カテゴリー「契約・更新・特約」の記事

2009年9月17日 (木)

約60年間契約書が無いままでいるが、この状態を続けても心配はないのか

 (問) 地主代理人の弁護士から突然内容証明郵便が送られてきた。
 「今後も借地契約書の作成に応じて頂けない場合は、借地契約を解除致します。なお、本件土地の借地契約については、存続期間を定めていませんでしたので、旧借地法に従い、平成22年に期間が満了致しますので、平成22年12月末日までに建物を収去して土地を明渡して下さい」という趣旨のものであった。

 地主と借地契約書を作成せずに、口約束で昭和25年から借地をしている。借地の更新は法定更新を選択し、契約を継続してきた。

 「平成22年が期間満了」という地主側の主張は間違いだと思うのだが・・・・。また、今後も契約書作成に協力しなくても問題はないのか。


 (答) 借地契約は、貸主と借主が建物所有の目的で所定の土地を賃料、期間、その他の条件を定めて賃借することに合意すれば、それで契約は成立する。この合意には特定の方式はなく、口約束であっても立派に契約は成立する。契約書は、契約内容の証拠資料であって、契約の成立要件ではない。

 だが、貸主と借主の間で或る事柄について争いが生じた場合に双方が自分の主張が正しいことを証明しなかればならない。例えば増改築禁止特約とか、賃借期間等で争いになった場合は、その契約内容を証明する証拠資料が契約書ということになる。

 契約書が無い場合は、契約書以外の資料で契約内容を立証することになる。例えば、証人、地代領収書、手紙・手帳・日記・家計簿、の記述・記録等で証明することになる。

 今回の借地の契約内容で借地人側からの存続期間の立証は必要がない。なぜならば、地主側が弁護士が内容証明郵便で「借地契約については、存続期間を定めていませんでしたので、」と記述しているので、《存続期間を定めなかった契約》ということが証明されているからだ。

 借地契約で借地権の存続期間を定めなかった場合は、借地法2条1項の規定で、借地権の存続期間は、堅固な建物については60年、その他の建物については30年と法定している。

 従って、木造建物は、その他の建物の範疇になるので、昭和25(1950)年から昭和55(1980)年の30年間が借地契約の存続期間になる。

 そして、昭和55(1980)年に借地法6条1項の規定(土地の継続使用による更新)よって20年の存続期間で法定更新(第1回目)され、平成12年(2000年)に再び借地法6条1項の規定によって借地期間20年の法定更新(第2回目)がされている。

 従って、借地契約は平成32(2020)年まで存続することになるその後も、建物が存在する限り借地の更新は継続する。

 ()借地借家法施行前(平成4年8月1日)設定された借地契約の更新に関しては「なお従前の例による」(借地借家法附則6条)ことになっているので、更新に関しては旧借地法が適用されることになっている。

 最後に、通常よく使用されている市販の借地契約書は、借地人義務や遵守事項を定めるのが主眼であって、借地人とって利益になる事柄は殆ど記載されていない。

 従って、借地人側から契約書の作成を要望する利益は殆ど何も無いと言っても言い過ぎではない。また、地主が契約書の作成を請求しても、借地人はそのことに協力する義務はない。契約書の作成を拒否しても、それ自体問題が無いことを知っておくのは無駄ではない。

 尚、借地の存続期間を地主側弁護士は次のように考えたと思われる。
 即ち、木造建物の所有を目的とする借地権は存続期間が20年である。従って、昭和25年(1950年)の20年後の昭和45年(1970年)に第1回目の更新(法定更新)があり、更にその20年後の平成2年(1990年)に2回目の更新(法定更新)がある。その20年後の平成22年(2010年)に借地期間の満了がある。このように考えて契約の解除予告をして来たものと推察できる。


参考 借地法 
第2条 借地権の存続期間は、石造、土造、煉瓦造又はこれに類する堅固な建物の所有を目的とするものについては60年、その他の建物の所有を目的とするものについては30年とする。但し建物がこの期間の満了前に朽廃したときは借地権はこれによって消滅する。(朽廃規定)

2 契約で堅固な建物について30年以上、その他の建物について20年以上の存続期間を定めたときは、借地権は前項の規定に拘らず、その期間の満了によって消滅する。

第5条 当事者が契約を更新する場合においては、借地権の存続期間は更新の時より起算して堅固な建物については30年、その他の建物については20年とする。この場合においては第2条第1項の但書の規定を準用する。(朽廃規定が適用される)

2 当事者が前項の規定する期間より長い期間を定めたときは、その定めに従う。

第6条 借地権者が借地権の消滅後土地の使用を継続する場合には、土地所有者が遅滞なく異議を述べないときは前契約と同一の条件をもって更に借地権を設定したものとみなす。この場合においては前条第1項の規定を準用する。(

2 前項の場合において建物があるときは土地所有者は第4条第1項の但書に規定する事由(土地所有者が自分でその土地を使用するなどの正当な事由)がない場合には異議を述べることができない。

) 「借地権の存続期間は更新の時より起算して堅固な建物については30年、その他の建物については20年とする」(第5条1項を準用)。第6条も朽廃規定が適用される。(東京・台東借地借家人組合)


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2009年9月16日 (水)

建物朽廃と同時に借地権は消滅すると書き加えられた特約は有効なのか

(問) 過去に合意で借地の更新を2回している。今回期間20年の借地の合意更新の際に、契約書に「建物の朽廃と同時に借地権は消滅する」という特約事項を新たに書き加えられたが、このような特約は有効なのか。


(答) 「借地借家法」(平成4年8月1日施行)には「朽廃」に関する規定は置かれなかった。そのため建物が朽廃しても借地権は消滅しない(同法3条)。朽廃は「滅失」の場合として処理され、借地権の消滅原因ではなくなった。しかし「借地借家法」以前に設定された借地権に関しては、借地上の建物の朽廃に関する経過措置(借地借家法附則5条)によって「借地法」の「朽廃」規定が適用される。

 朽廃は、一般的にいう建物に生じた自然的腐蝕状態によって建物の社会的・経済的効用を喪失した状態をいう。朽廃した時点で借地権は消滅する。火災・地震・台風・水害等外部からの力で倒壊した場合の「滅失」とは異なる概念である。建物が「滅失」しても勿論借地権は消滅しない。

 更新後に「朽廃」の規定が問題になるのは、借地権の存続期間が当事者の合意よるものではなく法律の定めによって確定したものの場合である。

 例えば、
①継続使用による法定更新の場合(借地法6条1項)、
②更新請求による更新の場合(同法4条1項)、
③合意更新で更新後の期間を定めなかった場合(同法5条1項)、
期間を取決めたが法定期間よりも短い期間を定めた場合
以上①~④の更新後の法定存続期間(*)中に建物が「朽廃」すると借地権は消滅する。

(*)更新契約によって更新後の期間を定めなかった時の存続期間は、更新の時から起算して、堅固建物については30年、非堅固建物については20年とする(借地法5条1項)。

 しかし「存続期間の約定のある借地権は、借地法2条1項により存続期間を法定された借地権とは違って、その存続中に借地上の建物が朽廃しても消滅しないのであり、約定の残存期間があれば、その間は存続する」(最高裁昭和37年7月19日判決、最高裁判所民事判例集10巻8号1566頁)。

 即ち、借地契約で鉄骨建物等の堅固建物の存続期間を30年以上、木造建物等の非堅固建物の場合は20年以上と定めた場合は、建物が朽廃しても残存期間があれば、借地権は消滅しない。

 これは当事者が合意で法定存続期間以上の借地期間定めた場合、地主は土地使用権を借地人に与えることを契約で明確に意思表示しているので、法律はその意思に従った効果をそのまま認めるということである。従って、建物が契約期間中に朽廃しても借地権を消滅させずに、期間が満了するまで、借地権をそのまま存続させるという訳である(借地法2条2項及び同5条2項)。

 結論、借地法2条2項(強行規定)では、契約で存続期間を定めた借地権は、その期間の満了によって消滅すると規定されている。これに違反する「朽廃」特約は、仮に当事者の合意で定めても「借地法11条」(強行規定)の「 第2条、第4条~第8条の2、第9条の2(第9条の4でこれを準用する場合を含む)及び10条の規定に反する契約条件で、借地人に不利なものはこれを定めなかったものとして扱う。」の規定により、無効とされる。


借地借家法
第3条
 借地権の存続期間は、30年とする。ただし、契約でこれより長い期間を定めたときは、その期間とする。

(借地上の建物の朽廃に関する経過措置)
附則 第5条
 この法律の施行前に設定された借地権について、その借地権の目的である土地の上の建物の朽廃による消滅に関しては、なお従前の例による。

借地法
第2条
 ①借地権の存続期間は、石造、土蔵、煉瓦造または、これに類する堅固な建物の所有を目的とするものについては60年、その他の建物所有を目的とするものについては30年とする。ただし建物がこの期間の満了前に朽廃したときは、借地権は、これによって消滅する。
 ②契約で、堅固な建物について30年以上、その他の建物について20年以上の存続期間を定めたときは、借地権は前項の規定にかかわらず、その期間の満了により消滅する。

第4条
 ①借地権が消滅した場合に、借地権者が契約の更新を請求したときは、その借地上に建物がある場合に限って以前の契約と同じ条件の借地権が設定されたものと見なされる。ただし土地所有者の側に、自分でその土地を所有するなど正当な事情があって、所有者が遅滞なく異議を述べた場合は、更新されない。
 ②契約の更新が行われなかった場合、借地権者は、それまでに自分の権原に基ずいて借地に付属した建物等を、買い取るよう請求することができる。
 ③第5条1項の規定は、1項の場合に準用される。

第5条
 ①当事者が契約を更新するにおいては、借地権の存続期間は更新の時より起算して堅固の建物については、30年、その他の建物については20年とする。この場合は第2条第1項但書の規定を準用する。
 ②当事者が前項の規定する期間より長い期間を定めたときは、その定めに従う。

第6条
 ①借地権者が、借地権の消滅後土地の使用を継続する場合においては、土地の所有者が遅滞なく異議を述べない時は、前の契約を持って、更に借地権を設定したものとみなす。この場合においては、前条第1項の規定を準用する。
 ②前項の場合において建物があるときは、土地の所有者は、第4条第1項の但書に規定する事由が無い場合は、異議を述べることができない。 

第11条
 2条、4条~8条の2、9条の2(9条の4準用含む)および10条の規定に反する契約条件で、借地権者に不利なものは結ばなかったものとして扱う。

 


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2009年9月 3日 (木)

堅固建物所有の借地契約の更新時に期間15年の契約をしたが、その契約期間は果して有効なのか

(問) 約20坪を借地し、鉄骨3階建建物を所有している。本年8月末が借地契約の更新である。15年前の更新の際、私が更新料を半分に値切ったところ、地主は借地期間も半分になるのが理窟だと言って、それまでの30年契約を15年に縮めてしまった。ところが友人に、15年という契約期間は認められない筈だと言われたが、どうなのか。


(答) 相談者の契約は借地借家法(1992年8月1日)施行以前の契約なので、「借地契約の更新に関する経過措置」(借地借家法附則6条)により、旧借地法が適用される。

 既に存在している借地契約を当事者の合意によって更新する場合に当事者が借地権の存続期間を約定することは自由である。

 だが、その最短期間は堅固な建物については30年、その他の建物は20年とされている(借地法5条1項)。それ以下の期間を定めても、借地法5条1項の最短期間制限に抵触し、借地人に不利益な契約条件であるとして法律上効力がないものとして取扱われる(借地法11条)。

 「合意による契約の更新において借地権の法定存続期間よりも短い期間を定めても、その特約は無効であり、堅固な建物については30年、非堅固な建物については20年の存続期間が与えられる」(東京高裁1955年5月30日判決)ということになる。 

 「更新契約によって更新後の期間を定めなかった時の存続期間は、更新の時から起算して、堅固建物については30年、非堅固建物については20年とする」(借地法5条1項)。従来の判例は存続期間をこのように借地法5条1項の「更新後の期間を定めなかった時の存続期間」の規定に拠った解釈をしていた。

 しかし、最高裁判所大法廷は、「建物所有を目的とする土地の賃貸借契約において、借地法2条2項所定より短い期間を定めた場合には、右存続期間の約定は同法11条により定めなかったものとみなされ、右賃貸借の存続期間は、借地法2条1項の本文によって定まる」(最高裁1969年11月26日判決)との統一解釈を示した。

 借地法2条1項は、借地権の存続期間について契約で借地権の存続期間を決めなかった場合は鉄骨造や鉄筋コンクリート造等の堅固建物の所有を目的とするものは60年、その他の建物は30年と法定存続期間を定めている。借地法2条2項では当事者間に約定がある場合は最短期間を堅固建物は30年以上、木造建等の非堅固建物は20年以上と規定している。この存続期間の定めに反する特約で借地人に不利なものは無効とされる(借地法11条)。

 最高裁の判例に基づけば、相談者の場合は、借地期間が15年の契約なので、借地権の最短約定存続期間に満たない期間の約定は借地法2条2項に抵触し、借地法11条により借地人に不利な契約条件として無効になる。約定は定めなかったものとして扱われ、存続期間については当事者間に何らの合意も存続しなかった場合として扱われ、借地法2条1項本文から堅固建物所有目的の借地権は60年の存続期間となる。従って、相談者の残存借地期間は後45年間存続することになる。

 また、木造など非堅固建物の約定存続期間(20年)よりも短い期間を仮に当事者の合意で定めたとしても、当事者の意思に関係なく期間は30年と法定される。

 借地法の考え方には借地人に出来る限り長期の存続期間を確保しようという意図が根底にある。それ故、最短期間には制限があるが、最長期間に関しては制限がない。


 参考法令
 借地法
第2条 借地権の存続期間は石造、土造、煉瓦造又はこれに類する堅固な建物の所有を目的とするものについては60年、その他の建物の所有を目的とするものについては30年とする。但し建物がこの期間の満了前に朽廃したときは、借地権はこれによって消滅する。

2 契約で堅固な建物について30年以上、その他の建物について20年以上の存続期間を定めたときは、借地権は、前項の規定に拘らず、その期間の満了によって消滅する。

第11条 第2条、第4条~第8条の2、第9条の2(第9条の4でこれを準用する場合を含む)及び10条の規定に反する契約条件で、借地権者に不利なものはこれを定めなかったものとして扱う。


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2009年7月 6日 (月)

借地の期間満了で借地の更新請求

 台東区鳥越で借地している田中さんは、昨年5月末日で借地契約が満了した。地主は正当な理由もないまま期間が満了したというだけで借地の明渡しを請求してきた。

 田中さんは組合役員から債務不履行などがなければ、また、当事者の合意で契約を解約しない限り、期限が満了しただけでは借地を明渡す必要がないことなどの説明を受けた。

 借地法4条は、期間が満了しても、借地人が希望すれば、借地人の一方的な請求によって契約が更新される場合を定めている。更新請求よって、更に借地権を堅固な建物の場合は30年、その他の木造建物等は20年間存続させる規定になっている。

 早速、田中さんは地主宛に借地法4条に基づいて、「宅地上にはなお建物が存在しており、前の契約と同一条件で借地契約を更新するよう請求致します」という趣旨の「借地の更新請求」を配達証明付き内容証明郵便で送った。

 その後約1年が経過するが、地主からはその後、何の反論もなく、地代も従来通り地代受領している。


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2009年6月 4日 (木)

借地の明渡請求をされ、直ぐに借地の更新請求で回答した

 台東区鳥越で借地している田中さんは、昨年5月末日で借地契約の20年が満了した。地主は何らの正当な理由もないまま期間が満了したというだけで借地の明渡しを請求してきた。

 田中さんは知人の紹介で組合に相談した。組合役員から債務不履行などがなければ、また、当事者の合意で契約を解約しない限り、期限が満了しただけでは借地を明渡す必要がないことなどの説明を受けた。

 民法の規定では、借地期間が満了すると、借主は原状回復して土地を返還しなければならない(民法616条・598条)。従って、借地人は建物を取壊して土地を賃借した当時と同じ更地状態にして貸主に返さなければならない。

 しかし、それでは借地人が資金を投じて家を建て、そこを中心にして生活してきたのに、期間が満了したからといって、現在居住できる家屋を取壊して屑材木にしてしまうのは経済的見地からも社会的損失である。

 そこで借地法4条は、期間が満了しても、借地人が希望すれば、借地人の一方的な請求によって契約が更新される場合を定めている(借地法4条1項)。借地の更新請求によって、更に借地権を堅固な建物の場合は30年、その他の木造建物等については20年間存続すると規定されている(同法4条3項)。

 もし存続させることが不適当だとしても、強制的に地主に家を買取らせて、借地人の投下資金を回収出来るよう規定している。従って、借地人の費用負担で建物を取壊して更地にして、地主に返還する必要がなくなった。(同法4条2項)。

 早速、田中さんは地主宛に借地法4条1項に基づいて、「借地契約の存続期間は満了しましたが、宅地上にはなお建物が存在しておりますので、前の契約と同一条件で借地契約を更新して頂きたくご請求致します。従って、土地の明渡しには応じられません。」という趣旨の「借地の更新請求」を配達証明付き内容証明郵便で地主に送った。

 その後約1年が経過するが、地主からはその後、何の反論もなく、すんなり地代も従来通り地代受領している。


 参考法令
 民法

第598条  借主は、借用物を原状に復して、これに附属させた物を収去することができる。

第616条  第594条第1項、第597条第1項及び第598条の規定は、賃貸借について準用する。

 借地法
第4条
 ①借地権の存続期間が満了する場合において、借地権者が契約の更新を請求したときは、建物がある場合に限り、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、借地権設定者が遅滞なく異議を述べたときは、この限りでない。

② 借地権の存続期間が満了した場合において、契約の更新がないときは、借地権者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原により土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる。

③ 存続期間は、更新の時から起算して、堅固建物については30年、非堅固建物については20年とする。ただし、建物がこの期間の満了前に朽廃したときは、借地権はこれによって消滅する。


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2008年12月19日 (金)

家賃を2年2か月経過したときには増額する旨の特約が有効とされた事例 

 判例紹介

 家賃を2年2か月経過したときには50%増額する旨の特約が有効とされた事例 東京地裁平成元年9月5日判決、判例時報1352号90頁以下)

 (事案)
 建物賃貸契約書に、契約の2年2か月後に家賃を1か月20万円から30万円に増額するとの特約があったのに、賃借人は右期間後も従前の家賃の支払を続けたことから、賃貸人は、賃借人に対して不足額の支払を催促した上、契約を解除し建物の明渡しを求めた事案である。

 賃借人は前記特約は、単に事実上記載したもので拘束力はないとか、借家法7条に違反して無効であるなどとして争ったが、賃貸人が勝訴し、明渡しが認められた。

 (判決)
 「少なくとも、本件特約のように単に将来の特定期間における賃料を特定額に増額する旨を両当事者間の合意によってあらかじめ定めたに過ぎない約定については、借家法7条に違反するものとはいえず、ただ約定の内容が借家法7条の法定要件を無視する著しく不合理なものであって、右約定を有効とすることが賃借人にとって著しく不利益なものと認められる特段の事情のある場合に限って無効となるにすぎないものというべきである」

 「被告(借主)としては、借家法7条に基づき賃料の減額請求をするならばともかく、後日一方的に本件特約の存在を無視して本件店舗の賃料として従来と同額の1か月20万円のみの支払を続けることは許されないものというべきであり、それにもかかわらず、被告は、本件特約に違反して前記賃料一部不払を続け、原告(貸主)から、昭和63年1月18日に被告に到達した書面を持って、5日以内に本件店舗の賃料のうち未払いの不足分(本件特約により増額された部分)全額の支払の催促を受けたにもかかわらず、右催告期間を徒過したものであるから、賃料支払について誠意があるものということはできない」

 (寸評)
 借家法では、賃料額の合意については、あくまで当事者の任意な取決めを前提としており、金額の規制をしていない。

 従って、本件特約を借家法7条違反として争った被告が敗訴したのは、法解釈としてやむを得ないと思われる。運動面で参考にすべき事案として紹介した。

(1991.03.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

    (*) 旧「借家法7条」の賃料増減請求権は「借地借家法32条」と同旨

(借賃増減請求権)
第32条
 建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。

2  建物の借賃の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃を支払うことをもって足りる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払った額に不足があるときは、その不足額に年1割の割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない。

3  建物の借賃の減額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃の支払を請求することができる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払を受けた額が正当とされた建物の借賃の額を超えるときは、その超過額に年1割の割合による受領の時からの利息を付してこれを返還しなければならない。


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2008年12月13日 (土)

賃貸借の予約は契約締結の申込があった時は有効とされた事例

 判例紹介

 賃貸契約の締結の申込があったときは、信義則上これを拒むことが出来ないとされ、賃貸借の予約が認められた事例 東京地裁昭和63年5月17日判決、判例時報1300号77頁)

 (事案)
 Xは、かつて(1)(2)の土地を所有していたが、このうち(1)の土地については、将来その奥にあるX所有の建物の改築手続に必要なときにはXに賃貸するという約款をつけてYに売却した。

 また、(2)の土地については、Xの兄である亡A(Yの父)がXに無断で他に売却し、その転得者Bからその所有権移転登記手続を迫られたため、 その隣にある前記X所有建物を改築するときはXに無償で貸す旨の約定で登記手続に応じ、その後Yは同土地をBから買受けた。

 Xは右事実関係を前提として、Yに対して(1)(2)の土地について賃貸借契約の申込をしたとして、その存在確認を求めた事件である。

 YはXの主張に対し、(1)の土地についての約款はX所有建物の建築確認に必要な限度で賃貸し、建物の完了検査後は原状に復帰するという建築基準法の脱法目的のものであると主張した。また、(2)の土地に関するXとB間の約定はYを拘束するものではないと争った。判決はXの勝訴。

 (判決)
 「法律行為の解釈として条件を含めて契約はできる得る限り有効になるように解釈すべきであることからすれば、右約款は、Xが将来本件アパートの改築又は立替をするときは、Yは、Xに対し、本件(1)の土地と、改築し又は建替えた建物の存続する期間中、建築基準法所定の通路を目的として賃貸する趣旨のもの、つまり右のような内容の賃貸借の予約を定めたものと読んで不都合とはいえないであろうし、・・・・本件(1)の土地が右売買以後庭ないし空地になっている事実からXとYの意見を忖度すると、そのように読んで売買及び右賃貸借の予約を有効なものとするのが妥当な解釈である」、そして「信義則上、XがYに対して本件(2)の土地を建築基準法所定の通路を目的として本件土地(1)の土地賃貸借と同じ条件で賃貸することを申込んだときは、YはXに対し、その承諾を拒むことができないと解すべきである。」

 (寸評)
 本件判決は、前記約款がYの主張の通り強行法規である建築基準法43条1項に反する趣旨のものであるとすれば、不法条件を付したことになって売買自体が無効となってしまう筋合いであるとしつつ、前記約款の解釈を判旨のとおりに解釈したところに本判決の特色がある。

 理論構成に異論や反対が予測されるが、本事業に対する結論としては妥当ではないかと思われる。親族間、隣地同士の本件同様の紛争に関して参考になろう。

(1990.02.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より


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2008年12月10日 (水)

土地賃貸借契約で建物への抵当権設定禁止の特約を無効とした事例

 判例紹介

 建物所有を目的とする土地賃貸借契約における建物への抵当権設定禁止の特約を無効であるとした事例 浦和地裁昭和60年9月30日判決、判例時報1179号103頁以下)

 (事案)
 AはBから建物所のを目的で借地をする際、地上建物には抵当権を設定することが出来ず、若し、これに反した場合には無催告で契約解除ができるという特約をしていた。

 しかるに、Aは第三者Cに対し、建物について代物弁済の予約、抵当権、停止条件付貸借権の各設定登記(仮登記も含む)をしたほか、各種権利に基づく所有権移転請求権をAから別の第三者Dに譲渡した。

 そこで、Bは、Aの行為が特約に反するものとしてそして、権利移転は、賃貸借契約における信頼関係を破壊するという理由で、契約解除し建物収去土地明渡を求めた事案である。

 (判例要旨)
 (1)本件契約は、建物所有目的の土地の賃貸借契約であるから、借地法の適用を受けるものであるところ、本件特約は、抵当権の設定行為を禁止するものであり、借地法第9条の3が保護している建物競売等の場合の賃借権の譲渡許可の裁判を競落人等が受け得ることにより、借地人が容易に建物に抵当権を設定しえ、金員を借入し得るという借地人の利益を予め放棄させる意味を有するものである。

 (2)同法9条の3は、借地法の片面強行法規を定める同法11条には掲げられていないが、それは、単に同法9条の3が競落人等と貸地人との関係を定めているもので、貸地人と借地人が同法9条の3が定める競落人等の権利を奪う合意としても、その合意の効力が競落人等には及ばないからというに過ぎず、同法9条の2が定める譲渡転貸の許可の裁判の場合に比べて、抵当権を設定しようとする借地人の利益を軽く扱っているからでない。

 (3)従って、同法9条の3が定める建物の競落以前の段階足る借地人の抵当権設定そのものを禁止する本件特約には、同法11条の趣旨が及び、本件特約は、借地人が所有建物に抵当権を設定して金員を借入れようとすることを妨げる点において借地権者に不利益であるといえるから、無効であるといわなければならない。

 (4)以上のとおり、本件特約は、原告の危惧により付与されたものに留まり、被告の本件特約に反する行為も抵当権を設定し、それが第三者に譲渡されたというに過ぎず、本件土地の利用状態に変化はないから、前記判示の本件特約が無効である旨の判断を左右しない。

 また、本件特約は、借地法9条の3及び11条の趣旨により無効であり、同法は、貸地人の、特定の借地人との信頼関係を保ち続ける利益と借地人の所有建物の利用の利益を調整する目的を有する法規であるから、同法により無効とされる特約に反する行為及び抵当権の移転登記と信頼関係を破壊する行為ということはできない。

 (短評)
 本事案は地主側に特約を必要とする過去の経過が会ってが、その経緯を問わず特約の内容自体が無効であるとしたところに意義がある。事案としても珍しいので参考までに照会した。判決趣旨には異論がない。

(1986.10.)

(東借連常任弁護団)

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2008年11月12日 (水)

地代改定特約の効力が限定され、地代値下げ請求が認められた事例

 判例紹介

 地代改定特約に基づく地代値上げ請求が、改定特約の基礎となっていた事情が失われたとして、借地人からの地代値下げ請求が認められ事例 (東京地裁平成3年3月29日判決、未登載 控訴)

 (事案)
 原告は、江東区福住の借地人2人であり、被告は、都内に多くの土地を有し賃貸している会社であるが、被告(地主)側は、従来から一々地代値上げ請求をすることは煩わしいとして、借地人との間で地代改定特約を結んできた。

 本件2つの地代改定特約が結ばれたのは昭和43年4月と昭和58年3月である。

 右地代改定特約の1つは「土地(借地)の路線価(相続税課税基準価格)を基準とし、これが増減した場合には、その増減の割合と同一の割合をもって、当然に増減するものとする」というものである。

 もう1つの地代改定特約は、「土地(借地)の昭和57年度の固定資産税及び都市計画税、または同評価額、もしくは路線価のうち最も増加率の高いものを基準とし、その額の増加率に応じ、当然に増額するものとする。」というものである。

 このため、坪当り地代額は、昭和53年の金600円から順次値上げされ昭和62年に金1315円になったが問題の昭和63年には、前年倍額の金2629円に増額され、さらに平成元年には金4625円、平成2年には金6134円に増額されたことになった。

 原告(借地人)側は、本件改定特約は昭和63年の時点で事情変更により失効したか、あるいは事情によって相当でなくなったとして、昭和63年の地代額は前年の地代額に減額(措置)されるべきであると主張した。

 (判示)
 裁判所は、路線価の上昇により、昭和63年の地代額が前年地代額の倍増になったとしたうえ、昭和61年以降全国的に土地価格が上昇し、それに伴い路線価が上昇傾向を示し、特に昭和63年以降著しく上昇したことが認められるとして、本件改定特約については、路線価が借地契約締結当時の上昇率と著しく異ならない程度で安定して推移するとの前提のもとで特約が設けられたものと解すべきであり、著しい地価高騰という異常な状況の下においては、もはや締結に際して基礎となっていた事情が失われ、本件改定特約により、地代額を算定することは、信義衡平の原則に反すると判示した。

 (短評)
 これまでの判例は、地代減額請求事件において、地代改定特約の効力についてはその特約の内容によって分かれていた。

 本判決は、路線価の上昇に連動する地代改定特約について、土地価格の異常な上昇を指摘し特約の効力を限定した点で、好判決ということができる。  1991.05

(東借連常任弁護団)

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2008年11月10日 (月)

借地人が競売の申立を受けた時は契約を解除出来る特約を無効とした事例

 判例紹介

 借地人が競売の申立を受けた時は賃貸人は賃貸借契約を解除することができる旨の特約は、借地法11条により無効であるとされた事例 (神戸地裁昭和62年7月10日判決、判例タイムズ647号186頁以下)

 (事案)
 XらはYに対して建物所有目的で土地を賃貸しYはこの土地上に木造瓦葺平屋建を所有していたところ、Yがこの建物について債権者から競売の申立を受けた。X、Y間の賃貸契約ではYの置いて競売の申立を受けたときは、Xにおいて契約を解除しうる特約があったため、Xはこの特約により契約を解除し、Yに対して前記建物の収去土地明渡の請求をなした事件である。

 (判旨)
 「原告ら主張の特約は借地法11条に抵触し無効であるというべきである。借地法は、建物の存続する土地の円滑な利用及びその経済的効用の維持発展のため、借地契約について相当長期間の借地期間を定めと共に正当な事由がなければ、賃貸人は契約の更新を拒絶できないものとし(同法2条、3条から8条参照)、特に借地人の責に帰すべき事由があれば格別(例えば賃料の不払い)、そうでない限り無闇に借地契約を終了させず、もって借地人の地位安定を図り、これに反する借地人に不利な特約は無効である、と規定している(同法11条参照)。

 ところで、原告ら主張の本件特約は、借地人である被告が他から競売の申立を受けたことを理由として、賃貸人である原告らに契約の解除権を付与しようというものであるが、借地人が他から競売の申立を受けたということは、当該借地契約自体とは全く関係のないものであって、右契約について借地人の責に帰すべき事由により発生した事情とは到底いいえないから、これをもって賃貸人たる原告らに右解除権を付与することは、右借地法の各規定に反するものである」とし、競売の申立を受けたことが「ただちに信頼関係維持に反し、又は賃料不払いと同視すべき事由とはなし難い」としている。

 判旨は、前記理由に続いて借地法9条の3(注)いわゆる競落による借地権譲渡許可申立制度の存在からも、前記特約の無効に言及し、さらに、競売申立による解除権の発生を認めると、「借地人の地位を著しく不安定にし、一方的に不利益を被らせるものであって、借地の経済的効果を甚だしく減退させ、借地法の立法趣旨に反するものである」と判示している。

 (寸言)
 判旨に異論はなく、最高裁と同旨の立場である。実際の契約を見ると、この種の特約が、特に借家契約に見られることから、借地に関しては効力がないことを知ってもらえる意味で紹介した。   (1988.07)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

(注)借地法「9条の3」は借地借家法20条1項~4項と同旨

参考法令
借地法
第11条
 第2条、第4条乃至第8条ノ2、第9条ノ2(第9条ノ4ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)及前条ノ規定ニ反スル契約条件ニシテ借地権者ニ不利ナルモノハ之ヲ定メサルモノト看做ス


借地借家法20条1項
(建物競売等の場合における土地の賃借権の譲渡の許可)

第20条  第三者が賃借権の目的である土地の上の建物を競売又は公売により取得した場合において、その第三者が賃借権を取得しても借地権設定者に不利となるおそれがないにもかかわらず、借地権設定者がその賃借権の譲渡を承諾しないときは、裁判所は、その第三者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。この場合において、当事者間の利益の衡平を図るため必要があるときは、借地条件を変更し、又は財産上の給付を命ずることができる。


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2008年11月 7日 (金)

契約書の字句、内容のみでなく諸事情を考慮して一時使用と認めなかった事例

 判例紹介

 契約書の字句、内容のみでなく、契約締結に至る経緯、地上建物の使用目的、その規模構造等の諸事情を考慮して、一時使用のための土地賃貸借であるとは認めることができないとした事例 東京高裁昭和61年10月30日判決、判例時報1214号)

 (事実)
 賃借人は昭和56年6月1日以降、軽量鉄骨造2階建を建築して家族と従業員10数名が居住して180坪の土地を使用していたところ、地主は、賃貸借は仮設作業所を建てることを目的とした一時使用の賃貸借であり、期間は1年の約束でその後契約をしたので、昭和60年5月31日に期間満了で終了した。よって、明渡せと要求した。

 一審の東京地裁では、判決文から理由はわからないが、借地人の敗訴であったが、高裁で逆転勝訴となった。

 (判決要旨)
 本件土地賃借権が建物所有を目的とすることは、弁論の全趣旨から明らかであるが、本件契約書には「土地一時使用契約書」なる表題が付せられている他、本件契約は借地法9条による一時使用のものであることを認めるなどの条項がある。しかしながら、賃貸借契約が一時使用を目的としたものであるかどうかは、契約書の字句、内容だけで決められるものではなく、契約書の作成を含めての契約締結に至る経緯、地上建物使用目的、その規模構造、契約内容の変更の有無等の諸事情を考慮して判断すべきものである。

 借地人は鉄筋工事の請負業者であるが、かねて近くの土地95坪を借地し、家族と従業員の宿舎を建てて居住していたが、そこの明渡を求められて、本件土地を賃借するようになった。契約書では、期間は昭和56年6月1日から1年間、賃料は月4万5000円とされ、その1年後には、賃料を月6万円、期間1年の再契約をし、その1年後には7万5000円、期間は2年間という再契約をし、それらの再契約のときには、特に本件土地の返還を要求することもなかった。

 以上の事実よりすれば、借地人は、契約の当初から短期間に限って土地を借りる意思ではなかったし、地主の方も、早期に本件土地の返還を受けるべき予定もなかったもので、その後の本件建物の建築及び土地の使用状況、借地人、地主の態度を考え合せれば、双方とも短期で契約を終了させる意思のもとに、一時使用の目的で本件契約の締結をしたことが明らかであるとは認められない。

 (解説)
 小さな工場や作業場などの土地賃貸借で期間5年、10年とかの法律に反するこういうケ-スを見かける。借地人は借りたい一心で不当な契約を受入れてしまう。一時使用の賃貸借を拡大しようとする借地借家法の改正は、このようなケースを助長することになろう。    1987.05

(東借連常任弁護団)

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2008年11月 6日 (木)

土地の賃貸借契約が建物所有を目的であるとは認められなかった事例

 判例紹介

 土地の賃貸借契約が、建物所有の目的でないとされた事例 (東京地裁平成6年3月9日判決、判例時報1516号101頁)

 (事実)
 貸主の先代は、昭和49年に、自己所有土地を賃貸した。

 借主はは、右賃借土地の隣接地を所有し、そこでフォークリフト等の販売・修理等営業を行い、本件賃貸土地を洗車場、更衣室、部品倉庫として使用してきた。

 その後、貸主・借主双方は、平成2年2月1日付賃貸借契約書を作製した。

 その内容は、賃貸借期間1年、自動車駐車場一時使用目的、付帯設備として24坪以内の既製品プレハブ建物を設置することができるというものであった。

 そして、平成3年11月に至り、貸主は、借主に対し、本件土地賃貸借契約の解約を申し入れて、本件土地の明渡を求めた。

 (争点)
 本件土地賃貸借契約が建物所有を目的とするものであるか否かである。

 (判決要旨)
 裁判所は、「本件賃貸借契約に当たっては権利金の授受がなく、賃貸借契約書において自動車駐車場の一時使用目的として、設置可能な建物を種類規模を限定していること他方、借主としても、本件土地を洗車場、更衣室兼部品倉庫として利用してきているもので、平成2年の契約の際も、もし短期間で明渡しを求めるものとすれば多大な経費をかけてプレハブ建物を設置し、賃料の増額に応じることもなかったであろうと考えられ、当然に契約のとおり契約を終了させる意思でなかったと推測されるが、その反面、本件土地を建物所有の目的出賃借する旨の合意があった事実が認められず、むしろ本件経緯に照らせば建物所有の目的では賃貸しないとの貸主の意図をある程度借主が了解していたものと考えられる。したがって、一時使用の目的とは言いえないものの建物所有の目的とするものであるとまでは認めることができない。」と判示した。

 (短評)
 借地上に建物が建築されたとしても、建物所有でないときは、旧借地法あるいは借地借家法の適用がなく、民法の賃貸借の規定が適用される。

 建物所有の目的と言い得るためには、借地上に建物を所有することが主たる目的になっていることを要し借地を使用する目的が別にあり、これに付随して建物を所有することが予定されている場合であっても、建物所有の目的と言えないとされる。

 本判決は、従前の借地の利用経過および契約書の文言を詳細に検討した上建物所有の目的でないと判断したもので参考となる。   1995.05

(東借連常任弁護団)

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2008年10月20日 (月)

都市再開発事業の区域内の店舗賃貸借契約が、一時使用でないとされた事例

 判例紹介

 都市再開発事業の区域内の店舗賃貸借契約が、一時使用の目的でなされたものでないとされた事例 (東京地裁平成4年5月29日判決、判例時報1446号67頁)

 (事実)
 家主と借家人等との間で昭和42年から昭和43年にかけて店舗賃貸借契約が結ばれその契約条項中に、「田無駅前都市計画実施に至るまで」と定めていた。なお家主が地主から本件土地を賃借する際、「本件土地は田無駅都市計画実施の際に東京都もしくは田無市に収用されるものであることを確認し、できる限り簡易仮設的な建築をなすもの」としていた。

 (争点)
 都市再開発事業の区域内にある本件建物の賃貸借契約が、右再開発事業の権利変換期日の前日をもって終了することを特約した一時使用のもか否か。

 (判決の要旨)
 裁判所は、本件店舗賃貸借契約書上、賃貸借期間について、「田無駅前都市計画実施に至るまで」となっているが、都市再開発法が施行されたのは、昭和44年6月であるから昭和42年から昭和43年にかけての契約締結において、都市再開発計画の実施までと合意したものでないことは明らかであること、また、右賃貸借期間の定めが、文理上も都市再開発法の規定よる権利変換期日までの意味であると読むことができないこと、さらに本件建物賃貸借契約において、賃料額が当時の相場と比較して格別安いものではなく、その後賃料が4、5年の間隔で値上げされ、昭和62年以降は毎年値上げされていたこと及び敷金として賃料の6か月相当分が交付されていたこと、さらに、100万から1000万単位での保証金が交付されていたことなど通常の長期の賃貸借契約の内容と格別異なることがないこと等の諸事情を考慮して、一時使用目的とはいえないと判示した。

(短評)
 判例は、一時使用の目的であるか否かの判断に当たっては、賃貸借期間の長短ばかりでなく、賃貸借契約の目的、動機、その他の事情を考慮して、その賃貸借契約が短期期間内に限り存在させる趣旨のものであるか否かを基準としている。

 本件判決は、右判例上確立した基準に基づき契約書の文言にとらわれることなく総合的に判断して、一時使用目的でないと判断したもので参考となるものである。

 なお、新法においては、取壊し予定の建物賃貸借が創設された関係上、この種の事件についての裁判所の判断も分かれることになろう。   1993.06

(東借連常任弁護団)

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2008年9月27日 (土)

地代未払いを理由に借地契約を解除通告される

 板橋区仲宿で借地していた中野さんは、高齢で老人ホームに入居することにした。息子さんがこの借地を代わりに管理することにした。息子さんは、実の母親と嫁の実家の母親の入院騒ぎで、地代を今年の1月から支払っていなかった。

 地主本人も体調不良で入院となり、その息子が管理者となった。その息子が5月になっていきなり5ヵ月分の地代が未納で契約書第5条1項に記載されている3か月分以上の賃料の支払いを怠ったときに抵触するので契約を解除すると電話で通知してきた。

 あわてて地主のところに6か月分の地代を支払いにいったが、地主は強行に未払いを主張し、契約を解除し明け渡しを求め、地代の受領を拒否してきた。

 インターネットで検索し、組合事務所に尋ねてきた。組合事務所での相談で、とりあえず供託し様子を見ることにしようというアドバイスをした。

 翌日、土地の登記簿などを持参し相談していたところ、地代の納入帳を調べたところ地主の母親との借地人との間で、半年に一度地代を支払うことで合意していたことが判明した。当事者双方の母親の具合が悪くなり、そのような事実について知らなく、契約書通りの支払い方法だと錯覚していたものと考えられた。

 地主宛に「支払い方法の合意に貸主の錯誤があり、地代の未払いはないこと。受領を拒否したので供託する」と言う通知と供託を同時に行うことにした。

 中野さんは、借地上の建物の処分も含め、組合に入会して相談していくことにした。

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2008年9月 4日 (木)

高額な更新料が支払えず、法定更新へ

  高額な更新料が支払えず、借地契約の更新請求を
      内容証明郵便で行い、法定更新へ


 大田区本羽田1丁目に宅地231平方メートルを賃借して、鉄鋼関係の工場を営み親から相続で権利を継承した新谷さん兄弟は、地主から高額な更新料を請求された。

 この地区は戦後日本の高度成長を支えた京浜工業地帯だが、今では長期不況の影響を諸に受けて、工場跡地に高層マンションが立ち並ぶ住宅地域に変わりつつある。このような変化もあってか、請求される更新料は高額だ。

 新谷さんは昨年請求された際、更新料の支払いは経済的に困難と回答し、地代の受領を拒否されれば供託する旨を伝えた。しかし、地主代理人弁護士から、更新料の協議不調の上、地代が滞納していると指摘され、土地を明渡すなら賃借権を買い取ると通告された。

 直ちに、新谷さんは、これまで地主が6ヵ月分毎に地代を集金していたことを指摘し、地代滞納の事実はないこと。すでに提供した地代が返金され、受領拒否が確認できたので供託することを決断。さらに、契約更新時に借地上に建物が現存していることを主張し、賃貸借契約の更新請求を内容証明郵便で行った。すでに契約は法定更新されて今日に至っている。

 新谷さん兄弟は、地代を供託し、契約の更新請求したことで、落ち着いて仕事が出来ると笑顔を取戻した。

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2008年5月30日 (金)

1年毎に更新されてきた土地賃貸借が一時使用目的とされた事例

 判例紹介

 20年以上にわたり1年毎に更新されてきた建物所有を目的とする土地賃貸借が一時使用目的とされた事例 東京地裁平成6年7月6日判決、判例時報1534号)

 (事案)
 1、Xは昭和46年12月にアルミサッシ等を製造販売することを目的として設立された株式会社で、当時作業場等を建てる土地探していた。Yは本件土地はいずれは自宅を建てるつもりでいたので他に賃貸することは考えていなかった。X会社をYに紹介した者が明渡請求があればいつでも明渡すことを保証すると言明、またXの社長も最近独立したばかりで用地の確保に困っており一時貸しでも良いから是非貸してほしいと懇願した。そこでYは一時貸しを条件にXの申入れに応じることにした。

 2、このような経緯でYはXに対し、昭和47年4月1日、一時的建物所有の目的、期間1年、賃料1か月10万円で本件土地を賃貸する旨の契約書を取交して賃貸した。その際一時使用のための賃貸借とすることを明確にする趣旨でXはYに対し、Yから明渡請求があったら速やかに原状回復して明渡す旨の誓約書を差入れ、紹介者も保証人として署名捺印した。なお、権利金や敷金の類の金銭の授受は一切なかった。

 3、X(賃借人)は早速本件土地に組立てハウス(軽量鉄骨カラー鉄板葺き)平屋建倉庫作業場約190㎡を建築し、以後これをXの倉庫、事務所作業所として使用してきた。

 4、その後本件賃貸借契約は「土地一時使用賃貸借契約書」を毎年取交して更新され、結果的には平成5年3月31日まで20年以上にわたって継続してきた。

 5、Y(賃貸人)が右期間満了後の本件土地明渡を求めたため、Xが昭和47年4月1日から30年の借地権の確認を求めて提訴、Yは反訴として建物収去土地明渡を求めた。

 (判旨)
 「以上認定の事実によれば、本件賃貸借契約は当初から、暫定的にXが倉庫作業所を建築使用するために、一時使用の目的で締結されたものであることが明らかであり、Yが借地法の規定を潜脱する意図に出たものとは到底認められないから、本件賃貸借関係が結果的には20年余の長きにわたって継続してきたものであるが、借地法9条にいう「一時使用ノ為借地権ヲ設定シタルコト明ナル場合ニ該当スル」としてYの主張を容れ、Xに建物収去土地明渡を命じる判決をした。

 (寸評)
 本件の特徴は、1年後とに一時使用契約を締結してきたが、それが20年以上経ったのだから、実質的には一時使用のためではなく、借地法が適用になる普通の借地契約なのではないかという点にある。本件事案の全体を読むと(例えばXは既に代替地を取得してあまり必要がなくなった)判決の結論はやむを得ない感じがする。  1995.11.

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2008年5月27日 (火)

借家人の相続人と家主とが合意解除しても内縁の夫は住み続けることができる

 判例紹介

 借家の相続人が家主との間で借家契約を合意で解除しても、原則として借家人の内縁の夫は依然住み続けることができる 東京地裁昭和63年4月25日判決、判例時報1327号)

 (事案)
 B子は子供3人と共に借家に居住。昭和23年C男と再婚。C男がB子の家族共同体の一員として借家に住むようになった。子供達は結婚するなどして家を出ていき、Bは53年に死亡した。BとCは世間一般の夫婦と何ら異ならなかったが、事情があって入籍しない、いわゆる内縁の夫婦であった。

 したがって、この夫CはBの相続人になれず(内縁を何10年続けても絶対に相続人になれない。内縁の配偶者に何か残したいと思えば遺言するしかない)Bと先夫との間に出来た子供達がBの相続人でありこの子供達がB名義の借家権を相続した(借家権も相続されることは周知のとおり)。

 しかし、子供達は家主Aとの間で、相続した借家権を合意で解除してしまった。そこでAは、Bが死亡したあとも1人で居住し続けているCに借家の明渡を求めた。Cは立退く必要があるのか

 (判決要旨)
 このような場合、Cは、Bの相続人(右の子供達)が相続した借家権を「援用」して建物に居住し続ける権利を家主Aに対抗することができる(ということは、Cは立退かなくてもよいということ)。では、相続人がこの借家権をAと合意で解除してしまった場合はどうか。Cは「援用」すべき対象を失い、結局立退かなければならないか。判決は、次のような理由でCを救った。

 「相続人と家主とが合意解除した以上、常にCは立退かなければならないとすると、借家権援用者Cの立場ははなはだ不安定なものになる。また合意解除の濫用を招いたりする。そうすると借家権の援用を認めた意味がなくなるおそれがある。したがって、合意解除があっても家主は、借家権の援用者Cに立退を求めることはできないというべきである。ただし、援用者Cに不信行為があるなど、相続人と家主とが合意解除することに特段の事情がある場合は、家主は合意解除を理由にCに立退を求めることができる。本件では右の特段の事情はないからAのCに対する立退請求は認められない」。

 (短評)
 結婚の届出をしないという形式的理由だけで内縁の配偶者に一切の権利を認めないというのはいかにも不合理である。本件でもCが立退かなければならなとすれば酷である。そこでCの権利を保護するためにいろいろな学説がとなえられてきた。

 この判決は「援用」の対象たる借家権そのものが合意解除されても原則としてCの立場には影響はないとしたものである。妥当な考え方である。一旦自分の上に合法的に他人の権利が直接又は間接にでも乗った以上、やたらその他人の権利を無視することはできないということである。  1990.04.

(東借連常任弁護団)

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2008年3月19日 (水)

高額な更新料が支払えず、法定更新へ

  高額な更新料が支払えず、借地契約の更新請求を
      内容証明郵便で行い、法定更新へ


 大田区本羽田1丁目に宅地231平方メートルを賃借して、鉄鋼関係の工場を営み親から相続で権利を継承した新谷さん兄弟は、地主から高額な更新料を請求された。

 この地区は戦後日本の高度成長を支えた京浜工業地帯だが、今では長期不況の影響を諸に受けて、工場跡地に高層マンションが立ち並ぶ住宅地域に変わりつつある。このような変化もあってか、請求される更新料は高額だ。

 新谷さんは昨年請求された際、更新料の支払いは経済的に困難と回答し、地代の受領を拒否されれば供託する旨を伝えた。しかし、地主代理人弁護士から、更新料の協議不調の上、地代が滞納していると指摘され、土地を明渡すなら賃借権を買い取ると通告された。

 直ちに、新谷さんは、これまで地主が6ヵ月分毎に地代を集金していたことを指摘し、地代滞納の事実はないこと。すでに提供した地代が返金され、受領拒否が確認できたので供託することを決断。さらに、契約更新時に借地上に建物が現存していることを主張し、賃貸借契約の更新請求を内容証明郵便で行った。すでに契約は法定更新されて今日に至っている。

 新谷さん兄弟は、地代を供託し、契約の更新請求したことで、落ち着いて仕事が出来ると笑顔を取戻した。

東京借地借家人新聞より


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2008年3月 2日 (日)

地代通帳に損害金と書込む

 足立区中川に住んでいる田中さんは、平成13年11月で借地の更新の時期だった。

 地主からは何の連絡もなく田中さん自身もすっかり忘れていたため、毎月月末になると地代を持って行っていた。

 今年の7月に、いつものように地代を支払いに行ったら地主は「昨年の11月で契約期限が切れているから更新料を払って貰う」と言われた。田中さんは突然のことだったので「ええ、じゃもう法定更新してますね」と口から出てしまった。すると地主いわく「ふざけんじゃねえ」と言って、持参した地代の通帳に平成13年11月までさかのぼって損害金と書き込まれてしまった。

 すぐに撤回を求めに行ったが聞き入れてくれないので、地代として支払った旨と今後は供託すると通知をだした。

東京借地借家人新聞より


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2008年2月27日 (水)

更新料支払特約が追加された契約書

 足立区江北に住んでいる中込さんは、今年の6月が借地の更新時期だった。

 ご多分にもれず更新料の支払いを求められ、最初は自分で交渉していたが、なかなか詳しい地主で、負けそうになってしまい組合に飛び込んできた。

 組合と一緒になって交渉してきたが「払ってもらう」の一点張り。仕方がないので、東借連の新聞の判例紹介(借地法定更新で更新料支払いの慣習は認められない)の部分を見せたらあっさりと諦め、契約書を持ってきた。

 契約書には次回の更新時には更新料を支払う旨の特約があったので、現契約書と同じ内容にするよう申し入れたら「この次もまた払わない気だな」と言って地代の受領を拒否されてしまった。中込さんは「仕方ないので供託して頑張ります」と言っている。

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2008年2月18日 (月)

明渡特約が新設された更新契約を撤回させる

   足立区千住緑町に住んでいる佐伯さんは、2年前に現在の建物に入居した。一戸建ての2階部分をアパート風にしていて、庭もあるし住み心地満点で大変気に入っていた。

 しかし、8月の更新の時に、2年後に明渡す新設特約付の更新契約書を持って不動産業者が、平然とやってきた。

 とりあえず受け取って、契約書を作成したが、納得がいかず区の消費者センターに相談すると、組合を紹介された。

 組合で不動産業者に2年後明け渡しの契約書を撤回し、従来の契約書に戻すよう交渉したら「あ、分りました、ご本人が何も言わないのでいいかと思いました」と一件落着。 契約書を渡す前で良かったとほっとしている。

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2008年2月15日 (金)

家賃は2倍、2年後の更新排除特約の挿入を要求

 大田区南雪谷1丁目に居住する新井さんは、木造瓦葺平屋1戸建床面積13.58坪を賃借し家賃は月額6万円である。

 また、隣接する木造トタン1部瓦葺2階建居宅1戸建床面積23.5坪を賃借の津田さんは、家主の承諾を得て2階部分を自らの費用で増築したので家賃は新井さんと同額とのこと。

 両名は家主から居住する建物は古く老朽化しているとの理由で、今年6月末日の期間満了の契約更新に当り、2年期間で契約解除明渡すとの約定を記載した契約書に署名捺印を強要され、知人に組合を紹介されて相談に来た。

 長年居住しているので古い建物ではあるが、朽廃の状況ではなく、日常生活に充分耐えられるということなので、両名は、家主にそのことを伝えて明渡し拒否の通告をした。

 家主の対応は、明渡しの約定を撤回せずに2倍の家賃を求める厚かましさ。受領拒否の家賃を供託して、新井さんと津田さんは「建物が耐える限り頑張ります」と決意している。

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2007年12月28日 (金)

(問題10) マンションの会社契約からの変更

 (問題10) マンションの会社契約からの変更
 賃貸マンションを会社契約しているが家賃は個人で家主に支払っている。都合により会社を退職した。個人の契約にして今まで通り住み続けたいが、家主は新規契約なので敷金と礼金を支払うよう請求されたが支払わないといけないか。


  (①支払って契約する。 ②支払う必要はない。)

 
 (解答)
 ①支払って契約する

 (解説)
 会社から家賃補助を得て個人で家賃を支払っていたとしても,それは賃借人である会社の家賃支払債務を個人が第3者払いしていた関係で,契約当事者はあくまで会社なので,個人に変更したいときは,新規契約となる。



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2007年12月20日 (木)

(問題3) 貸店舗の退去時の保証金の償却

 (問題3) 貸店舗の退去時の保証金の償却
 店舗の賃貸借契約で借主の都合で解約する場合には、預けてある保証金(家賃の10か月分)のうち3か月分を退去時に償却する約定を締結しているが、更新料を更新の度に支払っているので不当ではないか。返してもらえるか。

  (①償却した保証金は返してもらえる。 ②返してもらえない

 (解答) 返してもらえない

 (解説)
 更新の都度,更新料を受け取りながら,さらに加えて「借主の都合で解約する場合に,保証金の30パーセントを償却する約定」は,借家人に不利な約定として無効にならないか(民法90条:公序良俗違反・暴利行為)。
  借家期間の中途で借主都合で解約されると,残期間,家賃が入ると思っていた家主側の期待がやぶられることから,保証金の一定割合を控除するという約定も有効とされます。



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2007年9月 5日 (水)

増改築・更新料特約を新たに借地契約書に挿入する事を要求

   豊島区上池袋に住む田中さんは、50年位前に借地権付建売住宅を購入した。

 10数年前に契約更新と地代の値上げ問題で争いとなり、供託となった。昨年、父親が死亡し、母親と2人で相続した。共同で相続した事を通知したところ、地主の代理人である弁護士から「こちらも契約者である地主が死亡し、相続人の息子さんが、話合いによる解決を望んでいる」というので話合いに応じることにした。

 その後、弁護士からは「①供託した地代と地主側が請求した地代との差額を支払うこと。②10数年前の更新料を支払うこと」の提案が送付されてきた。

 到底受け入れられない更新料の請求なども含まれ手いるなどの問題点もあったが、建替え承諾などの合意などで話合いを継続していく事にした。地代の差額の計算、更新料の基礎となる時価なども調べるなどして相手に通知し、相手の連絡を待っていた。

 ところが相手弁護士から、何の合意もしていないなかで土地賃貸契約書の案が送付されてきた。中味は、今までの契約書にない「増改築に際して地主の承諾が必要とする条項や契約更新に際して法定、合意の更新を問わず、賃借人は適正な更新料を支払う。更新料に争いがあるときは鑑定士に鑑定してもらう条項」などが記載されていた。

 組合からの指摘されたとおりの展開になった中で、田中さんは「組合と相談して現行どおりの契約書案を作成し、相手の言いなりにならいで頑張る」と決意を固めた。

東京借地借家人新聞より


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2007年8月30日 (木)

借地契約期間10年は無効

 江東区牡丹3丁目で値札製造の仕事をしているHさんは、新規の借地契約を昭和52(1977)年12月に権利金50万円を払って約11坪を期間10年、賃料は昭和62(1987)年まで年間5万円という内容の契約を交わした。

 昭和62(1987)年、この時の借地契約の10年間の期限が来たことと、地主自身が新築の建物を建てたいという理由で借地の明渡しを請求された。

 しかし、建物を建てて未だ10年であり、地主の要求はどう考えても非常識な要求である。投下資金の回収も出来ていない状態で建物を明渡すことは出来ないので地主の不当な要求を無視し続けた。

 だが地主も執拗に悪質この上ない明渡要求を言い続け、数年が経過しても不当な要求を執念でし続けた。Hさんは、ほとほと困り果てて平成5年に組合に入会した。

 組合は契約期間を10年とした場合は、最高裁の判例から「借地法2条の法定存続期間の20年に満たないため、借地法11条の規定に反し無効され、期間の定めがなかったものとして取扱われ借地権の存続期間は30年となる」ことから、平成19(2007)年まで借地期間は存続することをHさんに説明した。

 従って、借地契約の更新まで未だ14年も先のことなので、心配する事はないと激励した。加えて地主が建物を新築するために、わざわざ借地人を退けてまでする必然性があるとは到底思えないし、新築理由が借地明渡しの正当事由には当然の事としてなり得ない事を説明した。

 組合では早速話合いのために地主宅へ向かった。地主は「そちらが他人を立てるなら」と、地主は弁護士を代理人に立ててきた。その年の9月にHさんは組合役員と共に弁護士事務所で話し合った。
 代理人は「昭和62年の契約書の期間を20年とし、平成4年以降の賃料は免除する」。「但し地主が新築する場合と本件契約期間は更新しない」旨の確認書を渡されて是非協力してほしいと言われたが、Hさんは「新規契約は結びません」と契約を拒否し、そのまま今日に至った。

 地主の考える20年の契約期間、平成19(2007)年が近づいて来た為か、はたまた、前回の昭和62(1987)年の更新料の空振りの反省からか、地主は、「来年の事ではあるが、契約期間の満了が近づいて来たのでそろそろ借地の明渡しか、更新料を払って契約を更新するかのどちらかに決めておくように」と言ってきた。

 Hさんは今回も組合とよく相談し、組合と連携をとりながら更新料支払拒否を貫き、借地契約の更新を成功させる覚悟でいる。

東京借地借家人新聞より

 

 借地期間が法定の20年より短い期間を契約で定めた場合、法律的にはどうなるのかという事に関しては、 こちらを参照して下さい。


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2007年8月14日 (火)

借家人の抵抗で家主は不当条項を全面撤回

 荒川区西尾久2丁目で昭和48年から店舗を借りて中華料理を営んでいるSさんは、昨年9月末で3年間の借家契約の期間が満了した。その際、家主から「再契約するには特約で3年間の期間限定とし、その時点で家主側に更新する気があれば継続できるが、そうでない場合は一切の立退料を請求せずに明渡すこと」また「更新する契約書には更新料支払特約を入れる」という条件なら更新してやると言われた。

 Sさんは、とても納得できず借地借家人組合と相談しながら何度も家主と話合い、最終的に裁判も辞さない覚悟で「借家人に不利な契約書には一切サインはしない」と通告した。

 家主は最近になってやっと諦めがついたのか、当初の条件だった3年後の更新拒否や更新料支払特約等を総て撤回し、Sさんと組合とが借家人に不利益な契約条項を削除・修正した契約書に基づいて契約をすることを認めた。

東京借地借家人新聞より


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2007年8月10日 (金)

80歳を超える借地人には無理難題な契約条件を強要

 台東区根岸に住むGさんは、80歳を超える年齢で、既にご主人に先立たれ、子供もいない全くの単身生活である。50坪の借地の殆どを駐車場及び倉庫として賃貸し、その賃料が生活費になっている。

 3月末借地契約が満了し、その更新に際して地主から新しい契約条件を提示された。その内容は①地代は月当り15万円を4万円値上げの19万円に改定する②更新料は500万円とする③特約として相続を認めない契約者本人一代限りの契約とする、というものであった。現在の暮らしからはとても金額的に呑めるような条件ではなく、一人途方にくれていた。

 近所に住み日頃身の回りの世話をしている姪御さんがこの話を聞きつけ借地借家人組合に相談し加入した。その後、地主代理人の弁護士から話合いをしたいとの申し入れがあり、Sさんはご高齢なので姪御さんが組合指導の下に代理交渉に臨み、提示された3点には応じられない旨を伝え、従前の契約内容で更新したい意思も伝えた。

 しかし、地主側弁護士は3条件を呑んで貰えないのであれば更新に応じられないという態度を崩さず、話合いは物別れに終った。

 その後、取敢えず、4月以降の地代を地主に送金し、加えて借地法4条に基づく「借地更新請求」を配達証明付き内容証明郵便を送り付けた。

 今後の対応は組合の顧問弁護士と相談しながら進めていくことを確認した。


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2007年8月 8日 (水)

更新後の借地期間を契約書に10年間と記載される

           借地の契約期限を10年と地主記載                     

 練馬区旭丘で借地して40年を経過した酒井さんは、この10月で期間が満了し、更新の時期を迎えた。 地主から今回、更新後の契約書が送られてきた。契約書案には、その第2条で、契約期間を10年とするというものであった。
 組合の新聞その他で、借地借家法が改定される以前に契約したものは旧借地法が適用されると聞いていた酒井さんは、心配になった組合事務所に相談に来た。

 組合では、酒井さんが賃借している借地は旧借地法が適用されること並びにその期間については20年以上とすること。それ以下の期限を定めた場合はその条項は無効となり、期限の定めのない契約となって、堅固でない木造の場合は20年となることを説明した。(
 相手の地主は、平成4年に施行された借地借家法で2回目以降の更新は10年とするという条項を勘違いして契約書に記載してきたものと考えられるとし、相手の地主に通知することにした。

 酒井さんは「これで安心しました。ゆっくり眠れます」と話した。

東京借地借家人新聞より

 ()関連するのでこちらも参照してみて下さい。  (N)


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2007年7月19日 (木)

契約が満了した場合は契約の更新しないという特約条項書き込まれたが

 (問) 店舗併用住宅を借りて食料品店を営んでいる。5年前の契約期間満了の際に明渡し問題で家主との間でトラブルがあった。その時は契約更新が出来たが、契約書に「期間が満了したら本契約は終了し、更新はしない」という特約条項を書き込まれた。その期間が先月で満了し、家主から強く明渡しの催促をされている。移転先の当てもないので、そのまま営業しているが、①店舗を明渡さなければならないのか。
 また先日、家賃を今まで通り銀行振込したところ、家主は内容証明郵便で「建物の明渡し要求と当月分の振込金は建物使用損害金として受領する。なお今後の振込まれるものも損害金として受領する」という旨の通知をして来た。損害金としえ受取るいうが、②このまま振込みを続けていればいいのか。

 (答) ①に関しては借家を明渡す法律上の必要義務はないというのが結論になる。理由は賃貸契約書に記載された「期間が満了したら本契約は終了し、更新はしない」という特約条項借地借家法第30条の強行規定に反するからである。即ち30条は「この節の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする」と規定している。従って借地借家法第26条の法定更新制度を否定する特約は当然、法律的に無効扱いになる。

 ②に関しては家主が「損害金として受領する」というのは賃貸借契約の存在を否定し、賃料として受取らないという意思表示であるから、支払いをしてはならない。次回の家賃支払は法務局へ家賃弁済供託という方法で支払う。

 今回の従前通り銀行振込みにした家賃に関しては、次のような書式で「私が*日に振込んだ家賃に対し、貴殿から建物使用損害金として受領するとの御通知を受けましたが、私は*年*月分の家賃として支払ったものであることを通知します。」という趣旨の配達達証明付き内容証明郵便配で家主へ送っておく必要がある。
 次回弁済供託をする場合、供託事由の欄の記載は「明渡しを請求され、あらかじめ家賃の受領を拒否され目下係争中のため受領しないことが明らかである」と記載する。

 供託書を提出する時に「供託カード」の発行の申出をし、カード発行を受けると次回のOCR供託書に記載する項目を大幅に省略できる。即ち①申請年月日②供託カード番号③供託者氏名④供託金額⑤供託する賃料欄の年月を記載するだけで済んでしまう。


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2007年6月27日 (水)

建物所有目的の賃貸借契約が一時使用のものでないと認定された事例

 判例紹介

 木造建物所有目的の賃貸借契約が一時使用のものでないと認定された事例 (東京高裁平成8年11月13日判決、判例時報1589号50頁)

 (事実)
 地主・借地人(株式会社)間に、昭和62年12月、土地(登記簿上の項目は畑)を、期間2年、賃料月額金2万円の約の賃貸借契約が成立した。右土地賃貸借契約書には標題に、「土地一時使用賃貸借契約書」と記載されており、使用目的には、「仮設事務所用地(但しブロック基礎とする)」と記載されていた。

 右賃貸借契約はその後2回改定され、平成3年12月、賃料月額が金3万円に増額された。地主がAを代理人として借地人に土地の明渡を求めたところ、借地人はAの説明により本件土地賃貸借契約が一時使用のもので明渡義務があるものと信じ、右土地を平成6年5月末日に明渡す旨の約定書を作成した。そして、地主は借地人に対し、右約定に基づき、一時使用の土地賃貸借契約が終了したとして建物収去土地明渡および賃料相当損害金の支払を求めて本訴を提起した。

 これに対し、借地人は地主に対し、右明渡約定は要素の錯誤により無効であるとして借地権存在確認の反訴を提起した。

 原判決(横浜地裁平成8年4月11日判決)は、借地人会社の代表者個人が本件土地を昭和59年から賃借していたこと、借地人会社との契約後、右土地に木造亜鉛メッキ鋼板葺2階建事務所兼倉庫を建てたが地主は異議を述べなかったことなどから、右土地賃貸借契約は一時使用の目的でされたことが明らかであるとはいえないとして借地人会社の要素の錯誤の主張を認め地主の本訴請求を棄却し、借地人会社の反訴請求を容認した。

 (争点)
 本件の争点は、本件土地の賃貸借契約が一時使用のものか否か。

 (判決要旨)
 東京高裁は、借地人会社が市の指定水道業者として金200万円を投じて本件建物を新築し、本店事務所兼資材置場として利用しており、契約当初から短期間に限って本件土地を借り受ける意思であったとは認められないこと、地主に早期に本件土地の返還を受けなければない特段の事情があったとは認められないこと、権利金の授受はなかったが、本件契約に当たり賃料が2倍に増額され、その後も更に増額されていることなどの事情を付加して、原判決と同様地主の控訴を棄却した。

 (短評)
 一時使用の賃貸借か否かは、単に借地期間の長短だけでなく、土地の利用目的、地上建物の種類、設備、構造等を総合的に判断すべきであるとされている(最高裁昭和43年3月28日判決、判例除法518号50頁)。

 本判決は、土地賃貸借契約書記載の一時使用の文言にもかかわらず総合的に判断して一時使用の目的を否定したもので、他の事例の参考になるものである。   1997.04

(東借連常任弁護団)

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2007年5月10日 (木)

家主が変って明渡し期限の付いた契約書の作成を求められているが…。

(問) 30年前から1戸建の家に住んでいます。先頃家主が亡くなり、相続人の新しい家主から契約の更新をしたいと言ってきました。その条件として、①家賃は現状のままとする。②更新は今回のみとし、2年後の5月31日にて本契約は終了する等を提示してきました。家主は建物が老朽化し、これ以上賃貸建物としては耐え得ないと言っています。
 私達は年金暮しで、他へ移転すれば今払っている家賃の倍以上負担しなければならず、生活が成り立ちません。家は古くなっていますが、修繕すればまだ十分に住める家です。新家主の条件に従って契約しないといけないでしょうか。

(答) 結論から言えば、借地借家法26条の法定更新規定を否定する借家人に不利益な契約条件は借地借家法30条の強行規定()により無効になります。従って、そのような契約をする必要はありません。
 家主が変ったからといって、契約書を作り直す必要はありません。新しい契約書を作成しなければ、従前作成した契約条件はそのまま引継がれ、契約期間のみ「期間の定めのない」状態で法定更新されます(借地借家法26条1項)。

 なお、期間の定めのない契約の場合、家主は6ヶ月前に予告すれば解約を申入れることができますが、借家人が更に建物を継続して使い続ける場合、家主は借家人に遅滞なく異議を述べなければ、契約は再び法定更新される(借地借家法26条2項)。解約申入の時から6ヶ月間に、契約期間の定めがある契約で更新を拒絶する場合と同様に正当事由がなければなりません(借地借家法28条)。

 正当事由の判断に当っては、家主側の家屋使用の必要性と借家人側のそれとを比較して、その他諸般の事情を考慮して判断されます。家屋の老朽化の程度によっては、建替えが必要と判断される場合には正当事由が認められるケースもありますので注意する必要があります。

 今の段階では、期限を切って家屋の明渡を約束する契約書や念書など書類の作成には応じないで相手の出方を見守りましょう。もし、家主が家賃の受領を拒否するようでしたら法務局へ供託しておきましょう。今後は組合とよく相談して対応するようにしましょう。

    ()「この節の規定に反する特約で建物の賃借人不利益なものは、無効とする。」

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2007年5月 7日 (月)

堅固な建物所有を目的にした土地賃貸借契約書を作る場合の問題点

(問) 今年の10月20日で20年間の借地契約期間が満了します。契約更新の条件については、すでに地主との話はまとまっています。その内容は、私が地主に相当の承諾料(金額も合意した)を支払い、現存の木造建物を堅固建物に建替えるというものです。
 これから更新後の契約書を作成する段階で、私が契約書の案を作って提案することになっています。今回は条件が大分違うので従前と同様の契約書ではまずい気がします。どんな内容の契約書を作ればいいのか教えください。 

 (答) 今回の更新は、単に契約期間を更新するのではなく、非堅固な建物所有を目的にした借地から堅固建物所有を目的にした借地へ条件変更をし、同時に更新するというものです。ですから、従前の契約書と異なるのは借地の目的と契約期間だけで、この二点を書替えればいいのです。

 しかし、おそらく従前の契約書も含めて市販の契約書は一方的に借地人に対して義務や禁止条項ばかりが並んでいて公平なものとは言えません。左記の見本を参考にして、思いきり公平でスッキリしたものにしてください。

 「土地賃貸借契約書」 ○○○○を甲とし、○○○○を乙とし、甲乙間において、甲所有の後記物件目録記載の土地(以下本件土地という)の賃貸借に関し、次の通り契約する。

1、本件土地の賃貸借契約は、堅固な建物所有を目的とする。

2、この契約の期間は○○年○月○日から、30年間(30年以上の期間とすることも可能)とする。

3、地代は1ヶ月金○○円とし、乙は毎月末日までに甲方に持参して支払う(振込払いの場合はその旨を記載)。

4、乙が借地権を第三者に譲渡または転貸するときは、甲の承諾を受けなければならない。

5、この契約は、甲乙間の平成○○年○月○日に20年間の期間が満了した前契約を、堅固建物所有を目的に条件変更した上、更新したものである。

 以上に物件目録(測量図を添付すればなおよい)、契約の日付け、当事者の署名捺印で完成です。最後の第5項は、旧「借地法」が適用されている借地権であり、「借地借家法」による期間30年の借地契約でないことを確認するために付加えたものです。

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2007年4月14日 (土)

不当な契約条件を撤回させる 

  埼玉県新座に住む向井さんは、今から2年前にこのマンションに入居した。入居の際のトラブルやその後の結露などの問題で借地借家人組合に入会。

 向井さんは、今年の8月末で期間満了となり更新をして、新しい契約を締結するつもりでいた。

 契約書には「更新時には、更新は新賃料の1ヶ月分を支払って更新することが出来る。又、更新手数料は借主、貸主から0.5ヶ月分ずつとする。火災保険は管理業者指定した○○保険とする。」と記載されていた。

 更新に際して、請求できることは、貸主にきちんと伝えようということになり、本人が「(1)更新料支払い特約の削除。(2)管理会社は貸主の代理人であるから、更新手数料は貸主に請求すること。(3)火災保険についてはもっと掛け金の安い全労災にするので管理会社の要求には応じられない。(4)借地借家人組合に入会しているので今後の窓口は組合にする。」と記した通知書を出した。

 早速、貸主からは「更新料削除や火災保険会社の変更など、貴殿の一方的な主張は認められないので契約を解除する」とする内容証明書が送られてきた。

 向井さんは組合と相談し、「契約更新は双方がその契約条件などで要望や請求を出し合い話し合うのが筋で気に入らないからといって契約を解除することこそ一方的である」とする文書を用意していた。

 ところが、貸主からこちらの主張を全面的に認める更新契約書を送ってきた。

 「やはりがんばるものだ」と向井さんの感想である。

東京借地借家人新聞より


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2007年2月 5日 (月)

更新時に15%の家賃値上げを認める特約

      法定更新の選択を通知すると
          家主は特約の削除に合意

 池袋駅から歩いて5分の繁華街の一角で6年前から美容室を営業している小池さんは、この1月で契約期間が満了する。

 昨年12月に家主から契約更新にともない「原契約にあるとおり、賃料の15%の増額、更新料の2ヵ月分の支払をお願いいたします」と通知してきた。

 小池さんはこの不景気の中で家賃は下がっているのに「契約書には更新時に15%の値上げの特約」があるために毎回値上げを認めていたのでは、5回更新すれば最初の家賃の2倍になってしまう。 そこでなんとかしなければと思って組合事務所にやって来た。

 組合は「更新には、両者が合意して更新する合意更新と合意が出来ない場合、法律が自動的に更新してしまう法定更新があることを説明し、この法定更新では期限の定めのない契約になり更新というものがなくなってしまう事」を説明した。

 小池さんは直ちに家主に現契約書に書いている更新時に、賃料の15%値上げの特約を削除しなければ、法定更新にすることを家主に通知した。

 すると家主側はこの特約を削除する事で合意したいと言ってきた。  小池さんは「最初は不安だったが、組合の言うとおりに交渉したら、一発で解決した。さすが組合だ。困った時は組合に行きなさいと今度は私が宣伝して回ります」と喜んで語った。

東京借地借家人新聞より


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2007年1月19日 (金)

「法定更新」

借家相談事例(更新料・家賃の値上げ要求・建物明渡し)

 組合員の借家相談事例(更新料・家賃の値上げ要求・建物明渡し等)の殆どは、「法定更新」で対応できる。
 ①期間満了の1年前~6ヶ月前までの法定通知期間に、当事者双方から何らの更新拒絶の申出がない場合には、前の契約と同一条件で借家契約は継続する。更新拒絶の申出が法定通知期間内になされていない場合は、満了の6ヶ月前に法定更新される事が決定され、家主は反証を挙げて更新を否定することは出来ない。

  これが借地借家法26条1項(旧借家法2条1項)による法定更新である。家主または不動産業者は通常、契約満了の2~3ヶ月前に契約の更新の通知をして来る。だが、この時点で期間満了の1年前~6ヶ月前までの法定通知期間の条件を充たしていない。従って借家契約は法定更新される。

 ②仮に、家主が法定通知期間内に更新拒絶の通知をした場合でも、借家人が期間満了後も借用を継続しているのに家主が遅滞なく異議を述べないと①同様、法定更新される。

 ③家主が遅滞なく異議を述べても、更新拒絶に対する正当事由を裁判所が認定しなければ、契約は法定更新される。 更新料の支払い請求に対しては、契約が法定更新されてしまえば、更新料の支払いを拒否すればいい。

家賃の値上げ要求に対しては、既に契約が更新されているので家賃の値上げ要求は拒否して従来の家賃を支払えばいい。家主が家賃の受領を拒否したら供託すればいい。調停・裁判で適正家賃(*)が決まるまで供託を続けていればいい。家賃の増額請求の消滅時効は5年である。5年以上の差額家賃の請求はない。

 建物明渡し請求に対しては、組合の顧問弁護士を頼んで明渡し裁判で徹底的に争えば結果が出るまで地方裁判所で4~5年は掛かる。高等裁判所まで争えば明渡し裁判をやた目的はほぼ達成したも同然である。

(*)借地借家法 第32条 建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。

2 建物の借賃の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃を支払うことをもって足りる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払った額に不足があるときは、その不足額に年1割の割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない。


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2006年12月 8日 (金)

修理特約 

  修理特約があろうとも小修理以外は家主負担

 台東借組の組合員である松岡さんは、水道局の検査で借家の水道管が漏水していることが判明した。

 漏水箇所は床下。水道工事店に見積をしてもらった。自己負担で修繕するには費用が過重である。

 契約書に「修繕は借主の費用負担で行う」と書かれている。加えて現在家主から家屋の明渡請求を通告され、家賃は供託している。こんな状況で、家主に修繕を要求しても無視されるのは自明である。

 どうすればよいか借地借家人組合に相談した。組合の回答は「修理特約があっても、その範囲は小修理に限られる。当然修理義務は家主にあり、その修理費用は勿論家主が負担する」というものであった。

  工事代金の回収方法も教えてもらい、業者の見積もり金額を書き期限を切って、家主に修繕依頼の配達証明付き内容証明を送付した。

  その内容は、指定した日までに着工されない場合は自費で修繕し、その費用は供託家賃と相殺することを通告するものである。

 指定日に家主から工事費を全額支払うと連絡があり、銀行の口座に工事代金が振り込まれていた。家主に領収書を郵送して、今回の水道工事は無事に決着した。


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2006年12月 7日 (木)

中途解約 

      台東借地借家人組合への電話相談

 8月の或る日。台東借組へ相談の電話があった。

 相談者がマンションの賃貸借契約の解除をするために家主に電話を入れた。すると、家主は大声で「中途解約は認められない、解約は駄目だ。もしも、それでも解約するというのなら、2年契約の残りの契約期間(約1年)分の家賃を全額払え。それなら解約を了承する」と言ったという。こんな理不尽なことが通用するのかという相談であった。

 契約書に中途解約の条項が無ければ家主の主張は肯定される。だが契約書には「期間途中の解約は相当の予告期間をおいて申し出ること」と書かれていて、期間途中での解約が出来ることになっている。けれど、契約書には解約の申入れの予告期間が定められていない。いわゆる「期間の定めのある契約で解約を留保する特約」があるという事例だ。

 この場合は、民法618条の規定で解約の申入れをすれば、3ヶ月の予告期間(民法617条準用)が過ぎると契約は終了する。これが法律の規定である。従って家主の主張に従う必要はない。当然、家主の要求する家賃を支払う必要は無い。

 相談者の場合は、既に家主に解約の申入れを伝えている。だが後日トラブルにならないためにも、解約申入の通知書を配達証明付内容証明郵便で出して措くように説明した。

参考法令 民法
(期間の定めのない賃貸借の解約の申入れ)
第617条 当事者が賃貸借の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合においては、次の各号に掲げる賃貸借は、解約の申入れの日からそれぞれ当該各号に定める期間を経過することによって終了する。
1.土地の賃貸借 1年
2.建物の賃貸借 3箇月
3.動産及び貸席の賃貸借 1日
2 収穫の季節がある土地の賃貸借については、その季節の後次の耕作に着手する前に、解約の申入れをしなければならない。

(期間の定めのある賃貸借の解約をする権利の留保)
第618条 当事者が賃貸借の期間を定めた場合であっても、その一方又は双方がその期間内に解約をする権利を留保したときは、前条の規定を準用する。


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2006年10月 6日 (金)

中途解約した場合の違約金条項が公序良俗に違反し一部無効とされた事例

  判例紹介

 期間の定めのある賃貸借契約において、中途解約した場合の違約金条項が賃借人に著しく不利益であるとして、公序良俗違反を理由に一部無効とされた事例 東京地裁平成8年8月22日判決、判例タイムズ933号)

 (事案)
 期間4年の賃貸借契約をした借家人が10か月後に契約を解約した。期間満了前に解約する場合は、解約予告日の翌日より期間満了までの賃料相当額を違約金として支払う」旨の特約条項があった。家主は、右特約に基づき、3年2か月分の賃料相当額である6321万円余の違約金を請求した。

 (判決要旨)
 「建物賃貸借契約において1年以上20年(注)以内の期間と定め、期間途中での賃借人からの解約を禁止、期間途中又は解除があった場合には、違約金を支払う旨の約定自体は有効である。

 しかし、違約金の金額が高額になると、賃借人からの解約が事実上不可能になり経済的に弱い立場にあることが多い賃借人に著しい不利益を与えるとともに、賃借人が早期に次の賃借人を確保した場合には事実上賃料の二重取りに近い結果になるから、諸般の事情を考慮した上で、公序良俗に反して無効と評価される部分もある。

 本件で請求されている違約金は、被告会社が本件建物の6階部分を解約したことにより、実際に6階部分を明渡した日から契約期間満了日まで3年2カ月分の賃料及び共益費相当額である。

 被告会社が本件建物の6階部分を解約したのは、賃料の支払を継続することが困難であったからである。原告は、契約期間内に解約された場合には、次の賃借人を確保するには相当期間を要すると主張しているが、被告会社が明渡した本件建物について、次の賃借人を確保するまでの要した期間は、実際には数カ月程度であり1年以上の期間を要したことはない。 

 以上の事実によると、約3年2カ月分の賃料及び共益費相当額の違約金が請求可能な約定は、賃借人である被告会社に著しく不利であリ、賃借人の解約の自由を極端に制約することになるから、その効力を全面的に認めることはできず、1年分の賃料及び共益費相当額の限度で有効であり、その余の部分は公序良俗に反して無効である。

 (説明)
 賃貸契約書では、賃借期間中の賃料は月額132万円から311万円の増額が予め定められていた。賃料が払えないから解約しているのに借家人から契約期間全部の賃料を違約金名目で取り上げることは借家人に著しく不利であり、家主はその間第三者に賃貸して賃料を得ることができる。賃料の二重取りを許す本件特約は不公正で無効と判断した。
 テナントビルの入居率が下がっている状況の中で一度入居した借家人からとことん儲けようとする特約に歯止めをかけた判決である。 1997.7.

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 (注)2000年法律153号により、定期借家制度の導入に併せて、借地借家法第29条に第2項が加えられた。即ち、「民法第604条の規定は、建物の賃貸借については、適用しない」。これにより賃貸借の最長期間を20年に制限する民法604条は、建物の賃貸借には適用されないことになったので、期間が20年を超す借家契約も認められることになった。2001(平成12)年3月1日から実施されている。(N)


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2006年9月23日 (土)

ビルの賃貸借で借主から貸主に対する電気料金の水増分の返還が認められた

 判例紹介

 ビルの賃貸借契約において、賃借人から賃貸人に対する電気料金の不当利得返還請求が認められた事例 (東京地裁平成14年8月26日判決、判例タイムス1119号)

 (事案の概要)
 賃借人は、宝石・貴金属の加工販売をするため、ビルの7階部分を賃借していたが、契約が終了した後、契約期間中、電気料金を払いすぎていた、として返還請求訴訟を提起した。

 貸主は、1階から8階までの各テナント部分及びエレベーター等の共用部分の電気使用料を各テナントに割り振って徴収していた。本件賃借人は、自分の賃借部分以外の共用部分の電気料金合計111万円は支払義務がなかった、と主張。

 本件では、賃借人が支払わなければならない電気料金は、本件事務所内で使用した電気料金だけか、それとも、ビル全体の共用部分についての受電配電設備の保守点検費、受電配電設備の維持管理修繕費用、検針費用等の費用をも分担して支払わなければならないのか、という点が問題になった。

  (判決の要旨)
 本件賃貸借契約においては、月額賃料は32万9000円のままとするが、管理費、共益の負担を求めない条件で契約が成立したこと、賃借人が遵守しなければならない管理規定によれば、本件事務所内で使用する電気料金は賃借人が負担し、その電気料金の支払い方法については、東京電力によるその月分の検針日を基準として、設置メーターの検針量により実費計算して請求することとされていたこと、本件管理規定によれば、共用部分で使用する照明、その他動力に使用する電気料金は、管理費に含めるものとすることとされていたことが認められる。以上の認定事実によると、本件事務所の賃借人は、本件事務所内で使用した電気料の負担をすればよく、本件ビルの管理に要したあるいは要する費用、共益費については支払い義務がないという条件で本件賃貸借契約を締結したと認めるのが相当である。そうだとすると、共用部分についての負担金等は通常管理費に含まれるものとして、これらを電気料金に含めて請求する賃貸人の主張は理由がないというべきである。

 (解説)
 テナントビルの賃借について、家主がビル全体の電気料、水道料等の光熱費、管理費などを賃借人から徴収し、賃料値上や解約時の保証金清算時に、賃借人が、その計算方法や徴収方法について、不明朗さを問題にすることがある。賃借部分以外の共用の光熱費について、支払い義務があるかどうかは、賃貸者契約においてどのように定められているかが判定の第一基準である。本件では共用費用の負担の約束がないという点で賃借人勝訴となったが、契約書には支払義務規定があるが、その解釈が問題になるケースもある。
2004.3.

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

こちらの「判例紹介」で扱った判例と同じものです。(N)


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2006年9月12日 (火)

*賃料を1ヵ月分でも滞納したときは無催告解除の特約の有効性

 判例紹介

 「賃借人が賃料の支払を1ヵ月分でも滞納したときは、催告なくして解除できる。」との特約が有効とされる限度最高裁昭和43年11月21日判決、判例時報542号48頁)

(事案の概要)
 賃貸人は、昭和37年3月15日、賃借人に対し、建物を賃料月額金15000円、毎月末日翌月分支払の約で賃貸し、同年9月14日、賃貸期間を昭和40年9月13日までと定めたが、その賃貸借契約には、賃料を1ヵ月でも滞納したときは催告を要せず契約を解除することができる旨の特約条項があった

 ところが、賃借人が昭和38年11月分から同39年3月分までの賃料の支払を怠ったので、賃貸人は前記特約条項に基き無催告解除した。

(判決)
 最高裁判所は、「家屋の賃貸借契約において、一般に、賃借人が賃料を1ヵ月分でも滞納したときは催告を要せず契約を解除することができる旨を定めた特約条項は、賃貸借契約が当事者間の信頼関係を基礎とする継続的債権関係であることにかんがみれば、賃料が約定の期日に支払われず、これがため契約を解除するに当たり催告をしなくてもあながち不合理とは認められないような事情が存する場合には、無催告で解除権を行使することが許される旨を定めた約定であると解するのが相当である。したがって、原判示の特約条項は、右説示のごとき趣旨において無催告解除を認めたと解すべきであり、この限度においてその効力を肯定すべきものである。」と判示した。

(評論)
 建物賃貸借契約において、特約条項が定められる例はしばしば見られるところである。それは、賃借人が新たに借りる立場上契約締結に当たって特約の削除を求めることが困難なことに起因することも多い。その結果、両当事者間で特約条項について合意が成立したことになるが、合意したからといって、全ての特約条項が有効となるわけではない。借地借家法の強行規定に反する場合は無効とされるし、本件特約条項のように強行規定には反しないまでも、信義則上賃貸借契約の継続を期待することができないような状態となったことを要する趣旨と解されることもある。

 本件特約条項は、その意味で、例文として全く無効というものではなく、有効とする上での限度を設けられているということができる。
 実務的には、賃貸人から前記特約条項に基いて無催告解除された場合には、賃借人は、放置することなく、あらためて賃料を提供し受領拒否された場合には供託することが最も適切な措置といえる。

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より


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2006年8月18日 (金)

第三者に経営全般の管理をさせ一定の金銭の支払を受けていた関係が、営業委任であるとされた事例

 判例紹介

 店舗賃借人が第三者に経営全般の管理をさせ一定の金銭の支払を受けていた関係が、営業の委任であって転貸でないとされた事例 神戸地裁平成4年6月19日判決、判例時報1451号136頁)

 (事案)
 乙は甲から店舗を借り、牛丼の吉野家との間でフランチャイズ契約を締結し牛丼屋を経営してきた。昭和55年吉野家が会社更生法に基づく更生会社となり乙はフランチャイズ契約の対象から外された。

 そこで乙はレストラン等を経営する丙に、吉野家と同様の形態で牛丼屋を経営していきたいと助力を求め、丙との間で新たに牛丼専門店の経営委託に関する契約を締結した。店舗の屋号は「牛丼屋」とした。

 「牛丼屋」の経営実態は、丙が材料の仕入れ、派遣従業員の手配、店舗営業全般の管理を行い、且つ費用の計算、支払及び売上代金の管理等を丙の預金口座を使用して行い、これらの管理、計算に基づき、売上代金から所定の経費、経営管理の対価を差し引いた金額(1月と12月は70万円、その他の月は50万円)を乙に対し支払っている。

 また、店舗の営業許可は乙において取得しており、メニューは乙の意向により吉野家時代と同じく牛丼のみとし、丙が他所で経営している食堂とは異なっている。

 (判決要旨)
 「本件建物における牛丼屋の営業について、乙は最終的な決定権を有しており、その経営主体であるということができ、乙と丙との関係はあくまでも牛丼屋の営業に関してその業務の一部を委任するものであって、丙にその経営を全面的に委ねたものではないし、営業を賃貸したものでないと認められる。従って乙と丙との間には本件建物についての賃貸借契約は存在せず、丙の同建物の利用は、乙が有する賃借権についての履行補助者ないしは占有補助者としてのものであると評することができ、独立の占有権限又は独立の占有を有しているものではないと解されるから、甲主張の転貸の事実を認めることはできない」

 (寸評 )
 営業の委任か転貸かは、まぎらわしことが多い。形式は営業の委任と銘うっていても実際は転貸に当たる場合もある。要は経営実態によって判断するほかはなくその場合の着眼点は、営業に対する賃借人の支配の程度、第三者の店舗使用の独立性、営業名義、委託料の決め方などであるが、結局はそれらを総合して判断することになる。

 この判決の事案は、大変微妙だと思われる。判決の認定する経営実態も、営業許可名義とメニューの点を除けば、第三者丙に殆ど任せっぱなしとみることもできるし、それに丙から賃借人乙に対する支払も毎月定額であることと、水道使用契約は丙となっていることなどを考え合わせると丙の独立性もかなりあるように思われる。私の言いたいのは、分店を第三者に「任せる」ときは、その内容を十分慎重にしないと転貸と認定されて元も子もなくなってしまうといことだ。      1993.7

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 ここで採り上げた判例は、後日、控訴審の大阪高裁(平成5年4月21日判決)で営業委任契約が否認され、転貸と認定された。控訴審判決は、こちらのの「判例紹介」扱ったものである。


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2006年8月17日 (木)

第三者に営業全般の管理を委ね、月々一定の金銭の支払を受けているている場合は転貸に当たるとされた事例

 判例紹介

 賃借建物で店舗営業をするにあたり第三者に営業全般の管理をゆだね月々一定の金銭の支払を受けている場合に建物の転貸にあたるとされた事例 大阪高裁平成5年4月21日判決。判例時報1471号93頁)

 (事案)
 Y
(借家人)はX(家主)から賃借する建物(以下本件建物という)で飲食店(牛丼屋)を営業するにあたり、Zとの間で経営委託契約を締結してZに営業全般の管理をまかせ、営業の賃借の対価として月々50万円(1月と12月は70万円)をZから受け取っている。

 Xは、YXの承諾なく本件建物をZに転貸しZが本件建物で飲食店を経営しているとして、無断転貸を理由に賃貸借契約を解除しY及びZに対して本件建物の明渡等を求めた。

 Yらは飲食店はYがオーナーとして経営するもので転貸の事実はないとして争った。

 第1審判決(神戸地裁平成4年6月19日判決。1993年7月15日付本紙の「判例紹介」欄で紹介)は、店舗の営業許可はYが取得していることメニューはYの意向で牛丼のみとされ、本件建物での店舗経営の最終判断権はYに帰属しており、営業の一部の委任に過ぎず転貸に該当しないとしてXの請求を棄却し、Xはこれを不服として控訴。

 (判決)
 判決は、「(ZYに対し、毎月定額の50万円(1月と12月は70万円)を支払うものとされ、現実にこれまで支払われてきたこと、(Yは本件建物での牛丼屋の経営に関与していないこと、Zが営業全般の管理を行っているが、その営業事績の報告はされていないこと、(中略)右定額の金員はZの計算と危険負担のもとに、右営業による損益や利益金の多少にかかわらずYに支払われるものであることが推認されること、()本件店舗における牛丼屋の営業、すなわち、材料の仕入れ、派遣従業員の給料、光熱費その他必要経費の支払や売上代金の管理等は、すべてZの計算においてなされ、Zの預金口座を利用して行われていること」の点を重視し、YZ間の契約は「Zの計算で営業を行う狭義の経営の委任契約であり、実質は営業の賃貸借であると認めるのが相当である」としたうえで、「右契約の効果として、YとZに対し営業の基盤である本件建物の利用を可能ならしめる義務を負い、そのためには本件建物の占有を移転することを要し、Zは本件建物を利用して賃借営業を自己の計算で営むことができるが、そのうちの本件建物の利用関係の移転はXとの関係では建物の転貸借に当たる」として、Xの主張を認めた。

 (寸評)
 本件のような経営委任契約が建物の転貸にあたるかどうかについては、営業に対する賃借人の支配の程度・営業の名義・賃借人に支払われる金員の決め方などによって総合的に判断するとされているが、その判断は微妙である。本件のように賃借人に対する月々の支払が定額で第三者に営業全般の管理を委ねているような場合には転貸と認められる可能性が大きい考えたほうが良い。       1994.4.

(東借連常任弁護団)

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2006年8月16日 (水)

ビルの一室の使用が店舗経営委託契約ではなく、賃貸借契約と認められた事例

  判例紹介

 ビルの一室の使用関係が、店舗経営委託契約ではなく、賃貸借契約と認められた事例 大阪高裁平成9年1月17日判決、判例タイムス941号)

 (事案)
 賃借人はビルの一室を賃借してスナックを経営していたが、契約書は店舗経営委託契約書であった。そして、契約書には、次のことが定められていた。
 ①経営の委託であること、②経営者が保証料250万円を預けること、③内装工事は建物オーナーが施工して、冷蔵庫、ガスレンジ、棚セット、シンク台、ガス台、イス、湯沸し器、おしぼり器などの設備を引き渡すこと、④経営者は建物オーナーに分配金として月13万2000円,共益費1万円を支払うこと、⑥本契約を更新する場合は、分配金は5%増額すること。

 しかし、スナックの飲食店営業許可は賃借人の名義で取得し、電話、ガスの契約名義も賃借人であった。スナックの営業時間、営業日の決定変更、従業員の採用、売上の収受、経費の支払もすべて賃借人が自分の裁量で行っていた。収支決算の報告については建物オーナーからの要求は一度もなく収支決算報告をしたこともなかった。スナックの所得税申告も賃借人が行い、税金も賃借人が支払っていた。

 賃借人は、この契約は経営委託ではなく、建物賃貸借であると主張して、賃借権の確認を求めて提訴した。一審では、賃借人が敗訴。高裁で逆転して賃借権が認められた。

 (判決趣旨)
 「本件契約書では店舗経営委託契約とされているものの、そこでの店舗の経営は経営者の名義で、その計算と裁量により行われ、建物オーナーがその経営に関与することはなく、分配金、共益費の名義の金員は店舗経営による収益費にかかわりなく定額であることからすると、本契約は、店舗経営委託契約の性格を持たず、かえって経営者に本件物件と内装、器具を飲食店のために自由に使用収益して、その収益の取得することを許し、その対価として一定額の金員を受領することとする建物賃貸借の性格を有することは明らかである

 (説明)
 飲食店の賃貸借については、店舗を貸す専門の業者がいて、自分で内装、設備を整え、設備込みの賃料で賃貸する。
 契約書は、賃貸契約にしないで、店舗経営委託名義にするというケースがある。そして、契約更新のときなどに、更新の条件で折り合いがとれないと、本件のような係争になる。

 一審の判決は、契約書の文面を形式的に読んで、賃貸借でないとしたが、高裁では、営業の実態を見て実質的に賃貸借契約であることを認めた。

 ポイントは建物オーナーへの支払が毎月決まった額であること、店舗の経営のあれこれをすべて賃借人の裁量で行っている点である。       1998.7.

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より


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2006年8月 8日 (火)

借地の更新

年金暮しなので更新料は断るつもりですが、借地契約はどうなるのか

 (問) 今年の7月12日で20年間の借地契約期間が満了します。地主は近所の不動産屋を通じて更新料を坪10万円、34坪で総額340万円請求してきた。
 20年前は坪1万円だったし、私はまだ若く収入もそれなりにあったので支払いをしたが、現在、収入は年金だけで、とても地主の請求に応じられない。
 借地借家人組合では、更新料は支払義務がないと言っていますが、更新料を支払わないと新しい契約書がもらえないと思います。その場合、借地契約はどうなるのでしょうか。 

(答) 借地契約の更新には
①地主と借地人が更新契約条件に合意して、新しい契約書に署名捺印する「合意更新」(借地法5条と、

②これに対して地主と借地人との間で契約条件の合意が得られない場合でも、借地人が土地の使用を継続する場合、契約期間が満了すると法律の定めで、新しい契約書を作らなくても従前の借地の契約条件で自動的に更新してしまう「法定更新」借地法6条)と、

③期間満了に際して地主に契約更新を拒否する正当な理由がない場合、借地人の一方的な更新請求だけで借地更新が認められる「請求による更新」借地法4条1項)との3通りの更新がある。

 「法定更新」借地法6条)と「請求による更新」借地法4条1項)の場合の契約条件は、借地上の建物が鉄骨建などの堅固建物ならば契約期間は30年、木造など非堅固建物ならば契約期間は20年に法定されている。その他の契約条件は従前の契約と同一で自動更新される。(借地法4条1項、6条1項)。

 「借地借家法」は1992(平成4)年8月1日から施行されているが、「借地契約の更新に関する経過措置」によって「この法律の施行前に設定された借地権に係る契約の更新に関しては、なお従前の例による。」(借地借家法附則6条)借地契約を今後何度更新しても「借地借家法」の適用はされず、旧「借地法」が引き続き適用される。

 更新料は地主に契約更新合意の対価として支払うものであり、更新は地主との契約の合意がなくても法律の規定で自動的に出来るものであり、更新料を支払う根拠はない。また地主は更新料を請求する根拠として「更新料の授受は世間の慣習だ」と主張したが、最高裁判所で慣習説は否定され、借地更新料は支払義務なしとされた最高裁判所昭和51年10月1日および昭和53年1月24日判決・東京借地借家人組合連合会発行のパンフレット「借地借家更新料について」参照)。

 借地更新料支払いの法律的根拠はない。更新料を支払わなくても借地人が後に不利益を蒙ることはなく、すでに更新料を支払わなかった借地人は大勢おり、今も従前どおり借地を続けている。
 具体的にすることは借地法4条1項に基づいて①契約期間満了後も従前どおり引き続き借りたいとの更新請求をする。②更新料の請求を断わる、の2点で組合を通じて行えば一層効果的。

 以下は、借地人からの契約更新請求通知書の文面例

            借地契約更新請求書

 私と貴殿との間で締結した東京都*区*丁目*番地の宅地*㎡についての借地契約の借地期間は、平成*年*月*日に満了致します。宅地上にはなお建物が存在しますので、前契約と同一の条件で借地契約を更新して戴きたくご請求致します。

 平成*年*月*日

                                  東京都*区*丁目*番地

                                      鈴木 一朗 (印) 

 東京都**区**丁目**番地

   田中 次郎 様 

(注) この文書は内容証明郵便配達証明付きで出した方が良い。

借地法
第2条
 借地権ノ存続期間ハ石造、土造、煉瓦造又ハ之ニ類スル堅固ノ建物ノ所有ヲ目的トスルモノニ付テハ60年、其ノ他ノ建物ノ所有ヲ目的トスルモノニ付テハ30年トス
但シ建物カ此ノ期間満了前朽廃シタルトキハ借地権ハ之ニ因リテ消滅ス
 契約ヲ以テ堅固ノ建物ニ付30年以上、其ノ他ノ建物ニ付20年以上ノ存続期間ヲ定メタルトキハ借地権ハ前項ノ規定ニ拘ラス其ノ期間ノ満了ニ因リテ消滅ス

第4条 借地権消滅ノ場合ニ於テ借地権者カ契約ノ更新ヲ請求シタルトキハ建物アル場合ニ限リ前契約ト同一ノ条件ヲ以テ更ニ借地権ヲ設定シタルモノト看做ス
但シ土地所有者カ自ラ土地ヲ使用スルコトヲ必要トスル場合其ノ他正当ノ事由アル場合ニ於テ遅滞ナク異議ヲ述ヘタルトキハ此ノ限ニ在ラス

第5条 当事者カ契約ヲ更新スル場合ニ於テハ借地権ノ存続期間ハ更新ノ時ヨリ起算シ堅固ノ建物ニ付テハ30年、其ノ他ノ建物ニ付テハ20年トス
此ノ場合ニ於テハ第2条第1項但書ノ規定ヲ準用ス

 当事者カ前項ニ規定スル期間ヨリ長キ期間ヲ定メタルトキハ其ノ定ニ従フ

第6条 借地権者借地権ノ消滅後土地ノ使用ヲ継続スル場合ニ於テ土地所有者カ遅滞ナク異議ヲ述ヘサリシトキハ前契約ト同一ノ条件ヲ以テ更ニ借地権ヲ設定シタルモノト看做ス
此ノ場合ニ於テハ前条第1項ノ規定ヲ準用ス

 前項ノ場合ニ於テ建物アルトキハ土地所有ハ第4条第1項但書ニ規定スル事由アルニ非サレハ異議ヲ述フルコトヲ得ス


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2006年8月 6日 (日)

法定借地期間より短い契約期間を特約した場合は

       3階建ビルを建てる計画で借地契約を
          結んだが20年の契約期間であった

 (問)  昭和61(1986)年9月に30坪の土地を期間20年で借地契約を結び、鉄骨3階建の建物を建てて住んでいる。地主は、今年の8月に借地の更新をするのであれば更新料300万円(坪10万円)を支払えと言って来た。
 最近友人から、耳よりなことを聴いた。それは堅固建物の場合は、契約期間が30年以上と決まっているから、借地の更新は10年後の2016年だというのである。これは本当なのでしょうか。

 (答) 最高裁判所大法廷は、「建物所有を目的とする土地の賃貸借契約において、借地法2条2項所定より短い期間を定めた場合には、右存続期間の約定は同法11条により定めなかったものとみなされ、右賃貸借の存続期間は、借地法2条1項の本文によって定まる」(1969年11月26日判決)との統一解釈を示した。

 借地法2条1項は、借地権の存続期間について当事者間に約定がない場合は鉄骨や鉄筋コンクリート造り等の堅固建物の所有を目的とするものは60年、その他の非堅固建物は30年と法定存続期間を定めている。同法2項では当事者間に約定がある場合は最短期間を堅固建物は30年、非堅固建物は20年に制限している。この存続期間の定めに反する特約で借地人に不利なものは無効とされる(同法11条)。

 相談者の借地契約は平成4年8月1日以前の契約なので、旧借地法が適用される。相談者の場合は、堅固建物で借地期間が20年の契約なので、借地権の最短約定存続期間の30年に満たない。最高裁の判例に基づけば、期間20年の約定は同法2条2項に抵触し、同法11条により借地人に不利な契約条件として無効になり、約定は定めなかったものとみなされる。存続期間については当事者間に何らの合意も存続しなかった場合として扱われ、同法2条1項本文から堅固建物所有目的の借地権は60年の存続期間となる。従って借地期間は後40年間存続することになる。即ち2046年まで継続する

 木造など非堅固建物の最低約定存続期間よりも短い期間(20年以下)を合意で定めたとしても、当事者の意思に関係なく30年ということになる。借地法の考え方には借地人に出来る限り長期の存続期間を確保しようという意図が根底にある。それ故、最短期間には制限があるが、最長期間に関しては制限がない。

 借地法
第2条 借地権ノ存続期間ハ石造、土造、煉瓦造又ハ之ニ類スル堅固ノ建物ノ所有ヲ目的トスルモノニ付テハ60年、其ノ他ノ建物ノ所有ヲ目的トスルモノニ付テハ30年トス
但シ建物カ此ノ期間満了前朽廃シタルトキハ借地権ハ之ニ因リテ消滅ス

 契約ヲ以テ堅固ノ建物ニ付30年以上、其ノ他ノ建物ニ付20年以上ノ存続期間ヲ定メタルトキハ借地権ハ前項ノ規定ニ拘ラス其ノ期間ノ満了ニ因リテ消滅ス

第11条 第2条、第4条乃至第8条ノ2、第9条ノ2(第9条ノ4ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)及前条ノ規定ニ反スル契約条件ニシテ借地権者ニ不利ナルモノハ之ヲ定メサルモノト看做ス


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2006年6月 7日 (水)

借主は中途解約することが出来るのか

   契約書には中途解約のことが
      何も書かれてはいないが解約は可能なのか

(問) まだ1年程契約期間が残っているが、経済的理由から廃業する。だが契約書には中途解約に関する条項が何も書かれていない。貸主は残存期間家賃を全額払えば中途解約に応じると答えたが、家賃を払わないと中途解約出来ないのか。

(答) 一般的な居住用借家契約書であれば、例えば国土交通省が推奨する「賃貸住宅標準契約書」では、「(借主)は甲(貸主)に対して少なくとも30日前に解約の申入れを行うことにより、本契約を解約することができる。
2 前項の規定にかかわらず、乙は、解約申入れの日から30日分の賃料を甲に支払うことにより、解約申入れの日から起算して30日を経過する日までの間、随時に本契約を解約することができる
」と書かれている。大概の借家契約書に同趣旨のことが書き込まれている筈である。この特約期間を遵守すれば、いつでも契約期間内の中途解約は可能である。

 途解約を禁止する特約がある場合は借主の利益を一方的に害する特約として消費者契約法10条に違反し、特約は無効になる。それにより借主からの中途解約は認められる。

しかし中途解約について何も契約書に書かれていない場合はどうなるか。
 民法は、「期間の定めの無い契約」の場合、3箇月の解約予告で契約は終了すると規定する(民法617条)。
 また期間の定めのある契約で解約権の留保がある場合にも3箇月の予告期間で中途解約を認めている(民法618条)。
 期間の定めがある場合、当事者はその契約期間に拘束されることになり、特約が無い場合、中途解約は許されない。一方の当事者は他の当事者に契約違反がない限り、一方的に借家契約を終了させることが出来ない。勿論、当事者が合意すれば中途解約は可能である。

 だが、最近は店舗が空いた場合、次の借り手が長期間決まらないことから貸主は契約の継続を望み、合意解約には応じない。その場合、契約期間が終了するまで契約は継続し、家賃の支払義務も当然終了しない。
 以上のことから期間の定めのある借家契約は、契約期間内では借主から解約の申入れが出来ないという結論になる。

 従って 、借主の自衛策は契約満了で契約を確実に終了させるために借地借家法26条に基づき法定通知期間内(契約期間満了の1年前から6箇月前まで)に「更新拒絶の通知」を貸主にして措くことである。通知を忘れると契約は法定更新され、契約期間の定め無い契約になる。従って、民法617条から最低でも3箇月の解約予告が必要になるので3箇月分の家賃を余計に支払う羽目になる。借地借家法26条は「更新拒絶の通知」の「当事者」を貸主だけでなく借主も含んでいることに留意したい。

 相談者の場合、解約が出来ないとしたら解約のために契約違反をするしかない。借主の緊急避難策は、家賃の支払を遅滞して貸主からの契約解除を待つ方法である。だが、この方法では敷金や保証金の返還でトラブルになるのは確実だ。

 相談者の場合、解約が全く出来ないのか。
 定期借家契約は原則として契約の中途解約を認めていない。しかし借地借家法38条5項では200㎡未満の居住用に限られるが、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情がある場合は解約の申入れをすることができ、解約予告から1箇月で契約は終了すると規定されている。

 これは契約後の事情変更により契約の継続が困難になった場合にまで家賃の支払義務を負わせ続けるのは借主にとって過酷過ぎるということで契約上、特約が無くても強行規定で借主の中途解約を認めている。借主の中途解約権を保障した規定に反する特約で借主に不利なものは無効とされる(借地借家法38条6項)。

 従って、相談者の場合も当事者の予測困難な事情の変化によって借家契約を継続することが著しく困難になった場合に該当するので、「事情変更の法理」により解約が認められる可能性が高い。

 (参考例)
 
契約書に中途解約の予告期間と解約の制裁金が書かれている場合

 契約書に中途解約する場合は、6箇月前までに書面で通知するか、或は 6箇月分の賃料(予告期間の損料)を支払うという約定に従って貸主が6箇月分の損料(564万円)を借主の保証人に請求した。
 その支払で争われた裁判では、解約は双方の合意に基づくもので、損料支払はあくまで一方的な解約権行使を補償するものなのであるから、この件では損料の支払は不要という判断をした(東京地裁1993年6月14日判決)。家賃の6箇月分の約定損料を過大と判断した結果である。

 民法
 (期間の定めのない賃貸借の解約の申入れ)
第617条 当事者が賃貸借の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合においては、次の各号に掲げる賃貸借は、解約の申入れの日からそれぞれ当該各号に定める期間を経過することによって終了する。
1 土地の賃貸借 1年
2 建物の賃貸借 3箇月
3 動産及び貸席の賃貸借 1日

 (期間の定めのある賃貸借の解約をする権利の留保)
第618条 当事者が賃貸借の期間を定めた場合であっても、その一方又は双方がその期間内に解約をする権利を留保したときは、前条の規定を準用する。

 借地借家法
第26条  建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の1年前から6月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、その期間は、定めがないものとする。

第38条
5  第1項の規定(定期借家)による居住の用に供する建物の賃貸借(床面積(建物の一部分を賃貸借の目的とする場合にあっては、当該一部分の床面積)が200平方メートル未満の建物に係るものに限る。)において、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により、建物の賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、建物の賃借人は、建物の賃貸借の解約の申入れをすることができる。この場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から1月を経過することによって終了する。
6 前2項の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。


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2006年6月 2日 (金)

契約書の無い借地契約

        契約書がないまま亡父が昭和25年に
            借地した土地の明渡しを要求された

 (問) 地主から、今年は借地期間が満了するから明渡してくれと言われました。借地の契約書は作っていなかったようですが、亡父の話しでは昭和25(1950)年9月に土地を借り木造の家を建てて住み始めたと聞いています。地主の請求に対しどう対処したらいいでしょうか。

 (答) 借地権を設定する際に、当事者の間で存続期間を定めなかった場合には、その借地権の存続期間を「借地法」で法定している。相談者の場合も「借地法」の適用となり、同法第2条1項の規定により非堅固の木造建物の場合、借地期間は30年となる。

 従って30年後の1980年に一旦契約期間は満了する。だが、その時点で建物が朽廃しておらず、また借地人が土地の使用を継続し、地主が遅滞なく異議を述べないと、借地権は前契約と同一の条件をもって設定されたものとみなされる。契約書が無くても借地契約は更新されたものと扱われる。それを法定更新といい、その場合の期間は木造の場合は20年と法定される(「借地法」第6条1項)。そうすると、借地契約は2000年に再び法定更新され、2020年まで期間が延長されている。

 但し借地契約が40年以上も前になされ、契約書も無く関係者も死亡して、借地契約の始期を明確に知り難い事情が有ったという事案において、裁判所の審理の結果判明した満了時より1年半を経過して述べられた異議も遅滞の無いものとして、「遅滞なく」を緩やかに解した最高裁の判例(1964年10月16日判決)もある。

 相談のケースでは、借地契約書も無く、地主の方でも先代の地主が死亡したりして、正確な更新時期がよく解らないとしても5年も経過している以上、遅滞なく異議を述べたとは言えない。契約は2020年まで法定更新されている以上、土地の明渡に応じる必要はない。

 なお、契約期間が満了し地主から遅滞なく更新拒絶の異議の申立てがあった場合でも、地主の述べる異議には正当事由が必要である。正当事由があるか否かは、裁判所によって借地関係の存続を希望する借地人と、終了を望む地主との双方の土地を使用する事情等を総合的に考慮して判断される。裁判所は地主の正当事由を簡単には認めていないので借地の明渡が認められる事は先ず有り得ない。


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2006年5月30日 (火)

借地契約で不利益な特約

   借地人に不利な特約付の契約書の作成を
                   要求されたがどうしたらよいか

 (問) 父の代から土地を借りています。10年前に父が亡くなり、長男である私が借地権を相続し、地代を支払っています。父が土地を借りてから70年以上が経過し、建物も相当古くなっていますが、修理しながら建物を維持し生活しています。契約書は全く作成せず口約束で借りていて、地代の領収印が押された通い帳が契約書時から全部残っています。
  地主も代替りし、最近になって契約書を作成したいと言って、契約書の案文を郵送してきました。それを見ると契約期間は10年となっていて「更新時には借地権価格の10%の更新料を支払うことによって契約を更新することができる」「建物の増改築は一切行わないこと」と書かれています。どうしたらいいでしょうか。

 (答) 土地や家の賃貸借契約は口約束でも契約は成立する。借地借家法が一部改正され、更新のない定期借地や定期借家契約が法律で認められたが、定期借地や定期借家契約の場合は書面で契約して置かないと契約として認められない。それ以外の普通の借地や借家の契約は、地代なり家賃の領収書があれば立派に契約は成立する。

 契約書を作成して置かないといつ追出されるか不安だと思っている人もいて、契約書の内容が借地人にとって不利なものであっても判を押してしまう人がいる。契約書は契約内容を証明する一つの手段に過ぎない。貸主側が作成する契約書の多くは、借地人の権利を拘束し、義務ばかり押付けた不利なものが多く、作成したために後で取り返しの付かないことになり兼ねない。

 契約書の特約の中で借地借家法の強行規定に反する条文は無効である。10年の契約期間も旧借地法が適用される借地契約では最低が非堅固な建物では20年、堅固な建物では30年以上でなければ無効となる。更新料の支払特約は判例上、一概に無効とは言えない。

 いずれにしても借地人にとって不利な特約は削除させるか、削除に応じない場合は契約書の作成は拒否した方が得策だ。借地人の中には契約の更新時に莫大な更新料を支払った上に、著しく不利益な契約書を作成し、後で後悔している人が見かけられる。是非とも契約書を作成する前に組合に相談し、充分に点検して貰ってから押印することをお薦めします。 


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2006年5月18日 (木)

法定更新・借家

  契約の更新に際し、契約条件の改悪を
                要求されたら法定更新を選択する

 (問) 3年契約で店舗を借りています。5月末日で契約期間が満了になります。2月に不動産会社が「6月の契約から3年の定期借家契約で」と言ってきました。どうしたらいいでしょうか。

 (答) 営業用店舗は2000年3月1日以降の契約更新の場合、合意があれば定期借家契約への切り替えは出来る。定期借家契約を拒否するには賃借人としては法定更新に持込み今まで通りの普通借家契約を続けるのが営業権を守る安全策であろう。

 以下の①②は借地借家法の法定更新規定の要旨である。
①期間の定めのある借家契約で期間満了の1年前から6ヶ月前(法定通知期間)までに賃貸人が賃借人に対して、更新拒絶の通知または条件変更の通知をしていなかった場合は、従前の契約と同一の条件で自動的に借家契約が更新され、借家関係は継続される。尚、更新拒絶の通知をするには、正当事由が必要である(借地借家法28条)。

②またその通知をした場合でも、期間満了後、賃借人が継続して建物を利用していることに対して賃貸人が遅滞なく異議を述べないと①と同様に従前の契約と同一の条件で自動的に更新される(借地借家法法26条)。

  ①と②は当事者の意思の如何に拘らず、法律上当然に借家契約が更新されるので、これを「法定更新」という。

 相談者の場合は、不動産会社が「法定通知期間」内に適法な更新拒絶の通知を何ら行なっていないので、借家契約は既に従前の契約と同一条件で「普通借家契約」として法定更新されることが確定される。

 このように期間満了の6ヶ月前までに通知をしていないと、その時点で既に契約更新がなされることが法的に決定される。この更新を賃貸人が覆すことは出来ない。

 相談者は不動産会社から繰り返し定期借家契約への切替を執拗に要求されるであろうが、「法定更新は法律上自動的に更新するもので賃借人の回答を必要としない」(東京高裁1955年1月21日判決)のであるから、期間満了の5月末日に法定更新が確定するまで、ただ沈黙していればいい。

 法定更新後の借家契約は期間の定めのないものとして扱われるので原則的に更新問題は起こりえず、定期借家への切替や更新料で揉めることもなくなる。

 参考条文
 借地借家法
 第26条 建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の1年前から6月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、その期間は、定めがないものとする。

  前項の通知をした場合であっても、建物の賃貸借の期間が満了した後建物の賃借人が使用を継続する場合において、建物の賃貸人が遅滞なく異議を述べなかったときも、同項と同様とする。

  建物の転貸借がされている場合においては、建物の転借人がする建物の使用の継続を建物の賃借人がする建物の使用の継続とみなして、建物の賃借人と賃貸人との間について前項の規定を適用する。

  第28条 建物の賃貸人による第26条第1項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。


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2006年5月 9日 (火)

借地権は建物の朽廃で消滅するか

    建物の朽廃で借地権は消滅するので
           契約の更新を拒絶するといわれたが

 (問) 過去に2回借地の更新をしている。18年前に合意更新した借地契約の更新が迫っている。地主は建物が老朽化して朽廃状態なので契約の更新はしないから明渡しの準備をするよう言って来た。

 (答)  「借地借家法」 (1992年8月1日施行)には「朽廃」に関する規定は置かれなかった。そのため建物が朽廃しても借地権は消滅しない(同法3条)。朽廃は「滅失」の場合として処理され、借地権の消滅原因ではなくなった。

 しかし、「借地借家法」施行以前に設定された借地権に関しては、、「借地上の建物の朽廃に関する経過措置」(借地借家法附則5条)によって「借地法」の「朽廃」規定が適用され、法定の存続期間の満了前に建物が自然に老朽化して建物としての効用を喪失した状態になった時点で借地権は消滅する(借地法2条1項但書)。

 朽廃というのは、一般的にいう建物に生じた自然的腐蝕状態によって建物の社会的・経済的効用を失った場合をいう。火災・地震・台風・水害等外部からの力で倒壊した場合の「滅失」とは異なる概念である。改築するために建物を取壊す場合も滅失になる。建物が「滅失」しても勿論借地権は消滅しない。

 更新後に「朽廃」の規定が問題になるのは、借地権の存続期間が当事者の合意よるものではなく法律の定めによって確定したものの場合である。
 例えば、
 (1)継続使用による法定更新の場合(借地法6条1項)、
 (2)更新請求による更新の場合(同法4条1項)、
 (3)合意更新で期間を定めなかった場合(同法5条1項)、
 (4)期間を取決めたが法定期間(堅固建物は30年、その他の建物は20年)よりも短い期間を定めた場合
 以上(1)~(4)の法定存続期間中に建物が「朽廃」すると借地権は消滅する。

 しかし、「存続期間の約定のある借地権は、本条(借地法2条)1項により存続期間を法定された借地権とは違って、その存続中に借地上の建物が朽廃しても消滅しないのであり、約定の残存期間があれば、その間は存続する」(最高裁1962年7月19日判決、最高裁判所民事判例集10巻8号1566頁)。

 即ち、借地契約で鉄骨建物等の堅固建物の存続期間を30年以上、木造建物等の非堅固建物の場合は20年以上と定めた場合は、その期間満了前に建物が朽廃しても残存期間があれば、借地権は消滅しないということである。 

 借地法2条2項では、「契約で存続期間を定めた借地権は、2条1項の朽廃規定に拘らず、その期間の満了によって消滅する」と規定されている。

  法定存続期間以上の借地の存続期間を契約で定めている場合、相談者の借地契約は存続期間を20年と定めているので、借地上建物の朽廃があっても契約期間内であれば、借地権の消滅はありえない。従って、建物が朽廃しても再築は可能であり、地主は朽廃を理由に更新を拒絶することは出来ない。


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2006年3月26日 (日)

借地の更新で

更新を重ねた借地契約を合意解約し
                      新法適用の契約へ切替えられるのか

 (問) 借地借家法施行(平成4年8月1日)前に締結した借地契約が更新を迎える。地主に借地契約を期間満了により合意で一旦終了させ、改めて借地借家法(新法)に基づく契約にして欲しいと言われた。

 (答) 期間満了により一旦、契約を合意解約し、改めてその時点から新法による存続期間30年の借地契約を新規に締結することにより、新法が適用される契約内容にすることは可能である。

 借地人が新法施行前の借地権を捨てて新法に基づく契約に切替えることに合理的な理由があり、借地人の真意に基づいて行われたという客観的な事実があれば切替えは可能である。

 普通借地権は新法では堅固・非堅固建物という区別をせずに一律に借地権の存続期間を原則30年としているものの、最初の更新は20年で2回目以降は10年である。借地人は将来的には期間を短縮され、更新拒絶の主張、更新料請求の機会が増える。増改築の制限も強化され借地人にとって何の利点もない。

 このように新法は旧法に比較すると全体として貸主側に有利に、借主側に不利なものになっている。そのため貸主が既存の借地契約を新法の適用のある契約にしたいと考えるのは当然であろう。

 新法成立時の参議院附帯決議に「既存の借地関係には更新等の規定は適用されない旨及び特約で新法を適用させることは無効である旨を、マスコミその他あらゆる方法を通じて周知徹底させること。」とあるように、新法施行前に締結された既存の借地契約は新法施行後においても旧法が適用される(借地借家法附則4条但書及び6条)。

 そもそも、地主が新法に基づく借地契約に切替えることを借地人に要求する目的は、最終的には借地人の不利益になる契約内容に改悪するところに真の狙いがある。

 従って、地主がこのような不当な要求を押し付けようとしても借地人はこれに応じる必要はない。仮に借地人の無知に乗じ、或は地主の圧力に屈して借地人が意に反して嫌々従前の借地契約を形式上合意解約し、改めて新規に新法に基づく契約を締結した場合でも、合意解約に特段の合理的理由が存在せず、また借地人の真意に基づかないものであれば、旧法11条の強行規定により借地人に不利な特約として無効とされる。


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2006年3月21日 (火)

借地更新の条件は期間10年で、更新は今回限りという厳しい内容

   借地更新の条件は期間10年で、
           次回の更新は認めないとい内容


 (問) 最近借地契約を更新したが、契約内容に不安がある。更新は今回限りで借地期間は20年から10年に縮められ、次回の更新は認めないという契約である。10年後に借地を明渡さなければならないのか。

 (答) 質問者の契約は平成4年8月1日以前の契約であるから、借地借家法附則4条及び6条により、借地の存続期間及び更新については旧借地法の規定によることになる。
 
 先ず契約期間の10年について検討する。
 既に存在している借地契約を当事者の合意によって更新する場合に当事者が借地権の存続期間を約定することは自由である。

 だが、その最短期間は堅固な建物については30年、その他の建物は20年に制限されている(借地法5条2項)。それ以下の期間を定めても、例えば5年とか10年とかの期間で契約を結んでも、借地法5条2項の最短期間制限に抵触し、借地人に不利益な契約条件であるとして法律上効力がないものとして取扱われる(借地法11条)。

 その結果は「合意による契約の更新において借地権の法定存続期間よりも短い期間を定めても、その特約は無効であり、堅固な建物については30年、非堅固な建物については20年の存続期間が与えられる」(東京高裁1955年5月30日判決)ということになる。従来の判例は存続期間をこのように借地法5条2項の規定に拠った解釈をしていた。

 しかし最高裁判所は、「建物所有を目的にする土地の賃貸借契約において、借地法2条2項所定より短い期間を定めた場合には、右存続期間の約定は同法11条により定めがなかったものとみなされ、右賃貸借の存続期間は、借地法2条1項の本文によって定まる。」(最高裁1969年11月26日大法廷判決)という統一解釈を示した。

 借地法2条1項は、借地権の存続期間は堅固建物の所有を目的とするものについては60年、その他の建物所有を目的とするものについては30年とすると法定存続期間を定めている。

 従って、仮に当事者の合意で借地法2条2項の期間よりも短い存続期間を定めても、その約定は同法2条2項の規定に反する契約条件にして借地人に不利なもに該当し、同法11条の強行規定により、その定めは無効となり、当事者に合意がなかったものとして扱われ、非堅固建物を目的とした借地権であるので30年の存続期間が法定される。

 次に「次回は一切更新しない」という特約について検討する。
 借地法4条1項は、「借地権者が契約の更新を請求したときは、その借地上に建物がある場合に限って、従前の契約と同じ条件の借地権が設定されたものとみなす」と規定している。

 同じく借地法6条1項は、「借地権者が、借地権の消滅後土地使用を継続する場合においては、土地の所有者が遅滞なく異議をを述べないときは、前の契約と同一の条件をもって、更に借地権を設定したものとみなす」という継続使用による法定更新の規定を定めている。これらの規定に反して、借地人の更新請求権や法定更新制度を予め排除する特約は、借地人に不利な契約条項として借地法11条により無効とされ、その効力は認められない。

 結論は、特約自体が借地法の規定に違反し、合意がなかったものと取扱われるから10年後に借地を明渡す必要はない。借地期間は借地法5条によって30年の存続期間が認められる。また、30年後の更新も可能である。

 借地法
第2条 借地権の存続期間は石造、土造、煉瓦造又はこれに類する堅固な建物の所有を目的とするものについては60年、その他の建物の所有を目的とするものについては30年とする。但し建物がこの期間の満了前に朽廃したときは、借地権はこれによって消滅する。

2 契約で堅固な建物について30年以上、その他の建物について20年以上の存続期間を定めたときは、借地権は、前項の規定に拘らず、その期間の満了によって消滅する。

第11条 第2条、第4条~第8条の2、第9条の2(第9条の4でこれを準用する場合を含む)及び10条の規定に反する契約条件で、借地権者に不利なものはこれを定めなかったものとして扱う。


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2006年3月20日 (月)

借地契約の更新

地主との合意が無い場合でも法律の
                     規定によって借地契約は更新される

 (問) 借地契約の更新にはどのような種類があるのか。

 (答) 現在、借地契約の殆どが「借地借家法」(1992年8月1日)施行以前に締結されたものなので、旧借地法が適用される。 当事者間で合意して借地契約を更新することを合意更新 という。
 これに対して、このような合意が無い場合にも法律の規定によって、期間満了に際して借地人が更新を請求した場合や期間満了後も借地人が土地の使用を継続する場合に借地契約は更新される。前者を請求による更新 と言い、後者を,法定更新 と言う。

 請求による更新
 
借地権の存続期間が満了する場合に借地権者が契約の更新を請求したときは、その借地上に建物がある場合に限って、従前の契約と同じ条件の借地権が設定されたものとみなされる。但し地主が契約更新を拒む正当な理由があり、更新を拒む旨の異議を遅滞なく述べたときは契約は更新されない(借地法4条1項)。

 地主が借地契約の更新を拒絶しようとしても、借地上に建物が存在する限り、地主に正当事由がなければ、借地人の一方的な請求で契約は更新されてしまう。地主が異議を述べるにしても、単に更新に応じないという意思を表示しただけでは借地法で言う異議とは認められない。実際上、裁判で正当事由が認定されるのは極限られた場合だけである。

 更新請求の行使時期は法文上何らの制限も無いが満了の時期に接着した前後になされるべきである。更新請求は内容証明郵便が最善である。請求による更新が認められた場合、更新後の契約は従前の契約と同一の条件で更新されたものとみなされる。

 法定更新
 借地権の存続期間が満了した後、借地人が土地の使用を継続している場合に、地主が正当事由のある異議を述べない限り、請求による更新と同様に契約は従前の契約と同一の条件で地主の意思に拘り無く更新したものとみなされる(借地法6条1項)。
 尚、法定更新・請求による更新の存続期間は堅固建物の場合30年、それ以外は20年に法定されている。

 借地法6条1項では借地上に建物がなくても土地使用の継続による法定更新が認められている。この場合は、地主からの異議に正当事由は必要でない(6条2項)。
 


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2006年3月17日 (金)

店舗契約における営業委託契約と賃貸借契約

 店舗契約で借地借家法を回避する
       脱法的営業委託契約があるので注意

 (問) 6年前から建物所有者から厨房設備一式を居抜きで引継ぎ、テイクアウトの焼餃子屋を営業しているが、最近、期間が満了したから明渡してくれと言われている。契約は建物賃貸借ではなく、営業委託となっている。しかし、貸主は営業には全く関与していない。契約時から委託料は定額となっており、実質は建物賃貸借と思われるので、私の場合、借地借家法の適用を受けるのではないか。

 (答) 貸店舗では、契約内容によって借地借家法の保護を受けるかどうかで大きな差異がある。
①純然たる店舗賃貸借契約。使用者が場所使用の対価として賃料を支払う。これに対しては借地借家法が適用される。
経営或は営業委託契約。店舗使用者(借主)は、売上の一定割合を報酬として営業委託者(貸主)に支払う。この場合は、借地借家法の保護はなく、貸主はいつでも営業委託契約を解除し、借主に対し店舗からの立退きを請求出来る。使用契約が容易なため、借地借家法を回避するための方法として利用されている。

 今回の相談者と同様の問題で争われた裁判例で検討してみる。賃借人は契約書では経営委託契約になっているが、実質は建物賃貸借であると主張し、賃借権の確認を求めて提訴した。一審では賃借人が敗訴し、二審で逆転勝訴した。

 裁判所は「本件契約書では店舗経営委託契約とされているものの、そこでの店舗の経営は経営者の名義で、その計算と裁量により行われ、建物オーナーがその経営に関与することはなく、分配金、共益費の名義の金員は店舗経営による収益にかかわりなく定額であることからすると、本契約は、店舗経営委託契約の性格を持たず、かえって経営者に本件物件を内装、器具を飲食店のために自由に使用収益して、その収益の取得することを許し、その対価として一定額の金員を受領することとする建物賃貸借の性格を有することは明らかである」(大阪高裁1997年1月17日判決

 委託か賃貸借かの分かれ目は、経営権の実質が受託者(借主)にあって委託者(貸主)は一定額の金銭を受領するに過ぎないものであるか否かということにある。相談者の場合は、借地借家法の適用がある賃貸借と認められる可能性が高い。

  借地借家法の適用があるということになると、期間が満了したからといって当然には契約関係は終了しない。貸主に正当事由がなければ解約の申入れは出来ず、契約は自動的に法定更新される(同法26・27・28条)。従って相談者は営業を引続き行えることになる。


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