サブリース契約において賃料増額の合意が無効とならず認められた事例
判例紹介
平成7年に締結された建物賃貸借契約(サブリース契約)において、平成13年7月から賃料を増額する旨の合意が借地借家法32条1項に反して無効とはならず、合意どおりの賃料増額が認められた事例 (東京地裁平成15年3月31日判決、判例タイムズ1149号307頁)
(事案の概要)
X(貸主)とY(借主)は、XY巻で平成7年1月6日に締結された建物賃貸借契約(サブリース契約)において、月額賃料に月、平成7年1月~同年6月30日まで3485円/㎡、同7月1日以降5869円に増額する旨の合意(以下「本件賃料増額合意」という)をした。Xは、本件賃料増額合意に基づき平成13年7月1日以降本件建物の月額賃料は5869円/㎡に増額されたとして、Yに増額分の賃料の支払を求め、Yは、本件賃料増額合意は借地借家法32条1項二違反して無効であるなどと主張して同日以降の月額賃料は従前通り3812円/㎡を超えては存在しないことの確認を求めた。
(判決)
本判決は、本件賃料増額合意が借地借家法32条1項に反して無効となるか否かにつき、「借地借家法32条1項は強行法規と解されているが、その趣旨は、同項が直ちに賃料にかかる特約を無効とすることにあるのではなく、むしろ、賃料にかかる特約が、同項の適用を排除することができないことにあるにすぎない。そして、借地借家法32条1項は、当事者に対し、公平の見地から、相当な額まで賃料の増減を請求することができる権利を付与するものであるが、この相当な賃料額を定めるに当たっては、同項所定の諸事由に限ることなく、請求当時の経済状況及び従来の賃貸借関係、特に当該賃貸借の成立に関する経過その他諸般の事情を斟酌して、具体的事実関係に即し、合理的に定めることが必要である。(中略)したがって、当事者間の賃料にかかる合意が、借地借家法32条1項に反して無効となるか否かは、同項所定の諸事由、賃料が増額される時点の経済状況及び従来の賃貸借関係(特に当該賃貸借の成立に関する経緯)その他諸般の事情を斟酌し、当該合意の内容が当事者間の公平を著しく害するか否かという基準で決するのが相当である」と判示したうえで、上記の諸事情を具体的に斟酌して、本件賃料増額合意はXY間の公平を害するものとは言えず、借地借家法32条1項に反して無効とはならないとして、Xの請求を認めた。
(寸評)
本判決は、賃料増減に関する合意が借地借家法32条1項に反して無効となるか否かの判断基準について判示したもので、賃料増減に関する合意の有効性を判断するうえで参考になる判決である。
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