カテゴリー「借地権  」の記事

2009年10月20日 (火)

買取請求権を行使して地主に建物を買取らせる

 (問)私は、祖父の時代から借地上の建物に住んでいますが、家屋も古くなり、息子の所へ同居することになりました。そこで、地主へ土地を返すので借地権を買い取ってほしいと申し出ました。しかし、地主は「これまで通りの地代を支払ってくれ、土地は返還しなくてもよい」と言われて困っています。
 どうしたらよいのか悩んでいます。


 (答)借地上の建物は古くなり、居住者も高齢者が多くなりました。

 建物を改修するにも多額な費用もかかり、年金暮らしの高齢者にとっては、その費用を負担することは出来ません。ところが、地主へ借地権を買い取ってほしいと要求してもほとんどの場合、拒否されてしまいます。

 借地借家法第13条1項(同趣旨・旧借地法第4条2項)では、建物買取請求権(注)の規定があり、借地人が建物を地主に買取を請求すると、地主はこれを拒否することはできないことになっています。

 しかし、建物の買取価格については、相当に古い建物であると、古材同然の価格になり、借地権価格は考慮されません。それでも、地主が買取を認める場合は、建物の解体費用は地主負担となりますので、更地にして返すよりもまだ救われることになります。借地上の建物は、第三者へ借家として貸すことも出来ます。

 詳しくは、借地借家人組合へお問合せください。

全国借地借家人新聞より

 

 建物買取請求権・・・借地権の存続期間の満了に際して、①借地契約が更新されなかった場合の借地権者(借地借家法13条1項)又は②土地賃借権の譲渡・転貸につき、賃貸人の承諾が得られなかった場合の借地上建物の第三者取得者(借地借家法14条)が賃貸人に対して、借地上建物を時価で買取るよう請求出来る権利である。建物所有者から賃貸人に対する一方的意思表示により、建物の売買契約が成立したのと同様の効果が発生する。

参考記事
建物買取請求権 借地契約が終了した場合、借地人は地主に借地上建物を強制的に売りつけることが出来る

借地借家法
(建物買取請求権)
第13条  借地権の存続期間が満了した場合において、契約の更新がないときは、借地権者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原により土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる。

(第三者の建物買取請求権)
第14条  第三者が賃借権の目的である土地の上の建物その他借地権者が権原によって土地に附属させた物を取得した場合において、借地権設定者が賃借権の譲渡又は転貸を承諾しないときは、その第三者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原によって土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる。


東京・台東借地借家人組合
 
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2009年7月15日 (水)

借地の相続は地主の承諾がいるのか

(問) 私は借地上の建物に住んでいるのですが、父が亡くなり誰が相続人になろうかについて相談しているのですが、相続に当たって地主の承諾がいるのでしょうか。
 また、相続人には居住者でなければダメなのでしょうか。


(答) 建物の相続は相続人の誰が相続人になろうが問題はありません。

 地主との関係でも借地権の相続には、地主の承諾は必要ありません。同居人以外の相続人が相続知る場合も地主の承諾はいりません。貸家にするのも自由です。

 地主の中には、「土地を借りた本人が死んだのだから、土地は返してもらう」といってくるものもいますが、借地権も他の遺産と同様、法的に当然、相続人が相続することになります。

 相続人が何人かいる場合は、共同で相続することになりますので、相続人間で協議して、借地権の相続人を決めて、地主に通知すればよいのです。誰が相続するかは、相続人が自由に決められますから、遠方に住んでいる相続人も借地人になれます。

 借地上の建物を貸家として他人に貸しても借地を又貸し(転貸し)したことにはなりませんが、借地上の建物を地主の承諾なく売却(所有権を移転)すると、借地権を無断譲渡として借地の契約解除の問題が起きてきますのでご注意ください。

全国借地借家人新聞より


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2009年4月 7日 (火)

建物の無い土地に借地権はありますか

(問) 自動車の車庫にすることを約束して、5年間の契約期間で土地を借りていましたが、5年目の今年地主から期間満了を理由に解約の通知をうけました。
 借地権があるので、解約の申し出に応じる必要がないとも聞きますが、本当に返さなくてもよいのでしょうか。


(答) 建物を建てる目的で土地を借りた場合、借地借家法が適用されますが、建物が建てられていない車庫の場合は、民法上の賃貸借となりますので、借地借家法が適用されず解約に応じなければなりません。

 ご相談の事例では5年間の約束で車庫として更地を借りてていたのですから借地借家法が適用されず、地主の解約申し出に無条件で応じなければならなくなります。

 ただし、地主から期間満了しても解約の通知がなかった場合には、従来の契約が継承されることになります(*)。この場合でも、地主から1年間の猶予期間をもって解約の申し出があった場合には解約に応じなければなりません。

全国借地借家人新聞より

(*)参考法令
 民法
賃貸借の更新の推定等
第619条  ①賃貸借の期間が満了した後賃借人が賃借物の使用又は収益を継続する場合において、賃貸人がこれを知りながら異議を述べないときは、従前の賃貸借と同一の条件で更に賃貸借をしたものと推定する。この場合において、各当事者は、第617条の規定により解約の申入れをすることができる。

期間の定めのない賃貸借の解約の申入れ
第617条  ①当事者が賃貸借の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合においては、次の各号に掲げる賃貸借は、解約の申入れの日からそれぞれ当該各号に定める期間を経過することによって終了する。
一  土地の賃貸借 1年
二  建物の賃貸借 3箇月
三  動産及び貸席の賃貸借 1日
 ②  収穫の季節がある土地の賃貸借については、その季節の後次の耕作に着手する前に、解約の申入れをしなければならない。


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2009年1月30日 (金)

借地非訟手続(借地権の譲渡承諾)を行い借地権を地主に買取らせる

 大田区久が原*丁目に宅地33・45坪を賃借していたYさんは、更新料支払いを拒否したところ、昭和63年10月分地代が受領拒否されて供託することになった。

 年末に地主の友人という弁護士から「世間並みの更新料」を支払わないとは何事かと、法的手続き取る旨の書面が届き組合に相談のうえ入会した。

 直ちに、借地法に基づき法定更新になっていることを指摘し、重ねて更新料の支払いを拒否した。さらに受領拒否により地代を供託していることを地主代理人弁護士に通告した。

 それから15年Yさんが死去し奥さんが相続して地代の供託を継続した。奥さんも2年前から体調を崩し入退院を繰り返すようになり、昨年には養老の老人ホームに入ることになった。その経費捻出のために借地権を処分したいと組合に相談された。

 約20年及ぶ地代供託の状況で地主の承諾は困難と考えつつ、組合知り合いの不動産業者を介しての地主交渉は不調。同業者を介して借地権の購入者を得て、借地非訟手続を行った結果、地主が借地権を買い取ることになり、裁判所の鑑定のための現地調査が行われて、今年5月和解が成立した。

 和解まで約7カ月経過したがこれまでの経費を差し引き手にした金額に、Yさんの奥さんは「安堵しています」と老人ホームから丁寧な挨拶があった。

東京借地借家人新聞より


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2008年9月 1日 (月)

借地権譲渡の許可を得ずに借地権の譲渡を強行し契約を解除された事例

 判例紹介

 借地人BがCとの間に借地上の建物につき借地権付売買の予約をし、CがさらにDとの間に賃貸借契約を締結したことにつき、これを仮装として、借地権の譲渡に該当するとされた事例 (東京地裁平成8年6月2日判決、判例時報1600号115頁)

 (事実)
 (1)借地人Bが借地権を譲渡したい旨地主Aに申出たところ、Aは本件土地が自宅敷地に接しているいることから承諾を拒否した。

 (2)その後BはCとの間に借地権付建物の売買予約を締結し、CはBに7200万円を支払って建物の利用権を取得し、かつ、所有権移転請求権仮登記を経由した。

 (3)その後建物の周囲に足場が組まれて改装工事がなされ、Cから建物を賃借したDが医院として利用し始めた。

 (4)Aは、右一連の事実からすると、BはAに無断で借地権を譲渡したものであるから、借地契約を解除し、Bに対し建物収去土地明渡を求めた。

 (5)これに対しBは、BはCに対し借地権付で本件建物を売渡す予約したのみで、Cには本件建物を賃借しているだけであると主張し、Aの請求を争った。

 (争点)
 BとCとの契約は借地権の譲渡に当たるか否かである。

 (判旨)
 (1)Aの譲渡不承諾の意向を承知しているにもかかわらず、あえて、CがBに7200万円という高額の金員を支払い、本件建物の占有を取得し、これをDに転貸し、改修等自由にこれを利用していること、その代わりBは本件建物から転居し利用について全く関与しなくなっていることからすると、BはAの承諾を得ないまま借地権と建物の譲渡を強行したというべきである。

 (2)BとCは、Aの不承諾意思にもかかわらず本件借地権の譲渡を断念するつもりがなく、かつ、譲渡した場合と同様の経済的効果(引渡、金銭授受、利用、仮登記)を先取り的に実現しているのであり、譲渡予約を仮装しながら、実は譲渡を強行していることに他ならない。

 (3)Aの不承諾の意向に不当な点はなく、BとCはAの承諾を得ずに、かつ、警告を無視して本件借地権を譲渡したものであるから、Aの解除は理由がある。

 (寸評)
 本件借地人BとCはやり過ぎである。地主Aの解除を認めた本判決は正当であると思う。
 借地権譲渡を地主が承諾しなかった場合には、借地人は借地権譲渡許可の申立を裁判所に起こせる。本件のBもそれを起こしたが、それはDが医院を開業した後であった。やはり譲渡許可の裁判所の決定を取り、しかる後に事を始めるべきであった。

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より


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2008年7月 3日 (木)

借地権譲渡の許可を得ずに借地権の譲渡を強行し契約を解除された事例

 判例紹介

 借地人BがCとの間に借地上の建物につき借地権付売買の予約をし、CがさらにDとの間に賃貸借契約を締結したことにつき、これを仮装として、借地権の譲渡に該当するとされた事例 (東京地裁平成8年6月2日判決、判例時報1600号115頁)

 (事実)
 (1)借地人Bが借地権を譲渡したい旨地主Aに申出たところ、Aは本件土地が自宅敷地に接しているいることから承諾を拒否した。

 (2)その後BはCとの間に借地権付建物の売買予約を締結し、CはBに7200万円を支払って建物の利用権を取得し、かつ、所有権移転請求権仮登記を経由した。

 (3)その後建物の周囲に足場が組まれて改装工事がなされ、Cから建物を賃借したDが医院として利用し始めた。

 (4)Aは、右一連の事実からすると、BはAに無断で借地権を譲渡したものであるから、借地契約を解除し、Bに対し建物収去土地明渡を求めた。

 (5)これに対しBは、BはCに対し借地権付で本件建物を売渡す予約したのみで、Cには本件建物を賃借しているだけであると主張し、Aの請求を争った。

 (争点)
 BとCとの契約は借地権の譲渡に当たるか否かである。

 (判旨)
 (1)Aの譲渡不承諾の意向を承知しているにもかかわらず、あえて、CがBに7200万円という高額の金員を支払い、本件建物の占有を取得し、これをDに転貸し、改修等自由にこれを利用していること、その代わりBは本件建物から転居し利用について全く関与しなくなっていることからすると、BはAの承諾を得ないまま借地権と建物の譲渡を強行したというべきである。

 (2)BとCは、Aの不承諾意思にもかかわらず本件借地権の譲渡を断念するつもりがなく、かつ、譲渡した場合と同様の経済的効果(引渡、金銭授受、利用、仮登記)を先取り的に実現しているのであり、譲渡予約を仮装しながら、実は譲渡を強行していることに他ならない。

 (3)Aの不承諾の意向に不当な点はなく、BとCはAの承諾を得ずに、かつ、警告を無視して本件借地権を譲渡したものであるから、Aの解除は理由がある。

 (寸評)
 本件借地人BとCはやり過ぎである。地主Aの解除を認めた本判決は正当であると思う。
 借地権譲渡を地主が承諾しなかった場合には、借地人は借地権譲渡許可の申立を裁判所に起こせる。本件のBもそれを起こしたが、それはDが医院を開業した後であった。やはり譲渡許可の裁判所の決定を取り、しかる後に事を始めるべきであった。

(東借連常任弁護団)


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2008年6月 3日 (火)

借地上の建物の朽廃が近いとして借地権の譲渡を許可をしなかった事例 

 判例紹介

 借地上の建物の朽廃が近いことを理由として賃借権の譲渡許可の申立を排斥した事例 (東京高裁平成5年11月5日判決、判例タイムズ842号)

 (事案)
 賃借人は、借地上の建物を買取って借地権を取得したが、賃借期間は平成4年9月で20年であった。本件建物は平成2年から半ば空き家状態で、通常の維持管理もされずに放置されていた。

 賃借人は、平成3年、本件賃借権を第三者に譲渡する許可の申立を横浜地方裁判所川崎支部に申立てたところ、地主は本件建物は朽廃しており賃借権は消滅しているのだから譲渡の許可は認められないよ争ってきた。

 横浜地方裁判所川崎支部は、「本件建物は、老朽化しているものの、朽廃に至ったとは認められない」として、賃借権の譲渡の許可をした。

 これに対して、地主が東京高等裁判所に不服を申立てたところ、高裁は地裁の決定を取消して譲渡許可の申立を棄却した。

 (決定要旨)
 「本件建物は、日本瓦で葺かれた屋根の 大棟の中央が沈下し、全体にゆがみがあり、一部の瓦は欠損したり、はがれたりしている。屋根全体に瓦のずれがあり、瓦を支える葺土、野地板、ルーフィングの老朽化、朽廃化が激しい。

 このため、建物全体が雨漏りし、各部屋の天井、内壁のベニヤ板のはがれ、腐朽、畳の腐り、壁のひび、はがれなど、腐朽破損が進行している。6畳間の場合には天井に穴があき、空が見える状態である。基礎は浅いところが多く、土台の一部は、完全に腐食し残りも腐食が入り始めている。柱床には傾斜が見られる。

 右認定したところによれば、本件建物はすでに朽廃に近い状態にあって、今後短期間のうちに朽廃の状態に到達し、本件土地の賃借権もこれに伴い消滅する可能性が高い。

 借地権が今後短期間のうちに消滅する可能性が高い場合は、借地人が建物の修繕その他の改築をしようとしても、賃貸人がこれを承諾しない可能性が高く、その場合に裁判所がその承諾に代わる許可の裁判をすることが適当でない場合が多いから、このような建物及び借地権を譲り受けても、譲受人は結局その建物を利用することができず、買受けの目的を達成することができない可能性が大きい。このように売買の目的を達成することが困難な事情があるにもかかわらず、借地権の譲渡の許可をするのは、借地をめぐる紛争の予防を目的として制定された借地権譲渡許可の制度の趣旨に合致しない。したがって、本件譲渡許可は認められない。

 (説明)
 借地期間の残存期間が少ない場合、譲渡許可を裁判所が出さないことがあるが、本件では建物が朽廃に近いことを理由に譲渡許可を否定した。建物を空家にしていたことが老朽化を進めたろうし、賃借人に不利に作用したものと思われる。  1994.08

(東借連常任弁護団)

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2008年3月 1日 (土)

借地権売却悩み抜く? 父、弁護士に相談 足立無理心中

借地権売却悩み抜く? 父、弁護士に相談 足立無理心中
2008年03月01日  朝日新聞 夕刊    

 東京都足立区の機械修理・販売業佐々木亨さん(52)の一家4人が死傷した無理心中事件で、佐々木さんが不動産会社と借地権の売却契約を結んだ直後、地主から異議を唱えられ、相談した弁護士からも「地主の承諾をもらうべきだ」と指摘されていたことがわかった。警視庁は、借地権売却に行き詰まったと思い込んだことが家族殺傷につながったとみて、佐々木さんを被疑者死亡のまま殺人などの疑いで書類送検する方針だ。

 捜査1課などの調べでは、佐々木さんは2月5日、自宅と倉庫の土地の借地権を約4800万円で都内の不動産会社に売る契約を結んだ。同社が翌6日、倉庫の土地の地主に契約内容を通知したら、地主が佐々木さん方を訪れ、「無断での契約は認められない」などと指摘したという。

 佐々木さんは同8日、借地権関係を専門とする弁護士に電話で相談。この弁護士によると、佐々木さんは「契約内容は変えられるのか」と尋ねてきた。契約をすでに終えたことは明かさなかったため、弁護士は「地主に断らずに契約しないほうがいい」と伝えたという。その3日後の同11日に事件は起きた。

 佐々木さんが9日に発送していた不動産会社との契約書面は、事件後の12日に弁護士に届いた。弁護士は「書面内容に問題はなかった。電話の際は焦った様子で、契約がだめになると思い込んでしまったのではないか」と話している。

 不動産会社は警視庁に「地主の承諾がなくても裁判所の許可を得れば売却は可能と伝えたが、佐々木さんは納得しなかった」と話しているという。

 両手首切断などで一時重体だった次男(15)は意識が戻ったという。

地主と借地権を巡るトラブルが引き金か 東京足立一家4人死傷事件」も覗いて見て下さい

借地権の譲渡、借地の処分等の相談は台東借地借家人組合へ電話してみてくださ。



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2008年2月19日 (火)

地主と借地権を巡るトラブルが引き金か 東京足立一家4人死傷事件

  2008年2月11日、東京都足立区梅田2丁目の機械修理・販売業佐々木亨さん(52)が自宅で妻和子さんら家族3人を死傷させ、自殺したとされる事件(佐々木さんのほか妻和子さん(49)と母得子さん(85)が遺体で発見され、次男(15)も両手首を切断するなどの重体であったが、意識は戻ったという)で、佐々木さんが書いたとみられる手紙が日本テレビ(東京都港区)とテレビ朝日(同)に届いていたことが14日分かった。無理心中をにおわせているが、不動産トラブルに巻き込まれたことを示唆する内容があった。 

 日本テレビによると、手紙は宅配便で2月14日の日付指定で届いた。この手紙などが宅配便業者に持ち込まれたのは、佐々木さん方から血が流れ出ているのが発見される1時間弱前の2月11日午後2時45分頃だった。送り主の欄には佐々木さんの名前が記され、 佐々木さん方の土地の借地権売買に関する書類も同封されていたという。

 手紙には「欲に目が眩んだ自分の責任です」「母親には車イスで生活できる家を、(妻の)和子には好きな洋裁をする家を、子供達には自分の部屋をプレゼントしたかった。全部無くしてしまいました。死んでお詫びします」などと手書きされ、「佐々木亨」と署名があった。

 また、。「宅建業者に騙されたという思いもあります」、「二度と私のようなバカを出さない為にも調べて頂けないでしょうか」などと取材を求める内容だった。

 事業不振であえぐ中、佐々木家に降って湧いたのが、自宅などの借地権の売却話だった。

 マンション建設計画で周辺の土地を買い進めていた都内の不動産会社が去年10月頃、亨さんに借地権の売却を打診。相場は2500万円程度だったが、亨さんは「4500万円ほしい」。その希望に沿うために、不動産会社は日光街道を挟んだ自宅向かいの倉庫の借地権も購入することにして、2月5日、約4800万円で売買する契約を結んだ。

 地主への借地権譲渡承諾料に必要な約300万円を除く、約4500万円が手に入ることになり、2月5日には約400万円の手付金も支払われていた。立ち退きをしたときに残金が支払われることになっていた。

 佐々木さんは担当者に「これで仕事を辞める踏ん切りがついた」とすっきりした様子で語ったといい、「和子さんも得子さんも手をたたかんばかりに喜んでいた」と会社関係者は言う。

 しかし、借地権の売却は暗転する。

 地主が佐々木さんを訪ねたとされる2月8日頃には、近所の人が佐々木さん方から「分かってるんだろう」という男性の怒鳴り声を聞いている。

 佐々木さんは事件3日前の2月8日、不動産会社に電話し、悲痛な声で訴えた。

 「倉庫の地主が売買を認めてくれない」、「借地契約を解除されてしまう」と怯えた様子で相談したという。 

 関係者によると、2月6日、不動産会社が倉庫の地主に契約成立を手紙で通知すると、8日朝に地主が、佐々木さん方を訪れ、「借地の更新料の問題も解決していないのに、そんな(借地権売買)契約は認めない」」と怒鳴り込み、「借地権譲渡の承諾をしない」と告げたという。

 佐々木家と地主には確執があった。佐々木亨さんの父親が生前、借地の更新料を巡り、この地主とトラブルになった。その後、地代の値上げ問題で再びトラブルになり、地主は佐々木さんからの地代の受領を拒否したので、平成8年から継続して法務局に地代を供託している。

 佐々木さんは不動産会社に電話で相談し、契約の有効性を確認した。電話を受けた不動産会社の担当者は、仮に地主の承諾が得られなくても、裁判所の許可で借地権を売却できることを説明し、「大丈夫ですよ」と励ました。

 佐々木さんは怯えきった様子で、このときの電話が亨さんと不動産会社側の最後のやり取りになったという。

 警視庁の調べでは、亨さんには約2000万円の預貯金があり、犯行前にその一部を預けた口座の通帳を姉に渡していた。事業は行き詰まっていたものの、金銭的な余裕はあったとみられ、借地権の売買をめぐる悩みが動機となった可能性もあるとみられている。また、使われたナタは事件数日前に佐々木さんが購入していたもので、覚悟を決めたうえで計画的に事件に及んだとみている。

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 以上が報道されている内容を纏めてみたものである。

 報道されている内容(不動産会社に「借地契約を解除されてしまう」と怯えた様子で相談したいていること及び「全部無くしてしまいました」と書いていること)から佐々木さんが借地権売買契約をしたこに対して、地主が不動産会社への借地権売買契約は「無断譲渡だから借地契約を解除する。建物を取壊して即刻、土地を明渡せ」と脅したものと推察される。

 地主の主張する法律的根拠は以下のようになる。
 借地権を第三者に譲渡するときは、借地契約書に「借地権の譲渡には必ず地主の事前承諾を要する」との条項が記載されていなくても地主の承諾は必要である(民法612条1項)。
 地主の承諾を得ないで借地権を第三者に譲渡した場合、地主は借地契約を解除することができる(民法612条2項)。

 だが、報道されている内容では、借地権の売買契約を締結し、手付金400万円の支払いを受けたという状態では借地権の無断譲渡には該当しない(下記の(*)を参照)。従って、民法612条を根拠に地主がいくら強硬に主張しようと借地の契約解除・土地明渡の問題は発生しない。

 直ぐに裁判所に「借地借家法19条」に基づく「譲渡承諾の非訟手続」をしていれば、何ら問題が起こらないで済んでしまった筈である。

 どういうことかというと、借地権が第三者に譲渡されても地主に不利益がないのに地主が飽くまで承諾しないときは「借地借家法19条」の規定により裁判所に対して「地主の承諾に代わる譲渡許可」の申立をすれば、地主が承諾を拒み続けても裁判所の認定した譲渡承諾料(殆どの場合、借地権価格の10%)を支払えば適法に借地権の譲渡をすることが出来る。

 勿論、借地借家法19条3項の規定から地主が「先買権」を行使し、不動産会社が提示した買取金額が予想より低額の場合は、不動産会社を出抜いて地主が借地権を買取ることもありえる。

 従って、不動産会社は、借地人と借地権の売買契約を締結しても借地権を買取れるという保証はない。借地人はどちらが買おうとも投下資本の回収が出来るので特に不利益はない。

参考法令
民法(賃借権の譲渡及び転貸の制限)
第612条 賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。

2 賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。

借地借家法(土地の賃借権の譲渡又は転貸の許可)
第19条 借地権者が賃借権の目的である土地の上の建物を第三者に譲渡しようとする場合において、その第三者が賃借権を取得し、又は転借をしても借地権設定者に不利となるおそれがないにもかかわらず、借地権設定者がその賃借権の譲渡又は転貸を承諾しないときは、裁判所は、借地権者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。この場合において、当事者間の利益の衡平を図るため必要があるときは、賃借権の譲渡若しくは転貸を条件とする借地条件の変更を命じ、又はその許可を財産上の給付に係らしめることができる。

2 裁判所は、前項の裁判をするには、賃借権の残存期間、借地に関する従前の経過、賃借権の譲渡又は転貸を必要とする事情その他一切の事情を考慮しなければならない。

3 第1項の申立てがあった場合において、裁判所が定める期間内に借地権設定者が自ら建物の譲渡及び賃借権の譲渡又は転貸を受ける旨の申立てをしたときは、裁判所は、同項の規定にかかわらず、相当の対価及び転貸の条件を定めて、これを命ずることができる。この裁判においては、当事者双方に対し、その義務を同時に履行すべきことを命ずることができる。

(*) 詳しいことは、以前に書いた「Q&A借地権を売却したいのだが、地主が借地譲渡の承諾をしないを覗いてみてください。


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2007年7月 9日 (月)

借地権譲渡で合意

  大田区上池台5丁目に居住する小林あきのさんが、組合への加入は供託所で当組合員と知り合い紹介されたことだった。

 48・8坪の借地に関する更新料550万円の請求を受けて、117万円余の支払いを提示したが合意に至らず供託することになったが、80歳を越えて体には大変厳しいとのことで平成7年6月に組合に加入した。

 同年12月には、小林さんが提示した更新料の相当額を求めて地主は調停裁判に持ち込んだが、不払いを主張し不調になった。

  翌年10月には明渡しの裁判になった。裁判で地主は立退料1500万円を提示。高齢で1人暮らしの母を心配する息子の意見を受入れて、息子の住む川越市に移転する方針で裁判に望んだ。1年半の時間が掛かったが、この程、提示額の2倍余の金額で今年の6月末引渡しの内容で合意した。

 先日、小林親子が組合事務所にきて、息子は自宅に母の住いを確保したと報告。当初は心配したが大変満足できる内容になったと喜んでいる。

東京借地借家人新聞より


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