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2007年9月20日 (木)

立退き料は借家権価格でお願いしますというが…

 借地借家人組合の会員であるSさんは、台東区谷中で親子2代に亘る長屋住まいである。両親は去年の12月に相次いで亡くなるという不幸に見舞われ、現在姉妹2人で生活している。

  家主は同じ長屋で直ぐ隣りの煙草屋である。今年の春先、家主の代理人(建築会社)から建物が相当傷んでいるので建替えに協力して欲しいとの家主の意向が伝えられた。その計画では5階建てのマンションにするとのことである。Sさんは早速、台東借地借家人組合へ相談を持ち込んだ。組合は取敢えず相手の条件をよく聴いた上で、その後の方策を考えても遅くはないと答えた。

 家主は過去にSさんの親を相手に家屋明渡請求訴訟で敗訴しており、今回の交渉には全く顔を出さず、総て建築会社任せである。建築会社は何種類かの立退き案を提示し、その交渉は至って低姿勢に終始していた。

 その提案の1つにバブル時代はよく使われたが、最近では非常に珍しい立退き料を借家権価格(注)でお願いしますというものである。この提案、借家人にとって現在では、かなり高額の立退き料になる。しかし、その後も何度か話合いを重ねたが、家主の代理人との交渉は未だに結論が出ていない。

 立退き料は、税制では一時所得として扱われる。その税額は{(立退き料-必要経費)-50万円}×50%で計算される。必要経費は弁護士費用・引越費用等である。住民税や健康保険料の所得割のことも考慮して極論すれば、立退き料の約半分は税金として消えていくことになる。

 こんなことも考えに入れて、立退き料の嵩上げだけを考えるよりは、新築マンションに低家賃で再入居する交渉を加えた方が得策ではないのか、或は現状のままで住み続ける方が良策ではないのか等、組合の考え方も伝え、姉妹で熟慮した上で慌てずに結論をだ出すようアドバイスした。

 Sさんは両親の一周忌を迎える師走までには何とか最終結論を出したいと思っている。

(注)借家権価格は、東京国税局管内では一律に借地権価格の3割として算定する取り扱いになっている。(N)

東京借地借家人新聞より


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