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2006年12月

2006年12月29日 (金)

他の賃借人が発生させた悪臭により賃貸人に損害賠償が認められた事例

  判例紹介

 他の賃借人が飲食店経営により発生させた悪臭について、賃貸人に債務不履行に基づく損害賠償責任が認められた事例東京地裁平成15年1月27日判決、判例タイムス1129号)

(事案)
 賃借人は、ビルの1階部分を、賃料月額20万円で賃借して婦人服販売店を経営していたが、賃料不払のため賃貸借契約を解除された。

 賃借人は、賃貸人から店舗明渡訴訟を起こされたが、和解の中で、次のような主張をした。ビル内の飲食店から魚の生臭い匂い、煮魚・焼き魚の匂いなどが発生し、賃借人が賃貸人に苦情を申入れ換気装置の改善措置がとられたが、やはり悪臭は止まらなかった。顧客は減り売り上げも減った、だから賃料を支払わなかったと。

 しかし、その点は、別訴を起こして裁判所の判断を受けるということで、店舗を明渡す和解をした。

 そこで、賃借人から賃貸人に対して、悪臭による損害賠償請求の訴訟を提起した。

(判決の要旨)
 「地下1階の飲食店の営業活動によって、魚の生臭い匂い、煮魚ないし焼き魚の匂いが発生し、賃借人の婦人服販売業に影響を与えたことが認められる。

 しかし、賃貸借契約における賃貸人の義務を考えるに、賃貸人には、あらゆる匂いの発生を防止すべき義務があるというものではなく、賃貸借の目的から見て、目的物をその目的に従って使用収益するうえで、社会通念上、受忍限度を逸脱する程度の悪臭が発生する場合に、これを放置もしくは防止策を怠る場合に、初めて、賃貸人に債務不履行責任が生ずるというべきであり、悪臭発生の有無、悪臭の程度、時間、当該地域、発生する営業の種類、態様などと、悪臭による被害の態様、程度、損害の規模、被害者の営業等を総合して、賃借人として受忍すべき限度内の悪臭か否かの判断をすべきである。

 本件についてみると、賃借人の30数人の顧客が、地下飲食店からの魚の匂いについて、かなりの不快感を示しており、主たる商品である婦人服等に魚の匂いが付着し、悪臭によって被害を被った事実が認められ、他方賃貸人において、悪臭に関する抜本的な解決策をとらなかったことが認められる。

 したがって、賃貸人は、賃借人に目的物を使用収益せしめる義務を怠ったものであるから、賃借人に対して債務不履行責任を負うというべきである。賃借人の被った損害額であるが、平成12年5月ころから同14年7月15日までの間において、悪臭の発生等相当因果関係にある損害は、80万円と認めるのが相当である。」

(説明)
 本件では、顧客の報告書によって悪臭の被害が認定されたが、立証の難しさがある。損害について賃借人が月220万円の2割程度の収入ダウンがあったと主張したが、裁判所は総額80万円が相当な損害額だとした。本件賃借人は、賃貸人の悪臭防止義務不履行対して賃料不払いで対抗しているが、一般的にはこのような対抗はすべきでないだろう。  2004.09.

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より


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2006年12月28日 (木)

地代を値下げ

                  現行地代は適正額の3倍なので地代の減額調停を申立

 地下鉄銀座線の稲荷町駅に程近い場所、JR上野駅400m位の場所に下谷神社がある。その神社の近辺が東上野3丁目になる。

 神社の裏手に居住する木村さんは最近同一地主の借地人達に、地代がどの程度かを尋ねて回った。その結果、近隣の地代に比べても高額であると気付いた。地代は、1ヶ月48800円(29坪)を支払っている。1坪当り約1700円である。

 地代の問題の他に更新料の問題もあるので、組合に加入して相談してみた。
 組合は、固定資産税の路線価を基にして地代を試算してみた。

 木村さんの家が面している通りの固定資産税評価の路線価は1㎡43万円 。1坪当り約142万円である。
 2002年度修正率はマイナス13%なので、1坪当りの固定資産税評価額は約125万円となる…(A)。

固定資産税は、(A)×固定資産税率×軽減措置で計算出来る。
(1)固定資産税は固定資産税評価額×1/100×1.4(固定資産税率)×1/6(注1)
1坪当りの年間固定資産税は約2920円、1ヶ月当り約240円になる…(B)。

都市計画税は、(A)×都市計画税率×軽減措置×23区の軽減措置で計算出来る。
(2)都市計画税は固定資産税評価額×1/100×0.3(都市計画税率)×1/3(注1)×1/2(注2)
都市計画税は1坪当り年間約630円、1ヶ月当り約50円になる…(C)。

1ヶ月当りの支払税額は(B)+(C)で1坪当り約290円。
 標準的な地代は(B)+(C)の2~3倍といわれている。(注3)

借地面積は29坪であるから1ヶ月の地代は、16820~25230円となる。
木村さんの支払っている地代は、適正地代より約2~3倍高い。

そこで、木村さんは簡易裁判所に地代の減額請求の調停を申立てた。話合いを続けた結果、1万円の値下げ案が提示されたが、地主側は肯首しなかった。このままでは調停が不調になってしまうので、今回は仕方なく7800円で妥協した。
 2003年4月以降に都税事務所で評価証明書をもらって、もう一度減額請求の調停をやる決意だ。

 (注1)軽減措置で200㎡(60坪)以下の場合は、(1)固定資産税は1/6で(2)都市計画税は1/3に減税。200㎡(60坪)以上の場合は、(1)固定資産税は1/3で(2)都市計画税は2/3に減税。

(注2)都内23区の軽減措置で1/2に減税されている。

 (注3)東京簡易裁判所の調停成立事例では住宅地は3.1倍前後、商業地は2.4倍前後という調査結果がある。

参考) 最高裁判所事務総局から1991年12月付で「民事調停の適正かつ効率的な運用に関する執務資料」が出されている。そこには「最終合意賃料が公租公課の2~3倍に収まっているときは、加減要素として考慮しない。」と記載されている。言い換えれば、地代は固定資産税と都市計画税との合算の2~3倍の範囲内であれば妥当と言える。


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2006年12月27日 (水)

地代の値上げ

 地代の増額請求調停 

 台東区東浅草の非組合員の森さん(借地28坪)は、簡易裁判所で地代値上げの調停中。地主は、現行地代1ヶ月19,040円(1坪当り680円)を23,520円(坪当り840円)に値上げ請求している。

 調停は最終段階を迎え、森さんは現行額の1%増(28坪で190円)なら呑んでもいいと回答し、それ以上なら拒否するつもりでいる。しかし、森さんは確信が持てない。現在の地代が高いのか、安いのか、判断する根拠が解らないからだ。

 地代値上げを呑まずに調停が不調になって、本裁判になった時にどうするか、弁護士の手配・費用は等々、悩みは尽きない。 そこで、台東借地借家人組合へ電話を入れ、最終調停の前日組合事務所を訪ねた。

 組合は、インターネットで国税庁が公表している相続税路線価データを調べ、地代を推定してみた。正確な固定資産税と都市計画税は都税事務所の固定資産課へ行って評価証明書の交付を受けて、それに基づいて計算するのが基本である。 

 住所で調べた路線価は1㎡当り205,000円であった。1坪当りにすると676,500円である。国税庁が公表している相続税路線価は国土交通省の地価公示価格の80%に設定されている。

 従って、路線価÷0.8=地価公示価格であるから、推定公示価格845,625円になる。

 固定資産税評価額は公示価格の70%に設定されている。固定資産税評価額=公示価格×0.7

(1)1ヶ月当りの固定資産税は固定資産税評価額×1/100×1.4(固定資産税率)×1/6(注1)÷12(ヶ月)

(2)1ヶ月当りの都市計画税は固定資産税評価額×1/100×0.3(都市計画税率)×1/3(注1)×1/2(注2)÷12(ヶ月)

 計算すると、(1)固定資産税と(2)都市計画税の合計は、1ヶ月1坪当り139円となる。

 標準的な地代は(1)(2)の合計の2~3倍といわれている(注3)。例えば2.5倍とすれば、坪当たりの地代は347.5円となり、28坪で9,730円となる。

 地主の要求している23,520円は、かなり高額であると言える。現行でも割高であり、寧ろ値下げを要求すべきである。

 翌日の調停で、森さんは1%の値上げ以外は認められないと確信を持て主張した。地主側も要求額を譲らず、調停は不調に終った。

 しかし、地主側は調停の翌日、森さんの主張(1%の値上げ)を全面的に受け入れると連絡して来た。結局、現行地代の1%の値上げ190円で決着した。

(注1)軽減措置で200㎡(60坪)以下の場合は、(1)固定資産税は1/6で(2)都市計画税は1/3に減税。200㎡(60坪)以上の場合は、(1)固定資産税は1/3で(2)都市計画税は2/3に減税。

(注2)都内23区の軽減措置で1/2に減税されている。

(注3)東京簡易裁判所の調停成立事例では住宅地は3.1倍前後、商業地は2.4倍前後という調査結果がある。

参考) 最高裁判所事務総局から1991年12月付で「民事調停の適正かつ効率的な運用に関する執務資料」が出されている。そこには「最終合意賃料が公租公課の2~3倍に収まっているときは、加減要素として考慮しない。」と記載されている。言い換えれば、地代は固定資産税と都市計画税との合算の2~3倍の範囲内であれば妥当と言える。


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2006年12月26日 (火)

借家の更新料支払い請求

                    更新料の供託で危機を脱出     

 台東借地借家人組合員の谷本さん夫妻は、台東区今戸で作業場(10坪)を月8万円で借りている。前回(3年前)の更新時に更新料問題で揉め、調停で更新料が家賃の3ヶ月分から1ヶ月分へと減額された経緯がある。家主は更新料が減額されたことにかなり固執している。     

 本年、7月の更新を前に6月中旬、家主は翌月からの家賃値上げ2000円を通告し、現行家賃での受取を拒否した。それを受けて、組合は東京法務局に現行家賃8万円で供託の手続きをした。     

 7月末に家主は更新料支払と更新料支払い特約付きの契約書へのサインと押印を強要してきた。
 8月中旬、更新料及び家賃値上げを撤回するように家主と交渉をした。結果、家主は2000円の値上げのみを撤回し、頑強に更新料の支払いに固執した。後日、「更新料を払わない場合は、家屋の明渡しを要求する」という趣旨を内容証明郵便で通告してきた。     

 組合の顧問弁護士とも相談し、これ以上、更新料拒否を強行するのは危険と判断した。家屋の明渡し要求をされているので、取敢えず更新料も供託し、借地借家法26条の規定によって借家契約を法定更新することへ方針転換した。     

 供託による更新料支払いには家主も肩透かしを喰った形になった。借家契約を法定更新することによて、更新料支払特約付の契約書にサインと押印をすること無く、借家の契約更新は成された。契約期間は借地借家法26条の規定によって「その期間は、定めがないものとする」ということになり、3年という期間の区切りが無くなるので、以後、法律の上では契約の更新は無くなる。これにより更新料支払から解放される第一歩を踏み出すことができた。


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2006年12月25日 (月)

3年越しの明渡裁判が和解

  立退料は家賃の160~170ヵ月分     

 台東借組の組合員TさんとKさんは、幸田露伴の小説で有名な谷中の五重塔(昭和32年心中事件で炎上)跡に程近いアパートに居住している。両人は、来年の春には、静謐な環境のアパートから立退かなければならない。2005年の春に、約3年に亘った建物明渡し裁判で和解が成立したからだ。     

 家主は、A寺で、3年前の春に、建物明渡し訴訟を提起してきた。寺側の表面的理由は、アパートの老朽化が著しく、修繕したのでは採算が合わないというものだ。     

 寺側の本心は勿論、アパートを取壊し墓地を造成して儲けようという目論みである。裁判が始まり暫くすると、寺側は当初の理由を取下げ、檀家専用の駐車場にするという理由に変更してきた。寺の周辺は谷中霊園。駐車スペースは無尽で何処に駐車しようが交通の障碍にはならず、駐車違反の取締など皆無の場所である。     

 和解の終局は結果的に金銭での決着であった。立退料は独り暮らしのTさん(25年居住)が家賃の160ヵ月分、5人家族のKさん(17年居住)が家賃の170ヵ月分であった。


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2006年12月23日 (土)

不動産会社のミスで立退き

文句があるなら出ていけば

 若林さんは昨年9月、浅草雷門近くのビルの2階事務所(26坪、家賃225000円)を借りて友人3人と商売を始めた。しかし僅か4ヶ月で、そこを退去しなければならなかった。別段、商売不振で撤退した訳ではない。原因は不動産会社エ*ブルとのトラブルにあった。

 「不動産会社からすぐ家賃を払えという請求が来ているが、一体どういうことなんだ」と契約の連帯保証人になっている兄からの怒りの電話であった。礼金、前家賃、備品、広告代等の支払いで、準備資金の殆どを使い果たしていた。家主には10日程、家賃が遅れると伝え、その諒承を受けていた。エ*イブルにも、その旨を連絡していたにも拘らずのことであった。

 エ*ブルの担当者に苦情を言った。すると、「期日までに家賃を支払わないから連帯保証人に請求した。そのための連帯保証人だ。それの何処が悪いんだ」と開き直り、揚句には「そんなに文句があるんだったら契約を止めて出て行ったらどうなんだ」と不動産業者とは思えないような暴言を吐いた。兄とエ*イブルの間でもトラブルがあり、このことが原因で兄が連帯保証人を降りてしまた。

 契約の継続は無理なので、退去することになった。結果的に開店資金、店舗改装費、宣伝費等、開店の努力が総て無に帰してしまった。最悪なのは家賃の6ヶ月分相当の保証金の返還が拒否されている。

 「中途解約の場合は家賃の2ヶ月分を償却すると契約書に明記している。解約通知は退去日の2ヶ月前までに文書ですることになている。だから保証金から2ヶ月 分を差し引くことになる。後の2か月分は原状回復費に当てる。だから返還するものは何もない。」というのが不動産業者の言い分である。

 以上が組合への電話相談である。本人が自分で保証金取り返すということなので、交渉相手は不動産業者ではなく、飽くまで家主だけを相手に交渉することが解決の早道であるを伝えた。


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2006年12月21日 (木)

原状回復特約

      修理を依頼しても、そのつど黙殺される

 鈴木さんは、台東区入谷の賃貸マンションを2年契約で借りた。家賃12万5千円、管理費1万円で敷金25万円。築30年以上なので修繕箇所も多く、家主に修繕を依頼したが、聞捨てられた。あまりの誠意の無さに、1年後遂に引越しを決意。独り住まいで部屋の汚損も無く、敷金は全額戻ってくるものと考えていた。

 ところが、家主は契約書の原状回復条項を盾に、リフォーム代と相殺したので敷金の返金はないと返答してきた。埒が明かないので、台東借組へ相談した。組合は、「原状回復費用の居住者負担の特約があっても、その範囲は居住者の故意・過失によるものに限られる」と言うのが判例の立場であり、家主が敷金を一方的に精算することは出来ないと説明した。

 後日、組合立会いで家主と話合いをした。だが家主は原状回復費の明細も示さずに返す敷金はないの一転張りである。嫌がる家主を伴って、実際の所どことどこを原状回復したのか、退去した部屋を両者で精細に点検してみた。修復した形跡は何処にも見出せない。部屋は退去した時のままであった。家主は不満げであたが渋々敷金を全額返還した。


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2006年12月20日 (水)

家賃2万円値下げ

                家賃2万円値下げ更新料0円     

 台東借組組合員の小泉さんは、今年4月借家契約満了に際して、家主から家賃1ヶ月分の更新料を請求され、相場より高い家賃10万円の件と併せて対処法を組合に相談した。     

 組合では、家賃を8万円に減額するように家主と交渉することを提案。組合立合いの上で、家主と交渉した。
 更新料に関しては、既に法定更新を完了していて問題は無かった。     

 賃貸情報誌の谷中の物件を例に挙げて、風呂無しの10万円は高いことを説明した。建物の築年数から考えても精々8万円がいいところだ。     

 押し問答が続いたが、こちら側の主張を全面的に呑む事を渋々承知した。家主は、家賃受領通帳の契約条件欄に「家賃1ヶ月8万円」と書き自署押印し日付を入れた。     

 しかし、家主の不満は相当に嵩じていたのであろう。2ヵ月後家賃支払の際に、受領印をもらうため通帳を差出すと、突然、家主は実力行使に出た。合意内容を覆い隠すべく事前準備した紙を契約条件欄に両面テープで貼り付けたのである。そして家主は家賃10万円でなければ受取らないが、8万円は内金として受領すると宣言した。     

 しかし、この証拠隠滅行為は失敗だった。後日両面テープは問題なく剥がれた。     

 翌月、家賃受領通帳の契約条件欄に「家賃1ヶ月8万円」と書かれた所を指差して家賃は8万円ということを確認して下さいと念を押して支払った。家主は今回、「内金として受領する」と受領通帳に書き込まなかった。     

 その後は何事も無かった如く家賃8万円をすんなり 受領している。


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2006年12月19日 (火)

借地の明渡し訴訟

        占有移転禁止仮処分をされて貸倉庫の収入がストップ     

 竹内さんは、台東区谷中で17坪を借地している。地代は月額28300円。何十年も、3~6ヶ月分纏めて、地主に払っていた。それが一昨年9月に地代の受領を拒否され、そのまま地代を支払うことなく放置していた。     

 2003年6月に地主は、建物占有移転禁止の仮処分を東京地裁に申請し、竹内さんの住宅と賃貸している倉庫部分が仮処分の執行を受けた。竹内さんはこの時点で組合に加入し、放置していた地代15ヶ月分を一括して供託した。 7月地代の不払いを理由に無催告(注)で契約解除を通告され、土地の明渡し訴訟を提起された。裁判は組合の二人の弁護士が担当した。     

 今一番の痛手は、仮処分を受けたことで倉庫を貸していた会社がトラブルを恐れて倉庫の契約を解除して退去した。そのため倉庫の賃料収入が途切れてしまったことだ。仮処分は裁判の結果を見るまで殆ど継続され、取消は認められないのが通例だ。そのため仮処分の取消があるまでは、二度と倉庫を貸すことが出来ない。この不景気の時世に地主の仮処分による損害は多大だ。     

 裁判では、地主側のミスで債務不履行とされたが、借地人の債務不履行は存在しないことが確認され、地代は間違いなく支払われていたことが証明された。 だが、半年分後払いが履行滞納なのか、慣習化して地主も暗黙の了承していた支払い方法であったのかが問題になった。半年分後払いが10年以上に亘って長期間行なわれ、その間地主から何らかの異議もなかったという事実がある場合には、支払い方法の変更の黙示の合意があたとみなされる。     

 それが証明されれば、履行滞納を理由にした契約解除は否定される。だが、竹内さんは銀行振込の控えを殆ど保存していなかったので、半年分後払いが証明できなかった。     

 長期間の領収書等の支払いを証明するものがあれば問題がなかったのだが、残念な結果であった。裁判所の結論は4年半後に建物はそのままで借地を明渡すというものであった。     

 これに付随して、毎月約15万円支払い続けていた父親の遺した銀行の借金(約450万円)が清算されたことには驚いている。組合に言われ、抵当権を設定している銀行に、今回の判決文を持参して担当者に読んで貰った。その結果が借金0ということである。     

 組合は、借地期間が5年に満たないので銀行が竹内さんの建物を競売に掛けても買い手がいないのと競売をやっても経費倒れになるので債権放棄をして、仕方なく自ら不良債権処理をしたのだと説明してくれた。     

(注)契約の解除をするときは、予め相当の期間を定めて履行を催告しなければならない(民法541条)。又、借家の事例であるが、11ヶ月分の家賃を遅滞し契約を無催告で解除された事案で、原判決を破棄し催告は必要であるとしている (最高裁1960年6月28日判決)。     

 借地の場合、借地権及び建物は経済的価値を有し解除に伴う借地人の損失は甚大である。信頼関係を損なわない軽微な義務違反で解除を認めることは権利の濫用である。     


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2006年12月18日 (月)

新家主から借家の明渡請求

           新家主から建物の明渡しを通告された     

 5月26日、台東借組に電話が入った。組合員の平田さんからだ。平田さんは台東区下谷で平屋(6坪)を倉庫として家賃7,500円で借りている。倉庫として借りている建物の引き戸に南京錠を掛けられ、閉め出されたという内容だ。     

 平田さんの家主は、地主から借地の返還を執拗に要求され続けていた。遂に根負けし、本年4月に東京地裁で土地明渡しに合意し、借地権と建物を地主に譲渡した。その旨を家主から連絡を受け、家主が地主に代わったことを識った。地主は新たに家主になっているにも拘らず、態度表明せず、音無しの構えなのだ。

      平田さんが倉庫として借りている借家の隣りが地主の住まいである。平田さんは、この地主と地代の値上げ問題、更新料で揉めている。地代は現在、供託中である。こんな嫌がらせをするのは地主以外には考えられない。     

 組合のアドバイスは
①家主の不当行為に対しては、緊急の自力救済措置として錠を破壊してでも居住を確保する。
②家賃を誰に払うのかを判断するため、建物の所有権が家主から地主へ移転登記されているかを調べる。     

 「新所有者の移転登記が無い場合には賃料請求をすることができない」というのが判例である。登記簿謄本で建物の所有者を調べてみると,既に5月11日に所有権の移転登記は完了していた。     

 そこで5月30日、新家主の地主に家賃を支払うが、受領を拒否された。已む無く法務局に家賃を弁済供託した。     

 6月28日新家主の代理人である弁護士から『建物明渡督促』が内容証明郵便で送られて来た。「貴殿と旧家主との間の法律関係は賃貸借ではなく,単なる使用貸借関係であったものと思料されます」とさ平田んと旧家主の建物賃貸借契約を事実に基づかない独断で借家法の保護を受けない使用貸借と決め付け「貴殿と旧家主の間の使用貸借関係を継承する理由はありませんので本年7月15日頃までに、建物の明渡しを…」という独善的論旨のものであった 。     


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2006年12月16日 (土)

大幅な原状回復費を請求される

          自然損耗の負担義務は無い

 台東借組の組合員山田さんは今年4月、台東区のマンション(家賃12万・管理費1万・敷金36万・礼金24万)から引越すことになり、家主に敷金の返還を要求したところ、不動産屋は連帯保証人である弟宛に内容証明郵便で原状回復費48万円を要求してきた。兄弟関係が拗れて悩んだ挙句組合に相談した。

 原状回復に対する裁判所の考えは次のようなものだ。
通常の建物の賃貸借において、賃借人が賃借建物を返還するに際して負担する「原状回復」とは、賃借人の故意、過失による建物の毀損や、通常の使用を超える使用方法による損耗について、その回復を約定したものと解するのが相当であって、賃借人の居住、使用によって通常生ずる建物の損耗についてまで、それがなっかた状態に回復すべきことまで求めているものではないというべきである」(東京簡易裁判所2002年9月27日判決)。通常の使い方をしていれば、原状回復費用を借家人が払う必要はないという結論になる。

 組合は、家主に次のような趣旨の内容証明郵便を出した。「①連帯保証人への請求中止。②原状回復費用負担の拒否。③敷金の即時返還」というす趣旨の通告をした。


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2006年12月15日 (金)

下水の修繕工事

       家主に下水の詰り工事を依頼するが拒否される

 台東区下谷の福沢さんは、築40年になる借家で暮らして20年になる。

 数年前から家屋の各所に不具合が生じてきていたが、軽微な工事だったので自費で修繕していた。

しかし、今年になってからの下水の詰りは、業者の見積もりによると高額な工事代金が必要と解り、家主に修繕して欲しい旨を伝えたが修理工事を拒否された。

 下水の詰りは、炊事・洗濯・トイレ等日常生活にも支障をきたす状態となり組合に相談した

 組合の指導で以下の趣旨を記した内容証明郵便を家主に送った。
 ①下水が詰まり困っている事(故障している事実或は状態)
 ②水道工事業者の復旧工事の見積では**円になる事
 ③いつまでに復旧工事をするのか、(着手する期日(*月*日までに)を確定する)
 ④期日までに復旧工事が行われない場合には取敢えず当方にて工事する事。
 ⑤しかし、その工事代金は家主の負担であり、支払い家賃と相殺する事
 ⑥満足に使えなかった期間分の家賃も差し引く事

 結果は直に現れた。家主は、内容証明郵便に驚き、直ちに下水工事に着手した。


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2006年12月14日 (木)

敷金返還請求

              敷金返還の少額訴訟で取り戻す

 有村さんは、台東区三ノ輪のマンションに7年4か月暮らしていた。家賃は1か月11万円、管理費8000円であった。日本提に新築のマンションを見つけ、引っ越すことになった。

 4月28日の退室当日、不動産会社の人の立会いで、部屋を点検した。指摘されたのは、洋室の壁の陥没3箇所と、破れた障子2面。それらについては、修繕費を負担する覚悟でいた。その他は、補修・交換の必要なしとのことだった。

 ところが不動産会社から届いた5月22日の敷金精算書には、原状回復費用20万円とあり、敷金22万円から差し引いて残金2万円を返金すると書かれていた。費用の内訳には、指摘個所の補修費用約3万円の他に、台所と洋室のクロスの全面張替費用と、クリーニング費が追加されていた。

 賃貸契約書の第21条に原状回復特約があり、賃借人の費用負担で入居時の状態まで回復させる義務があるとされている。台所と洋室のクロスの全面張替費用を賃借人が全額負担しなければならないことには納得がいかない。

 そのことに関して、不動産会社に文句を言ったが原状回復特約を結んでいるのだから仕方が無いの一点張りで埒があかない。敷金返還要求の内容証明郵便も送り付けたが不動産会社に無視された。

 手詰まり状態を打開するために組合に相談した。組合は「通常の用法に従った使用に必然的に伴う汚損・損耗は原状回復義務の対象にならない」(東京地裁1994年7月1日判決)というのが判例の確定した考え方であると説明した。

 東京簡易裁判所の判決に次のようなものだある。即ち「建物賃貸借契約に原状回復条項があるからといって賃借人は建物賃借当時の状態に回復すべき義務はない。賃貸人は賃借人が建物を通常の状態で使用した場合に時間の経過にともなって生じる自然の損耗・汚れによる損失は賃料として回収しているのであって賃借人に負担させるべきでなく、原状回復条項は賃借人が故意・過失によて又は通常ではない使用をしたために建物の棄損等を発生させた場合の損害の回復について規定したものと解するのが相当である」(東京簡易裁判所1995年8月8日判)。

 以上、判例の考え方から言えば洋室壁穴補修工事と障子2面の修繕は賃借人が負担しなけばならない。この28560円は控除されるのは仕方が無いが、それ以外は家主が負担すべきである。

 不動産会社と交渉するのは時間の無駄というのが組合の結論であり、家主を相手に組合が薦める少額訴訟に踏み切った。訴状は組合作成の少額訴訟のサンプルと組合の説明を基にして自分で書き、必要書類を添付して東京簡易裁判所に提出した。

  後日、少額訴訟の決着は約2時間でついた。納得できない所もあたが、敷金の80%が戻ることになり、やってよかったと思っている。


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2006年12月13日 (水)

更新料・名義書換料・20年間の差額地代を請求

       地主が不当請求を撤回

 台東借組の組合員である田中さんは地代の供託を既に20年に亘って続けている。これまで地主との揉め事は組合との二人三脚で何とか切り抜けて来た。

 今回の借地の更新に際して地主は①更新料の支払いと②名義書換料を請求している。加えて③20年間の差額地代+利息を請求している。更に④前回不支払の更新料も再度要求している。

 田中さんは組合に対応を相談し、組合役員の立会いの下で地主と折衝することになった。地主側も不動産業者を加えてガードを固めている。交渉は約4時間に亘って行われた。

 更新料に関しては更新料支払の合意が無いので請求の根拠が無い。仮に支払の約定が前の契約書にあったとしても最高裁の判例は「更新料支払の約定は、合意更新される場合に関するものであって法定更新された場合における支払の趣旨まで含むものではない」(1982年4月15日)と明言している。

 従って①と④に関しては前回・今回とも法定更新され、最高裁の判例から更新料支払義務が無いことは明らかである。勿論④は既に時効であり、支払義務は無い。更新料債権が他の債権と同様に一般には10年、商事については5年で時効消滅する。

 ②に関しては母親の死亡に伴う借地権の相続であるから名義書換の問題は発生しない。名義書換料の要求は不当なものである。

 ③は地主の一方的な主張であり、借地借家法11条2項の規定に従った取扱いをしてもらいたい。
 地代等は民法169条規定から5年で消滅時効となり、既に15年分が消滅時効となっている。
 地主は説明が間違いでないことを不動産業者に確認して渋々ながら不当請求を全面的に撤回した。

 借地借家法
第11条 地代又は土地の借賃(以下この条及び次条において「地代等」という。)が、土地に対する租税その他の公課の増減により、土地の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍類似の土地の地代等に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって地代等の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間地代等を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。

2 地代等の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の地代等を支払うことをもって足りる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払った額に不足があるときは、その不足額に年1割の割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない。

3 地代等の減額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の地代等の支払を請求することができる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払を受けた額が正当とされた地代等の額を超えるときは、その超過額に年1割の割合による受領の時からの利息を付してこれを返還しなければならない。

民法 (定期給付債権の短期消滅時効)
第169条 年又はこれより短い時期によって定めた金銭その他の物の給付を目的とする債権は、5年間行使しないときは、消滅する。


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2006年12月12日 (火)

敷金が戻る

             組合指導の文面で敷金返還請求

 今年の4月に山田さんは自然環境と静謐な生活を求めて谷中霊園に程近いワンルームマンションに入居した。しかし、予想もしない車の騒音に耐えられずに、そこを3か月で退去せざるを得なかった。

 8万円の敷金を返して貰おうと不動産屋を訪れた。業者から明細書を渡され、3万円の追加を言われた。何で復旧費用に11万円も必要なのか。余りの理不尽さに驚き、区の消費者センターに相談し、巡って台東借組へ相談することになった。

 先ず家主に対し、組合指導の文面で敷金8万円の返還請求を内容証明で行った。

 後日、こちらの振込指定日に家主から電話があり、敷金を全額返金すると返事があった。銀行の口座を確認すると確かに敷金の全額が振り込まれていた。


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2006年12月11日 (月)

借地権を売却 

          借地権譲渡許可申立をして解決する

 桑田さんは借地(65・2坪)を地代1か月6万1300円で借りている。平成13年3月の更新の際に、建物を担保にして更新料615万円を支払った。

 借金までして更新料を払ったことに疑問を感じ、組合員の紹介で台東借組に加入した。
 負債を整理するため、借地権を売却するにしても建物の抵当権を抹消しなければならずその資金の目途も無い。それに加えて借地に対しては地主の債務に関する抵当権が設定されているので、第三者への譲渡は難しい。

 当事者間の協議で桑田さんは地主に対して借地権と建物の買取を要請し、6285万円を買取要求額として希望したが、地主は4300万円の買取額を提示して来た。結局当事者双方の妥協点が見出せなかった。

 そこで組合の顧問弁護士と相談して債務整理のために、台東借組組合員の「住宅監修業(株)力建」の協力を得て、借地借家法19条1項による借地権譲渡許可申立書を2005年1月26日東京地裁に提出した。

 すると地主側は3月25日の答弁書で借地借家法19条3項の「介入権」行使の申立をして来た。 これは地主の先買権と呼ばれるもので地主が第三者に優先して借地上建物と借地権との譲受を認めるものである。地主の土地所有権回復の手段とされている。借地人は投下資本の回収を図ることが出来るのであるから買受人が地主であっても特に不利益はない。

 裁判所の調停で地主側は、買取価格として6200万円((株)力建の買取価格)から借地権譲渡承諾料10%(注)を差引いた5580万円を提示して来た。

 借地人側は借地権の相続に際し、支払い義務が無い名義書換料353万円を支払い済みであり、その点を充分考慮するように取敢えず訴えてみた。駄目元ということで言ってみたのだが、裁判所は5580万円に考慮分の110万円を上乗せした5690万円を提示した。

 結局、この価格で借地権を地主に売却することで2005年5月24日和解が成立した。借地と建物に抵当権が設定されているという悪条件にも拘らず、(株)力建の協力があって、桑田さんは、ほぼ希望の価格で借地を売却すること出来、満足している。

 (注)借地人は、借地権を第三者に譲渡すれば、地主に対して名義書換料を支払う。従って地主自身が譲り受ける場合は、その名義書換料相当額を対価の額から控除すべきであると解されている。裁判例では、名義書換料相当分として借地権価格の10%を控除するのがほぼ確立した基準となっている。

  借地借家法(土地の賃借権の譲渡又は転貸の許可)
第19条 借地権者が賃借権の目的である土地の上の建物を第三者に譲渡しようとする場合において、その第三者が賃借権を取得し、又は転借をしても借地権設定者に不利となるおそれがないにもかかわらず、借地権設定者がその賃借権の譲渡又は転貸を承諾しないときは、裁判所は、借地権者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。この場合において、当事者間の利益の衡平を図るため必要があるときは、賃借権の譲渡若しくは転貸を条件とする借地条件の変更を命じ、又はその許可を財産上の給付に係らしめることができる。

2 裁判所は、前項の裁判をするには、賃借権の残存期間、借地に関する従前の経過、賃借権の譲渡又は転貸を必要とする事情その他一切の事情を考慮しなければならない。

3 第1項の申立てがあった場合において、裁判所が定める期間内に借地権設定者が自ら建物の譲渡及び賃借権の譲渡又は転貸を受ける旨の申立てをしたときは、裁判所は、同項の規定にかかわらず、相当の対価及び転貸の条件を定めて、これを命ずることができる。この裁判においては、当事者双方に対し、その義務を同時に履行すべきことを命ずることができる。

4 前項の申立ては、第1項の申立てが取り下げられたとき、又は不適法として却下されたときは、その効力を失う。

5 第3項の裁判があった後は、第1項又は第3項の申立ては、当事者の合意がある場合でなければ取り下げることができない。

6 裁判所は、特に必要がないと認める場合を除き、第1項又は第3項の裁判をする前に鑑定委員会の意見を聴かなければならない。

7 前各項の規定は、転借地権が設定されている場合における転借地権者と借地権設定者との間について準用する。ただし、借地権設定者が第3項の申立てをするには、借地権者の承諾を得なければならない。


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2006年12月 9日 (土)

敷金を全額取戻す

        住宅金融公庫の融資物件

 宮本さんは、引越しに際し不動産会社に前のマンション(台東区谷中)の敷金返還を要求したところ、「原状回復費に50万円掛るので敷金45万円を充当します。不足金5万円をお支払下さい」と驚くべき言葉が返ってきた。

 困っていたところ台東借組を紹介された。原状回復に対する組合の説明は、故意・過失によるもの以外は賃借人に回復義務責任がないということだ。交渉は直接家主とすることにした。

 数日後、組合の調査でそのマンションは、住宅金融公庫から資金の貸付を受けて建設したものであり、登記簿を調べると、融資金の返済中ということが確認出来た。

 住宅金融公庫法第35条、同法施行規則10条1項で家賃及び敷金(家賃の3月分を超えない額)を受領することを除く外、賃借人から権利金、謝金等の金品の受領を禁止されている。即ち、公庫融資を受けた家主は借入額を完済するまで、礼金・更新料等の受領及び敷金の一定額の償却も禁止されている。

 組合は住宅金融公庫へ電話を入れ、公庫法違反の家主に対し厳重指導(同法46条による刑事罰適用又は融資の繰り上げ返済請求等)を申し入れた。
加えて、組合は家主に対し,配達証明付内容証明郵便を送った。 趣旨は、
①原状回復費用負担の拒否
②住宅金融公庫法違反の礼金30万円と
③敷金45万円の返還要求するというものである。

 住宅金融公庫への電話談判の効果が現れ、後日、相談者の銀行口座に要求の全額が振込まれた。

  住宅金融公庫による融資物件の場合、住宅金融公庫法施行規則第10条においても,下記のような賃貸条件の制限が規定されている。
  第10条 賃貸人は,毎月その月又は翌月分の家賃を受領すること及び家賃の三月分を超えない額の敷金を受領することを除くほか,賃借人から権利金,謝金等の金品を受領し,その他賃借人の不当な負担となることを賃貸の条件としてはならない。
 罰則:  賃貸条件の違反について30万円以下の罰金(公庫法46条1項1号)


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2006年12月 8日 (金)

修理特約 

  修理特約があろうとも小修理以外は家主負担

 台東借組の組合員である松岡さんは、水道局の検査で借家の水道管が漏水していることが判明した。

 漏水箇所は床下。水道工事店に見積をしてもらった。自己負担で修繕するには費用が過重である。

 契約書に「修繕は借主の費用負担で行う」と書かれている。加えて現在家主から家屋の明渡請求を通告され、家賃は供託している。こんな状況で、家主に修繕を要求しても無視されるのは自明である。

 どうすればよいか借地借家人組合に相談した。組合の回答は「修理特約があっても、その範囲は小修理に限られる。当然修理義務は家主にあり、その修理費用は勿論家主が負担する」というものであった。

  工事代金の回収方法も教えてもらい、業者の見積もり金額を書き期限を切って、家主に修繕依頼の配達証明付き内容証明を送付した。

  その内容は、指定した日までに着工されない場合は自費で修繕し、その費用は供託家賃と相殺することを通告するものである。

 指定日に家主から工事費を全額支払うと連絡があり、銀行の口座に工事代金が振り込まれていた。家主に領収書を郵送して、今回の水道工事は無事に決着した。


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2006年12月 7日 (木)

中途解約 

      台東借地借家人組合への電話相談

 8月の或る日。台東借組へ相談の電話があった。

 相談者がマンションの賃貸借契約の解除をするために家主に電話を入れた。すると、家主は大声で「中途解約は認められない、解約は駄目だ。もしも、それでも解約するというのなら、2年契約の残りの契約期間(約1年)分の家賃を全額払え。それなら解約を了承する」と言ったという。こんな理不尽なことが通用するのかという相談であった。

 契約書に中途解約の条項が無ければ家主の主張は肯定される。だが契約書には「期間途中の解約は相当の予告期間をおいて申し出ること」と書かれていて、期間途中での解約が出来ることになっている。けれど、契約書には解約の申入れの予告期間が定められていない。いわゆる「期間の定めのある契約で解約を留保する特約」があるという事例だ。

 この場合は、民法618条の規定で解約の申入れをすれば、3ヶ月の予告期間(民法617条準用)が過ぎると契約は終了する。これが法律の規定である。従って家主の主張に従う必要はない。当然、家主の要求する家賃を支払う必要は無い。

 相談者の場合は、既に家主に解約の申入れを伝えている。だが後日トラブルにならないためにも、解約申入の通知書を配達証明付内容証明郵便で出して措くように説明した。

参考法令 民法
(期間の定めのない賃貸借の解約の申入れ)
第617条 当事者が賃貸借の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合においては、次の各号に掲げる賃貸借は、解約の申入れの日からそれぞれ当該各号に定める期間を経過することによって終了する。
1.土地の賃貸借 1年
2.建物の賃貸借 3箇月
3.動産及び貸席の賃貸借 1日
2 収穫の季節がある土地の賃貸借については、その季節の後次の耕作に着手する前に、解約の申入れをしなければならない。

(期間の定めのある賃貸借の解約をする権利の留保)
第618条 当事者が賃貸借の期間を定めた場合であっても、その一方又は双方がその期間内に解約をする権利を留保したときは、前条の規定を準用する。


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2006年12月 6日 (水)

マンションの所有者が交替・新規敷金請求

            新家主が不当な敷金の新規請求

 台東区根岸の賃貸マンションに住む木田さんは、本年6月に通知書を受取った。それはマンションの所有者が交替し、賃貸契約を結び直したいというものであった。

 問題は、その際新たに家賃の2ヶ月分の敷金が必要であることだ。旧家主に差入れた敷金は返還される見込みが無いのに、いくら何でも理不尽な話である。そんな憤懣を他の居住者にぶつけている中で組合の存在を知り、相談した。

 組合は、次の様に説明した。「借地借家法」31条及び判例から敷金が現実に引継がれたかどうかに拘らず敷金は旧家主から新家主に当然に引継がれる。従って新たに敷金を支払う必要はない。

 新家主は従前の契約内容をそのまま承継するから、契約を結び直す必要もない。組合の説明を受け、マンション居住者は協力して新家主の新たな敷金要求に対してその不当性を追及し、撤回させることを確認した。

 借地借家法
第31条 建物の賃貸借は、その登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、その後その建物について物権を取得した者に対し、その効力を生ずる。

 借地借家法31条1項では、民法605条の例外として「建物の引渡しによる借家権の対抗力」を定めている。即ち借家人は、借家権の登記をしなくても、建物の引渡しを受けていれば、家主以外の者に対しても、借家権を主張して、その建物を使い続けることが出来る。借家人は、それまでの借家権の内容をそのまま新家主に主張することが出来る。


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2006年12月 5日 (火)

消費者契約法で取消に 

      業者に騙されて不当な借家契約を結んでしまった

 マンション入居時の家主は不動産管理会社であった。不動産管理会社は建物のオーナーと家賃保証を条件にサブリース契約でビル一棟を一括賃借し、第三者に個別に転貸していた。

 転貸借契約では期間2年、家賃1ヶ月7万6000円、保証金は38万円(5ヶ月分)、更新料は1ヶ月、特約で退去時に家賃の2ヶ月分を償却するという内容が書かれていた。

 ところが6年後、何かトラブルが有ったのか不動産管理会社は撤退。別の不動産会社が訪ねて来た。貸主が管理会社からマンションのオーナーへ交代したので新規に契約を交わしたい。契約の内容は、従前の契約と同一という説明であった。

 急かされて契約書へ署名押印した。社員が帰ってから契約書を読むと家賃は8万1200円、保証金は2ヶ月分差引かれて敷金22万8000円になっていた。

 納得がいかないので、不動産会社と家主に不当であると抗議した。家主は、不動産会社が勝手にやったもので文句があるなら会社に言ってくれと責任回避の態度。

 一方、不動産会社は訳の判らない弁解と説明を繰返し、挙句には態度を豹変させ「自己責任で契約書にサインをしたんだろう。だったら文句を言う筋合は無い。話合うことは何も無い。帰れ」と怒鳴り散らし、全く誠意が無い。

 そんな折、知人から台東借地借家人組合へ相談に行くことを奨められた。組合は、消費者契約法4条及び5条で解決出来そうなので対処法を検討してみると返答し、再度相談を約束した。


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2006年12月 4日 (月)

新手の詐欺 

  不動産管理会社変更のニセ情報で
                       家賃を騙し取る

 滝沢さんは6月24日(金)の夕方、マンションの集合ポストに不動産管理会社の通知をみつけた。
ご入居者各位へという書出しの「家賃振込口座変更のお知らせ」であった。

  「この度、当マンションを管理する会社が下記の新管理会社に変更になりました。つきましては6月27日以降の家賃の振込口が変更になります。皆々様にはご迷惑をおかけ致しますが、ご了承下さいますようお願い申し上げます」という内容の文面で新管理会社名とその所在地、振込銀行の新口座が書かれていた。「ご質問がありましたら下記まで連絡下さい」と電話番号も書かれていた。

  滝沢さんは、この根岸のマンションに引越して来て3年になる。家賃は直接家主の銀行口座に振込んでいたので文面にあるような管理会社が家賃に関係していたかのような文面に不審を抱いた。書かれた電話番号に電話すると留守番電話になっていて連絡出来ない。

 6月27日(月)昼頃マンションの掲示板に「詐欺に注意」という掲示があった。
「銀行口座変更というニセ情報で家賃を騙し取る詐欺事件が発生しているので注意して下さい」と書かれていた。

  結局「振込口座変更のお知らせ」は詐欺の手口であったことが判明した。
後日、事情通の人から2軒だまされて振込んだと聞かされた。手口の特徴は、25日前後の金曜日、お知らせがポストに投函されることである。今回は管理会社変更であったが、所有者変更という手口が一番多いとのことである。


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2006年12月 2日 (土)

短期賃貸借・建物の明渡し

     競売の買受人が突然現われ
          建物の即時明渡請求を迫る

 川越市の金沢さんは2001年12月から旧い一戸建ての建物を家賃5万円で借りている。期間満了は本年11月30日である。

 4月中旬に突然、競売物件を専門に扱う不動産会社の社員が来訪し、建物を競売で買受けたので5月31日までに立退きを完了して貰いたい。この条件が呑めるのであれば5月分の家賃の支払は猶予する。それに加えて立退料20万円を支払う。それ以上、立退きが延びるのであれば立退料は一切支払わない。

 金沢さんは現在、失業中で雇用保険だけで生活している。11月には雇用保険も打切られる。すぐ引越し出来ない理由を縷々説明した。居座りは認めないの一点張りで10日間だけ回答を猶予すると言って社員は帰っていった。

翌日、市の消費者相談室へ相談すると担当者がインターネットで検索して東京借地借家人組合連合会(東借連)を紹介した。巡って台東借地借家人組合への電話相談となった。

 組合は、競売になったのであるから当然、建物に抵当権が設定されていた筈である。建物の抵当権設定登記の日付と、不動産会社に所有権移転登記が終了しているのか法務局へ行って登記簿の閲覧をするように説明した。

金沢さんから再び電話があり、建物の移転登記は未だ完了していないが、建物に抵当権が1997年5月に設定されているという。抵当権設定後に賃貸借契約を結んでいる所謂、「短期賃貸借」であり、新家主に対抗出来る。

2004年4月1日に短期賃貸借保護制度は廃止された。だが経過措置で、短期賃貸借の保護制度は適用される。しかし、居住権が保護されるのは契約期間満了日(2005年11月30日)までの約7か月間であること、家賃は二重払いの危険があるので1か月程様子を見ること、敷金は新家主から返還されることを説明した。

 この物件を仲介した不動産業者は、建物に抵当権が付いていることを知りながら故意に隠して契約していた事実が今回の事で浮かび上がった。不動産屋は、地元業者として、この物件の競売に参加し、落札出来なかったと悔しがっていたことを相談者は不動産屋本人から伝え聞いている。この事実からも不動産業者の悪質さが窺え知れる。>

平成16(2004)年4月1日をもて民法395条の短期賃貸借保護制度が廃止され、その経過措置として「抵当権設定登記後に設定された賃借権でも、平成16年3月31日までに対抗要件を備えた短期賃貸借は抵当権者に対抗できる」(担保物権及び民事執行制度の改善のための民法等の一部を改正する法律・附則第5条,平成15年8月1日法律第134条)


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2006年12月 1日 (金)

敷金を返せ

     償却特約も無いのに勝手に
            敷金から2ヵ月分を差引く

 今年の4月に10年間住んでいた台東区竜泉のマンションを引越した。差入れていた40万円(家賃の5ヵ月分)の敷金の返還を家主に請求した。

  後日、敷金清算書が郵送されて来た。そこには、原状回復工事費として15万3000円。工事明細は①カーペット張替②クロス張替③ルームクリーニング④シャワーカーテン交換⑤床凹み補修等である。それに加えて、契約書には償却特約など書かれていないにも拘らず勝手に家賃の2ヵ月分(16万円)を償却している。その結果、敷金から工事代金と償却分が差引かれ、残金8万7000円と書かれていた。

  確かに原状回復条項はある。しかし、多くの判例は「建物賃貸借契約に原状回復条項があるからといって、賃借人は建物賃貸開始当時の状態に回復すべき義務はない」と結論を下している。原状回復は故意・過失・通常ではない使用による損害に対するもので通常使用による損耗や経年変化による自然損耗は原状回復の対象にならない。

  原状回復工事としているものは総て耐用年数を超えた減価償却されたものばかりである。例えば財務省の原価償却資産の耐用年数の省令によるとカーペットやクロスの償却年数は6年である。このような資産証価の無くなったものを新品に交換してその代金を請求するのは暴利行為だ。

 そもそも、これらのものは家賃で回収すべきものであり、賃料の二重取りであり、支払う理由のないものだ。敷金40万円は何が何でも取戻すぞ。


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