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2009年4月

2009年4月27日 (月)

地主が経済状況悪化で借地明け渡しの和解条件を拒否

 大田区蒲田本町2丁目所在の宅地約9坪賃借中の高橋さんと宅地約12坪賃借中の田中さんは、北海道旭川市に住む地主から自ら使用するからと、弁護士を介して借地権を買取りたいとの申し出による協議は整わず裁判となる。

 地主は東京に商売の拠点として事務所を開くとの願望が強く、売買代金を合意時に支払い、土地の引渡しは借地人らが死去後とし残金は相続人に支払うことで和解協議が進み、高橋・田中の両氏は家族らの了承を取り、裁判官の指導もあって協議が合意に至ったが、和解成立という当日になって地主は経済事情の悪化により、和解金の工面が困難と和解を拒否した。

 結局、裁判は地主の建物を収去して土地明渡せとの請求に、正当事由があるかどうかの判決となった。

 高橋さんには、昨年11月原告地主の本訴請求は理由がないからこれを棄却するとの判決が下った。1月には田中さんにも同様の判決が東京地裁から出る予定だ。

東京借地借家人新聞より


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2009年4月24日 (金)

借地が公売に

 足立区の組合事務所の近くに住む山本さんは、借地の土地の公売通知を見てビックリ、とても買う資金も用意できず途方にくれていた。

 看板を見て組合に相談した。同じ地主の敷地内に19軒の借地人がいるが聞くことも出来ずにいた。共同入札等の入札の方法もあることを知り、勇気を出して18軒に声をかけ、組合の協力で相談会を開いた。

 全員一致の方向はとれなかったが、3軒が組合に加入し、今後もお互いに情報交換していくことになった。

東京借地借家人新聞より


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2009年4月22日 (水)

建物の隣人との間にトラブルがあることについての不動産仲介業者の説明義務

 判例紹介

 本件は、購入した建物について隣人との間にトラブルがあることを買い主に説明しなかった不動産仲介業者に、説明義務違反があったとして、不動産の価値下落分(売買代金の2割)の損害賠償が認められた事例である。(大阪高等裁判所平成16年12月2日判決 『金融・商事判例』1223号15ページ(上告後和解))


事件の概要
X(原告):建物の買い主(消費者)
Y(被告):不動産仲介業者
A(被告):建物の売り主(2人の個人)
B(関係者):不動産仲介業者
C(関係者):購入する土地の隣接地に住む者(個人)

 XとAとの間において、平成14年3月16日に、Aが所有する建物およびその敷地である土地を代金2280万円でXに売り渡す旨の契約が成立した。Xは、この建物を居住の目的で購入したものである。この売買契約は、いずれも宅地建物取引業者であるYおよびBの仲介で成立した。Yは、Aとの間の媒介契約に基づいてAのために売買の成立に尽力することとなったものであり、また、Bは、Xとの間の媒介契約に基づいてXのために売買の成立に尽力することとなったものである。

 Aは、平成11年10月に、この事件の土地と建物を購入した。その際、引っ越しの翌日に、隣地に住むCから、「子どもがうるさい」などと苦情があり、さらに洗濯物に水をかけられる被害があった。Xについても、売買契約締結後に、建物を訪れた際に、Cから、「あんたのガキうるさいんじゃ!」「Aみたいに追い出したるわ!」などと言われる事態となり、引っ越しを断念した。また、Yの従業員は、平成14年3月3日に、Xではない購入希望者とともに建物を内覧したことがあったが、やはりCが「うるさい!」と苦情を言い、購入話が流れていた。

 このような経緯から、Xが、Cとのトラブルがあるため建物が居住の用に耐えないとし、Yに対し、YのXに対する説明義務違反があったことを理由として、不法行為に基づく損害賠償請求として2800万円余の請求をしたのが、この事件である。第一審判決はXの請求を棄却した。これに対し、控訴審判決は、Yの説明義務違反により不法行為が成立することを認めた。ただし、Xの被った損害については、Cの存在による不動産の価格の低下を売買代金の2割相当であるものと認定し、その限度においてXの請求を認容している。

理由
 Yは、宅地建物取引業者として、売り主たるA両名の依頼により本件土地売買契約の仲介を行うに際し、買い主たるXに対して、本件売買契約における重要な事項について説明すべき義務を負う。そして、宅地建物取引業法35条1項は、一定の重要な事項につき、宅地建物取引業者に説明義務を課しているが、宅地建物取引業者が説明義務を負うのは同条所定の事項に限定されるものではなく、宅地建物取引業者は、購入希望者に重大な不利益をもたらす恐れがあり、その契約締結の可否の判断に影響を及ぼすことが予想される事項を認識している場合には、当該事項について説明義務を負うと解するのが相当である(宅地建物取引業法47条1項1号参照)。

 Xのように、土地建物を家族とともに居住する目的で購入しようとする者が、当該建物において平穏に居住することを願うことは当然であるから、当該建物の隣人から迷惑行為を受ける可能性が高く、その程度も著しいなど、当該建物において居住するのに支障を来す恐れのあるような事情がある場合には、そのような事情は当該建物を購入しようとする者に重大な不利益をもたらす恐れがあり、その契約締結の可否の判断に影響を及ぼすことが予想されるというべきである。したがって、居住用不動産の売買の仲介を行おうとする宅地建物取引業者は、当該不動産の隣人について迷惑行為を行う可能性が高く、その程度も著しいなど、購入者が当該建物において居住するのに支障を来す恐れがあるような事情について客観的事実を認識した場合には、当該客観的事実について説明する義務を負うと解するのが相当である。

解説
 住宅の購入に際し、近隣の環境がどのようになっているか、ということは買い手にとっての関心事の一つであり、とりわけ隣接して居住する者が問題のある言動を繰り返すことで生活の平穏が脅かされることになるとすると、それは、法的な問題として取り上げなければならないものとなる。具体的には、不動産の取引に関与した宅地建物取引業者の説明義務違反の責任が、まず問題となる。

 もっとも、宅地建物取引業者の責任といっても、いくつか注意をしておかなければならない問題がある。(1)宅地建物取引業法が必要としている重要事項説明の明示事項の中に隣人の言動などが掲げられてはおらず(宅地建物取引業法35条1項参照)、しかも(2)重要事項説明をするべきものとされているのは宅地建物取引業者自身ではなく、そこに置かれている宅地建物取引主任者であり、また、そもそも(3)重要事項説明を怠るという行政取締法規違反が直ちに民事責任を肯定する決め手となるものではなく(宅地建物取引業法35条の重要事項説明義務違反に基づく行政監督処分を受ける可能性について同法65条2項2号)、また、(4)業者が売り手と買い手のどちらをサポートする立場にあるか、も一応は検討を要する。

 これらの理論的な諸障害のうち、まず(1)は、宅地建物取引業法35条1項の柱書(注1)に「少なくとも」とあるから、法文に明白に掲げられていなくても当事者が重視をする事項であることが事案の経過に即して明らかであるならば、説明の義務が肯定されるべきである。

 (2)は、法律上は別のものであるにしても、宅地建物取引業者とそこに置かれている宅地建物取引主任者は、一体として考えるべきである。いちいち履行補助者とか使用者責任のような法律的構成を挟まなくても、両者を区別せずに論じられることは少なくない。

 (3)は、たしかに行政取締法規違反と民事責任は理屈のうえで別であるとしても、後者を判断するうえで、重要事項説明義務違反ということがもつ意味は重い。

 そして、そのことは、(4)の業者の関与の態様の論点にも関係する。売り手との間で媒介契約を結び売り手をサポートする業者を元付といい(この事件のY)、同じく買い手側の業者を客付という(この事件のB)が、問題は、重要事項説明をめぐるトラブルが、しばしば買い手からみて直接の契約関係にない元付との間で起こることである。そこでの不法行為責任を考えるに当たり、しかし判例は、この点について、専門家としての責任を加味した「業務上の一般的注意義務」(最高裁昭和36年5月26日判決(参考判例3)(注2) として、決して軽くはないものとしてとらえている。この事件もまた、専門家責任を認める方向での事例を一つ加えるものにほかならない。

 なお、本件は、売り主が事業者でないから、たとえ近隣事情が消費者契約法にいう重要事項に当たる場合であっても、同法に基づいて契約を取り消すことはできない。仮に売り主が事業者であった場合には、重要事項について、元付業者による不利益事実の不告知があり、これによって消費者が誤認して売買契約が締結されたならば、買い主たる消費者は、消費者契約法4条2項・5条に基づき売買契約を取り消すことができる(松本恒雄・畔柳達雄・高崎仁著『Q&A消費者契約法解説』(平成12年、三省堂)、21ページ松本恒雄氏のいう「不動産仲介業者が、分譲業者の委託を受けて、消費者に新築マンションの販売を媒介する場合」と同じ)。

 なお、この場合の元付業者・売り主間の媒介契約を買い主は取り消すことができないことが強調されることがあるが〔経済企画庁国民生活局消費者行政第一課編『逐次解説 消費者契約法』平成12年、商事法務研究会、121~124ページ〕、むしろ重要であるのは、この事件でも問題とされている買い主から元付業者に対する損害賠償請求の可能性である。



注1
柱書:「号」がある条項のうち各号以外の部分

注2
参考判例(3)において、最高裁は、宅地建物取引業者につき、「直接の委託関係はなくても、業者の介入に信頼して取引をなすに至った第三者一般に対しても、信義誠実を旨とし、権利者の真偽につき格別に注意する等の業務上の一般的注意義務がある」と判示した。

参考判例
(1)東京地方裁判所平成7年8月29日判決  『金融・商事判例』1012号27ページ
(2)東京地方裁判所平成9年10月20日判決 『判例タイムズ』973号184ページ
(3)最高裁昭和36年5月26日判決『最高裁判所民事判例集』15巻5号1440ページ

参照条文
*宅地建物取引業法35条1項(柱書)
「宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者(略)に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、取引主任者をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第五号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない。」

*宅地建物取引業法47条1項1号
「宅地建物取引業者は、その業務に関して、宅地建物取引業者の相手方等に対し、次の各号に掲げる行為をしてはならない。
一  重要な事項について、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為 」

国民生活センターHPより)


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2009年4月20日 (月)

借地更新料を請求されているが、支払わないといけないのか

(問)
 地主から更新料を請求されています。前回は、父親の代でどこにも相談することができず、200万円を支払って更新しました。

 今回は、父親が5年前に他界し、長男である私が借地権を相続し、地代を支払っております。今回地主から300万円の高額な更新料を請求され困っています。

 更新料を支払わないと更新が出来ないのでしょうか。地主は前回更新料を支払っているので、今回も支払うことを約束しているというのですが本当でしょうか。契約書には次回の更新料については何も書かれていません。


(答)
 結論から申し上げますと更新料は支払わなくても、借地法では契約の更新できるようになっています。

 旧借地法では第4条で借地の期限が満了しても、建物が存在していれば前回と同一条件で借地契約の更新を請求する権利が認められています。また、同法第6条で更新料を支払わないで、合意更新ではなく法定更新を選択すれば、借地契約は自動的に更新されます。

 地主が更新を拒否するには、正当な事由が必要で、なおかつ遅滞なく異議を述べなければなりません。正当事由は借地人が現在の借地を使用している事情より、地主の方にもっと使用する必要性があるなどの事情がないと簡単には認められません。

 更新料については、最高裁の昭和51年(*1)と昭和53年(*2)の判決で「借地人には支払い義務はない」と明確な判決が下されています。

  また、前回更新料を支払っただけでは更新料を支払う合意が成立したとは認められません(*3)。

全国借地借家人新聞 より

(*1)最高裁昭和51年10月1日判決

(*2)最高裁昭和53年1月24日判決

*3


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2009年4月18日 (土)

「追い出し屋」を一斉提訴 大阪など3府県の6人

 家賃滞納を理由に強引に退去を迫られ、居住権を侵害されたとして、大阪など3府県の借り主が16日、家賃保証会社などに1人あたり110万~140万円の損害賠償を求め、大阪簡裁など4簡裁に提訴した。

 弁護団は「ハウジングプア(住まいの貧困)の温床となっている追い出し行為の違法性を追及するとともに、不明な点が多い賃貸住宅の管理・保証業務の実態を明らかにしたい」としている。

 訴えたのは大阪市、大阪府東大阪市、同府茨木市、兵庫県西宮市、宮崎市の30~50歳代の男女6人。被告は不動産管理会社、家賃保証会社など計8社と家主ら。

 訴状によると、原告は雇い止めや採用の内定取り消しで収入が断たれるなどし、家賃を滞納。その後、業者側から無断侵入や鍵交換、家財撤去などの追い出し行為を受けたという。

 同様の訴訟を、東京の20代と60代の男性が15日に起こし、大阪市、奈良県の借り主も訴訟準備を進めている。   

 弁護団の「全国追い出し屋対策会議」(代表幹事・増田尚弁護士)は19、20の両日、無料の電話相談会「追い出し屋被害ホットライン」を開設する。

東京 0120・442・423 (19日午前10時~午後6時)

▽大阪 06・6361・0546 (19日午前10時~午後4時)

▽福岡 092・741・4566 (20日午前10時~午後4時)


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なくそうハウジングプア!住まいの貧困に取組むネットワーク結成


4月19日(日曜日)
追い出し屋被害で無料電話相談

   0120-442-423

受付時間10:00~18:00)

 (無料で被害相談 住まいの貧困問題に取り組む「全国追い出し屋対策会議」など3団体は19日午前10時~午後6時、家賃滞納を理由とする高額な違約金請求や、鍵の無断交換・荷物撤去の被害相談に無料で応じるホットラインを開設。


 なくそうハウジングプア!
  住まいの貧困に取組むネットワーク結成

住宅セーフティネットの実現求め運動
 

新宿区大久保通りをデモ行進する集会参加者
新宿区大久保通りを
デモ行進する集会参加者
200名が参加したネットワーク設立集会
200名が参加したネットワーク設立集会

 「なくそうハウジングプア!安心できる住まいを!」と題して住まいの貧困に取り組むネットワークの設立集会が、3月14日午後2時から新宿区の大久保地域センターにおいて開催され、200名の市民が参加した。

 同ネットワークは、昨年10月の反貧困ネットワークの世直しイッキ大集会の中で住まいの分科会が開催され、集会の取り組みの中でネットワーク組織の設立を準備してきた。東借連と全借連では、準備段階から参加した。

住まい現場から悲痛な叫び

 集会では、第1部「住まいの貧困の現場から」では、
①スマイルサービスから鍵を交換され、荷物を全て撤去された借家人、
②派遣切りでアパートの家賃の支払いが困難になり家族が離れ離れに友人宅などに身を寄せている外国人労働者、
③日産ディーゼルで働き昨年12月に派遣会社から契約打ち切りを通告されたが労組を結成し解雇と寮からの退去に反対して闘う労組役員、
④ホームレスで野宿生活しているときにNPO団体の寮に住み込まされ15万円の生活保護費から8万7000円の寮費を天引きされ、寮生活でいじめを受けた30代の男性などから切実で深刻な内容の発言が次々にされた。

 第2部では、「住まいの貧困にどう立ち向かうか」と題してパネルディスカッションが行なわれた。

 パネラーのNPO法人自立サポートセンターもやいの稲葉剛代表理事は「東京都は石原都政になって10年間都営住宅を一戸も増やしていない。若年ワーキングプアは申込む機会すら奪われている。住宅政策の規制緩和で民間では家賃保証会社など追い出し屋が野放しにされ、ハウジングプアを増大させた。保証金など大家がかかえるべきリスクを入居者が支払うのはおかしい。借家の公的な保証システムを確立させるべきである」と指摘した。

家賃保証会社に法的規制を

 次に、全国追い出し屋対策会議の司法書士の徳武聡子さんは、家賃保証会社など追い出し屋の手口と法的な問題点、対策会議の刑事告訴や民事責任の追及などの対応について報告した。「サラ金業者の規制が厳しくなった2年前から子会社を作り家賃保証会社に参入し、強引な家賃の取立てと不法行為を行なっている」とを指摘し、早期の法的規制の必要性を強調した。
 また、大阪市立大学の小玉徹教授より欧米と日本の居住政策について、資料使って詳しく説明がされた。

 最後にネットワークの世話人の藤本龍介さんより「住まいの貧困に取り組むネットワーク設立宣言」が読み上げられ全員で確認した。

 集会後、デモ行進に移り、「公共住宅をつくれ」、「保証人制度をなくせ」、「定期借家制度を廃止しろ」、「家賃を下げろ」等々のシュプレヒコールが新宿の街に響き渡った。

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2009年4月17日 (金)

相続人が負わなければならない連帯保証人の責任

(質問) 3年前に、夫の友人が賃貸マンションを借りる時に、夫が連帯保証人になりました。ところが、管理会社から突然内容証明郵便で「3か月分の家賃が滞納されているので支払え」との督促状を受取りました。よく調べると、友人は3か月前から行方不明となっていることが判りました。夫は1年前に交通事故で死亡しており、この場合、妻である私が未払い家賃を全額支払わなければなりませんか。


(回答) 賃貸マンションを契約するときの条件として、連帯保証人を付けることが通例となっています。連帯保証人の法定相続人のあなたは、民法432条の規定により、友人の滞納家賃を支払う義務があります。

 また、行方不明の友人の賃貸契約が解約されるまでの家賃は、連帯保証人の法定相続人である妻のあなたへ支払義務が生じます。

 そこで、あなたは、警察へ借主の「行方不明」届けを提出し、債務者の代理人として貸主へ①賃貸借契約の解約請求、または、②連帯保証人の辞退と③以後の未払家賃の支払いの意思がないことを内容証明郵便で通知しておくことが必要です。

 なお、貸主は3か月前から友人が行方不明となっていることを知りながら、あなたへなんら事前の照会がなくて突然に支払の督促をしてきた場合は、貸主の催告の努力義務を怠ったことにより連帯保証責任を免れることも考えられます。いずれにしても、裁判所でその判断を委ねることになります。

全国借地借家人新聞より


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2009年4月16日 (木)

借りている建物の一部が焼失したが火事になると借家権はなくなるのか

 (問) 1階が店舗で2階が住まいになっている併用住宅を借りて豆腐の製造・販売をしている。

 先日、隣りの飲食店から火災が発生して私の家の一部が類焼した。被害は外壁と2階の天井、屋根の一部が焼けた。消火で水浸しになったが、営業や生活に差し支えない程度で済んだ。

 家主は「火事で焼けた建物は取壊して建替えるので、すぐに明渡してもらいたい」と言い、更に「借家は火事で焼けると借りる権利はなくなる」とも言っているが、本当に借りる権利がなくなるのか。

  


 (答) 建物賃貸借契約の消滅は、火災によって建物としての効用を失ったか、又は社会観念上これと同視する状態となったことが必要である。すなわち、借家が火災で全焼し、建物が滅失すると借家権は消滅する。借家契約の対象物である建物が無くなると契約も無くなる。借家人に建物を使用収益させる家主の債務は、履行不能となって消滅する。

 これは建物が滅失した場合の例である。一部焼失の場合は、その状態が滅失に当たるかが問題になる。

 類焼による滅失の認定の判断は「賃貸借の目的となっている主要な部分が焼失して賃貸借の趣旨が達成されない程度に達したか否かで判断し、その際、修復が通常の費用では不可能か否かをも斟酌して判断する」としている最高裁昭和42年6月22日判決)。

 即ち、賃貸目的物の焼失による建物の滅失で、修繕が不可能という場合、或は、修復するより新築した方が経済的である場合は滅失と認定される。しかし、簡単な補修によって従前と殆ど変わらない効用を発揮できる状態であれば、借家契約は終了しない。

 相談者の場合は、比較的簡単に修繕できる状態であり、新築するよりは安上がりの費用で回復可能でる。従って、滅失とは言えず、借家権は存続する。

 家主の建物の滅失を理由に明渡請求をされる前に、修繕をして建物としての効用を発揮させるようにしておかなければならない。

 家主は修繕をさせないと言っているようだが、借家権を確保するため、営業を続けるためにも、速やかに屋根と外壁の修繕を強行し、使用・収益の出来る状態にしなければならない。その際、、修繕費用は自己負担で行うのが現実的である。


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2009年4月15日 (水)

連帯保証人がいないのですが

(問) 間もなく引越しをする予定です。賃貸マンションを借りる時、連帯保証人がいないので仲介業者が紹介した保証会社と委託契約を結ぶようにいわれましたが、どうしたら良いか、注意する点はありますか。


(答) 連帯保証人を付けることができない借家人が賃貸マンションを契約する場合、公的保証制度があれば、安心して契約を結ぶことができます。すでに、神奈川県川崎市では、高齢者が民間借家を借りる時、連帯保証人を付けることが不可能な場合、川崎市が連帯保証人となり高齢者の住まいを確保する支援制度があります。

 このような地方自治体が連帯保証人を確保することが困難な市民に対して連帯保証人となる制度を確立することは歓迎されます。

 最近、高齢者・外国人・青年などで連帯保証人になっていただける身内がいない、非正規雇用の増大などで会社や上司に保証人を頼むことが出来ないなどの事情で、保証会社を利用する人が増えています。

 「保証会社の業務内容に対しては「宅建業法」上の規制はありません」(東京と都市整備局住宅政策推進部不動産業課)とされ、法的規制がないために賃料滞納の際には悪質な取立や借りている部屋への無断立入、施錠などをし、入居できないようにすることが出来る。貸主に代わって契約を解除する代理解除権を有するなど悪質な契約内容が多く存在します。

 一部は消費者契約法に違反している契約書もありますので、契約をする際には十分内容を検討することが求められています。少しでも不明瞭な点がある場合は最寄りの組合へご相談ください。

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2009年4月14日 (火)

借地の更新料の請求を受けたが

 (問) 東京の豊島区で借地しています。今年10月に契約期間が満了します。4月に地主代理人の弁護士から更新するならば更新料を払うよう通知が届きました。
 代理人に「更新を希望するが更新料については、法的根拠がないので支払う必要がない」と回答したところ、代理人から「前回、更新料を支払って更新したのだから今回についても了解があったものとみなされる。」として、更新料を支払うよう再度請求されました。今後どのように対応したらよいのでしょうか。


 (答) 土地賃貸借契約の中に更新料を支払うという特約がない限り、更新料の支払義務はありません。

 地主の代理人は、法的根拠はないが前回の同意を今回の更新にも適用しようとしていますが、裁判(平成16年5月21日の東京地裁民事37部の判決)では、地主側は、「前回の更新時に更新料として約331万円を支払った際に次の更新時にも更新料を支払うとの合意がなされたと主張。同時に更新料を支払う慣習が存在する」と主張した。

 判決は、「かつて更新料の支払いがあると言うだけで更新料支払の合意があったとの根拠とすることはできない」として更新料支払いの慣習を認めませんでした。

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2009年4月13日 (月)

脅迫的な立退き強要にどう対処すべきか

 (問) 家主の代が変わった際、物件が不動産業者に転売されました。間もなく、その不動産業者が借家の明渡を請求してきました。そのやり方がとても不安です。どう対処すればよいのでしょうか。


 (答) まず気持ちの上で絶対にまけないことです。「ここに住み続ける!」という確固たる気概をもって対処することです。物件を買った不動産業者は程度の差はあっても金儲けを企てているに違いないでしょう。借家人が住んでいることを承知で前の所有者から安く買い叩き、とにかく借家人を追い出して、「高度利用」を謀り大金をせしめようとしています。

 彼らも立退請求する正当事由がないことも知っているはずでです。だから執拗かつ脅迫的なやり方で怖がらせてくるのです。

 弁護士でない者が立退交渉することは弁護士法72条に違反し、宅建業法も業者の威圧行為を禁止しています。

 ただ、1人では心細いものです。最寄りの組合に相談して、必要な場合、警察にも訴え、組合や弁護士さんの協力も得て強要禁止の仮処分命令の申立をすることも有効です。

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2009年4月10日 (金)

家賃が2~3日遅れ、10%の遅延損害金を請求された

 (問)
 息子がアパートを借りていましたが、ノイローゼで仕事が出来ず、家賃が2~3日遅れることが4~5か月続きました。管理会社が、1か月の家賃の1割の遅延損害金(合計2万5200円)を支払えと言われ支払いましたがどうにも腑に落ちませんので、なんとかなりませんか。


 (答)
 管理会社は貴方の息子さんが度々支払が遅れるので、契約書に「賃借人は家賃の支払が、1日でも遅れたら家賃の1か月の1割を遅延損害金として支払う」という特約盾に請求を行ったものだと思われます。しかし、息子さんは居住用として借りていますので消費者契約法の消費者にあたります。消費者契約法第9条第2項では、消費者が支払うべき金銭をその支払期日までに支払わない場合であっても、損害賠償の額や違約金が年14.6%を超えるものについては無効となります。従って、遅延損害金を計算すると605円となり、2万4595円を返還してもらうことが出来ます。

全国借地借家人新聞より

消費者契約法
消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等の無効
第9条  次の各号に掲げる消費者契約の条項は、当該各号に定める部分について、無効とする。

1 当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 当該超える部分

2  当該消費者契約に基づき支払うべき金銭の全部又は一部を消費者が支払期日(支払回数が2以上である場合には、それぞれの支払期日。以下この号において同じ。)までに支払わない場合における損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、支払期日の翌日からその支払をする日までの期間について、その日数に応じ、当該支払期日に支払うべき額から当該支払期日に支払うべき額のうち既に支払われた額を控除した額に年14.6%割合を乗じて計算した額を超えるもの 当該超える部分


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2009年4月 9日 (木)

階下の入居者からの嫌がらせで引越しを考えているが

(問) 昨年の暮れに賃貸アパートの2階に入居しました。2階に入居しているのは私だけで、1階には2世帯が住んでいます。
 住んで1ヶ月も経たないうちにちょっとしたことで、1階の居住者より床をどんどん叩かれたり、大声で怒鳴られたりするようになりました。近所の人の話では、2階に住んでいた前居住者もそれが原因で退室したということです。
 家主や仲介した不動産屋に注意を促しても知らん顔をしています。私も引越しをしたいと思いますが、家主か不動産屋に責任をとらせたいと思いますが、なんとかならないでしょうか。


(答) 家主や仲介した不動産屋が、そのような事実、即ち、階下の居住者の非常識な嫌がらせが原因で前居住者が退室した事実を隠してあなたとの間で借家契約を締結した場合は「消費者契約法」の第4条2項・消費者の不利益となる事実の不告知で誤認した契約は取消すことが出来ると記されています。

この条項を適用し、契約そのものを取消し、敷金や契約手数料などを全額返して貰うことができます。

全国借地借家人新聞より


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2009年4月 8日 (水)

不動産業者から更新時の更新手数料を支払うよう請求された

 問) 家主が依頼した不動産業者から更新時の更新手数料(家賃の1か月相当分)を支払うよう請求されました。支払わなくてはならないのでしょうか。


 (答) あなたが仲介業者に依頼して契約条件の変更をしたのでなければ手数料の支払義務はありませんので支払いを拒否して下さい。

 斡旋行為とは建物に関する賃貸借期間満了の場合、条件変更です。
 「建物の賃貸借期間満了の場合の条件変更契約の依頼者は特別の場合を除いて貸主である。仮に、賃料値上げを条件変更として貸主から更新契約の依頼を受け、斡旋行為に入った場合、貸主から賃料について不服があり、折衝を依頼された場合など借主も依頼者となるように見えるが、この場合は依頼とはならない。」(千葉県宅地建物取引業協会の「建物契約更新時の労務報酬」の規定)

 このような仲介業者の協会でも、依頼者以外から更新手数料を受取ってはいけないことを規定しています。

 東京都などは、借主から「契約更新時に不動産業者から更新手数料を請求されたという苦情が寄せられた場合には借主には支払義務はない」と回答しています。

 このような宅地建物取引業協会や自治体でも依頼者以外から手数料を受取らないよう指導しています。たとえ請求されても支払う必要はなく、そのことを理由に契約更新を拒否することは出来ません。迷わずに支払を拒否して頑張ってください。

全国借地借家人新聞より

  参照記事   不動産業者から更新手数料を請求されたが支払義務があるのか


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2009年4月 7日 (火)

建物の無い土地に借地権はありますか

(問) 自動車の車庫にすることを約束して、5年間の契約期間で土地を借りていましたが、5年目の今年地主から期間満了を理由に解約の通知をうけました。
 借地権があるので、解約の申し出に応じる必要がないとも聞きますが、本当に返さなくてもよいのでしょうか。


(答) 建物を建てる目的で土地を借りた場合、借地借家法が適用されますが、建物が建てられていない車庫の場合は、民法上の賃貸借となりますので、借地借家法が適用されず解約に応じなければなりません。

 ご相談の事例では5年間の約束で車庫として更地を借りてていたのですから借地借家法が適用されず、地主の解約申し出に無条件で応じなければならなくなります。

 ただし、地主から期間満了しても解約の通知がなかった場合には、従来の契約が継承されることになります(*)。この場合でも、地主から1年間の猶予期間をもって解約の申し出があった場合には解約に応じなければなりません。

全国借地借家人新聞より

(*)参考法令
 民法
賃貸借の更新の推定等
第619条  ①賃貸借の期間が満了した後賃借人が賃借物の使用又は収益を継続する場合において、賃貸人がこれを知りながら異議を述べないときは、従前の賃貸借と同一の条件で更に賃貸借をしたものと推定する。この場合において、各当事者は、第617条の規定により解約の申入れをすることができる。

期間の定めのない賃貸借の解約の申入れ
第617条  ①当事者が賃貸借の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合においては、次の各号に掲げる賃貸借は、解約の申入れの日からそれぞれ当該各号に定める期間を経過することによって終了する。
一  土地の賃貸借 1年
二  建物の賃貸借 3箇月
三  動産及び貸席の賃貸借 1日
 ②  収穫の季節がある土地の賃貸借については、その季節の後次の耕作に着手する前に、解約の申入れをしなければならない。


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2009年4月 6日 (月)

賃貸マンションを引越したが敷金が返って来ない。敷金を取戻す方法は

(問)  先月8年間住んでいた賃貸マンションを引越しました。敷金として家賃の2か月分の30万円を預けてありましたが、先頃管理している不動産業者の見積りによると、壁のクロスの張替え、クリーニング代等で合計50万円かかったので、残りは家主が負担するので敷金は返せないとの連絡がありました。
 8年間住んでいましたが自分の家のように大事にしていましたし、引越の時は綺麗に掃除をしてでたのに敷金が戻らないことに納得がいきません。何とか取戻す方法はないでしょうか。


(答)  敷金は、賃貸借に関して賃借人が賃貸人に対して負担する債務を担保するために預けてあるお金で賃貸借契約が終了して借家人が引越して行くときには家主は預かっている敷金は当然全額返還しなければなりません。

 ただし、借家人が家賃を滞納していたり、わざと建物や設備を破損したときは借家人は損害を賠償しなければならず、その分の費用は敷金から差し引かれる場合があります。

 ところで、借家人が建物を破損したのではないが、居住していれば自と汚れたり、設備・建具等の寿命が来る自然磨耗した時に借りた最初の状態に戻さなければならない義務があるかどうか。最近の契約書では「故意と過失と問わず退去時の修理は全て借主が負担する」旨の不等な特約がつけられているものもあり、こうした特約を根拠に、莫大な修理費を請求される事例が後を立ちません。

 国土交通省は、「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(*)を発表し、「通常に生活してできる汚れや損傷」は賃貸人の負担であることを明記した上で、畳の日焼け、タバコのヤニ、テレビや冷蔵庫の後部の電気ヤケ、クロスの変色等々、具体的ケースを上げて、右の例の場合いずれも賃借人の「通常の住まい方で発生するもの」として、借家人に修繕義務なしと定めています。

 従って、質問のケースでは敷金は全額返還請求できます。
 返還にあたっては、内容証明郵便で敷金の返還を督促し、それでも返して寄こさない場合には簡易裁判所へ行って相談すれば、訴額が60万円までなら簡単な手続きで敷金返還請求の少額訴訟を起こすことができます。

東京借地借家人新聞より

(*)「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の本文に更に多数の判例が追加されたものが「賃貸住宅の原状回復をめぐるトラブル事例とガイドライン(改訂版)」(大成出版社)である。敷金返還トラブルの指針になるものであり、参考になる本である。


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2009年4月 4日 (土)

不景気の打開策として相場より大幅に高い店舗の家賃を値下げしたい

(問) 16年前から12.5坪の店舗を借りて飲食店を営業しています。
 家賃は3年ごとに値上げされ坪2万4000円です。最近、この付近の商店街では空店舗が多く、家賃の相場が大幅に下がっているようです。近所の不動産屋の話では、同じ程度の店舗で坪1万8000円前後だそうで、実際に借りる段になると、さらに値引きしているという話です。
 最近、不景気で営業成績がふるわず赤字経営に陥りました。そこで打開策を考えていたら、家賃が世間相場より大幅に高いことに気付いたのです。
 この際、家賃の安いところに移転してしまえば簡単なのですが、移転するとなるとまとまった資金が必要です。
 家賃を相場並みに値下げすることができないでしょうか。


(答) まず家主に家賃の値下げ要求をします。値下げ要求の時期は賃貸借契約の期間途中でもかまいません。ただし、すでに支払済みの過去の家賃の値下げ要求はできません。

 世間では、貸店舗の賃借人からの家賃値下げ要求に応じる賃貸人が結構いるようです。空店舗が増えているので、テナントに逃げられては元も子もないからでしょう。

 家主がどうしても値下げに応じない場合は、簡易裁判所に家賃減額の調停の申立をします。調停申立の手続きはきわめて簡単です。裁判所に備付けの「賃料増減額調停申立書」に必要事項を書き込めばいいので、誰にでもできます。

 調停は、裁判所が結論を決めるのではなく、申立人と相手方双方の意見をとりまとめるのです。両者の意見が一致すれば、それで調停が成立し家賃額が決まります。

 家賃額が確定するまでの間の家賃は、値下げ前の額を支払います。確定前に値下げ額で支払うと家賃の一部不払いで契約解除の原因になります。

 最近は、近隣の家賃の水準が大幅に下落している状況なので、調停で値下げの成果を挙げる事例が増えていますが、もし調停で双方の意見が一致せず、調停不調になったら本裁判にします。裁判で減額が確定すれば、すでに支払った家賃との差額は年1割の利息が付いて返還されます。

東京借地借家人新聞より


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2009年4月 3日 (金)

木造瓦葺き一戸建て借家の雨漏りを家主の負担で修繕させる方法はないか

(問) 私は古い一戸建ての平屋を借りています。
 先日来の長雨で建物の一部に雨漏りしました。屋根は瓦葺きです。家主に修繕を頼んだところ「うちでは修繕はみんな借りている人にやってもらっています」と言われてしまいました。
 私は、貸家の修繕は家主がやるものとばかり思っていましたが、家主の考え方次第で借家人に押付けられるものなのでしょうか。
 なんとか家主に修繕させる方法はないものでしょうか。


(答) 貸家の修繕についての法律の定めは、民法606条1項に「賃貸人は賃貸物の使用及び収益に必要なる修繕をなす義務を負う」と規定しています。貸家の修繕義務は家主にあることが明確に規定されているのです。

  家主がこの法律に規定する義務を免れるためには、あらかじめ契約で「雨漏りの修繕は借家人の負担とする」との特約(特約とは法律の定めに反する約定)を交わしておかなければなりません。

 あなたの場合は右の特約はないので、言うまでもなく修繕義務は家主にあります。以下は家主の負担で修繕をする方法です。

 まず内容証明郵便(配達証明付)で家主に対して通知をします。
 その内容は「雨漏りしているので本書到達後10日以内に修繕してください。もし期日までに直していただけない場合は、私が業者に依頼して修繕し、その修繕費用は後日請求しますのでお支払いください。万一お支払いくださらない場合は、やむを得ず月々の家賃から差し引きます」。

 この通知を出した上で、その内容のとおり実行すればいいのです。修繕費用が月額家賃の半分以上になる場合は2ヵ月に分けて差し引きます。

 ここで、内容証明郵便を出す段取りを省略して、修繕費を家賃から差し引くと家賃の一部不払いとして契約解除の原因にされる恐れがあります。

 借家の修繕問題の解決法には別の方法もあります。それは、家主は完全な物を貸す義務がありますから、雨漏りするという不完全な度合いに応じて家賃を減額し、直ったら元に戻す方法です。しかし、これではいつ直るか分からず、前の方が現実的です。

東京借地借家人新聞より


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2009年4月 2日 (木)

賃貸マンションの契約書に支払約束がある更新料は支払を拒否できるか

(問) マンションの賃貸借契約の期間が1ヵ月後に満了します。家主から頼まれたという不動産屋から「契約更新のお知らせ」が送られてきました。その内容は(1)家賃は据置き、(2)更新料は家賃の1ヵ月分、(3)手数料は家賃の半額、となっています。

 従前の契約書には「契約を更新するときは更新料を新家賃の1ヵ月分支払う」という契約条項が入っています。私は当初契約するときには契約内容を読まずに契約書にサインしてしまいました。私は前回の失敗を繰返さないために、今回更新する契約書では、この条文を削除したいと思います。削除する方法はありませんか。

 更新料は支払義務がなく払っていない人が大勢いると聴きました。私は次回以降はもちろんですが、できれば今回も更新料と手数料は支払いたくありませんが、私の場合はどうにもならないのでしょうか。


(答) 従前の契約書に記載されている更新時には更新料を支払う旨の約定は、更新を新しい契約書を取り交す合意更新にした場合は、支払約束として有効とされ支払義務があります。

 新たに契約書を取り交さない法定更新の場合はどうでしょうか。
 法定更新は借家人は何らの経済的負担を負うことなく当然に更新の効果を享受できることになっています。さらに、この規定に反する特約で借家人に不利なものは無効としています。

 本来無効な筈ですが、裁判所の判断は、無効とするものと有効とするものの両方あって確定していません。また、有効とする判例のなかには、約定更新料不払いは約束違反で契約解除(注)というものまであります。

 そこで、仮に裁判になったら負けることもあるのを承知の上で法定更新にして更新料を払わないのも1つの方法です。

 しかし、万一、契約を解除されては元も子もなくなるので今回の更新料は支払い、新規契約書の更新料を支払う旨の条項は削除するといいでしょう。家主が削除に応じないときは、法定更新にします。法定更新後は契約期間の定めがない状態で続くので、更新料を支払う機会がなくなります。

 手数料は、仕事を依頼した人から取るもので借家人に請求するのは見当違いです。断りましょう。

東京借地借家人新聞より

 (注)約定更新料を不払いして借地契約を解除された事例
 借地人は無断増改築、無断転貸、地代の滞納などがあって、地主から契約解除をされても仕方がない状態であった。

 約定更新料支払請求の調停で、借地人は借地契約解除の撤回と引き換えに更新料100万円の支払いを2回に分けて支払う約束した。1回分は支払ったが、後の半分は催告をしても支払わなかったので、貸主が建物収去土地明渡を求めて提訴した。

 1審の横浜地裁では借地人が勝訴したが、控訴審の東京高裁では借地人敗訴。これを不服として借地人が上告したが、最高裁は借地人の違約行為、不信行為を不問にする解決金の意味を含めた趣旨である更新料を支払わなかったことを理由に契約解除を認めた(最高裁昭和59年4月20日判決、判例タイムズ526号)。


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2009年4月 1日 (水)

借地上の建物が火災で全焼したが借地権は大丈夫か。借地権を守る手段

(問) 知人の話によると「借地の上に建物が無い状態だと借地権は消滅する」とのことで、大変心配しています。また、建物がない状態で、地主が土地の所有権を誰かに売却すると、その買主から借地人は追出されるとも聴きましたが本当でしょうか。
 借地権を守る手段があったら教えてください。


(答)  建物が火災で消失しても、地震で崩壊しても、建替えのために取壊しても、原因は何であれ、建物が無くなることを「滅失」といいます。

 借地借家法第10条1項に「借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる。」と規定しています。このため、登記した建物がない場合は、原則として第三者に対抗できません。

 しかし、同条2項には「前項の場合(*)において、建物の滅失があっても、借地権者が、その建物を特定するために必要な事項、その滅失があった日及び建物を新たに築造する旨を土地の上の見やすい場所に掲示するときは、借地権は、なお同項の効力を有する。ただし、建物の滅失があった日から2年を経過した後にあっては、その前に建物を新たに築造し、かつ、その建物につき登記した場合に限る。」と規定しています。

 このため、借地上の建物が火災で焼失(滅失)した場合に借地権を守るためには、滅失した日から2年以内に新たに建物を建てて登記すればいいのです。

東京借地借家人新聞より

(*)滅失前に借地上の建物が登記済みであることが必須条件である。
 滅失した「建物を特定するために必要な事項」とは、建物登記簿の表題部にある所在、家屋番号、種類、構造、床面積等のことである。
 掲示物に記載するのは前記の登記事項であるから、建物が登記されていなかった場合は、掲示物を設置しても、条文上からも第三者に借地権の対抗力を維持することは出来ない。

 「掲示が一旦なされた後に撤去された場合には、その後にその土地について借地権の負担のない所有権を取得した第三者に対しては、借地権を対抗することができなくなる。第三者に対して借地権の対抗力を主張するためには、掲示を一旦施したというだけでは不十分であり、その第三者が権利を取得する当時にも掲示が存在する必要がある。」(東京地裁平成12年4月14日判決、金融商事判例1107号)
 
掲示の保全につき、注意を喚起させる事例である。


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