対価としての性質を有する。

 賃借人も,更新料にはこのような性質があると思えばこそ,更新時に更新料を支払うのであるから,更新拒絶権放棄の対価としての性質も有していたと解するのが当事者の合理的意思に合致する。
原告は,更新拒絶権の行使可能時期の点を問題とするが,賃貸人は,契約期間満了6か月前までに更新拒絶権放棄をいわば先履行し,契約更新時に,賃借人からその対価としての更新料の支払を受けるというように説明することは十分に可能である。

 また,原告は,更新拒絶の正当事由が認められることは考えられないと主張するが,正当事由の有無を明確に判断できない場合も少なくなく,そのような場合に,賃貸人が更新拒絶権を放棄して紛争を回避することも多い。

 (ウ) 賃借権強化の対価
 更新料を支払って賃貸借契約が合意更新され,契約期間中は賃貸人から一切解約申入れがされない賃借人の立場と,法定更新となって,いつ正当事由に基づく解約申入れがされるか分からない賃借人の立場には差異があるから,この意味で,更新料の支払により賃借権は強化されるし,そのように解するのが当事者の合理的意思に合致する。

イ 前段要件該当性
契約の要素と主たる給付の対価に関する条項のことを中心条項といい,これを付随条項と区別すべきであるが,消費者契約法10条前段は,「民法,商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し」という文言で規定されているところ,契約の要素や価格のように,あらかじめ与えられた法的基準ではなく,専ら当事者の自由意思や,市場経済システムに基づく需要と供給によって決定される事項に関しては,「比べる」適切な法的基準が存在せず,同条による司法的内容審査には服さないとの趣旨と解すべきであるから,中心条項には同条は適用されない。

 そして,中心条項と付随条項の区別は,市場メカニズムが一定程度機能しているか,当事者の主観的意思が関与しているかによって行うべきである。本件更新料条項は,その法的性質からは,賃料の補充という意味で主たる給付の対価である上,その契約書や重要事項説明書の記載上主たる給付の価格条項たる賃料と並べて記載されており,賃借人の意思決定の考慮要素となっているから,市場メカニズムが機能し,当事者の主観的意思も関与しているといえる。したがって,本件更新料条項は,中心条項であり,消費者契約法10条前段は適用されない。

ウ 後段要件該当性
 (ア)  判断基準
 後段要件は,その条項を無効にすることによって事業者が受ける不利益と,その条項が有効であることによって消費者が受ける不利益とを総合的に衡量し,消費者の受ける不利益が信義則に反し均衡を失するといえるほど一方的に大きい場合に,該当性が認められる。

 また,契約の核心的合意部分については,契約当事者の関心が強く,市場メカニズムが機能することが期待できるため,後段要件該当性の判断については更に謙抑的な基準が適用されるべきであり,消費者の受ける不利益が一方的に害されかつその程度が格段に大きい場合に限り,後段要件該当性が認められると考えるべきである。

 本件更新料条項は,前記イのとおり中心条項であり,上記の核心的合意部分である。

 (イ) 本件更新料条項の合理性等
 本件更新料条項は,前記アのような性質を有する合理的なものであるし,更新料の金額も,本件物件の状況に加え,契約期間や月額賃料の金額等の事情に照らせば,過大なものではない。
また,建物賃貸借契約における更新料の約定は,40年以上にわたり全国的に広範囲に使用されており,社会的に慣行として承認されている。
 企業の中には,賃貸物件について更新料の補助制度が設けられているところもあり,行政においても,生活保護では更新料の扶助が行われているし,裁判所においても,調停条項や和解条項等で更新料の定めが認められている。このような社会的承認があることは,更新料条項が合理性を有することの証左である。
さらに,借地借家法においても,更新料は何ら規制がされていない。

 (ウ) 情報力,交渉力の格差
 近年の居住用建物賃貸借契約は借り手市場であり,賃貸人には零細な事業者が多いが,賃借人は,賃貸物件情報を,インターネット,情報誌,広告等の媒体により,容易に大量に入手することができるところ,物件の広告などにおいて,更新料という用語は広く用いられているし,更新料は賃貸物件の条件提示において明示されており,契約書にも明確な文章で記載されている。更新料は,「約定の契約期間満了後も契約継続する場合にその対価として支払うものである。」という意味においては一般に広く理解されている。

 本件においても,賃借人である原告は,数ある賃借物件から,賃貸条件を比較対照して自由に選択できる立場にあった。また,本件更新料条は,更新料の金額,支払条件が明確である上,原告は,このような更新料の約定の存在やその金額について,仲介業者から説明を受けた上で,本件物件を選定したと考えられ,原告は,その後再び仲介業者から重要事項説明の中で更新料について説明を受けている。

 このように,原告と被告に情報力,交渉力の格差はほとんどないし,本件更新料条項は,原告に不測の損害あるいは不利益をもたらすものではない。

 (エ) 被告の不利益
 賃貸人は,更新料が社会的に承認されてきたことなどから,更新料を設定して初期の賃料を低くするなどして,更新料を含めた全体の収支を計算し,月額賃料を設定している。本件更新料条項が無効になれば,他の物件の賃貸借関係にも波及し,被告は,消費者契約法施行後に締結された全ての賃貸借契約について,受領した更新料を返還しなければならなくなるという不利益を受けることになる。また,実際に原告から支払われた更新料は,被告の収入となり,税務申告をして税金を支払い,賃貸経営の諸経費,生活費などにすでに使用している。本件更新料条項が有効であることに対する被告の期待は合理的で,十分法的保護に値するものである。

 (オ) 原告の不利益
 更新料が設定されている物件は賃料のみの物件よりも月額賃料が低く設定されているのが通例で,原告は,更新時まで低い賃料で借り,仲介手数料や敷金等の初期費用も少なくて済むなどの点で有利であるし,更新料を支払うことで,更新拒絶権の放棄,賃借権強化という利益を得ている。また,更新料は社会的に承認され,多くの賃借人が更新料を支払っており,この点から,更新料を支払っていることの不利益は小さいといえる。さらに,原告は,本件賃貸借契約締結に際し,本件更新料条項について仲介業者から説明を受けた上で契約し,現実に約定更新料を支払ってきたのであり,更新料の厳密な法的性質は認識していなかったとしても,更新料が賃料の補充,更新できることの対価であることを明示的,黙示的に認識して,主体的に,本件更新料条項を含む本件賃貸借契約を締結したということができ,原告は,更新料及び月額賃料といった経済的負担に合理性があると判断していたはずであり,本件更新料条項が原告に不測の損害あるいは不利益を及ぼすことはないし,むしろ,原告は,目的物件の使用収益,契約期間の保護という利益を既に享受している。原告の主張する不利益は,いったん納得して支払った更新料が返還されないというに過ぎない。

 (カ)  原告の主張に対する反論
 原告は,更新料には何らの合理性,対価性がないから重大な不利益を受けており,本件更新料条項は無効であるという旨の主張をするが,上記(ア)の後段要件該当性の判断基準に照らせば,客観的な対価性を欠けば直ちに無効となるとの解釈には無理がある。また,複合的性質を有する更新料につき,各個別の性質からすべてを合理的に説明できないことをもって,更新料に合理性がないと批判するのも失当である。

 (キ)  以上によれば,本件更新料条項は,信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものとはいえないから,後段要件を満たさない。

エ 仮に,本件更新料条項が消費者契約法10条に反して無効であったとしても,原告と被告は,平成19年10月26日,原告被告間の本件賃貸借契約に関する債権債務については,合意したものを除き,互いに請求しないことを合意したのであるから,その合意によって更新料返還義務は消滅している。

「4 保証金・更新料返還等請求事件  不法行為の成否及び慰謝料の額」へ続く

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【判例】 4 保証金・更新料返還等請求事件 不法行為の成否及び慰謝料の額

(2) 不法行為の成否及び慰謝料の額

 (原告の主張)
 ア 被告は,入居者に周知することなく本件建物に本件防犯カメラを設置し,当該カメラに記録された映像により原告の帰宅時間や来訪者を監視した。
その上で,被告は,原告に対し,「君,昨日の夜中1時に帰ってきたね。」,「なんで昨日は男と帰ってきた。」と注意するなどした。
かかる被告の行為は,防犯目的を超えて原告のプライバシーを侵害するものである。

 イ また,本件賃貸借契約書(甲1),誓約書(甲3)及びA入居者館内細則(甲4)に友人を連れて来ることを禁じた規定はなく,契約書18条4号において「他人をみだりに入室又は宿泊させること」が禁止されているが,ここにいう「みだりに」とは,他の入居者や近隣に迷惑をかけるような態様でと解釈するべきであるところ,原告がみだりに他人を入室又は宿泊させたことはないのに,被告は,原告に対し,「友達を連れてくるな。」,「出て行ってくれ。」などと,不当に退去を要求した。

 ウ 原告は,上記ア,イ記載の被告の各行為により,被告に監視されているという不安などの精神的苦痛を受けた。その精神的苦痛を金銭に換算すると10万円を下らない。

 (被告の主張)
 ア 被告が,本件防犯カメラを設置したのは防犯上の理由である。入居者に周知していないのは,防犯カメラは公然と設置されており,本件建物を出入りする際に視界に入るものであって,入居者に周知させるまでもないためである。

 イ 被告は,本件訴訟が提起されるまで本件防犯カメラの録画自体を見たことはなく,本件防犯カメラに記録された情報により原告の行動を監視しているかのような発言もしていない。

 ウ 被告は,原告に対し,「友達を宿泊させないように。」,「契約は守ってもらわなければならない。」と注意したことはあるが,「友達を連れてくるな。」,「出ていってくれ。」などとは言っていない。そして,これらの注意は,頻繁にされた男友達の深夜の出入り及び宿泊,約2週間にわたる女友達のホテル代わりの宿泊に対してしたものであって,賃貸人としての正当行為である。

(3) 保証金及び退去費用の額
 (原告の主張)
 被告は,原告に対し,賃貸借契約終了に基づき契約締結時に支払った保証金33万円から,未払となっている平成19年11月分の家賃5万8000円を差し引いた27万2000円及び退去費用4万8000円の合計32万円を支払う義務がある。

 (被告の主張)
 被告が,原告に対し,保証金全額及び引越費用3万円から,未払となっている平成19年分の賃料5万8000円及び共益費5000円を差し引いた29万7000円の支払義務があることは認める。

5 「保証金・更新料返還等請求事件  更新料条項の有効性(争点(1))について」へ続く

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【判例】 5 保証金・更新料返還等請求事件 更新料条項の有効性(争点(1))について

第3 争点に対する判断
1 本件更新料条項の有効性(争点(1))について
 (1) 本件更新料条項の法的性質の検討
 ア 検討の前提
  本件更新料条項は,法律上の根拠に基づくものではなく,本件賃貸借契約の一内容として,原告と被告との間で定められたものである。したがって,本件更新料条項の法的性質の内容は,当事者である原告と被告の契約時における合理的意思の解釈によって判断することとなる。そして,この合理的意思解釈に際しては,本件賃貸借契約条項の文言,契約締結経緯等の客観的事情や,当事者の当時の認識等の主観的事情等がその判断資料となる。

 以上を前提に,以下,本件更新料条項の法的性質につき検討する。

 イ 賃料の補充としての性質
 (ア) 賃料の意義
賃貸借契約は,賃借人による目的物の使用とその対価としての賃料の支払を内容とする契約であるから(民法601条),賃料とは,目的物の使用収益の対価たる金銭のことである。そして,賃料以外の金銭,すなわち,目的物の使用収益と対価関係に立たない金銭の支払を負担することは,賃貸借契約の基本的内容には含まれない。

 (イ) 本件賃貸借契約条項の定め
 a  本件の更新料は,本件賃貸借契約条項上,名目は「賃料」ではないし,「賃料」とは別個に定められている。したがって,この点からは,本件の更新料は,賃料以外の,賃貸借契約の基本的内容に含まれない金銭と考えるのが自然である。

 b しかし,名目は「更新料」であっても,当事者が,目的物の使用収益の対価の一部として定めたのであれば,名目はともかく,法的には賃料の一部であると評価しうる余地はある。

 c  そこで,更に本件賃貸借契約条項をみると,更新料が賃料の補充又は一部であると定めた規定はないほか,一度支払った更新料は返還されない旨の規定があり,たとえ中途解約がされても,それまでの使用収益期間に応じて返還されることはない(別紙2条3項)。

 (ウ) 被告の主張の検討
 a  被告は,1本件の更新料が1年の更新期間ごとに支払われ,更新しない場合には授受が予定されていないこと(別紙2条1,2項),2原告が更新料を含めて賃貸期間に応じて支払う金銭の合計は賃貸期間に比例しており,当事者もこれを納得していることなどから,本件の更新料は使用収益の対価たる賃料の補充・前払いとして定められていたと解するのが当事者の合理的意思に合致する旨主張している。

 b まず,この主張を,賃貸人たる被告の意思に関して検討すると,弁論の全趣旨によれば,被告は,本件賃貸借契約締結当時,「目的物の使用収益の対価」,すなわち賃料として更新料を設定する意思であった可能性が高いと認められる。

  ただし,被告は,「権利金,礼金,更新料なども含めた全体の収支計算を行った上で毎月の賃料額を設定する」旨の主張もしているほか,「本来受けるべき経済賃料額」として考える額を定めて,そこから一定額を更新料という名目に移し替えるという作業をしたようにも窺われないから,本件賃貸借契約締結当時,法的意味での賃料すなわち「目的物の使用収益の対価」という観点を十分に認識していなかった可能性がある。そして,これらの事情によると,被告は,更新料を,賃料すなわち「目的物の使用収益の対価」の一部という狭い意味ではなく,「本件賃貸借契約に係る全体の収益の一部」という広い意味において考慮し設定した可能性もあるということができる。

 c  次に,上記a1,2の主張を賃借人たる原告の意思に関して検討すると,被告の主張するとおり,原告が,更新料を含めた賃貸借契約に伴う全体の収支や経済合理性を検討した上で本件物件を賃借すると決め,更新料についても,更新の際に負担する金銭で,自己の支出となり,賃貸人たる被告の収入となり,返還されない金銭であることを理解していたことは十分に窺われるし,原告が更新料を含めて賃貸期間に応じて支払う金銭の合計が,ほぼ賃貸期間に比例していることも理解し得たことが窺われる。
被告は,このことから,原告が,更新料を,本件物件を「使用収益」するのに必要な対価として把握していると意思解釈できる旨主張しているものである。

  しかし,例えば敷金や共益費など,本件賃貸借契約の「目的物」である本件物件の「使用収益の対価」ではないが,賃貸借契約に付随して授受される金銭というものもあるから,賃借人の側としては,賃貸借契約に伴う費用であるからといって,それはすべからく「使用収益の対価」であると考えるとは必ずしもいえない。更新料についても,例えば,更新に対する謝礼であるとか,合意更新をしてもらうことの対価であるなどと賃借人が考えることは,十分にあり得ることである。

  現に,被告も,「賃借人は更新拒絶権放棄(紛争回避)の性質があると思えばこそ更新時に更新料を支払う」旨の主張をしており(前記第2の2(1)(被告の主張)ア(イ)),実際のところ,賃借人がそのように考えて更新料を支払う可能性も十分に認められるものである。

  そうすると,原告に上記のような認識,理解があったからといって,直ちに,原告が更新料を「目的物の使用収益の対価」と認識していたということにはならない。

 (エ) その他の事情
  本件賃貸借契約締結時,原告と被告が,更新料が「目的物の使用収益の対価」たる賃料の補充又は一部である旨合意していたとか,原告が更新料につき賃料の補充又は一部である旨の説明を受けたとか,原告が更新料を賃料の補充又は一部として支払ったと認めるに足りる証拠はない。

 (オ) 当事者の合理的意思解釈のまとめ
  以上のような,賃料の意義((ア)),本件賃貸借契約条項の定め((イ)),被告の主張の検討結果((ウ)),その他の事情((エ))を総合すれば,本件において,当事者である原告及び被告の合理的意思を検討しても,両者が,本件更新料条項を「目的物の使用収益の対価」たる賃料の補充又は一部として定めていたと解することはできない。

  そして,以上の検討結果によれば,明確に認定することはできないものの,実際のところは,被告としては,本件の更新料を「使用収益の対価」たる賃料の一部であると考えていたが,原告は,そうは考えず,更新料を,「更新に対する謝礼」であるとか,「更新拒絶権放棄の対価」等として考えるなどしていたため,更新料についての当事者の意思が,「賃貸借契約に関する全体の収支」というレベルでは合致していたものの,「使用収益の対価」というレベルでは一致していなかったという可能性が高いものと考えられる。

 (カ) 以上のとおりであるから,本件更新料条項に,賃料の補充又は一部という性質があるとは認められない。

ウ 更新拒絶権放棄の対価としての性質
 (ア)  賃貸人である被告が,更新拒絶の正当事由が存在するか,あるいは存在するか否かが判然としないにもかかわらず,更新時に本件更新料条項に基づく更新料の支払が受けられることを期待し,これと引換えに更新拒絶権をあらかじめ放棄することにより,賃貸人と賃借人との間の紛争が避けられることもあり得るから,この意味で,更新料が更新拒絶権放棄と一定の対応関係を有し,賃借人である原告に利益をもたらす面があることは否定できない。

  なお,原告は,更新料の支払われるころには,既に賃貸人による更新拒絶権行使の期間(期間満了の6か月前まで)が徒過していて更新拒絶権が発生しないことが確定しているのが通常であり,更新料の支払によって更新拒絶権が放棄され紛争が回避されるとはいえない旨主張しているが,上記のように,賃貸人は,更新時に更新料の支払が受けられることを「期待して」あらかじめ更新拒絶権を行使しないことも考えられるから,この主張は失当である。

 (イ)  しかし,借地借家法28条の規定等によれば,更新拒絶の正当事由の判断に際しては,当事者双方の建物使用の必要性が基本的な判断要素となり,建物の賃貸借に関する従前の経過及び建物の利用状況,立退料その他の財産上の給付の提供・支払は,補完的要素であって,建物使用の必要性の有無のみでは判断し難い場合に,初めてこれが考慮されるものと解される。

  このような正当事由の判断方法に照らすと,収益目的の居住用賃貸物件の建物賃貸借契約においては,当初から他人に賃貸する目的であるから,正当事由が認められる場合は少ないと考えられる。
そして,本件においても,本件建物は被告がその事業のために賃貸用に新築して賃貸している物件であり,本件物件はその一室である以上,正当事由が認められる場合は少ないということができる。

 (ウ)  また,上記(ア)のとおり,更新時に更新料の支払が受けられることを期待して被告が更新拒絶権をあらかじめ放棄するといっても,それまでに原告から更新の申出(別紙2条2項。申出の期限は期間満了の2か月前である。)がされていない限り,期間満了の6か月前までは,被告が更新拒絶権を放棄するかしないかを自由に選択できる。したがって,本件更新料条項の存在により,必ず賃貸人である被告の更新拒絶権放棄がもたらされるわけではない。

 (エ)  このように,本件において,更新料が更新拒絶権放棄と一定の対応関係を有するとしても,そのような関係は,解約申入れに正当事由があるか,又はあるか否か判然としない場合であり,かつ,賃貸人である被告が,その自由な選択の下,解約よりも更新料の支払を受ける方を選択したという限られた場合に認められるもので,これにより賃借人が受ける紛争回避の利益は,それほど大きく評価すべきものではない。

  加えて,本件における更新料額は,1年ごとに月額賃料の2か月分,すなわち11万6000円と,かなり高額である。

  その他,本件において,原告と被告が,特に更新料を更新拒絶権放棄の対価としての性質があるものと合意したとの事情を認めるに足りる証拠はない。

 (オ)  以上を総合すると,本件において,更新拒絶権放棄は,そもそも本件の更新料の対価となっているとまではいえないか,あるいは,対価としての性質は認められるとしてもその意義は希薄で,更新料の金額とは均衡していないというべきである。

エ 賃借権強化の対価としての性質
 (ア)  被告は,賃貸借契約が合意更新された場合,更新後も期間の定めのある賃貸借となるので,賃借人は,契約期間の満了までは明渡しを求められることはないが,法定更新の場合には,更新後の賃貸借契約は期間の定めのないものとなるので(借地借家法26条1項ただし書),賃貸人は,いつでも解約を申し入れることができるから,賃借人の立場は不安定なものとなるので,更新料は,合意更新をする対価であると主張する。

 (イ)  しかし,そもそも本件更新料条項においては,法定更新の場合にも更新料を支払う旨定められているから(別紙2条2項),更新料を支払ったことによって賃借人の地位の安定すなわち賃借権の強化がもたらされることはない。つまり,上記のような合意更新と法定更新の違いを前提とする説明は,このどちらの場合にも支払うこととしている本件更新料条項の性質の説明としては,およそ成り立ち得ない。

  なお,仮に本件で法定更新の場合に更新料を支払う旨の定めがなかったとしても,法定更新の場合の解約申入れにも正当事由の存在が要件とされており(借地借家法28条),前記ウ(イ)で検討したように,本件では正当事由が認められる場合が少ないと考えられることからすると,法定更新後の賃借人の立場と合意更新後の賃借人の立場の安定性の差異はわずかにすぎず,賃借権がそれによって強化されたと評価するのも困難である。

 (ウ)  その他,原告と被告が,本件更新料条項に賃借権強化の対価の性質があると特に合意したとの事情を認めるに足りる証拠はない。

 (エ)  以上によれば,本件更新料条項には,賃借権強化の対価としての性質はない。

オ 以上検討したとおり,本件更新料条項には,賃料の補充又は一部としての性質,賃借権強化の対価の性質はいずれも認められない。また,更新拒絶権放棄の対価の性質も,そのようにはいえないか,あるいは,かなり希薄なものとしてしか認められず,本件における更新料の金額とは均衡していない。
  そうすると,本件更新料条項は,極めて乏しい対価しかなく,単に更新の際に賃借人が賃貸人に対して支払う金銭という意味合いが強い,趣旨不明瞭な部分の大きいものであって,一種の贈与的な性格を有すると評価することもできる。

「6 保証金・更新料返還等請求事件  消費者契約法10条該当性の検討」へ続く

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【判例】 6 保証金・更新料返還等請求事件 消費者契約法10条該当性の検討

(2) 消費者契約法10条該当性の検討
ア  消費者契約法の適用
  原告は,事業として又は事業のために本件賃貸借契約の当事者となったものではない個人であるから,消費者契約法2条1項の「消費者」に該当する。また,被告は,不動産賃貸を事業とする者であるから,同条2項の「事業者」に該当する。
したがって,本件賃貸借契約は同条3項の「消費者契約」に該当し,同法10条の規制対象たりうる。

イ  前段要件該当性
 (ア) 消費者契約法10条は,その前段において,適用の対象となる条項を「民法,商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し,消費者の権利を制限し,又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項」と規定している。

  そして,前記(1)オのように,本件更新料条項は,極めて乏しい対価しかなく,単に更新の際に賃借人が賃貸人に対して支払う金銭という意味合いが強い,趣旨不明瞭な部分の大きいものであって,一種の贈与的な性格を有するとも評価できるものであり,賃料の補充又は一部という性質は有していない。

  したがって,本件更新料条項は,賃借人に対し,民法601条に定められた賃貸借契約における基本的債務たる賃料以外に,金銭の支払義務を課すものであり,民法の規定に比して賃借人の義務を加重しているから,前段要件を充足する。

 (イ)  なお,被告の主張にかんがみ検討すると,賃借人である原告が,本件更新料条項を,本件賃貸借契約を締結する際の意思決定の考慮要素としていることは認められるから,この点において,本件更新料条項が,被告のいうところの中心条項の要件である,市場メカニズムによって機能し,当事者の主観的意思が関与しているものということは不可能ではない。そうすると,被告の主張に従えば,本件更新料条項が中心条項に当たることになって,消費者契約法10条が適用されないということになってしまう。

   しかし,そもそも被告のいう中心条項が消費者契約法10条前段要件を満たさないのは,中心条項といわれる契約の要素や価格についての定めは,「民法,商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による」とそもそも当事者の自由に委ねられ,依るべき法的基準が与えられていないので,これに「比し」て「消費者の権利を制限し,又は消費者の義務を加重」している場合が考えられないからであると解される。このように,同条は,依るべき法的基準がない,すなわち私的自治が強く尊重されている事項については,その司法的内容審査に服させないこととしているものと解されるのである。

   本件更新料条項は,必ず賃貸借契約に付随して定められるものであり,しかも,それ自身の対価がほとんど想定できないことからすれば,上記(ア)のように,賃貸借契約における賃借人の債務に関する民法601条の規定を,消費者契約法10条の「民法,商法その他の法律の公の秩序に関しない規定」,すなわち,与えられた法的基準として考えることができるのであり,つまり,本件更新料条項は,当事者の全くの自由には委ねられていないと考えられるものである。したがって,本件更新料条項が,仮に市場メカニズムによって機能し,当事者の主観的意思が関与している条項であるといえたとしても,この点は同条前段の適用に関し障害とならないといえる。

ウ 後段要件該当性
 (ア) 検討の前提
   消費者契約法10条は,その後段において,同条により無効となる条項を,「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」と規定している。

   この「消費者の利益を一方的に害する」とは,消費者契約法の目的(同法1条)等に照らせば,消費者と事業者との間の情報の質及び量,交渉力の格差を背景として,消費者が誤認又は困惑するような状況に置かれるなどして,消費者の法的に保護されている利益を,信義則に反する程度に,両当事者の衡平を損なう形で侵害することをいうものと解される。

 (イ)  次に,掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。

  a 原告は,北海道に住んでいたが,B大学に合格したことをきっかけとして京都に住むことになり,本件物件は,原告の母親が,あらかじめインターネットにより物件を検索して選択した上,原告自身が見学し,他の物件と比較することなく賃借することを決めたものであり,本件賃貸借契約は,株式会社G及び株式会社Fによる仲介によって締結され,契約締結時における重要事項の説明等は,株式会社Gの従業員によってされ,原告の父親Cも同席し,更新時に家賃2か月分の更新料の支払を要することの説明があり,Cの同意の下,原告も承諾したもので,更新料の支払及び額に関する個別交渉はされていない。

 (甲1,8,原告本人,被告本人)
  b 国土交通省が,平成19年3月,財団法人日本賃貸住宅管理協会の会員である賃貸住宅管理会社を対象に行った民間賃貸住宅に係る実態調査の結果(乙16)によると,更新料の徴収は全国的に行われているが,大阪府,兵庫県のように,全く更新料の支払がされていない地域もあり,京都府においては,平成17年4月から平成18年3月の間にされた居住用住宅の賃貸借契約のうち更新料が徴収されている物件は,55.1パーセントである。

  c 更新料に関する情報
インターネットや情報誌等の賃貸情報では,更新料が記載されているものもある(乙12,13,17,26~47)。

 (ウ) 検討
  a  情報及び交渉力の格差
被告の主張するとおり,上記(イ)a,cによれば,賃借人は,賃貸物件の情報を,インターネットや情報誌等の賃貸物件情報により,容易に大量に入手できることは明らかである。

   そうすると,少なくとも更新料に関する情報の量の点では,原告と被告には大きな格差は存在しないということができる。

   しかしながら,通常,一般の賃借人は,賃貸借契約上の個々の条項について,なぜそのような条項が定められているのか,なぜそのような金額になっているのかの理由については知らないことも多く,このような情報の質の観点からは,賃貸人との間に格差が存在することもありうる。そして,通常,一般の賃借人が,前記(1)で検討したような更新料の法的性質というものについて認識しているとは考えられないし,現に,本件更新料条項の性質については,原告と被告の間で認識が一致していたとは認められず,一致していなかった可能性も高いことは,既に前記(1)イ,ウ,エで検討したとおりである。

   そうすると,本件更新料条項に関する情報の質の点では,原告と被告との間に格差があったと認められる。

   また,本件において,更新料を徴収すること及びその額については,賃貸人である被告の方であらかじめ決定しており,原告には交渉の余地はなく,仮にこれが不満であれば本件物件を賃借することを断念せざるを得なかったものと認められ,この意味において,本件更新料条項に関し,原告と被告との間には,交渉力の格差があったと認められる。

   被告は,情報力と交渉力に格差がない旨主張しているが,以上の検討結果に照らし,採用できない。

  b  原告の受けた不利益等前記(1)で検討したとおり,本件更新料条項は,極めて乏しい対価し
かなく,単に更新の際に賃借人が賃貸人に対して支払う金銭という意味合いが強い,趣旨不明瞭な部分の大きい金銭であって,一種の贈与的な性格を有するとも評価できるものである。そうすると,通常,賃借人たる原告は,このような性質を知っていれば,更新料は支払いたくないと考えるはずである。そして,原告がこのような本件更新料条項の性質について認識していたと認めるに足りる証拠はない。

   また,原告は,更新料を含め,本件賃貸借契約に伴う全体の収支や経済合理性を検討した上で本件物件を賃借すると決めたものと窺われるが,仮に,本件更新料条項の上記のような性質を認識していれば,本件物件を賃借しようと判断しなかった可能性もあり,その意味で,原告は,一種の誤認状態に置かれていたものと評価することができる。

   以上によると,原告は,本件更新料条項の性質について一種の誤認状態に置かれた上で,本件更新料条項について合意し,対価性の乏い贈与的金銭(金額は更新1回当たり月額賃料の2か月分である11万6000円)の支払を約束し,実際に支払を行うことになり,法的に保護された利益を害されたということができる。

  c  被告の受ける不利益等
   本件更新料条項が無効となると,被告は既に受領している更新料を原告に返還することになる。しかし,これは,上記bの原告の受けた不利益に対応する利益がなくなるというだけのことであるから,この点は,ここでの検討において考慮すべき被告の不利益にはあたらない。

   また,被告は,本件更新料条項が無効になれば,他の賃貸借関係にも波及し,既に受領した更新料を返還すべきこととなって,多大な不利益を受けるなどと主張しているが,これはそもそも本件更新料条項の効力の有無そのものによって受ける本件賃貸借契約に関する不利益ではない。更新料条項それぞれの規定内容,それぞれの契約締結前後の事情等によって,更新料条項の有効性の判断が事例ごとに異なることは当然にあり得るのであって,他の賃貸借契約への影響は,単なる事実上の問題にすぎない。したがって,被告の主張する被告の不利益は,ここでの検討に際し,考慮の対象とはならない。

  d  被告の主張の検討等
被告は,その主張の中で,更新料が社会的に承認されていることを強調している。しかし,仮に更新料が社会的に承認されているからといって,本件更新料条項の対価性が乏しいことが克服されるわけではないし,これが原告の受ける不利益の大小に関係することもない。また,被告が主張する社会的承認の内容に関して検討しても,上記(イ)bのように,全国一律に更新料の慣習があるというわけでもないから,本件更新料条項の有効無効の判断に関係する事情とはいえない。

  e  まとめ
   以上によると,本件更新料条項は,原告と被告との間の本件更新料条項に関する情報の質及び交渉力の格差を背景に,その性質について原告が一種の誤認状態に置かれた状況で,原告に,対価性の乏しい相当額の金銭の支払の約束と実際の支払をさせるという重大な不利益を与え,一方で,賃貸人たる被告には何らの不利益も与えていないものであるということができ,信義則に反する程度に,衡平を損なう形で一方的に原告の利益を損なったものということができるから,後段要件を充足する。

 (3) まとめ
  以上の検討によれば,本件更新料条項は,消費者契約法10条に該当することが明らかであり,同条により無効である。
そうすると,被告は,原告に対し,更新料11万6000円の返還義務がある。

 (4)  なお,被告は,原告と被告は,平成19年10月26日,原告被告間の本件賃貸借契約に関する債権債務については,合意したものを除き,互いに請求しないことを合意したのであるから,その合意によって更新料返還義務は消滅していると主張するが,証拠(甲2,8,乙6)及び弁論の全趣旨によれば,上記合意が,本件防犯カメラ設置に起因する退去に関する債権債務についてのものであると認められ,更新料返還義務を対象とするものではないといえる。

2 不法行為の成否及び慰謝料の額(争点(2))について
 (1)  掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
 ア  被告は,被告の娘の自転車が盗難に遭ったり,本件建物の入居者がストーカー被害に遭ったことから,自宅及び入居者の安全を図るという防犯目的で本件防犯カメラを設置したものであるが,入居者の使用状況を確認することも動機の一つであった(甲16,乙6,被告本人)。

 イ  被告は,平成19年3月ころ,本件防犯カメラの映像により,原告が本件物件に友人を宿泊させていることを知り,原告に対して,あまり友人を長居させないようにと注意した(甲8,原告本人)。

 ウ  同年4月ころにも,被告は,原告に対し,男性を宿泊させたことについて,「君,昨日の夜中1時に帰ってきたね。」,「なんで昨日は男と帰ってきた。」などと注意した(甲8,原告本人)。

 エ  平成19年9月から10月にかけて,被告は,原告に対し,遅く帰宅したこと,男性を宿泊させることが契約違反であること,契約を守れないのであれば出ていってもらってかまわないということを頻繁に告げ,注意するようになった。その際,原告は,被告に対し,どのようにして原告の帰宅時間や,訪問者を把握しているのかを尋ねたが,被告は一度も答えなかった(甲8,13,14の1,16,原告本人,被告本人)。

 オ  同年10月9日,原告が,被告の対応に精神的苦痛を感じていることをEに相談したことから,同月17日,原告,被告及び株式会社FのDによる話し合いがされた。その際,被告は,原告に対し,本件建物に防犯カメラを設置していることを明かし,友人を宿泊させること自体は了承するが,宿泊させる回数を減らすことを求め,原告との交渉には株式会社Fを介し,直接交渉をしないことを約した(甲2,8,13,乙6,原告本人,被告本人)。

 カ  上記話し合いの後も,被告は,原告に対し,深夜に帰宅することや友人を宿泊させていることを直接注意するなどしたので,原告は,精神的に耐え難くなり,平成19年11月4日,被告に対して退去通知をし,同月9日,本件物件を明け渡して,転居した(甲8,原告本人)。

 キ  本件建物の入居者及び近隣住民から,原告が他人を宿泊させていることについて苦情が出たことはない(弁論の全趣旨)。

 (2)  なお,被告は,本件訴えまで本件防犯カメラの映像を確認したことはないというが,防犯目的で設置したカメラの映像を確認しないこと自体極めて不自然であること,カメラの映像によってしか知り得ない深夜の原告の帰宅や来客の状況,宿泊回数や期間を知っていること,前提事実のとおり,被告は平成19年9月ころには,原告の母親にも男性を宿泊させていることを注意しているところ,少なくともその時点においては,原告の使用状況については十分な関心を持っていたことからすると,被告の供述は信用できない。

   また,被告は,原告に注意をしたのは平成19年9月の1度だけであり,出ていってほしいとは言っていないと供述するが,そうであるとすると,原告が,平成19年10月17日になって,株式会社Fに対して,被告から直接交渉をされないように取りはからって欲しい旨相談し,退去するに至るまでの精神状況になることはありえず,被告の供述は信用できない。

 (3)  不法行為の成否
 ア  まず,本件防犯カメラの設置行為及び本件防犯カメラによる監視行為について,前提事実及び上記認定事実によると,被告は,本件建物の防犯目的及び入居者の使用状況を確認する目的で本件防犯カメラを設置したものであるところ,賃貸物件の所有者がそのような目的で防犯カメラを設置することは正当な管理業務の範囲内であるということができる。また,設置態様としても,1階玄関前天井部分に1個設置したものであって,被告が本件防犯カメラの映像で知り得るのは,本件建物への出入りのみであるから,入居者のプライバシーを過度に侵害するということもなく,被告の監視行為が不法行為となるということはできない。

 イ  次に,被告による退去要求行為について,前提事実及び上記認定事実によると,別紙18条4号には,他人をみだりに入室させることを禁じ,これに違反した場合,賃貸人は契約を解除し又は更新を拒絶できる旨の定めがあること,原告が本件契約締結の際に作成した「誓約書」には,不特定多数の人の出入りを賃貸人に無断でさせた場合や,他の入居者や近隣に財産的,精神的迷惑をかける行為を行った場合には,本件賃貸借契約を解除されても,異議を申し立てない旨の定めがあること,被告は本件防犯カメラの映像で原告が友人を連れてくることを確認すると,度々原告に対して友人を宿泊させないように注意し,契約違反であり,契約を遵守しないのであれば退去するよう注意していたことが認められる。
  たしかに,原告は京都に遊びに来た女友達1人を宿泊させ又は交際相手を週1~2回宿泊させていたが,その程度及び頻度は常識的な範囲を超えるものではないこと,証拠上,隣接する部屋に騒音等の迷惑行為を行ったことや,近隣から苦情がきたことも認められないことからすると,原告が「みだりに」他人を入室,宿泊させていたとまではいえず,原告に対して退去まで要求することが一般的な賃貸人の行為として若干行き過ぎであったことは否定できない。しかし,単身者用の住居に他人を宿泊させることは,隣接する部屋の入居者に対して騒音等の迷惑をかける可能性の高い行為であるから,賃貸人として,他人を宿泊させないように監視,注意し,遵守できなければ退去してもらうことになるといった程度の忠告をすることが,不法行為となるとまではいえない。

3 退去費用の額(争点(3))について
 証拠(甲2,5,弁論の全趣旨)によれば,被告は,原告に対し,平成19年10月26日,退去費用の支払をすることを約していること,引越費用としては4万8000円を要したこと,原告が平成19年11月分の共益費の支払をしていないことが認められる。

 そうすると,被告は,原告に対し,退去費用として,保証金33万円及び引越費用4万8000円から,未払となっている平成19年11月分の家賃5万8000円及び共益費5000円を差し引いた31万5000円を支払う義務があるといえる。

4 結論
 以上のとおり,原告の請求は,43万1000円及びこれに対する民法所定の遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから認容し,その余は理由がないから棄却する。

  京都地方裁判所第3民事部
                  裁判長裁判官 瀧 華 聡 之

                  裁判官 谷 口 園 恵

                  裁判官 碩 水 音

別紙

 以下の条項中「甲」とあるのは賃貸人である被告を,「乙」とあるのは賃借人である原告を意味する。

  2条 契約期間・礼金・更新料
   1項  本契約の契約期間は,表記の間(平成18年4月1日から平成19年3月31日まで)とする。

   2項  前項の契約期間が満了する2か月以前において甲乙双方の異議がないとき,乙は甲に申し出て本契約を更新することができる。尚,その際乙は表記の期間毎に甲に対して更新料を法定更新・合意更新を問わず,契約期間満了の2か月前迄に表記の金額(11万6000円)を支払うものとする。

   3項  乙が甲に支払った礼金又は更新料は,理由の如何を問わず,また契約期間の長短を問わず,一切返却しないものとする。

  14条  解約の申入れ
   1項  甲が本物件の解約を申し入れるときは,6か月以前に乙に対して書面をもって請求するものとする。

  18条  賃借人の禁止事項
   乙は,次の各号の禁止事項に違反した場合,甲は第15条(契約解除)の規定に従い,本契約を解除又は更新を拒絶することが出来る。

   4号 他人をみだりに入室又は宿泊させること。


東京・台東借地借家人組合

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2010年12月15日 (水)

【Q&A】  契約時に説明なしの定期借家契約は有効なのか

(問) 転勤で1Kの賃貸マンション(家具付)を家賃月額7万円・礼金4ヶ月を支払うことで賃貸借契約を結びました。契約期間は364日です。12月に期間が満了しますが、定期建物賃貸借契約期間満了および貸主変更の通知が送られてきました。

 貸主は管理会社で、賃貸条件として家賃月額8万2千円(近隣相場を基準に算定)、光熱費1万3千円も今度は入居者負担とされています。契約書には、定期建物賃貸借契約書と書いてありますが、期間満了で終了することも書いておらず、事前に何の説明も受けておりません。家賃の値上げを認めないとマンションを出なければならないのでしょうか。

(答) 最近は、インターネットなどで格安物件と称して、ネットのサイトには定期借家契約であることを全く知らせずに、騙して契約させる事例が増えています。

 定期建物賃貸借契約は、期間が満了すると更新されず、借主は無条件で建物を明渡さなければならない契約です。

 定期建物賃貸借契約は借主に大変不利な契約であるために、契約が成立するためには次の3つの要件が必要です。
 ①口頭ではなく書面で契約する。
 ②定期建物賃貸借契約書には、契約の更新がないことが明記されていなければならない。
 ③定期建物賃貸借契約を結ぶに当っては、貸主は借主に、契約の更新がないことが記載された書面を渡して説明しなければならない。
 以上3つの要件の内一つでも欠けると定期建物賃貸借契約は成立せず、普通建物賃貸借契約となります(※)

 相談者のケースは2つの要件が欠けていますので普通借家契約となります。従って、貸主の契約条件に従う必要はなく勿論そのためにマンションを立退かされる理由はありません。組合と相談しながら頑張って交渉して下さい。

全国借地借家人新聞より 


(※) 
(定期建物賃貸借)
第38条
 期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書による等書面によって契約をするときに限り、第30条(借家人に不利な特約は無効とする)の規定にかかわらず、契約の更新がないこととする旨を定めることができる。この場合には、第29条第1項(期間1年未満の借家契約の禁止)の規定を適用しない。

2  前項の規定による建物の賃貸借をしようとするときは、建物の賃貸人は、あらかじめ、建物の賃借人に対し、同項の規定による建物の賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。

3  建物の賃貸人が前項の規定による説明をしなかったときは、契約の更新がないこととする旨の定めは、無効とする。(借地借家法38条1~3項)

参考記事 「定期借家契約を結ぶ手続き

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2010年10月27日 (水)

【判例紹介】 借家契約に付けられた更新料支払特約は消費者契約法10条に違反しに無効

 判例紹介

 大阪高等裁判所判例―借家契約に付けられた更新料支払特約は消費者契約法10条に違反し無効として、過去4回の更新で支払った合計40万円の返還することを賃貸人に命じた画期的事例 (大阪高裁平成21年8月27日判決

事案の概要
 A(賃借人)は、平成12年8月、4階建共同住宅の1部屋を、B(賃貸人)から、月家賃4万5000円で、借りて居住を始めた。契約書には、契約期間1年間、更新料10万円と記載され「更新の場合、契約書記載の更新料を支払わなくてはならない」と明記された更新料支払特約があった。

 以後1年毎に更新(下記)。
①平成13年8月10万円
②同14年9月10万円
③同15年8月10万円
④同16年8月10万円
⑤同17年8月10万円
合計50万円

 Aは、平成18年には契約を解約して明け渡し、支払った更新料50万円の返還請求の訴訟を京都地裁に起こした。京都地裁はA敗訴。大阪高裁は地裁判決を取消し、Bに②③④⑤の更新時既払更新料40万円全額返還を命じ、A逆転勝訴。

①は消費者契約法施行(平成13年4月1日)前にされた平成12年の当初契約によって支払われたものだとして認められなかった。

 (裁判の争点
 Aが訴えたこの裁判の争点は、AB間の更新料支払特約が、消費者契約法10条(「民法、商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第1条第2項に規定する基本原則(信義則)に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする」によって無効か否かである。

 (大阪高裁判決の要旨
 大阪高裁は、「消費者契約法が立法された下で見直してみると・・(中略)・・、この約定は、賃借人に無視できないかなり大きな経済的負担が生じるのに、本件更新料約定は、賃借人が負う金銭的対価に見合う経済的根拠は見いだせず、むしろ一見低い月額賃料額を明示して賃借人を誘引する効果があること、賃貸人と賃借人との間においては情報収集力に大きな格差があったのに、本件更新料約定は、客観的には情報収集力に乏しい賃借人から借地借家法の強行規定の存在から目を逸らさせる役割を果たしており、この点で、賃借人は実質的に対等にまたは自由に取引条件を検討できないまま本件賃貸借契約を締結させられた」

 「本件更新料約定は、民法第1条第2項に規定する原則(信義則)に反して消費者の利益を一方的に害するもので、無効である」と判断した。

 無効な更新料約定によりAが支払わされた40万円の既払更新料は、賃貸人(B)の不当利得であるから、賃借人(B)に返還せよという判決である。

 (本判決の評価
 賃貸借契約における更新料特約に消費者契約法10条を適用した初めての高裁判決であり、本件のような内容の更新料特約を消費者の利益を一方的に害し無効とした画期的なもの。なお、本年になり、7月23日、9月25日に、同様に消費者の勝訴とした京都地裁の判決が出ている。

(2009.11.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より


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2010年10月25日 (月)

【判例紹介】 更新料を支払う借地契約上の合意がない場合に更新料請求は認められない

 判例紹介

 更新料を支払う旨の借地契約上の合意がない場合に、地主からの更新料支払請求は認められないとされた事例

 【事例1・墨田区】
 東京地裁平成20年8月25日判決

 (事案の概要)
 ①AはBに昭和24年に土地を貸した。
 ②Aは死亡し、Cが相続。CとBは、昭和43年に借地契約を合意更新(1回目)。この際、更新料4万円が払われた。

 ③昭和63年に法定更新(2回目)。Bが平成5年死亡し、その子であるYが相続。地主Cが平成18年死亡、その子Xが相続。

 ④平成20年2月に法定更新(3回目)。XはYに対し最後の更新につき150万円(土地時価の5%)の更新料を請求して提訴した。

 ⑤賃貸借契約書には更新料に関する定めが一切なかった。

 (判旨)
 判決は、「宅地賃貸借契約における賃貸期間の満了にあたり、賃貸人の請求があれば当然に賃貸人の賃借人の更新料支払義務が生ずる旨の商習慣ないし事実たる慣習が存在するとはいえない(最高裁第2小法廷昭和51年10月1日判決)」として、地主の更新料支払請求を棄却した。

 【事例2・豊島区】
 東京地裁平成20年8月29日判決

 (事案の概要)
 ①DはEに昭和21年に土地を貸した。

 ②DとEは昭和41年に合意更新(1回目)。

 ③さらにDとEは昭和61年に合意更新(2回目)。Dは昭和62年に死亡し子の甲相続。Eは平成16年死亡し配偶者の乙が相続。

 ④平成18年は法定更新(3回目)。甲は、更新料の合意または慣習を根拠に525万円の更新料(土地時価の7%)を請求して提訴して来た。

 ⑤昭和61年の合意更新時に作成した契約書には更新料の定めは一切なかったが、更新料と推定される220万円の支払がEからDになされている。

 (判旨)
 判決は、「次回の更新に際して更新料の支払が要件になるか否かは、貸主であるDにとっても、借主であるE側にとっても重要な事項であり、これが当事者間で合意されたのであれば、本件賃貸借契約書にその趣旨の条項が書き込まれてしかるべきところ、本件賃貸借契約書にはそのような条項が存在しない」として更新料支払の存在を否定し、慣習を根拠とした甲の請求に対しては「一定の基準に従って当然に更新料を支払う旨の慣習が存在するとまで認めることはできない」として、地主の更新料支払請求を棄却した。

 (寸評)
 【事例2・豊島区】は筆者が代理した組合員の事例である。地主は控訴したが、第1回以前に取下げ、請求棄却の1審判決が確定して解決した。

 借地契約書に更新料を支払う旨の条項がなく、更新料支払の合意が認められない場合に、借地契約が期間満了時に法定更新したときには、借地人には更新料の支払義務がなく、更新料を支払う事実たる慣習の存在は認められない(最高裁昭和51年10月1日判決)。この最高裁の判例は、【事例1・墨田区】の判決にも引用されているように、既に確定した解釈で、現在の下級審もこれに従っている事例として紹介する。

東京借地借家人新聞より

(東借連常任弁護団・弁護士 田見高秀)


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2010年10月16日 (土)

24時間冷房、隣室にカビ 大分地裁・60万円賠償命じる (西日本新聞)

 マンション隣室の冷房が原因で壁などが結露してカビが発生したとして、大分市の男性が隣室の住人ら3人に約165万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が13日、大分地裁であった。一志泰滋裁判官は「受忍限度を超えており違法性が認められる」として、被告側に慰謝料や修繕費など約60万円の支払いを命じた。

 一志裁判官は「パソコン関連機器保管のため夏はエアコンを24時間使用し、室温18度、湿度50%に保っていた」と認定。「このようにエアコンを使えば隣室に結露やカビが発生することは予見すべきだった」と指摘した。被告に部屋を貸した所有者に対しても「管理規約に違反しており賠償責任がある」とした。

 判決によると、被告の住人は2008年5月に入居。6月に隣室に結露が生じ、9月には壁や畳、たんす内の衣類などにカビが発生した。

2010/10/15付 西日本新聞 朝刊


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2010年10月13日 (水)

家賃19年滞納、保証人に3百万円請求 大分・宇佐市 (朝日)

 大分県宇佐市が、市営住宅の家賃を19年滞納した50代女性と連帯保証人で同県中津市に住む弟に約300万円の支払いと女性の退去を求めて提訴し、弟と争っている。弟は「過去、市からも姉からも何の話もなかった。20年近く放置した責任は行政にもある」と、市は「連帯保証人への請求は法的に問題ない」とそれぞれ主張している。

 訴状によると、女性は1990年、旧安心院町(現宇佐市)の町営住宅に入居した。1年後から家賃が滞り、滞納額は今年2月末で148万8千円に達した。

 市は今年4月、大分地裁中津支部に提訴。昨年9月、翌月末までの退去を求めたが、女性は応じなかった。請求は2月末までの滞納金148万円と延滞料153万円。延滞金利は国や自治体で一般的な年14.6%。女性は出廷も意思表明もせず、女性に対しては市が7月に全面勝訴した。

 弟は「市や旧町から過去に連絡や催促はなく、姉とも年1、2回会う程度で滞納の話はなかった」と言う。過去3回の弁論で、3カ月以上の滞納者に退去請求できると定めた旧町や市の条例を指摘して「行政が初期に対処しなかったのは怠慢。数カ月分の支払いには応じる」と主張した。

 取材に対して市は「現在は連帯保証人に滞納状況を通知しているが、過去はしていなかった」と認める半面、「連帯保証人には責任がある。財政は厳しく、滞納はできるだけ解消したい」と譲らない。

 連帯保証人を提訴するかは自治体によって様々だ。熊本市は「名義人に支払わせるのが第一原則」として訴えていない。大分県も「今後は訴える方向だが、連帯保証人の責任の明確化など訴訟を提起するための条件整備ができていない」と担当者は話す。

 福岡県は連帯保証人も訴えているが、入居者が2カ月以上滞納すると定期的に連帯保証人に催告書を送っており「連帯保証人が滞納を知らないという事態はない」という。

 宇佐市営住宅約1600戸の09年度末の家賃滞納は累計1億3800万円。大分県内18市町村では大分市の2億6千万円に次ぐ。

 宇佐市は08年度以降、滞納者への最終催告書を市長名から弁護士名に変更し、建物明け渡し訴訟を起こし始めた。08、09年度で計15件提訴し、同年度の訴訟の請求額は200万~64万円。家賃の収納率は07年度末の61.0%から2年連続で上昇し、09年度末は61.68%になった。滞納額も2年で約780万円減った。

 市の担当者は「最終催告書を出してから200万円の滞納額を一括で支払ったケースもあった。これまでの怠慢のそしりは免れないが、滞納を将来に引きずるわけにはいかない」としている。(阿部彰芳)

2010年10月12日 asahi.com (朝日新聞社)


関連

【判例】 福山市が連帯保証人へ約10年分の滞納家賃を請求(広島地裁 平成20年02月21日 判決)


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2010年9月28日 (火)

自殺遺族に家主「借り手ない」と1億賠償請求も (読売)

 自殺者が12年連続で3万人を超すなか、「室内で自殺され賃貸住宅の借り手がない」などとして、遺族が家主や不動産会社から過大な損害賠償を請求されるケースが後を絶たない。

 不当な請求から遺族を保護しようと、全国自死遺族連絡会(仙台市・田中幸子代表)などは近く、内閣府や民主党に法案化を要請する。

 連絡会によると、一般に自殺があった賃貸住宅は「心理的 瑕疵 ( かし ) 物件」と呼ばれ、借り手がつかなくなったり、家賃が大幅に安くなったりするため、損害賠償の対象になる。しかし、最近は遺族の混乱やショックにつけ込み、家主らが改修費などを過大に請求するケースが少なくないという。

 例えば、2008年に神奈川県内のアパートで一人暮らしの30歳代の会社員が自殺したケースでは、遺族が家主から部屋全体の改装費用200万円と5年分の家賃の補償金約500万円を請求された。納得できずに弁護士に相談し、200万円を支払うことで和解した。

 宮城県内では、アパートで自殺した娘の火葬中に不動産会社が押しかけ、おはらい料や家賃補償として計約600万円を要求され、実際に支払った例もある。アパート全体の建て替え費として1億2000万円を請求されたケースもあった。

2010年9月27日(月) 読売新聞


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2010年9月24日 (金)

大阪府財政構造改革素案 住宅バウチャー制度創設 府営住宅を半減 (全借連新聞)

 大阪府は、「大阪府財政構造改革《素案》」(以下《素案》)を8月5日発表し、府営住宅の管理戸数(約13万8000戸)を半減し、住宅市場を活用するためバウチャー制度の創設を提案し、府民へ9月3日までにパブリックコメントを求めました。

 発表された《素案》によると、住宅セーフティネットは、府営住宅に依拠することのみならず、民間住宅市場を有効活用するとして、住宅バウチャー制度(市場家賃と府営住宅家賃の差額補助)を創設するとしています。

 府営住宅ストックの半減の具体的方向は、既存の府営住宅で応募が皆無である住宅を管理戸数から削除すること、耐震不足の住宅を除却すること、良質なストックを市町村へ移管することをあげています。

 また、高度経済成長時代に供給された府営住宅ストック7万3000戸が平成54年度までに建替時期を迎え、その財源の確保が困難であることから、PFIによる民間事業者による建替を行い、住宅バウチャー制度の財源を確保するとしています。

 《素案》で提案された府営住宅の半減案は、
第1に府民の強い府営住宅への要求に相反する。
第2に府営住宅居住者の居住の安定を保障しない。
第3に市町村への移管は、当該市町村の財政難と管理能力不足から事実上不可能である。
第4にこれまで大阪府が蓄積して住宅行政が後退する。
第5に民間市場の活用によって住宅対策が市場原理に左右され、府民に対する住宅セーフティーネットとしての公的責任を放棄する。
など負の要因に拍車を掛けることが懸念されます。

 一方、府営住宅を市場化することによって民間デベロッパーなど不動産業界の新たな利潤追求の基盤づくりとなります。

 大借連では、8月26日、《素案》に対する見解を発表し、大阪府へ意見書にまとめパブリックコメントとして提出しました。

 そして、8月30日には大阪の住宅要求関係団体へ呼び掛け懇談会を開き、「府営住宅削減に反対する連絡会」を結成し、「府営住宅管理戸数削減をやめ、府民の住宅貧困を解決するために府営住宅を増やすこと」を府議会へ請願するための団体請願署名運動に取り組むことを確認しました。

全国借地借家人新聞より


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2010年9月22日 (水)

日本住宅会議サマーセミナー開催 (全借連新聞)

現代の居住貧困と住宅政策の再構築をテーマに討論
家賃補助制度の導入等当面の対策が

 8月7日・8日の両日、日本住宅会議第26回サマーセミナーが、大阪市内で全国から住宅問題に関心をもつ研究者、学生、自治体職員、市民など89名が参加して開かれました。

 今回は、「現代の居住貧困と住宅政策の再構築」をメインテーマに、第1日目は、塩崎賢明日本住宅会議理事長が「居住貧困と住宅政策の責務」をテーマに基調報告が行われました。

 塩崎理事長は、基調報告の中で、
(1)野宿(ホームレ3124人)
(2)屋根はあるが家がない者(ネットカフェなど約5000人)
(3)不安定居住者(生活保護世帯130万世帯)
(4)人間らしい住まいの欠如(最低居住水準未満世帯331万世帯)
と全国で居住貧困の階層が広がっている実態を指摘

その原因として、
(1)戦後住宅政策の基本的欠如
(2)規制緩和・市場原理主義の横行
(3)労働・雇用法制の改悪が重なりあい具体的な事例を指摘しながら報告しました。

 そして、当面の対策として、住宅政策の転換には、
(1)総合的な住宅政策の実施体制
(2)家賃補助制度の導入
(3)セーフティネットとしての公的賃貸住宅の拡充などを提起しました。

 その後、「今日の居住貧困とその対策」をテーマにしたパネルディスカッションを行いました。

 第2日目は、「家賃補助と社会住宅の展望」をテーマにしてシンポジウムが開かれました。

 第1報告としてイギリス・オランダの住宅政策(堀田祐三子和歌山大学准教授・角橋徹也都市計画家)、第2報告として家賃補助政策の提言(斎藤輝二住宅福祉研究所主宰)、第3報告として日本型社会住宅の展望(増永理彦神戸松陰女子学院大学教授)が、それぞれの課題で報告し、参加者から活発な討論が行われました。

 当日午後からは、現地見学会(オプション)「釜ヶ崎まち歩き」を行いました。現地でサポーティブハウス「陽だまり」を経営する宮地泰子さんと地域の西成市民舘館長の河崎洋光さんから、路上生活者の社会復帰への献身的な地域活動を具体的実例を交えて感動的な報告を受けました。その後、路上生活者の大阪市の施設セェルターなど釜ヶ崎地域を視察しました。

 このサマーセミナーには、全借連関係者14名が参加しました。

全国借地借家人新聞より


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2010年9月 8日 (水)

借り主負担「違法」と提訴 賃貸アパート原状回復費 (共同通信)

 賃貸アパートやマンションが経年変化した場合でも借り主に原状回復費用を負担させるのは違法だなどとして、国認定の適格消費者団体「消費者機構日本」(東京)は6日、不動産会社「三井ホームエステート」(東京)に対し賃貸借契約条項の差し止めを求める消費者団体訴訟を東京地裁に起こした。

 訴状によると、三井ホームエステートは契約書に、契約終了時に経年変化した場合でも部屋のクリーニング代など原状回復費用や更新料の支払いを借り主負担と明記。物件の明け渡しが遅れた場合は賃料の2倍を加えた損害金の支払いを定めている。

 消費者機構日本は「消費者の利益を一方的に害する契約条項は無効とした消費者契約法に違反している」と主張している。

 三井ホームエステートは「原状回復費用などの一部条項は変更を決め、ほかは今後是正を検討する」としている。

 国民生活センターなどには同社の賃貸契約に関する相談が2003年から今年5月まで計33件寄せられた。

2010/09/06  【共同通信】


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2010年8月26日 (木)

生活保護費詐取:容疑の不動産会社社長ら逮捕 大阪府警 (毎日)

 多額の資産がある知人の男をホームレスに仕立てて大阪市から生活保護費をだまし取ったとして、大阪府警浪速署は25日、大阪市天王寺区の不動産会社「家のはしら」社長、金太烈(たいれつ)(57)=韓国籍、兵庫県神戸市灘区六甲町=と知人のマージャン店アルバイト、柳沢信一(62)=同県西宮市甲陽園東山町=の両容疑者を詐欺の疑いで逮捕した。金容疑者は「一切、身に覚えがない。違法な行為はしない」と否認し、柳沢容疑者は「間違いない」と認めているという。

 金容疑者は大強起徳(だいきょうきと)と名乗り、「囲い屋」として、130人以上の生活困窮者を囲い込んで保護費を吸い上げる貧困ビジネスを展開していたとされ、府警は実態解明を進める。

 2人の逮捕容疑は09年9月、多額の資産があり、マンションに住む柳沢容疑者をホームレスと偽って大阪市に生活保護費を申請。賃貸住宅への入居に伴う敷金扶助など保護費計約40万円を不正受給した、としている。柳沢容疑者は10月分と11月分の保護費計約24万円も受け取っていた。

 浪速署によると、柳沢容疑者は06年ごろ、義父の遺産数千万円を相続し、生活保護の申請時には預貯金など1000万円を持っていた。しかし、大阪市浪速区役所で生活保護を申請した際、「資産はない。浪速区の電気街で路上生活し、所持金は2000円」と偽った。柳沢容疑者は、現金で支給された保護費約40万円の大半を、申請に同行した金容疑者に手渡したという。

 柳沢容疑者は当時、大阪市淀川区の同社所有のマンションに住み、淀川区に住民登録していた。しかし、浪速区役所は、多額の資産の存在や住民登録に気付かなかった。【阿部弘賢】

2010年8月25日 毎日jp (毎日新聞社)


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2010年8月25日 (水)

「貧困商法」社長ら聴取 詐取容疑、ホームレスと偽装 (朝日)

 大阪市から生活保護費を詐取したとして、大阪府警は25日、不動産仲介業者「家のはしら」(同市天王寺区)の社長(57)=同区=とマージャン店アルバイトの男(62)=兵庫県西宮市=について詐欺容疑で逮捕状を取り、事情聴取を始めた。容疑が固まり次第、2人を逮捕する。社長は男に資産や収入があるのにホームレスと装わせ、生活保護申請のための虚偽の書類を市に提出していたとされる。

 浪速署によると、同社は150人以上の生活困窮者を囲い込んでいる大規模な貧困ビジネス業者。社長ら2人は共謀して2009年9月、男に資産や収入があるのに、住居や所持金もないとする申請書や重要事項説明書を同市浪速区の保健福祉センターに提出。入居時の仲介手数料、礼金などの住宅扶助や生活扶助計約40万円をだまし取った疑いが持たれている。

 市によると、昨年9月4日ごろ、男は同区の保健福祉センターを訪問。担当職員に「住むところがない。所持金がわずか」と生活保護を申請した。市は同14日に40万5867円を支給。男は「敷金を支給してください」などと訴えたという。捜査関係者によると、男は親からの遺産相続などとして約1千万円の資産を保有しているという。

 同社社長は朝日新聞の取材に「ピンハネや不正はしておらず、市から生活保護費を詐取した事実はない」と話している。

    ◇

 大阪府警は5月以降、貧困ビジネスの摘発に力を入れている。これまでNPO法人「国民生活支援ネットワーク いきよう会」(解散)元代表、自称NPO「あしたばの会」支部長らを大阪市から生活保護費をだまし取った容疑などで逮捕。7月には府警内部で情報を共有化して摘発を推進する「不正受給事犯対策本部」を発足させた。

 大阪市は昨年9月、市長をトップとする生活保護に関するプロジェクトチームをつくり、不正受給については刑事告訴するなど、府警と協力している。

2010年8月25日 asahi.com 関西 (朝日新聞社)


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2010年8月20日 (金)

【Q&A】 最近、家主が不動産業者に代わったが、借家権はどうなるか

(問) この度、個人の家主から物件が不動産業者に転売されました。今のところ代わったという通知だけですが、今後どうなるのか不安ですが。


(答) 最近よく聞く話です。個人の家主から、いわゆる”プロ”の大手の不動業者に転売されるケースが多くなっています。借家人との人間関係のわずらわしさを避けたいという家主側の気持ちと、何とか金儲けをしたいという業者の気持ちが呼応したものと考えられるます。

 ”プロ”の家主に変わったところで借家人の地位や権利・義務が代わるものではありません。以前の家主と交わしていた賃貸借契約はそのまま引き継がれます。したがって、今まで通りの家賃を今まで通りに支払い続けて下さい。

 ただ、物件を買った不動産業者は、程度の差はあっても金儲けを企てていると考えて間違いないでしょう。借家で、借家人が住んでいることを承知で、前の所有者から安く買い叩いたでしょうから。

 やがて「物件の高度利用」等と称して、明渡を請求してきたり、「賃料増額請求」を求めてきたりするケースが多くあります。相談者も後を絶ちません。呵責ないやり方で攻めてくるケースもあります。

 大切なことは気持ちの上で絶対に負けないことです。「ここに住み続ける!」「安易には値上げに応じない」という確固たる気概を持って対処することです。その気概さえあれば、十分に闘えます。彼らも立退き請求する正当事由がないことも、安易に値上げできないことも知っているはずですから。ただ、一人では心細いものです。最寄りの組合に相談してもらうことが一番です。

全国借地借家人新聞より


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2010年8月18日 (水)

借地借家法の正当事由を検討 (行政刷新会議の規制・制度に関する分科会)

 政府の行政刷新会議の規制・制度に関する分科会(分科会会長・大塚耕平・内閣府副大臣)は、6月15日に第1次報告書をまとめました。

 検討の中間段階で対処方針の1つとして借地借家法における正当事由制度の明示(建物の老朽化、耐震性)を規制改革の検討事項に掲げ「借家人保護の配慮を十分に行なった上で、建物の老朽化、耐震性、再開発等を理由とした建て替えの必要性(註=正当事由)がある場合において、借家人から円滑な明渡しを受けることを可能とする方策について、住宅・都市行政を所管する国土交通省(註=法律を所管するのは法務省)と密接な連携の下、検討し、早期に結論を得る」。

 また、「マンションの区分所有法の建替え決議があったことなどの一定の要件を備えた場合には、借地借家法第28条(註=正当事由制度)を適用せず、期間途中でも賃貸借契約を終了させることができる措置を講ずるなどの方策を検討し、一定の結論を得るべきである」との対処方針を打ち出しました。

 法律を所管する法務省は「(老朽化・耐震性による)建て替えの必要性等を常に正当事由とした場合、高齢者や零細企業等、正当事由により保護されるべき借家人が一方的に立退きを強制されることとなり、その保護の要請に反すること、正当事由という柔軟な判断枠組みが硬直化することとなり、借家人との適切な利害調整を図ることができなくなるなどの問題が生ずるため、現行の正当事由を維持することが適当と考える」と回答し、規制改革要望・意見に対して「対応困難」と拒否しました。結局、正当事由の見直しについての法務省との合意は得られず問題提起するにとどまりました。

 今年4月に日本経済団体連合会(経団連)は、「豊かで活力ある国民生活を目指して~経団連成長戦略2010」の「成長を阻害する規制の例」として、「老朽化した建築物の建替え促進」の中で「借地借家法における正当事由制度の見直し」、「定期借家制度見直し」などの要望を発表し、規制・制度改革に関する分科会について、「精力的な調査・審議を期待する」、「わが国経済を活性化する様々な課題に果敢に挑戦し、改革を断行すべき」として大企業の事業活動を行う上で阻害する規制を見直すよう求めています。

 今回の正当事由の見直しに関し経団連は要望理由の中で「新成長戦力(基本方針)(平成21年12月30日閣議決定)でも『老朽化し、温室効果ガスの排出や安全性の面で問題を抱えるオフィスビル等の再開発・建替えや改修を促進するため、必要な規制緩和措置や支援策を講じる』とされていることから、政治主導により早急に検討し、措置すべきである」と、担当課として法務省民事局参事官室に対して圧力をかけています。

 経団連は、消費税の引き上げ、法人税の引き下げの早期実施を提言し、参議院選挙での菅首相の突然の消費税増税発言も自民党の消費税10%増税公約も実は経団連など財界・大企業の要望に沿ったものです。菅民主党政権が財界・大企業の圧力に屈しないよう借地借家法改悪反対の運動を今まで以上に強化することが重要です。

全国借地借家人新聞より

「(註)」及び「文字強調」は東京・台東借地借家人組合


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2010年8月13日 (金)

グーグルマップで賃貸探し、物件や周辺施設表示 (読売)

 グーグル日本法人は12日、同社の地図サービス「グーグルマップ」で、マンションやアパートなど賃貸不動産の情報提供を始めたと発表した。

 キーワードとして「渋谷 不動産」など、地名と「不動産」を同時に打ち込んで検索すると、地図上に物件が点で表示される。近くにある学校や病院、コンビニなども地図上に表示できるため、物件選びが楽になるという。

 物件を検索する際は、価格帯や間取り、ペットを飼えるかどうかなどの条件で絞り込むことができる。掲載物件は約100万件で、不動産情報サービスのジアース(大阪市)が提供。全国の不動産業者は無料で物件をジアースに登録できるという。

(2010年8月13日  読売新聞)


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2010年8月10日 (火)

アパート追い出し:家賃集金代行会社に賠償命令 東京地裁 (毎日)

 1カ月分の家賃滞納を理由にアパートから追い出したのは違法だとして、東京都の男性(26)が不動産会社や家賃集金代行会社などに計約240万円の賠償と敷金15万円の返還を求めた訴訟で、東京地裁(甲斐哲彦裁判長)は代行会社に40万円の支払い、不動産会社に敷金全額の返還を命じる判決を言い渡した。判決は7月30日付で、原告弁護団が9日、明らかにした。

 判決によると、男性は05年に杉並区のアパートに入居。昨年2月分の家賃7万7000円の支払いが遅れたところ、代行会社の従業員らは玄関ドアを施錠具で固定、室内の荷物を撤去した。甲斐裁判長は「居住する利益を一方的に奪ったもので違法」と代行会社の使用者責任を認定。こうした経緯を知らなかったとして不動産会社の賠償責任は否定した。【和田武士】

2010年8月9日 毎日jp (毎日新聞社)


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家賃集金代行会社の追い出し行為、違法と判決 (読売)

 賃貸アパートの家賃の一時滞納を理由に強引に追い出されたとして、東京都内の男性(26)が家賃集金代行会社「J・CCO」(東京)などに損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁(甲斐哲彦裁判長)が「法律上の手続きによらず、原告の居住する利益を一方的に奪った」として、計55万円を支払うよう命じる判決を言い渡していたことがわかった。

 判決は7月30日付。
 判決などによると、男性は昨年2月、同月分の家賃の一部を一時滞納し、約1か月後に残りを支払ったが、同社は、男性が部屋に入れないよう別の鍵でドアを施錠し、部屋にあった家具などをすべて撤去した。

 東京地裁では今年4月28日にも、別の元居住者が同様の趣旨で不動産会社「シンエイエステート」(同)などに賠償を求めた訴訟で、会社側が解決金を支払うことで和解が成立している。

(2010年8月9日  読売新聞)


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2010年8月 9日 (月)

貧困ビジネス規制条例、大阪府が制定へ (読売)

 生活保護費から高額の家賃や生活サービス料を徴収する「囲い屋」が横行している貧困ビジネス問題で、大阪府が、囲い屋を規制する全国初の条例制定を検討していることがわかった。

 サービス内容や金額の明示を義務づけ、利用者側からの解約を自由にすることなどが柱。来年度施行を目指し、早ければ9月議会に提案する。

 条例案では、業者側に家賃と、生活サービスの内容・料金の内訳を契約書に明記させ、口頭でも説明するよう義務づける。

 また、利用者が申し出れば、無条件に解約できるとする条項も設ける。生活保護受給者が生活サービスだけの解除を申し出ると、住居からの退去を求められたり、高額な違約金を請求されたりするケースがあったためだ。条例に違反した場合の罰則や、業者の登録、届け出制も検討している。

 ただ、生活サービスと住居の「セット契約」自体は、適正価格で行っている業者もあり、禁止はしない方針。8月中に、条例案について府民の意見を募るパブリックコメントを実施し、最終的に内容を詰める。

 生活保護受給者の住居を巡っては昨年夏頃から、高額な家賃と食事などの生活サービス料名目で保護費の大半を差し引く不明朗な契約実態が府内各地で表面化。府は、調査に乗り出した大阪市と連携し、条例制定の準備を進めていた。

 国政レベルでは、民主党も貧困ビジネス対策を考える議員連盟を今年4月に発足させ、規制強化に向けた議員立法を検討している。

(2010年8月9日  読売新聞)


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大阪府、貧困ビジネス規制の条例案 届け出制導入も検討 (朝日)

 大阪府は、生活保護受給者をアパートなどに住まわせ、保護費を吸い上げる「囲い屋」などの貧困ビジネスを規制する条例案を、9月の府議会に提出する方針を固めた。業者に契約内容を明記するよう求めるほか、届け出制の導入も検討している。府によると、可決されれば全国初の規制条例となるという。

 府内では「囲い屋」が横行しており、5月には大阪市から生活保護費を詐取したとして、NPO幹部らが相次いで大阪府警に摘発された。だが業者と受給者との契約に行政が介入するのは難しいため、条例化によって行政の目が届くようにすることを狙う。

 府福祉部などによると、条例案では住居や食事の提供といったサービス内容を契約書に明記するよう業者に求めるほか、実態把握のため業者の届け出制も検討。届け出に基づき行政指導を行うなど、規制を強化できるとみている。

 ただ「囲い屋」と一般の不動産賃貸業者の線引きが難しく、どこまでを届け出対象とするかなどの検討が必要だとしている。福祉部は近く既存の法律との整合性を検討し、府民から意見を募る考え。

 橋下徹知事は3月、「民間取引といえども一定の制約があっていい。生活保護の原資は税金」と述べ、条例化の検討を指示していた。実効性をめぐり、知事が案の内容の再検討を求める可能性もある。

2010年8月8日 asahi.com(朝日新聞社)


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2010年8月 6日 (金)

生活保護費詐取、2被告が認める…「いきよう会」初公判 (読売)

 NPO法人「いきよう会」(解散)による生活保護費詐取事件で、詐欺罪に問われた元理事・由井覚(51)、大手不動産仲介会社「エイブル」元店長・藤原克行(32)、元同店員・菊川洋輔(33)の3被告の初公判が5日、大阪地裁で開かれた。藤原、菊川両被告は起訴事実を認め、由井被告は認否を留保した。

 検察側は冒頭陳述で、由井被告が、ホームレスらに生活保護を受けさせて管理することを思いつき、信用を得るためにNPO法人を設立した、と説明。「レントゲンなどに症状が映らず、詐病と気付かれにくい『うつ病』を装わせ、働けないとして生活保護を申請させた」と「貧困ビジネス」の手口の一部を指摘した。受給者らには1人当たり月5000円~1万円しか渡していなかったとした。

 起訴状では、3被告は2006年11月、大阪市内の生活保護受給者の女性について、「隣人の苦情でうつ状態が悪化した」などとうそを言い、大阪市から生活保護の転居費用として約50万円を詐取したほか、07年にも、別の受給者の転居費用として33万円をだまし取ったとされる。

(2010年8月6日  読売新聞)


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2010年8月 3日 (火)

家賃トラブルか、男性刺され重傷 容疑者?飛び降り死亡 (朝日)

 31日午後6時ごろ、大阪市東淀川区淡路5丁目の路上で、通行人の女性から「男性が刺された」と110番通報があった。警察官が駆けつけると、不動産仲介業石川洋一さん(53)=大阪府高槻市真上町6丁目=が肺や脇腹など計4カ所を刺されて倒れており、病院に運ばれたが重傷。刺したとみられる男は現場から逃走し、約600メートル離れたマンションの屋上から飛び降りて死亡した。府警は殺人未遂事件とみて調べている。

 東淀川署によると、石川さんは職場の事務所前で刺されたといい、「(男から)家賃のことで話があると電話があった。口論になったので会社に戻ろうとしたとき、後ろから包丁で刺された」と話しているという。死亡したのは同区在住の男とみられ、家賃の滞納を巡るトラブルがあったとみて調べている。

2010年8月01日 asahi.com関西 (朝日新聞社)


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2010年8月 2日 (月)

家賃滞納者が「勧誘役」 生活保護費詐取 (朝日)

 生活困窮者に生活保護の虚偽申請をさせて大阪市から住宅扶助をだまし取った疑いがあるとして、詐欺容疑で大阪府警の家宅捜索を受けた不動産仲介会社「家のはしら」(同市天王寺区)が、自社マンションに入居させた保護受給者が家賃を滞納すると、別の生活困窮者を勧誘させていたことが、関係者への取材でわかった。昨夏ごろには、勧誘役をハローワークでも募り、自社マンションの空き部屋を一気に埋めたという。

 同市淀川区の同社所有のマンション(約100戸)に昨年7月から住む50代の男性は、家賃を滞納した際、同社社長(57)に「西成で誰でもいいから人を集めてくれ。1人につき2万円払う」と言われた。2人を集めたが金は払われず、家賃も後日、保護費から徴収されたという。

 別の男性(57)は昨年10月の入居直後、社長に「生活保護を受ける友達を紹介したら1人につき3万円渡す」と誘われた。「NPO特定非営利活動支援」と書かれた名刺を約20枚渡され、同市西成区で路上生活者を勧誘した。社長は「こういう仕事を不動産業界ではボランティアというんやで」と話していたという。

 一方、大阪労働局などによると、同社は昨年7月、ハローワークで勧誘役の求人を出していた。仕事内容を「生活保護受給者の居宅案内がメーンです。活動地域は、大阪市西成区が中心です」と紹介、給料は13万円だったという。全国紙の求人欄でも、少なくとも昨年4~11月に12回、「請負営業募集」などとした広告を出していた。

 マンション内に事務所を構える会社に5年前から勤める男性(55)は「昨年6月ごろに空き部屋が増え、その後日雇い労働者のようなこれまでと違うタイプの入居者が増えた」と話す。住人によると、ガラガラだった部屋がどんどん埋まっていった。「7割は生活保護受給者だと思う」

2010年7月28日 asahi.com関西 (朝日新聞社)


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2010年7月30日 (金)

耐震検査で取壊し勧告を受けたという嘘の理由で明渡請求 (兵庫・神戸市)

 神戸市東灘区で文化住宅を借りているA子さんは、非正規の美容師さん。定職できず家賃も2カ月滞納し、生活不安の状態です。

 家主の代理人と称するTコンサルタントから、敷金全額返還を条件に6月末までに明け渡せと5月上旬に通知されました。震災後の神戸市の耐震検査で取壊し勧告を受けたというのが明け渡しの口実です。

 途方に暮れたAさんは、Tコンサルタントの強引な退去交渉に「明渡合意書」に署名捺印してしまいました。Aさんは、引っ越し先を探しに仲介業者を訪ねって、移転先を確保するために手付金を納めました。ところが、Tコンサルタントは、頼みもしないのに仲介業者へ同行し、引っ越し先まで確認する始末。

 この時点までは、何の疑いもなくTコンサルタントと接触していましたが、知人に相談し、急に不安を覚え、大借連を訪問。

 Aさんの話によるとTコンサルタントは、初めは宅建業の免許を持っているとの話でありました。しかし、免許番号を確認したいので教えて欲しいというと「免許は持っていない」という返事があり、無免許業者であることが判明しました。

 Aさんは、免許の無い業者では信頼できないと立ち退き交渉を中断し、家主へ連絡。家主は、文化住宅に隣接した民家の解体をしていたTコンサルタントから「ついでに文化住宅の立ち退き交渉を行い、成立したら解体して更地にする」と云われたので依頼したという。そして、家主は「条件が合わなければ従来通り住んでいてもよい。しかし、家が崩壊した場合の責任は応じない」と立ち退き条件などの話合いを拒否され、せっかく決めていた移転先も手付流れ()となりました。

 Aさんはもっと早く大借連を知ればこんな不安な思いをしなくてもよかったのにと悔やんでいます。

大借連新聞より

 

  ( 不動産賃借契約において、賃貸物件を確保してもらうために支払うお金(契約前に支払ったお金は、「手付金」「預り金」「内金」「予約金」「申込金」などの名目の如何を問わず「預り金」とみなされる。本来、預かり金は契約の成立・不成立に関わらず返還されるものである。従って、本契約に至らなかった場合は、申込人に全額返却しなければならないことが「宅地建物取引業法」で定められている(註1)。

 ちなみに、東京都では、あまりにトラブルが多かったので、平成4年6月から不動産会社は特別のケースを除いて預り金を取らないように指導している。更に、平成8年4月からは「宅建業者が預かった預り金は返還を拒んではならない」旨の建設省令(註2)が施行されている。

 従って、悪質な不動産業者かの判断は、目安として契約前に「預かり金」「申込金」「手付金」等の金銭を要求するか、しないかで判断することができる。

註1宅地建物取引業法第47条の2第3項 宅地建物取引業者等は、前2項に定めるもののほか、宅地建物取引業に係る契約の締結に関する行為又は申込みの撤回若しくは解除の妨げに関する行為であつて、宅地建物取引業者の相手方等の保護に欠けるものとして国土交通省令で定めるものをしてはならない。

註2)同法施行規則第16条の12第2項 宅地建物取引業者の相手方等が契約の申込みの撤回を行うに際し、既に受領した預り金を返還することを拒むこと

関連記事
 賃貸マンションの契約時に支払った申込金 (国民生活センター)

 建物賃貸借契約に係る媒介等の業務の適正化について (社)京都府宅地建物取引業協会


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2010年7月29日 (木)

【Q&A】 家主が代わった場合、登記簿謄本の名義人に家賃を払う必要がある

 (問) 木造借家に87歳の母親が一人で住んでいます。突然家主名義で土地建物を売却したので、新家主へ今後の家賃を支払うよう内容証明郵便で通知を受けました。
 登記簿謄本で名義を確認しましたところ、通知書通り名義人も変更されていますが、通知書はどうもこれまでの家主が書いていると思えない文体です。老いた母親は、新家主が地上げ屋ではないかと心配しています。
 家賃は誰に支払ったらよいのでしょうか。また、地上げ屋であったらどうしたらよいのでしょうか。


 (答) 旧家主から新家主へ所有者が変更されたとの通知を受け取り、登記簿謄本に通知書通りの名義人へ所有者が変更されておれば、その名義人へ家賃を支払わなければなりません。

 万一名義人が変更されていないとか、別の名義人となっている場合は家賃の支払いは保留にし、旧家主へ連絡して事情を聴き対処します。

 お問い合わせの件は、登記簿謄本の名義人が新家主の名義と一致し、しかも旧家主から新家主へ支払うよう通知を受けていることから、新家主へ支払う必要があります。

 なお、新家主が地上げ屋であったとしても家賃は支払っておきましょう。その上で、新家主が「家屋が老朽化している」、「土地を有効利用したい」等の理由で立退きを請求されても直ちに応じる必要はありません。家主の都合で一方的な明渡請求をすることはできません。

 万一、地上げ屋から脅迫的な態度で明渡を求められ場合、最寄りの借地借家人組合へご相談ください。

大借連新聞より

関連記事
【Q&A】 地代を誰に払えばいいのか判らない場合 


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2010年7月28日 (水)

建物明渡請求調停から本裁判へ (静岡)

 平成19年2月「築35年の集合住宅が古くなったので2か月後に退去せよ。敷金は返す」と建築業者T社に勧められた家主Mから退去請求があった。

 Kさん達は「退去請求には正当事由が無い。予告期間2カ月は借地借家法違反である」と拒否した。T社は「改めて6か月後の退去を請求する・退去費用で交渉したい」と申入れがあった。

 同年4月、家主M・T社とKさん達・静岡借地借家人組合役員の団体交渉が行われたが、借家人の目の前で、家主MとT社が「立退き補償問題」で大喧嘩となった。ほどなくT社から「わが社は本件から手を引く」旨の連絡があった。

 家主Mは「アパート経営から手を引きたいと考えていたところ、T社から『家主は手を煩わせずアパート経営が出来る』と魅力的な勧誘があり、頼んだが話が違った。家賃収入は生活の一部、此処も老朽化し、いずれ壊すことになる。貴女達が居るといえば今のままで良い」と退去請求を事実上撤回した。

 平成20年初夏、そんなKさんにS建設Yから「年末までに退去せよ」の申入れがあり、交渉は静岡借地借家人組合役員を交えて行われた。Yは「建物老朽化で建て替えたい・家主Mは退去費用を補償しないといっているので、S建設が工事費の諸経費で100万円払うから合意してほしい」に対し、Kさんは「退去請求には正当事由がない・住み続けたい」と回答する。

 Yは「もし貴女が立退く場合どの位の費用が掛かるか今後の参考のために聞かせて欲しい」と執拗に聞くのでKさんは「文献などを参考にして試算したら250万円になったが、退去の交渉ではない」と強調した。YはKさ宅を訪れ退去を云い寄るので、「女性の一人住まいの部屋に押し掛けるな」と抗議し止めさせた。

 平成21年の春になると、家主Mから「これまで嫌な思いをさせたことを謝罪したいので会いたい」との申入れで面談した。ところが、謝罪どころか「法外な立退料を払えとは非常識だ。病気だと云うが仮病だ」と悪罵の限りを吐く始末だ。

 しばらく経ったある日、家主Mの妻が「出て行け」と叫びながら、突然Kさん宅の庭先の窓から侵入しようとし小競り合いとなり、警察も事情聴取に来るという事件発生、S建設に抗議すると「窓の開け閉めは家主の権利だ」と。

 平成21年6月家主Mは、清水簡易裁判所に「建物明渡」を求める申立てを提起した。Kさんは「内容に事実と異なる部分がある」と回答を求めた。

 次回調停では家主側から「回答の準備が出来ない・解決と謝罪の意思あり」との陳述があったと調停委員の説明があった。

 3回目の調停では、双方歩み寄る余地なしで不調となった。調停委員の説明では、「家主側代理人はS建設の顧問弁護士で家主は直接退去の補償は出さないが、間接的に工事費に上乗せされているのではないか」とのことだった。

 家主は近日中に本裁判に訴えると思うが、Kさんは万全の態勢で迎え撃つ決意をしている。

静岡借地借家人新聞より


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2010年7月26日 (月)

期間満了6年後の更新料請求を拒否したら地主が裁判に (東京・荒川区)

 荒川区東日暮里2丁目で昭和59年(1984年)から25坪の借地をしているAさんは、今年(2010年)1月に地主から「6年前に期間が過ぎている。それは地主の責任だから6年分の60万円は差引いて14年分の140万円を支払え」と請求された。

 Aさんは何もわからなかったため更新料を支払う約定で20年前(1984年)に借地契約をした。しかし今回は期間満了後6年を経過しているので支払を断った。地主は「折角値引きしてやると言ったのに断るとは許せない。全額の200万円を支払え。地代月額坪100円上げて500円を支払わないと受領しない」と言われ、地代を2月分から供託した。

 地主は6月に入り更新料の支払のみで裁判に訴えてきた。訴状では他の借地人が支払った更新料の額とその算出方法まで添付。Aさんは、「協議の上で更新料額を決定する」と契約書に書いてあるのに一方的に押し付けるのは納得できないと裁判で争う決意だ。

東京借地借家人新聞より

関連記

【判例紹介】 更新料請求の消滅時効は5年、更新料は法定更新の場合には支払義務が無い


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2010年7月24日 (土)

道頓堀「大たこ」立ち退きへ 不法占拠訴訟で最高裁確定 (朝日)

 大阪・道頓堀の名物たこ焼き店「大たこ」が大阪市の土地(4.43平方メートル)を不法占拠しているとして、市が土地の明け渡しなどを店側に求めた訴訟の上告審で、最高裁第三小法廷(近藤崇晴裁判長)は、「大たこ」側の上告を退ける決定をした。20日付。

 土地の明け渡しと使用料支払いを店側に命じた一、二審判決が確定した。「大たこ」側は立ち退きを迫られる。使用料は1997年6月から明け渡すまで月約1万3800円とされており、すぐに明け渡したとしても220万円弱になる計算だ。

 一、二審判決によると、店は72年に市から「露天喫茶店」の営業許可を得て開業。2007年に道路部分の使用はやめる形で新たな屋台を建てて営業を続けていた。市側は周囲にほかにも不法占拠された土地がたくさんあったため、30年以上、黙認。一時は払い下げも検討されたが、まとまらなかった。

 店側は「占有から20年以上が過ぎ、民法上の時効によって土地の所有権を取得した」と主張したが、一、二審とも「屋台は撤去が容易な状態であり、占有の意思があったとは言えない」と退けた。

 大たこは大阪の観光名所として有名で、一時は市もホームページで紹介していた。

   ◇

 大たこ側は06年、「占有から20年以上が経過して民法上の時効は成立した」として、市を相手に土地所有権の移転登記を求めて提訴。これに対して市側が反訴し、今回の決定となった。

 男性店主は「市に『和解をするから裁判を起こして下さい』と求められて起こした裁判だった。行政のあり方に不明確な点が多数あり、それを明らかにするために別の裁判を起こすことを検討している」と話した。22日夜に店に訪れた男性客(37)は「昔からここにあるので、もしなくなったら寂しい」と語った。

2010年7月23日 asahi.com(朝日新聞社)


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2010年7月23日 (金)

松ケ根親方と親交の不動産社長、有罪確定へ 地上げ巡り

 不動産、建設会社「スルガコーポレーション」(横浜市、倒産)の所有ビルをめぐる地上げ事件で、最高裁第一小法廷(宮川光治裁判長)は、弁護士法違反(非弁活動)の罪に問われた不動産会社「光誉実業」と、同社社長の朝治博被告(61)の上告を棄却する決定をした。

 20日付。朝治被告を懲役2年執行猶予4年、法人としての同社に罰金300万円、さらに両者に計約30億6千万円の追徴と、約9400万円の没収を命じた一、二審判決が確定する。

 朝治被告は山口組系暴力団と親交が深いとされ、大相撲の松ケ根親方に大阪市内でビルを貸していたことが明らかになったばかり。

 一、二審判決によると、朝治被告らは2005~06年、弁護士資格がないにもかかわらずスルガ社の依頼で東京都千代田区のビル入居者74人と立ち退き交渉した。

2010年7月22日 asahi.com(朝日新聞社)


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元若嶋津の松ケ根親方、組関係者ビルを宿舎に 大阪場所

 大相撲の松ケ根親方(53)=元大関若嶋津=が20年前から、毎年3月に大阪市で開催される春場所の宿舎に、山口組系暴力団と親交が深いとされる60代の不動産会社社長側から借りたビルを使っていることが、警察当局などへの取材でわかった。親方は朝日新聞の取材に、社長を後援者の一人としたうえで、「暴力団関係者とは思っていなかった」と説明している。

 登記簿によると、ビルは大阪市東住吉区にある5階建てで、1989年に社長が経営する大阪市内の不動産会社が建設した。02年10月に松ケ根親方が買い取り、07年6月に社長の親族が経営する別の会社が買い戻した。1階に「松ケ根部屋」の看板が掲げられており、近所の住民によると、1階がけいこ場、2~4階が居室部分などで、その一部を力士らが使っていたという。

 松ケ根親方によると、所属していた二子山部屋から独立し部屋を起こした90年から、春場所の宿舎として、このビルを使用しているという。

 警察当局によると、社長は97年に神戸市内のホテルで射殺された山口組ナンバー2の若頭だった宅見勝・宅見組組長と親交が深かったとされる。当局は不動産会社について、現在も宅見組のフロント企業とみている。

 社長は08年3月、建設会社(横浜市、倒産)から依頼された東京都千代田区のビルテナントの立ち退き交渉で、弁護士資格がないのに入居者と立ち退き交渉をしたとして、弁護士法違反(非弁活動)容疑で警視庁に逮捕された。東京地裁は昨年1月、社長に執行猶予付きの有罪判決を言い渡した。警視庁などの調べでは、社長の経営する不動産会社は、都心の一等地の複数の地上げ資金として、建設会社から約150億円を受け取り、数十億円の利ざやを得ていたという。警察当局はその一部が山口組側に流れていたとみている。

 大阪市内の社長の自宅では「社長は在宅しているが、コメントできないと言っている」と、女性がインターホン越しに話した。

 松ケ根親方は鹿児島県出身で、幕内優勝2回。精悍(せいかん)な風貌(ふうぼう)から「南海の黒ヒョウ」と呼ばれた。87年に引退し、90年に千葉県船橋市に部屋を起こした。妻は元歌手の高田みづえさん。

2010年7月21日 asahi.com(朝日新聞社)


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2010年6月21日 (月)

すまいの貧困をなくすために住宅政策と政治の大転換を

 2009年9月発足した鳩山内閣は、「政治と金」「沖縄問題」で国民から厳しく批判され、国民の支持を失い、2010年6月2日、「金権政治」による疑惑を抱えた小沢一郎民主党幹事長とともに辞任しました。

 6月4日、国会は、菅直人衆議院議員を内閣総理大臣に選出し、第2次民主党内閣が発足しました。

 開会中通常国会終了後、7月11日に参議院選拳が実施されます。

 鳩山連立内閣がすすめた政治は、戦後続いた大企業優遇アメリカ追従の政治を変えて、国民生活の「貧困と格差」を解消して欲しいと期待した国民を裏切るものでした。

 新たに発足した菅は、鳩山前内閣の副総理大臣であり、民主党が先の総選挙で公約した「後期高齢者医療制度の廃止」「労働者派遣法の抜本的見直し」「沖縄の米軍基地の県外・国外への移転」などを反古にし、憲法改悪に道をつくる「国民投票法」を施行し、国民の期待を裏切った同罪者であり、国民のくらしと安全を守る政治をすすめるには程遠い政治を踏襲することを明らかにしてます。その上に菅総理大臣は、消費税の大増税をも提唱しています。

 民主党政権では、「行政刷新会議規制・制度改革に関する分科会ワーキンググループ」が設けられ、借地借家法見直し改悪が検討課題にあげられ、今年6月中にまとめて行政刷新会議に報告することになっています。

 検討されている内容は、第1に、建物の老朽化・耐震性などを口実に、借地借家法第28条に規定している「正当事由」に「建替の必要性等」の文言を明記すること。第2に、建替の決議があれば、借地借家法第28条の適用を除外し契約期間中でも賃貸借契約を終了させることを明らかにしました。

 このワーキンググループには、小泉規制改革会議の主要メンバーがそのまま加わり、借地借家人を追い出し、都市再開発やマンションの建替を促進させる政策を推進するかつての自公政権の借地借家法改悪の方向をさらに具体的に推し進めようとするものです。

 5月に発足した「民主党不動産議員連盟」が、借地借家法「改正」推進母体であった自民党の「不動産団体議員連盟」に参加していた不動産業界を中心に結成しました。さらに、公営住宅法の「改正」を行い、公営住宅の供給管理を地方自治体に丸投げするなどをおこないました。

 このように、前鳩山内閣と民主党を中心とした連立内閣の住宅政策は、居住の安定を確保し住宅問題の真の解決を期待した借地借家人の要求を裏切るものであり、今後の菅内閣の動向が注視されます。

 全借連は、この参議院選挙で借地借家人の住み続けられる権利が保障されるような住宅政策と政治の大転換を強く求めていきます。

全国借地借家人新聞より


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2010年6月17日 (木)

欠陥住宅建て替え費訴訟 「居住による減額」認めず 最高裁

 新築物件を購入して住んだところ、重大な欠陥住宅だったことが判明した場合、業者が負担する建て替え費用から「居住した利益」を差し引けるかどうかが争われた訴訟の上告審判決が17日、最高裁第1小法廷(宮川光治裁判長)であった。同小法廷は「控除はできない」との判断を示し、住宅販売業者らの上告を棄却した。業者側に計約3900万円の支払いを命じた2審判決が確定した。

 同小法廷は「新築建物に倒壊の恐れなど重大な欠陥があり、建て替えが必要な場合、買い主がそれまで住んでいたからといって、建て替え費用の賠償額を減らすことはできない」と指摘した。

 「居住した利益」を賠償額に反映するか否かは、学説や判例で見解が分かれており、同種訴訟に影響する可能性がある。

 1審名古屋地裁は建て替え費用などの支払いを命じたが、居住した利益を賠償額から差し引いた。一方、2審名古屋高裁は「安全性を欠く住宅にやむなく住んでおり、利益とは認められない」として、控除を認めず、計約800万円を上乗せしていた。

2010年6月17日 産経ニュース


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「更新料問題学習会」 更新料は原則的に支払い義務がない

 契約書に「更新料支払特約」がなければ支払義務なし

 東京借地借家人組合連合会と住まいの貧困に取り組むネットワーク共催による「借地・借家問題学習会」が2010年5月29日午後1時30分から豊島区東部区民事務所において63名の参加で開催された。

 東借連の佐藤富美男会長より開会の挨拶があり、「更新料問題は借地借家人にとって大変関心の高い問題であり、大いに学習し更新料をなくしていこう」と訴えた。

 学習会は、東借連常任弁護団の西田穣弁護士より「借地・借家の更新料をめぐる裁判例」と題して約1時間にわたり講演が行なわれた。今回初めてプロジェクターを使って講演内容をスクリーンに映しながら説明がされた。

 原則的に支払い義務はなし

 講演では、更新料について原則的には支払い義務はない。その根拠として
①そもそも法律上の根拠がない。
②法律上、法定更新があり、法定更新を選択した場合には、更新料支払義務を認めることは、借地借家人にとって不利なもので法の趣旨になじまない。
③特に借地の場合、契約書に更新料の支払いの記載がなく、記載があってもその基準・金額等は明示がない場合が多く、多額の更新料を支払うことによって得られる借地人のメリットはない。

 一方、裁判では更新料の有効性が認められた裁判例の特徴として、賃貸借期間が短く、明確な規定のある建物賃貸借事例が多いこと、更新料不払い以外に信頼関係に問題と思われる事情がある場合が多く、賃貸人からの連絡も無視しないようにと指摘された。

 次に、契約書で更新料を支払う明確な規定があっても消費者契約法第10条に違反して無効となるかどうか、有効とした京都地裁平成20年1月30日判決無効とした大阪高裁平成21年8月27日判決の違いが説明された。

 契約書に「更新料支払特約」があれば慎重に

 今後の取組みについて、西団弁護士は、契約書に更新料支払義務が明記され、家賃の1ヶ月~2ヶ月程度の場合には最高裁が無効と判断するかどうか流動的であり、単なる更新料の請求だけであれば争ってみる必要があるが、債務不履行に基づく明渡し請求になる場合であれば本人の生活状況などを考慮して慎重に決定することが必要であると指摘。

 また、契約書に更新料支払義務の金額・基準等の明示がなければ更新料の支払義務がないので法定更新を主張することが強調された。

 次に、更新料問題の事例報告では、城北借組の浅川史教さんより法定更新中に借地権の相続で更新料を請求され、粘り強く交渉し撤回させた経験が報告された。

 この他、荒川借組の生駒事務局長と城北借組の佐藤事務局長より、賃貸マンション等の事例が報告された。

 質疑応答の後、住まいの貧困に取り組むネットワーク世話人の稲葉剛さんの閉会の挨拶で終了した。

東京借地借家人新聞より


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2010年6月16日 (水)

借家の明渡請求で (東京・葛飾区)

 賃借人は独り暮らしの若い女性で、アパートに居住して2年が過ぎた。家主代理人から明渡を求められ、組合員の紹介で葛飾借地人組合に入会した。

 組合から明渡を拒否する旨の書面を家主に通知した。すると家主側から明渡料として8か月分の賃料相当を提供するとの提示があったが、直ぐには応じられないと回答した。

 数か月後、家主側から当組合を通じて話合いたい旨の意思表示があり、組合も本人の委任を受け代理人と明渡料1年分を提供する旨で合意(本人も了解)。

 現在は引越も完了し、安心して居住できると喜んでいる。組合も1人の組合員を迎え増勢に向けて頑張っている。

東京・葛飾借地借家人組合ブログより


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2010年6月15日 (火)

【Q&A】 借地人が破産すると借地契約を解除され、退去しなければならないのか

(問) 借地人ですが、裁判所から破産手続開始決定がありました。借地契約はどうなるのですか、解約されてしまうのですか。


(答) 旧民法621条は「賃借人が破産宣告を受けたときは、賃貸借に期間の定めがある場合でも、賃貸人又は破産管財人は民法617条の規定に従って解約の申入れをすることができる」と定めていた。借地契約については解約の申入れ後1年経過後に契約は終了する旨規定されていた(民法617条)。

 しかし、借地人の破産という事実だけで、借地契約の解約を簡単に認めてしまうと、借地権という財産的価値が契約期間途中で一方的に奪われてしまい、借地人にとって酷な結果となる。また、借地人が生活基盤を喪失することは更に深刻な問題である。

 判例も借地に関しては、「賃貸人が民法621条に基づき賃貸借契約の解約申入れをするためには、正当事由が解約申入れの時から期間満了に至るまで存続することを要し、この正当事由を欠く時は解約申入れの効力は生じないと解すべきである」(最高裁昭和48年10月30日判決)とした。借地人が破産した場合でも、地主からの契約解除に正当事由を要求し、解除権に制限を加え、借地人の保護がなされている。

 破産による解除を認めなくても、仮に賃料の支払いの遅滞があれば債務不履行を理由に契約を解除できるから地主に不利益はない。借地人が破産をしても、地代の支払いが継続し、使用者、使用方法に変更がない限り、地主に経済的な悪影響を与えないので、契約解除権を地主に認める必要はないと言える。

 地主に解除権を認めると、借地人の破産を奇貨として借地権を消滅させるために破産制度を悪用する危険がある。それは地主が借地人の財産を掠奪することを合法化することであり、不当利得を正当化することである。

 そこで破産法(平成17年1月1日施行)の改正に伴い、民法621条が削除された。これに伴い、借地人の破産を理由とする地主からの契約解除を認めないことになった。

 また、借地人が借地上の建物を登記して対抗要件を具備している場合は、破産管財人からの解除権が行使できない規定が新設され、借地人の保護がなされた(破産法56条)。


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2010年6月14日 (月)

契約書は本物か (東京・葛飾区)

 賃借人(飲食業)は更新が近づき心配で葛飾借地借家人組合に入会した。家主代理人の代理人である不動産仲介業者より更新料の100万円を要求され、不利益条項が多い契約書の作成を求められていた。

 組合が委任を受け、法定更新の請求を家主に通知して既に2年がすぎた(註1)。今回、不動産業者より契約更新の請求が通知され、前回取り交わしたというカラーコピーの契約書が送られて来た。前回の更新は法定更新(註2)だったので、借家人は契約書を作成した記憶がない。不思議なことがあるものだと思い、その契約書をよく調べてみると、4年前の契約書と筆跡が同じで特約事項も同一であることに気がついた。これはどうみても偽造契約書である。

 早速、家主に対して書面にて「コピーの契約書」ではなく、「現物の契約書」の提示を求めたところ、回答がなかった。

 暫くして、更新料の請求は撤回する旨の通知が仲介業者から届けられ、以後、家主が賃料を毎月取りに来ている事実があり、これで安心して営業が続けられると喜んでいる。

東京・葛飾借地借家人組合ブログより

 (註1)
 「借地借家法」第26条1項の「但し書き」により、契約を法定更新した場合、契約期間は「定めのないもの」となる。従って、契約期間が2年とか3年というように期間が限定されないので、法定更新をすると、それ以後法律的に更新は有り得ない。仮に更新料の支払い特約があっても、更新が無いので更新料の支払いは発生しない。 (東京・台東借地借家人組合)

 (註2)
 (建物賃貸借契約の法定更新)
 第26条  建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の1年前から6月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす(*)。ただし、その期間は、定めがないものとする。

 2  前項の通知をした場合であっても、建物の賃貸借の期間が満了した後建物の賃借人が使用を継続する場合において、建物の賃貸人が遅滞なく異議を述べなかったときも、同項と同様とする。

(*)「みなす」というのは法律では「推定する」と区別して、例えば、Aと元来性質を異にするBを、その法律関係において同一視(A=B)するということ。法律的に更新したものとして取り扱うということ。


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2010年5月10日 (月)

マンションの所有者が交替・新規敷金請求 (東京・台東区)

新家主が不当な敷金の新規請求

 台東区根岸の賃貸マンションに住む室田さんは、本年2月に譲渡通知書を受取った。それは建物の所有者が交替しという通知であり、賃貸契約を結び直し、家賃の改定をしたいという内容のものだ。

 問題は、その際新たに家賃の2ヶ月分の敷金が必要であることだ。経済的に破綻した旧家主から敷金が返還される見込みは無い。敷金の二重払いは幾ら何でも理不尽な話である。そんな憤懣を他の居住者にぶつけている中で組合の存在を知り、相談した。

 組合は次の様に説明した。「借地借家法」31条及び判例(※)から、賃貸建物が新しい所有者に譲渡されると貸主の地位は当然に譲受人に承継される。家主が交替した場合、従来の賃貸借契約の条件・内容は、そのまま新家主に承継されるから契約を結び直す必要はない。旧家主から敷金が現実に引継がれたかどうかに拘らず敷金は旧家主から新家主に当然に承継される。従って新たに敷金を新家主に預託する必要はない。勿論家賃の改定に応ずる必要もない。

 組合の説明を受け、マンション居住者は協力して新家主の新たな敷金要求に対してその不当性を追及し、撤回させることを確認した。

 借地借家法
第31条 建物の賃貸借は、その登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、その後その建物について物権を取得した者に対し、その効力を生ずる。

 借地借家法31条1項では、民法605条の例外として「建物の引渡しによる借家権の対抗力」を定めている。即ち借家人は、借家権の登記をしなくても、建物の引渡しを受けていれば、家主以外の者に対しても、借家権を主張して、その建物を使い続けることが出来る。借家人は、それまでの借家権の内容をそのまま新家主に主張することが出来る。

(※)最高裁昭和46年2月19日判決 (判例時報622号)


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2010年5月 7日 (金)

転売理由の明渡し、話し合いで移転条件妥結 (東京・大田区)

 大田区千鳥地区所在の鉄筋コンクリート造陸屋根4階建共同住宅の内 、4階部分占有面積32.77㎡ (築37年)を賃借していたSさんは、賃貸人の死去に伴い相続人から不動産業者を介して明渡を求められた。しかも、家賃の9カ月分の立ち退き補償金を提示の上、覚書に署名捺印を強要されたが、Sさんはこれを拒否した。相談した知人の紹介で組合に入会した。

 Sさんの拒否の態度に驚いた新しい賃貸人らは、不動産業者を変えて対応してきた。組合員が業者に理由を尋ねると、Sさんだけの居住なので「転売したい」とのことだった。正当な明渡事由になるのか裁判所に判断を求めることを伝えると、話し合いでとの申し出により協議を継続した。

 話し合いは当初から1年5カ月の時間を要したが、当初の補償条件は5倍以上に引上げられ、6カ月の明渡猶予期間とその期間の家賃を無償にすることで合意した。 

東京借地借家人新聞より


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2010年5月 6日 (木)

家賃滞納で保証契約を拒否され、賃貸借契約の更新も拒否 (埼玉・富士見市)

 埼玉県富士見市に住む斉藤さんは、この3月に2年間の期間が満了し更新の時期を迎えた。契約を更新し、引き続き住み続けるつもりだった。

 ところが、仲介した業者から、「あなたは家賃保証会社から2回の賃料を滞納したので、次回の保証契約の更新が拒絶されたので、賃貸借契約そのものの更新も拒絶します」と言われ、あわてて組合に相談にきた。

 相談の中で、更新の際には保証人を立てなくても更新が出来ること。もし合意更新が出来なくても法定更新が出来ることを説明した。

 しかし、今回の問題では今後、ブラックリストに載せられ賃貸住宅から締め出される恐れがあることを説明した。そして、この問題では世論に働きかけてリスト作りをやめさせていくことを訴えた。

東京借地借家人新聞より


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2010年4月26日 (月)

地代の増額要求を受けたが (東京・江戸川区)

 江戸川区内で31坪の借地をしているHさんは、平成21年3月賃料の増額要求を受けた。現賃料は近隣と比較しても倍の賃料である。現行賃料を提供すると地主は、増額分を付加して支払わないことを事由として受領を拒否した。やむなく東京法務局に賃料を供託し、1年が過ぎた。

 地主から今回書面が送付され、内容は1年間を遡っての増額を付加した賃料を支払えとの要求である。Hさんは地主よりの一方的な増額要求は受け入られない。このような要求は余りにも乱暴であるが、検討することはやぶさかではない。

 検討する資料として納税証明書又は土地の評価証明書の提供を要求することになった。葛飾借地借家人組合を通じて書面を発送した。資料提供されたあかつきには回答する旨も書き加えたことは言うまでもない。地主より未だ反応はないが・・・・。

東京・葛飾借地借家人組合ブログより


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2010年4月23日 (金)

借地人の長期の地代減額の闘い (東京・葛飾区)

 葛飾区亀有で借地をしている吉川さんは賃料の大幅な増額要求を受け、あまりにも過大な増額要求のため受け入れられない旨地主に回答した。地主代理人弁護士は調停を申し立てた。数回の調停後双方の間で鑑定する旨が合意され、土地の鑑定料については、組合の顧問弁護士の力によって地主の負担とする旨も合意された。

 鑑定結果は、公租公課の2.35倍とするというものであった。誠に満足する賃料となった。(現借地は商業地である)

 調停(平成7年)より14年間、公租公課の2.35倍を賃料として提供していたが、平成21年地主代理人と称する管理会社が公租公課の5倍を要求して来た。これに対しても借地人は2.35倍の賃料を提供し、地主はこれを受領している。

 地主派は代理人を弁護士に代え、新たに賃料の増額を要求。借地人は、現在も都税事務所で固定資産税台帳の閲覧し、公租公課(固定資産税と都市計画税)を確認した上で地代の提供をしている。当然であるが賃料は公租公課の2.35倍である。

 再び裁判所に提訴された場合は借主の主張を堂々と行い、受けて立つ決意を固めている。

東京・葛飾借地借家人組合ブログより


 公租公課(固定資産税と都市計画税)はバブル崩壊の平成5年以降、15年近く緩やかに下降し続けている。従って、今回紹介された吉川さん地代は、平成7年の調停以後、ずっと減額が実行され続けていることになる。正に長期間に亙る借地人の地代減額への闘いである。 (東京・台東借地借家人組合)

参考
 国土交通省が2010年3月18日に公表した10年地価公示によると地価は昨年1年間、ほぼ全ての地点で下落した。上昇はわずか7地点(全2万7410地点の0・03%)にとどまった。上昇地点が1ケタになったのは70年の調査開始以来初めて。ただ09年7月1日時点の都道府県地価調査で地価公示と調査ポイントが同じ地点を使って年前半と後半の動きを見ると、3大都市圏を中心に下落幅は縮小している。

 全国の地価は全用途平均では4・6%下落した。前年(3・5%下落)よりも1・1%下落率が拡大した。特に商業地は前年の4・7%から今回は6・1%と下落率が拡大した。

 圏域別では地方圏よりも3大都市圏の方が下落率が高い。住宅地の下落率は3大都市圏が4・5%だったが全国平均は4・2%。同様に商業地でも前者が7・1%、後者が6・1%だった。地点数で見ても、東京圏は上昇がない。横ばいも6地点。大阪圏では、全地点で下落している。


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2010年4月22日 (木)

借家契約長期間の家賃減額の闘い (東京・葛飾区)

 葛飾区内で店舗を課理美容業を生業としている借家人は更新料の問題で平成12年に葛飾借地借家人組合に入会した。

 組合は本人の委任を受け法定更新の請求を行い現在に至っている。数年前になるが、賃料が20万円と高額なため減額の請求を行ったが家主に拒否され続けている。

 1年前ごろ前より家主は不動産業者を代理人に定め店舗明け渡しの要求を口頭で行い、借主はこれを拒否し営業つづけて争う決意をしたところである。

東京・葛飾借地借家人組合ブログより


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2010年4月20日 (火)

【Q&A】 借地上の未登記の建物

 (問) 私は最近、借地上の建物を友人から譲り受けたのですが、未登記だというのです。購入に当っては地主の承諾も受けていますが、登記している場合と登記していない場合とで、地主との関係で何か問題が生じることがあるのでしょうか。


 (答) 建物の登記をしているかどうかは、地主には関係がありません。
 ただ、地主が代わったときには大きな違いが出ってきます。地主の変更は、地主が土地を売った場合や、土地を担保に借金をしたり税金を滞納したりして差し押さえを受けて競売されたときに起こります。

 こうしたときに建物の登記があれば借地借家法10条(*1)(借地権の対抗力等)によって「自分は借地人である」と対抗(主張)できますから何の心配もありません。

 登記がないと対抗できないため、新しい地主から明け渡しを要求されれば、負けることになります。ですから、安心して住むためには、1日でも早く登記をしておく必要があります。

 もっとも、建物の登記がなくても、土地賃貸借の登記(*2)があれば、右のような不利益はありませんが、賃借権の登記は地主がするわけですから通常はありません。

大借連新聞より


(*1)
借地借家法10条1項 「借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる」

(*2)
(不動産賃貸借の対抗力)
民法605条 「不動産の賃貸借は、これを登記したときは、その後その不動産について物権を取得した者に対しても、その効力を生ずる」

(不動産に関する物権の変動の対抗要件)
民法177条  「不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法 (平成16年法律第123号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない」


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2010年4月19日 (月)

借地の一部を返還せよ、さもなくば地代を2倍に (京都・下京区)

 京都市下京区。昔から周辺に結構たくさんの土地を持つ地主が、ガレージにしたいからと借地の返還請求をしてきました。地主は、古くなった借地上の建物を取り壊して、その土地の一部をを返せと要求しています。

 同時に残りの借地部分の地代を倍額にする請求をしてきました。また借地の返還請求をされていない近所の借地人にも倍額の増額請求がありました。

 地代の倍額増額の請求は2年前にもあったばかりです。その時は 値上げに応じた借地人もさすがに「今回は応じられない」と団結しています。借地の一部返還請求を受けた組合員は断固拒否、値上げにも応じないと頑張っています。

 現在、地代は受け取りを拒否されています。みんなでそろって地代は供託中です。このケース、家主協会も一枚噛んでいます。

京都借地借家人組合連合会新聞より


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2010年4月16日 (金)

借家契約の更新請求 (東京・葛飾区)

 葛飾区区内在住のAさんはアパートに居住し10年になる。数回の更新を繰り返し現在に至るが、更新料や不動産手数料について疑問をもっていた。

 更新の時期が近づき不動産屋より又も更新料(7万円)、手数料(1万円)の請求を受け、葛飾借地借家人組合に相談に見え入会した。

 組合は貸主に対して書面で法定更新の請求を行い、引き続き賃貸借する旨を通知した。すると代理人と称し不動産屋が当組合に来所し更新料と手数料の請求をしたが、消費者契約法の趣旨を説明すると、これでは貸主を説得するしかないと帰って行った。

 書面発送から1週間で解決となった。本人は組合の助け合いの精神を理解し安心して居住できると喜んでいる。

東京・葛飾借地借家人組合ブログより

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2010年4月15日 (木)

家賃保証会社に鍵を交換され、部屋から締め出された (大阪・淀川区)

 昨年12月8日、淀川区塚本地域の賃貸マンションに居住していたFさんから賃借中のマンションの部屋の鍵が取り替えられ、使用不能になっているので助けてほしいとの相談が大借連(全大阪借地借家人組合連合会)にありました。

 Fさんの訴えによると、11月分の家賃が病気のために滞納し、家賃保証会社と支払い方法について話し合っていたが、11月18日に突然ドアーの鍵が取り替えられ入居できなくなりました。

 家賃保証会社へ入居できるように再三要請したが、聴き入れられませんでした。「カプセルホテルで寝泊りをしていたが、一泊2700円の費用も負担不能となった。生活保護手当も受給しているが限度に来た。どうしたらよいのか」という内容でした。

 大借連は、12月9日、「賃貸住宅追い出し屋被害者対策会議」の掘泰夫事務局長(司法書士)と連絡し、八塚博幸司法書士が窓口となりFさんの救済対策を検討することになりました。

 同日、Fさんは、八塚司法書士と面談し、現地の賃貸マンションへ出向くと鍵が開けられ部屋のの中にあったすべての家財道具はどこかへ持ち去られていました。

 「対策会議」は、Fさんの住まいを確保するために、弁護士と司法書士がボランティアで奔走し、淀川区役所へ生活保護手当の継続と生活支援基金などの支給を受け、12月26日に新たな家へ移転させることができました。

 また、Fさんは、家賃保証会社を警察へ告訴すると共に損害賠償請求を提訴して争っています。

大借連新聞より


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2010年4月14日 (水)

借地契約更新請求 (東京・葛飾区)

 葛飾区内在住のAさんは借地の更新が近づき組合員の紹介で葛飾借地借家人組合へ入会した。

 契約書には更新の請求をしない時は契約終了する旨の約定があった。当組合を通じて書面を発送することに。契約書では更新料支払いの特約は存在しないため借主より法定更新の請求を行った(当組合が委任を受け書面発送)。

 書面発送後1ヶ月が過ぎるが貸主より何の反応もない。これによって法定更新は成立し、契約期間20年が確定した。本人は組合に入会し安心したと喜んでいる。

東京・葛飾借地借家人組合ブログより


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2010年4月12日 (月)

先代の家主が亡くなった途端に店舗の明渡し請求  (東京・大田区)

 大田区中央地域所在の木造瓦葺2階建店舗兼共同住宅の内、階下東南角店舗約4・5坪を賃借して、鮮魚店を営んでいるAさんは、明渡しを求められて知人の紹介で組合に入会した。

 現家主の先代に請われて店を開き、先代は狭い店内を有効に活用するために色々と設備を施してくれる協力的な家主だった。先代家主夫妻の死去後相続人の息子は屋根を葺き替える等の補修工事を行っているのに建物の老朽化や自己使用を理由にしてきた。家主の代理人弁護士は、家賃が坪1万円と安いので立退料は家賃の1年分という提案をしてきたので拒否すると裁判になった。家主は高齢を理由にするが、Aさんは、お店はまだ5~6年はやれると至って意気軒昂。早速、組合を介して弁護士に依頼した。

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2010年4月 9日 (金)

更新料の支払い約束は無効 (東京・葛飾区)

 葛飾区新宿で借地をしているAさんは、地主から20年が経過したので更新料を支払って契約を更新するように請求を受けたが、組合を通じて法定更新を主張した。

 しかし、地主はAさんを自宅に呼び出し、言葉巧みに契約書に署名捺印させ、Aさんはこれに応じてしまった。契約書の特約には更新料を分割で支払う約束があり、契約書を作成してしまってからAさんは、「何とかならないか」と組合に相談に見えた。

 これは消費者契約法第10条に反する特約なので取り消し無効にすべきとの結論に達し、その旨を書面で地主に通知した。その後も地主から督促状なるものものが来るが、書面の無効通知を確信し頑張っている。

東京借地借家人新聞より


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2010年4月 5日 (月)

地主の代理弁護士が更新料と10年の借地契約を要求 (東京・豊島区)

 豊島区高田に住むYさんは、昨年の9月に地主(寺院)の代理人弁護士から「来年4月に更新期間が満了を迎えるが、当方で自己使用するから更新を拒絶し明け渡すよう求める」との通知書が送られてきた。

 驚いたYさんは、組合に相談に来た。組合では、Yさんに「借地の更新を拒絶し、契約を解除するには正当な事由が必要なこと」を話し、相手の地主が寺院であることなどから自己使用で明け渡しを求めてきても「正当な事由」がないことを説明した。その上で、明渡し請求については拒絶し、建物が存在しているので、更新して引き続き賃借する旨の通知を相手に出すことにした。

 その後、代理人の弁護士から、契約を更新するなら、更新料の支払いと更新契約書案に署名捺印するよう請求してきた。その内容は、更新料支払い特約がなくとも、前回支払ったから当然支払うものであるという見解と更新契約書案もこの借地契約が旧借地法の適用を受けているにもかかわらず更新期間は10年間とするなど到底弁護士が代理人になっているとは思えない中身であった。

 組合と相談し、支払い特約のない更新料については支払わないということと10年という契約期間(✳)の法的不備を指摘した通知書を出すことにした。

東京借地借家人新聞より

(✳)参考記事
【Q&A】 借地更新の条件は期間10年で、更新は今回限りという厳しい内容

【判例】 *更新料支払の慣習を否定し、更新料支払義務なしとした最高裁昭和51年10月1日判決 (1)

【判例】 *更新料支払の慣習を否定し、更新料支払義務なしとした最高裁昭和53年1月24日判決 (2)

【判例紹介】 かつて更新料を支払った事実があっても更新料の合意とは認められない


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2010年4月 2日 (金)

寝たきりの91歳の高齢者に明渡請求 (東京・荒川区)

 荒川区南千住1丁目で昭和50年5月末より木造2階建住居を借りて住んでいるAさんは、長男と2人で住んでいて、他区にいる娘さんが借家契約の保証人になっている。Aさんは91歳と高齢の上寝たきりで毎日を送り、その面倒を自営業の長男がみている。

 昨年暮れに家主の代理人と称し行政書士が現われ、「今年5月末で契約が切れるし、築後31年経っているので老朽化したので立退いてもらいたい」と言ってきた。同時に保証人の娘さんにも内容証明郵便が送られてきて至急回答せよとのことだった。

 Aさんの長男は、寝たきりの年寄りがいるのでせめて後2年待ってほしいと願ったが、家主の代理人からは「引越し代と移転先の費用ぐらいは補償するから更新は認めない」と言われた。組合に入会したことを代理人に伝えたところ急に態度が穏やかになった。

 今度はこちらから内容証明郵便で「明渡しの正当事由は成立しない。家屋本体はまだまだしっかりしている。住み続けるのに十二分に可能である」と明渡しを断固拒否した。Aさんは「厳しい交渉は続くが、負けずに頑張っていく」と決意している。

東京借地借家人新聞より


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2010年3月30日 (火)

【Q&A】 両親が死亡し、「契約を解消するか、新規契約をするか」の選択を迫られている

 (問) 私は、父が戦前から借りている借家に住んでいます。父は、3年前に死亡し今年2月に母親も病死しました。家主からは、両親には家を貸したがあなたには貸していないので明け渡して欲しい。応じなければ新規契約をしてもよいが敷金50万円と家賃は10万円の条件になると言い、「契約を解消するか新規契約をするか」の選択をせまられています。どうしたらよいでしょうか。


 (答) 借家の賃借権は、相続されます(注1)。また、内縁関係のある事実上の夫婦については継承されることになっています(注2)。

 お問い合わせの方の場合、家賃は決められた時期にきっちりと支払っていれば賃借権は継承されることになっています。

 ご両親が死亡し、同居していたあなたが同一条件で賃借権を継承できるのですから、改めて契約書を取り交わす義務はありません。また、改めて家賃を改定する必要もありません。

大借連新聞より


(注1) 民法896条は「相続人は、相続の開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する」と規定している。

 相続によって遺産は包括的に承継される。遺産中の不動産・動産だけではなく、債券や債務を承継するもので、被相続人の地位の承継と解されている。勿論、借家権も財産的価値を持ち相続され、賃借人の地位も承継される。相続人が数人ある場合には、借家権は共同相続され、それらの相続人が共同賃借人となる。居住していない相続人も借家権を相続することは出来る。

(注2)  借家人が死亡した場合、同居の内縁の配偶者や事実上の養子は、相続人でないから、居住していても、借家権を受け継ぐことが出来ない。従って、居住していた借家に住むことが出来なくなる。

 しかし、死亡した借家人に相続人がいない場合は、借地借家法36条1項によって同居していた内縁の配偶者や事実上の養子が賃借権を承継できると規定し、限定的ではあるが借家権を保護している。

 しかし、相続人がいる場合は、特別の理由がない限り借家権を放棄しないから、内縁の配偶者や事実上の養子の居住権を保護する必要がある。

 そこで、判例は相続人の借家権を同居者が援用して、家主の明渡請求に対抗出来るとしている。事実上の養子の居住権を、家主の明渡請求に対して保護している(最高裁昭和42年4月26日判決)。内縁の妻(最高裁昭和42年2月21日判決)や内縁の夫(最高裁昭和37年12月25日判決)に対しても同様の理由で賃借権の承継を認め、居住権を保護している。

 このように判例と借地借家法36条1項とによって内縁の配偶者や事実上の養子の居住権は保護されている

 また、内縁の配偶者や事実上の養子に対する相続人からの明渡請求は「権利濫用」になり認められないとしている(最高裁昭和39年10月13日判決)。

 なお、借地借家法36条の保護を受けるのは、居住用借家(店舗併用住宅も含む)であって、営業用の借家(店舗、事務所、倉庫、工場)には適用されない。また、保護の適用対象は死亡した借家人と同居していたことが必要である。

 (注1)、(注2)は東京・台東借地借家人組合

借地借家法
(居住用建物の賃貸借の承継)
第36条 居住の用に供する建物の賃借人が相続人なしに死亡した場合において、その当時婚姻又は縁組の届出をしていないが、建物の賃借人と事実上夫婦又は養親子と同様の関係にあった同居者があるときは、その同居者は、建物の賃借人の権利義務を承継する。
 ただし、相続人なしに死亡したことを知った後1月以内に建物の賃貸人に反対(❊賃借人の権利義務を承継しない旨)の意思を表示したときは、この限りでない。

 (❊)は東京・台東借地借家人組合


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2010年3月29日 (月)

【Q&A】 承諾しない更新後の借主の滞納家賃を連帯保証人は支払義務があるのか

(問) 10年前にマンション入居の際、頼まれてAの連帯保証人になった。ところがAの家主から突然、3年分の滞納家賃と共益費の支払を求められた。請求に応じなければならないのか。

(答) 家主から契約更新後の保証人の継続に関する承諾の連絡などは一度もなかったという。保証契約が継続しているという自覚がない保証人に対し、家主からの滞納家賃の支払請求は寝耳に水の事である。

 判例は保証人の責任に対しては厳しいものである。最高裁は原則として契約更新後についても保証人の債務責任を認めている。即ち、「特段の事情のない限り、保証人が更新後の賃貸借から生ずる賃借人の債務についても保証の責を負う趣旨で合意されたものと解するのが相当であり、保証人は賃貸人において保証債務の履行を請求することが信義則に反すると認められる場合を除き、更新後の賃貸借から生ずる賃借人の債務についても保証の責めを免れない」(最高裁平成9年11月13日判決 判例タイムズ969号)と判示した。最高裁判決の原則から言えば、相談者は家主からの滞納家賃請求に応じなければならないことになる。

 しかし、最高裁は同判決で例外として「特段の事情」がある場合は保証債務を免れることが出来ると云っている。
 それは、どういう場合なのか。例えば、
 ①「賃貸契約に2ヶ月の賃料の支払を怠った場合に無催告解除が出来るという特約があって、更新までにそれを上回る高額の延滞賃料が発生したにも関わらず、漫然と契約を解除しないで法定更新をして、このことによって延滞額が更に高額になった場合について、このような場合についてまで連帯保証人に責任を負わせることはできない」(東京地裁平成10年12月28日判決)。

 ②貸主(原告)の広島県福山市は約13年間、連帯保証人に対して借主の滞納家賃等の明細を通知するなどの措置を全くしていなかった。「催告書を全く送付することなく、また、訴外A(借主)の賃料滞納の状況についても一切知らせずに放置していたものであり、原告(貸主)には内部的な事務引継上の過失又は怠慢が存在するにもかかわらず、その責任を棚上げにする一方、民法上,連帯保証における責任範囲に限定のないことや、連帯債務における請求に絶対効が認められることなどから、被告に対する請求権が形骸的に存続していることを奇貨として、敢えて本件訴訟提起に及んでいるものであり、本件請求における請求額に対する被告の連帯保証人としての責任範囲等を検討するまでもなく、本件請求は権利の濫用として許されないものというべきである」( 広島地方裁判所 福山支部平成20年2月21日判決
 
①、②のような場合が「特段の事情」として挙げられる。

 相談者の場合、家主はAの滞納家賃が高額になっているにも拘らず、保証人に滞納の事実を連絡せず、又は契約を解除するなどして保証人の損害を回避すべき義務があった。それにも拘らず、契約の更新を行い、その回避義務を怠って損害を拡大した責任は重い。これらは家主が保証債務の履行を請求することが信義則に反する「特段の事情」に該当する。よって、保証人は保証債務の支払義務は無いというのが結論である。


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2010年3月26日 (金)

【Q&A】 「契約書のない建物賃貸借」

(問) 私は、昨年10月夫をなくしたので、相続人の私の名義で、供託しました。ところが、家主から契約書が届けられ、その中に、「連帯保証人」をつけること、「本契約の終了後の相続権は認めません」との特約事項が記載され、署名捺印して送り返すようにとの申し出を受けました。
 私は、約50年住んでいますが、賃貸契約書を見たこともありません。契約書に印鑑を押して家主へ届けなければなりませんか。


(答) 借家契約(借家権)は、相続することが出来ます。また、元々契約書のない契約であれば改めて契約書を作成することはありません。

 改めて契約書を結ぶと借家人に有利な契約条件よりも不利な条件が求められる事例が多くあります。

 また、契約の更新は、当事者が合意をして契約書を交わすことを「合意更新」と云います。契約書を書き換えずに契約期間が過ぎて契約を継続する場合を「法定更新」と云います。

 ご相談の方は、借家権の相続が認められていますので、改めて新規の契約書を交わす必要はありません。

 どうしても家主との信頼回復のために、新規契約を結ぼうとする場合でも、「連帯保証人」「相続権を放棄する」特約は応じないようにしましょう。

 その結果、話合いができなくなったら、これまで通り、家賃を供託していけば契約は存続します。

大借連新聞より


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2010年3月25日 (木)

【Q&A】 抵当権付き借家を借りたが、今後の契約はどうなるか

(問) 私は、平成20年7月1日、仲介業者を通じて3階建の木造借家を敷金40万円(解約時返金なし)月額9万円の条件で借りました。

 今年2月上旬、突然大阪地裁執行官が調査用紙を持参し、「資料をコピーして返送してほしい」と言われ「何のことか意味不明」でビックリしました。

 家主へ問合せをしても行方不明で音信不通。仲介業者へ相談しても「うちも犠牲者」というばかりで要領が得られません。

 仲介業者は、契約前に「抵当権付き物件」と説明してあったと言います。益々わからず不安になりました。

 登記簿謄本を見ると、その借家は、平成17年6月末に銀行から融資を受け、抵当権が設定されていることがわかりました。

 大学受験を真近に控えた娘もおり、借家を出ることはできません。どうしたらよいでしょうか。

(答) 抵当権設定後の賃貸借契約は、家主が債務不履行でその建物が債権者から競売されてしまうと、新所有者には対抗権はありません(居住権を主張できません)。

 すなわち、Sさんの事例では、抵当権が設定されている建物を仲介業者が事前に説明していることから、仲介業者へその責任を取ってもらうことも不可能と思われます。

 裁判所のお問い合わせには応じてこれまでの事情を説明し、新所有者に契約の存続を望んでいることを付言してもらう以外にはありえません。

 まお、契約時に支払った敷金も新家主からは、返還してもらうことはできません。これまでの家主に対しては、損害賠償請求を訴えることはできますが、行方不明であるのでどうしようもありません。

 借家人が新たに借家を借りる場合は必ず抵当権が設定されているかどうかを確認し、いくら契約条件がよくても抵当権設定されいる建物は契約しないことをお勧めします。

大借連新聞より

参考

Q&A 抵当権設定後の建物を賃借しているが競落人から明渡請求を受けている


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2010年3月23日 (火)

建物を買取った不動産業者が1か月後に明渡せと強要 (京都・左京区)

  京都市左京区。2連棟の借家(うち1軒は空家。土地と建物所有者が別人の物件)を投機目的で買った不動産業者。早速借家人であるAさんに明渡を迫りました。組合と共にその業者と数回交渉を重ねてきました。町内会の役職もあって明け渡せない理由も主張しました。

 それでも出て行けというなら、1つは町内の役職の終わる来年3月末、2つは商売柄電動ミシンなどを使うため、移転先の建物を防音装置などの改造が必要なので、その資金の補償を要求しました。

 明渡時期は合意し、改造費の見積書を見た上で検討することまでは合意できました。そして後日見積書を渡したら、「社に持ち帰って検討する」と預かって帰ったまま梨の礫となりました。

 しばらくしたある日突然、見も知らぬ弁護士事務所から内容証明郵便が届きました。慌てて開封したところ、「家主の代理人になってた・・・・。本書到達後、1ヶ月以内に、本件建物を明け渡すよう請求する」という乱暴なものでした。

 Aさんは、見積額全額を要求したわけではありません。家主側が検討する材料を提供しただけで、当然話し合いが続くものと信じていただけに怒り心頭。明渡し合意を撤回し、とことん 闘い抜く構えです。

京都借地借家人組合連合会新聞より


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2010年3月19日 (金)

底地買い不動産業者の理不尽な請求 (京都・山科区)

  京都市山科区。バブル末期にさらなる利潤追求を図り、底地を取得した建築会社が今日の地主。その後地価は下落の一途を辿り、不良債権に転落。借金をしている銀行から「早く処分を」との催促を受け続けてきました。

 最近、借地人に対して「土地を買い取ってもらえないか」との話があり、「条件さえ合えば」と話を進めたところ、借地権割合を無視した法外な値段を提示してきました。「そんな高値では・・・・」と交渉を申し入れた矢先、弁護士を通じて、現状の6倍もの賃料値上げの内容証明郵便が送られてきました。まったく問答無用の一方的な押しつけです。

 古くからの組合員であった借地人らは、「負けるもんか!」と闘う構えです。

京都借地借家人組合連合会新聞より


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2010年3月18日 (木)

更新料の請求を撤回させる  (東京・世田谷区)

 賃貸マンションやアパートの契約更新時に請求される更新料について疑問をもつ入居者が多くなっている。世田谷区上馬に住む山田さんもその一人で、組合のアドバイスを受け不動産会社に支払を拒否し、組合に相談している旨を告げた。不動産屋は組合に連絡してきたが、「更新料の支払条項は消費者契約法に反する。更新料について内容の説明も受けていない」と話すと、更新料をあっさり撤回した。更新料が簡単になくなって、本人も驚いている。

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2010年3月17日 (水)

借地契約の改悪要求を撥ねつける・・・従前の契約内容で契約書作成 (東京・大田区)

 大田区南馬込地区の宅地約90坪を賃借しているAさんは、地主代理人の不動産業者から賃貸人及び賃借人の死去による賃貸借契約書の改正の申し入れを了承した。だが、その条件の説明を聞くたびに疑問に思うことが多くなり、弁護士に相談するが理解できず、知人の紹介で組合を知って事務所を訪ねた。

 組合役員が従前の契約等の書類を見て驚いたのは、前事務局長の立会いの下で10数年前に作成したもので、Aさんは直ちに再入会した。

 問題は、新たに権利金や保証金の請求、中途解約・原状回復義務など従前と異なる条件を提示され、さらに仲介手数料の請求をされていることだ。

 組合は直ちに業者を事務所に招いて、今後は組合を通して協議を行うことを申し伝えるとともに、従前の契約作成に当組合の役員が関わっており、契約内容は十分承知していることを確認。従前と同一条件の内容で契約書を作成することで合意した。

 また、長年地代を増額せず近隣より低額であることを踏まえて、税金の上昇分を値上げすることで合意し、この程契約書を取り交わした。

 今度の交渉のカギは、借地権の相続人らが力を合せて対応したことにある。Aさんは、「組合の存在は私たちを励まし今後も相談できるので安心しています」と語っている。

東京借地借家人新聞より


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2010年3月16日 (火)

【Q&A】  連帯保証人に年金生活者はだめなのか

(問) 東京の豊島区で2年前にマンションの賃貸借契約を結び、2か月後に契約更新をむかえます。管理会社から更新の手続の書類が送られてきましたが、その書類の中に「連帯保証人について、年金生活者は認められません。その場合は、弊社が指定する保証会社を保証人とする契約を結ぶことが契約更新の前提です」と記載されていました。父は今年定年で、年金生活者です。

 管理会社がいうように保証人を保証会社にしなければならないのでしょうか。現在、派遣社員として働いているので、収入が安定していません。追い出しや取り立てが問題になっていると報道されている保証会社を出来れば使いたくありません。

(答) 最近、管理会社や不動産会社が更新に際して、様々な理由をつけて連帯保証人に変わって保証会社を押し付けてくる事例が増えています。しかし、更新に際して必ず連帯保証人をつけなければいけないという法的根拠はありません。年金生活者である父の代わりに保証会社をつけなければいけないという根拠はありませんので拒否することが大事です。そのために合意更新できないならば法定更新の方法もあります。賃貸契約上なんら問題がありません。

全国借地借家人新聞より


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2010年3月15日 (月)

保証人がいるのに不動産屋が保証会社への切り替え要求(東京・豊島区)

 豊島区要町に住む加藤さんは2年前に近くの不動産屋の仲介でこのマンションに住むことになった。当初の契約では父親が連帯保証人となった。

 今年3月に2年目の更新となり、仲介した不動産屋から更新の手続きについてという文書が送付されてきた。今までどおりに更新されるものと思っていた加藤さんは、書面をみて驚いた。更新するには連帯保証人を不動産会社指定の保証会社に変更することが条件であると記載されていた。

 心配になった加藤さんは、インターネットで組合があることを知って、開催されていた西武百貨店の無料相談会に来た。その相談の中で「貸主の一方的な条件変更(連帯保証人の変更)は認められないこと。今回の更新時に、もしこのような条件変更で合意することできなくなった場合でも法定更新になること。その場合でも、契約上はなんら問題ないばかりか、法律上は期限の定めがない契約になり、今後は更新がなくなってしまうこと」が話された。

 その上で、このような不動産会社が、借主の無知につけ込んで連帯保証人から保証会社に切り替え、その手数料で収入を増やそうと企んでいることが説明された。

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2010年2月24日 (水)

入会金、年会費は礼金・更新料と認定し、レオパレスが敗訴 (名古屋簡裁)

 名古屋在住の賃借人であるAさんは、05年1月からレオパレスの物件に住んでいましたが、、メンテナンスの悪さや居住環境の悪さが目に余り、レオパレスに修繕義務を履行するよう求めたところ、レオパレスは過失をいったんは認め、家賃の請求を停止しました。

 しかし、その後、一方的に同意を覆し、停止した期間分も含めて家賃請求を行ってきたため、さらなる紛争に至り、レオパレスから明け渡しの請求をうけ、その経緯の中で、Aさんは心理的負担も重なり、失業し家賃が払えない状況に陥ってしまいました。

 08年7月に提訴され、その後別の物件が運良く見つかり退去しましたが、退去までの未払い賃料は約8ヶ月に渡りました。提訴当時は明渡し訴訟でしたが、途中でAさんが他の物件に引っ越したことで、未払い賃料の請求事件になっています。原告は代理人に法律家を立てず、被告も本人訴訟で争われた事件です。

 裁判では、
 ①共益費、ブロードバンド使用料、環境維持費について契約は成立しているか。
 ②基本清掃料について契約は成立しているか。
 ③入会費、年会費の趣旨について。返還請求できるか。
 ④ベッドの破損や水道の故障の損害賠償請求権について。
 ⑤使用当初の部屋の状態とAさんの精神的慰謝料について。
 以上が争点となりました。

 名古屋簡裁はAさんの主張を全面的に認め、未払い賃料の相殺はもちろんのこと、原告の請求を25万円以上も上回る合計65万以上の請求権が認容されました。

 とくに③の入会金、年会費は礼金・更新料と認定し、具体的かつ明確に説明がされていない事実を認めて、入会金(46,370円)、年会費(3年分63,000円)をともに消費者契約法第10条に基づき無効であるとして返還が認められました。

 レオパレスは控訴し、名古屋地裁で争われています。

全国借地借家人新聞より


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2010年2月23日 (火)

借地人の1年間の徹底抗戦で地上げ屋が撤退へ (東京・荒川区)

 荒川区西日暮里*丁目で昭和35年頃から36坪を借地しているNさんは、一昨年10月から「諸般の事情で不動産を手放すことになったので以後の地代と賃貸借をどうするかは新地主と話し合ってくれ」と連絡が入った。数日後、新地主と名乗る業者が来宅し、「土地を買取るか、明渡すか二者択一しかない」と言われた。

 Nさんは組合に入会し、今後話を聞く時は組合事務所以外では拒否する。万一自宅に来た時は110番する。異常を業者に通告した。話し合いでは、「土地を買う気はない。立退く意思もない。これ以上話し合っても無意味である」ときっぱりと断った。

 ところが、数日後業者は自宅に連絡もなく訪問してきたので、Nさんは警察に通告した。パトカーと交番の巡査が数人駆けつけてき。業者は彼らに注意され、その場から引き上げた。

 その後、地代は組合事務所に業者が来て集金していたが、昨年10月で1年が経ち突然文書で「借地は元の地主に返したので当社は一切関係ありません」と撤退宣言。主張通りに解決したNさんは「組合に入って本当によかった」と感謝の言葉を寄せている。

東京借地借家人新聞より


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2010年2月22日 (月)

地上げで借家人全員が組合に入会 (東京・豊島区池袋)

 豊島区池袋本町で40年以上住んでいる田村さん宅に、12月に入って、株式会社N社の社員と称する人間が訪ねてきた。その社員は「今までの地主から底地を買取ったので、今後は賃貸料及びその他一切のことは私どもと打合せいただきたい」との文書を持参した。しかもその人間は「私は地上げ屋でこの土地を買うか売るかの二者択一しかない」と恫喝して帰っていった。

 不安を感じた田村さんは知りあいの区議会議員に相談すると「そういう問題は借地借家人組合に相談に行くのが一番」と言われ早速組合事務所に相談にきた。

 組合では、まず、本当に買取ったものか土地の登記簿などを取り寄せること。真の地主かどうかわからない時点では面会する必要がないこと。地代についても、今まで支払い方法で現在の地主に支払うことなどを確認したうえで、借地人が集まって勉強会をすることが一番と提案した。

 2日後、関係する借地人ほぼ全員が集まり、事務局長の話を聞いた。地主が変わろうが権利関係は今までどおりであることを前提に、なぜ地主はこのような業者に売買してしまうのか、このような地上げ屋は何を目的しているのか、私たち借地人は何が必要なのかを説明した。借地人は「説明をきいて安心しました。これで正月が迎えられます」と言って全員が組合に入会し、頑張ることにした。

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2010年2月19日 (金)

更新料と更新手数料を拒否 (千葉県・船橋市)

 千葉県船橋市内に所在する木造2階建共同住宅の1部屋2K浴室付専有面積40・60㎡を賃借しているKさんは船橋市に移転しても組合員として、街頭宣伝や学習会に参加されるなど積極性と誠実な人柄を見込まれて役員(理事)に推薦された。

 大田借組主催の宿泊役員研修会や東借連の学習会に参加して権利を学んだKさんは、賃貸住宅の2回目の更新の際家主代理人の不動産業者に対し、約定更新料の削除と更新手数料の支払い拒否を通告した。業者は「契約書に書き込まれた約定を否定することは契約を破棄することか」と高飛車に出たが、Kさんは学習会等の資料に使われた裁判の判決を示して、更新料と更新手数料の支払い拒否を堂々と主張した。

 法定更新となって4カ月、家賃は指定の口座に振り込んでいる。大田区在住の時に明渡し問題で組合に入会し、権利を主張して移転の補償を勝ち取った経験が大きな力になっているとKさんは言う。

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2010年2月18日 (木)

更新ができない契約は無効 (埼玉県蕨市)

 埼玉県蕨市に住む加納さんは、16年前にこのマンションに入居した。7年前に息子が自殺したために迷惑をかけたのではないかの負い目があり、2年前の更新時に貸主が必要となった場合は更新がないという特約を結んだ。

 今月になって6ヶ月後に退去するよう言われた。しかし、明渡しには正当な事由が必要であり前回の特約も賃借人に不利な契約であり無効とし、引き続き住み続けることにした。

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2010年2月17日 (水)

更新料237万6000円、地代29%の値上げ要求 (西東京市)

 西東京市田無町に住むNさんは、平成元年に20年の借地契約の更新をしましたが、契約書はどういうわけか借主の名前が亡父親と母親の名義で、2通りの契約書をつくっていました。

 地主は、田無では昔から名主と言われた大地主でNさんはこれまで地代も言われるままに支払っていました。現在でも35坪で月額6万4800円と高額です。

 この度、地主から依頼されたという港区南青山の業者が、Nさんのところに現われ、契約を更新するので契約書に署名・捺印してほしい。更新料237万6000円(坪当たり約6万8000円)、地代を約29%アップの月額8万3661円、手数料として更新料の10%を請求してきました。

 Nさんは、更新料は支払うつもりで、地代を何とか負けてくれないかと頼みましたが、応じてもらえず困り果てて組合に相談に行きました。

 組合役員が契約書を見たところ、父親が署名した契約書には「賃貸人は建物を建築し、且つ所有することを承諾した。鉄筋コンクリート造陸屋根3階建共同住宅一棟……」と特約事項が加入されていました。借地法第2条第2項では、堅固建物所有の場合は30年とされており、平成元年に定めた20年の期間は無効であり30年であり、まだ残存期間は10年残っていることが判明しました。

 また、地代値上げの計算根拠とされた土地は地主が駐車場で貸している土地であることも分かりました。Nさんに西東京市でNさんの借地の土地の評価証明を取って調べたところ、何と現行地代は固定資産税・都市計画税の約8倍も支払っていることが分かりました。

 地主の代理人と称する業者に組合より上記の問題点を指摘したところ、「堅固建物の改築を承諾する契約書があることは知らなかった。契約の更新と地代値上げについては撤回する」とあっさり引っ込めました。

 地代については、「税金の4倍というならば現行地代を値下げすべきだ」と組合役員が指摘すると、「地主は値下げには応ずることはない」と逃げの一点張りでした。

 Nさんは地主に対して地代の値下げを請求したところ、地主の代理人は固定資産税と都市計画税の5倍まで値下げすると回答してきました。地代の値下げが月額2万円以上値下げになって、Nさんは組合の力に驚いていました。

全国借地借家人新聞より


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2010年2月16日 (火)

最高裁の見解を生かして合意 (大阪市・北区)

 大阪市北区大淀南3丁目で不動産賃貸業をしているMさんは、4人の地主から借地上の建物4軒を住居や店舗・事務所として貸家にしています。

 バブル時期には、地代が毎年のように引き上げられたにもかかわらず、その後地下は下落し続けておりながら地代は高止まりとなっていることに疑問を感じていました。

 Mさんは、インターネットで地代の減額請求ができることを知り、そのころ、全借連新聞で東大阪市で地代減額調停の取組みの模様を掲載されているのを知り、その中で最高裁が「適正地代は公租公課の2倍~3倍」であるとの指針が役立ったと報じられていました。

 そこで、Mさんは、北区借地借家人組合を訪ね組合に入会するとともに、最高裁の指針を受け取り、全大阪借地借家人組合連合にも相談しました。

 その直後に、借家人の一人が退去しこれを機会に周辺の地代や土地の公租公課を調べ、登記簿謄本も取り寄せました。

 北区借地借家人組合は、Mさんの地代減額の強い思いを実現するために、周辺住民を対象にして、Mさんの事務所で「無料相談会」を開く案内ビラ500枚を配布しました。

 同時に、Mさんは、地主へ4軒の貸家の地代減額を請求したところ、「とても相手にしてもらえないだろう」と思っていた地主から「困っているのはどこも同じだよ」と快く応じてくれました。また、別の貸家の地主からは、「貸家が空き家になればその時の土地価格の6割で売って欲しい」との条件と引替えに地代の減額に応じてくれました。

 しかし、他の2軒は地代の減額請求を拒否されましたが、今後の地代値上げ請求の歯止めとなる効果を期待しています。

 しかし、Mさんは、残り2軒のうちの一人の地主を相手に調停委員会へ地代減額申し立てを行いました。地主の土地を調査したところ、亡くなられた祖母から売買で取得していることが分かり、「好きなようにしろ」と調停を拒否することを予想していたところ、その地主は調停の場で態度を変え、2回の調停で和解が成立しました。

 この結果、すべての地主から、20%以上の地代の減額が認められ、Mさんは、借家人の退去による家賃の減収以上の経費の節約になったと喜んでいます。

全国借地借家人新聞より


 なお、最高裁判所事務総局から1991(平成3)年12月付で民事裁判資料第198号として「民事調停の適正かつ効率的な運用に関する執務資料」が出されている。その中の「民事調停事件処理要領案(裁判官・書記官用)」に「最終合意賃料の公租公課との倍率(地代について)」として「最終合意賃料が公租公課の2~3倍に収まっているときは、加減要素として考慮しない。」と記載されている。言い換えれば、固定資産税と都市計画税との合算の2~3倍の範囲内であれば適正地代ということが出来る。


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2010年2月15日 (月)

築後80年以上の長屋の明渡請求訴訟で朽廃が否定された (東京・台東区三ノ輪)

 島田さんは台東区三ノ輪の借家に昭和50年3月から居住している。この借家は島田さんの奥さんの生家であり、奥さんの親が昭和11年から借りていたものを承継したものである。家賃は1か月3万6500円である。

 建物は昭和2年8月に保存登記されたもので、既に築後80年以上を経過した3軒長屋である。島田さんは、その中央部分を借りている。

 現在の家主は長屋の隣のビルに住む自営業者である。平成16年5月に、地主に承諾料70万円を支払い、月額地代を4万5000円を支払う約束で、それまでの家主から借地権付き建物(評価額は5570万円)を1800万円で購入した。

 家主は自己所有地上に鉄筋コンクリート4階建ビルを所有している。そのビルと長屋を取壊して所有地と借地に跨る建物を建築する心積もりであった。

 家主は平成17年7月に建物の明渡請求をして来た。同時に家主は同年7月に建築会社と新築工事の請負契約を結んでいた。その後、建築会社と家主の執拗な立退き交渉と嫌がらせ攻撃が日毎に激しさを増してきた。

 家主は平成18年1月26日に建物の老朽化を理由に東京地裁へ建物明渡請求訴訟を提起してきた。
 裁判の争点は①本件建物が朽廃しているのか、②家主の解約申し入れについて正当事由が認められるのかが争われた。

 家主側は1級建築士による調査報告書に基づいて、「本件建物は一般人が居住するには不適切建物であり、地震時には倒壊の可能性もあり、危険な建物である。建物は自然的腐食状態によって建物の社会的経済的効用を失った状態にあって、既に朽廃している。したがって、本件建物部分の本件賃貸借契約は終了した」と主張した。

 借家人側は朽廃に関して、「本件建物は長期間家族が居住し使用してきたものであり、両隣の空室とは全く異なり、十分使用に耐え得るものであり、現に使用できているものである」と朽廃を否定した。

 借家人側は朽廃調査に関しては、「両隣の空家の調査に基づく「調査報告書」は本件建物を直接調査したものではなく、構造物の腐食・損傷の指摘も、地震による倒壊の危険性の意見も本件建物以外の部分を撮影又は調査したものに基づく結果に過ぎず、本件建物部分について、何ら客観的資料を示すものではない」と反駁した。

 裁判所は、家主側が「建物朽廃」の根拠としている「写真撮影報告書」及び「調査報告書」は現物建物を実際に調査したものでないことを指摘し、「同報告書の耐震性に関する意見についても本件建物部分以外の本件建物を調査した結果に止まるものであることに照らすと、原告の主張は、採用することができない」として、明渡請求には理由がない判示とした。
 結果、東京地方裁判所は家主の請求を棄却した。  


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2010年1月21日 (木)

更新料特約が,消費者契約法10条に該当し無効 (京都地方裁判所 平成21年07月23日判決)1

事件番号:平成20年(ワ)第3224号
事件名:敷金返還請求事件
裁判年月日:H21.7.23
裁判所名:京都地方裁判所部:第6民事部
結果:認容
判示事項の要旨:
居住用建物の賃貸借契約における保証金の解約引き特約及び更新料特約が,消費者契約法10条に該当し無効であると判断された事例

主      文

 1 被告は,原告に対し,46万6000円及び内35万円に対する平成20年7月31日から,内11万6000円に対する同年10月23日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
 2 訴訟費用は被告の負担とする。
 3 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。

事実及び理由第

1 請求
  主文同旨

第2 事案の概要など
 1 事案の概要

   原告は,被告(貸主)との間のマンション賃貸借契約(以下「本件賃貸借契約」という。)の締結時に保証金35万円を,契約更新時に更新料特約(以下「本件更新料特約」という。)に基づき更新料11万6000円(以下「本件更新料」という。)をそれぞれ支払ったが,本件賃貸借契約の約定中,解約引き特約(以下「本件敷引特約」という。)及び本件更新料特約が消費者契約法(以下「法」という。)10条により無効である旨主張して,敷金契約終了に基づき被告が返還すべき義務があることを自認した5万円を含めた保証金35万円及びこれに対する賃借物件明渡し後である平成20年7月31日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに,不当利得返還請求権に基づき,更新料11万6000円及びこれに対する訴えの変更申立書送達の日の翌日である同年10月23日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。

 2 前提事実(証拠及び弁論の全趣旨により容易に認めることができる事実)
  (1) 原告は,平成18年4月1日,被告との間で原告を賃借人,被告を賃貸人として,以下の内容の本件賃貸借契約を締結した(甲1)。

   ア 賃貸借物件・・・・  京都市 a区b町 c-de号室(以下「本件物 件」 という。)
   イ 契約期間・・・・  平成18年4月1日から平成20年3月31日まで
   ウ 賃料・・・・  1か月5万8000円
   エ 保証金・・・・  35万円
   オ 解約引き・・・・  30万円(以下「本件敷引金」という。)
   カ 更新料・・・・  賃料2か月分

  (2) 本件賃貸借契約にかかる契約書(以下「本件賃貸借契約書」という。)には以下の条項があった(甲1。なお,同契約書中「甲」は賃貸人たる被告のことであり,「乙」は賃借人たる原告のことである。)。

  第2条(敷金または保証金)
  ① 乙は,敷金(保証金)として頭書(3)記載の金額(35万円)を本契約締結時と同時に甲に差し入れるものとする。但し,敷金(保証金)には,利息を付さない。

  ② 前項の敷金(保証金)は,乙の甲に対する賃料の支払及び損害賠償その他の本契約から生ずる一切の債務を担保する。

  ④ 甲は,敷金(保証金)を返還する際,未納の家賃損害金,滞納損害金,原状回復の為の費用等,乙が甲に支払うべき金額を控除して,その残金を明渡し後60日以内に乙に返還する。但し,敷金(保証金)の額が不足するときには,乙は不足額を直ちに甲に納付しなければならない。

  第3条(賃料及び共益費等)
  ① 賃料及び共益費は,頭書(3)に記載(賃料5万8000円,共益費5000円)するとおりとする。第4条(契約期間)1契約期間は,頭書(2)記載(平成18年4月1日から平成20年3月31日まで)のとおりとする。但し,契約期間満了の2か月以上前に,乙が甲に対し書面により更新拒絶の申出をしない限り,契約は当然に更新されるものとする。但し,第11条第2項に該当する場合(乙の責に帰すべき事由による契約の解除)は本契約を更新することができない。

  ② 乙は合意更新または,前項による法定更新にかかわらず,頭書(3)記載の更新料(賃料2か月分)を支払わなければならない(本件更新料特約)。

  第5条(賃料・共益費の改定)
 第3条に定める賃料及び共益費等が,物価の変動,住宅の維持管理,公租公課等,その他の事由により不相当となるに至ったときは,契約期間中といえども,甲は,家賃・共益費・敷金等を改定することができる。

  第6条(延滞金)乙が賃料及び共益費等の全部又は一部の支払を怠ったときは,乙は甲に対し納付期日から延滞日数に応じ年率(365日あたり)14.6パーセントの割合を乗じて算出した額に相当する延滞金を支払わなければならない。但し,天災等その他不可抗力によるものと甲が認めたときは,これを減免することができる。

  第10条(契約期間内の解約)
  ① 乙は契約期間中といえども,甲に対して書面により2か月以上前の予告期間を定めて,本契約の解約を申し入れることができる。この場合,予告期間満了と同時に本契約は終了する。但し,乙は予告期間にかえて2か月分の賃料相当額を甲に支払うことにより,直ちに解約することができる。

  ③ 甲は契約期間中といえども,乙に対し,6か月以上の予告期間を定めて本契約を解約することができる。

  第13条(原状回復)
  乙もしくは頭書(4)記載の同居人,又はそれらの来訪者その他の乙の関係者が目的物件,本建物設備,及び諸造等を変更,又は毀損した時は,乙は直ちにこれを原状に回復しなければならない。もし,乙が原状に回復しない場合は,甲は乙の費用負担において回復することができる。

 (3) 原告は,被告に対し,平成20年1月15日,本件賃貸借契約を更新するに際し,本件更新料特約に基づき,2年間の契約期間に対する更新料として11万6000円(本件更新料)を支払った。

 (4) 原告は,被告に対し,平成20年5月8日,本件賃貸借契約の解約の申入れを行い,同月31日,本件物件を明け渡した(甲2)。

 (5) 原告は,被告に対し,平成20年6月2日,2か月分の賃料相当額として11万6000円を支払った。

「3 争点及び争点に対する当事者の主張」へ続く

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更新料特約が,消費者契約法10条に該当し無効 (京都地方裁判所 平成21年07月23日判決)2

3 争点及び争点に対する当事者の主張

(1) 本件敷引特約及び本件更新料特約は,法10条に該当するものとして無効といえるか

 ア 原告
 (ア) 賃貸借契約は,賃貸人が賃借人に対して目的物を使用収益させる義務を負い,賃借人が賃貸人に対して目的物の使用収益の対価として賃料を支払う義務を負うことによって成立する契約であり,賃貸目的物の使用収益と賃料の支払が対価関係にあることを本質的な内容とする。そして,民法上,賃借人に賃料以外の金銭的負担を負わせる旨の明文規定は存しないから,賃借人に債務不履行がある場合を除き,賃借人が負担する金銭的な義務としては賃料以外のものを予定していない。
   よって,本件敷引特約及び本件更新料特約のように,賃借人に賃料以外の金銭的負担を負わせる内容の合意は,民法の賃貸借契約に関する任意規定の適用に比し,賃借人の義務を加重するものである。

 (イ) 本件敷引金の法的性質について
   被告は,本件敷引金の法的性質につき,①自然損耗料,②リフォーム費用,③空室損料,④賃貸借契約成立の謝礼,⑤当初賃貸借期間の前払賃料,⑥中途解約権の対価といった要素が渾然一体となったものである旨主張する。
   しかしながら,本件賃貸借契約に際し,本件敷引金がそのような性質を有するものであるとの説明は一切なく,そもそも前記要素は以下のとおりいずれも合理性がない。

 a ①自然損耗料及び②リフォーム費用について
   目的物の通常の使用に伴う自然損耗の修繕費用は賃料で考慮されており,賃料に加えて自然損耗の修繕費用の負担を強いることは賃借人に二重の負担を強いることになることから,本件敷引金に自然損耗料及びリフォーム費用としての要素を含ませることには合理性がない。

 b ③空室損料について
   賃貸借契約は,賃貸目的物の使用収益とこれを使用収益する期間に対応する賃料の支払が対価関係に立つ契約であるから,賃借人の使用収益しない期間の空室賃料について賃借人が負担を強いられる理由はない。

 c ④賃貸借契約成立の謝礼について
   賃料以外に賃借人が謝礼を支払わなければならないというのは不合理であって,賃貸借契約成立の謝礼という要素を含ませることには合理性がない。

 d ⑤当初賃貸借期間の前払賃料について
   現実に使用収益する期間の長短を一切考慮せずに一定金額で賃料を前払させることに合理性はない。そもそも,前払を要するほど賃料が減額されているのか,減額されているとしていくら減額されているのか明らかでないことから,前払賃料という要素を含ませることには合理性がない。

 e ⑥中途解約権の対価について
   中途解約権は,原告のみならず被告にも留保されているから,原告のみが賃貸人(被告)に対して対価を支払わなければならない理由はない。

 (ウ) 本件更新料の法的性質について
    被告は,本件更新料の法的性質につき,①更新拒絶権放棄の対価,②賃借権強化の対価,③賃料の補充,④中途解約権の対価といった要素が渾然一体となったものである旨主張する。
 しかしながら,本件賃貸借契約に際し,本件更新料がそのような性質を有するものであるとの説明は一切なく,そもそも前記要素は以下のとおりいずれも合理性がない。

 a ①更新拒絶権放棄の対価について
   賃貸人の更新拒絶は,正当事由があると認められる場合でなければすることができず(借地借家法28条),居住用建物の賃貸借契約の場合,正当事由が認められることはほとんどない。また,賃貸人の更新拒絶は,期間満了の6か月前までに行使しなければならず(同法26条1項),合意更新がなされる場合,すでに賃貸人による更新拒絶権行使の期間が徒過しており,更新拒絶権が発生しないことが確定している場合がほとんどである。よって,本件更新料を更新拒絶権放棄の対価とみることはできない。

 b ②賃借権強化の対価について
   本件賃貸借契約において,賃貸人に中途解約権が留保されており,賃借権は全く強化されていない。また,居住用建物の賃貸借の場合,契約期間が短く,法定更新の場合と比べ,合意更新によって賃借権を確保するという実質的な意味はほとんどない。そもそも,賃貸人の正当事由に基づく解約が認められる場合はほとんどなく,本件更新料には賃借権を強化するという要素はない。

 c ③賃料の補充について
   現実に使用収益する期間の長短を一切考慮せず,一定金額で賃料を補充させることに合理性はない。そもそも,賃貸借期間が1,2年と短期に設定されている居住用建物の賃貸借の場合,その期間内に賃料の不足分が生じるとは考えにくく,更新料によって賃料を補充する必要性に欠ける。法定更新の場合に更新料が支払われないことについて全く説明ができないことからも,その不合理性は明らかである。

 d ④中途解約権の対価について
   賃借人が中途解約権を留保している一方,賃貸人も中途解約権を留保しているのであり,賃借人だけがさらに対価を支払わなければならない理由はない。そもそも,本件賃貸借契約においては,更新前からすでに中途解約権が留保されており,更新料と対価関係を見出すことはできない。

 e そして,全国的には居住用建物の賃貸借において更新料の定めを設けることは例外的であること,国土交通省が推奨する賃貸住宅標準契約書においても更新料の定めはないこと,公営住宅の賃貸借契約においては更新料の定めがないこと,住宅金融公庫融資物件について,更新料支払条項を設けることは賃借人に不当な負担を課すことから上記定めを設けることが罰則により禁止されていたこと等からしても,本件更新料特約が不合理であることは明らかである。

 (エ) 賃貸事業者と消費者である賃借人との交渉力の格差からすれば,敷引特約及び更新料特約を賃借人が交渉によって排除することは事実上不可能である。仲介業者は賃貸物件を媒介する業者であり,賃借人の情報の質及び量並びに交渉力の格差を是正することを業務とはしていない。また,契約内容につき説明され理解したようにみえても,実は情報の質及び量並びに交渉力の格差を背景に,賃貸事業者によって定められた契約内容が賃借希望者に対して一方的に押しつけられているのが現実であるから,契約条項自体が不当であれば無効となる。

 そして,前記(イ)及び(ウ)のとおり,本件敷引金及び本件更新料にはいずれも合理的な法的性質は認められないにもかかわらず,賃借人(原告)に対してそれぞれ30万円(敷引率約86パーセント,賃料の約5.2か月分)及び11万6000円(賃料の2か月分)もの金員の負担を強いている。

 賃借人の金銭的な義務は,あくまで賃料支払義務であり,それ以外に敷引金及び更新料を賃借人に負担させる正当な理由は何ら存在しないところ,本件賃貸借契約における賃料額が近隣同種物件の標準賃料額に比し低額に設定されている事実はない。

 (オ) 以上の事情を総合考慮すると,本件敷引特約及び本件更新料特約は,民法1条2項の規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものであるから,法10条により無効である。

イ 被告
 (ア) 本件敷引金の法的性質
   本件敷引金は,以下のとおり,①自然損耗料,②リフォーム費用,③空室損料,④賃貸借契約成立の謝礼,⑤当初賃貸借期間の前払賃料,⑥中途解約権の対価といった要素が渾然一体として含まれる金員であり,合理性を有する。

 a ①自然損耗料について
   自然損耗についての修繕費用を月々の賃料という名目だけで回収するか,月々の賃料という名目だけではなく,保証金・敷引金という名目によっても回収するかは,地域の慣習などを踏まえて,賃貸人の判断に委ねられている事柄であり,本件敷引特約は,自然損耗料を賄うものである。

 b ②リフォーム費用について
   リフォームの程度は,賃貸期間の長短と直接の関係はなく,1,2年程度の短期間の賃貸借であっても,相当程度のリフォームが必要となるところ,賃貸借期間がどの程度継続するか予測し難いため,リフォームを含めた適正な賃料額を設定することは困難である。そのため,リフォーム費用を賃借人の負担とし,かつ,それを固定額として賃料とは別の名目で回収することは合理的である。

 c ③空室損料について
   賃貸事業は,ある賃借人に賃貸してから次の賃借人に賃貸を開始するまでを1クールとして完結する事業であるところ,空室期間の賃料相当分を賃借人の負担とし,かつ,それを固定額として賃料とは別の名目で回収することは合理的である。

 d ④賃貸借契約成立の謝礼について
   不動産の賃貸借契約は賃貸人と賃借人の人的信頼関係で結ばれていること,賃貸借契約により賃借人が取得する権利はそれ自体が経済的価値を持つ権利性の強い権利であること等から,かかる賃借人たる地位を得た対価としての礼金を授受することには十分に合理性がある。

 e ⑤当初賃貸借期間の前払賃料について
   本件賃貸借契約においては,月払の賃料額を低額に抑えつつ,一部を賃料の前払として敷引金に含ませ,その合計をもって実質賃料としているのであるから,何ら不合理なものではない。

 f ⑥中途解約権の対価について
  本件賃貸借契約で留保される賃貸人の中途解約権は,借地借家法30条に反し無効であるから,実質的には中途解約できない。すなわち,期間の定めのある本件賃貸借契約の場合,正当事由があったとしても賃貸人の意思のみによって中途解約権を行使することはできない。仮に,賃貸人の中途解約権を定める条項が有効であったとしても,賃貸人が中途解約権を行使するためには正当事由が必要であり,その有無は厳格に判断されるため,両当事者に対等性はなく,賃借人に有利な中途解約権が付与されている。

 (イ) 本件更新料の法的性質
   本件更新料は,以下のとおり,①更新拒絶権放棄の対価,②賃借権強化の対価,③賃料の補充,④中途解約権の対価といった要素が渾然一体として含まれる金員であり,合理性を有する。

 a ①更新拒絶権放棄の対価について
   本件更新料は賃貸人の更新拒絶権を放棄することの対価としての性質を有し,また,更新料の支払を約することによって,画一的に更新拒絶権行使に伴う紛争を回避する目的もあり,合理性を有する。

 b ②賃借権強化の対価について
   本件更新料の支払により,本件賃貸借契約が期間の定めのある賃貸借契約として更新され,賃貸人からの解約申入れがなされないこととなり,これにより賃借権が強化されることの対価としての性質を有する。なお,賃貸人の中途解約権は,借地借家法30条により無効である。

 c ③賃料の補充について
   賃貸人及び賃借人は,月額賃料等と同様,更新料について目的物件を使用収益させる(する)対価として把握していると考えるのが合理的意思解釈として妥当である。そして,本件更新料は,2年間の更新期間ごとに支払われることが約定されており,使用収益期間と更新料支払との相関関係が肯定されることから,本件更新料は,賃借人の使用収益期間に対応した賃料の補充的性質を有する。

 d ④中途解約権の対価について
   賃貸人の中途解約権は,借地借家法30条により無効であることから,賃借人にのみ片面的に中途解約権が付与されることになる。仮に,賃貸人の中途解約権を定める条項が有効であったとしても,賃貸人が中途解約権を行使するためには正当事由が必要とされ,その有無は厳格に判断されるため,中途解約に関して両者間に対等性はなく,賃借人に有利な中途解約権の付与にあたる。

 (ウ) 本件敷引特約及び本件更新料特約は,前記の法的性質や契約当事者の意識等から,契約の要素と主たる給付の対価という核心的部分又は中心的部分の条項に該当し,専ら当事者の自由意思によって決定される事項であり,比較すべき適切な対象基準がそもそも存在しないことから,法10条は適用されない。

 (エ) 居住用建物の賃貸借において賃借人は,物件の所在・設備・広さ等とともに経済的な負担(賃料・共益費・礼金・敷金・更新料等)を比較検討した上で賃借する物件を選択する。このことから,賃貸借契約の締結にあたっての賃料額の算出において,さまざまな要素を斟酌し盛り込むことは,民法が当然に予定し,許容しているものである。そして,本件敷引金及び本件更新料は,前記の法的性質のとおり,賃借人の使用収益と対価関係に立つものであるから,月額賃料と合算して全体として実質賃料を構成するから,その総額が不合理でない限り,民法601条に比して消費者の義務を加重するものではなく,法10条1項前段に該当しない。また,敷引及び更新料については,事実たる慣習となっており,法10条1項前段所定の「民法その他の法律の公の秩序に関しない規定」に含まれる(民法92条)から,本件敷引特約及び本件更新料特約が法10条1項前段に該当することはない。

 (オ) 法10条1項後段の要件は,当該契約条項を有効とすることによって消費者が受ける不利益と当該契約条項を無効とすることによって事業者が受ける不利益とを利益衡量し,消費者の受ける不利益が信義則に反し均衡を失するといえるほどに一方的に大きいといえる場合にのみ,当該契約条項を無効とするものと解すべきである。

 居住用建物の賃貸借においては,平成12年時点において,空家率が15パーセントを超えるなど賃借人が自己の希望する条件に適合する,あるいはこれに近い物件を選択することが十分に可能な状況となっていたこと,賃貸人が個人経営者であるのに対して,賃借人はインターネット・情報誌等により容易に大量の情報を手に入れることができること,本件賃貸借契約の締結にあたっては,京都ライフが原告の仲介業者としてその契約締結交渉及び手続をしていたことなどから,両当事者に法が想定するような情報及び交渉力の格差はなかった。

 そして,本件賃貸借契約における賃料は,本件敷引特約及び本件更新料特約を前提として,近隣類似物件に比し,低廉に設定されている。

 また,本件敷引特約及び本件更新料特約は,本件賃貸借契約にかかる契約書に明示されており,原告はこれを十分に理解した上で本件賃貸借契約を締結し,本件敷引特約については誓約書まで提出している。

 原告は,本件敷引特約及び本件更新料特約を納得・了承して本件賃貸借契約を締結しており,これらの特約が有効とされても,もともと自ら承知していた負担を負うだけのことであり,不測の損害を被ることはない。他方,被告は本件敷引金及び本件更新料を含めてマンション経営全体の収支を計算し,その上で月額賃料額を設定しており,仮にこれらの特約が無効とされると,被告は不測の損害を被る。

 以上のとおり,本件敷引特約及び本件更新料特約は,内容に合理性があり,社会的にも承認されていたこと,原告被告間に情報力や交渉力の格差は存せず,原告の受ける不利益が被告の受ける不利益に比べて一方的に大きいとはいえないことなど諸般の事情を総合考慮すると,本件敷引特約及び本件更新料特約は法10条1項後段に該当しない。

「(2) 本件賃貸借契約を清算する和解が成立したといえるか」へ続く

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更新料特約が,消費者契約法10条に該当し無効 (京都地方裁判所 平成21年07月23日判決)3

(2) 本件賃貸借契約を清算する和解が成立したといえるか
 ア 被告
   本件物件の明渡しに際し,原告と被告代理人有限会社アドバンスは,原状回復費用その他本件賃貸借契約にかかる清算問題について協議した。その結果,①被告が原告に対し特別損耗にかかる原状回復費用を請求しないこと,②被告が預かっている保証金35万円につき本件敷引特約を適用し,5万円を平成20年7月31日までに原告に返還すること,③原告が被告に対し2か月分の賃料相当額を速やかに支払うこと,を内容とした和解(以下「本件和解」という。)が成立した。原告は,本件賃貸借契約書第10条1項により,2か月以上前の予告期間を定めてするか,2か月分の賃料相当額を解約権行使時に支払うことによって本件賃貸借契約の解約告知を行うことができるが,本件ではそのいずれの要件も満たしていなかった。それにもかかわらず,被告は,原告に対し,本件賃貸借契約を平成20年5月31日をもって終了させる点で譲歩している。また,2か月分の賃料相当額について,本件賃貸借契約書第6条により,年14.6パーセントの割合による3日分の遅延損害金の支払義務を負うところ,被告は原告に対し,この遅延損害金の支払義務を免除した点で譲歩している。20日までに退去する旨誓約していたにもかかわらず,この違反を不問とする点で譲歩している。

  そして,原告は被告に対し,本件和解に基づき,平成20年6月2日,11万6000円を支払った。
  本件和解は,本件賃貸借契約の終了にかかる問題をすべて解決する趣旨のものであり,本件和解により,原告は,被告に対し,本件敷引特約適用後の預かり保証金残額5万円の返還請求権のみを有するものであり,本件敷引金及び本件更新料の返還請求権を有しない。

 イ 原告
   被告の前記アの主張は否認ないし争う。
   和解は,当事者が互いに譲歩をしてその間に存する争いをやめることを約する契約であるところ,被告主張の本件和解は,賃借人である原告のみに譲歩を強いるもので互譲がない。原状回復費用はそもそも賃貸人が負担すべきものであるから,被告が原告に対して請求しないのは当然である。本件賃貸借契約において,特別損耗部分は生じていない。また,敷引部分に該当しない金員を賃貸人が賃借人に返還するのは当然である。
  なお,本件契約の中途解約は,2か月以上前の予告期間を定めてするか,2か月分の賃料相当額を支払うことによって行うことができるが,あらかじめ2か月分の賃料を支払うことまで要求するものではない。また,誓約自体有効性に疑義があるし,原告は31日に退去することにつき被告から了解を得ていた。

 (3) 原告の本件請求が信義則に反するといえるか
 ア 被告
  (ア) 本件賃貸借契約における賃料は,近隣同種物件の標準賃料に比し,低額に設定されている。

  (イ) 原告は,被告に対し,駐車場に空きがないにもかかわらず,駐車場がなければいずれ出て行かなければならなくなる旨申し向けて,駐車場の賃貸を申し込んだ。被告は,原告の申込みに困惑したが,原告に退去される事態を避けたいとの思いから,平成19年12月23日,やむなく自らが使用していた駐車場を空け,原告に賃貸した。その際,原告は「マンションも借りてるんだから,安くしてよ。」と値段交渉を行い,被告はやむなく月額1万7000円のところを月額1万6000円とする減額に応じた。これにより,被告は自動車通勤をすることができなくなり,自転車通勤を余儀なくされた。さらに,原告は被告に対し,平成20年1月ころ,駐車場が狭いことを理由に駐車場の場所の変更を何度も要求していたところ,別の駐車場が空くことから被告はこれにやむなく応じ,本来その場所に決まっていた者との交渉をしてまで対処した。原告は,これにより自己の自動車を新たな駐車場に移動する必要があったが,期日までに移動させず,被告は,本来そこに駐車する予定であった者からのクレーム対応に忙殺された。

  (ウ) 前記(イ)のとおり,被告は原告が本件物件の賃借人であることから,駐車場契約をし,利用することができるよう種々の便宜を図ってきたにもかかわらず,原告が本件請求をすることは信義則に反し,許されない。

 イ 原告
  被告の主張は否認ないし争う。

 (4) 被告による弁済の提供があったか
 ア 被告
  被告は,原告代理人A(以下「A」という。)に対し,平成21年9月1日,本件賃貸借契約に基づき本来返還すべき5万円を含めた20万円を返金する旨申し出た。しかし,Aは,その受領を拒否した。
 イ 原告
  被告の前記アの主張は認める。Aは,原告から本件敷引金及び本件更新料の合計46万6000円の返還請求を依頼されていたため,20万円では応じられないことから,上記のとおり拒否した。

「第3 当裁判所の判断」へ続く

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更新料特約が,消費者契約法10条に該当し無効 (京都地方裁判所 平成21年07月23日判決)4

第3 当裁判所の判断

 1 本件敷引特約及び本件更新料特約は,法10条に該当するものとして無効といえるか(争点(1))
 (1) 前提事実及び弁論の全趣旨によれば,原告は法2条1項の「消費者」に,被告は同条2項の「事業者」にそれぞれ該当し,本件賃貸借契約に法が適用される。

 (2) 本件敷引特約及び本件更新料特約が民法,商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し,消費者の権利を制限し,又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項といえるかについて検討する。

ア 本件敷引特約について
   賃貸借契約は,賃借人による賃借物件の使用とその対価としての賃料の支払を内容とする契約であり(民法601条),賃借人が賃料以外の金員の支払を負担することは賃貸借契約の基本的内容に含まれない。そして,居住用建物の賃貸借の場合の保証金は,敷金と同様,賃料その他の賃借人の債務を担保する目的をもって賃貸借契約締結時に賃借人から賃貸人に交付される金員であり,賃貸借契約終了の際に賃借人の債務不履行がないときは賃貸人はその金額を返還するが,債務不履行があるときはその金額中より当然弁済に充当されることを約束して授受する金員を指すことが多く,本件賃貸借契約書(甲1)第2条にも,その趣旨が規定されている。

   しかしながら,本件敷引特約については,全く返還を許さない趣旨のものなのか,原状回復にその程度の費用を要することがあることを考慮して,基本的には返還しないが,そのような費用を要しなかったことが具体的に明らかになった場合には,本件敷引特約を適用しないこととするかについて,明瞭な約定がされていたものとは評価し難い。

   さらに,将来返還される余地のない金員として,本件敷引金のような金員を授受することが慣習化していることを認めるに足りる証拠はない。

   こうしたことを考慮すると,本件敷引特約は,その法律上の性質ないし意味合いを明確にしないまま,民法その他公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し,消費者の義務を加重したものといえる。

イ 本件更新料特約について
  前記アのとおり,賃借人が賃料以外の金員の支払を負担することは賃貸借契約の基本的内容に含まれないところ,本件更新料特約では,賃借人が賃貸人に対し,契約更新時に賃料の2か月分相当額の更新料を支払うこととされている(前提事実(1)カ)。そして,本件更新料が,賃料の補充としての性質を有しているといえるかは後記のとおり疑問であるし,仮にその性質を有していたとしても,その支払時期が早い点(民法614条参照)で賃借人の義務を加重する特約であるといえる。
    さらに,更新料を授受することが慣習化していることを認めるに足りる証拠はない。
    そうすると,本件更新料特約は,民法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し,消費者の義務を加重したものといえる。

 (3) 本件敷引特約及び本件更新料特約が民法1条2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するといえるかについて検討する。

 ア 民法1条2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するか否かは,消費者と事業者との間に情報の質及び量並びに交渉力の格差があること(法1条)にかんがみ,当事者の属性や契約条項の内容,そして,契約条項が具体的かつ明確に説明され,消費者がその条項を理解できるものであったか等種々の事情を総合考慮して判断すべきである。

   前提事実及び弁論の全趣旨によれば,原告は,居住用として本件物件の賃借人となった者であるのに対し,被告は,貸家業を営み,多くの借家人と賃貸借契約を締結してきたのであって,建物賃貸借に関する情報(礼金,保証金,更新料等を授受するのが通常かどうか,同種の他の物件と比較して本件賃貸借契約の諸条件が有利であるか否か)を継続的に得ることができる立場にあり,このような情報に接してきた期間にも差があるものと推認できるのであって,両者の間に情報収集力の格差があることは否定できない。

 イ 本件敷引特約について
  (ア) 本件敷引特約は,保証金35万円からそのうち30万円を無条件に差し引くものであるが,賃借人(原告)としては本件物件を借りようとする以上,支払わざるを得ないものであり,特に本件賃貸借契約のように4月から入居しようとする場合,賃借希望者が多数存在することから競争原理が強くはたらく結果,原告としては本件敷引特約について交渉する余地はほとんどなかったものと考えられる。そして,本件敷引金は,保証金の約85パーセントに相当し,月額賃料の約5か月分にも相当するものであり,保証金,賃料に比して高額かつ高率であり,消費者である原告にとって大きな負担となる。

  (イ) 被告は本件敷引金の法的性質について,①自然損耗料,②リフォーム費用,③空室損料,④賃貸借契約成立の謝礼,⑤当初賃貸借期間の前払賃料,⑥中途解約権の対価といった要素があり,これらの要素が渾然一体として含まれる本件敷引金には合理性がある旨主張するので,各要素について検討する。

 a ①自然損耗料及び②リフォーム費用について
   賃貸借契約は,賃借人による賃借物件の使用とその対価としての賃料の支払を内容とするものであり,賃借物件の損耗の発生は,賃貸借という契約の本質上当然に予定されているものである。そのため,建物の賃貸借においては,賃借人が社会通念上通常の使用をした場合に生ずる賃借物件の劣化又は価値の減少を意味する通常損耗にかかる投下資本の減価の回収は,通常,賃貸人が減価償却費や修繕費等の必要経費分を賃料の中に含ませてその支払を受けることにより行われているところ(最高裁平成16年(受)第1573号同17年12月16日判決・判例タイムズ1200号127頁),本件全証拠をもってしても,京都市内においてこれと異なる慣習等が存在するとは認められない。そうすると,通常損耗の回復費用は賃料を適正な額とすることによって回収するのが通常というべきであって,敷引金という形で賃借人に負担を転嫁することには合理的理由があるとはいえない。
  また,リフォーム費用も,通常損耗部分の補修のために支出される側面が多く,本件全証拠をもってしても,本件物件について通常損耗がなかったが,良質な居住環境を提供するためにリフォームを行うこととしているなど,そうしたことへの対価として返還を要しない礼金を授受することが適当とみられるような状況が存在したとまでは認め難い。そうすると,本件においては,リフォーム費用を敷引金という形で賃借人に負担を転嫁することには合理的理由があるとはいえない。

 b ③空室損料について
   賃貸人による投下資本(賃貸物件)の回収は,原則として賃料の支払を受けることにより行われているのであるから,空室期間(すなわち,賃借人が使用収益しない期間)の賃料が得られないことによるリスクは賃貸人が負うべきである。そのため,建物の賃貸借契約では,賃貸人のリスクを避けるため,賃借人からの解約も一定期間の経過をもって終了することとされている(民法617条,本件賃貸借契約書第10条1項参照)。
   そうすると,賃借人が賃貸事業者である被告に対して,使用しない期間の空室損料を支払わなければならない合理的理由があるとはいえない。

 c ④賃貸借契約成立の謝礼について
   賃貸借契約が成立することにより賃貸人も利益を受けるのであり,賃借人のみに賃貸借契約成立の謝礼を一方的に負担させる合理的理由があるとはいえない。

 d ⑤当初賃貸借期間の前払賃料について
   本件賃貸借契約において,本件敷引特約が設定されていることにより賃料が低額にされているかは本件全証拠によっても明らかではない。また,前記aのとおり,賃貸借契約は,賃借人による賃借物件の使用とその対価としての賃料の支払を内容とするものであるから,実際に賃借人が使用する期間にかかわりなく,本件敷引金に賃料前払の要素があるとする合理的理由は見出せない。
   さらに,更新後の賃貸借期間については更新料という名目で同様の趣旨の金員支払を求め,本件賃貸借契約を締結する当初には解約引きとして,この意味合いを有する金員支払を求めることは,賃貸人に都合の良い説明であるといわざるを得ず,本件敷引特約が具体的かつ明確に説明され,消費者がその条項を理解できるものであったかという観点からすると,消費者(原告)が上記5の要素があるものと理解することはできなかったと考えざるを得ない。

 e ⑥中途解約権の対価について
   本件賃貸借契約書第10条2項により,賃貸人にも中途解約権は留保されており,その対価を賃借人に一方的に負担させる合理的理由があるとはいえない。

 (ウ) 以上のとおり,被告が主張する本件敷引金の性質に合理的理由は認められず,その趣旨は不明瞭であるといえる。

 (エ) 前記(ア)ないし(ウ)で指摘した点を考慮すると,本件敷引金を賃借人に負担させるには,その旨が具体的かつ明確に説明され,賃借人がその内容を認識した上で合意されることが必要であり,そうでない以上,民法1条2項に規定する基本原則(信義則)に反して賃借人の利益を一方的に害するものというべきである。

 (オ) 前提事実及び弁論の全趣旨によれば,原告は仲介業者を介し,契約内容の説明を受けていたこと,本件賃貸借契約書(甲1)に「解約引き30万円」の記載があったことが認められ,原告は本件敷引特約の存在自体は認識していたといえる。しかしながら,原告が被告から被告主張のような本件敷引特約の趣旨,すわなち,本件敷引金30万円がどのようにして決められたのか,自然損耗料,リフォーム費用,空室損料,賃貸借契約成立の謝礼,当初賃貸借期間の前払賃料,あるいは,中途解約権の対価の要素を有するのかということについて,具体的かつ明確な説明を受けていたとは本件全証拠によっても認められない。
 (カ) よって,本件敷引特約は,法10条に該当し,無効である。

ウ 本件更新料特約について
 (ア) 本件更新料特約は,賃料2か月分として11万6000円を支払うものであるが,賃借人として本件物件を(たとえ1か月でも)継続して借りようとする以上,その全額を支払わなければならないものであり,原告としては本件更新料特約について交渉する余地がほとんどない。また,賃借人としては,遠隔地に居住する必要がある場合等の外は,引き続いて当該物件を借りるのが一般的であるところ,証拠(甲21)によれば当該物件を選ぶ際に更新料の存在及びその額を知り得ないこともあり,更新料まで考慮して契約を締結することは困難である。そして,本件更新料特約による更新料は,契約期間2年に対し月額賃料の2か月分を支払うものであること,正当事由(借地借家法28条)の有無に関係なく支払わなければならないこと,法定更新なら全く金員を支払う必要がないことからすると,原告にとって大きな負担となる。

 (イ) 被告は本件更新料の法的性質について,①更新拒絶権放棄の対価,②賃借権強化の対価,③賃料の補充,④中途解約権の対価といった要素があり,合理性がある旨主張するため,各要素について検討する。

 a ①更新拒絶権放棄の対価について
   建物の賃貸借において,賃貸人に明渡しの正当事由(借地借家法28条)がない限り,賃借人は何らの対価的な出捐をする必要がなく,継続して賃借物件を使用することができるところ,居住用建物の賃貸借において,賃貸人が当該物件の使用を必要とする事情は通常想定できず(本件においても,弁論の全趣旨から,一般に行われている居住用建物の賃貸借と同様,専ら他人に賃貸する目的で建築された居住用建物の賃貸借であることが認められる),正当事由が認められる可能性はほとんどないことから,更新拒絶権放棄の対価という要素に合理的理由があるとはいえない。

 b ②賃借権強化の対価について
   居住用建物の賃貸借の場合,前記aのとおり,正当事由が認められる可能性はほとんどないため,期間の定めのない賃貸借と定めのある賃貸借とで賃借権の保護の度合いは実質的に異ならず,賃借権強化の対価という要素に合理的理由があるとはいえない。

 c ③賃料の補充について
   本件更新料特約では,更新後の実際の使用期間(前提事実のとおり,本件では更新後2か月経過時点で明け渡している)の長短にかかわらず,賃料の2か月分を支払わなければならないのであり,使用収益に対する対価である賃料の一部として評価することはできない(上記のように更新後,短期間で賃貸物件を明け渡した場合でも,残期間に対応する更新料が返還されることはうかがえない。)。
   さらに,賃料増減額請求訴訟において,その対象に更新料も含まれることを前提としていることはほとんどないこと及び同請求訴訟の審理において賃料の適正額を判断する際,通常,更新料の額まで考慮されることは稀であることからも,更新料が賃料の補充の性質を有しているとはいえず,本件更新料に賃料の補充という要素があるという点に合理的理由があるとはいえない。

 d ④中途解約権の対価について
   本件賃貸借契約書第10条2項により,賃貸人にも中途解約権が留保されており,その対価を賃借人に一方的に負担させる合理的理由があるとはいえない。

 (ウ) 以上のとおり,被告が主張する本件更新料の性質に合理的理由は認められず,その趣旨は不明瞭であるといえる。

 (エ) 前記(ア)ないし(ウ)で指摘した点を考慮すると,本件更新料を賃借人に負担させる場合は,その旨が具体的かつ明確に説明され,賃借人がその内容を認識した上で合意されることが必要であり,そうでない以上,民法1条2項に規定する基本原則(信義則)に反して賃借人の利益を一方的に害するものというべきである。

 (オ) 前提事実及び弁論の全趣旨によれば,原告は仲介業者を介して契約内容の説明を受けていたこと,本件賃貸借契約書(甲1)に「更新料賃料の2か月分」の記載があったことが認められ,原告は本件更新料特約の存在自体は認識していたといえる。しかしながら,原告が被告から被告主張のような本件更新料特約の趣旨,すわなち,本件更新料が更新拒絶権放棄の対価,賃借権強化の対価,賃料の補充,あるいは,中途解約権の対価の要素を有するということについて,具体的かつ明確な説明を受けていたとは本件全証拠によっても認められない。

 (カ) よって,本件更新料特約は,法10条に該当し,無効である。

2 本件賃貸借契約を清算する和解が成立したといえるか(争点(2))
  被告は,本件和解により,原告は被告に対し,本件敷引特約適用後の預かり保証金残額5万円の返還請求権を有するのみであり,本件敷引金(30万円)及び本件更新料(11万6000円)の返還請求権を有しない旨主張する。

  しかしながら,賃貸借契約解除・金銭明細書(甲2)には,「尚,保証金等のお預けしています金銭より私の支払うべき費用(下記諸費用・別紙見積書・請求書)を全て清算することに了承いたします。また,清算後不足金が有る場合は,下記お約束の期日までに遅滞なくお支払いいたします。」と記載されていることが認められるが,それ以上に原告が不当利得返還請求権を有する場合にどのように処理するのかについては特段の記載がされていないし,本件全証拠をもってしても,その点に関する何らかの合意がされていたとは認められない。そうすると,被告が利得分を保持すべき法律上の原因が存在するとはいえない。

  また,民法705条の趣旨に照らせば,本件敷引特約及び本件更新料特約が法10条により無効である以上,賃借人(原告)が上記無効により本件敷引金及び本件更新料の返還を求めることができることを知りながら,あえて契約を締結するとか,こうした請求権を放棄する旨の明確な意思表示がされていない限り,不当利得返還請求権を有するものと解するのが相当である。

  本件において,被告が本件和解の証拠として掲げる賃貸借契約解除・金銭明細書(甲2)を含む本件全証拠によっても,原告が上記に述べる返還請求権を放棄する意思を明確に表示していたとは認められない。よって,被告は本件賃貸借契約を清算する和解が成立したとして不当利得返還 義務を免れることはできない(争点(2)についての被告 の主 張は 理由 がない。)。

3 原告の本件請求が信義則に反するといえるか(争点(3))
  被告は,上記第2の3(3)アのとおりの事情を述べて,本件請求をすることは信義則に反し許されない旨主張する。
  しかしながら,本件全証拠によっても,本件賃貸借契約に定める賃料が低額に設定されているかは明らかでないこと,駐車場に関する被告主張の事実が認められるとしても,本件賃貸借契約とは直接関連しない事情であることや,前記1で検討した本件敷引特約及び本件更新料特約の不合理性を考慮すると,原告が本件請求を行うことが信義則に反するとは評価できず,被告の上記主張は失当である。

4 被告による有効な弁済の提供があったか(争点(4))
  弁論の全趣旨によれば,被告は,Aに対し,平成21年9月1日,本件賃貸借契約に基づき本来返還すべき5万円を含めた20万円を返金する旨申し出たこと,Aはその受領を拒否したことが認められる。しかしながら,前記1で検討したとおり,原告は被告に対し,46万6000円の返還請求権を有しているところ,被告の弁済の提供は,その半額以下の20万円であるから,有効な弁済の提供とはならない。したがって争点(4)についての被告の主張は理由がない。

5 結論
  以上によれば,原告の請求は理由があるからこれを認容することとし,訴訟費用の負担につき民訴法61条を,仮執行の宣言につき同法259条1項を,それぞれ適用して,主文のとおり判決する。

     京都地方裁判所第6民事部

           裁判長裁判官  辻 本  利 雄

           裁判官      和 久   田 斉

           裁判官      戸 取   謙 治


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2010年1月20日 (水)

地上げ屋の面会強要に警告書を玄関に貼り出す (東京・板橋区)

 5年前に、板橋区に住むSさんたちのグループは、従前の地主が相続税の支払のために関西の不動産会社に底地を売買してしまった。その後、買取った新地主の代理人と称する元地上げ屋との間で、地代の集金や底地の売買の話し合いなどでトラブルなどが生じた。底地を買取るか売って出て行くか2つのうちの1つを早急に選べと強要され、警察を呼ぶなどの事件もおき、組合に入会した。

 組合は、その元地上げ業者に対して、「面会を強要した場合は、警察に通報し、それでも強要する行為をやめない場合は、法的手段をとる」と警告書を作成し、玄関に貼り出すとともに、内容証明郵便で地主に通知した。この警告書に対応し、相手の地主は弁護士を立ててきた。話し合いは、組合が窓口になって行い、地代の支払いについては銀行振込で合意し、売買の交渉は弁護士を通じて行うことになった。しかし、金額の面で折り合いがつかず、そのままとなり平穏な生活が戻った。

 今年、10月になってまた地主がかわり、新しい地主の代理人と称する関西の会社の社員が訪問して来た。組合では、新地主であるという登記簿謄本や代理人であるという正式なの委任状の提出をするまでは話し合う必要がないことを通知した。今回の業者は、買えない人もいるので、買い取りを希望する人との間で話を詰めていきたいという一方で、借地人の皆さんとは売るか買うかで借地契約を解約したいと本音を出してきている。

東京借地借家人新聞より


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2010年1月18日 (月)

定期借家契約裁判で和解 (東京・大田区)

 大田区南蒲田に所在する木造トタン葺き2階建て店舗兼共同住宅の内、階下正面左側店舗面積約4坪を平成17年12月に契約期間2年の定期建物賃貸借契約を締結したMさんは契約締結の際に不動産業者から2年で終わりではないと言われていた。

 2年目の平成19年12月の期間満了になっても家賃は受領するので、このまま契約は継続されるものと思っていたら、平成20年9月に家賃を持参したら、家主代理人の仲介業者から期間満了しているのだから早めに建物を明渡すようにとMさんは通告された。

 知人の紹介で組合に入会し頑張ることを決意し、家主の明渡予告通知を怠ったことを理由に明渡を拒否した。即刻、裁判となるが判決でなく、和解の席で家主より家賃の30か月分の補償金が提示されて、年明けの1月末に明渡すことでこの程合意した。

 Mさんは、家主側のミスで補償させることができたが、定期借家制度は家主の権利を保障する制度であり、「定期」という契約は拒むことが肝心である。

東京借地借家人新聞より


「Q&A 契約期間満了後に定期借家契約の終了通知が届いた場合はどうなるのか


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2010年1月15日 (金)

借地権付き住宅を購入したところ、隣地に建物が越境しているとクレームが (東京・荒川区)

 荒川区西日暮里に住むAさんは29年前に土地付き住宅を購入した。
 その後、平成17年6月に隣の借地権付き2階建て建物の住宅を購入し、合気道道場を開設した。
 その際に仲介業者から他の借地人との間も一切問題なしとの説明を受け、重要事項説明書 と物件状況等の報告書を受け取り、建物のリフォーム承諾も地主から取り、12月にリフォームが完成した。

 ところが翌年18年に突然地主が側の測量士が周りの測量を始め、Aさんが道場として使用している建物が隣の借地人の地所に1.62坪越境しているので建物を壊せと言ってきた。

 話合いは平行線でこの4年間はノイローゼになっていたところ組合を知り入会した。先日、組合立会いの上、地主・仲介業者・借地人と話し合いを行った結果、Aさんが改築するまで現状維持で行くことを確認した。


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2010年1月14日 (木)

定期借家契約の中途で契約解除をちらつかせて家賃と管理費を値上げ要求(東京・文京区)

 文京区春日に住む中村さんは、ルームシェアー・ゲストハウスなどと言われている居住形態でマンションに住んでいる。

 中村さんが居住しているゲストハウスは、1部屋に2段ベットが4つあり、シャワーや洗濯などの使用は100円から200円かかるなどの条件で住んでいる。個人がプライバシーを守れるのは、ベットをカーテンでしきっている中だけという状況であった。

 今年の3月に4月までの2ヶ月の定期借家契約で契約し、その後、再契約し11ヶ月の定期借家契約で住み始めたところ、10月に家賃と管理費の値上げを通知してきた。30から40%近い値上げで納得がいかないという相談で、賃料の値上げは双方の合意が原則で、一方的な値上げは認められないという通知をすることをすすめた。しかし、そのような通知をすれば、今後、再契約は認められないことを理解したうえで回答することをすすめた。

 中村さんは、早速、値上げは認められないという通知をしたところ、貸主からは再契約拒否の回答があった。

 定期借家契約はこのように貸主の賃料の値上げに対しても、受け入れない借主には再契約拒否という点で賃借人には極めて不利な契約で、この物件でもほとんどの人が再契約希望の場合は値上げを認めざるを得ないということになった。 

東京借地借家人新聞より

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2010年1月13日 (水)

更新料の支払いを拒否すると・・・・・・(東京・足立区)

 東武伊勢崎線竹の塚駅から10数分の所に親の代から20坪の借地をしているMさんは先日地主から呼び出しを受けた。

 地主の所に行ってみると、供託の原因になった更新料の不払いを地主が問題にしてきたので、Mさんは「法律上支払いの義務のない更新料を支払うつもりはない」と回答した。

 すると地主は「10数年前に私道に埋設した下水管について隣地地主の不動産会社から承諾した覚えはないと異議が出ている」と聞かされた。

 Mさんの親は数年前に亡くなっていて当時の状況が分からないので、近所の2軒の家に工事を行った経緯を確認し、話があった場合に備えることにした。

 10数年前の話を今頃になって問題にする隣接地主側の真意が分からず、今は相手側の出方を待って組合と相談しながら行動していくことを確認した。

東京借地借家人新聞より

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2010年1月12日 (火)

どこの地上げ屋も、必ず「土地は当社が買取った」と言うが・・・・ (東京・葛飾区)

 葛飾区鎌倉で借地をしているAさんは20数年前から組合員になっている。

 突然、地上げ屋の来訪を受け、「この土地は当社が買取ったので明渡すか買取るか」の二者択一を迫られ、組合に相談した。

 地上げ屋に対しては、まず所有権移転の確認を求め、要求は全て文書で請求すること、または交渉は組合に一切を委任し全て組合が対応することなどを説明し、地上げ屋に通知した。

 早速地上げ屋から組合に連絡があり、「賃貸するつもりはない。買うか明渡すかだ」と言うのみ。登記簿謄本で土地の所有権の移転を確認すると登記もしていないことが判明した。組合では「地主になってから交渉する」と主張し、交渉は中断し、その後連絡はない。

東京借地借家人新聞より

 判例は賃貸不動産の譲受人は所有権移転登記をしない限り賃借人に対して所有権の取得、賃貸人たる地位の承継を主張することが出来ない。賃借人は民法177条の第三者に該当し、譲受人の移転登記がない場合には賃料請求をすることが出来ない最高裁1974年3月 19日判決)。

 1974年の最高裁の判例では、新所有者が賃借人の賃借権を否定して明渡を請求する場合にも、登記を具備する必要があるとしている。 (東京・台東借地借家人組合

参考記事 「地代を誰に払えばいいか判らない


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2010年1月 5日 (火)

クレーンの設置は建物所有の借地の利用目的外で契約解除を認めた事例

 判例紹介

 クレーンを設置することは、建物所有の借地の利用目的の範囲外であり、地主の承諾を得ない設置につき契約解除を認めた事例 東京地裁昭和63年1月25日判決、未掲載)

 (事案)
 Y1(賃借人)は資源回収を業とする先代からこれら業務に供する倉庫、事務等の所有を目的とする土地賃貸借権を相続し、その後右建物等をY1が代表する有限会社Y2の資源回収業に供してきたところ、Yらは営業上の必要から借地上にクレーンを設置する必要に迫られ、従前存していたY1所有の倉庫等の大半を取壊し、その跡地に地下1.2mを下らない深さを掘ってレールを敷き、Y2所有の高さ10m(Y2は7mを主張)の移動式のクレーンを設置した。

 X(賃貸人)は右クレーンの設置を承諾したことはないと主張して契約を解除し、Y2はXから承諾を受けたこと、本件借地は古鉄解体業のため営業上の建物所有を目的として賃借してきたものであり、本件クレーンの設置は、本件土地の利用目的の範囲内のものであって、そもそもXの承諾の有無は問題にならないとして争った事案である。結果はXが勝訴。

 (判旨)
 「被告らは前記各建物を使用して資源回収を業としていたことは前記のとおりであるが、倉庫事務所89.52㎡及び倉庫19.87㎡を解体し、本件土地の南北西側に平行してクレーンを設置することは、従前の利用目的の範囲以内のものであるということはできず、原告の承諾を要する事柄であることは明らかである。」

 (寸評)
 本件の如く大型クレーンを設置することが、資源回収、古鉄解体事業の営業上の建物所有の借地の利用目的外であるとした例は、初めてであるが、先例として参考のために紹介した。
 同種の事例として、有料駐車場の開設や、大型機器の設置など本来の建物所有の目的と直接に結びつかない借地の利用に対しても生じうることである。判例の集積をまつ以外にないと思われる。

(1988.03.)

(東借連常任弁護団)

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2010年1月 4日 (月)

賃貸人の修繕義務不履行によって賃借人が被った営業利益相当の損害の範囲

 判例紹介

 店舗賃借人が賃貸人の修繕義務不履行によって被った営業利益相当の損害の範囲 最高裁平成21年1月19日判決、判例時報2023号)

 (事案の概要) 
 1 賃借人Xは平成4年3月、賃貸人Yからビルの地下1階をカラオケ営業のために月額20万円で賃借した。

 2 平成4年9月頃から本件店舗に浸水が頻繁に発生したが、平成9年2月には床上30~50cmまで浸水した(本件事故)。そのためXはカラオケ店の営業ができなくなった。

 3 Yは本件事故直後より、Xからえオ業再開できるよう修繕を求められていたが、これに応じず、逆に賃貸契約の解除を主張してXに退去を要求し、、電源を遮断するなどした。

 4 Xは営業再開の目途も立たないため、平成10年9月、Yの修繕義務不履行により営業利益喪失等による損害賠償を求める本訴を起こした。これに対し、Yは修繕義務の存在を否定し、さらに、賃料不払等を理由として賃貸借契約の解除を主張し本件店舗の明渡を求めた。

 5 名古屋高裁金沢支部は、「Yは本件事故後も引続き賃貸人として本件店舗部分を使用収益させるために必要な修繕義務を負担していたにもかかわらず、その義務を尽くさなかった。Xは本件事故の日からカラオケ店営業ができなかったから、Yに対し、本件事故の1か月後である平成9年3月12日からXの求める損害賠償の終期である平成13年8月11日までの4年5か月間の得べ借りし営業利益3104万円を喪失したことによる損害賠償を請求する権利がある」と判決した。これに対し、Yが上告した。

 (判決要旨) 
 ① Yが修繕義務を履行したとしても老朽化(築後約30年)して大規模な改修を必要としていた本件ビルにおいてXが賃貸借契約をそのまま長期にわたって継続し得たとは必ずしも考え難い。
 ② 営業再開は一実現できるか分からない実現可能性が乏しいものとなっていた。
 ③ カラオケ店営業は本件店舗以外の場所で行うことができないものとは考えられない。
 ④ Xはカラオケセット等の損傷に対し約3700万円の保険金が支払われていたのであるから再びカラオケセットを整備するのに必要な資金を得ていた。

 そうすると、Xがカラオケ営業を別の場所で再開する等の損害を回避又は減少させる措置を何ら執ることなく、本件店舗における営業利益相当の損害が発生するにまかせて、その損害のすべてについての賠償をYに請求することは、条理上認められない。よって、右損害の回避又は現象の措置を執ることができた時期以降の損害のすべてをYに請求することはできない、として原判決を破棄して損害の範囲について更に審理を尽くすよう原審に差し戻した。

 (寸評)
 家主の修繕義務不履行による賃借人の損害にはいろいろあるが、店舗の営業利益を失ったことによる損害の賠償を求める際には、この判決の趣旨を念頭におく必要がある重要な判決。

(2009.09.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より


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2009年12月28日 (月)

不動産管理業者に登録制導入へ 借り主と家主、双方保護 (朝日)

 賃貸住宅の滞納・明け渡しトラブルを防止するため、国土交通省は全国に約8万ある不動産管理業者などを対象に登録制を導入する方針を決めた。借り主と家主双方を保護し、市場の健全化を図る。

 新制度の対象は、賃料の徴収や賃貸借契約の更新・解約業務を担う管理業者と、賃貸住宅を一括借り上げして転貸するサブリース業者。賃貸借契約の際、借り主と家主に対する重要事項の説明と書面の交付をルール化する。借り主に対する契約に基づかない金銭の請求、行き過ぎた取り立て・追い出し行為などを禁止。不正行為があった場合、登録を削除する。国交省で登録を受け付けてホームページなどで公開。ただし、新制度は任意のため、法的強制力を伴わない。政府が次の通常国会に提出予定の「追い出し規制法案(通称)」の施行に合わせて導入する。

 国交省の調べでは、民間賃貸住宅(約1300万戸)の8割以上が個人家主で、そのうちの7割超が管理業務を委託している。国民生活センターによると、賃貸住宅をめぐる相談は2008年度で約3万3千件で、1999年度の2.3倍と急増。退去時の原状回復や敷金返還などのトラブルが目立っている。(室矢英樹)

2009年12月27日11時16  asahi.com


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2009年12月25日 (金)

借地期間10年、更新料坪当り6万5000円を提案

 足立区東和の高橋さんは、平成13年の借地更新時に更新料の金額で折り合わず地代を供託。

 地主より今年6月に手紙が送付され、話し合いで解決したいとの旨であった。7月に地主が来て協議したところ、「底地の買取り、更新は10年契約で、更新料は坪6万5000円、借地権譲渡の際は地主に半額提供、業者は介さない」以上の身勝手な条件を伝えてきた。

 高橋さん底地の買取を拒否し、契約は20年と伝え、目下協議中である。

東京借地借家人新聞より

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2009年12月24日 (木)

不法追い出し:家主にも慰謝料支払い命令 姫路簡裁 (毎日)

 不法な追い出し行為によって賃貸マンションから閉め出されたとして、兵庫県姫路市の飲食店員の男性(53)が市内の管理会社と家主を相手取って起こした損害賠償請求訴訟で、姫路簡裁(近藤哲裁判官)は22日、管理会社に業務委託した家主にも責任があると認め、両者に慰謝料など計40万5000円の支払いを命じた。「全国追い出し屋対策会議」によると、鍵の交換など直接的な行為を行っていない家主の責任を認めたのは全国初。

 簡裁は一方で、男性にも未払い分の家賃約36万円の支払い義務があると認定。このため被告側の支払いは事実上、ほぼ相殺された。

 判決によると、管理会社は家主から男性の家賃取り立てを依頼され、昨年6月の3日間と今年5月の20日間、玄関ドアの鍵部分に専用カバーを付けるなどして男性を不法に部屋から閉め出した。この間、男性は車の中での生活を強いられた。

 男性の代理人を務めた対策会議事務局長の堀泰夫・司法書士は「追い出し屋被害の予防につながる意義ある判決」と評価した。一方、管理会社は「詳細を把握していないのでコメントできない」としている。【山川淳平】

毎日新聞 2009年12月22日 20時22分


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追い出し屋被害、家主にも賠償責任 姫路簡裁判決 (朝日)

 家賃の未払いを理由に「追い出し屋」被害を受けたとして、借り主の男性(53)が兵庫県姫路市の不動産管理会社「姫路リアルティー」と家主に140万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が22日、姫路簡裁であった。近藤哲裁判官は同社によるドアロックなどを不法行為とし、家主側の使用者責任も認定。双方に慰謝料など計40万5千円を、男性に6カ月余りの滞納家賃など36万円の支払いを命じた。

 男性側代理人の「全国追い出し屋対策会議」によると、同様の訴訟で、管理会社と「追い出し行為を直接していない」家主の賠償責任を認めた判決は初。政府は次の通常国会に追い出し規制法案(通称)を提出する方針で、国会審議に影響を与えるとみられる。

 判決によると、男性は2003年、姫路市内で家賃5万8500円のアパートに入居。滞納を続けたため、家主は管理会社に委任し、同社従業員が08年6月と09年5月、玄関ドアの鍵穴にカバーをかけるなどし、計23日間閉め出した。

 家主側は管理会社に「違法な行為を委託していない」と主張したが、判決は「家主が取り立てなどを個別に委任した結果、管理会社が追い出しを図った」と退けた。同社は「担当者がいないのでコメントできない」としている。(川田惇史、室矢英樹)

2009年12月22日22時36分 asahicom(朝日新聞社)


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家賃滞納で追い出し、管理会社と家主に賠償命令 (読売)

 家賃滞納を理由に賃貸マンションのドアのカギ部分にカバーを付けて追い出したのは生存権の侵害として、兵庫県姫路市の飲食店員の男性(53)が、同市内の不動産管理会社と家主に140万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が22日、姫路簡裁であった。

 近藤哲裁判官は「社会的行為として許されるものではない」として、両者に計40万5000円の支払いを命じた。一方で、男性にも家賃の未払い分約36万円の支払いを求めた。

 弁護士や司法書士らでつくる「全国追い出し屋対策会議」によると、賃貸住宅の追い出し行為で、管理会社と家主に同時に支払いを命じた判決は初めて。

 同会議の堀泰夫事務局長は「直接の追い出し行為に及んでいない家主にも使用者責任があることを示した意義ある判決」と話している。

 判決によると、管理会社は家主から家賃の集金を委託され、昨年6月と今年5月の計23日間、カギにカバーを付けるなどして、男性が室内に入れないようにした。

(2009年12月22日21時11分  読売新聞)


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2009年12月22日 (火)

「追い出し屋」に刑事罰 政府、来春までに法案 (朝日)

 家賃を滞納した借り主が、強制的に退去を迫られる「追い出し屋」被害が相次ぐ問題で、政府が次の通常国会に提出する「追い出し規制法案(通称)」の概要がわかった。借り主の連帯保証を請け負う家賃債務保証業者に国への登録を義務づけ、悪質な取り立て行為には刑事罰を科す。滞納履歴など個人の信用情報を扱うデータベース(DB)の事業者も登録制にして国の監督が及ぶようにする。

 国土交通省によると、民間賃貸住宅(約1300万戸)の約4割が家賃保証業者と契約し、急速に市場が拡大。これに伴い、一部業者による追い出し行為が社会問題化した。政府は借り主の住まいの安定確保に向けた新規立法が必要と判断し、来年3月までに法案を提出する方針だ。国交省と消費者庁が連携し、効果的な被害救済の体制づくりを図る。

 新法は「家賃保証業の適正化及び家賃の取り立て行為規制法(仮称)」。貸金業法を参考に「人を威迫し、私生活の平穏を害する言動」を条文で禁止するとともに家賃滞納者への深夜・未明の督促▽無断での鍵交換▽家財撤去――などの強引な取り立て・追い出し行為を禁じる。規制対象は家賃保証業のほか、不動産賃貸・管理業、賃貸住宅を一括借り上げし、第三者に貸すサブリース業、家賃回収代行業など業種を問わず、個人家主も含める。違反した場合、懲役刑や罰金刑を科す。

 家賃保証業は登録制にし、役員に犯歴がないことなどを開業条件とする。借り主との契約時に保証金や保証期間などを記した書面の交付を義務化。無登録営業や暴力団員の使用なども禁じる。

 一部業界団体が来年2月からの稼働に向け、準備している借り主の滞納歴などの信用情報を盛り込むDBについても、事業者を新法で規制し、登録制を導入。事業者にDB運用時に借り主の同意を取り付け、借り主の要求に応じて登録情報の開示を義務づけるほか、秘密保持の徹底を求め、目的外使用を禁じる。

 家賃保証、DBの事業者が違反した場合、業務停止や登録取り消しなどの行政処分、刑事罰を科す。(室矢英樹)

2009年12月18日 朝日新聞


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2009年12月21日 (月)

更新料支払特約は法定更新された場合には適用されない (東京地裁) (全借新聞)

 新宿区北新宿の共同住宅のワンルームを家賃月額8万5千円で借りているKさんは、建物明渡しと平成13年以降過去4回分の更新料34万円の請求で、今年2月に突然東京地裁に訴訟を起こされました。

 事の起こりは、建物の南側に13階建てのマンション建設計画があることを知り、Kさんは昨年11月に家主の娘に対し、家賃の減額を申し入れましたが家主側がこれを拒否。話し合いにも応じようとしないため平成21年1月分と2月分の家賃を月額1万円に減額して提供しましたが、受領を拒否されたため、法務局に供託しました。

 Kさんは、自由国民社の本に家賃を減額して提供して受領を拒否されれば供託できると書いているために、誤って供託してしまいました。組合と相談し今回の供託のやり方はまずいと指摘を受け、家主に減額して供託したことを謝り、改めて従前の家賃2回分に遅延利息を付して家主側に持参しましたが、受領を拒否され供託しました。

 前の家主が平成11年に死亡し、法定更新となり平成13年に契約書の作成と更新料を請求されました。Kさんは更新料については以前から疑問があり、法定更新を主張し続けました。

 面白くない家主はKさんを追い出そうと明渡しと更新料の請求で訴訟を起こしてきましたが、Kさんは弁護士を代理人に立てずに一人で頑張り、結果はKさんの主張が全面的に認められ明渡しの請求は棄却されました。

 また、更新料の請求についても 「更新料の支払特約の効力は、同契約が法定更新された場合には及ばないと解するのが相当である」として認められませんでした。

全国借地借家人新聞より


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2009年12月18日 (金)

完成間近のマンションの建築確認を取り消し 最高裁で確定 (産経)

 東京都新宿区内のマンション建設に反対する周辺住民が、区の建築確認を取り消すように求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(宮川光治裁判長)は17日、区側の上告を棄却した。建築確認を取り消した区側逆転敗訴の2審東京高裁判決が確定した。マンションは完成間近の状態で、工事がストップしている。

 最高裁が建築確認の取り消しを求めた訴訟で判断を示したのは初めて。住民側の代理人の弁護士らによると、工事が進んだ建築物の建築確認を取り消すのは異例。区や業者は取り壊しなど、対応を迫られる。

 問題のマンションは、タヌキが生息する「タヌキの森」と親しまれている同区下落合の屋敷跡に建設。地上3階地下1階で、延べ面積約2800平方メートル。敷地の周囲はがけ状で、長さ約30メートル、最小幅4メートルの空き地で外の道路に通じるが、災害時の避難のために建物敷地が接する道路の幅を定めた都条例では、延べ面積が2000平方メートルを超える場合、幅8メートルの通路が必要とされていた。これに対し、区は特例で対応していた。

 今回の判決で、「違法建築」が確定したため、区や業者は対応を迫られることになる。区などによると、取り壊しのほか、適法にするために、外の道路に通じる空き地の幅を広げたり、建物の面積を圧縮したりすることも考えられるという。

 原告の1人は「住環境が守られた。更地に戻して木を植えるなどし、自然を後世に残したい」と話した。中山弘子区長は「司法の最終判断を受け止め、適切に対処する」、建設業者は「当惑している。不備はないと考えているので、区と協議し、対応を求める」とのコメントを発表した。

2009年12月17日 産経ニュース


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完成間近のマンション「違法」 建築確認の取り消し確定 (最高裁判決) 朝日

 東京都新宿区が特例として建築を許可した建設中のマンションをめぐり、周辺住民が「敷地への進入路が狭すぎる」として建築確認の取り消しなどを求めた訴訟の上告審判決が17日、あった。最高裁第一小法廷(宮川光治裁判長)は、「災害や火災が起きた場合の安全性が十分でない」として建築確認を取り消した二審・東京高裁判決を維持し、同区の上告を棄却。建築確認の取り消しが確定した。

 マンションの建築確認が裁判で取り消されるのは異例。建物は既にほぼ完成しているが、違法状態となり、仕上げの工事もできなくなった。同区によると、敷地面積を広げるか建物の床面積を減らせば適法となるため、建設業者に是正を求める方針。ただ、裁判で争ってきた周辺住民らが土地を売る見込みは薄く、取り壊しとなる可能性が高い。

 問題となったのは、高さ約10メートルの3階建てマンション。敷地の周りはがけ状で、長さ約34メートル、最小幅約4メートルの進入路だけで外の道路に通じている。

 延べ床面積は約2800平方メートル。都条例に従えば災害時の避難のため幅8メートルの通路がなければ、建築確認の前提となる安全認定を出すことができないが、区は建物の規模や耐火性を考慮し、「安全性に支障はない」と判断して2004年12月に特例として安全認定し、06年7月には建築確認が出された。延べ床面積が1千平方メートル以下であれば、安全認定は必要ない。

 本来は今年4月に完成予定だったが、東京高裁が1月の判決で「区の安全認定に合理的根拠はなく、建築確認も違法」と指摘したため、工事がストップしていた。部屋は約30戸あるが、訴訟になったこともあり、マンション業者は販売していないという。業者側は「新宿区が安全認定を出したことを信頼して土地を取得し、開発を進めてきたため、非常に困惑している。区に対して損害賠償請求することも視野に、対応を検討したい」と話している。取り壊すことが決まった場合でも、費用負担などが問題となる。

 本来は今年4月に完成予定だったが、東京高裁が1月の判決で「区の安全認定に合理的根拠はなく、建築確認も違法」と指摘したため、工事がストップしていた。部屋は約30戸あるが、訴訟になったこともあり、マンション業者は販売していないという。業者側は「新宿区が安全認定を出したことを信頼して土地を取得し、開発を進めてきたため、非常に困惑している。区に対して損害賠償請求することも視野に、対応を検討したい」と話している。取り壊すことが決まった場合でも、費用負担などが問題となる。

 現場はタヌキも出没する屋敷跡で「タヌキの森」と親しまれていた。原告の一人、武田英紀さんは「できれば区が土地を買い戻し、再び木を植えてグリーンベルトにしてほしい」と話している。(中井大助)

2009年12月17日23時35分 asahicom(朝日新聞社)


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マンション:9割完成 建築確認取り消し 最高裁判決 (毎日)

 タヌキがすむ東京都新宿区の住宅跡地へのマンション建築を巡り、反対する周辺住民が区を相手に建築確認取り消しを求めた行政訴訟の判決で、最高裁第1小法廷(宮川光治裁判長)は17日、区の上告を棄却した。区側逆転敗訴の2審・東京高裁判決(1月)が確定した。

 住民側代理人によると、マンションは9割方完成していたが、高裁判決後の1月に工事がストップ。完成間近の建物の建築確認が取り消されるのは異例。違法建築になるため、建設業者は建物の取り壊しを迫られる。区の責任を追及する動きも起こりそうだ。

 問題となったのは、新宿区下落合4に建設中の3階建てマンション(30戸)。敷地はがけや塀に囲まれ、長さ約34メートル、最小幅4メートルの通路だけで外の道路に通じる。

 災害時の避難のため建物敷地に接する道路の幅を定めた都条例では、幅8メートルの通路が必要とされているが、区は「中庭が設置され、耐火性があるなど安全上支障はなく、条例の例外規定に該当する」として建築確認を出していた。

 1審・東京地裁は区側勝訴としたが、2審は「幅8メートルの通路がある場合と同程度の安全性はなく、例外を認める根拠はない」と指摘。小法廷も「2審の判断は是認できる」と述べた。

 ◇200年の古木「タヌキの森」
 周辺住民は、樹齢200年の古木がある「タヌキの森」の保存を区に要望。土地を買い取り公園化するよう求め、一時は約2億3000万円の基金を集めていた。しかし、区は土地を買収できず、06年に工事が始まった。

 現在、敷地内の樹木は伐採され、タヌキも姿を消したが、周辺では生息が確認されているという。記者会見した原告の武田英紀さん(44)は「大変うれしい判決。また自然を復元する活動を続けたい」と喜びを語った。【銭場裕司】

 ▽中山弘子・新宿区長の話 司法の最終判断を真摯(しんし)に受けとめ、適切に対応していきたい。

 ▽建設業者の話 区が安全認定を出したことを信頼して土地を取得し、許可を得て開発を進めてきた。判決に非常に困惑している。当社の手続きに不備はないので、今後は区とも協議し、区に何らかの対応を求めていく。

毎日新聞 2009年12月17日


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