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2010年10月

2010年10月27日 (水)

【判例紹介】 借家契約に付けられた更新料支払特約は消費者契約法10条に違反しに無効

 判例紹介

 大阪高等裁判所判例―借家契約に付けられた更新料支払特約は消費者契約法10条に違反し無効として、過去4回の更新で支払った合計40万円の返還することを賃貸人に命じた画期的事例 (大阪高裁平成21年8月27日判決

事案の概要
 A(賃借人)は、平成12年8月、4階建共同住宅の1部屋を、B(賃貸人)から、月家賃4万5000円で、借りて居住を始めた。契約書には、契約期間1年間、更新料10万円と記載され「更新の場合、契約書記載の更新料を支払わなくてはならない」と明記された更新料支払特約があった。

 以後1年毎に更新(下記)。
①平成13年8月10万円
②同14年9月10万円
③同15年8月10万円
④同16年8月10万円
⑤同17年8月10万円
合計50万円

 Aは、平成18年には契約を解約して明け渡し、支払った更新料50万円の返還請求の訴訟を京都地裁に起こした。京都地裁はA敗訴。大阪高裁は地裁判決を取消し、Bに②③④⑤の更新時既払更新料40万円全額返還を命じ、A逆転勝訴。

①は消費者契約法施行(平成13年4月1日)前にされた平成12年の当初契約によって支払われたものだとして認められなかった。

 (裁判の争点
 Aが訴えたこの裁判の争点は、AB間の更新料支払特約が、消費者契約法10条(「民法、商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第1条第2項に規定する基本原則(信義則)に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする」によって無効か否かである。

 (大阪高裁判決の要旨
 大阪高裁は、「消費者契約法が立法された下で見直してみると・・(中略)・・、この約定は、賃借人に無視できないかなり大きな経済的負担が生じるのに、本件更新料約定は、賃借人が負う金銭的対価に見合う経済的根拠は見いだせず、むしろ一見低い月額賃料額を明示して賃借人を誘引する効果があること、賃貸人と賃借人との間においては情報収集力に大きな格差があったのに、本件更新料約定は、客観的には情報収集力に乏しい賃借人から借地借家法の強行規定の存在から目を逸らさせる役割を果たしており、この点で、賃借人は実質的に対等にまたは自由に取引条件を検討できないまま本件賃貸借契約を締結させられた」

 「本件更新料約定は、民法第1条第2項に規定する原則(信義則)に反して消費者の利益を一方的に害するもので、無効である」と判断した。

 無効な更新料約定によりAが支払わされた40万円の既払更新料は、賃貸人(B)の不当利得であるから、賃借人(B)に返還せよという判決である。

 (本判決の評価
 賃貸借契約における更新料特約に消費者契約法10条を適用した初めての高裁判決であり、本件のような内容の更新料特約を消費者の利益を一方的に害し無効とした画期的なもの。なお、本年になり、7月23日、9月25日に、同様に消費者の勝訴とした京都地裁の判決が出ている。

(2009.11.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より


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2010年10月25日 (月)

【判例紹介】 更新料を支払う借地契約上の合意がない場合に更新料請求は認められない

 判例紹介

 更新料を支払う旨の借地契約上の合意がない場合に、地主からの更新料支払請求は認められないとされた事例

 【事例1・墨田区】
 東京地裁平成20年8月25日判決

 (事案の概要)
 ①AはBに昭和24年に土地を貸した。
 ②Aは死亡し、Cが相続。CとBは、昭和43年に借地契約を合意更新(1回目)。この際、更新料4万円が払われた。

 ③昭和63年に法定更新(2回目)。Bが平成5年死亡し、その子であるYが相続。地主Cが平成18年死亡、その子Xが相続。

 ④平成20年2月に法定更新(3回目)。XはYに対し最後の更新につき150万円(土地時価の5%)の更新料を請求して提訴した。

 ⑤賃貸借契約書には更新料に関する定めが一切なかった。

 (判旨)
 判決は、「宅地賃貸借契約における賃貸期間の満了にあたり、賃貸人の請求があれば当然に賃貸人の賃借人の更新料支払義務が生ずる旨の商習慣ないし事実たる慣習が存在するとはいえない(最高裁第2小法廷昭和51年10月1日判決)」として、地主の更新料支払請求を棄却した。

 【事例2・豊島区】
 東京地裁平成20年8月29日判決

 (事案の概要)
 ①DはEに昭和21年に土地を貸した。

 ②DとEは昭和41年に合意更新(1回目)。

 ③さらにDとEは昭和61年に合意更新(2回目)。Dは昭和62年に死亡し子の甲相続。Eは平成16年死亡し配偶者の乙が相続。

 ④平成18年は法定更新(3回目)。甲は、更新料の合意または慣習を根拠に525万円の更新料(土地時価の7%)を請求して提訴して来た。

 ⑤昭和61年の合意更新時に作成した契約書には更新料の定めは一切なかったが、更新料と推定される220万円の支払がEからDになされている。

 (判旨)
 判決は、「次回の更新に際して更新料の支払が要件になるか否かは、貸主であるDにとっても、借主であるE側にとっても重要な事項であり、これが当事者間で合意されたのであれば、本件賃貸借契約書にその趣旨の条項が書き込まれてしかるべきところ、本件賃貸借契約書にはそのような条項が存在しない」として更新料支払の存在を否定し、慣習を根拠とした甲の請求に対しては「一定の基準に従って当然に更新料を支払う旨の慣習が存在するとまで認めることはできない」として、地主の更新料支払請求を棄却した。

 (寸評)
 【事例2・豊島区】は筆者が代理した組合員の事例である。地主は控訴したが、第1回以前に取下げ、請求棄却の1審判決が確定して解決した。

 借地契約書に更新料を支払う旨の条項がなく、更新料支払の合意が認められない場合に、借地契約が期間満了時に法定更新したときには、借地人には更新料の支払義務がなく、更新料を支払う事実たる慣習の存在は認められない(最高裁昭和51年10月1日判決)。この最高裁の判例は、【事例1・墨田区】の判決にも引用されているように、既に確定した解釈で、現在の下級審もこれに従っている事例として紹介する。

東京借地借家人新聞より

(東借連常任弁護団・弁護士 田見高秀)


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2010年10月16日 (土)

24時間冷房、隣室にカビ 大分地裁・60万円賠償命じる (西日本新聞)

 マンション隣室の冷房が原因で壁などが結露してカビが発生したとして、大分市の男性が隣室の住人ら3人に約165万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が13日、大分地裁であった。一志泰滋裁判官は「受忍限度を超えており違法性が認められる」として、被告側に慰謝料や修繕費など約60万円の支払いを命じた。

 一志裁判官は「パソコン関連機器保管のため夏はエアコンを24時間使用し、室温18度、湿度50%に保っていた」と認定。「このようにエアコンを使えば隣室に結露やカビが発生することは予見すべきだった」と指摘した。被告に部屋を貸した所有者に対しても「管理規約に違反しており賠償責任がある」とした。

 判決によると、被告の住人は2008年5月に入居。6月に隣室に結露が生じ、9月には壁や畳、たんす内の衣類などにカビが発生した。

2010/10/15付 西日本新聞 朝刊


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2010年10月13日 (水)

家賃19年滞納、保証人に3百万円請求 大分・宇佐市 (朝日)

 大分県宇佐市が、市営住宅の家賃を19年滞納した50代女性と連帯保証人で同県中津市に住む弟に約300万円の支払いと女性の退去を求めて提訴し、弟と争っている。弟は「過去、市からも姉からも何の話もなかった。20年近く放置した責任は行政にもある」と、市は「連帯保証人への請求は法的に問題ない」とそれぞれ主張している。

 訴状によると、女性は1990年、旧安心院町(現宇佐市)の町営住宅に入居した。1年後から家賃が滞り、滞納額は今年2月末で148万8千円に達した。

 市は今年4月、大分地裁中津支部に提訴。昨年9月、翌月末までの退去を求めたが、女性は応じなかった。請求は2月末までの滞納金148万円と延滞料153万円。延滞金利は国や自治体で一般的な年14.6%。女性は出廷も意思表明もせず、女性に対しては市が7月に全面勝訴した。

 弟は「市や旧町から過去に連絡や催促はなく、姉とも年1、2回会う程度で滞納の話はなかった」と言う。過去3回の弁論で、3カ月以上の滞納者に退去請求できると定めた旧町や市の条例を指摘して「行政が初期に対処しなかったのは怠慢。数カ月分の支払いには応じる」と主張した。

 取材に対して市は「現在は連帯保証人に滞納状況を通知しているが、過去はしていなかった」と認める半面、「連帯保証人には責任がある。財政は厳しく、滞納はできるだけ解消したい」と譲らない。

 連帯保証人を提訴するかは自治体によって様々だ。熊本市は「名義人に支払わせるのが第一原則」として訴えていない。大分県も「今後は訴える方向だが、連帯保証人の責任の明確化など訴訟を提起するための条件整備ができていない」と担当者は話す。

 福岡県は連帯保証人も訴えているが、入居者が2カ月以上滞納すると定期的に連帯保証人に催告書を送っており「連帯保証人が滞納を知らないという事態はない」という。

 宇佐市営住宅約1600戸の09年度末の家賃滞納は累計1億3800万円。大分県内18市町村では大分市の2億6千万円に次ぐ。

 宇佐市は08年度以降、滞納者への最終催告書を市長名から弁護士名に変更し、建物明け渡し訴訟を起こし始めた。08、09年度で計15件提訴し、同年度の訴訟の請求額は200万~64万円。家賃の収納率は07年度末の61.0%から2年連続で上昇し、09年度末は61.68%になった。滞納額も2年で約780万円減った。

 市の担当者は「最終催告書を出してから200万円の滞納額を一括で支払ったケースもあった。これまでの怠慢のそしりは免れないが、滞納を将来に引きずるわけにはいかない」としている。(阿部彰芳)

2010年10月12日 asahi.com (朝日新聞社)


関連

【判例】 福山市が連帯保証人へ約10年分の滞納家賃を請求(広島地裁 平成20年02月21日 判決)


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