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2008年3月

2008年3月31日 (月)

抵当権付物件を借りるときは注意しないと大変なことになる

 大阪市住吉区東粉浜3丁目の賃貸マンションの1階部分を期間2年の契約で平成14年5月にスケルトンで賃借した森田義雄さんは、貸主の了解で「ふぐ料理店」を開業するために2000万円を費やし改装しました。

 その後、賃貸借契約は平成16年5月に法定更新され、期間の定めのない建物賃貸借になっていました。

 平成18年8月、突然大阪地裁から「債権差押命令申立事件」の「通知書」が送られ、平成18年9月「債権差押命」が届けられてきました。同時に、大阪地裁は、森田さんへ「事情届」用紙も送ってきました。

 森田さんは、当時はその「通知書」が何を意味しているのか理解できず、その後も月額20万円の家賃を振込み続けていました。

 さらに、平成19年1月、大阪地裁から債権者の変更の「通知書」が送られてきました。
 そして、同時にこれまで聞いたことのない株式会社虎ノ門債権回収という企業から、家賃の支払先を明示した通知書が送られ、さらに、平成19年8月にニッシン債権回収株式会社と名乗る企業からも家賃の振込先を通知してきました。

 その上に、平成19年10月大阪地裁から「債権申立事件」の「取下書」が森田さんへ送られ、新所有者の代理人と称する株式会社リブ・マックスから「賃借権が抵当権設定後であるため、不動産の速やかな引渡しを求める」旨の連絡書が送られてきました。

 森田さんは、これまで家賃の滞納もなく、改装費の返済もできる見通しができ、何とか事業も軌道に乗ったと思っていた矢先の出来事でした。

 <抵当権付と聞いたが、よくわからなかった>
 11月22日、民主商工会の紹介で住吉借地借家人組合の千葉事務局長に相談し、深刻な事態になっていることを初めて知りました。

 森田さんは、平成14年5月30日付けの賃貸借契約書を確認すると、仲介業者を通じて貸主代理人(管理会社)との間で契約しており、建物所有者とは契約していないことが解りました。

 建物所有者は、平成2年7月に抵当権を設定して金融機関から融資を受けており、森田さんが賃貸借契約を締結する際、仲介業者から抵当権が設定されていることを知らされいましたが、抵当権の意味が理解できず競売後の新所有者に対抗力もなく、200万円の敷金も返還されないことも知りませんでした。

 森田さんは、「賃貸借契約時に仲介業者から競売になった場合、新所有者から明渡を求められと無条件で解約されることを事前に詳しく説明を受けておれば、契約しなかっただろうし、父親に連帯保証人になってもらってまで改装費用を工面をしなくて済んでいたのに」と悔やんでいます。

 森田さんは、弁護士に相談し、今後の対策を検討することになりました。 

 <短期賃貸借まではほとんど説明しない>
 
仲介業者を指導している大阪府建築振興課は「重要事項説明書に抵当権設定を記載していても、短期賃貸借制度についてまで仲介業者は詳しく説明していないと思われる。本来仲介業者は、説明するべきであろうが、ほとんどの物件に抵当権が設定されている中で、そこまで説明すると成約できないのではないだろうか。今後機会ある毎に業界を指導していく」と語っています。

全国借地借家人新聞より

  平成16年4月1日、民法395条「短期賃貸借保護制度」は廃止された。

 しかし、「短期賃貸借に関する経過措置」(附則第5条)により抵当権設定後の建物賃貸借であっても平成16年3月31日までに契約された対抗力のある期間3年以内の建物賃貸借契約の場合は「短期賃貸借の保護」が適用され、その後の更新も認められる。従って、平成16年3月31日までに締結された契約に関しては、現在も短期賃貸借の保護制度は適用されている

 即ち、「この法律の施行の際現に存する抵当不動産の賃貸借(この法律の施工後に更新されたものを含む。)のうち民法602条に定める期間を超えないものであって当該抵当不動産の抵当権の登記後に対抗要件を備えたものに対する抵当権の効力については、なお従前の例による。」(「短期賃貸借に関する経過措置」附則第5条)。



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2008年3月29日 (土)

地主が土地の有効利用を理由に明渡し訴訟

 大田区蒲田本町に居住する高橋さんは約9坪、田中さんは約12坪の土地を賃借。今年の7月の契約更新に当り更新拒絶を通告され昨年6月組合に入会。

 通知書を見て驚く、借地権を現在の地代の約54年分(高橋さん)、約42年分(田中さん)に消費税を加えて買い取るとの内容だった。

 直ちに借地人らは、所有する建物が現存するので借地法第4条による契約の契約更新を請求した。

 しばらくして地主の代理人という、六本木ヒルズに事務所を構える弁護士から内容証明郵便にて、土地の有効利用を理由に更新拒否して地主が提示した金額で買い取るので協議したいと申し込まれた。
 借地人らは、借地権を売却して他に移転する考えはないこと。よって、地主に協議には応じられないと通告した。

 地主は同地に居住時に、マンション業者に土地売却し残地を賃貸駐車場にしている。借地権を低額で買い取って土地を売却して高額な利息を得ようという、有効活用を正当事由にするとは恐れ入る。

 こんな地主の勝手な主張を認めることはできないと、借地人は断固地主と対決する決意を固めている。
 もともと立ち退く考えはないが、こんなに安い金額を提示するとはそもそも借地人らの権利を無視したもので、人を押し退け犠牲にしても「金儲け」しようとする姿勢は、ますます社会的格差を拡大するものでゆるせない気持ちを強くした。

 それから約半年経過した11月に建物収去土地明渡請求の訴状が届いた。すでに裁判も想定されて弁護士に相談していた両名は、組合の顧問弁護士に依頼した。土地の有効利用を理由に借地人の生活基盤を脅かす理不尽な請求には絶対に負けられないと、裁判にのぞんで決意を新たにしている。

東京借地借家人新聞より


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2008年3月28日 (金)

新所有者の不動産業者が建物の明渡を言って来た

 豊島区池袋で古い木造の平屋建ての建物で、クリーニング屋を営んでいた川上さん夫妻は、今から20年位前に家主から家賃の大幅な値上げを請求された。

 困っている時に友人から、借地借家人組合を紹介され、入会した。組合から家賃の増額には応じられない旨通知すると、家主は、賃料の受領を拒否してきた。そのため、賃料を法務局に供託し、頑張ってきた。

 その後、供託中の5年前に道路の拡幅のために立退き問題が起こり、家主とその代理人との交渉が行われ、最終的には今までより奥に、新しい2階建ての家を建ててもらいそこに住むことになった。

 川上さんの夫は新しい家に引越しと同時に死亡し、現在は一人住まいである。やっと終の住処を得たと思っていた今年になって、不動産業者が新しい家主と名乗り、立退きを求めてきた。

 何度も起こる借家のトラブルに、川上さんは「組合だけが頼りです」と語り娘さんとも相談しながら、今後の対策を進めていくことにした。

東京借地借家人新聞より


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2008年3月27日 (木)

家主の明渡し請求を撤回させる

 荒川区西尾久で4階建マンションの1階店舗(約12坪)を借り電気店を営む鈴木さんは、4年前の秋に漏水事故が発生し家主からマンションを建て直すから明渡してほしいと通告された。

 このマンションは2階から上は居室で20数世帯以上の入居者がいたが、水道の設備が悪く時々漏水事故が数箇所で発生していた。

 店舗を借りている人は6店舗だが、気がついてみると居住者も減り店舗も3店舗となった。更新時が来る人から徐々に立退いたようだ。鈴木さんは最後まで残って営業を続けていた他の2人に声をかけ3人で組合に相談し入会した。

 「水漏れ程度なら修繕で直せるのにどうしても追い出すなら、それなりの補償をするか、近くに代替の店舗を確保し再築時には現行の賃料で再入居させよ」と何度か家主と交渉を続けた。

 この間に家主は代替の店舗を探してきたが店舗としては狭すぎるため、建て直し期間中に品物の展示ができないために他の倉庫を借りて保管しなければならず、鈴木さんたちは倉庫の賃料も補償してほしいと主張した。

 考えると回答したものの何ら誠意も見せず時間が経過し、最近になってついに建て替えをあきらめ建物を部分的に補修し、入居者の募集を始めた。徐々に入居者が増え、空き店舗にも新しい入店者が入ってきた。

 鈴木さんたち3人は最後まで営業を守り頑張りぬいた結果、家主の明渡し請求を撤回させる大きな成果を上げた。この経験を生かして今後は商売繁盛に力を入れると張り切っている。

東京借地借家人新聞より


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2008年3月26日 (水)

粘り強い交渉で地代の減額に成功 (福井県)

 福井県武生市の斎藤さんは、100年以上前から2人の地主から70坪の土地を借地していました。

 斎藤さんは、3年前に定年退職をしたあと年金で生計を営み、地代の負担が生活を脅かし不安になりました。そこで、何とか地代を値下げできないかと近隣の地代を調べたところ、これまで支払っていた地代が余りにも高額であることがわかり、高齢のため将来不安を感じて2人の地主へ値下げを要請し、再三再四拒否されました。

 そこで、斎藤さんは、武生市の消費者センターへ相談したところ、武生借地借家人組合を紹介され相談。
 武生借地借家人組合は、斎藤さんからこれまでの経過説明と資料をもとに、2人の地主に対して
①地代の改定は借地借家法に基づき、双方で協議して決めること
②地代の改定要件に1つである地価は14年間下落しており、それに伴って固定資産税・都市計画税は減額されていること
③斎藤さんの支払能力を考慮して近隣相場並に地代を値下げすること
④話合いにあっては、借地借家人組合の代表の参加を認めることなどを申入れました。

 ところが、2人の地主は1年近くこの斎藤さんの申入れを拒否し続けていました。

 借地借家人組合は、斎藤さんに組合への入会を勧め、“数は力”で団結して地主と粘り強く話合うことを説得しました。

 その結果、2人の地主は、借地借家人組合の代表を交えての話合いに応じ、1人の地主は平成19年度以後の地代を50%、もう1人の地主は30%の値下げに応じ、今後双方で話合いによって地代の改定を行うことを確認しました。

 地代値下げに成功した斎藤さんは、「借地借家人組合に入会してよかった。安心して将来が暮らせます。これから借地借家人組合の強化に頑張ります」と述べています。

全国借地借家人新聞より


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2008年3月25日 (火)

威圧行為に50万円の慰謝料を支払え(京都地裁)

 京都市南区の1棟2戸建ての木造2階建て借家に住むAさんは、ワンルームマンション建設を理由に家主と管理業者から脅迫的な言葉で立ち退きを繰返し強要されていました。

 棟続きの隣りの空家の取壊しの際に、その廃材を通路や玄関口に散乱させるなど、嫌がらせを受けていました。思い余って、家主と管理業者に対して200万円の損害賠償を京都地裁に訴えていました。

 2007年10月18日、京都地裁は、「隣接家屋の取壊しは女性に圧力をかける目的で、不法行為に当る」として50万円の支払を命じました。

 判決によると、1953年に建築された木造借家で、昨年1月頃からAさんは、家主と管理業者から追い出しを迫られ「どんなことをしてでも空けてもらう。うちのやり方でするさかい」などと再三再四明渡を求められました。

 そして、今年4月になって棟続きの隣家を取壊す際、嫌がらせにAさんの家屋の壁を引き剥がし、また2階屋根中央に穴を開ける等、何らAさん宅の養生もせずに放置しました。また、窓枠や建具、瓦などの廃材をわざと通路へ散乱させ放置してきました。

 Aさんは、管理業者からの暴言を録音し、その威圧行為を裁判所に訴えました。裁判所は、録音内容を基に「取壊しは女性に心理的圧力をかける目的と推認でき、違法だ」と指摘し、精神的損害を認め50万円の慰謝料の支払を命じました。また、家主側の老朽化を理由にした明渡請求の主張を却下し、 Aさんに引続きそこに住み続ける居住の権利を認めました。

全国借地借家人新聞より


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2008年3月24日 (月)

借地上の建物への譲渡担保の設定が賃借権の譲渡にあたるとされた事例

 判例紹介

 借地上の建物について譲渡担保を設定することが賃借権の譲渡にあたるとされた事例 (東京地裁平成4年7月20日判決、判例タイムズ825号185頁以下)

 (事実)
 AはXから、借地上の建物を第三者に譲渡、転貸あるいは賃借権を担保に供し地上建物を第三者に譲渡するときは、事前に書面による承諾を得るとの特約で借地をしてきた。

 Aの相続人Y(1)が借地権を相続により承継した。Y(1)は借地上の建物についてY(2)に対して譲渡担保を設定し、これを原因とする所有権移転登記を了した。Y(2)は、譲渡担保設定後、借地を占有して、借地上建物を第三者に賃貸して家賃収入を得ていた。

 Xは、建物の無断譲渡を理由に賃貸借契約を解除し、建物収去土地明渡請求の訴をした。本判決はXの勝訴。

 (判旨)
 Y(2)はY(1)から本件建物の所有権移転登記を了した後、当時の賃借人から賃料を受領し、次いで**不動産を介し自らこれを他に賃貸して賃料収入を得ているのに対し、Y(1)放置するなどしており、またY(1)及びその夫は右債務を弁済するだけの資力を有さず、従って本件建物の所有権を回復することは極めて困難な状況にあるが、かかる事実に鑑みると、Y(1)において、その夫のY(2)に対する債務の弁済等により容易にY(1)とY(2)間の本件建物にかかる譲渡担保契約を終了せしめ得ること等特段の事由を主張立証しない以上、Y(1)のY(2)に対する本件建物の譲渡は、XとY(1)間の本件賃貸借契約の特約にいう本件建物の第三者への譲渡または土地賃貸借権の譲渡に該当するものといわざるを得ない。

(寸評)
 譲渡担保を賃借権の譲渡にあたると判断した例として紹介した。従来の判例は、譲渡そのものにあたらないとか、背信性がないとの理由で解除を否定したものが多かった。本判決は、譲渡担保設定後の賃借人らの実態が、実質上の賃借権譲渡にあたると判断したもので、当然の結論といえよう。
 占有移転を伴う譲渡担保は、その期間が相当のものであると、本判決と同様の結果になるので注意を要する。  1994.2.

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より


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2008年3月21日 (金)

店舗の途中解約の際、保証金の20%償却する特約が有効とされた事例

 判例紹介

 店舗賃貸借の保証金について途中解約の際に20%償却する旨の特約が有効とされた事例 (東京地裁平成5年5月17日判決、判例時報1481号144頁以下)

 (事案)
 賃借人Xは賃貸人Yから期間5年、賃料月額35万3000円で約30坪の店舗を借り、保証金588万6000円を差入れた。これには「保証金は5年で20%償却する。償却分は5年目に埋めるものとする。途中解約は20%償却する」との特約がついていた。

 Xは1年後に店舗を明渡した。そこでXは、「右の保証金償却特約は、仮に1ヵ月後に明渡した場合でも保証金の20%を貸主が取得するという内容になっているから、少なくともその部分は社会通念に照らして著しく借主に不利であり、本件契約が継続していた1年間という期間に対応する4%の償却は認めるが、それを超える16%の部分は借家法の精神や民法90条に照らして無効というべきである。したがって588万6000円から4%を差引いた565万0560円を返還すべきである」と主張した。

 これに対しYは、「5年で保証金の20%を償却するという約定はごく一般的であり、借主の一方的な都合による中途解約の場合も同様に20%を償却するとの条項は十分に合理的であって有効である」と主張した。

 (判旨)
 「Xは本件償却規定の趣旨を十分に理解した上で賃貸借契約を締結していること、20%の償却額は1ヶ月の賃料の3倍には満たない金額で、借主側の負担として過大なものとまでは認められないこと、借主の交替の際には新借主を見つけるまでにある程度の家賃収入を得られない期間を生ずることは往々にして避けられず、その際には貸主において新借主獲得のための仲介業者に支払う報酬等の諸経費が必要となることが認められ、そうした事情を考えると、賃貸借契約が短期に終了することを防ぎ、ひいては安定的な収入を確保するために賃貸借契約がその期間満了を待たず、中途で解約となる場合に期間満了に比して多額の償却をして保証金を返還することは不合理とはいい得ないこと、以上を総合すれば本件償却規定が借家法の精神や民法90条に照らして無効とは認めがたい

 (寸評)
 民法90条は「公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする」と定めている。
  わずか1年しか借りていないのに保証金の20%も償却するのは、あまりにも借主に酷であ利、貸主のもうけ過ぎではないか、それは民法90条によって無効であるはずだというのが借主の主張である。

  判決は右のような理由で無効とまではいえないとしたのだが、判例の中には借主の都合による中途解約の場合に保証金全額を没収する旨の特約を有効としたものもある。借地法や借家法に明白に違反したものでない限り「特約」を無効というのはなかなか難しい。 1994.4.

(東借連常任弁護団)

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2008年3月20日 (木)

地代相当額の算定に当たり、スライド法のみを採用した事例 

 判例紹介

 地代相当額の算定に当たり、差額配分法及び利回り法採用せずにスライド法のみを採用した事例 ( 東京地裁平成9年2月4日判決、判例時報1623号96頁)

 (事実)
 地主は、昭和34年8月10日、豊島区池袋(以下略)の土地を、賃貸借期間30年、賃料1か月14000円、堅固建物目的で賃貸した。
 その後、賃料は順次増額され、称は55年以降1か月203000円、平成2年7月以降1か月452560円となった。
 そして、地主は、平成3年4月以降賃料を1か月497820円に増額請求し、その後、順次、平成4年4月以降同754500円平成5年3月以降同787600円、平成6年4月以降同879880円、平成8年4月以降同898012円に増額請求した。

 これに対し借地人は、従前額である1か月452560円を支払っていた。

 (争点)
 本件の争点は、各賃料増額請求時における相当賃料額はいくらかである。

 (判決要旨)
 裁判所は、賃料増額請求に対して、
 「利回り法は、賃料が前回(平成2年) の元本に対して一定の利回りにあることを基礎に、継続賃料を求める手法であるところ、この手法は、数年前の地価高騰時に求めた低い合意利回りを地価下落時の元本に乗じて継続賃料を求めるものであるから採用することが適当でない。

 また、差額配分法は、対象不動産の経済価値に即応した適正な実質賃料と実際支払賃料との間に発生している差額を貸主と借主に配分して試算賃料を求める手法であり、本件では、右実質賃料と各基準時の更地価格を基に算出している。

 ところで、正当な土地価格の変動を賃料に反映させることはそれなりに合理性があるが、一方、特に首都圏におけるバブル景気による投機的因子による地価の高騰と、その後の反動としてのバブル景気の崩壊による地価の下落は、土地の効用(収益力)の増額によって生じたものではなく、このような投機的価格部分に対応するものが相当賃料額に紛れ込むことを防止する必要がある。

 他方、スライド法は、純賃料を各種指数によってスライドし、これに公租公課を加算して求める手法で、継続賃料を求める手法としては適切なものといえ、本件では地代と関連性があると考えられる消費者物価指数家賃(区部)指数を採用しており、合理的なものであるといえる」とした。

 (短評)
 本件は、副都心池袋の高度商業地域における継続賃料相当額をどう算定するかが問題となった事案である。従来、差額配分法、利回り法、スライド法を総合して算定していたが、バブル景気とその崩壊に伴う地価の変動により、その手法が困難となり、結局、スライド法のみによる相当額の算定に当たって実務上参考となる判決である。  1998.4.

(東借連常任弁護団)

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2008年3月19日 (水)

高額な更新料が支払えず、法定更新へ

  高額な更新料が支払えず、借地契約の更新請求を
      内容証明郵便で行い、法定更新へ


 大田区本羽田1丁目に宅地231平方メートルを賃借して、鉄鋼関係の工場を営み親から相続で権利を継承した新谷さん兄弟は、地主から高額な更新料を請求された。

 この地区は戦後日本の高度成長を支えた京浜工業地帯だが、今では長期不況の影響を諸に受けて、工場跡地に高層マンションが立ち並ぶ住宅地域に変わりつつある。このような変化もあってか、請求される更新料は高額だ。

 新谷さんは昨年請求された際、更新料の支払いは経済的に困難と回答し、地代の受領を拒否されれば供託する旨を伝えた。しかし、地主代理人弁護士から、更新料の協議不調の上、地代が滞納していると指摘され、土地を明渡すなら賃借権を買い取ると通告された。

 直ちに、新谷さんは、これまで地主が6ヵ月分毎に地代を集金していたことを指摘し、地代滞納の事実はないこと。すでに提供した地代が返金され、受領拒否が確認できたので供託することを決断。さらに、契約更新時に借地上に建物が現存していることを主張し、賃貸借契約の更新請求を内容証明郵便で行った。すでに契約は法定更新されて今日に至っている。

 新谷さん兄弟は、地代を供託し、契約の更新請求したことで、落ち着いて仕事が出来ると笑顔を取戻した。

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2008年3月18日 (火)

店舗の明渡が一転共同ビル内に移動で合意

 池袋駅近くの共同ビルで小料理屋を営む赤坂さんは、家主から明渡しか賃料の値上げを求められ、このままでは商売を続けることが出来ないと組合に相談した。

 組合の存在は知人を通じて賃貸借のトラブルだったら組合に相談するのが一番と言われていた。明渡し請求には正当事由がないこと、賃料の値上げは双方の合意がないと出来ないので拒否することで家主と交渉することになった。ただ、家主も事情があり、こちらにも事情があるので、5年から10年の賃料は現行の据置で定期借家契約という提案も検討することにした。

 組合が交渉の窓口ということで、家主も無理やりの交渉はせずに、いくつかの提案をしてきた。最終的に同一フロアーの別の場所で、現行賃料で、店舗の内装は家主もちと言う条件で営業をすることで合意した。赤坂さん「これで安心して営業することができます」と語った。

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2008年3月17日 (月)

抵当権に基づく賃料の差押と債権譲渡が競合する場合抵当権が優先する

 判例紹介

 将来発生する賃料債権について確定日付けのある通知により債権譲渡がされた後で抵当権の物上代位による差押がされた場合、抵当権者が将来の賃料債権を取得するとした事例 大阪高裁平成7年12月6日判決、判例時報1564号31頁)

 (事案の概要)
 抵当権者であるYが物上代位で債務者(所有者で賃貸人)の第三債務者(賃借人)に対する将来発生予定の賃料債権を差押たところ、右差押より前に確定日付のある通知(通常は内容証明郵便でなされる)により右賃料債権を譲り受けていたXが右抵当権行使の排除を求めて提訴。本判決はその控訴審の判決である。

 (判決の概要)
 本判決は、「抵当権の目的たる土地建物が賃貸された場合は、将来発生する継続的賃料債権についても抵当権の物上代位による差押をすることができるが、現実にその債権を取り立てることができるのは、期間が経過して賃料が現に債権として発生し、かつ、その弁済期が到来した時点以降である」

 「賃貸人は、将来発生継続的賃料債権についてもその成立を条件として譲渡できるが、右賃料債権が移転する時期は、期間経過により賃料債権が賃貸人に対し現実に発生するのと同時に当然に譲受人に移転する」旨判示したうえで、

 「差押による関係的処分禁止の効力の具備と対抗要件を具備する債権譲渡が同時であるとすると、そのいずれが優先するかが問題となるが、その場合実体法上の権利に優劣があればその順序、実体法上の権利に優劣がなければ、先に包括的な差押あるいは対抗要件を講じた方が優先する」との前提のもとに、

 抵当権者による物上代位に基づく権利の行使は抵当権の内容である優先弁済権に由来するものだから「抵当権に基づく物上代位による差押が優先し発生した賃料債権を取り立てることができる」と判示してYが賃料債権を取得できるとした。

 (寸評)
 バブルの崩壊とともに抵当権者がいくらかでも債権をを回収するために抵当権に基づき賃料の差押をするケースが増加しており、一般債権者の賃料差押や一般債権者に対する賃料の債権譲渡と競合する場合が少なくない。本判決は、抵当権に基づく賃料の差押と債権譲渡が競合する場合について判断したもので、一般債権に対して法律上優先権が認められている抵当権による賃料の差押を債権譲渡より優先したものである。

 結論は妥当であると思われるが、判例上固まっているわけでわなく、このような場合、賃借人としては、賃料を誰に払ってよいかわからない(債権者不確知)ということで、賃料を供託したほうが良い。 1996.8.

(東借連常任弁護団)

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2008年3月16日 (日)

地主が底地を不動産業者に一括売却してしまった

 豊島区上池袋で借地している斉藤さんたちは、今年の春にいきなり地主から「底地を売買し、今後はA不動産が地主になった」と通知された。

 業者は一方的に「更地価格は○○万円でその借地権割合の3割でいくらになるから買い取ってほしい」と言ってきた。いきなりの底地の売買と言うことで、不安になった斉藤さんは地元の元区議で組合の役員のところに相談に来た。

 そここで、借地人全員が組合に入会し、買取った業者に対抗していくことにした。

 借地問題の勉強会を行い、今までの借地契約はそのままであること売買に応じるかどうかは自由であって借地のままでもかまわないことを話した。

 また、国に地主などが物納した場合は路線価の借地権割合で売買に応じていることなどを話し、全員がそのような話合いなら応じることにした。この業者は組合とは別に個別に売買しようとしているので全員がまとまって対処していくことで確認した。

東京借地借家人新聞より


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2008年3月15日 (土)

保証金600万円が戻らないかもしれない

 中野さんは台東区上野でスナックを経営している。家賃は税込で49万3500円である。それとは別に電気、水道代を含む管理費を月約20万円支払っている。

 中野さんは夏場に体調を崩し、1か月程病院に入院していた。退院後も体調は思わしくない。スナックを続ける自信がなくなり、70歳を潮時と考え、11月末で廃業する事にした。

 10月3日に店舗を管理している不動産屋に電話で解約予告をした。それに保証金の返還は、何時ごろになるのかを尋ねた。 

 担当者から返事は、次のようなものであった。
 契約書に「①「解約予告の6か月後に賃貸契約は終了する」という特約があるので来年の4月分までの家賃(246万7500円)の支払義務がある。
 それに②契約満了日は12月24日であるから、更新料(98万7000円)と更新手数料(消費税込25万9088円)が必要である。
 また③中途解約なので「償却特約」で家賃の2か月分相当を保証金600万円から償却する約束になっている。
 また④原状回復費用などがあるので、それらを精算すると返却される保証金は何もないと思う。」と告げられた。

 担当者が更新料も必要といっていたが、何故、更新料を支払わなければならないのか疑問に思い借地借家人組合へ相談した。

 組合からは、以下のように説明した。10月3日に解約予告をし、その6か月後に賃貸借契約が終了するという特約になっている。これは中途解約違約金という意味であり、契約を4月まで継続するということでない。事実、契約書の但書に「一括で6か月分の家賃を支払えば即時解約出来る」となっている。従って、契約の更新は発生しないから、当然「更新料更新手数料」は支払う必要はない。

 また、契約書に「日割計算特約」が書かれているので1か月単位の精算になる。「日割計算特約」は1か月単位の精算にも合理性があり、暴利行為とはいえなという事で一応特約は有効とされている。従って、約1か月分の払戻しは受けられない可能性がある。

 注意として電話での解約予告は、後日、聴いていないと言われ、解約予告が無かった。或は文書で通告することになっているが、そのような解約の通知は届いていないと言われ、トラブルの元になるので、安全のために内容証明郵便を用いることを勧めた。

 殆どの契約書は解約予告通知は文書で行うように書かれている。証拠を残すためにも内容証明郵便は配達証明付きで出すようアドバイスした。

 (参考例)
 契約書に中途解約の予告期間と解約の制裁金が書かれている場合
 契約書に中途解約する場合は、6箇月前までに書面で通知するか、或は 6箇月分の賃料(予告期間の損料)を支払うという約定に従って貸主が6箇月分の損料(564万円)を借主の保証人に請求した。

 その支払で争われた裁判では、解約は双方の合意に基づくもので、損料支払はあくまで一方的な解約権行使を補償するものなのであるから、この件では損料の支払は不要という判断をした(東京地裁1993年6月14日判決)。家賃の6箇月分の約定損料を過大と判断した結果である。



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2008年3月14日 (金)

株式会社で商号や経営者が変わっても賃借権の譲渡と認められなかった事例

 判例紹介

 商号、資本及び実質的な経営者と異なっていても、株式会社として法人格を取得している以上は、法人としての継続性、同一性を有し、賃借権の譲渡にあたらない賭された事例 (東京地裁民事30部昭和62年7月28日判決、未掲載)

 (事実)
 Yの旧商号時代のA会社は、Xから使用目的に事務所、倉庫の約束で建物を賃借し、酒類の卸小売業を営んでいた。

 旧商号のAの株式は代表者が全株を有するいわゆる個人会社であったが、その代表者が経営の意欲をなくし全株式をB会社に譲渡し、併せて会社の役員も全員辞任してB会社から新役員が送られるに至った。そして、Yの社名もAから別のYとする旨の商号変更をし、従前の経営を継続するに至った。

 Xは右の変更は単なる株式譲渡ではなく、精算を伴う会社の売買であって、実質的には、賃借人の交替があったとみるべきであり、かかる場合には賃貸人と賃借人との間の信頼関係を前提とする賃貸借の特質に鑑み、YはXに対して賃借権を主張出来ないとして、建物の明渡しを求めていた事案である。

 (判示)
 「AとYとは商号も異なり資本及び実質的な経営者も異なっているが、Aが株式会社として法人格を取得している以上は、右の変動は法人としての継続性、同一性を失わせるものではないと言わざるを得ない。もっとも、賃借人が形式的に法人格を有していたとしても、そもそも法人としての実体がなくいわゆる法人格否認の法理の対象となるような場合には、株主あるいは経営主体の交替により、賃借人との関係では別個の法人として扱うべき余地もありうるところであるが、A商店がAの個人的色彩の強い会社であったことは否定できないとしても、そもそも法人としての実体がなくいわゆる法人格否認の法理の対象となるような会社があったとまで認めるべき証拠はない」

 「Aが、商法上の解散手続きを行っていない以上は、前記法人の継続性、同一性の判断を左右しない

 (寸評)
 この事件は、筆者がYの代理人として担当した事件。判旨は法人理論を素直に理解しており当然の結論である。同旨の高裁判決もある(大阪高裁昭和54年6月15日判決)。

 しかし、賃借人が法形式上同一であっても、その実態に変更があり、実質的に賃借人の交替とみなされる場合には、賃借権を主張できないとする判例(東京地裁昭和51年8月23日判決)もある。

 個人の零細法人が多い我国の実態を見ると、単純な判断ができない要素のある事案があるので参考のために紹介した。  1987.9.

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より


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2008年3月13日 (木)

築69年の借家の明渡し請求されても移転できない

 足立区江北町で長屋を借りている堺さんは、今年の6月末に突然不動産屋が現れ、立退くか借地権を買取るか二者選択を迫られた。

 家主を訪ねたが「もう関係ない」と突き放された。堺さんは、地元の議員の紹介で組合に相談に来た。

 建物は築69年で、老朽化を理由に立退きを請求され、家主は弁護士を代理人に立ててきた。堺さんは、週2回のアルバイトと僅かな年金で、弁護士からは現家賃(3万5千円)の1年分の立退料の提示があったが、到底移転できそうもない。交渉を継続中。

東京借地借家人新聞より


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2008年3月12日 (水)

再開発理由で明渡し

  家主が不調後に業者に売却
 新家主も同じ代理人通じ明渡し請求

 新宿副都心の西新宿で美容室を営業している佐伯さんは、昨年家主から再開発を理由に明渡しの調停にかけられた。

 家主の代理人の弁護士から立退きの補償はいくら位なら明渡しに応じるのか返事してほしいといわれ、知合いの内装屋さんに美容室の内装費用を見積もり、5百万円から6百万円かかるといわれ相手に通告した。

 家主の代理人はこの費用については補償する用意があるが、その他引越しに必要な費用や入居の際にかかる礼金、保証金、手数料などは自己負担するよういわれ、「自己負担してまでも立退き応じることはできない」と断わり調停を不調にした。

 ところが、今年7月に家主が再開発業者に売却してしまった。新しい家主も同じ代理人弁護士を通じて明け渡しを請求してきた。同時に家賃の受取り拒否を通知してきた。

 この時点で組合に相談。組合では、現行通りに家賃の支払いをすること。売却したというけれど、「前家主からは何の通知もないので、法務局にいって建物の登記を確認すること」その上で、家賃を支払い、受取を拒否したら供託で対抗し、立退きの話合いをすることをアドバイスした。

 佐伯さん「この一年間、立退き請求に始まり、調停、新家主の出現、家賃の受取拒否、弁護士から居座るならば裁判をするなどと脅かされ落ち着いて仕事も出来ない状態だったが、組合に相談して安心しました」と語っている。

東京借地借家人新聞より


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2008年3月11日 (火)

車庫証明書

 車庫証明書の発行申請に地主・家主の事前承認は不要
        大阪府府警本部が確認

 大阪府住宅供給公社新千里西町A団地自治会は、公社の一方的な立替計画に反対し係争中ですが、居住者のDさんは、自家用車の買替えのために、豊中警察署へ車庫証明書の発行を申請したところ、公社の承諾印が必要であることを理由に拒否されました。

 同時期に、東淀川区に住む借地人のNさんからも、東淀川警察署が地主の承諾印がなければ車庫証明は発行しないと拒否されたとの問い合わせがありました。

 大借連(全大阪借地借家人組合連合会)は、1980年10月2日に大阪府警本部と面談し、次のことを確認しました。
 「新車を購入する際、民法や借地借家法から車両の保管場所が確保され、その確認が出来れば車庫証明の発行は出来る。そのために、賃貸契約書、賃料の領収書、供託書のいずれかと借地人の場合は土地の、借家人の場合は建物の「登記簿謄本」が必要である。また、紛争中であっても書面さえ整えばよい」。

 このことを豊中警察署は知っているのかと照会すると、同署の窓口担当者は「そんな難しいことをいわれてもわからないので、府警本部へ確認してほしい」と対応するばかりです。

 そこで、大借連は船越康亘会長と狩俣寛敏副会長が大阪府警本部、交通部駐車対策課へ出向き、「1980年10月2日に面談し確認した車庫証明書の発行にあたっては、車両の保管場所が確認出来れば地主・家主の事前の承諾は必要ない」との確認事項は現在も変更ないものと考えているが、その変更はしていないかとの確認を求めました。

 府警本部の対応した取締指導係長の前窪一幸警部補は、「従来どおり地主・家主の承諾が得られなくとも、車両が保管できる場所と賃貸契約を証明できるものがあれば車庫証明書の発行はしている」と回答しました。その上で、豊中警察署と東淀川警察署へは発行するよう連絡することを確約しました。

 その後、豊中警察署へ車庫証明書の発行を申請したDさんからは、「警察は、何も言わずにすぐ車庫証明書を発行した。本当に有難うございました」と述べています。

全国借地借家人新聞より


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2008年3月10日 (月)

貸工場の全焼で建替承諾料(地価の3%)で合意

 大田区多摩川2丁目に居住の高浜さんは、95・5坪の土地を普通建物所有目的に借地して、自宅と貸工場を所有している。2年前には高額な更新料を支払い、合意更新し円満な環境にあった。

 今年春に借家人が原因の出火によって、貸工場が全焼した。共同住宅建設の承諾を求めたが、地主の代理人は執拗に等価交換を主張し、交渉は長期化した。組合に入会し交渉の結果、地価の3%の承諾料で合意し、建築工事に着工した。

 更新料を払って円満な状況でも、求めるものは当然のごとく求めるのが貸主であることの事例である。

東京借地借家人新聞より

  (*)  火災後の再築に関しては、こちらも参照して下さい。



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2008年3月 9日 (日)

更新料650万円の請求を拒否すると・・・・。

 荒川区町屋で共有名義50坪を借地している梅津さん夫婦は、昨年秋に更新料として20年前の倍額の650万円の支払いを要求されたが、きっぱりと支払い拒否し法定更新をした。その後、地主から何度も「非人間だとか、人の土地を奪い取るのか」等々の手紙を何通も受け取った。

 梅津さんはその都度、借地人の権利義務の関係を地主に訴え、対応の正当性を主張し続けた。今年5月になって、地主の代理人の弁護士2名より突然、梅津さんのご主人名義で家を建てたのは借地の無断譲渡との理由で契約を解除する旨の内容証明が送られてきた。梅津さん夫婦は、現在の住居を数十年前に建てた時先代の地主との間で話し合い合意が成立の上、承諾書も交わしてあったので無断譲渡ではないと代理人に回答した。

 6月に入ると代理人の弁護士から再度通知があり、「梅津さんを正式に借地人として認める。但し特約事項で、①更新時に更新料を支払うこと、②現賃貸人の亡夫が地主当時合意した事実も一切承認しないのでご主人亡き後地主の承諾なしでは借地権の相続は認めない」との契約書の作成をしたい旨の申し出があった。梅津さん夫婦はこんな契約は断固拒否すると返答した。

 その後、弁護士は沈黙しているが、更新料を不払いだからと6月から更に5000円の値上げを請求し、契約書の作成と更新料と地代値上げは絶対に譲歩しないと主張している。梅津さんは不当な請求を拒否して頑張る決意だ。

東京借地借家人新聞より


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2008年3月 8日 (土)

更新料返還訴 京都で2人が新たに提訴 

 賃貸マンションなどの更新料制度の違法性を主張し、借主側の立場で訴訟を支援している「京都敷金・保証金弁護団」(団長・野々山宏弁護士)は2月27日、新たに2件の更新料返還の訴えを起こしたと発表した。

 賃貸マンションの更新料は消費者契約法違反だとして、女性2人が27日、貸主側に返還などを求めて、それぞれ京都地裁と右京簡裁に提訴した。

 京都地裁に提訴している北海道出身の20代女子大生は2006年4月から契約期間1年、家賃5万8000円と1年ごとに更新料11万6000円を払う契約で京都市左京区の学生マンションに入居した。ところが2007年の更新後、防犯カメラで帰宅時間や友人の来訪をチェックされ、そのチェック結果を理由に中途解約された。結果、契約更新、7カ月後の11月にマンションを退去した。地裁に提出した訴状では、更新料や保証金のほか、プライバシー侵害による慰謝料など計約64万円を求めている。

 一方、右京簡裁に提訴した熊本県出身の20代女性は03年4月から、家賃3万8000円、1年ごとに更新料7万6000円を払う契約で、西京区のマンションに居住した。4回の契約更新したが、既に支払った3回分の更新料(22万8000円)の返還などを請求している。

 京都の「既払更新料の返還訴訟」で京都地裁は2008年1月30日、「更新料は,主として賃料の補充(賃料の前払い)としての性質がある」とする判決を出した。

 借主側の「京都敷金・保証金弁護団」は「貸主は退去を要求しながら更新料の精算をしておらず、京都地裁判決が更新料を有効とした根拠の『更新料は,賃料の補充(賃料の前払い)』という判断と矛盾する。更新料が 賃料の前払いでないのは明らか」と主張する。

 「大学進学で京都に来た両原告は更新料制度を知らなかった。学生の街・京都での不当な制度を改めたい」と強調している。

京都地裁2008年1月30日判決全文はこちら

判決文要旨はこちら



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2008年3月 7日 (金)

スルガ社、地上げ資金に150億円 暴力団に一部流出か

  スルガ社、地上げ資金に150億円 
                            暴力団に一部流出か

2008年03月06日    朝日新聞 朝刊

 東証2部上場の不動産・建設会社「スルガコーポレーション」(横浜市)が所有していたビルを巡る弁護士法違反事件で、同社は、地上げを依頼した不動産会社「光誉実業」(大阪市)側に、東京都内の5ビルの立ち退き交渉に伴う資金として、総額約150億円を提供していたことが警視庁の調べでわかった。このうち、入居者への立ち退き料などの費用を除いた数十億円が光誉の報酬になったとみられる。同庁はその報酬の一部が山口組系暴力団に流れた疑いがあるとみている。

 組織犯罪対策4課の調べで、スルガ社は同5ビルの土地の転売で、総額約270億円の利益を得ていたこともわかった。

 調べでは、スルガ社は03~07年、逮捕容疑の対象となった「秀和紀尾井町TBRビル」(千代田区麹町5丁目)のほか、渋谷区道玄坂2丁目のビル、同区宇田川町の2ビル、港区赤坂2丁目のビルについて、光誉に立ち退き交渉を依頼。光誉はいずれも、1年~約1年半で交渉を終え、その後、いずれの土地も転売されたという。

 TBRビルではスルガ社は光誉に約42億円を提供。このうち20億円程度が立ち退き料に充てられ、人件費などの経費を除いた十数億円が報酬として光誉の利益になったとみられる。

 ほかの4ビルでは、スルガ社から光誉側に計100億円余りが支払われ、TBRビルの分と合わせると計約150億円。うち半分程度が立ち退き料として使われ、光誉には1物件あたり数億円ずつの報酬が渡ったと同課はみている。

 それら報酬の一部が同社と関係のある山口組系暴力団側に流れた疑いがあるとみて、同課は資金の流れを調べている。

 一方、スルガはTBRビルの立ち退き後の土地の転売で約90億円の利益を得た。道玄坂2丁目のビルの場合は、スルガ社が03年7月に大手建築会社の子会社から約56億円で購入。立ち退き後に更地にして05年4月に売り、約48億円の転売益を得た。

 不動産関係者によると、不動産の転売では、購入から1年~1年半のうちに手放したほうが利益が出やすいという。それ以上かかると借入金の金利で転売益が圧縮されるためという。

 スルガ社の大川武男総務部長は朝日新聞の取材に、光誉に立ち退き交渉を依頼したことについて「土地は早く売らないと利益にならない。転売の生命線はスピード。光誉はそれが示された」と理由を説明している。

■自民党の2支部に献金

 自民党衆院議員の菅義偉前総務相(神奈川2区)が代表を務める政党支部が01~07年、都心のビルの地上げを巡る弁護士法違反事件で警視庁の家宅捜索を受けた不動産・建設会社「スルガコーポレーション」から、計104万円の献金を受けていたことが分かった。小此木八郎元経済産業副大臣(同3区)の政党支部も03~07年に計60万円の献金を受けていた。菅議員は返金を検討しているという。

 政治資金収支報告書などによると、菅議員が代表の自民党神奈川県第2選挙区支部は01~07年、年12万~22万円の献金を同社から受領。小此木議員が代表の同第3選挙区支部は03~07年に毎年12万円ずつ受けていた。

 菅議員の事務所は朝日新聞社の取材に、「報道されるまで事件をまったく知らなかった。指摘されている容疑が事実であれば決して許されないことであり、早急に返金する」と回答。小此木議員の事務所は「付き合いがあるのは確かで、事実関係を確認中」としている。

   地上げ事件:スルガ社、「プロ」との闇のタッグで急成長

  毎日新聞 2008年3月6日 

 あの日が事件の始まりだった。

 JR横浜駅に近いビル街にある東証2部上場の不動産会社「スルガコーポレーション」役員室。03年6月ごろ、男はドアを開けるなり「偽の売買契約書が必要だ」と声を荒らげた。それが、弁護士法違反容疑で今回逮捕された「光誉(こうよ)実業」社長、朝治(あさじ)博容疑者(59)だった。

 役員たちはその風ぼうから「堅気じゃないな」と不安を感じた。それでも、岩田一雄社長兼会長(69)=4日社長辞任=は、光誉に交渉を任せた。当時、スルガ社は東京・有楽町の中古ビル(9階建て)を購入し、立ち退き問題を抱えていた。交渉が進まず借入金の金利負担が増し経営を圧迫していた。取引先の不動産業者に頼み込んで、「地上げのプロ」と朝治容疑者を紹介されていた。

 スルガ社は72年、一戸建ての建築会社として出発した。しかし、岩田社長は95年、業界紙に「工事の請負だけで高収益を確保するのは無理だ」と嘆いている。その後、目をつけたのが、都心のビルを購入しテナントを立ち退かせた後に転売するという「不動産ソリューション事業」だった。指定暴力団山口組系組幹部との交際をバックに立ち退きを迫る朝治容疑者は、うってつけの人材といえた。

 両者が初めて手を組んだのは03年8月。東京・渋谷のファッションビル「SHIBUYA109」に隣接する築40年のテナントビル(13階建て)の地上げだった。光誉の名刺を持った男がテナントを一軒一軒訪ね、光誉がスルガ社から所有権を譲り受けたように見せかけた偽の売買契約書を手にすごんだ。「うちが全部やるんだ。早く出て行ってくれ」。このビルは1年8カ月後に取り壊され、スルガ社は転売で億単位の利益をあげた。

 この「味」が病みつきとなり、スルガ社は光誉への依存度を強めていく。03年8月以降都内で購入した11棟のうち、渋谷区や港区など地上げが難航していた6棟で光誉との間で同様の偽の売買契約書を結んだ。都心の一等地では、立ち退きが早く進めば大きな利益につながる。

 スルガ社の売上高は03年からの5年間で2倍となり、07年3月期の連結売り上げは800億円超に急成長した。4日の会見で岩田会長は偽の売買契約書について「(光誉との間で)所有権を仮装していたことは知っていた」と認めた。急成長を担ったのは紛れもなく光誉の力だった。

 上場企業が暴力団と関係の深い企業を利用した。山口組の東京進出と都心の不動産バブルを背景にした地上げ事件の構図を追った。

 追伸、スルガ社は、今回の事件が原因で金融機関から融資を止められ、2008年6月下旬に倒産した。>



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2008年3月 6日 (木)

スルガ社、「所有権移転」文書配布 光誉と一体で仮装か

   スルガ社、「所有権移転」文書配布 光誉と一体で仮装か


2008年03月05日  朝日新聞夕刊 

 東証2部上場の不動産・建設会社スルガコーポレーション(横浜市)が所有していた都心のビルを巡る弁護士法違反事件で、同社がビルの入居者に、ビルの所有権が不動産会社「光誉実業」(大阪市)に移ったと仮装する文書を送付していたことがわかった。立ち退き交渉にあたった光誉は入居者に、実態の伴わない売買契約書などを示していた。警視庁は、これらの文書は地上げを進めるためスルガ社と光誉が一体となって作成したとみている。

 スルガ社の岩田一雄会長(代表取締役社長を辞任)は4日の記者会見で、光誉との「仮装売買」を認め、「(仮装を)知った上で書類に決裁印を押した」と述べた。警視庁はスルガ社側が違法性を認識した上で光誉に立ち退き交渉を依頼していたとみて、スルガ社関係者の事情聴取を進めている。

 組織犯罪対策4課などの調べでは、事件の舞台となった東京都千代田区麹町の「秀和紀尾井町TBRビル」と土地の所有権は05年9月、外資系投資銀行からスルガ社に移った。直後の同年10月上旬、ビル入居者に岩田社長名の「お知らせ」と題する文書が送られた。同月11日付で所有者が光誉と都内の住宅販売会社に移り、翌11月から家賃の支払先が変更になる、との内容だった。

 同じころ、ビルがスルガ社から光誉などに転売されたとする「不動産売買契約書」の写しが、光誉から入居者に送られた。また、光誉とともにビルの所有者となった形の住宅販売会社が、テナント賃料の代理受領を光誉に依頼するとした「委任状」も入居者に届けられたという。

 当時入居していた弁護士の話では、文書を受け取ったあと不動産登記簿などを確認したところ、所有権はスルガ社のままになっていた。このため同社に10月26日付の内容証明郵便で所有権移転の真偽を照会した。2日後、スルガ社から「所有権は移転しているため、賃料は光誉実業の口座に振り込んでください」と回答があったという。

 こうした文書が入居者に届けられた05年10月以降、光誉の朝治博容疑者(59)らは立ち退き交渉を本格化させたという。

 調べでは、スルガ社が光誉に地上げを依頼したほかの物件を巡っても、同様に売買を仮装した書類が使われたという。

 この事件で警視庁は12人を逮捕。5日午前、スルガ社を家宅捜索した。

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“わけあり物件”の取得で急成長   バブル経済の崩壊とともに、地上げ屋は表舞台から姿を消した。その地上げ屋が再び息を吹き返したのは1990年代後半のことだ。その要因の1つは不動産ファンドの急増である。

 1990年代後半になると、地価下落で割安になった不動産を購入する海外のファンドが増え始めた。その後、国内系ファンドも登場し、雨後の竹の子のように増えたファンドがオフィスビルやマンションを買いあさった。動き出した東京の不動産市場。大阪を地盤にしてきた地上げ屋が東上を始めたのはビジネスチャンスを嗅ぎ取ったからだろう。

  こうしたファンドの旺盛な需要を満たすため、不動産開発業者は競うように物件を建築した。その結果、用地価格は高騰。取得費用を抑えるため、入居者のいる物件を安価に購入し、専門業者を使って立ち退かせるデベロッパーが相次いで出た。光誉はまさに、この専門業者。その意味では、昨今の不動産バブルが生んだあだ花である。

 そして、光誉に立ち退き交渉を依頼したスルガコーポも不動産市場の活況の中で急成長を遂げた。

  スルガコーポは入居者の立ち退きが進まない“わけあり物件”を積極的に取得するデベロッパーとして業界では広く知られていた。例えば、東京・銀座の中央通りに面したとあるビル。現在はスウォッチの路面店が入居しているが、この物件の再開発にかかわったのもスルガコーポである。

 この物件が建つ前にあったビルを米投資銀行、モルガン・スタンレー証券が購入したのは2000年のこと。ただ、立ち退き交渉が難航し、2003年にスルガコーポに売却した。一部のテナントが退去せず、難しい不動産だったが、取得したスルガコーポは半年あまりで立ち退きを完了させ、スウォッチに転売している。

 権利調整の複雑な物件を割安に購入し、デベロッパーやファンドに転売する――。2003年3月期以降、スルガはこの不動産ソリューション事業で急拡大した。

 2003年3月期に約172億円だった不動産ソリューション事業の売上高は、約209億円(2004年3月期)、約284億円(2005年3月期)、約508億円(2006年3月期)、約609億円(2007年3月期)と右肩上がりに伸びた。2008年3月期には中間期だけで778億円を計上している。2008年3月期中間決算の場で、スルガコーポは通期の売上高予想1180億円を1400億円に20%近く上方修正した。その原動力となったのは不動産ソリューション事業である。

 代表権を返上した岩田一雄会長と共に、取締役を退任した高城竜彦氏がこの不動産事業を手がけていた。住友不動産の社長や会長を務めた高城申一郎氏の親族として知る人ぞ知る存在だ。岩田会長の息子、岩田剛取締役の妻も高城氏とは血縁関係にある。

 「大阪流の熱意のある会社と思っていた」。4日夜の会見で岩田会長は光誉との取引の経緯を苦渋に満ちた表情で語った。金融機関から“フロント企業”と伝えられ、2007年に取引を打ち切ったという話だが、ソリューション事業のトップだった竜彦氏がそれまで知らなかったとは考えにくい。曰くつきの案件をまとめるにはそれなりの背景がなければ難しい。

 東証2部上場会社が絡んだ弁護士法違反事件は、ここ数年の不動産市場の過熱が生んだと言っても過言ではない。だが、米国のサブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)の影響もあり、現状の東京の不動産市場は以前ほどの熱はなく、不動産ファンドの買いは落ち込んでいる。ここ数年の不動産市場を鮮やかに彩った地上げ屋とデベロッパーの蹉跌は、不動産市場が冬景色になったことを誰の目にも明らかにした。

                     (日経ビジネスオンライン 篠原 匡)

 追伸、スルガ社は、今回の事件が原因で金融機関から融資を止められ、2008年6月下旬に倒産した。



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2008年3月 5日 (水)

“地上げ”社長ら逮捕 大阪の不動産会社 上場企業が依頼 非弁容疑で警視庁

 中堅総合建設会社「スルガコーポレーション」(本社・横浜市)所有の大型商業ビルをめぐり、弁護士でないのに報酬を得て入居者と立ち退き交渉をした疑いが強まったとして、警視庁は3日、弁護士法違反(非弁行為)の疑いで大阪市東住吉区の不動産会社「光誉実業」の社長、朝治博容疑者(59)、会社役員趙浩一容疑者(43)ら2人を新たに逮捕。これで逮捕者は計12人になった。うち11人は光誉実業関係者。

 朝治容疑者らはスルガ社から約42億円を受け取っていたが、このうち10億円前後が報酬だったとみられる。朝治容疑者は指定暴力団山口組宅見組幹部と親しい関係とされ、組織犯罪対策4課の調べでは、一部が山口組側に流れた可能性が高いとみて解明を進めている。

 事件の舞台は、東京都千代田区麹町5丁目にあった「秀和紀尾井町TBRビル」(13階建て)。参院議員宿舎の隣の一等地で、登記簿によると、スルガ社は05年9月末、ビルと土地を外資系信託銀行から取得。07年9月までに入居者を退去させ、ビルを解体。土地の所有権はその後、別の信託銀行に移っている。ビルには、外国大使館や法律事務所など数十のテナントが入っていたという。

 組織犯罪対策4課の調べでは、社長らは、同物件をスルガ社が取得した後の05年秋以降、弁護士ではないのに、報酬を得てビル入居者らと立ち退き交渉をした疑いが持たれている。

 組織犯罪対策4課の調べなどによると、スルガ社が光誉に立ち退き交渉を依頼した不動産は、逮捕容疑の対象となった東京都千代田区の「秀和紀尾井町TBRビル」のほか、渋谷区内3カ所と港区1カ所の計4カ所の商業ビル。光誉は03~07年、スルガ社から報酬を得て、ビルの入居者らに「スルガ社からビルの所有権の譲渡を受けた」などとする虚偽の売買契約書の写しを示し、立ち退き交渉をしていたという。

 しかし、登記上、所有権は移っておらず、同課は、実際はスルガ社が所有したまま、立ち退きを効率的に進めるため、交渉を外部に依頼したとみている。

  「スルガコーポレーション」は1972年に駿河建設として設立され、95年に東証2部上場を果たした。銀座や六本木など都心の一等地で、特に権利関係が複雑化した物件を整理・転売する事業で大きく業績を伸ばしたとされる。07年3月期決算の売上高は約792億円。元警察庁暴力団対策部長や元検察幹部が取締役に名を連ねている。

 「スルガコーポレーション」が取得した都心のビルを巡る弁護士法違反事件で、警視庁に逮捕された大阪市の不動産会社社長、 朝治  博容疑者(59)は、元暴力団組長の活動拠点として知られていた港区六本木のビルの再開発にも関与していたことがわかった。

 このビルは、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)中央本部の不動産取引に絡んで詐欺罪に問われた元公安調査庁長官らも買収を計画していた。警視庁は、今回の事件の背景に、権利関係の複雑な不動産取引に暴力団が群がる構図があったとみて、六本木のビルの取引の経緯も調べている。

 問題のビルは、約3800平方メートルの敷地に建物6棟が並ぶ通称「TSKビル」。六本木ヒルズと東京ミッドタウンの二つの超高層ビルを結ぶほぼ中間地点に30年以上前に建設され、かつては元暴力団組長が実質上経営する企業が所有していた。現在は再開発のため解体工事が終盤に差し掛かっている。

 不動産業界がTSKビルに注目するようになったのは、このビルを活動拠点にしていた元暴力団組長が死去した2002年ごろから。増改築が繰り返された建物には未登記の部分が点在して所有権が複雑化し、再開発に伴う立ち退き料を見込んだ暴力団関係者らが居座るなどしたため、賃借権や抵当権なども次々に設定された。

 関係者によると、06年7月になって千代田区の不動産会社が、競売で建物の大部分を約252億円で落札した。さらに昨年3月ごろには、落札されていない2部屋(計約190平方メートル)について、元公安調査庁長官、緒方 重威 被告(73)(詐欺罪で公判中)らが転売を計画。朝鮮総連から詐取したとされる資金の一部を見せ金として2部屋の所有者側に示し、25億円の買い取り価格を提示したが、最終的に売買は成立しなかったという。

 警視庁の調べでは当時、このうち1部屋の所有権を、朝治容疑者の親族が社長を務める大阪市内の不動産関連会社が所有。その後、この部屋はビル全体を買収した不動産会社に転売され、同庁は、この取引で朝治容疑者が多額の利益を上げたとみている。

 暴力団による地上げの事情に詳しい都内の中堅不動産会社の幹部によると、権利関係が複雑な不動産には、立ち退き料を目当てにした暴力団関係者が居座り、立ち退きを交渉する他の暴力団関係者も、多額の報酬を得るというビジネスモデルが出来上がっているという。この幹部は「TSKビルは、所有権をまとめれば数百億円で確実に転売できる注目の物件。当時、地上げ屋や不動産ブローカーが入り乱れて利益をあさっていた」と指摘している。

◇非弁護士(非弁)活動

 弁護士法72条に、弁護士でない者が報酬を得る目的で業として法律事務などを取り扱うことを禁じている。
 不動産の入居者(借主)との立ち退き交渉は、期間が残っている賃貸借契約を破棄させるため、法律事務にあたる。違反すると罰則(2年以下の懲役または300万円以下の罰金)がある。
 しかし、報酬を払って法律事務を扱うよう依頼した側を罰する規定はない。

 追伸、スルガ社は、今回の事件が原因で金融機関から融資を止められ、2008年6月下旬に倒産した。



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2008年3月 4日 (火)

借地上の建物の借家人が地主から突然明渡を求められた

    借地上の建物の借家人が地主から
       借地契約解除を理由に明渡を求められた

 (問) 借地上の建物を賃借しているが、突然地主から家主(借地人)が地代を長期間滞納したので債務不履行を理由に借地契約を解除したと通告された。6ヵ月後に建物を取壊すので早急に建物を明渡すよう要求された。地主の要求に応じなければならないのか。

 (答) 借地人の地代不払い、無断増改築等の債務不履行によって借地契約が消滅した場合に、判例は借地契約の消滅を借家人に対抗出来るとしている。その場合、借家人に対する代払いの催告も不要であり、借家契約は借家人が現実に建物利用出来なくなった時に履行不能となり消滅すると判旨している(①最高裁昭和45年12月24日判決)。

 従って、債務不履行を理由とした契約解除の場合、借家人は地主に賃借権を主張できないので最終的にはは建物を明渡さなければならない。

 では、家主である借地人の滞納地代を借家人が居住権を守るために代払いすることは出来ないのか。
 判例は借地権の消滅を防止することに法律上の利益を有することから借家人が借地人に代わって地代を支払うことを認めている(②最高裁昭和63年7月1日判決)。

 しかし借家人にまで代払いの催告をして、滞納地代の支払の機会を与える必要はない(③最高裁昭和51年12月14日判決及び上記①の最高裁判決)としている。
 相談者の地主は建物を取壊す目論見があるので代払いを認めることは状況から困難である。

  借地契約が解除される場合でも、①の最高裁判決にあるように、借家契約は直ちに終了する訳ではない。地主と借家人との間で建物・敷地の明渡義務が確定され、地主が建物収去土地明渡の強制執行をして建物の使用収益が現実に出来なくなる等、借家人が現実に建物を使用出来なくなるまで借家契約は終了しない。それまでは建物の明渡請求に応じる必要はない。

 但し、借家人は建物取壊しまでの間の家賃を支払う義務がある。加えて地主から地代相当額の損害金の請求を受ける場合もあるので留意すべきである。

  なお借地人が建物を第三者に賃貸しても借地自体を転貸したことにはならない。従って地主に無断で建物を賃貸しても地主は契約を解除することは出来ない。



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2008年3月 3日 (月)

滞納家賃を返済中の契約の保証人自身も失業

  足立区保木間の野間さんは、友人の賃貸借契約の保証人になった。
 初めのうちは順調に家賃が支払われていたが、借家人が不況の影響で退職に追い込まれて家賃が滞った。一度は保証人の野間さんが支払ったが二度目の請求を受けてたまらず組合に相談した

 しかし、保証人は一方的には解除できないので、組合と一緒に家主と粘り強く交渉を続けて、どうにか一年半たまった賃料の一年分を支払う約束で保証人を解除してもらった。

 ところが、今度は野間さん自身が失業してしまい、月5000円の分割で支払い中。

東京借地借家人新聞より


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2008年3月 2日 (日)

地代通帳に損害金と書込む

 足立区中川に住んでいる田中さんは、平成13年11月で借地の更新の時期だった。

 地主からは何の連絡もなく田中さん自身もすっかり忘れていたため、毎月月末になると地代を持って行っていた。

 今年の7月に、いつものように地代を支払いに行ったら地主は「昨年の11月で契約期限が切れているから更新料を払って貰う」と言われた。田中さんは突然のことだったので「ええ、じゃもう法定更新してますね」と口から出てしまった。すると地主いわく「ふざけんじゃねえ」と言って、持参した地代の通帳に平成13年11月までさかのぼって損害金と書き込まれてしまった。

 すぐに撤回を求めに行ったが聞き入れてくれないので、地代として支払った旨と今後は供託すると通知をだした。

東京借地借家人新聞より


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2008年3月 1日 (土)

借地権売却悩み抜く? 父、弁護士に相談 足立無理心中

借地権売却悩み抜く? 父、弁護士に相談 足立無理心中
2008年03月01日  朝日新聞 夕刊    

 東京都足立区の機械修理・販売業佐々木亨さん(52)の一家4人が死傷した無理心中事件で、佐々木さんが不動産会社と借地権の売却契約を結んだ直後、地主から異議を唱えられ、相談した弁護士からも「地主の承諾をもらうべきだ」と指摘されていたことがわかった。警視庁は、借地権売却に行き詰まったと思い込んだことが家族殺傷につながったとみて、佐々木さんを被疑者死亡のまま殺人などの疑いで書類送検する方針だ。

 捜査1課などの調べでは、佐々木さんは2月5日、自宅と倉庫の土地の借地権を約4800万円で都内の不動産会社に売る契約を結んだ。同社が翌6日、倉庫の土地の地主に契約内容を通知したら、地主が佐々木さん方を訪れ、「無断での契約は認められない」などと指摘したという。

 佐々木さんは同8日、借地権関係を専門とする弁護士に電話で相談。この弁護士によると、佐々木さんは「契約内容は変えられるのか」と尋ねてきた。契約をすでに終えたことは明かさなかったため、弁護士は「地主に断らずに契約しないほうがいい」と伝えたという。その3日後の同11日に事件は起きた。

 佐々木さんが9日に発送していた不動産会社との契約書面は、事件後の12日に弁護士に届いた。弁護士は「書面内容に問題はなかった。電話の際は焦った様子で、契約がだめになると思い込んでしまったのではないか」と話している。

 不動産会社は警視庁に「地主の承諾がなくても裁判所の許可を得れば売却は可能と伝えたが、佐々木さんは納得しなかった」と話しているという。

 両手首切断などで一時重体だった次男(15)は意識が戻ったという。

地主と借地権を巡るトラブルが引き金か 東京足立一家4人死傷事件」も覗いて見て下さい

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