カテゴリー「明渡し・立退料」の記事

2009年7月14日 (火)

借家人全面勝利の判決 (京都地裁)

        借家明渡請求も
            賃料値上げ請求も棄却

 「土地転がし目的」で4度も家主が替わる
 2003年~2005年の約2年間に4度も家主(すべて不動産業者)が替わったが、土地転がしが目的だったことは明らかです。AさんとSさんは、家主が替わる度に明渡請求をされていました。2人は組合に加入・相談しつつその都度徹底的に拒否をしてきました。

 05年9月に底地買いした現在の家主は、嫌がらせ的に10倍もの賃料値上げ請求の調停を申立ててきました。到底応ずることはできないので調停は不調となり、07年に「建物明渡し・賃料増額請求」の裁判が家主である不動産業者によって提訴されました。2年弱の裁判が続き、09年5月20日にその判決が言い渡されました。

         主    文
 1 原告の請求をいずれも棄却する
 2 訴訟費用は原告の負担とする

 結果は、被告である借家人の完全勝利です。裁判の争点は、①更新拒絶等による賃貸借契約の終了、②賃料増額請求の当否の2点でした。京都地裁は、それぞれの争点に対して、次のような判決理由を述べています。

 ①原告(不動産業者)の主張には正当事由がない
 2人の住まいの古さや地域性の現状を詳細に触れた上で、「原告の主張する更新拒絶又は解約申入れの正当事由、すなわち、老朽化や建物の安全性、土地利用の非効率性は、被告らの賃借権を奪うことの不利益と比較して、いずれも肯定することができず、それを立退料により補完することも相当でないというべきである」と家主である不動産業者の主張を全面的に斥けています。

 ②賃料変動の経済的事情は認められない
 
「(賃料について)原告と被告らが直近に合意した日(05年11月)と07年5月(賃料増額請求の開始月)では、地価は横ばいないし下落の恐れがある状態で・・・・賃料水準に影響を与えるほどの経済事情の変動とは認めることはできない」とし、「原告の請求は、いずれも理由がない」と断じています。

 不動産業者(原告)は大阪高裁に控訴しました。闘いは今後も続きます。

京都借地借家人組合連合会新聞より


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2009年7月 3日 (金)

地上げ屋が明渡請求、交渉決裂で訴訟へ (神奈川)

 横浜市内中区本牧町で木造2階建一棟を家賃月額20万円で平成4年7月より16年間にわたって賃借してきたBさんは、地上げ業者から「当社で土地と家屋を買取ったので、6ヶ月以内明渡してほしい」と突然通告されました。

 Bさんは最寄の消費者センターに相談したところ神借連を紹介されました。組合に入会し、地上げ業者とBさんを交えて再三にわたり粘り強く交渉しましたが、業者は「今後訴訟に移行するので今までの経過に関しては全て白紙撤回する」と言ってきました。

 Bさんは、怯むことなく訴訟になっても受けて立つことを業者に明確に伝えました。

全国借地借家人新聞より


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2009年7月 1日 (水)

明渡し請求に退去拒否を通告 (静岡市)

 静岡市内のOさんは、昨年、退去予告期間(6ヶ月)を無視した追い出しに失敗した家主が、性懲りもなく業者を変えて「今度は6ヶ月前に予告した」と退去の請求をしてきました。

 家主から委任された建築業者Z社から「移転費用は、工事費の中で確保してあるので、補償額を申し出て」との提案がありましたが、Oさんは、「昨年の執拗な脅しまがいの追いたてで神経系統の病に冒され、完治していない」と退去を拒否。Z社は、それでも退去補償の概算を迫り、Oさんは転居の意思は無いとしつつ、一定額を示しました。

 Oさんは、「これからも此処に安心して住み続けたい。家主が法律的な手続きをとった場合受けて立つ用意がある」と決意を新たにしています。

全国借地借家人新聞より


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2009年6月24日 (水)

保証会社が強圧的な取立て 家賃の支払い1日遅れても違約金

 豊島区内に住む斉藤さんは母子家庭である。4年前に、現在住んでいるマンションの入居時の連帯保証人に父親を立てていた。2年前の更新時に、仲介した不動産会社が今後、連帯保証人は家主が指定した保証会社でなければ受け付けないと言われ、やむを得ずA保証会社と保証委託契約を結んだ。

 その後、家賃の支払いが毎月27日迄に間に合わなくなると保証会社の担当者が押しかけ、一時間もドアを叩いたり、ベルを鳴らし続けることや携帯の電話にかけてくるなどの強圧的な取立て行為を行うようになった。

 本来、このマンションはオートロックでドアまでは入ってくることが出来ないにも関わらず、侵入してきたために、やむを得ず警察に通報するなどの対抗措置を取った。しかしながら、仲介の不動産会社と家主は、近隣に迷惑をかけたとの理由で明渡しを請求してきた。

 この保証会社は、一日でも家賃の支払いが遅れると保証契約を打ち切り、改めて更新し、違約金として1万円を支払うという特約をたてに、賃料以外に1万円を取っていた。

 その結果、昨年1年間で12万円を払わされていた。まさに、今問題になっているスマイルサービスと同様な手口で違法行為を行っていたのである。斉藤さんは弁護士との相談の中でこのような悪質な行為に法的措置も含めた対処をすることにした。

東京借地借家人新聞より


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2009年6月23日 (火)

家賃を1日でも滞納したら明渡すとの念書を盾に管理会社が明渡し請求 (大阪)

 大阪府松原市内の賃貸マンションに平成11年4月から入居している武田康夫さんは、入居まもなく病気となり月額10万5000円の家賃の支払いが滞り、昨年末で80万円を滞納していました。

 管理会社からは、家賃を支払わないのであれば、明け渡せと再三再四にわたり督促を受けていました。武田さんは、体調が回復し滞納していた家賃も3月に完納することができました。

 ところが管理会社は、武田さんへ家賃を完納したが「今後は1日でも滞納したら明け渡すこと」との念書に署名捺印を求めてきました。

 妻と高校に通う2人の息子の一家4人の住む場所がなくなるとの不安から、管理会社の言いなりに「念書」を提出し、その上に、「今後の家賃支払いは銀行から自動引落しで支払うこと」を条件に一応契約の継続が認められました。

 武田さんは、銀行で自動引落し手続きなどをしたことがなく、3月末に支払うことになっていた4月分の家賃を4月6日に支払いましたが、管理会社は「念書」を盾に明け渡しを要求してきました。

 途方に暮れた武田さんは、「全国追い出し屋対策会議」の結成総会が報道されたことが記憶にあり、大阪弁護士会へ問い合わせたところ、大借連を紹介され、大借連事務所に相談。管理会社へは「家賃は支払い済みで明け渡しに応じる必要はない」と回答したところ、管理会社からは「賃貸借契約解約申込書」が届けられ、この「申込書」への署名捺印を求められるとともに、自動振り込み契約書と銀行通帳の写しを求めてきました。

 武田さんは、大借連事務所と相談の結果、「申込書」の提出を拒否するとともに、自動振り込み契約書と銀行通帳の写しを送ることにしました。

全国借地借家人新聞より


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2009年6月18日 (木)

生活保護受給で住まいを守る (大阪市西成区)

 大阪市西成区山王町3丁目の賃貸マンションを賃貸中のAさん老夫婦へ、家賃滞納を理由にして「直ぐに出て行け、家具類は処分する」と茨木市に住む家主から口頭で通知されました。

 途方に暮れたAさんは、西成借地借家人組合の藤原組合長を訪ねて相談。組合で事情を訊くと、Aさんは、ご主人とが寝たきりで奥さんの年金が生活の支えとなっており、家賃の支払が困難であることが明らかになりました。

 藤原組合長は、家主へ「事情は聞いた」と連絡し、家主からは「生活保護を受けるように勧めた。もう何年も前から家賃の不払が続いている。出ていって貰うしかない」と困り果てた様子を訴えています。

 そこで、組合は、Aさんに生活保護の申請を勧めたところ、生活保護制度のことについてまったく知らず、西成区役所へ地元の市会議員に同行を願い生活保護の申請手続を行いました。

 そして、家主へは、「過去の滞納分を免除し、今後の家賃は生活保護で支払うことにする」と連絡し、追い出しを思い止まって貰いました。

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2009年6月 5日 (金)

立退料家主提案の50%増で決着(家賃の約46か月分)

 大田区南馬込*丁目の木造2階建住宅を月額65,000円の家賃で賃借中のBさんの家主より、建物付借地を返還された地主(新家主)は平成10年4月に建物朽廃を理由に明渡を通告。

 家賃の約30か月分補償の提示を金子さんは、金額に不満はないが日当たりはよく最高の住環境を失いたくないと組合を通じて拒否。家主は直ちに10年以上も値上げがないと15,000円の家賃増額請求、これに7,000円を回答したが合意に至らず供託。

 一昨年末Bさんに転勤が持ち上がり、拒否した明渡を如何に復活させるか困惑の日々の中、昨年3月家主代理人の不動産業者が組合事務所に来て、当初の条件で明渡を請求してきた。

 交渉で組合役員は現在係争の内容は「家賃の増額」であることを指摘。家主は増額分家賃を全額返還し、混乱の責任を取り補償額50%増額(家賃の約46か月分)を提案。これに年末まで明渡を猶予しその間(7か月)使用料免除で合意した。

 Bさんは、組合員で良かったと転居先の千葉から2カ月毎に組合費を納めに来る。

東京借地借家人新聞より


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2009年6月 2日 (火)

明渡し調停、家賃50か月分で和解 

 足立区江北町で年金収入で生活する新藤さんは、ある日突然家主が変わった。借家の老朽化を理由に3ヵ月分の家賃はいらないから立退くように言われた。また、借地権を150万円で購入を迫られビックリした。家主に連絡するが「関係ない」と言われ途方にくれる。

 他団体の紹介で組合に相談に来る。業者に都営住宅転居するまで移転できないと家賃を供託する。6ヵ月後に家屋明渡しの調停の呼び出しを受ける。建物も築70年を過ぎていることから、約50か月分の家賃を条件に解約の和解に応じた。

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2009年6月 1日 (月)

借家の立退き交渉

 昨年9月組合事務所を尋ねて来たAさんは、居住する大田区久が原*丁目所在の木造瓦葺2階建共同住宅の建物の老朽化を理由に、建替えるからと明渡しを請求され、家主が不動産業者を連れて来て立退料5万円を提示し、印鑑を押すようにと強要されたが拒否して頑張っているということだった。

 約16・5平方メートルの部屋を月額4万円の家賃と管理費1000円で借りているが、1ヵ月程度の立退料では、移転は出来ないのは明らかにも関わらず、この現実を考慮せずに補償内容が他の賃借人に波及することをいやがる家主とこの家主に追随する業者の説得が課題だった。

 Aさんは組合に一任したと伝え、業者との交渉となった。業者を理解させて渋る家主の同意を得るのに5ヵ月を経過。この間の家主の厭味三昧に負けず、Aさんは充分納得出来る約25ヵ月分の補償内容で合意し、この程無事移転することが出来た。

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2009年5月27日 (水)

建物の老朽化で明渡し請求、補償と期日で希望どおりの合意

 大田区南蒲田*丁目所在、木造2階建共同店舗兼居宅の一角を賃借し、天ぷらの店を営んでいたKさん。高齢のため廃業してしばらくした、昨年秋ごろ建物の老朽化理由に家主は、建設業者を介して明渡し求めてきた。

 建物の相当古い現実を踏まえて交渉に応じたが、補償金は出し渋り明渡し期日は業者の都合での強制で進行せず、4月や6月の期日を押し付けられる状況となって、相談先が見つかり6月末入会。

 組合は業者に正当性がないにも係わらず、明渡しを求めるならばKさんの希望に応えることが望ましいと伝え、賃料の約30ヵ月分の補償金と明渡し期日は9月末との組合提示の条件で合意した。

 2日間という短時間の交渉で合意に至ったことは、業者が建設工事着工の遅れを懸念したことと、借家人に対するこれまでの対応を反省してのことだろうと思います。

 こんなに早く自分の希望が叶えられてうれしい。「組合はほんとに頼りになる。組合をもっと早く知っていればよかった」とKさんの一言。

東京借地借家人新聞より


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2009年5月23日 (土)

「追い出し屋」に賠償命令 閉め出し違法と認定 大阪簡裁

 追い出し屋」の被害に遭ったとして借り主の男性が不動産会社に慰謝料など140万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が22日、大阪簡裁であった。

 原告は派遣社員の男性、被告は不動産賃貸会社「木村産業」(大阪市北区)。

 家賃滞納を理由に無断でマンションの玄関ドアの鍵を2回交換され、閉め出され、居住権を侵害されたとして、大阪簡裁の篠田隆夫裁判官は鍵交換を不法行為と認定し、不動産会社に約65万円の支払いを命じた。

 判決理由で篠田隆夫裁判官は「鍵を交換して未払い賃料の支払いを促そうとした行為は、通常許される権利行使の範囲を著しく超えており、平穏に生活する権利を侵害するのは明らか」と指摘し、「マンションからの閉め出しは、不法行為に当たる」と述べた。

 判決は「法律無視の鍵交換は国民の住居の平穏や居住権を侵害する違法な行為として厳しく非難すべきだ」と批判し、不動産会社について「業務の一環として日常的に不法行為を繰り返していた」と認定した。

 また、不動産会社は「債務不履行(家賃滞納)を無視してまで居住権を認められない」と主張したが、不動産会社の主張は退けられた。

 判決によると、男性は2008年2月、賃料約4万3000円の賃貸住宅に入居。まもなく収入が減り、滞納した。同8月と10月に鍵を取り換えられ、計1か月以上閉め出された。その間、同市西成区内の簡易宿所などを転々とした。

  
  「追い出し屋」の被害は、敷金・礼金が不要な「ゼロゼロ物件」で多く、各地で訴訟に発展している。福岡簡裁は今年2月、家賃保証会社に慰謝料5万円の支払いを命じる判決を言い渡した。福岡簡裁判決は、午前0時以降も家賃の督促を続けた家賃保証会社の違法性を認定している。

  敷金・礼金なしで入居できる「ゼロゼロ物件」を巡り、強引に居室を明け渡しさせられた入居者が、賃貸住宅の入居者の滞納家賃を一時的に立て替える家賃保証会社を相手取り提訴する事例が相次いでいることから、国土交通省は家賃保証会社に一定の規制を設ける方針を固めた。

 連帯保証人が不要な物件に関与する家賃保証会社は、借主が保護される借地借家法に基づかない契約形態を取るケースが多い。

  部屋への立ち入りを認める特約を結ばせたり、消費者契約法の上限利率(延滞家賃に対し年14.6%)を超える違約金を請求する業者もある。ごく短期間の滞納で厳しい取り立てをしたり、無断で鍵を交換するなどして強引に居室の明け渡しを迫る「追い出し行為」も横行し、国土交通省によると、国民生活センターへの相談が06年度89件から08年度428件と急増している。

 国土交通省は、部屋への無断立ち入りや鍵の交換は「住居侵入罪や民法上の不法行為にあたる可能性がある」と判断。財務内容や契約件数などを考慮し、許可制▽登録制▽ガイドライン策定--のいずれかの方法で適正な家賃保証会社かどうかを選別できるようにする。


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2009年4月27日 (月)

地主が経済状況悪化で借地明け渡しの和解条件を拒否

 大田区蒲田本町2丁目所在の宅地約9坪賃借中の高橋さんと宅地約12坪賃借中の田中さんは、北海道旭川市に住む地主から自ら使用するからと、弁護士を介して借地権を買取りたいとの申し出による協議は整わず裁判となる。

 地主は東京に商売の拠点として事務所を開くとの願望が強く、売買代金を合意時に支払い、土地の引渡しは借地人らが死去後とし残金は相続人に支払うことで和解協議が進み、高橋・田中の両氏は家族らの了承を取り、裁判官の指導もあって協議が合意に至ったが、和解成立という当日になって地主は経済事情の悪化により、和解金の工面が困難と和解を拒否した。

 結局、裁判は地主の建物を収去して土地明渡せとの請求に、正当事由があるかどうかの判決となった。

 高橋さんには、昨年11月原告地主の本訴請求は理由がないからこれを棄却するとの判決が下った。1月には田中さんにも同様の判決が東京地裁から出る予定だ。

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2009年4月13日 (月)

脅迫的な立退き強要にどう対処すべきか

 (問) 家主の代が変わった際、物件が不動産業者に転売されました。間もなく、その不動産業者が借家の明渡を請求してきました。そのやり方がとても不安です。どう対処すればよいのでしょうか。


 (答) まず気持ちの上で絶対にまけないことです。「ここに住み続ける!」という確固たる気概をもって対処することです。物件を買った不動産業者は程度の差はあっても金儲けを企てているに違いないでしょう。借家人が住んでいることを承知で前の所有者から安く買い叩き、とにかく借家人を追い出して、「高度利用」を謀り大金をせしめようとしています。

 彼らも立退請求する正当事由がないことも知っているはずでです。だから執拗かつ脅迫的なやり方で怖がらせてくるのです。

 弁護士でない者が立退交渉することは弁護士法72条に違反し、宅建業法も業者の威圧行為を禁止しています。

 ただ、1人では心細いものです。最寄りの組合に相談して、必要な場合、警察にも訴え、組合や弁護士さんの協力も得て強要禁止の仮処分命令の申立をすることも有効です。

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2009年3月11日 (水)

借家を買取った不動産業者が明渡請求

 大田区大森西6丁目所在の木造二階建一棟37・26㎡築50年の建物を賃借中の前田さんが知人の組合員の紹介で入会したのが8月。隣接の共同住宅18・18㎡の部屋築37年を賃借の息子共に、契約解除明渡しを求められて悩んだ末に知人に相談したという。

 この建物を買い取った不動産業者が契約期間を無視して解除明渡し請求なので、組合は直ちに業者に撤回を申し入れた。築50年の建物の訴訟を考えると現状を維持することが得策とは成りえず、業者と条件交渉に入る。

 問題は築50年の老朽状況と家賃が低額であるために交渉は困難を極めた。しかし、相手は組合をよく知っている業者であったため合意内容は前田さん親子が満足できるものとなった。

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2009年3月 5日 (木)

契約4か月後に立ち退き請求される (横浜市港北区)

 横浜市港北区高田西で平成19年11月1日、2年間の条件で借家の賃貸借契約をむすんだKさんは、入居後わずか4か月後に家主の代理人の建設会社から明渡を請求されました。

 Kさんは、インターネットで組合の存在を知り入会した。組合の支援を得て、建設会社と話し合いえお重ねて来ました。

 その間家主側からの嫌がらせもありましたが、組合側は、基本的には2年間の期間で賃貸借契約が存続しており、明渡に応ずる意思のないことを、家主へ内容証明郵便で通知したところ、家主側の態度が一変し、Kさんの要求通り合意を勝ち取りました。

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2009年2月27日 (金)

地代の未払いと増改築違反を理由に明渡しの調停

 豊島区西巣鴨に借地して50年以上になる下田さんのところに、昨年末、亡くなった地主の相続人である長男から、相続人代表としての挨拶と地代の請求書が送られてきた。

 いつもどおりに指定された銀行に1年分の地代を送金しておいたところ、今年に入り、下田さんの土地を相続したという地主の長女の代理弁護士から契約書に記載されている当月払いの賃料が支払われていないのでただちに支払うよう内容証明が送付されてきた。

 不安を感じた下田さんは知り合いの司法書士に相談した。まかせなさいといわれ安心していたが、今度は9月にいきなり、相手弁護士から地代の未払いと増改築違反で明渡しの調停をおこされた。

 依頼した司法書士に確認したところ何もやっておらず、仰天していろいろ探したところ借地借家人組合があることを知り相談にきた。

 地代の支払い方法はすでに数年前より一年払いとなっていること、増改築も先代の承諾を得たことなど調停の回答書を作成し、簡易裁判所の調停に出向いた。証拠の領収書も添えて提出したところ、あっさりと地主の弁護士は明渡し問題を撤回し、借地権を売買してくれという話に方向転換した。

 下田さんは「組合に相談して、本当に助かりました。売ることも買うことも出来ないので、このような強引な地主に対抗して、引き続き組合と相談して頑張ります」と話した。

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2009年2月20日 (金)

50年以上前の増改築を無断との理由で家主が建物明渡訴訟 (京都)

 2007年9月、京都市伏見区で借家住まいの伊藤さんは、京都・伏見簡裁で勝利判決を勝ち取ったところ、家主から50年以上も前に行った家屋の改築を取り上げ、「無断増改築」との難癖をつけ、「契約解除・建物明渡請求」の裁判を京都地裁へ提訴されました。

 2008年8月7日、京都地裁は、借家人の伊藤さんへ「原告(家主)の請求を棄却する」という完全勝利の判決を下しました。

 判決理由では、「被告の生活(居住及び収入源である営業)を維持する最も基本的な条件である本件建物の賃貸借の継続を危険に陥れるような選択をするとは考えがたい・・・被告が(その後の明確に承諾を得てした小修繕)工事よりも大掛かりな工事である本件改築工事について、賃貸人の承諾を得なかったとは考えがたい」として、「被告は、本件改築工事を施行するにあたり、賃貸人の承諾を得たと認めるべきであるから、本件賃貸借契約に解除理由はなく、原告がした本件解除の意思表示は効果を有さない。」と契約解除の請求を棄却しました。

 その後、家主が不当にも大阪高裁へ控訴し、伊藤さんは引続き係争中になりました。

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2009年2月16日 (月)

家主が交代すると即時明渡調停を提起されたが

 足立区江北町に住む秋田さんは、昨年8月に借地人の家主が業者にかわった。

  早速、家屋の老朽化を理由に明渡しを要求されたが、少ない年金とパート収入で生計を維持しているため、他へ移転すると生活できない。地元の議員さんを介して組合に相談に来た。組合を通じて業者に対して「都営住宅に入居するまで明渡しはできない」と回答した。賃料の受領を拒否され、直ちに供託した。

 今年の2月、弁護士を介して調停に持ち込まれたが、秋田さんは病気で入院中のため出廷を拒否したところ、調停は不調となった。

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2009年2月12日 (木)

僅か2万円の立退料で明渡せとは

 荒川区西尾久7丁目の4階の1室を昭和55年8月から借りている。池田さんは昨年7月に突然家主から明渡してほしいと口頭で言われた。

 マンション全体で14部屋のところ、次々と入居者が立退き現在池田さんを含めて2世帯しか住んでいないので採算が取れないというのが明渡の理由だ。

 池田さんは、9月に入って引越しの条件を話し合うよう申し入れた。3日後家主から連絡が入り「ネット等で調べたが、池田さんは夫婦2人暮らしで家財道具はあまりない筈なので2万円位でどうですか」と回答が来た。池田さんは、馬鹿にするも甚だしいと一蹴した。

 その後今年の8月に内容証明が来た。「法定更新は認めない。建物が老朽化している」と前回と異なる理由をつけて来た。池田さんは他の1人も誘って組合に入会した。勝手な家主の考えで住まいが脅かされると徹底して権利を守り抜く決意でいる。
 

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2009年2月 4日 (水)

借家の明渡裁判で借家人が全面勝訴

 神奈川県相模原市で2階建の借家56平米を借り8年前から住んでいる藤島さんは、家主から突然昨年4月に明渡しの裁判を東京地裁に申立てられました。

 明渡しの理由は、①契約更新時に「借主に不利な契約条項」について改定を求めたことが信頼関係破壊に当たる、②更新料を家賃の半額しか払わないのは債務不履行である、③建物が老朽化しているので建替えて家主の長男に住まわせるという内容でした。

  あまりにも理不尽な明渡し裁判ですが受けて立つしかなく、さらに家主の代理人の弁護士は膨大な訴状や書面を提出し、藤島さんを困らせる目的だけでやっているとしか考えられない裁判だった。

 それでも藤島さんは、家族と生活を守るために、組合のアドバイスう受けながら弁護士をつけずに1年半にわたり全て答弁書や準備書面、証拠資料を自分で作成し裁判を闘いました。

 7月24日の判決は、「原告(家主)の請求はいずれも棄却する。」、「訴訟費用は原告の負担とする。」との内容で藤島さんの全面勝訴の判決が下りました。

 裁判所は②に関して、「更新料は不動産業者が半額でいいと合意したことは領収書でも証明されている事実から半額に減額合意されたもので更新料未払いの債務不履行には当らない」。

 ①の契約書の改定要求に対しては「そもそも、契約の更新時に契約内容を自らに有利に変更するよう求めることは、契約の一方の当事者である被告にとって当然の権利である」として、信頼関係の破壊に当るという家主の主張を退けています。

 また、③の老朽化についても「通常の使用に耐えないほど老朽化していると認めるに足りる証拠はない」、長男に住まわせたいとの原告の意向についても「被告による本件建物の現在の状況と比較すると、賃貸借の解約申入れの正当事由としては薄弱であることが否めない」として、家主の明渡し請求を否定しています。

 久しぶりに借家の正当事由をめぐる裁判で、こころがさわやかになる判決です。結局、家主は控訴せず、判決が確定し、藤島さんにようやく平穏な生活が戻ってきました。

全国借地借家人新聞より


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2009年1月23日 (金)

大東建託の騙しの明渡し交渉

 賃貸住宅の管理戸数全国NO1で30年一括借上を宣伝している大東建託だが、今年の2月に家主の代理人と名乗り突然調布市に住む鈴木さんに対し7月までに立退くように連絡してきた。

 同社の社員は引越しの費用は大会社なので心配いりませんと言葉巧みに明渡し承諾書にサインさせた。 ところが移転先も紹介せず、移転費用も提示してこない。

 困った鈴木さんは、組合に相談し、組合が交渉して7月中にやっと引越しができた。

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2009年1月15日 (木)

建物老朽化と耐震性を理由に新家主が明渡し請求

 練馬区桜台で、長屋形式の借家で、1階で電気店を営み2階で居室を賃借している和田さんは、この地で長年住み営業をしていた。当時の家主は親切で、安心して営業し生活をしていた。

 ところが、今年の2月に新しい家主が現れた。そして5月に「建物の老朽化と耐震性を理由に補修の努力を越える修繕が出来ず、賃貸人としての責任を全うできかねる」とし、来年の更新時に更新拒絶を通知してきた。

 この通知をみて心配で寝ることも出来なくなった和田さんは池袋の西武百貨店の相談会にやってきた。正当事由のない明渡し請求には応じる必要のないことを説明され、和田さん「今日から安心して寝ることができる」と語った。

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2009年1月14日 (水)

3年半に亘る借家の明渡交渉が解決した

 江戸川区東小岩の平屋建て借家に住む町田さん達3軒は3年前の05年3月5日に不動産屋から「戦後直ぐに建てた建物なので老朽が激しいため今回の契約期間満了で契約を解除するので更新しない」との文書が送りつけられ、5月11日に組合に入会した。

 当初1軒15万円の引越料が、10月には30万円になり、不動産屋は「そちらの要求額を提示してほしい」と言ってきたので、組合は金額を提示した。05年12月に不動産屋より1軒100万円の提示があり、その後も数回文書の交換と話し合いを重ねたが進展がないまま、業者がユアーズホームにかわった。

 2年後の07年8月、ユアーズホームは組合員宅に挨拶に来て「引越料の金額が決まった」と連絡。町田さんたちは「この件は全て組合に一任してある」と動じないため、同会社は組合に「話し合ってほしい」と電話を寄こした。何度か話し合いが行なわれ、2008年の4月22日組合事務所で「200万円でまとめてほしい」との条件を町田さん達も了承し、今年の10月末迄に明渡すことで合意。3年半近くかかったが、組合員の粘りが実る結果で終わった。

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2009年1月13日 (火)

レオパレス21が強引な明渡請求裁判

 レオパレス21は、全国各地で老朽借家の明渡しで家主の依頼を受け、明渡しを請求する事件を起こしている。ワンルームマンションを建設し、一括借上げで家賃等の管理を行なうというやり方で急成長しているが、明渡し請求でも強引なやり方で、組合にも相談がいくつか寄せられている。

 府中市片町に住む山田さんと内野さんは、40年以上今の借家に住んでいるが、2007年9月に家主とレオパレス21の社員が来て、ワンルームマンションを建てるので12月一杯で退去するよう求めてきた。山田さんたちにとって、あまりにも急な話で返答に困っていたところ、2008年5月に入り家主はレオパレスの専属弁護士を代理人に立て明渡しの裁判を東京地裁八王子支部に起こしてきた。

 裁判の日も迫り、途方にくれていた時、子どもさんがインターネットで組合を発見、5月に早速相談に来て組合に入会した。直ちに、組合の顧問弁護士と打合せを行い、2人で結束して裁判を闘うことになった。

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2009年1月10日 (土)

アパートの同居の契約者が退去し、75歳の高齢者が立退きを迫られる

 葛飾区に住む借家人の佐藤さんは、アパートの明渡しを請求され、どのように対処したらよいか悩んで組合に相談に来た。

 事情を聴くと、契約者であった方と同居していたが契約者が1年前に退去し、その後は佐藤さんが家賃を支払い続けている。

 弁護士に相談したところ、損害賠償を請求されるので明渡しに応じた方がよいと言われた。

 佐藤さんは、75歳と高齢で新たな契約をするための連帯保証人を頼める人もなく、アパートに居住し続けたいとの希望である。家賃は佐藤さん名義で提供し、家主はこれを受領している。従って、賃貸借契約は成立していると解される。

 組合では頑張るようアドバイスしている。今後は、居住の権利を守って頑張っていくことになるのだが、佐藤さんと組合の意思の疎通が大事になっている。

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2008年11月21日 (金)

借家立退料の算定基準を貸主の受ける経済的利益を基準に判断した事例

 判例紹介

 賃貸人が賃貸借自体を否定して値上げをしていなかった事情のある建物賃貸借(賃料月額1万5000円)について、賃貸人の得る客観的な経済的利益を立退きの算定基準として500万円の立退料提供によっても解約申入れについて正当事由がないとされた事例 (福岡地裁平成元年6月7日判決、判例タイムズ714号193頁以下)

 (事案)
 本件は、賃貸人Xが賃借人Yに対し、主位的に賃料不払による契約解除を理由とし、予備的には、正当事由として①建物の老朽化(築後約80年経過)と②自己使用の必要性(自宅が手狭で長女・三女がアパート住まい)、③信頼関係の破壊(無断増改築等ほか)、④立退料500万円の提供を主張した。
 iまた、Yらは他に移転することの愛着などを理由に本件建物の必要性を主張して争った事案。
 結果は賃貸人Xの敗訴。

 (判決要旨)
 「本件賃貸借契約の解除の正当事由の有無を判断するに、原告側の事情を衡量すれば、そのままでは明渡しの正当事由があるものとは認められないが、賃借期間が29年に及び建物の老朽化も進んでいること、当初の賃借人は死亡し、被告人らのうち本件建物に現在も居住しているのはY①1人のみであり、適正な補償があれば移転が可能であること、本件建物周辺は土地利用の高度化の進んだ地域であり、本件建物の存在によって地価の高い敷地の有効利用が著しく妨げられていることなどに照らし、原告(賃貸人)が十分な金銭的補償をすれば正当事由があると認めることができる」、  (t)

 「しかしながら、右の立退料の算定に当たっては、従前の賃料は原告が賃貸借自体を否定して値上げをしなかった結果であるから、これを算定の基礎とするのは妥当でなく、正当事由がやや弱い本件にあっては、本件の明渡し(その後の取壊し)によって土地の最有効利用が可能になるので、それによって得られる原告の客観的な経済的利益を主たる算定基準とすべきである」、 (a)

「・・・・・・を参酌すると正当事由を補完するために借家人に分与すべき経済的利益(立退料)は金700万円が相当である判断される」「原告は金500万円を上回る立退料を提供する意思を有しないので、右金額と引換給付判決をなすことはできなず、結局、原告の請求は理由がないことに帰する」。 (i)

 (寸評)
 判決の結論は実務の実状から見ると異なる判決もあり得るので、あまり参考にはならないが、いわゆる立退料の算定基準について賃借人側の受ける経済的利益を基準として判断している点は注目される。 (to)

 判決の考え方には恐らく貸主層から異論が出ると思われるが、有効利用を理由とした明渡しについては、それなりに合理性のある考え方であると思われる。  (1990.10.)

(東借連常任弁護団)

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2008年11月17日 (月)

借地契約の期間満了による将来の明渡請求が否定された事例

 判例紹介

 借地契約の期間満了による将来の明渡請求が否定された事例 (東京地裁平成6年8月29日判決、判例時報1534号74頁)

 (事実)
 地主は借地人に対し、普通建物所有を目的し、期間昭和51年9月16日から平成8年9月15日までの20年間の役で土地を賃借していたところ、借地契約の期間満了前に、右満了時における借地上建物の収去・土地明渡を求めた。

 地主は、その理由として借地人が期間満了の際に明渡請求に応じないおそれがあること、更新拒絶の正当事由として、住友不動産と共同して、高層ビル建築を計画していること、本件土地周辺は、高度利用が進行し高層ビル建築が港区の施策にも合致していること、立退料として金1億8000万円或は相当額を支払う用意があること、右事情が期間満了まで存続することを主張した。

 借地人は、本件土地賃貸借は、期間満了までには権利関係及び事実関係の変動が予測され、現時点で、期間満了時における正当事由の有無を判断することは不可能であると主張した。

 (争点)
 本件訴えが将来の給付の訴えの適格を有するか否かである。

 (判決要旨)
 裁判所は、
 「正当の事由は、期間満了時を判断基準として、右時点における地主と借地人の土地の利用を必要とする事情、借地に関する従前の経過および土地の利用状況、地主の申出た立退料その他諸般の事実関係を総合考慮して決定されるところ、その基礎となる事実関係は、地主及び借地人の個別的な事情の変化はもとより、社会の状況、経済の動向等によっても様々な変動が生じ得る極めて浮動的な性格のものであることは明らかであり、地主が申出た立退料の額の当否等をあらかじめ確定することも甚だ困難あるといわなければならない。本件においては、口頭弁論終結時(平成6年7月25日)から本件賃貸借契約の期間満了時(平成8年9月15日)まで約2年2か月近くを残しているのであり、期間満了時における本件明渡請求権の成否及びその内容についての事情の変動を現時点において明確に予測することは到底不可能である。よって、本件訴えの適格を有しないものというべきである。」と判示した。

 (短評)
 都心部における再開発がらみの事案では、明渡を求めるため、相当額の立退料を提供して正当事由を補強し、合わせて賃貸借期間が来ていない場合には、将来の明渡請求を求めるケースがままあるが、期間満了時まで相当期間がある場合、本来の正当事由制度を踏まえて訴えの利益がないとした本判決は当然とはいえ評価できる。  (1995.10)

(東借連常任弁護団)

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2008年10月29日 (水)

立退料の提供をしても借地更新拒絶の正当事由の充足はないとした事例

 判例紹介

 6000万円の立退料の提供をもっても、借地の更新拒絶の正当事由の充足はないとした事例 (東京地裁平成元年3月24日判決

 (事実)
 Yらの先々代は、大正10年頃から本件土地を訴外Aから建物所有の目的で賃借した。その後、先代は死亡し、その子であるYの先代が相続していたが、これまた死亡し、昭和27年5月にYらが本件土地の賃借権を共同相続していた。

 訴外Aも昭和45年10月に本件土地を訴外Bに譲渡したが、その翌年より同人とYらの間で地代増額をめぐって折合がつかず、Yらはそれ以降弁済供託を始めた。

 その後、訴外Bも昭和52年7月に本件土地をXに譲渡した。Xも地代の受領を拒絶し、Yらは弁済供託し、Yらの供託は通算して約16年もの長期に及んだ。

 Xの関係する訴外会社は、本件土地周辺の土地を次々と買収し、マンションを建て、本件周辺の土地上の建物はYらの木造平屋建建物を除き高層化するに至った。昭和62年11月、Xは自らの居住用も含めて訴外会社の経営の建直しを考えて、本件土地及び周辺地を利用してのマンションの建築を計画し、これらを正当事由として本件土地賃貸借契約の更新拒絶をなすに至った。

 Yらは本件土地35坪の上に大正10年頃築造(その後、一部修繕)した木造平屋建建物13坪を所有し、姉妹2人(いずれも無職、1人は病気で就労不能)で居住している。XはYらに訴訟中に本件土地上に新築するマンションの1階部分の一部と5000万円の提供を申出たが、Yらは拒否した。

 そこで、Xは正当事由の補充として6000万円の提供を申立、本件土地の明渡しを求めた事案である。

 (判旨)
 「正当事由が十分でない場合には立退き料の提供という負担付土地明渡す請求をすることによって更新拒絶に際しての正当事由の充足を保つことが可能となる場合があることは否定できないが、本件においては前判決の通り、本件土地使用の必要性について、原告と被告らの間にその度合において著しい格差があり、立退料の提供という事情のみをもってしては、右必要性の格差を到底埋めるものではないから、原告の右立退料の提供によって、本件更新拒絶の正当事由の充足がなされたものとは考えることができない」

 (寸評)
 本件は典型的な土地の有効利用を正面に掲げての正当事由をめぐる争いであった。現行法からすれば判決は当然の結論といえる。

 なお、Yらは東借連に結集する組合員である。  (1989.05)

(東借連常任弁護団)

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2008年10月28日 (火)

地主が土地の有効利用を問題にして起した明渡請求が棄却された事例

 判例紹介 

 地主が自己使用を理由に、土地の有効利用を問題にしつつ、5500万円の立退料を堤供してなした土地明渡請求が棄却された事例 (東京高裁昭和60年12月24日判決

 (事案)
 借地人は先代地主より杉並区に90坪の土地を借り受け、そこに建坪17坪の家屋を建てて昭和10年以来住み、現在は妻と2人で暮らしている明治36年生まれの老人(当時83歳)である。左脚骨髄炎による歩行困難に加え、酢年前に肺炎・胃潰瘍等を患い、現在も体調は一進一退であり、近くのアパートに住む四女の世話を受けている。

 地主は大正4年生まれの女性(当時71歳)であり、現在息子所有の神田錦町の7階ビルの7階2室に居住して、階下の二男夫婦の世話を受けている。視力が著しく衰えたうえ、騒音・悪臭等環境が悪いので、夫が昭和56年に死亡したのを契機に、本件借地の明渡を受け、そこに長男一家と自分のために住宅を2棟建て移転したいと考えた。

 そこで立退料5500万円若しくは近隣の土地40坪の所有権譲渡と引き換えに本件借地の明渡を求めてきた。

 (判旨)
 高等裁判所は、(事案)で紹介した事実をすべて認めたうえで借地人につき「年齢、健康状態及び日常生活を考えると、今にわかに右居住を移動することは、単なる経済的あるいは感情的理由からばかりでなく、社会的、客観的にみても著しく困難なことと認めざるを得ない。

  本件土地が老夫婦だけで居住するにはかなり広い土地であり、現況での利用効率が高くなく、また、地代が低額に抑えられているからと言って、右の状態にある借地人において本件土地の使用の継続を望むことが社会的、公益的に不合理であり、権利の濫用になるというのは相当ではない」とし、借地人の必要度が地主のそれを上回ると認定し「立退料又は代替土地の提供を申出ていることを考慮しても、正当事由があると認めることはできない」と判断して、地主の土地明渡請求を退けた。

 (短評)
 本件は東借連常任弁護団の2人の弁護士が担当した当組合員の事案である。

 地主(71歳)借地人(83歳)とも老齢であり、5500万円の立退料等やや思い切った条件を提示した地主の言い分は裁判所をそれなりに動かす恐れがあった。加えて90坪の借地に17坪の家屋を建ててそこに夫婦2人で住むという使用形態につき、地主側は土地の有効利用問題を前面に立てて裁判所を動かそうとした。

 このような事案につき、借地人の言い分を認め、地主の請求を退けた本判決の意義は大きいと考え、紹介する次第である。  (1986.09)

(東借連常任弁護団)

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2008年10月27日 (月)

土地有効利用のための建替えが明渡の正当事由とならなかった事例

 判例紹介

 賃貸建物を建替えてより有効な土地活用をすることは、立退正料の提供があっても正当事由とはならないとされた事例 東京地方裁判所平成元年7月28日判決

 (事案)
 賃借人は、昭和55年12月、本件建物の1階を賃借して鍼灸接骨院を営んでいたが、家主は、昭和62年12月、建物は終戦直後に建てられたもので老朽化しているので、日本橋茅場町の中心街に近く交通至便の地域に位置する本件場所においては、木造2階建て建物よりビルを建築した方が土地利用効果からみればはるかに有用であるので、立退料1000万円を提供するので明渡して欲しいと請求した。

 (判決要旨)
 原告と被告は、昭和57年12月、期間を2年とする更新契約をしたが、その契約書で、4年後以降に建物の建替えの必要性があることを被告が認諾したこと建替えに関する具体的条件については、その時点で改めて双方で打合わせることが特約された。

 原告(貸主)は借家住まいをし、自らの電気設備設計の事務所も賃借しており、被告から本件建物の明渡を受けた場合には、その後に新たにビルを建築して、これを居住及び仕事の事務所として利用したいとの希望を有している。もっとも、原告は、横浜市金沢区にも居宅を所有しており、現在は空家となっている。

 被告(借主)は、昭和55年10月、20年余の会社勤めを辞めて新たに鍼灸院を開業することを決断し、以後8年余の年月を経てようやく順調な経営が実現する段階に至っている。従って、この時点で右営業の場を他に移転し、改めて零からの出直しをするということは、経済的にも精神的にも被告にとっては極めて困難を伴う事柄である。

 昭和57年の本件賃貸借契約の更新の時から、被告は原告に対して、患者を離したくないので本件建物の建替えを行うのであれば新築建物へ再入居させて欲しいことを申入れている。

 以上のような原被告双方の事情を対比して考えると原告側における本件建物の明渡を求める必要性というのは、自らが使用する緊急の必要性があるあるというより、その敷地等のより有効な活用を図りたいという点にとどまるものと考えられるのに対し、被告側では、本件建物をその営業のための場として使用する極めて切実な必要性を有しているものと認めらる。この点からすれば、原告が被告に対して相当の金額の立退料を支払う意思を有していることを考慮に入れても、正当事由が備わっているとすることはできない。

 (説明)
 本件は当組合員さんの事案で東借連常任弁護団の2人の弁護士が担当した。
 土地の有効利用のための建替えを理由とする明渡請求訴訟が多い中で、有効利用のための建替えよりも、借家人の建物を必要とする事情の方が優先するとした判決である。家主は控訴しなかった。  (1989.12)

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2008年10月24日 (金)

借家人が老齢、病身等の事情を重くみて明渡しの正当事由がないとした事例

 判例紹介

 自己経営会社の従業員寮として自己使用の必要があるとしても、長年居住し強い愛着を抱いている老齢、病身の賃借人の犠牲において実現すべき強度の必要性は認められないとして、解約申入の正当事由がないとされた事例 東京高裁昭和60年12月12日判決、判例タイムズ603号)

 (事案)
 賃借人は昭和11年から建物の1階を借り、夫死後三男と同居している。年齢は77歳、厚生年金を受領して生活し、長年心臓病で時折発作もある。通院する病院は、借家から徒歩10分近くにあり、転居を嫌い、今後も長年住み慣れた本件借家で生活するのを強く望んでいる。

 本件建物は、昭和8年頃建築され、36年頃2階が増築された。

 現在の家主は、もともとの家主から、借家人がいるのを承知して、昭和40年7月、本件建物を買取って、その2階を自分が経営する水産物卸会社の従業員寮として使ってきた。

 その2年後、家主は本件建物を取壊して、4世帯用のアパートを新築し、自分の会社の従業員寮として使いたいと、明渡しの要求をしてきた。

 家主は、それに加えて、建物の古さを強調し、床、壁は下がり、敷居は水平でなく建具は閉まらず、人が乗れば音をたててへこむ部分があり、鴨居も下がっている部分がある。雨漏りも激しく、1階部分裏側の土台、柱も腐蝕してもろくなっていて、建物は全体的に歪んで危険な状態である、と主張した。

 さらに、60万円の立退料を支払うので正当事由を認めてくれと、裁判所に申立てたが、家主の、以上の請求は認められなかった。

 (判決要旨)
 「本件建物は、昭和36年2階にした際土台を入れ替えるなどの修理をしたのでしっかりしており、柱に傾斜、損傷はなく、床、敷居等が下がっていることもなく、居住としての使用にも支障がない。

 賃貸人は、借家人がいることを知りながら、自ら経営する会社の従業員寮として使用するために本件建物を買受けたのであり、賃借人は、老齢、病身であるが、長年本件建物に居住しこれに強い愛着を抱いており、本件賃貸部分以外は現在人が住んでおらず、一部損傷している部分があるとはいえ、本件建物はなお現状のまま居住の用に耐えるのであり、賃貸人が本件建物の明渡を受けて従業員寮として使用し得ないことにより不利益があるとしても、それはある程度予想されたことであって、賃借人の犠牲において従業員寮の新築計画を早期に実現すべき強度の必要性がある事情は認められないので、本件解約申入には正当事由がないものというべきである。

 また正当事由の補充として60万円又は裁判所の適当と認める立退料を支払う用意がある旨の申出をしたことが認められるが、右立退料の提供によって本件解約申入について正当事由が具備するに至るものと解することはできない。」

 (短評)
 裁判所のする正当事由の判断は微妙なところもあるが、本件の判断では借家人が老齢、病身で長く居住してきたことを重くみて、弱者保護の借家法の精神に沿っての判断をしている。家主が借家を途中から買取った者であったことも、借家人に有利な事情とされている。
 なお、この事件について、横浜地方裁判所も、借家人勝訴の判決をしている。 (1986.11)

(東借連常任弁護団)

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2008年10月23日 (木)

立退料の提供の申出があっても、正当事由が認められなかった事例

 判例紹介

 建物所有を目的とする土地賃貸借に関し、土地の経済的資本的利用の目的で更新拒絶し、合わせて立退料を提供する申出をしたにもかかわらず、正当事由が認められないとされた事例 東京地裁昭和61年12月26日判決、判例時報1252号73頁)

 (事案)
 地主は、土地賃貸借契約が昭和61年3月31日期限が満了するのに先立ち、昭和58年1月10日頃更新拒絶の意思表示をした。
 地主は、次のとおり正当事由を主張した。
一、地主の事情
1、地主の所有する土地のうち、商業地域内にあるのは本件土地を含む1筆の土地だけである。
2、地主は、右1筆の土地全体に高層ビルを建築する計画を有している。
3、地主は、立退料として、1500万円を支払う用意がある。

二、借地人の事情
1、本件土地上に建物を所有し、居宅として利用している。
2、本件建物は、木造で、築後60年を経過して、現在では既に老朽化している。
3、借地人は、昭和43年6月頃、昭和54年10月頃、本件建物につき地主に無断で改築・大修繕を行い、信頼関係を破壊した。

 これに対し、借地人は、右地主の土地所有の現況、右土地の利用計画は知らない。本件建物を居宅として利用していることは認め、建物の老朽化を争い、建物の修繕をしたこと認めるが改築・大修繕を行ったことは争った。

 さらに、地主は、本件土地を含む1筆の土地のほかに近隣に数百坪の土地を有し、地宅の敷地のほか、4ヶ所を駐車場等として使用していること、地主の子供たちが、既に全員成人しており、生活に窮するような事情にないこと、他方借地人は、本件建物以外に所有建物がなく、住む場所がないことを主張した。

 (判示)
 本件土地賃貸借契約の更新拒絶に正当事由があるか判断するに、本件建物は、築後60年以上経過した木造建物であって相当程度老朽化しており、他方本件土地が青梅街道に面した商業地域に位置しているので、土地の有効利用、地域開発の見地からすると、高層ビルを建築した方が望ましいが、地主は、近隣に数百坪に及ぶ土地を有し、単に経済的資本的利用の目的で本件建物の明渡しを求めているのである。他方借地人は、本件建物に50年以上居住し、80歳にもなる高齢者で、子供達の援助によって生活を維持している状態からすると、立退料の申出を考慮しても正当事由は充足されるものでない。

 (短評)
 土地の経済的資本的利用と居住目的との質的差を正しく評価した判決といえる。  (1988.02)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より


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2008年10月22日 (水)

立退料の提供があっても正当事由を補充し得ないとした事例 

 判例紹介

 営業用建物の賃貸借の更新拒絶につき、立退料の提供があってもその正当事由を補充し得ないとして賃貸人からの明渡請求を棄却した事例 東京地裁昭和61年7月22日判決、判例タイムズ641号151頁)

 (事案)
 Xは整形外科医であって、昭和47年から大田区内で開業していたが、医院が手狭になったため、昭和50年、訴外A社から、Yを含む10数名の賃借人のいる本件建物(4階建店舗・事務所・居宅)を買受け、賃貸人の地位を承継した。

 Yとの賃貸借契約は昭和54年6月、1階160㎡、期間を昭和57年12月までと改定した。ところが、Xは期間満了6ヶ月前、外来患者が増加するため本件建物を改築し病院として使用する必要があるとして契約の更新を拒絶した上、Yに対し明渡しを求める本訴を提起し、正当事由を補強するため、600万円を支払うとした。

 これに対し、Yは、昭和37年以来、本件建物で医薬品等の販売業を営んでおり、年商2億円、顧客数5000名余、従業員10名であり、地域に深く根差した活動が好評を得て、顧客数も増加している現状にあって、廃業することはできず、他に転出する建物もないから、Xの更新拒絶には正当事由がないと反論した。

 (判示)
 「Xの診療所の患者が年々増加するとしても、診療所の存続ないし経営に支障があるとは認められず、Yに賃貸している建物部分を診療室に使用しなければ、その存在に重大な支障が生ずるとも認められない。Xは3年前にYとの間で賃貸借契約を改定した際、将来多数の入院患者を収容しうる病院に改装することが必要となる事情も当然予想しえた筈であったにもかかわらず、あえてYとの間で現状のように賃貸借契約を改定したのであるから、2年余にして右を理由に更新を拒絶するのは相当でないこと、身体の不事由な高齢者や車椅子使用者が2階の診療室に昇り降りするのは不便だが、階段をスロープにするとか、エレベーターを設置すること右不便の解消も不可能ではない」。

 「一方、Yは本件賃借店舗の他に4店舗を有するに至っているが右賃借店舗は医薬品の販売で主たる地位を占める本店であり収益率も最も高いこと、Yが20年以上も継続してきた右店舗を立退いても他に適当な店舗がなく、廃業となれば莫大な損害を受けること」などを総合考慮し正当事由をを認めず「立退料の提供をもってしても右正当事由を補完しうるものではない」とし、Xの請求を棄却した。

 (寸評)
 正当事由の判断に当り、安昜に金銭による補完を認めず、双方の事情を総合考慮した判決として評価し得る。   (1987.10)

(東借連常任弁護団)

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2008年10月14日 (火)

更地価格の約83%の立退料の提供があっても土地明渡が認められなかった事例

 判例紹介

 借地の期間満了に伴う正当事由として自己使用のためのビル建築計画等・更地価格の約83%に相当する立退料の提供があったとしても、木造建物収去土地明渡請求が認められなかった事例 (平成4年6月24日東京高裁判決、判例タイムズ807号239頁以下)

 (事案)
 昭和23年8月頃に木造2階建として建築された都心の中央区銀座すずらん通りの商業地域にある老朽化した建物の明渡請求事件。

 借地人Yは家内営業で靴屋をしているが、従業員はなくYの妻と子で経営している。Yは本件借地の外に都内に53㎡の駐車場を所有。

 昭和43年当時Yと当時の地主との間で昭和52年末までに本件土地上にビルを建築しないときはYが鉄骨耐火構造の建物を新築することを承諾する約定があったが、地主がビルを新築しなかったところ、Yも10年以上も堅固建物の建築が可能であるにも拘らず新築しなかった。

 一審判決は立退き料4億5000万円の支払を条件として地主の請求を認めた。これに対しYは控訴し逆転勝訴した事件である。

 (判旨)
 「被控訴人(地主)は本件土地上に本社ビルを建築して事務所を設ける意向であることが認められるから、被控訴人の自己使用の必要性は一応肯首することができ、また本件建物は改築後既に30年余りを経過した木造建物である上、本件土地は銀座の商業地域、防火地域にあるから、土地の有効利用・地域開発の点からも、本件建物に代えて被控訴人の計画するような耐火性のあるビルを建てることは、地域性に適うものと言えないこともない。しかし被控訴人は本件土地上に借地権が設定され、建物が存在することを認識しながら本件土地を取得したものと見られ、事務所ビルの建築の計画も偶々代物弁済により本件土地を取得したものであり、前示のようなビルの規模も被控訴人の本社及び関連会社の事務所として使用する上で適当かどうか疑問が残る。・・・・・・そうすると、被控訴人の本件土地使用の必要性はそれ程強いものであるとは認め難い」

 「控訴人(借地人)の本件土地使用の必要性は極めて強いものがあり、・・・・・・被控訴人は4億5000万円という高額の立退料提供の申出でをしており、右金額は本件土地の更地価格とされる5億5400万円の約83%余りに当たるけれども、右金額ではほぼ同じ条件の借地を求め店舗も開店することは困難であるに前示の被控訴人の本件土地取得の経緯を考えると、右金額の立退料提供の申出では正当事由が補完されるものとは認め難く結局控訴人の本件土地の継続に対し被控訴人が述べた異議について正当事由が充足されるものとは言えない。」

 (寸評)
 本件は故植木東借連会長(弁護士)が控訴人(借地人)代理となって争われ、一審の判断を覆し逆転勝訴したものである。一審と結論を異にした理由は、地主の土地取得の経緯について感ずる所があったものと推される。正当事由の限界を示す事例として極めて注目されるので紹介した。  1993.08

(東借連常任弁護団)

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2008年10月10日 (金)

損害賠償請求(借家の明渡)

 判例紹介

 原告が本件貸室を明け渡したのは被告の強制・強要によるものか,原告の意思に基づくものかが争われた事案

平成18年03月24日東京簡易裁判所
東京簡易裁判所平成17年(ハ)第12242号損害賠償請求事件

              判     決
              主     文

原告の請求を棄却する。
2訴訟費用は原告の負担とする。

               事実及び理由

 第1請求
 被告は,原告に対し,140万円を支払え。

 第2 事案の概要
 1 請求原因の要旨

 (1)  原告は,平成16年12月30日,被告から,東京都中野区ab-c-de号室(以下「本件貸室」という。)を,賃料月額5万2500円,管理費月額2500円,毎月末日限り翌月分を支払うとの約定で賃借(以下「本件賃貸借契約」という。)し,居住していた。

 (2)  原告は,平成17年5月迄の賃料等はきちんと納めていたが,平成17年6月に入り賃料の支払いが1週間遅れていたものの,その理由については5月20日ころには被告に話し,理解してくれていたと思っていたところ,同年6月7日の早朝,突然,被告が本件貸室に来て,鍵と契約書を渡せ,直ちに荷物を整理して出て行けと怒鳴り散らした。

 (3)  原告は,被告の余りにも激しい態度に抵抗ができず,夜の10時ころまで荷物の整理にあたったが,今後の生活に不安を抱き,被告方を訪ね,部屋を貸して欲しいと申し出たが,被告の妻から,被告は寝てしまった旨言われ,会わせてもらえないまま,本件貸室から追い出された。

 (4)  原告は,前記強制的に被告から追い出されたことによる債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償として,下記アからオまでの合計140万円の支払を被告に求める。

  ア 精神的苦痛に対する慰謝料として5万円

  イ 路上生活を余儀なくされ,夜の寒さによる風邪と疲れらから内臓疾患となったことの治療費として5万円

  ウ 路上生活において,深夜両足を極度に冷やしたため末梢神経を痛めたための治療費として10万円
  エ 追い出しにより,テレビ,冷蔵庫,電子レンジ,衣類などの生活用物品を失った被害弁償として10万円,パソコン,製図用具,専門書籍などの仕事用物品を失ったことによる被害弁償として10万円

  オ 路上生活に陥り,体調をくずし,予定していた仕事にも赴くことができなかったことによる生活保障として25万円の4ヶ月分100万円

 2 被告の主張の要旨

 平成17年4月30日,原告から,本件賃貸借契約を解約し,5月10日に明渡すとの解約通知を受け,5月分の賃料と敷金を相殺し,残りの管理費2500円だけを支払うとの合意に基づき管理費2500円を支払ってもらった。

 本件賃貸借契約は,前記合意に基づき平成17年5月末日をもって合意解約により終了したが,原告がその後も立ち退かないので,6月7日に被告に対し明け渡すよう言いに行ったが,強制的なことは何もしていない。解約及び移転は,原告の意思に基づきなされたものである。なお,被告は現在88歳の病気持ちで怒鳴り散らすといったようなことができる状態にない。

 3 争点
 原告が本件貸室を明け渡したのは被告の強制・強要によるものか,原告の意思に基づくものか。

 第3 当裁判所の判断

 1 証拠(乙第1号証ないし乙第3号証,原告本人,被告本人)及び弁論の全趣旨によれば次の事実を認めることができる。

 (1)  原告は,平成16年12月,被告との間で賃貸借契約を締結し,本件貸室に居住していたが,勤めていた会社からAでの現場監督の仕事を指示されたことから,本件貸室から引っ越すこととし,平成17年4月30日,本件賃貸借契約を解約し,翌月5月10日には明け渡す旨の解約通知書を自ら作成し,被告に提出した。

 (2)  これを受けて被告は,同年5月2日ころ,5月分の賃料5万2500円については預入敷金5万2500円と相殺するので,5月分の管理費2500円だけは支払ってくれと原告に申し出たところ,原告は,これを承諾し5月分管理費2500円を支払った。

 (3)  その後,原告は,明渡予定日の5月10日を前にして,勤め先から,現場監督の仕事が延期になるとの連絡を受けたことから,連絡を受ける都度,移転が5日延びる,10日延びるということを被告に伝え,被告の了解を受けたが,5月20日ころになって勤め先から,さらに仕事が延びそうだと言われたことから,5月24日ころ,さらに明け渡しが延びることを被告に伝えた。

 (4)  その後同年6月7日,朝7時過ぎころ,被告が原告方を訪ね,原告に対し,鍵と契約書を返還して直ぐに出て行くようにと求めた。これに対し,原告は,その後も住んでいていいと被告は言ったではないかとか,6月分家賃は6月10日には払うと言ったではないか等と言ったのに対し,被告は,お金を払わずに居座ろうとしているのではないか等とのやり取りが30分程あった後,被告は,原告から鍵の返還を受け,片付けが済んだら連絡するよう原告に告げて帰ったが,その間互いに手をあげるようなことは全くなく,また,被告が荷物の搬出に着手する態度を示したこともなかった。
  なお,前記6月7日当時,原告は、○○歳,被告は××歳であった。

 (5)  その後,原告は,すぐ出ることになったことについて悩んでいたが,お昼頃から明け渡しのための片付けを始めたが,荷物の処分等で時間がかかったことから,夕方6時ころ,被告方を訪れ,片付けにもう少しかかる旨告げた後,部屋に戻り片付けを続け,夜10時頃にはこれを終えた。

 (6)  その後,原告は,片付けが済んだことを伝えるために被告方を訪れ,応対した被告の妻に,片付けが済んだことを伝えるともに,もう一度貸してもらうことをお願いしようと考え,被告との面会を求めたが,被告の妻から被告はもう寝ていると言われ応じる態度を示さなかったことから,被告に出てくるよう大きな声をあげたところ,被告の妻は,どうしよう,どうしようと言ってこれに動揺し,被告も恐怖心を覚え出て行かなかった。

 2 以上の認定したところによれば,被告は,平成17年4月30日,原告から明渡し日を5月10日とする旨の解約通知を受けた後,5月2日ころには,原告との間で,5月分の賃料を敷金をもって充当することで本件賃貸借契約を5月末をもって終了することで当事者間において合意していたものと認められるところ,原告は,その後,仕事が延びることになったとの連絡を受ける都度,被告に対し明渡日が延びることを伝えていたことが認められる。

  この点原告は,明け渡しの時期が2,3ヶ月延びることを伝え被告も了解していた旨供述するが,前記認定したところと弁論の全趣旨を総合すれば,被告は,原告から仕事の都合で明け渡し日が5日延びる,10日延びるということを聞かされ,さらに5月24日ころにも延びるという話を聞かされたことから,5月末を若干過ぎることになることについては,やむを得ないものと考えていたことがうかがえるものの,原告が主張するような2,3か月の猶予期間を与えたとか,6月以後の賃料の支払いを合意し,新ためて原告との間で賃貸借契約を締結したことを示す証拠はなく,この点の原告の主張は採用しえない。

 3 原告は,6月7日早朝,突然,被告が原告方を訪れ,直ぐに出るよう怒鳴り散らし,原告の言い分に一切耳を貸さず無理矢理追い出された旨供述する。確かに,被告が同日早朝,原告方を訪れ,直ぐに荷物を片付けて出るよう強い口調で述べたことはうかがえるが,前記認定した事実のほか,弁論の全趣旨を総合すれば,被告は,原告からの解約通知を受け,5月分賃料は既に敷金をもって充当精算していたところ,原告から仕事の都合で明渡日が延びるとの連絡を何回か受け,5月末日を過ぎることについてはやむを得ないものと考えていたものの,その後約1週間たっても明け渡しがなかったことから6月7日に至り原告方を訪れ,原告に対し,強い口調で荷物を片付けて出るよう求めたことが認められるが,原告は,その後鍵を被告に渡した後,昼ころから片付けを始め,夕方6時ころには,片付けはもう少しかかることを被告方を訪れ告げていること,その後,片付けを終え,夜10時頃には,片付けが終わったことを告げるために被告方を訪れていることからしても,結局,原告は,6月7日においてその後の居住継続の猶予を願い出たものの,被告に応じてもらえなかったことから,自ら荷物を片付け明け渡したもので,被告において原告の占有を侵害したとか,それに値する程の強要行為があったとまでは認められない。

 4 以上によれば,その余の点を判断するまでもなく原告の請求は理由がないので,主文のとおり判決する。

    東京簡易裁判所民事第2室

             裁判官  福本 智公


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2008年10月 8日 (水)

建物明渡等請求事件(広島地裁)

 判例紹介

平成20年2月21日  広島地方裁判所福山支部判決言渡

同日原本領収 裁判所書記官

平成19年(ワ)第69号 建物明渡等請求事件

口頭弁論終結日 平成19年12月20日

                                         判              決
                                 主              文

1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。

                                         事 実 及 び 理 由

第1 請求の趣旨
 1 被告は,原告に対し,293万1248円を支払え。
 2 訴訟費用は被告の負担とする。
 3 仮執行宣言。

第2 事案の概要等
 1 事案の概要
  本件は,別紙目録記載の建物(以下, 「本件建物」という。 )及び駐車場(以下, 「本件駐車場」という 。 )を所有して管理する原告が,賃貸借契約は賃料不払いを理由に解除されたとして,本件建物及び駐車場の賃借人の連帯保証人である被告に対し,平成9年1月分以降(約10年分)の未払賃料及び賃料相当損害金として約300万円の支払いを求めた事案である。

 2 争いのない事実及び証拠によって認められる事実(証拠によって認定した事実については,末尾に証拠を掲載した )。

(1) 原告は,昭和57年10月26日,訴外Aに対し,本件建物を次の約定で賃貸した。
ア 使用目的     居住用
イ 賃 料        1か月2万2000円
ウ 賃借人が賃料を3月以上滞納したときは,原告は本件建物の明渡しを請求できる。
エ 本契約は,公営住宅法,同法施行令,福山市営住宅等条例及び条例施行規則による。

(2) 被告は,昭和57年10月26日,訴外Aが原告に対して負担する本件賃貸借契約上の債務を保証人として連帯して履行することを約した。

(3) 上記賃料は,平成5年11月1日から2万6600円,平成10年4月1日から3万6000円,平成11年4月1日から3万5500円,平成12年4月1日から2万5300円 ,平成13年4月1日から3万3800円,平成14年4月1日から3万3300円,平成15年4月1日から3万2800円,平成16年4月1日から3万2400円,平成16年5月1日から3万5200円(駐車場使用料を含む。) ,平成17年4月1日から3万5100円(駐車場使用料を含む。) ,平成17年12月1日から1万9900円(駐車場使用料を含む。 )に改定された(甲3,4)。

(4) 原告は,平成16年5月1日,訴外Aに対し,本件駐車場を使用料1ヶ月2800円,期間は訴外Aが本件建物の賃借資格を有するまでの約定で使用許可した(甲4,6)。

(5) 訴外Aは 平成9年1月分から賃料の支払を滞納するようになったため,原告は,訴外Aに対し,平成18年10月25日到達の内容証明郵便で,未払賃料合計275万6000円を同書到達後5日以内に支払うよう,もし支払わなかったときは本件賃貸借契約を解除する旨の意思表示をしたが,訴外Aはこれを支払わなかったため,本件賃貸借契約は平成18年10月31日に終了した(甲2の1及び2,3)。

(6) 原告は,被告に対し,平成9年1月以降,訴外Aの賃料債務不履行の事実を伝えたり連帯保証債務履行の請求をすることを一切行わずに放置していたが,平成18年10月11日に至って初めて,訴外Aの未払賃料合計275万6000円を10日以内に連帯保証人として支払うよう催告し,更に,同年同月24日,翌日到達の内容証明郵便で,訴外Aの未払賃料合計275万6000円を同書到達後5日以内に連帯保証人として支払うよう催告した(甲9の1及び2,13,乙1,2)。

(7) 訴外Aは,平成19年7月25日,強制執行により本件建物を明け渡した(弁論の全趣旨 。)

3 争点及び当事者の主張
 (争点)本件未払賃料等を連帯保証人である被告に請求することの当否。
 (被告の主張)
(1) 原告は,平成9年1月分から賃料の不払いがあったとして,本件請求をしているが,福山市営住宅等条例41条(2)記載によれば,家賃を3ヶ月以上滞納したときは「当該入居者に対し,当該市営住宅等の明渡しを請求することができる」と規定している。

 したがって,本件建物賃貸借契約の連帯保証人の保証の本旨は3ヶ月を限度として保証しているものであって,3ヶ月分の請求ならともかく,入居者の賃料不払いを無制限に保証しているものではない。
(2) 本件請求は,地方自治体の公的義務に違背し,権利の濫用として無効である。

(3) 原告は,被告に対しては平成5年12月20日まで合計8回にわたって催告したと主張する。
 したがって,被告の連帯保証債務は,原告の主張する上記最終請求日から満5年をもって時効により消滅しているものであるところ,被告は,本訴において時効の利益を援用する。

(原告の主張)
(1) 被告の保証は3ヶ月分を限度としたものではない。
 原告が, 被告に対し, 途中から催告を差し控えていたことは事実であるが,公営住宅であることからできるだけ法的手続を留保していたとしても,訴外Aに対しては延滞賃料の支払いを厳しく催告し続けており,また,被告は訴外Aの義理の叔父であって意思の疎通も十分されていることなどを考えた場合には,仮に原告の被告に対する本件請求が地方自治体の管理業務として問題があるとしても,保証責任の期間が制限されるものではない。

(2) ア 原告は,市営住宅の明渡請求訴訟の提起等,家賃滞納整理については福山市営住宅使用料(家賃)滞納整理要綱に基づいて事務処理している。

(ア) 1ヶ月以上の滞納者に対しては,まず督促状を送付する。

(イ) 3ヶ月以上の滞納者に対しては, 「さきに督促状を送付しましたが,いまだ未納ですので表記の指定納入期限までに完納してください。 もし,期限までに完納できない事情がある場合は,住宅課へご相談ください。
なお,住宅・駐車場使用料の未納については連帯保証人に対しても連絡済です。 」の文書を送付する。

(ウ) 5ヶ月以上の滞納者に対しては, 「あなたの滞納については再三督促しているにもかかわらず表記の指定納入期限までに完納してください。なお,連帯保証人に対しても催告書を送付しております (予告)。
期限までに納入されない場合は裁判所に住宅明け渡しの訴えを行うことになります。 」の文書を送付する。

(エ) 6ヶ月以上の滞納者で家賃を支払う意思のないものに対しては,法的措置を行う旨記載した文書を送付し,警告するとともに臨戸訪問等により本人と接触し,納付指導を行う。

(オ) 市営住宅明け渡し等請求訴訟の訴え提起前日までの間に,滞納家賃の全額又は,3分の2以上の額を納付し,かつ当該納付すべき残額について分割納付誓約書を申し出た場合は,提訴しないことができるものと
する。ただし,分割納付誓約の内容は,滞納が1年以内に整理できるものとする。

イ 原告は,家賃滞納者に対しては,これまで上記要綱に基づいて事務処理していたが,市営住宅が住宅に困窮する低所得者に対し低廉な家賃で賃貸し,市民生活の安定と社会福祉増進を目的としていることから,実務的には明け渡し等請求訴訟の訴えは,滞納額とこれについて賃借人が原告の納付指導に基づいて納付誓約書を差し入れるなど誠実に対応されているかどうかによって慎重に処理していた。

ウ 連帯保証人である被告らに対して原告が催告を控えるようになったのは,訴外Aが,平成5年10月に納付誓約書を提出し,誓約書どおり分納を履行していたにもかかわらず,原告担当者が,平成5年12月20日,過って被告に催告状を出したため,訴外Aが,平成6年1月,原告担当課に来て強く抗議したため,原告は,被告ら保証人にお詫びの電話をするとともに,その後は訴外Aに賃料滞納があっても被告ら保証人に対する催告を控えるようになったものである。

(3) 主たる債務者について時効中断の事由が生じたときは,保証債務の付随性に基づき,保証人にもその効力が及ぶところ,訴外Aは,原告に対し,
① 平成11年8月25日,未払賃料債務53万7700円を承認し,
② 平成12年8月14日,未払賃料債務59万4100円を承認し,
③ 平成14年8月14日,未払賃料債務132万6300円を承認し,
④ 平成17年9月5日,未払賃料債務253万6100円を承認し,
それぞれ分割して完納する旨を誓約しているので,消滅時効は上記各承認により中断している。

 消滅時効完成後の承認が時効利益の放棄となり,主たる債務者がなした時効の利益の放棄は保証人に対して効力を生じないと解されるとしても,上記各承認は,時効完成後の承認ではないから,保証人である被告に効力が生じるものであり,被告の消滅時効の主張は理由がない。

第3 当裁判所の判断


 1 上記認定事実に加えて 証拠 (甲1, 5, 7, 8, 10ないし17, 証人B,証人C)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。

(1) 本件市営住宅は,公営住宅法にいう公営住宅に該当するものであるところ,公営住宅法は,国及び地方公共団体が協力して,健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備し,これを住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸し,又は転貸することにより,国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とするものであって(法1条) ,この法律によって整備された公営住宅の使用関係については,管理に関する規定を設け,家賃の決定,家賃の変更,家賃の徴収猶予,修繕義務,入居者の募集方法,入居者資格,入居者の選考,入居者の保管義務,明渡し等について規定し(法第3章) ,また,法の委任(法47条)に基づいて制定された条例も,使用許可,使用申込,申込者の資格,使用者選考,使用手続,使用料の決定,使用料の変更,使用料の徴収,明渡し等について具体的な定めをしているところである。

 そして,福山市営住宅等条例(甲5,8)の規定によれば,市営住宅等の入居決定者は,決定のあった日から10日以内に,入居決定者と同程度以上の収入を有する者で,市長が適当と認める連帯保証人2人の連署する請書を提出することが要求されている。

(2) 被告は,昭和57年10月26日,訴外Aが原告から本件建物を賃借するに際し,福山市営住宅等条例の上記規定に基づき,訴外Aの実父である訴外亡D(平成13年 a月 b日死亡)とともに訴外Aの連帯保証人となることを承諾し,市営住宅使用請書(甲1)の連帯保証人欄に署名・押印した。

なお,被告は,訴外Aの実母の姉の配偶者であり,すなわち,訴外Aの義理の伯父の関係にあるが,訴外Aの生活状況については必ずしも十分に把握しておらず,訴外Aが平成5年に破産宣告を受けたことすら,最近まで知らずにいた状況であった。

(3) 訴外Aは,平成3年頃から本件建物の賃料を滞納するようになった。

(3) 原告には,市営住宅使用料(家賃)の納付の円滑化を図るため,昭和64年4月1日から施行された「福山市営住宅使用料(家賃)滞納整理要綱」(甲16)が存在し,納期限までに家賃を納付しない市営住宅の入居者やその連帯保証人に対する督促や明渡請求訴訟の提起等,家賃滞納整理については,上記要綱に基づいて事務処理することとされていたものであるところ,上記要綱には以下の事項が定められていた。

ア 家賃の滞納が発生した場合には,滞納者に対し事実の認識と納付指導のため,つぎの文書を送付する。
 (ア) 1ヶ月以上の滞納者に対しては, まず督促状 (様式1) を送付する。

 (イ) 3ヶ月以上の滞納者に対しては, 「さきに督促状を送付しましたが,いまだ未納ですので表記の指定納入期限までに完納してください。 もし,期限までに完納できない事情がある場合は住宅課へご相談ください。なお,住宅・駐車場使用料の未納については連帯保証人へ連絡済です。」の文書(様式2)を送付する。

(ウ) 5ヶ月以上の滞納者に対しては, 「あなたの滞納については,再三督促しているにもかかわらずいまだ完納されていません。表記の指定納入期限までに完納してください。なお,連帯保証人に対しても催告書を送付しております。 (予告)期限までに納入されない場合は,裁判所に住宅明渡の訴えを行うことになります 。」の文書 (様式3) を送付する。

イ 以上の規定により,督促・催告したにもかかわらず納付しない滞納者の連帯保証人に対し,つぎの文書を送付する。

 (ア) 3ヶ月を超え5ヶ月までの滞納者の連帯保証人に対しては, 「さき,に「住宅・駐車場使用料完納指導依頼書」を送付しましたが,いまだに完納されていません。ついては,連帯保証人であるあなたに請求します
ので, 入居者と相談のうえ指定納入期限までに納付してください。 なお,これ以上滞納が続くようであれば,入居者に対しては,裁判所に住宅明渡の訴えを行うこととなります。また連帯保証人に対しては,住宅使用
料等(起訴費用・損害賠償金含む)の支払いを請求することになります。 」の文書(様式4)を送付する。

 (イ) 6ヶ月を超える滞納者の連帯保証人に対しては, 「あなたが連帯保証人となっている市営住宅入居者は,市の再三の督促にもかかわらず,表記のとおり滞納となっています。ついては本人と相談のうえ指定納入期限までに完納されるようご指導ください。なお,期限までに完納されない場合は,連帯保証人のあなたに請求することにもなりますのであらかじめお知らせしておきます。 」の文書(様式5)を送付する。

ウ 6ヶ月以上の滞納者で,家賃を支払う意思のないものに対して法的措置を行う旨記載した文書を送付し,警告するとともに,臨戸訪問等により本人と接触し,納付指導を行う。

エ 市営住宅明け渡し等請求訴訟の訴え提起前日までの間に,滞納家賃の全額又は, 3分の2以上の額を納付し, かつ, 当該納付すべき残額について,分割納付誓約を申し出た場合は,提訴しないことができるものとする。ただし,分割納付誓約の内容は,滞納が1年以内に整理できるものとする。

(5) 原告は,本件建物の賃料を滞納するようになった訴外Aに対しては,平成3年1月20日から平成5年6月18日までの間,上記様式1ないし3の催告書等を11回にわたって送付するとともに,保証人である被告に対しても7回にわたって催告書を送付した。

 一方,訴外Aは,平成5年6月7日に自己破産決定を受け,その後,免責決定も受けたが,原告に対しては,平成5年10月19日,納付誓約書を提出して未払賃料を分納することを約束し,その後,同約束に従ってこれを履行していた。

 ところが,訴外Aが上記納付誓約書に記載された約束を概ね遵守して未払賃料の分納を続けていたにもかかわらず,原告担当者は,平成5年12月20日,過って被告に対して催告書を送付してしまったため,訴外Aは,平成6年1月,原告担当課に来てそのことを強く抗議し,原告担当者は,被告に対し,電話で謝罪した。

 このことがあってから,原告は,内部的な申し送りとして,訴外Aに賃料滞納があっても,上記納付誓約書に記載された約束を概ね遵守して未払賃料の分納を続けている限りは,被告ら保証人に対しては催告書の送付を控える取り扱いとすることを取り決めた。

(6 ) ところが,訴外Aは,平成6年夏頃から,上記納付誓約書に記載された約束どおりの納付を滞るようになり,その後,新たな滞納分も加わって,平成11年8月25日現在の滞納額は53万7700円,平成12年8月14日現在の滞納額は59万4100円,平成13年9月3日現在の滞納額は99万0800円,平成14年8月7日現在の滞納額は129万3000円,平成15年8月20日現在の滞納額は172万3400円,平成16年12
月20日現在の滞納額は226万7000円,平成17年11月17日現在の滞納額は265万3400円と増加した。

 原告は,訴外Aに対しては,再三にわたって催告書を送付し,臨戸訪問等により本人と接触し,納付指導を行うなどし,更には,平成11年8月25日,平成12年8月14日及び平成17年9月5日には納付誓約書を提出させるなどしたが,被告に対しては,上記の内部的な申し送りの趣旨を後任者に正確に伝えなかったこともあってか 「福山市営住宅使用料(家賃)滞納,整理要綱 」(甲16)に反して,催告書を全く送付することなく,また,訴外Aの賃料滞納の状況についても一切知らせずに放置していた。

 なお,この間の平成13年7月10日,訴外Aのもう1人の連帯保証人である訴外亡D(訴外Aの実父)は死亡した。

2 被告は,福山市営住宅等条例41条( )において,家賃を3ヶ月以上滞納したときは「当該入居者に対し,当該市営住宅等の明渡しを請求することができる」と規定しているところから,本件建物賃貸借契約の連帯保証人の保証の本旨は3ヶ月を限度として保証しているものであって,入居者の賃料不払いを無制限に保証しているものではないと主張するので,まず,この点について検討する。

 公営住宅法は,国及び地方公共団体が協力して,健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備し,これを住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸し,又は転貸することにより,国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とするものである(法1条)ことは上記判示のとおりであるから,そもそも,公営住宅の賃貸借において,住宅に困窮する低額所得者である賃借人の賃料未払いを担保するために,賃貸借契約締結の条件として連帯保証人を付することを要求することの正当性及び合理性自体に疑問があるところであり,本来,生活保護法における住宅扶助の制度と連動させるなどの法的整備が望まれるところであるが,公営住宅の賃貸借において賃貸借契約締結の条件として連帯保証人を付することを要求すること自体が違法であるとまで解することはできず,一方,連帯保証人を付することの効用としては,公営住宅の賃借人に対し,連帯保証人に迷惑を掛けてはいけないという道義心から賃料支払義務の確実な履行を促す効果が期待でき,また,公営住宅の賃借人が賃料を滞納した場合に,公営住宅の賃借人に対して連帯保証人から納付を促してもらうことによって,賃料支払義務の履行をより強力に促すことができるという効果が期待できるのであり,上記認定にかかる「福山市営住宅使用料(家賃)滞納整理要綱 」(甲16)も,滞納整理に関する行政機関の内部的な規範ではあるが,以上の趣旨に添うものとして評価できる。

 以上の観点によれば,本件建物賃貸借契約における連帯保証人の保証責任の範囲として,入居者の賃料不払を無制限に保証していると解することは相当でなく,自ずから社会的相当性の認められる一定の範囲に限定されるべきものではあるが,その責任範囲についての明確な約定の存在しない本件において,福山市営住宅等条例41条(2)の規定のみを根拠として連帯保証人の保証の本旨は3ヶ月を限度とするものであると解することは必ずしも相当でなく,この点に関する被告の上記主張は直ちには採用できない。

3 しかしながら,公営住宅の賃貸借契約における連帯保証人の意義が上記判示のとおりであって,入居者の賃料不払いを無制限に保証していると解することは相当でないことは上記判示のとおりであるから,公営住宅が住宅に困窮する低所得者に対し低廉な家賃で賃貸し,市民生活の安定と社会福祉増進を目的としていることから,公営住宅の賃貸借契約に基づく賃料等の滞納があった場合の明渡等請求訴訟の提起に関して,その行政実務において,滞納額とこれについての賃借人の対応の誠実さなどを考慮して慎重に処理すること自体は相当且つ適切な処置であるとしても,そのことによって滞納賃料等の額が拡大した場合に,その損害の負担を安易に連帯保証人に転嫁することは許されず,明渡等請求訴訟の提起を猶予する等の処置をするに際しては,連帯保証人からの要望があった場合等の特段の事情のない限り,滞納額の増加の状況を連帯保証人に適宜通知して連帯保証人の負担が増えることの了解を求めるなど,連帯保証人に対しても相応の措置を講ずべきものであるということができる。

 これを本件についてみるに,連帯保証人である被告に対する原告の催告状況は上記認定のとおりであって,賃借人である訴外Aが,平成6年夏頃から,納付誓約書に記載された約束どおりの納付を滞るようになり,その後,新たな滞納分も加わって,平成11年8月25日現在の滞納額は53万7700円,平成12年8月14日現在の滞納額は59万4100円,平成13年9月3日現在の滞納額は99万0800円,平成14年8月7日現在の滞納額は129万3000円,平成15年8月20日現在の滞納額は172万3400円,平成16年12月20日現在の滞納額は226万7000円,平成17年11月17日現在の滞納額は265万3400円と増加したにもかかわらず,被告に対しては, 「福山市営住宅使用料(家賃)滞納整理要綱」 (甲16)に反して,平成5年12月20日に催告書を送付したのを最後に,平成18年10月11日に至るまで,催告書を全く送付することなく,また,訴外Aの賃料滞納の状況についても一切知らせずに放置していたものであり,原告には内部的な事務引継上の過失又は怠慢が存在するにもかかわらず,その責任を棚上げにする一方,民法上,連帯保証における責任範囲に限定のないことや,連帯債務における請求に絶対効が認められることなどから,被告に対する請求権が形骸的に存続していることを奇貨として,敢えて本件訴訟提起に及んでいるものであり,本件請求における請求額に対する被告の連帯保証人としての責任範囲等を検討するまでもなく,本件請求は権利の濫用として許されないものというべきである。

4 以上によれば, 原告の本訴請求は, その余の点について判断するまでもなく,理由がないから棄却することとし,訴訟費用の負担につき民事訴訟法61条に従い,主文のとおり判決する。

     広島地方裁判所福山支部

        裁 判 官    杉 本   正 樹

(別紙)
  目 録
  住 宅 名     c市営住宅
  所 在 地     広島県福山市d 町e 番地
  住宅番号   f号棟 g号
  構 造         鉄筋コンクリート造陸屋根 階建h
  種 類         共同住宅
  面 積         i平方メートル
     (附属物置)
  構 造        鉄骨造平家建
  面 積        j平方メートル

  駐車場
  構 造        アスファルト舗装
  面 積        k平方メートル
  以 上


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2008年10月 4日 (土)

借家立退料の算定基準を貸主の受ける経済的利益を基準に判断した事例

 判例紹介

 賃貸人が賃貸借自体を否定して値上げをしていなかった事情のある建物賃貸借(賃料月額1万5000円)について、賃貸人の得る客観的な経済的利益を立退きの算定基準として500万円の立退料提供によっても解約申入れについて正当事由がないとされた事例 (福岡地裁平成元年6月7日判決、判例タイムズ714号193頁以下)

 (事案)
 本件は、賃貸人Xが賃借人Yに対し、主位的に賃料不払による契約解除を理由とし、予備的には、正当事由として①建物の老朽化(築後約80年経過)と②自己使用の必要性(自宅が手狭で長女・三女がアパート住まい)、③信頼関係の破壊(無断増改築等ほか)、④立退料500万円の提供を主張した。
 iまた、Yらは他に移転することの愛着などを理由に本件建物の必要性を主張して争った事案。
 結果は賃貸人Xの敗訴。

 (判決要旨)
 「本件賃貸借契約の解除の正当事由の有無を判断するに、原告側の事情を衡量すれば、そのままでは明渡しの正当事由があるものとは認められないが、賃借期間が29年に及び建物の老朽化も進んでいること、当初の賃借人は死亡し、被告人らのうち本件建物に現在も居住しているのはY①1人のみであり、適正な補償があれば移転が可能であること、本件建物周辺は土地利用の高度化の進んだ地域であり、本件建物の存在によって地価の高い敷地の有効利用が著しく妨げられていることなどに照らし、原告(賃貸人)が十分な金銭的補償をすれば正当事由があると認めることができる」、  (t)

 「しかしながら、右の立退料の算定に当たっては、従前の賃料は原告が賃貸借自体を否定して値上げをしなかった結果であるから、これを算定の基礎とするのは妥当でなく、正当事由がやや弱い本件にあっては、本件の明渡し(その後の取壊し)によって土地の最有効利用が可能になるので、それによって得られる原告の客観的な経済的利益を主たる算定基準とすべきである」、 (a)

「・・・・・・を参酌すると正当事由を補完するために借家人に分与すべき経済的利益(立退料)は金700万円が相当である判断される」「原告は金500万円を上回る立退料を提供する意思を有しないので、右金額と引換給付判決をなすことはできなず、結局、原告の請求は理由がないことに帰する」。 (i)

 (寸評)
 判決の結論は実務の実状から見ると異なる判決もあり得るので、あまり参考にはならないが、いわゆる立退料の算定基準について賃借人側の受ける経済的利益を基準として判断している点は注目される。 (to)

 判決の考え方には恐らく貸主層から異論が出ると思われるが、有効利用を理由とした明渡しについては、それなりに合理性のある考え方であると思われる。  (1990.10.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より


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2008年9月20日 (土)

立退料として家賃の80か月分で合意

       建物を買取った不動産業者から立退請求

 東京の豊島区でクリーニングを営業していた中沢さんは10数年前に建物の老朽化を理由に家主から明渡しを請求され、家賃の受領を拒否されたので供託していました。

 その後、道路拡幅の問題がおこり、話し合った結果、建物をセットバックし新しく20メートルとなる道路沿いに新築の家に引越することで双方の合意ができました。引越した直後に中沢さんは突然死し、高齢の母親だけで居住することになりました。

 数年は何もなかったのが、昨年の10月、突然建物を買取った不動産業者から、6月以降の家賃未納で契約を解除するという内容証明書が送られてきました。身に覚えのない中身で、あわてて組合に相談にきました。

 組合では、早速、反論の内容証明書を送付し、併せて家主が、家賃の受領を拒否したので供託し、対抗することにしました。

 その後、代理人と証する不動産会社と交渉し、高齢の母親を娘の家に引き取ることにし、そのための増築費用として立退き補償金をおおよそ家賃の80ヶ月分を支払うことで合意しました。

全国借地借家人新聞より


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2008年9月16日 (火)

現行地代の2倍値上げが拒否されると土地明渡請求

 JR青梅線福生駅から約200メートル北西に向かった福生市福生でクリーニング取次店を営業する新條さんは、昨年11月以来地主の代理人の不動産業者と協議が始まった。当初土地の売買の話があり坪当り30万で売るという話を持ち出しておきながら、地主は坪40万でないと売らないと言い出し、結局地主は気が変わったと言って売買の話は不成立になった。

 更新の話に移り、地主の条件更新料300万円で地代を現在の倍額年30万円に値上げすると伝えてきた。新條さんは今年に入って組合と相談し、更新料と値上げについて地主側の言いなりにはならないことを打ち合わせた。

 新條さんの態度が変わると更新料250万円まで下げてきたが、新條さんはきっぱり拒否した。

 不動産業者は「地主は弁護士を立て裁判になったら200万から300万かかる。店の前に看板を立てられて商売ができなくなる」と脅してきた。

 その後、直ぐに弁護士から契約解除の脅しの内容証明郵便がきたが、組合から拒否する回答を出したところ、その後何も言ってこなくなった。

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2008年9月11日 (木)

立退料100万円と引換えに建物明渡請求の裁判を提起された

 国立市富士見台で共同住宅に居住している山本さんは、平成15年6月に家賃1ヶ月5万3000円、共益費1000円で入居した。

 入居2年後に突然不動産業者を通じて立退きを請求された。山本さんは立退きを拒否したが、他の入居者は退去し、8室の中で残ったのは山本さん1人だけとなった。

 平成19年8月に家主の代理人の弁護士から6ヵ月後に解約するとの通知が送られてきた。山本さんは、病気を抱え移転するだけの経済力も体力もなく組合と相談の上明渡しを拒否したところ、2月に裁判所から建物明渡し請求の訴状が届いた。家主は正当事由の補充として100万円の立退き料を提供している。

 組合では顧問弁護士と相談し、法律扶助制度を使って弁護士を代理人に立てることにした。

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2008年9月10日 (水)

地主が借地の明渡を通知してきた

 豊島区駒込で借地している10数人のグループは、20年前の更新の際に更新料の問題で地代の受領を拒否された。以来、20年間にわたって供託をしてきた。グループとして毎月第3水曜日に、地代の徴収をかねて全員が集合してきた。

 この間にも、地主からの様々な嫌がらせもあった。修理修繕をしている借地人に対して、大修繕や改築に当たるなどと主張し、中止を要求するなどの行為や大声でわめくなどのいやがらせ行為など後を絶たなかった。

 その地主から、この2月に借地人10数人に内容証明の郵便が送付されてきた。びっくりした借地人は、お世話になっている組合に相談に来た。内容は「この3月で期間満了となるが、更新を拒絶する。現在供託されているお金は、使用損害金の一部として受領する。借地として使用している土地を期限までに明渡すよう通知する」と記載されていた。

 組合と相談し、借地人も現在、借地している土地には建物が存在するので契約を更新し、引き続き住み続ける意思を表明することにした。内容証明で10数人分を送付したところ、地主は内容証明書の受け取りそのものを拒否してきた。正当の事由のない更新拒絶であることを説明し、全員で権利を守ることにした。

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2008年9月 5日 (金)

店舗の明渡が一転共同ビル内に移動で合意

 池袋駅近くの共同ビルで小料理屋を営む赤坂さんは、家主から明渡しか賃料の値上げを求められ、このままでは商売を続けることが出来ないと組合に相談した。

 組合の存在は知人を通じて賃貸借のトラブルだったら組合に相談するのが一番と言われていた。明渡し請求には正当事由がないこと、賃料の値上げは双方の合意がないと出来ないので拒否することで家主と交渉することになった。ただ、家主も事情があり、こちらにも事情があるので、5年から10年の賃料は現行の据置で定期借家契約という提案も検討することにした。

 組合が交渉の窓口ということで、家主も無理やりの交渉はせずに、いくつかの提案をしてきた。最終的に同一フロアーの別の場所で、現行賃料で、店舗の内装は家主もちと言う条件で営業をすることで合意した。赤坂さん「これで安心して営業することができます」と語った。

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2008年7月31日 (木)

家主と管理業者の脅迫的立退き行為に慰謝料が認められた

 判例紹介

事件番号       :平成18年(ワ)第2455号

事件名        :損害賠償請求事件

裁判年月日     :H19.10.18

裁判所名      :京都地方裁判所

部           :第2民事部

結果         :一部認容

登載年月日       :

(判示事項の要旨) 
 Xの居住する賃貸家屋の家主であるY1は,Y2社に対し当該家屋の明渡し,に関するXとの明渡交渉を委託した。Y2社の従業員は,何度かX方を訪問して交渉したが明渡しの同意を得るに至らず,最後の交渉が行われた約2週間後,解体業者に命じて,X方に隣接するY1所有の家屋の取壊しを行わせた。Xが,(1)交渉の過程におけるY2社従業員の発言が脅迫に当たること,(2)隣接家屋の取壊しは乱暴に行われXに不当な心理的圧力をかけるためのものであったこと,を主張し,不法行為に基づく精神的損害の賠償を求めた。本判決は(1)の主張は認めなかったが,(2)の主張には理由があるとして,Y2社に50万円の賠償を命じた。また,Y1についてもY2社が不当な態様及び目的で隣接家屋の取壊しを行うことを認識せず取壊しに承認を与えたことに過失があるとして,同額の賠償を命じた。

                       主        文

1 被告らは原告に対し,連帯して,50万円及びこれに対する平成18年10月7日から支払済みに至るまで年5%の割合による金員を支払え。

2 訴訟費用はこれを4分し,その3を原告の,その1を被告らの負担とする。

3 この判決は仮に執行することができる。

                        事 実 及 び 理 由
第1 請求
 被告らは,連帯して,原告に対し,200万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みに至るまで年5%の割合による金員を支払え。

第2 事案の概要
1 本件訴訟の概略
 原告は,被告Y1の所有家屋の賃借人である。被告Y2社は,被告Y1から当該家屋の管理の委任を受けた業者であり,原告との間で明渡しの交渉を行った。

 本件は,原告が,交渉の過程において被告Y2社の従業員による脅迫ないし嫌がらせにわたる所為があったと主張して,精神的損害に対する慰謝料を請求した事案である。

2 前提事実(証拠を示さない事実は当事者間に争いがない。日付けはすべて平成18年のものである )。

(1)原告は,肩書住所地において,被告Y1から木造2階建ての家屋(以下「本件家屋」という。 )を賃借して居住している。

(2)本件家屋は,同一区画内に建てられた被告Y1所有の4軒の家屋のうちの1軒である。4軒の家屋はいずれも昭和28年に建築されたもので,壁を接して2軒ずつ建てられたほぼ同一構造の木造2階建ての家屋の2組から成る。
 1月30日の段階では,本件家屋に隣接する家屋(以下「隣接家屋」という。 )は,空き家となっていた。他の2軒のうち,1軒には訴外A氏が居住しており,1軒は空き家であった。

(3) 1月30日,被告Y2社の従業員Bが原告方を訪れ,本件家屋の明渡しを求めた。

(4) 2月2日,2月6日,2月16日,3月3日,3月24日に,A宅で,本件建物の明渡しを求めるBと,これを拒む原告及びAとの間で,協議が行われた。
 これらの協議には,被告Y2社側ではBに加えて被告Y2社代表者が同席することがあり,原告側ではケアマネージャーのC氏又は市会議員のD氏が同席した。

(5) 4月9日に,被告Y2社の依頼した解体業者が,空き家になっていた2戸の家屋の取壊し作業に着手したが,原告の抗議を受けて作業を終了し引き揚げた。当日は,Bも解体業者と同行していた。

3 争点及び当事者の主張
(1)被告Y2社の不法行為責任

〔原告〕
 被告Y2社は,B及び代表者の脅迫的言辞により原告を恐怖させ,困惑させた。また,空き家の取壊しにより,原告が通路を通行する権利,安全・安心に生活する権利を妨害し,四六時中更なる嫌がらせを受けるのではないかという不安に陥れ,もって本件家屋の明渡しを強要しようとした。これらの行為により,原告の平穏な生活を著しく侵害した。

〔被告ら〕
 原告の立退きの要請及びA宅における協議において,B又は被告Y2社代表者が脅迫的言辞を用いたことはない。また,隣接家屋の取壊し作業は相当な手順を踏んで平穏に行われていたにもかかわらず,原告がこれを中断させたものである。

(2) 被告Y1の不法行為責任

〔原告〕
 被告Y1は,被告Y2社の不法行為を放置し,原告が抗議をしても誠実に対応せず,被告Y2社の不法行為を黙認してきた。
〔被告ら〕
 争う。


(3) 損害額

〔原告〕
被告らの不法行為により原告が被った精神的損害に対する慰謝料の額は200万円が相当である。
〔被告ら〕
 争う。

第3  当裁判所の判断
 1 被告Y2社の不法行為責任
 (1) 脅迫的言辞について

ア 原告の供述(甲19,原告本人)によれば,1月30日の経緯は以下のとおりであると認められる。
① 原告は突然のBの来訪に困惑して退去を求めたが,Bはなかなか退去しようとしなかった。
② 原告が,夕方にAが帰宅した後にAと一緒に再度話を聞く旨を約束して初めて,Bは退去した。
③ 午後8時ころ,BはA宅を訪れ,Aに対して明渡し又は家賃の倍増を強い口調で求めた。原告に対しても,2月2日に再度訪問する旨を告げた。

 被告らは,Bは丁寧な口調で本件家屋の明渡しを求めたと主張し,Bもその旨供述するが(乙6,B証人 ,下記イのとおりの2月2日以降の協)議におけるBらの言辞からすれば,1月30日においても,相当強硬に明渡しを求めたものと推認されるところであり,被告らの主張は採用できない。

イ 2月2日以降の協議の録音テープ(甲10~13)によれば,これらの協議の席上,Bないし被告Y2社代表者は 「どんなことをしてでもあけてもらう」 「強硬手段でいかんなん」 「つぎの手をうつ。くさびを打ちに。がんと」 「おれとこかて力でいくで」等と発言したことが認められる。


ウ 上記ア,イに認定した事実からすれば,B及び被告Y2社代表者の言辞はいささか穏当を欠いていた。しかし,原告が本件家屋の明渡しに応じない意向であった以上,被告Y2社としては交渉の方法の一つとして強硬姿勢を示さざるを得なかったともいえる。そして,2月2日以降の協議においては,原告側の立場で前記C氏やD氏のような男性が立ち会っていたことも考慮すれば,B及び被告Y2社代表者の言辞が,不法行為を構成するに足るほどの違法性を帯びるとはいえない。

(2) 隣接家屋の取壊し作業について
ア 原告の供述(甲19,原告本人)及び写真(甲14,17)によれば,解体業者が行った隣接家屋の取壊し作業は,以下のような内容のものであったと認められる。そして,解体業者は被告Y2社の依頼を受けて作業を行っており,Bが実際の作業に立ち会っていたことからすれば,このような作業内容も被告Y2社の指示によると認められる。

① 本件家屋と隣接家屋は壁を接しているにもかかわらず,本件家屋の養生は全くなされていない。
② 具体的な作業内容は,2階屋根の中央に穴を開ける,窓枠や建具を破壊して通路に散乱させる,1階の軒の屋根瓦を通路に落とす,壁を引き剥がす,等であった。

 被告らは,取壊し作業は通常の解体の手順に従って丁寧に行っており,上記写真は作業直後の状況とは異なると主張し,Bもその旨供述する。しかし,原告側が写真を撮影するに当たってわざわざ建具等を破壊して散乱させるとは通常考えられないし,上記①②のような方法が解体作業の通常の手順であると認めるに足る証拠はない。

次いで,隣接家屋の取壊し作業を被告Y2社が行ったことの目的について検討する。
 作業に先立つ3月24日の協議では,被告Y2社代表者及びBは 「そん,だけどうしても抵抗しはんねやったら,うちはうちのやり方でするさかい」 「それは力で出さなしゃあないやん」等と発言している(甲13-1) 。また,本件家屋を原告から明け渡してもらわない限り跡地の利用はできないこと,及び,本件家屋の明渡しを受けた後に2軒一緒に取り壊す方が作業も簡便で費用は相対的に少なくて済むはずであること,に照らすと,隣接家屋だけを先に取り壊すのは経済的にみて不合理である。これらの事情に,上記アのとおりの作業内容をあわせ考えれば,被告Y2社による隣接家屋の取壊し作業は,原告に対して心理的圧力をかける目的で行われたと推認することができる。

 この点につき,Bは,隣接家屋が老朽化していて危ないから取り壊してほしい,という被告Y1の意向に沿って取壊し作業を行ったと供述する。しかし,隣接家屋が建てられたのは本件家屋と同時であり,本件家屋は現に原告の居住に耐えているのであるから,隣接家屋が,すぐに取り壊さなければ危険なほどに老朽化していたとは考えられない。

ウ 上記ア,イに認定した事実からすれば,隣接家屋の取壊しは,社会的相当性を欠く方法及び目的によって行われたものであり,不法行為を構成するに足る違法性を帯びる。

2 被告Y1の不法行為責任
上記1(2)のとおり,隣接家屋の取壊し作業は,被告Y2社の不法行為を構成する。そして,取壊し作業の目的が上記1(2)イのとおりであった点については,被告Y1がこれを認識していたとまでは認められないが,本件家屋の明渡しを受けていないにもかかわらず隣接家屋だけを取り壊すのは経済的に不合
理であること等からすれば,被告Y2社の目的を認識しないで取壊し作業に承認を与えたことについて,被告Y1には少なくとも過失がある。
 したがって,被告Y1も隣接家屋の取壊し作業について不法行為責任を負う。

3 損害額

 上記(2)アのとおりの取壊し作業の内容及びその他本件証拠に顕れた一切の事情を考慮すると,原告の被った精神的損害は50万円と評価される。

4 以上の次第で,原告の請求は,50万円の損害賠償を求める限度で理由がある。

 よって,訴訟費用の負担について民事訴訟法61条,64条,65条を,仮執行の宣言について民事訴訟法259条1項を適用して,主文のとおり判決する。

      京都地方裁判所第2民事部

                   裁判官    上 田  卓 哉

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2008年7月30日 (水)

*平成17年03月10日最高裁判所第一小法廷判決 (建物明渡請求事件)

 判例紹介

事件番号         平成13(オ)656
事件名           建物明渡請求事件
裁判年月日        平成17年03月10日
法廷名           最高裁判所第一小法廷
裁判種別         判決
判例集巻・号・頁     第59巻2号356頁
原審裁判所名       東京高等裁判所   
原審事件番号       平成11(ネ)3608
原審裁判年月日     平成13年01月30日

(判示事項)
1 所有者から占有権原の設定を受けて抵当不動産を占有する者に対して抵当権に基づく妨害排除請求をすることができる場合

2 抵当権に基づく妨害排除請求権の行使に当たり抵当権者が直接自己への抵当不動産の明渡しを請求することができる場合

3 第三者による抵当不動産の占有と抵当権者についての賃料額相当の損害の発生の有無

(裁判要旨)
1 抵当不動産の所有者から占有権原の設定を受けてこれを占有する者であっても,抵当権設定登記後に占有権原の設定を受けたものであり,その設定に抵当権の実行としての競売手続を妨害する目的が認められ,その占有により抵当不動産の交換価値の実現が妨げられて抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難となるような状態があるときは,抵当権者は,当該占有者に対し,抵当権に基づく妨害排除請求として,上記状態の排除を求めることができる。

2 抵当不動産の占有者に対する抵当権に基づく妨害排除請求権の行使に当たり,抵当不動産の所有者において抵当権に対する侵害が生じないように抵当不動産を適切に維持管理することが期待できない場合には,抵当権者は,当該占有者に対し,直接自己への抵当不動産の明渡しを求めることができる。

3 抵当権者は,抵当不動産に対する第三者の占有により賃料額相当の損害を被るものではない。

参照法条     民法369条,民法709条

                       主     文

1 原判決主文第3項を破棄し,同部分に係る被上告人の請求を棄却する。
2 賃借権侵害による不法行為に基づく賃料相当損害金の支払請求に係る被上告人の控訴を棄却する。
3 上告人のその余の上告を棄却する。
4 控訴費用及び上告費用は,これを3分し,その1を被上告人の負担とし,その余を上告人の負担とする。

         
                        理     由

 第1 事案の概要
 1 原審の適法に確定した事実関係の概要等は,次のとおりである。

 (1) 被上告人は,平成元年9月5日,A社(以下「A社」という。)との間で,A社所有の土地上に地下1階付9階建ホテル(以下「本件建物」という。)を請負代金17億9014万円で建築する旨の請負契約を締結し,平成3年4月30日,本件建物を建築して完成させたものの,A社が請負代金の大部分を支払わなかったため,の引渡しを留保した。

 (2) A社は,平成4年4月ころ,被上告人との間で,請負残代金が17億2906万円余であることを確認し,これを同年5月から8月まで毎月末日限り500万円ずつ支払い,同年9月末日に残りの全額を支払うこと,被上告人の請負残代金債権を担保するため,本件建物及びその敷地につき,いずれも被上告人を権利者として,抵当権(以下「本件抵当権」という。)及び停止条件付賃借権(以下「本件停止条件付賃借権」という。)を設定すること,本件建物を他に賃貸する場合には被上告人の承諾を得ることを合意した(以下「本件合意」という。)。本件停止条件付賃借権は,本件抵当権の実行としての競売が申し立てられることなどを停止条件とするものであって,本件建物の使用収益を目的とするものではなく,本件建物及びその敷地の交換価値の確保を目的とするものであった。そして,A社は,本件合意に基づき,同年5月8日,本件抵当権設定登記と本件停止条件付賃借権設定仮登記を了した。そこで,被上告人は,A社に対し,本件建物を引き渡した。

 (3) ところが,A社は,本件合意に違反し,上記分割金の弁済を一切行わず,しかも,平成4年12月18日,被上告人の承諾を得ずに,B社(以下「B社」という。)に対し,賃料月額500万円,期間5年,敷金5000万円の約定で本件建物を賃貸して引き渡した(以下,この賃貸借契約を「本件賃貸借契約」という。)。その後,平成5年3月に敷金を1億円に増額し,同年5月1日に賃料を月額100万円に減額するとの合意がそれぞれされたが,敷金が実際に交付されたか否かは定かでない。

 (4) B社は,平成5年4月1日,被上告人の承諾を得ずに,上告人に対し,賃料月額100万円,期間5年,保証金1億円の約定で本件建物を転貸して引き渡した(以下,この転貸借契約を「本件転貸借契約」という。)。不動産鑑定士の意見書によれば,本件建物の適正賃料額は,平成7年1月31日時点で月額592万円,平成10年10月26日時点で月額613万円とされており,本件転貸借契約の賃料額は,適正な額を大幅に下回るものであった。

 (5) 上告人とB社の代表取締役は同一人である。また,A社の代表取締役は,平成6年から平成8年にかけて上告人の取締役の地位にあった者である。なお,A社は,平成8年8月6日に銀行取引停止処分を受けて事実上倒産した。

 (6) 被上告人は,平成10年7月6日,東京地方裁判所八王子支部に対し,本件建物及びその敷地につき,本件抵当権の実行としての競売を申し立てた。本件建物の最低売却価額は,平成12年2月23日に6億4039万円であったものが,同年10月16日には4億8029万円に引き下げられたものの,本件建物及びその敷地の売却の見込みは立っていない。このように,本件建物及びその敷地の競売手続による売却が進まない状況の下で,A社の代表取締役は,被上告人に対し,本件建物の敷地に設定されている本件抵当権を100万円の支払と引換えに放棄するように要求した。

 2 被上告人は,上告人に対し,第1審において,上告人による本件建物の占有により本件停止条件付賃借権が侵害されたことを理由に,賃借権に基づく妨害排除請求として,本件建物を明け渡すこと及び賃借権侵害による不法行為に基づき賃料相当損害金を支払うことを請求したところ,第1審はこの請求をいずれも棄却した。これに対し,被上告人が,控訴し,原審において,上記請求と選択的に,上告人による本件建物の占有により本件抵当権が侵害されたことを理由に,抵当権に基づく妨害排除請求として,本件建物を明け渡すこと及び抵当権侵害による不法行為に基づき賃料相当損害金を支払うことを追加して請求したところ,原審はこの追加請求をいずれも認容した。

 第2 上告代理人相澤建志,同藤井秀夫の上告受理申立て理由1について
 1 所有者以外の第三者が抵当不動産を不法占有することにより,抵当不動産の交換価値の実現が妨げられ,抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難となるような状態があるときは,抵当権者は,占有者に対し,抵当権に基づく妨害排除請求として,上記状態の排除を求めることができる(最高裁平成8年(オ)第1697号同11年11月24日大法廷判決・民集53巻8号1899頁)。そして,【要旨1】抵当権設定登記後に抵当不動産の所有者から占有権原の設定を受けてこれを占有する者についても,その占有権原の設定に抵当権の実行としての競売手続を妨害する目的が認められ,その占有により抵当不動産の交換価値の実現が妨げられて抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難となるような状態があるときは,抵当権者は,当該占有者に対し,抵当権に基づく妨害排除請求として,上記状態の排除を求めることができるものというべきである。なぜなら,抵当不動産の所有者は,抵当不動産を使用又は収益するに当たり,抵当不動産を適切に維持管理することが予定されており,抵当権の実行としての競売手続を妨害するような占有権原を設定することは許されないからである。

 また,【要旨2】抵当権に基づく妨害排除請求権の行使に当たり,抵当不動産の所有者において抵当権に対する侵害が生じないように抵当不動産を適切に維持管理することが期待できない場合には,抵当権者は,占有者に対し,直接自己への抵当不動産の明渡しを求めることができるものというべきである。

 2 これを本件についてみると,前記事実関係によれば,次のことが明らかである。
 本件建物の所有者であるA社は,本件抵当権設定登記後,本件合意に基づく被担保債権の分割弁済を一切行わなかった上,本件合意に違反して,B社との間で期間を5年とする本件賃貸借契約を締結し,その約4か月後,B社は上告人との間で同じく期間を5年とする本件転貸借契約を締結した。B社と上告人は同一人が代表取締役を務めており,本件賃貸借契約の内容が変更された後においては,本件賃貸借契約と本件転貸借契約は,賃料額が同額(月額100万円)であり,敷金額(本件賃貸借契約)と保証金額(本件転貸借契約)も同額(1億円)である。そして,その賃料額は適正な賃料額を大きく下回り,その敷金額又は保証金額は,賃料額に比して著しく高額である。また,A社の代表取締役は,平成6年から平成8年にかけて上告人の取締役の地位にあった者であるが,本件建物及びその敷地の競売手続による売却が進まない状況の下で,被上告人に対し,本件建物の敷地に設定されている本件抵当権を100万円の支払と引換えに放棄するように要求した。

 以上の諸点に照らすと,本件抵当権設定登記後に締結された本件賃貸借契約,本件転貸借契約のいずれについても,本件抵当権の実行としての競売手続を妨害する目的が認められるものというべきであり,しかも,上告人の占有により本件建物及びその敷地の交換価値の実現が妨げられ,被上告人の優先弁済請求権の行使が困難となるような状態があるということができる。

 また,上記のとおり,本件建物の所有者であるA社は,本件合意に違反して,本件建物に長期の賃借権を設定したものであるし,A社の代表取締役は,上告人の関係者であるから,A社が本件抵当権に対する侵害が生じないように本件建物を適切に維持管理することを期待することはできない。

 3 そうすると,被上告人は,上告人に対し,抵当権に基づく妨害排除請求として,直接自己への本件建物の明渡しを求めることができるものというべきである。被上告人の本件建物の明渡請求を認容した原審の判断は,結論において是認することができる。論旨は採用することができない。

 第3 上告代理人相澤建志,同藤井秀夫の上告理由について
 民事事件について最高裁判所に上告をすることが許されるのは,民訴法312条1項又は2項所定の場合に限られるところ,本件上告理由は,理由の不備をいうが,その実質は単なる法令違反を主張するものであって,上記各項に規定する事由に該当しない。

 第4 職権による検討
 1 原審は,上告人の占有により本件抵当権が侵害され,被上告人に賃料額相当の損害が生じたとして,前記のとおり,抵当権侵害による不法行為に基づく被上告人の賃料相当損害金の支払請求を認容した。

 2 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。
 【要旨3】抵当権者は,抵当不動産に対する第三者の占有により賃料額相当の損害を被るものではないというべきである。なぜなら,抵当権者は,抵当不動産を自ら使用することはできず,民事執行法上の手続等によらずにその使用による利益を取得することもできないし,また,抵当権者が抵当権に基づく妨害排除請求により取得する占有は,抵当不動産の所有者に代わり抵当不動産を維持管理することを目的とするものであって,抵当不動産の使用及びその使用による利益の取得を目的とするものではないからである。そうすると,原判決中,上記請求を認容した部分は,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり,破棄を免れない。そして,上記説示によれば,上記請求は理由がないから,これを棄却することとする

 3 また,上記請求と選択的にされている賃借権侵害による不法行為に基づく賃料相当損害金の支払請求については,前記事実関係によれば,本件停止条件付賃借権は,本件建物の使用収益を目的とするものではなく,本件建物及びその敷地の交換価値の確保を目的とするものであったのであるから,上告人による本件建物の占有により被上告人が賃料額相当の損害を被るということはできない。そうすると,第1審判決中,賃借権侵害による不法行為に基づく賃料相当損害金の支払請求を棄却した部分は正当であるから,これに対する被上告人の控訴を棄却することとする。

 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 泉 德治 裁判官 横尾和子 裁判官 甲斐中辰夫 裁判官 島田仁郎 裁判官 才口千
晴)



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2008年7月29日 (火)

*占有の移転を伴わない買戻特約付売買契約は譲渡担保契約

 判例紹介


 平成18年02月07日 最高裁判所 第三小法廷判決 平成17年(受)第282号 建物明渡請求事件

(要旨)
 買戻特約付売買契約の形式が採られていても,目的不動産の占有の移転を伴わない契約は,特段の事情のない限り,債権担保の目的で締結されたものと推認され,その性質は譲渡担保契約と解するのが相当である

(内容)
件名
  建物明渡請求事件
     (最高裁判所 平成17年(受)第282号 平成18年02月07日 第三小法廷判決 破棄自判)
原審  福岡高等裁判所 (平成16年(ネ)第378号)

                    主    文

 1 原判決を破棄し,第1審判決を取り消す。
 2 被上告人の請求をいずれも棄却する。
 3 訴訟の総費用は被上告人の負担とする。

                    理    由

 上告人らの上告受理申立て理由について
 1 原審の適法に確定した事実関係の概要等は,次のとおりである。

 (1) 上告人株式会社Y1(以下「上告会社」という。)は,平成13年12月13日当時,第1審判決別紙物件目録記載の建物(以下「本件建物」という。)及びその敷地である同目録記載の土地(以下「本件土地」という。)を所有していた。

 (2) 平成12年11月13日,被上告人は,上告人Y2に対し,利息を月3分とする約定で,1000万円を貸し付け(以下「別件貸付け」という。),その担保として,有限会社Aとの間で,同社の所有する土地及び建物について譲渡担保契約を締結した(以下,この契約の契約書を「別件契約書」という。)。

 (3) 上告人Y2は,別件貸付けに係る利息ないし遅延損害金として,同年12月12日,平成13年2月5日,同年3月6日,同年5月8日,同年6月8日にそれぞれ30万円を支払ったのみで,それ以降の弁済をしなかった。そこで,被上告人は,別件貸付けに係る債権について,少なくとも利息を回収するため,上告人Y2が代表取締役を務める上告会社との間で,上告会社所有の本件土地建物について買戻特約付売買契約を締結することを考えた。

 (4) 平成13年12月13日,被上告人と上告会社とは,いったん,本件土地の売買代金を700万円,本件建物の売買代金を100万円,買戻期間を平成14年2月28日までとする買戻特約付売買契約を締結することに合意して契約書(以下「変更前契約書」という。)を作成し,司法書士に対し,登記手続を依頼した。

 (5) しかし,被上告人代表者は,司法書士が退去した後,売買代金は,合計800万円ではなく,合計750万円でなければ契約を締結することができないと言い出し,上告人Y2も,750万円の方が買戻しをしやすいとしてこれに応じたことから,被上告人と上告会社は,本件土地の売買代金を650万円,本件建物の売買代金を100万円とし,上告会社は平成14年3月12日までに上記売買代金相当額及び契約の費用を提供して本件土地建物を買い戻すことができる旨の内容の買戻特約付売買契約(以下「本件契約」という。)を締結し,変更前契約書の内容を改めた契約書(以下「本件契約書」という。)を作成した。

 (6) 被上告人は,本件契約日に,上告会社に対し,売買代金750万円のうち400万円を支払うこととしたが,上告会社の了承の下,400万円から,買戻権付与の対価として67万5000円,別件貸付けの利息9か月分として270万円,登記手続費用等の支払に充てるべく司法書士に預託した41万円,以上合計378万5000円を控除し,21万5000円を上告会社に交付した。

 別件貸付けの利息として支払われた270万円の領収証には,そのただし書欄に「利息」と明記されているのに対し,買戻権付与の対価として支払われた67万5000円の領収証にはその記載がない。

 (7) 本件契約日の翌日,被上告人は,司法書士が本件土地建物について変更前契約書の内容で登記手続を完了したことを確認し,上告会社に対し,売買代金の残金350万円を支払った。

 (8) 上告会社は,平成14年3月12日までに本件契約に基づく買戻しをしなかった。

 (9) 本件契約には,買戻期間内に本件土地建物を上告会社から被上告人に引き渡す旨の約定はなく,本件建物は本件契約日以降も上告人らが共同して占有している。

 (10) 本件訴訟は,被上告人が上告人らに対し,本件契約は民法の買戻しの規定が適用される買戻特約付売買契約(以下「真正な買戻特約付売買契約」という。)であり,被上告人は本件契約によって本件建物の所有権を取得したと主張して,所有権に基づき本件建物の明渡しを求めるものであり,上告人らは,本件契約は譲渡担保契約であるから被上告人は本件建物の所有権を取得していないと主張して,これを争っている。

 2 原審は,上記事実関係の下において,次のとおり判断し,被上告人の請求をいずれも認容すべきものとした。

 (1) 別件契約書には,「買戻約款付譲渡担保契約書」という標題が付されているが,変更前契約書にも,本件契約書にも, 「買戻約款付土地建物売買契約書」 という標題が付されている。

 (2) 上告人らは,被上告人が控除した67万5000円は本件契約による貸付けに係る3か月分の利息であると主張するが,別件貸付けの利息として支払われた270万円の領収証にはそのただし書欄に「利息」と明記されているのに対し,買戻権付与の対価として支払われた67万5000円の領収証にはその記載がないので,これを認めることはできない。

 (3) 上告人らは,上告会社は被上告人から371万5000円しか受け取っておらず,このような少額の代金で上告会社が時価1800万円を下らない本件土地建物を売却するはずはないと主張するが,上告会社が371万5000円しか受け取ることができなかったのは,買戻権付与の対価,別件貸付けに係る利息,登記手続費用の合計378万5000円が控除されたからにほかならず,本件土地建物は飽くまで750万円と評価されているし,本件土地建物の時価が1800万円を下らないと認めるに足りる証拠もない。

 (4) したがって,本件契約は,譲渡担保契約ではなく,真正な買戻特約付売買契約と認められる。

 3 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。
 (1) 真正な買戻特約付売買契約においては,売主は,買戻しの期間内に買主が支払った代金及び契約の費用を返還することができなければ,目的不動産を取り戻すことができなくなり,目的不動産の価額(目的不動産を適正に評価した金額)が買主が支払った代金及び契約の費用を上回る場合も,買主は,譲渡担保契約であれば認められる清算金の支払義務(最高裁昭和42年(オ)第1279号同46年3月25日第一小法廷判決・民集25巻2号208頁参照)を負わない(民法579条前段,580条,583条1項)。このような効果は,当該契約が債権担保の目的を有する場合には認めることができず,買戻特約付売買契約の形式が採られていても,目的不動産を何らかの債権の担保とする目的で締結された契約は,譲渡担保契約と解するのが相当である。

 そして,真正な買戻特約付売買契約であれば,売主から買主への目的不動産の占有の移転を伴うのが通常であり,民法も,これを前提に,売主が売買契約を解除した場合,当事者が別段の意思を表示しなかったときは,不動産の果実と代金の利息とは相殺したものとみなしている(579条後段)。そうすると,買戻特約付売買契約の形式が採られていても,目的不動産の占有の移転を伴わない契約は,特段の事情のない限り,債権担保の目的で締結されたものと推認され,その性質は譲渡担保契約と解するのが相当である。

 (2) 前記事実関係によれば,本件契約は,目的不動産である本件建物の占有の移転を伴わないものであることが明らかであり,しかも,債権担保の目的を有することの推認を覆すような特段の事情の存在がうかがわれないだけでなく,かえって,① 被上告人が本件契約を締結した主たる動機は,別件貸付けの利息を回収することにあり,実際にも,別件貸付けの元金1000万円に対する月3分の利息9か月分に相当する270万円を代金から控除していること,② 真正な買戻特約付売買契約においては,買戻しの代金は,買主の支払った代金及び契約の費用を超えることが許されないが(民法579条前段),被上告人は,買戻権付与の対価として,67万5000円(代金額750万円に対する買戻期間3か月分の月3分の利息金額と一致する。)を代金から控除しており,上告会社はこの金額も支払わなければ買戻しができないことになることなど,本件契約が債権担保の目的を有することをうかがわせる事情が存在することが明らかである。

 したがって,本件契約は,真正な買戻特約付売買契約ではなく,譲渡担保契約と解すべきであるから,真正な買戻特約付売買契約を本件建物の所有権取得原因とする被上告人の上告人らに対する請求はいずれも理由がない。

 4 以上によれば,本件契約を真正な買戻特約付売買契約と解し,被上告人の請求を認容すべきものとした原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨は,上記の趣旨をいうものとして理由がある。したがって,原判決を破棄し,被上告人の請求を認容した第1審判決を取り消した上,被上告人の請求をいずれも棄却することとする。

 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。

 (裁判長裁判官 上田豊三 裁判官 濱田邦夫 裁判官 藤田宙靖 裁判官 堀籠幸男)



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2008年6月 5日 (木)

再開発目的の借家明渡請求に対し正当事由が認められなかった事例 

 判例紹介

 住宅の再開発を目的とする借家契約の解約申入れにつき正当事由が認められなかった事例 (東京地裁平成3年2月26日判決、未登載、控訴)

 (事案)
 裁判になった建物は、JR埼京線十条駅の南方80mにある1棟4戸の棟割長屋の東端の1戸(1階13坪、2階8坪)。借家人の先代が昭和10年に賃借し、以来2代にわたってハンコ屋を営業し家族で居住してきた。

 原告家主は開発業者。昭和61年2月にこの建物及び借地人が住む数軒ある敷地を含めて1470㎡を買取った。次々に明渡しや買取交渉を進め、この裁判が始まる頃には1,2軒のみが未解決であった。

 明渡請求の理由の第1はすでに朽廃しているから借家契約は終了したというもの、第2は、朽廃していないとしても老朽化が著しいく原告はこれを取壊して地下1階地上7階建のスポーツクラブ用の建物を建築する計画を有しており、適正な立退料を支払う用意があるので解約申入れには正当事由があるとの2点。

 原告は朽廃・老朽化の程度と借家権価格について鑑定を申請。被告は建物の隅々まで(縁の下にもぐってまで)写真を撮り、鑑定をするまでもなく老朽化が著しくないことは明らかだと主張して鑑定採用に反対したが、裁判所はこれを採用した。被告は鑑定人にもこの写真を提供し、立会の際よく説明した。

 (判決)
 朽廃の点については鑑定意見、写真から「経過年数の割には保存及び管理が良好であり残存年数は10年と見込まれる」として排斥。

 正当事由については次のようにいう。「原告は本件建物をその事務所等に自ら使用する必要だあるからではなく、本件長屋の敷地を含む1470㎡の土地を高度利用するため本件長屋を取壊す必要があるから借家契約の解約を申入れたものというべきであり、これに対し、被告の本件建物を使用する必要性は具体的かつ顕著というべきであり、このことに本件建物が老朽化も見られるがなお今後相当年数通常の使用に耐え得る状態にあることを考え合わせると、正当事由があるとは到底認められない

 「立退料の提供の申出については、家主の側に自己使用の必要その他その解約申入れが社会上、公益上必要と認められる一定の事由があるけれどもそれらの事由のみでは正当事由ありとの判断に至らない場合においてそれらの事由を補完するに適するものと認められる時に限り、これを勘酌すべき事由と解されるから、家主たる原告の側に自己使用の必要性その他社会上、公益上の解約申入れ事由がほとんど認められない本件においては、その額いかんにかかわらず正当事由を具備するには至らないものというべきである

 (寸評)
 読んで字の如く誠に明快な判決。借家法の精神とは本来ここにある。お金さえもらえれば借家人も文句なかろうとの判例が多い中で、そのお金(立退料)が有効に働く場合を限定的に解釈した点にも意義がある。  1991.06.

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より


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2008年5月26日 (月)

建物明渡等請求事件(広島地裁)

判例紹介

平成20年2月21日  広島地方裁判所福山支部判決言渡

同日原本領収 裁判所書記官

平成19年(ワ)第69号 建物明渡等請求事件

口頭弁論終結日 平成19年12月20日

                                         判              決
                                 主              文

1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。

                                         事 実 及 び 理 由

第1 請求の趣旨
 1 被告は,原告に対し,293万1248円を支払え。
 2 訴訟費用は被告の負担とする。
 3 仮執行宣言。

第2 事案の概要等
 1 事案の概要
  本件は,別紙目録記載の建物(以下, 「本件建物」という。 )及び駐車場(以下, 「本件駐車場」という 。 )を所有して管理する原告が,賃貸借契約は賃料不払いを理由に解除されたとして,本件建物及び駐車場の賃借人の連帯保証人である被告に対し,平成9年1月分以降(約10年分)の未払賃料及び賃料相当損害金として約300万円の支払いを求めた事案である。

 2 争いのない事実及び証拠によって認められる事実(証拠によって認定した事実については,末尾に証拠を掲載した )。

(1) 原告は,昭和57年10月26日,訴外Aに対し,本件建物を次の約定で賃貸した。
ア 使用目的     居住用
イ 賃 料        1か月2万2000円
ウ 賃借人が賃料を3月以上滞納したときは,原告は本件建物の明渡しを請求できる。
エ 本契約は,公営住宅法,同法施行令,福山市営住宅等条例及び条例施行規則による。

(2) 被告は,昭和57年10月26日,訴外Aが原告に対して負担する本件賃貸借契約上の債務を保証人として連帯して履行することを約した。

(3) 上記賃料は,平成5年11月1日から2万6600円,平成10年4月1日から3万6000円,平成11年4月1日から3万5500円,平成12年4月1日から2万5300円 ,平成13年4月1日から3万3800円,平成14年4月1日から3万3300円,平成15年4月1日から3万2800円,平成16年4月1日から3万2400円,平成16年5月1日から3万5200円(駐車場使用料を含む。) ,平成17年4月1日から3万5100円(駐車場使用料を含む。) ,平成17年12月1日から1万9900円(駐車場使用料を含む。 )に改定された(甲3,4)。

(4) 原告は,平成16年5月1日,訴外Aに対し,本件駐車場を使用料1ヶ月2800円,期間は訴外Aが本件建物の賃借資格を有するまでの約定で使用許可した(甲4,6)。

(5) 訴外Aは 平成9年1月分から賃料の支払を滞納するようになったため,原告は,訴外Aに対し,平成18年10月25日到達の内容証明郵便で,未払賃料合計275万6000円を同書到達後5日以内に支払うよう,もし支払わなかったときは本件賃貸借契約を解除する旨の意思表示をしたが,訴外Aはこれを支払わなかったため,本件賃貸借契約は平成18年10月31日に終了した(甲2の1及び2,3)。

(6) 原告は,被告に対し,平成9年1月以降,訴外Aの賃料債務不履行の事実を伝えたり連帯保証債務履行の請求をすることを一切行わずに放置していたが,平成18年10月11日に至って初めて,訴外Aの未払賃料合計275万6000円を10日以内に連帯保証人として支払うよう催告し,更に,同年同月24日,翌日到達の内容証明郵便で,訴外Aの未払賃料合計275万6000円を同書到達後5日以内に連帯保証人として支払うよう催告した(甲9の1及び2,13,乙1,2)。

(7) 訴外Aは,平成19年7月25日,強制執行により本件建物を明け渡した(弁論の全趣旨 。)

3 争点及び当事者の主張
 (争点)本件未払賃料等を連帯保証人である被告に請求することの当否。
 (被告の主張)
(1) 原告は,平成9年1月分から賃料の不払いがあったとして,本件請求をしているが,福山市営住宅等条例41条(2)記載によれば,家賃を3ヶ月以上滞納したときは「当該入居者に対し,当該市営住宅等の明渡しを請求することができる」と規定している。

 したがって,本件建物賃貸借契約の連帯保証人の保証の本旨は3ヶ月を限度として保証しているものであって,3ヶ月分の請求ならともかく,入居者の賃料不払いを無制限に保証しているものではない。
(2) 本件請求は,地方自治体の公的義務に違背し,権利の濫用として無効である。

(3) 原告は,被告に対しては平成5年12月20日まで合計8回にわたって催告したと主張する。
 したがって,被告の連帯保証債務は,原告の主張する上記最終請求日から満5年をもって時効により消滅しているものであるところ,被告は,本訴において時効の利益を援用する。

(原告の主張)
(1) 被告の保証は3ヶ月分を限度としたものではない。
 原告が, 被告に対し, 途中から催告を差し控えていたことは事実であるが,公営住宅であることからできるだけ法的手続を留保していたとしても,訴外Aに対しては延滞賃料の支払いを厳しく催告し続けており,また,被告は訴外Aの義理の叔父であって意思の疎通も十分されていることなどを考えた場合には,仮に原告の被告に対する本件請求が地方自治体の管理業務として問題があるとしても,保証責任の期間が制限されるものではない。

(2) ア 原告は,市営住宅の明渡請求訴訟の提起等,家賃滞納整理については福山市営住宅使用料(家賃)滞納整理要綱に基づいて事務処理している。

(ア) 1ヶ月以上の滞納者に対しては,まず督促状を送付する。

(イ) 3ヶ月以上の滞納者に対しては, 「さきに督促状を送付しましたが,いまだ未納ですので表記の指定納入期限までに完納してください。 もし,期限までに完納できない事情がある場合は,住宅課へご相談ください。
なお,住宅・駐車場使用料の未納については連帯保証人に対しても連絡済です。 」の文書を送付する。

(ウ) 5ヶ月以上の滞納者に対しては, 「あなたの滞納については再三督促しているにもかかわらず表記の指定納入期限までに完納してください。なお,連帯保証人に対しても催告書を送付しております (予告)。
期限までに納入されない場合は裁判所に住宅明け渡しの訴えを行うことになります。 」の文書を送付する。

(エ) 6ヶ月以上の滞納者で家賃を支払う意思のないものに対しては,法的措置を行う旨記載した文書を送付し,警告するとともに臨戸訪問等により本人と接触し,納付指導を行う。

(オ) 市営住宅明け渡し等請求訴訟の訴え提起前日までの間に,滞納家賃の全額又は,3分の2以上の額を納付し,かつ当該納付すべき残額について分割納付誓約書を申し出た場合は,提訴しないことができるものと
する。ただし,分割納付誓約の内容は,滞納が1年以内に整理できるものとする。

イ 原告は,家賃滞納者に対しては,これまで上記要綱に基づいて事務処理していたが,市営住宅が住宅に困窮する低所得者に対し低廉な家賃で賃貸し,市民生活の安定と社会福祉増進を目的としていることから,実務的には明け渡し等請求訴訟の訴えは,滞納額とこれについて賃借人が原告の納付指導に基づいて納付誓約書を差し入れるなど誠実に対応されているかどうかによって慎重に処理していた。

ウ 連帯保証人である被告らに対して原告が催告を控えるようになったのは,訴外Aが,平成5年10月に納付誓約書を提出し,誓約書どおり分納を履行していたにもかかわらず,原告担当者が,平成5年12月20日,過って被告に催告状を出したため,訴外Aが,平成6年1月,原告担当課に来て強く抗議したため,原告は,被告ら保証人にお詫びの電話をするとともに,その後は訴外Aに賃料滞納があっても被告ら保証人に対する催告を控えるようになったものである。

(3) 主たる債務者について時効中断の事由が生じたときは,保証債務の付随性に基づき,保証人にもその効力が及ぶところ,訴外Aは,原告に対し,
① 平成11年8月25日,未払賃料債務53万7700円を承認し,
② 平成12年8月14日,未払賃料債務59万4100円を承認し,
③ 平成14年8月14日,未払賃料債務132万6300円を承認し,
④ 平成17年9月5日,未払賃料債務253万6100円を承認し,
それぞれ分割して完納する旨を誓約しているので,消滅時効は上記各承認により中断している。

 消滅時効完成後の承認が時効利益の放棄となり,主たる債務者がなした時効の利益の放棄は保証人に対して効力を生じないと解されるとしても,上記各承認は,時効完成後の承認ではないから,保証人である被告に効力が生じるものであり,被告の消滅時効の主張は理由がない。

第3 当裁判所の判断


 1 上記認定事実に加えて 証拠 (甲1, 5, 7, 8, 10ないし17, 証人B,証人C)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。

(1) 本件市営住宅は,公営住宅法にいう公営住宅に該当するものであるところ,公営住宅法は,国及び地方公共団体が協力して,健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備し,これを住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸し,又は転貸することにより,国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とするものであって(法1条) ,この法律によって整備された公営住宅の使用関係については,管理に関する規定を設け,家賃の決定,家賃の変更,家賃の徴収猶予,修繕義務,入居者の募集方法,入居者資格,入居者の選考,入居者の保管義務,明渡し等について規定し(法第3章) ,また,法の委任(法47条)に基づいて制定された条例も,使用許可,使用申込,申込者の資格,使用者選考,使用手続,使用料の決定,使用料の変更,使用料の徴収,明渡し等について具体的な定めをしているところである。

 そして,福山市営住宅等条例(甲5,8)の規定によれば,市営住宅等の入居決定者は,決定のあった日から10日以内に,入居決定者と同程度以上の収入を有する者で,市長が適当と認める連帯保証人2人の連署する請書を提出することが要求されている。

(2) 被告は,昭和57年10月26日,訴外Aが原告から本件建物を賃借するに際し,福山市営住宅等条例の上記規定に基づき,訴外Aの実父である訴外亡D(平成13年 a月 b日死亡)とともに訴外Aの連帯保証人となることを承諾し,市営住宅使用請書(甲1)の連帯保証人欄に署名・押印した。

なお,被告は,訴外Aの実母の姉の配偶者であり,すなわち,訴外Aの義理の伯父の関係にあるが,訴外Aの生活状況については必ずしも十分に把握しておらず,訴外Aが平成5年に破産宣告を受けたことすら,最近まで知らずにいた状況であった。

(3) 訴外Aは,平成3年頃から本件建物の賃料を滞納するようになった。

(3) 原告には,市営住宅使用料(家賃)の納付の円滑化を図るため,昭和64年4月1日から施行された「福山市営住宅使用料(家賃)滞納整理要綱」(甲16)が存在し,納期限までに家賃を納付しない市営住宅の入居者やその連帯保証人に対する督促や明渡請求訴訟の提起等,家賃滞納整理については,上記要綱に基づいて事務処理することとされていたものであるところ,上記要綱には以下の事項が定められていた。

ア 家賃の滞納が発生した場合には,滞納者に対し事実の認識と納付指導のため,つぎの文書を送付する。
 (ア) 1ヶ月以上の滞納者に対しては, まず督促状 (様式1) を送付する。

 (イ) 3ヶ月以上の滞納者に対しては, 「さきに督促状を送付しましたが,いまだ未納ですので表記の指定納入期限までに完納してください。 もし,期限までに完納できない事情がある場合は住宅課へご相談ください。なお,住宅・駐車場使用料の未納については連帯保証人へ連絡済です。」の文書(様式2)を送付する。

(ウ) 5ヶ月以上の滞納者に対しては, 「あなたの滞納については,再三督促しているにもかかわらずいまだ完納されていません。表記の指定納入期限までに完納してください。なお,連帯保証人に対しても催告書を送付しております。 (予告)期限までに納入されない場合は,裁判所に住宅明渡の訴えを行うことになります 。」の文書 (様式3) を送付する。

イ 以上の規定により,督促・催告したにもかかわらず納付しない滞納者の連帯保証人に対し,つぎの文書を送付する。

 (ア) 3ヶ月を超え5ヶ月までの滞納者の連帯保証人に対しては, 「さき,に「住宅・駐車場使用料完納指導依頼書」を送付しましたが,いまだに完納されていません。ついては,連帯保証人であるあなたに請求します
ので, 入居者と相談のうえ指定納入期限までに納付してください。 なお,これ以上滞納が続くようであれば,入居者に対しては,裁判所に住宅明渡の訴えを行うこととなります。また連帯保証人に対しては,住宅使用
料等(起訴費用・損害賠償金含む)の支払いを請求することになります。 」の文書(様式4)を送付する。

 (イ) 6ヶ月を超える滞納者の連帯保証人に対しては, 「あなたが連帯保証人となっている市営住宅入居者は,市の再三の督促にもかかわらず,表記のとおり滞納となっています。ついては本人と相談のうえ指定納入期限までに完納されるようご指導ください。なお,期限までに完納されない場合は,連帯保証人のあなたに請求することにもなりますのであらかじめお知らせしておきます。 」の文書(様式5)を送付する。

ウ 6ヶ月以上の滞納者で,家賃を支払う意思のないものに対して法的措置を行う旨記載した文書を送付し,警告するとともに,臨戸訪問等により本人と接触し,納付指導を行う。

エ 市営住宅明け渡し等請求訴訟の訴え提起前日までの間に,滞納家賃の全額又は, 3分の2以上の額を納付し, かつ, 当該納付すべき残額について,分割納付誓約を申し出た場合は,提訴しないことができるものとする。ただし,分割納付誓約の内容は,滞納が1年以内に整理できるものとする。

(5) 原告は,本件建物の賃料を滞納するようになった訴外Aに対しては,平成3年1月20日から平成5年6月18日までの間,上記様式1ないし3の催告書等を11回にわたって送付するとともに,保証人である被告に対しても7回にわたって催告書を送付した。

 一方,訴外Aは,平成5年6月7日に自己破産決定を受け,その後,免責決定も受けたが,原告に対しては,平成5年10月19日,納付誓約書を提出して未払賃料を分納することを約束し,その後,同約束に従ってこれを履行していた。

 ところが,訴外Aが上記納付誓約書に記載された約束を概ね遵守して未払賃料の分納を続けていたにもかかわらず,原告担当者は,平成5年12月20日,過って被告に対して催告書を送付してしまったため,訴外Aは,平成6年1月,原告担当課に来てそのことを強く抗議し,原告担当者は,被告に対し,電話で謝罪した。

 このことがあってから,原告は,内部的な申し送りとして,訴外Aに賃料滞納があっても,上記納付誓約書に記載された約束を概ね遵守して未払賃料の分納を続けている限りは,被告ら保証人に対しては催告書の送付を控える取り扱いとすることを取り決めた。

(6 ) ところが,訴外Aは,平成6年夏頃から,上記納付誓約書に記載された約束どおりの納付を滞るようになり,その後,新たな滞納分も加わって,平成11年8月25日現在の滞納額は53万7700円,平成12年8月14日現在の滞納額は59万4100円,平成13年9月3日現在の滞納額は99万0800円,平成14年8月7日現在の滞納額は129万3000円,平成15年8月20日現在の滞納額は172万3400円,平成16年12
月20日現在の滞納額は226万7000円,平成17年11月17日現在の滞納額は265万3400円と増加した。

 原告は,訴外Aに対しては,再三にわたって催告書を送付し,臨戸訪問等により本人と接触し,納付指導を行うなどし,更には,平成11年8月25日,平成12年8月14日及び平成17年9月5日には納付誓約書を提出させるなどしたが,被告に対しては,上記の内部的な申し送りの趣旨を後任者に正確に伝えなかったこともあってか 「福山市営住宅使用料(家賃)滞納,整理要綱 」(甲16)に反して,催告書を全く送付することなく,また,訴外Aの賃料滞納の状況についても一切知らせずに放置していた。

 なお,この間の平成13年7月10日,訴外Aのもう1人の連帯保証人である訴外亡D(訴外Aの実父)は死亡した。

2 被告は,福山市営住宅等条例41条( )において,家賃を3ヶ月以上滞納したときは「当該入居者に対し,当該市営住宅等の明渡しを請求することができる」と規定しているところから,本件建物賃貸借契約の連帯保証人の保証の本旨は3ヶ月を限度として保証しているものであって,入居者の賃料不払いを無制限に保証しているものではないと主張するので,まず,この点について検討する。

 公営住宅法は,国及び地方公共団体が協力して,健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備し,これを住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸し,又は転貸することにより,国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とするものである(法1条)ことは上記判示のとおりであるから,そもそも,公営住宅の賃貸借において,住宅に困窮する低額所得者である賃借人の賃料未払いを担保するために,賃貸借契約締結の条件として連帯保証人を付することを要求することの正当性及び合理性自体に疑問があるところであり,本来,生活保護法における住宅扶助の制度と連動させるなどの法的整備が望まれるところであるが,公営住宅の賃貸借において賃貸借契約締結の条件として連帯保証人を付することを要求すること自体が違法であるとまで解することはできず,一方,連帯保証人を付することの効用としては,公営住宅の賃借人に対し,連帯保証人に迷惑を掛けてはいけないという道義心から賃料支払義務の確実な履行を促す効果が期待でき,また,公営住宅の賃借人が賃料を滞納した場合に,公営住宅の賃借人に対して連帯保証人から納付を促してもらうことによって,賃料支払義務の履行をより強力に促すことができるという効果が期待できるのであり,上記認定にかかる「福山市営住宅使用料(家賃)滞納整理要綱 」(甲16)も,滞納整理に関する行政機関の内部的な規範ではあるが,以上の趣旨に添うものとして評価できる。

 以上の観点によれば,本件建物賃貸借契約における連帯保証人の保証責任の範囲として,入居者の賃料不払を無制限に保証していると解することは相当でなく,自ずから社会的相当性の認められる一定の範囲に限定されるべきものではあるが,その責任範囲についての明確な約定の存在しない本件において,福山市営住宅等条例41条(2)の規定のみを根拠として連帯保証人の保証の本旨は3ヶ月を限度とするものであると解することは必ずしも相当でなく,この点に関する被告の上記主張は直ちには採用できない。

3 しかしながら,公営住宅の賃貸借契約における連帯保証人の意義が上記判示のとおりであって,入居者の賃料不払いを無制限に保証していると解することは相当でないことは上記判示のとおりであるから,公営住宅が住宅に困窮する低所得者に対し低廉な家賃で賃貸し,市民生活の安定と社会福祉増進を目的としていることから,公営住宅の賃貸借契約に基づく賃料等の滞納があった場合の明渡等請求訴訟の提起に関して,その行政実務において,滞納額とこれについての賃借人の対応の誠実さなどを考慮して慎重に処理すること自体は相当且つ適切な処置であるとしても,そのことによって滞納賃料等の額が拡大した場合に,その損害の負担を安易に連帯保証人に転嫁することは許されず,明渡等請求訴訟の提起を猶予する等の処置をするに際しては,連帯保証人からの要望があった場合等の特段の事情のない限り,滞納額の増加の状況を連帯保証人に適宜通知して連帯保証人の負担が増えることの了解を求めるなど,連帯保証人に対しても相応の措置を講ずべきものであるということができる。

 これを本件についてみるに,連帯保証人である被告に対する原告の催告状況は上記認定のとおりであって,賃借人である訴外Aが,平成6年夏頃から,納付誓約書に記載された約束どおりの納付を滞るようになり,その後,新たな滞納分も加わって,平成11年8月25日現在の滞納額は53万7700円,平成12年8月14日現在の滞納額は59万4100円,平成13年9月3日現在の滞納額は99万0800円,平成14年8月7日現在の滞納額は129万3000円,平成15年8月20日現在の滞納額は172万3400円,平成16年12月20日現在の滞納額は226万7000円,平成17年11月17日現在の滞納額は265万3400円と増加したにもかかわらず,被告に対しては, 「福山市営住宅使用料(家賃)滞納整理要綱」 (甲16)に反して,平成5年12月20日に催告書を送付したのを最後に,平成18年10月11日に至るまで,催告書を全く送付することなく,また,訴外Aの賃料滞納の状況についても一切知らせずに放置していたものであり,原告には内部的な事務引継上の過失又は怠慢が存在するにもかかわらず,その責任を棚上げにする一方,民法上,連帯保証における責任範囲に限定のないことや,連帯債務における請求に絶対効が認められることなどから,被告に対する請求権が形骸的に存続していることを奇貨として,敢えて本件訴訟提起に及んでいるものであり,本件請求における請求額に対する被告の連帯保証人としての責任範囲等を検討するまでもなく,本件請求は権利の濫用として許されないものというべきである。

4 以上によれば, 原告の本訴請求は, その余の点について判断するまでもなく,理由がないから棄却することとし,訴訟費用の負担につき民事訴訟法61条に従い,主文のとおり判決する。

     広島地方裁判所福山支部

        裁 判 官    杉 本   正 樹

(別紙)
  目 録
  住 宅 名     c市営住宅
  所 在 地     広島県福山市d 町e 番地
  住宅番号   f号棟 g号
  構 造         鉄筋コンクリート造陸屋根 階建h
  種 類         共同住宅
  面 積         i平方メートル
     (附属物置)
  構 造        鉄骨造平家建
  面 積        j平方メートル

  駐車場
  構 造        アスファルト舗装
  面 積        k平方メートル
  以 上


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2008年4月23日 (水)

*解約申入れ後にされた立退料の提供を考慮して明渡の正当事由を判断した事例

 判例紹介

 解約申入れ後に立退料の提供又は増額された場合、この立退き料の提供又は増額を考慮して解約申入れの正当事由を判断することができる。 (最高裁第2小法廷平成3年3月12日判決

 (事案)
 X(賃貸人)の先代は、昭和10年頃その所有する建物をY(賃借人)に賃借し、Xの先代死亡により右建物を相続したXは、昭和61年8月、建物の朽廃による賃貸借契約の終了及び信頼関係の破壊による賃貸借契約の解除を理由として、Y(賃借人)に対し建物明渡請求訴訟を提起した。

 訴訟提起後の昭和62年5月、Xは、100万円の立退料の提供を申出て賃貸借契約の解約を申入れ、右解約申入れを明渡しを求める理由として追加した。

 1審判決は、Xの主張を全て否定して、X(賃貸人)敗訴。Xは控訴し、平成元年7月、300万円もしくはこれとそれほど差異のない範囲で裁判所が相当と認める立退料を支払うとして再度賃貸借契約の解約を申入れた。

 2審判決は、300万円の立退料の提供申出により解約申入れの正当事由は具備したとして、平成元年7月の解約申入れを有効としてX(賃貸人)勝訴。Yはこれを不服として上告した。

 (判決)
 判決は、賃貸借契約の解約を申入れ後に、賃貸人が、立退料を提供した場合または解約申入れ時に提供していた立退料を増額した場合でも、立退料の提供または増額を考慮して当初の解約申入れの正当事由を判断することができるとして、昭和62年5月の解約申入れを有効とし、Y(賃借人)の上告を棄却した。

 その理由は「立退料等の金員は、解約申入れ時における賃貸人及び賃借人双方の明渡しに伴う利害得失を調整するために支払われものである上、賃貸人は、解約の申入れをするに当たって右金員の提供を申出る場合にも、その額を具体的に判断して申出ることも困難であること、裁判所が相当とする額の金員の支払により正当事由が具備されるならば、これを提供する用意がある旨の申出も認められていること、立退料等の金員として相当な額が具体的に判明するのは建物明渡請求訴訟の審理を通じてであること、さらに、右金員によって建物明渡しに伴う賃貸人及び賃借人双方の利害得失が実際に調整されるのは、賃貸人が右金員の提供を申出た時ではなく、建物の明渡しと引換えに賃借人が右金員の支払を受ける時であることなどにかんがみれば、解約申入れ後にされた立退料等の金員の提供又は増額の申込であっても、これを当初の解約の申入れの正当事由を判断するに当たって参酌するのが合理的である」

 (寸評)
 この最高裁判決は、1審判決と比較すれば明らかなように、借地借家法の趣旨・精神に照らせば正当事由の補完として厳格に判断されなければならない「立退料の提供」の適用場面を広くするものである。立退料の提供によって正当事由が補完できることを明文(6条・28条)で認めた「借地借家法」の成立と相まって、今後、ますます立退料の提供による明渡請求に拍車がかかるものと思われる。 1992.3.

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より


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2008年4月 9日 (水)

借家の明渡調停中に家主が駐車場の解約を突然申入れ

 府中市若松町1丁目で、木造スレート葺の居宅1棟約13.5坪を借りている西宮さんと小椋さんは、8月に家主の依頼を受けた不動産業者から突然10月末までに明渡すよう通告されて以降、組合から明渡しを拒否する文書を出し、その後の話合いで業者は手を引いてしまった。

 その後、組合立会で家主との話合いの席を設けようとしたが、家主は拒否し、弁護士を代理人に立て10月に建物明渡しの調停を立川簡易裁判所に申立ててきた。

 調停での話合いをすすめているさ中、家主は西宮さん達を訪ね「甲州街道沿いの道路は閉鎖するので、駐車場契約は解約する。11月1杯までに車を移動せよ」と言ってきた。西宮さん達は、車1台分は借家の契約条件に含まれている(別途駐車場料金は支払っている)ので、車の移動はできないと拒否。

 甲州街道側にお茶の伊藤園に建物を建てて貸すことになっているため、家主は自分の屋敷を一部壊して、旧甲州街道に通路を設けた。西宮さん達に、その後屋敷の玄関の側に車を移動せよと言ってきたが、それでは車の出入りに不自由と2人とも頑張り、結局家主は「従来通り駐車場を使っていい」と言い出した。

 家主はその日の内に態度がくるくる変わり、2人とも困惑ぎみだが、家屋明渡しの調停についても最後まで頑張る決意でいる。

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2008年4月 2日 (水)

短期賃貸借の保護がある

 (問) 平成15年に2年契約で店舗を借りた。2年後の更新は家賃値上げで揉め、期間満了後の継続使用による法定更新となった。平成19年4月に競売になり、11月に競落した買受人から店舗の明渡請求をされている。貸主と不動産業者は契約時に抵当権が設定されていることを一切説明していない。そのことを知っていれば設備費に300万円を投入していなかった。この300万円の損害を貸主と不動産業者に損害賠償請求が出来ないか。また、200万円の保証金返還請求は誰にすればいいのか。

 (答) 「短期賃貸借の保護」抵当権の登記後に抵当不動産上に設定された利用権は、抵当権が実行されると覆滅するのが原則である(民法177条)。しかし、利用関係が抵当権者に損害を及ぼすものでない限り、これを覆滅させないことが望ましい。

 そこで利用権が602条の短期賃貸借(建物賃貸借の場合は3年以内の契約である場合は抵当権の登記後に設定された賃貸借でも、抵当権者や買受人に対抗出来る民法395条)として、抵当権と利用権の調和を図った。だが、平成16年4月1日、民法395条「短期賃貸借保護制度」は廃止された。

 しかし、「短期賃貸借に関する経過措置」により次の条件を満たしていると「短期賃貸借の保護」が継続される。
 即ち、「この法律の施行の際現に存する抵当不動産の賃貸借(この法律の施行後に更新されたものを含む。)のうち民法602条に定める期間を超えないものであって当該抵当不動産の抵当権の登記後に対抗要件を備えたものに対する抵当権の効力については、なお従前の例による。」(担保物権及び民事執行制度の改善のための民法等の一部を改正する法律・平成15年8月1日法律第134条、「短期賃貸借に関する経過措置」附則第5条)。

 この附則第5条により抵当権設定後の建物賃貸借であっても法律施行前(平成16年3月31日まで)に契約された対抗力のある期間3年以内の建物賃貸借契約の場合は従来通りの「短期賃貸借の保護」規定が適用される。

 また、その賃借権が法律施行(平成16年4月1日)後に3年以内の契約期間で更新された場合(法定更新された契約の場合)も「短期賃貸借の保護」規定が適用される。

 その後、更新が何度も繰り返されても同様である。即ち、将来的に競売が実行されるまでは、何度でも契約更新が出来るということであり、「短期賃貸借の保護」規定も継続されるということである。

 但し、抵当権実行による差押さえの効力が発生した時以降に期間満了した場合にはもはや更新できないものとされている(最高裁昭和38年8月27日判決)。

 なお、「期間の定めのない建物賃貸借契約」は、「正当事由」があればいつでも解約できるのであるから民法395条にいう短期賃貸借に当たるという最高裁昭和39年6月19日判決がある。

 相談者の賃貸借契約は「短期賃貸借に関する経過措置」より民法旧395条の短期賃貸借の保護がある契約であるから買受人(新所有者)に対して対抗力がある。

 従って、賃借人の預託した敷金(保証金)200万円は原則として新所有者から返還される。また、賃借人の賃借権は新所有者に対抗出来るので無条件で解約されることはない。新所有者の明渡請求裁判が確定するまでは建物を明渡す必要はない。

 登記簿の調査義務に関して、裁判所は「宅建業者は賃貸人に確認するのはもとより、疑問のある場合は登記簿を閲覧するなどして差押登記等の有無を確認し、賃借人に不測の損害を被らせないように配慮すべき義務がある」(東京地裁平成4年4月16日判決)として損害賠償請求を認めている。

 また、熊本地裁平成8年9月4日判決では、宅建業者の重要事項説明(宅建業法35条1項1号)に差押登記の有無も含まれるとして不動産業者の差押登記の調査説明義務違反を理由損害賠償責任を認めている。貸主に対しては、建物が差押えられている事実を借主に伝える告知義務違反があったとして不動産業者と連帯して損害賠償の支払を命じている。

 結論、損害賠償責任は貸主と不動産業者にある。また保証金は新所有者から返還される。


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2008年4月 1日 (火)

競売で取得した新家主の明渡し請求に従前からの借家人は対抗できるか

 (問) 平成15年から3DKのマンションを借りています。先日、この建物を競売で取得した新家主から「あなたには対抗力がないので法律上強制的に追い出すことができる」と言って、立退きを要求されました。こういう状態でこの先、ずっと借りつづけることがてきるでしょうか。

 (答)  あなたが平成15年に借りた時に、この建物に既に今回競売の原因になった抵当権が設定されていたのかどうかによって借家人の対抗力の有無が決まります。賃借権の設定と抵当権の設定のどちらが先かによって分かれるのです。

 あなたが賃借した後に抵当権が設定されたのであれば競落した新家主に対抗できるので、従前どおり借り続けられます。

 抵当権の設定の方が先の場合は残念ですが原則として対抗力はありません。
 ただし、民法395条の規定で3年以下の短期契約については、残存期間だけ保護されます(注)。賃貸借契約期間の決め方によって以下の3通りになります。

 (1)契約期間が3年以上の場合
 例えば5年契約の場合は対抗力はありません。5年のうち3年だけ保護されるということでもありません。この場合は新家主と明渡しの猶予期間などで折り合いを付けるほかありません。

 (2)契約期間が3年以下の場合
 この場合は残存期間だけは保護されます。例えば2年契約で契約期間満了まで後1年残っているときは1年だけは借りられますが、それを過ぎると対抗力は無くなります。

 (3)契約期間の定めがない場合
 期間の定めのない契約をした場合や当初は期間を定めたけれども途中で法定更新になり以後期間の定めのない状態になった場合は、競落した新家主の契約解除の請求は、6ヶ月前の通知とか、その建物を自ら使う必要性などの正当事由がなければなりません。

 もっとも、この場合の正当事由の判断は、普通の場合と違いゆるやかにされ、家主有利に判断されます。
 上記(2)と(3)いずれの場合も新家主と、立退料や明渡しまでの猶予期間など相当な明渡し条件で折り合いを付け、和解する事例が多いようです。

東京借地借家人新聞より

(注)平成16年4月1日、民法395条「短期賃貸借保護制度」は廃止された。

 しかし、「短期賃貸借に関する経過措置」(附則第5条)により抵当権設定後の建物賃貸借であっても平成16年3月31日までに契約された対抗力のある期間3年以内の建物賃貸借契約の場合は「短期賃貸借の保護」が適用され、その後の更新も認められる。従って、平成16年3月31日までに締結された契約に関しては、現在も短期賃貸借の保護制度は適用されている

 即ち、「この法律の施行の際現に存する抵当不動産の賃貸借(この法律の施工後に更新されたものを含む。)のうち民法602条に定める期間を超えないものであって当該抵当不動産の抵当権の登記後に対抗要件を備えたものに対する抵当権の効力については、なお従前の例による。」(「短期賃貸借に関する経過措置」附則第5条)。
  なお、短期賃貸借の保護を受けている契約の場合、原則的には預託した敷金は新家主から返還されることになっている。



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2008年3月29日 (土)

地主が土地の有効利用を理由に明渡し訴訟

 大田区蒲田本町に居住する高橋さんは約9坪、田中さんは約12坪の土地を賃借。今年の7月の契約更新に当り更新拒絶を通告され昨年6月組合に入会。

 通知書を見て驚く、借地権を現在の地代の約54年分(高橋さん)、約42年分(田中さん)に消費税を加えて買い取るとの内容だった。

 直ちに借地人らは、所有する建物が現存するので借地法第4条による契約の契約更新を請求した。

 しばらくして地主の代理人という、六本木ヒルズに事務所を構える弁護士から内容証明郵便にて、土地の有効利用を理由に更新拒否して地主が提示した金額で買い取るので協議したいと申し込まれた。
 借地人らは、借地権を売却して他に移転する考えはないこと。よって、地主に協議には応じられないと通告した。

 地主は同地に居住時に、マンション業者に土地売却し残地を賃貸駐車場にしている。借地権を低額で買い取って土地を売却して高額な利息を得ようという、有効活用を正当事由にするとは恐れ入る。

 こんな地主の勝手な主張を認めることはできないと、借地人は断固地主と対決する決意を固めている。
 もともと立ち退く考えはないが、こんなに安い金額を提示するとはそもそも借地人らの権利を無視したもので、人を押し退け犠牲にしても「金儲け」しようとする姿勢は、ますます社会的格差を拡大するものでゆるせない気持ちを強くした。

 それから約半年経過した11月に建物収去土地明渡請求の訴状が届いた。すでに裁判も想定されて弁護士に相談していた両名は、組合の顧問弁護士に依頼した。土地の有効利用を理由に借地人の生活基盤を脅かす理不尽な請求には絶対に負けられないと、裁判にのぞんで決意を新たにしている。

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2008年3月28日 (金)

新所有者の不動産業者が建物の明渡を言って来た

 豊島区池袋で古い木造の平屋建ての建物で、クリーニング屋を営んでいた川上さん夫妻は、今から20年位前に家主から家賃の大幅な値上げを請求された。

 困っている時に友人から、借地借家人組合を紹介され、入会した。組合から家賃の増額には応じられない旨通知すると、家主は、賃料の受領を拒否してきた。そのため、賃料を法務局に供託し、頑張ってきた。

 その後、供託中の5年前に道路の拡幅のために立退き問題が起こり、家主とその代理人との交渉が行われ、最終的には今までより奥に、新しい2階建ての家を建ててもらいそこに住むことになった。

 川上さんの夫は新しい家に引越しと同時に死亡し、現在は一人住まいである。やっと終の住処を得たと思っていた今年になって、不動産業者が新しい家主と名乗り、立退きを求めてきた。

 何度も起こる借家のトラブルに、川上さんは「組合だけが頼りです」と語り娘さんとも相談しながら、今後の対策を進めていくことにした。

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2008年3月27日 (木)

家主の明渡し請求を撤回させる

 荒川区西尾久で4階建マンションの1階店舗(約12坪)を借り電気店を営む鈴木さんは、4年前の秋に漏水事故が発生し家主からマンションを建て直すから明渡してほしいと通告された。

 このマンションは2階から上は居室で20数世帯以上の入居者がいたが、水道の設備が悪く時々漏水事故が数箇所で発生していた。

 店舗を借りている人は6店舗だが、気がついてみると居住者も減り店舗も3店舗となった。更新時が来る人から徐々に立退いたようだ。鈴木さんは最後まで残って営業を続けていた他の2人に声をかけ3人で組合に相談し入会した。

 「水漏れ程度なら修繕で直せるのにどうしても追い出すなら、それなりの補償をするか、近くに代替の店舗を確保し再築時には現行の賃料で再入居させよ」と何度か家主と交渉を続けた。

 この間に家主は代替の店舗を探してきたが店舗としては狭すぎるため、建て直し期間中に品物の展示ができないために他の倉庫を借りて保管しなければならず、鈴木さんたちは倉庫の賃料も補償してほしいと主張した。

 考えると回答したものの何ら誠意も見せず時間が経過し、最近になってついに建て替えをあきらめ建物を部分的に補修し、入居者の募集を始めた。徐々に入居者が増え、空き店舗にも新しい入店者が入ってきた。

 鈴木さんたち3人は最後まで営業を守り頑張りぬいた結果、家主の明渡し請求を撤回させる大きな成果を上げた。この経験を生かして今後は商売繁盛に力を入れると張り切っている。

東京借地借家人新聞より


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2008年3月25日 (火)

威圧行為に50万円の慰謝料を支払え(京都地裁)

 京都市南区の1棟2戸建ての木造2階建て借家に住むAさんは、ワンルームマンション建設を理由に家主と管理業者から脅迫的な言葉で立ち退きを繰返し強要されていました。

 棟続きの隣りの空家の取壊しの際に、その廃材を通路や玄関口に散乱させるなど、嫌がらせを受けていました。思い余って、家主と管理業者に対して200万円の損害賠償を京都地裁に訴えていました。

 2007年10月18日、京都地裁は、「隣接家屋の取壊しは女性に圧力をかける目的で、不法行為に当る」として50万円の支払を命じました。

 判決によると、1953年に建築された木造借家で、昨年1月頃からAさんは、家主と管理業者から追い出しを迫られ「どんなことをしてでも空けてもらう。うちのやり方でするさかい」などと再三再四明渡を求められました。

 そして、今年4月になって棟続きの隣家を取壊す際、嫌がらせにAさんの家屋の壁を引き剥がし、また2階屋根中央に穴を開ける等、何らAさん宅の養生もせずに放置しました。また、窓枠や建具、瓦などの廃材をわざと通路へ散乱させ放置してきました。

 Aさんは、管理業者からの暴言を録音し、その威圧行為を裁判所に訴えました。裁判所は、録音内容を基に「取壊しは女性に心理的圧力をかける目的と推認でき、違法だ」と指摘し、精神的損害を認め50万円の慰謝料の支払を命じました。また、家主側の老朽化を理由にした明渡請求の主張を却下し、 Aさんに引続きそこに住み続ける居住の権利を認めました。

全国借地借家人新聞より


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2008年3月18日 (火)

店舗の明渡が一転共同ビル内に移動で合意

 池袋駅近くの共同ビルで小料理屋を営む赤坂さんは、家主から明渡しか賃料の値上げを求められ、このままでは商売を続けることが出来ないと組合に相談した。

 組合の存在は知人を通じて賃貸借のトラブルだったら組合に相談するのが一番と言われていた。明渡し請求には正当事由がないこと、賃料の値上げは双方の合意がないと出来ないので拒否することで家主と交渉することになった。ただ、家主も事情があり、こちらにも事情があるので、5年から10年の賃料は現行の据置で定期借家契約という提案も検討することにした。

 組合が交渉の窓口ということで、家主も無理やりの交渉はせずに、いくつかの提案をしてきた。最終的に同一フロアーの別の場所で、現行賃料で、店舗の内装は家主もちと言う条件で営業をすることで合意した。赤坂さん「これで安心して営業することができます」と語った。

東京借地借家人新聞より


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2008年3月13日 (木)

築69年の借家の明渡し請求されても移転できない

 足立区江北町で長屋を借りている堺さんは、今年の6月末に突然不動産屋が現れ、立退くか借地権を買取るか二者選択を迫られた。

 家主を訪ねたが「もう関係ない」と突き放された。堺さんは、地元の議員の紹介で組合に相談に来た。

 建物は築69年で、老朽化を理由に立退きを請求され、家主は弁護士を代理人に立ててきた。堺さんは、週2回のアルバイトと僅かな年金で、弁護士からは現家賃(3万5千円)の1年分の立退料の提示があったが、到底移転できそうもない。交渉を継続中。

東京借地借家人新聞より


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2008年3月12日 (水)

再開発理由で明渡し

  家主が不調後に業者に売却
 新家主も同じ代理人通じ明渡し請求

 新宿副都心の西新宿で美容室を営業している佐伯さんは、昨年家主から再開発を理由に明渡しの調停にかけられた。

 家主の代理人の弁護士から立退きの補償はいくら位なら明渡しに応じるのか返事してほしいといわれ、知合いの内装屋さんに美容室の内装費用を見積もり、5百万円から6百万円かかるといわれ相手に通告した。

 家主の代理人はこの費用については補償する用意があるが、その他引越しに必要な費用や入居の際にかかる礼金、保証金、手数料などは自己負担するよういわれ、「自己負担してまでも立退き応じることはできない」と断わり調停を不調にした。

 ところが、今年7月に家主が再開発業者に売却してしまった。新しい家主も同じ代理人弁護士を通じて明け渡しを請求してきた。同時に家賃の受取り拒否を通知してきた。

 この時点で組合に相談。組合では、現行通りに家賃の支払いをすること。売却したというけれど、「前家主からは何の通知もないので、法務局にいって建物の登記を確認すること」その上で、家賃を支払い、受取を拒否したら供託で対抗し、立退きの話合いをすることをアドバイスした。

 佐伯さん「この一年間、立退き請求に始まり、調停、新家主の出現、家賃の受取拒否、弁護士から居座るならば裁判をするなどと脅かされ落ち着いて仕事も出来ない状態だったが、組合に相談して安心しました」と語っている。

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2008年3月 7日 (金)

スルガ社、地上げ資金に150億円 暴力団に一部流出か

  スルガ社、地上げ資金に150億円 
                            暴力団に一部流出か

2008年03月06日    朝日新聞 朝刊

 東証2部上場の不動産・建設会社「スルガコーポレーション」(横浜市)が所有していたビルを巡る弁護士法違反事件で、同社は、地上げを依頼した不動産会社「光誉実業」(大阪市)側に、東京都内の5ビルの立ち退き交渉に伴う資金として、総額約150億円を提供していたことが警視庁の調べでわかった。このうち、入居者への立ち退き料などの費用を除いた数十億円が光誉の報酬になったとみられる。同庁はその報酬の一部が山口組系暴力団に流れた疑いがあるとみている。

 組織犯罪対策4課の調べで、スルガ社は同5ビルの土地の転売で、総額約270億円の利益を得ていたこともわかった。

 調べでは、スルガ社は03~07年、逮捕容疑の対象となった「秀和紀尾井町TBRビル」(千代田区麹町5丁目)のほか、渋谷区道玄坂2丁目のビル、同区宇田川町の2ビル、港区赤坂2丁目のビルについて、光誉に立ち退き交渉を依頼。光誉はいずれも、1年~約1年半で交渉を終え、その後、いずれの土地も転売されたという。

 TBRビルではスルガ社は光誉に約42億円を提供。このうち20億円程度が立ち退き料に充てられ、人件費などの経費を除いた十数億円が報酬として光誉の利益になったとみられる。

 ほかの4ビルでは、スルガ社から光誉側に計100億円余りが支払われ、TBRビルの分と合わせると計約150億円。うち半分程度が立ち退き料として使われ、光誉には1物件あたり数億円ずつの報酬が渡ったと同課はみている。

 それら報酬の一部が同社と関係のある山口組系暴力団側に流れた疑いがあるとみて、同課は資金の流れを調べている。

 一方、スルガはTBRビルの立ち退き後の土地の転売で約90億円の利益を得た。道玄坂2丁目のビルの場合は、スルガ社が03年7月に大手建築会社の子会社から約56億円で購入。立ち退き後に更地にして05年4月に売り、約48億円の転売益を得た。

 不動産関係者によると、不動産の転売では、購入から1年~1年半のうちに手放したほうが利益が出やすいという。それ以上かかると借入金の金利で転売益が圧縮されるためという。

 スルガ社の大川武男総務部長は朝日新聞の取材に、光誉に立ち退き交渉を依頼したことについて「土地は早く売らないと利益にならない。転売の生命線はスピード。光誉はそれが示された」と理由を説明している。

■自民党の2支部に献金

 自民党衆院議員の菅義偉前総務相(神奈川2区)が代表を務める政党支部が01~07年、都心のビルの地上げを巡る弁護士法違反事件で警視庁の家宅捜索を受けた不動産・建設会社「スルガコーポレーション」から、計104万円の献金を受けていたことが分かった。小此木八郎元経済産業副大臣(同3区)の政党支部も03~07年に計60万円の献金を受けていた。菅議員は返金を検討しているという。

 政治資金収支報告書などによると、菅議員が代表の自民党神奈川県第2選挙区支部は01~07年、年12万~22万円の献金を同社から受領。小此木議員が代表の同第3選挙区支部は03~07年に毎年12万円ずつ受けていた。

 菅議員の事務所は朝日新聞社の取材に、「報道されるまで事件をまったく知らなかった。指摘されている容疑が事実であれば決して許されないことであり、早急に返金する」と回答。小此木議員の事務所は「付き合いがあるのは確かで、事実関係を確認中」としている。

   地上げ事件:スルガ社、「プロ」との闇のタッグで急成長

  毎日新聞 2008年3月6日 

 あの日が事件の始まりだった。

 JR横浜駅に近いビル街にある東証2部上場の不動産会社「スルガコーポレーション」役員室。03年6月ごろ、男はドアを開けるなり「偽の売買契約書が必要だ」と声を荒らげた。それが、弁護士法違反容疑で今回逮捕された「光誉(こうよ)実業」社長、朝治(あさじ)博容疑者(59)だった。

 役員たちはその風ぼうから「堅気じゃないな」と不安を感じた。それでも、岩田一雄社長兼会長(69)=4日社長辞任=は、光誉に交渉を任せた。当時、スルガ社は東京・有楽町の中古ビル(9階建て)を購入し、立ち退き問題を抱えていた。交渉が進まず借入金の金利負担が増し経営を圧迫していた。取引先の不動産業者に頼み込んで、「地上げのプロ」と朝治容疑者を紹介されていた。

 スルガ社は72年、一戸建ての建築会社として出発した。しかし、岩田社長は95年、業界紙に「工事の請負だけで高収益を確保するのは無理だ」と嘆いている。その後、目をつけたのが、都心のビルを購入しテナントを立ち退かせた後に転売するという「不動産ソリューション事業」だった。指定暴力団山口組系組幹部との交際をバックに立ち退きを迫る朝治容疑者は、うってつけの人材といえた。

 両者が初めて手を組んだのは03年8月。東京・渋谷のファッションビル「SHIBUYA109」に隣接する築40年のテナントビル(13階建て)の地上げだった。光誉の名刺を持った男がテナントを一軒一軒訪ね、光誉がスルガ社から所有権を譲り受けたように見せかけた偽の売買契約書を手にすごんだ。「うちが全部やるんだ。早く出て行ってくれ」。このビルは1年8カ月後に取り壊され、スルガ社は転売で億単位の利益をあげた。

 この「味」が病みつきとなり、スルガ社は光誉への依存度を強めていく。03年8月以降都内で購入した11棟のうち、渋谷区や港区など地上げが難航していた6棟で光誉との間で同様の偽の売買契約書を結んだ。都心の一等地では、立ち退きが早く進めば大きな利益につながる。

 スルガ社の売上高は03年からの5年間で2倍となり、07年3月期の連結売り上げは800億円超に急成長した。4日の会見で岩田会長は偽の売買契約書について「(光誉との間で)所有権を仮装していたことは知っていた」と認めた。急成長を担ったのは紛れもなく光誉の力だった。

 上場企業が暴力団と関係の深い企業を利用した。山口組の東京進出と都心の不動産バブルを背景にした地上げ事件の構図を追った。

 追伸、スルガ社は、今回の事件が原因で金融機関から融資を止められ、2008年6月下旬に倒産した。>



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2008年3月 6日 (木)

スルガ社、「所有権移転」文書配布 光誉と一体で仮装か

   スルガ社、「所有権移転」文書配布 光誉と一体で仮装か


2008年03月05日  朝日新聞夕刊 

 東証2部上場の不動産・建設会社スルガコーポレーション(横浜市)が所有していた都心のビルを巡る弁護士法違反事件で、同社がビルの入居者に、ビルの所有権が不動産会社「光誉実業」(大阪市)に移ったと仮装する文書を送付していたことがわかった。立ち退き交渉にあたった光誉は入居者に、実態の伴わない売買契約書などを示していた。警視庁は、これらの文書は地上げを進めるためスルガ社と光誉が一体となって作成したとみている。

 スルガ社の岩田一雄会長(代表取締役社長を辞任)は4日の記者会見で、光誉との「仮装売買」を認め、「(仮装を)知った上で書類に決裁印を押した」と述べた。警視庁はスルガ社側が違法性を認識した上で光誉に立ち退き交渉を依頼していたとみて、スルガ社関係者の事情聴取を進めている。

 組織犯罪対策4課などの調べでは、事件の舞台となった東京都千代田区麹町の「秀和紀尾井町TBRビル」と土地の所有権は05年9月、外資系投資銀行からスルガ社に移った。直後の同年10月上旬、ビル入居者に岩田社長名の「お知らせ」と題する文書が送られた。同月11日付で所有者が光誉と都内の住宅販売会社に移り、翌11月から家賃の支払先が変更になる、との内容だった。

 同じころ、ビルがスルガ社から光誉などに転売されたとする「不動産売買契約書」の写しが、光誉から入居者に送られた。また、光誉とともにビルの所有者となった形の住宅販売会社が、テナント賃料の代理受領を光誉に依頼するとした「委任状」も入居者に届けられたという。

 当時入居していた弁護士の話では、文書を受け取ったあと不動産登記簿などを確認したところ、所有権はスルガ社のままになっていた。このため同社に10月26日付の内容証明郵便で所有権移転の真偽を照会した。2日後、スルガ社から「所有権は移転しているため、賃料は光誉実業の口座に振り込んでください」と回答があったという。

 こうした文書が入居者に届けられた05年10月以降、光誉の朝治博容疑者(59)らは立ち退き交渉を本格化させたという。

 調べでは、スルガ社が光誉に地上げを依頼したほかの物件を巡っても、同様に売買を仮装した書類が使われたという。

 この事件で警視庁は12人を逮捕。5日午前、スルガ社を家宅捜索した。

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“わけあり物件”の取得で急成長   バブル経済の崩壊とともに、地上げ屋は表舞台から姿を消した。その地上げ屋が再び息を吹き返したのは1990年代後半のことだ。その要因の1つは不動産ファンドの急増である。

 1990年代後半になると、地価下落で割安になった不動産を購入する海外のファンドが増え始めた。その後、国内系ファンドも登場し、雨後の竹の子のように増えたファンドがオフィスビルやマンションを買いあさった。動き出した東京の不動産市場。大阪を地盤にしてきた地上げ屋が東上を始めたのはビジネスチャンスを嗅ぎ取ったからだろう。

  こうしたファンドの旺盛な需要を満たすため、不動産開発業者は競うように物件を建築した。その結果、用地価格は高騰。取得費用を抑えるため、入居者のいる物件を安価に購入し、専門業者を使って立ち退かせるデベロッパーが相次いで出た。光誉はまさに、この専門業者。その意味では、昨今の不動産バブルが生んだあだ花である。

 そして、光誉に立ち退き交渉を依頼したスルガコーポも不動産市場の活況の中で急成長を遂げた。

  スルガコーポは入居者の立ち退きが進まない“わけあり物件”を積極的に取得するデベロッパーとして業界では広く知られていた。例えば、東京・銀座の中央通りに面したとあるビル。現在はスウォッチの路面店が入居しているが、この物件の再開発にかかわったのもスルガコーポである。

 この物件が建つ前にあったビルを米投資銀行、モルガン・スタンレー証券が購入したのは2000年のこと。ただ、立ち退き交渉が難航し、2003年にスルガコーポに売却した。一部のテナントが退去せず、難しい不動産だったが、取得したスルガコーポは半年あまりで立ち退きを完了させ、スウォッチに転売している。

 権利調整の複雑な物件を割安に購入し、デベロッパーやファンドに転売する――。2003年3月期以降、スルガはこの不動産ソリューション事業で急拡大した。

 2003年3月期に約172億円だった不動産ソリューション事業の売上高は、約209億円(2004年3月期)、約284億円(2005年3月期)、約508億円(2006年3月期)、約609億円(2007年3月期)と右肩上がりに伸びた。2008年3月期には中間期だけで778億円を計上している。2008年3月期中間決算の場で、スルガコーポは通期の売上高予想1180億円を1400億円に20%近く上方修正した。その原動力となったのは不動産ソリューション事業である。

 代表権を返上した岩田一雄会長と共に、取締役を退任した高城竜彦氏がこの不動産事業を手がけていた。住友不動産の社長や会長を務めた高城申一郎氏の親族として知る人ぞ知る存在だ。岩田会長の息子、岩田剛取締役の妻も高城氏とは血縁関係にある。

 「大阪流の熱意のある会社と思っていた」。4日夜の会見で岩田会長は光誉との取引の経緯を苦渋に満ちた表情で語った。金融機関から“フロント企業”と伝えられ、2007年に取引を打ち切ったという話だが、ソリューション事業のトップだった竜彦氏がそれまで知らなかったとは考えにくい。曰くつきの案件をまとめるにはそれなりの背景がなければ難しい。

 東証2部上場会社が絡んだ弁護士法違反事件は、ここ数年の不動産市場の過熱が生んだと言っても過言ではない。だが、米国のサブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)の影響もあり、現状の東京の不動産市場は以前ほどの熱はなく、不動産ファンドの買いは落ち込んでいる。ここ数年の不動産市場を鮮やかに彩った地上げ屋とデベロッパーの蹉跌は、不動産市場が冬景色になったことを誰の目にも明らかにした。

                     (日経ビジネスオンライン 篠原 匡)

 追伸、スルガ社は、今回の事件が原因で金融機関から融資を止められ、2008年6月下旬に倒産した。



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2008年3月 5日 (水)

“地上げ”社長ら逮捕 大阪の不動産会社 上場企業が依頼 非弁容疑で警視庁

 中堅総合建設会社「スルガコーポレーション」(本社・横浜市)所有の大型商業ビルをめぐり、弁護士でないのに報酬を得て入居者と立ち退き交渉をした疑いが強まったとして、警視庁は3日、弁護士法違反(非弁行為)の疑いで大阪市東住吉区の不動産会社「光誉実業」の社長、朝治博容疑者(59)、会社役員趙浩一容疑者(43)ら2人を新たに逮捕。これで逮捕者は計12人になった。うち11人は光誉実業関係者。

 朝治容疑者らはスルガ社から約42億円を受け取っていたが、このうち10億円前後が報酬だったとみられる。朝治容疑者は指定暴力団山口組宅見組幹部と親しい関係とされ、組織犯罪対策4課の調べでは、一部が山口組側に流れた可能性が高いとみて解明を進めている。

 事件の舞台は、東京都千代田区麹町5丁目にあった「秀和紀尾井町TBRビル」(13階建て)。参院議員宿舎の隣の一等地で、登記簿によると、スルガ社は05年9月末、ビルと土地を外資系信託銀行から取得。07年9月までに入居者を退去させ、ビルを解体。土地の所有権はその後、別の信託銀行に移っている。ビルには、外国大使館や法律事務所など数十のテナントが入っていたという。

 組織犯罪対策4課の調べでは、社長らは、同物件をスルガ社が取得した後の05年秋以降、弁護士ではないのに、報酬を得てビル入居者らと立ち退き交渉をした疑いが持たれている。

 組織犯罪対策4課の調べなどによると、スルガ社が光誉に立ち退き交渉を依頼した不動産は、逮捕容疑の対象となった東京都千代田区の「秀和紀尾井町TBRビル」のほか、渋谷区内3カ所と港区1カ所の計4カ所の商業ビル。光誉は03~07年、スルガ社から報酬を得て、ビルの入居者らに「スルガ社からビルの所有権の譲渡を受けた」などとする虚偽の売買契約書の写しを示し、立ち退き交渉をしていたという。

 しかし、登記上、所有権は移っておらず、同課は、実際はスルガ社が所有したまま、立ち退きを効率的に進めるため、交渉を外部に依頼したとみている。

  「スルガコーポレーション」は1972年に駿河建設として設立され、95年に東証2部上場を果たした。銀座や六本木など都心の一等地で、特に権利関係が複雑化した物件を整理・転売する事業で大きく業績を伸ばしたとされる。07年3月期決算の売上高は約792億円。元警察庁暴力団対策部長や元検察幹部が取締役に名を連ねている。

 「スルガコーポレーション」が取得した都心のビルを巡る弁護士法違反事件で、警視庁に逮捕された大阪市の不動産会社社長、 朝治  博容疑者(59)は、元暴力団組長の活動拠点として知られていた港区六本木のビルの再開発にも関与していたことがわかった。

 このビルは、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)中央本部の不動産取引に絡んで詐欺罪に問われた元公安調査庁長官らも買収を計画していた。警視庁は、今回の事件の背景に、権利関係の複雑な不動産取引に暴力団が群がる構図があったとみて、六本木のビルの取引の経緯も調べている。

 問題のビルは、約3800平方メートルの敷地に建物6棟が並ぶ通称「TSKビル」。六本木ヒルズと東京ミッドタウンの二つの超高層ビルを結ぶほぼ中間地点に30年以上前に建設され、かつては元暴力団組長が実質上経営する企業が所有していた。現在は再開発のため解体工事が終盤に差し掛かっている。

 不動産業界がTSKビルに注目するようになったのは、このビルを活動拠点にしていた元暴力団組長が死去した2002年ごろから。増改築が繰り返された建物には未登記の部分が点在して所有権が複雑化し、再開発に伴う立ち退き料を見込んだ暴力団関係者らが居座るなどしたため、賃借権や抵当権なども次々に設定された。

 関係者によると、06年7月になって千代田区の不動産会社が、競売で建物の大部分を約252億円で落札した。さらに昨年3月ごろには、落札されていない2部屋(計約190平方メートル)について、元公安調査庁長官、緒方 重威 被告(73)(詐欺罪で公判中)らが転売を計画。朝鮮総連から詐取したとされる資金の一部を見せ金として2部屋の所有者側に示し、25億円の買い取り価格を提示したが、最終的に売買は成立しなかったという。

 警視庁の調べでは当時、このうち1部屋の所有権を、朝治容疑者の親族が社長を務める大阪市内の不動産関連会社が所有。その後、この部屋はビル全体を買収した不動産会社に転売され、同庁は、この取引で朝治容疑者が多額の利益を上げたとみている。

 暴力団による地上げの事情に詳しい都内の中堅不動産会社の幹部によると、権利関係が複雑な不動産には、立ち退き料を目当てにした暴力団関係者が居座り、立ち退きを交渉する他の暴力団関係者も、多額の報酬を得るというビジネスモデルが出来上がっているという。この幹部は「TSKビルは、所有権をまとめれば数百億円で確実に転売できる注目の物件。当時、地上げ屋や不動産ブローカーが入り乱れて利益をあさっていた」と指摘している。

◇非弁護士(非弁)活動

 弁護士法72条に、弁護士でない者が報酬を得る目的で業として法律事務などを取り扱うことを禁じている。
 不動産の入居者(借主)との立ち退き交渉は、期間が残っている賃貸借契約を破棄させるため、法律事務にあたる。違反すると罰則(2年以下の懲役または300万円以下の罰金)がある。
 しかし、報酬を払って法律事務を扱うよう依頼した側を罰する規定はない。

 追伸、スルガ社は、今回の事件が原因で金融機関から融資を止められ、2008年6月下旬に倒産した。



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2008年3月 4日 (火)

借地上の建物の借家人が地主から突然明渡を求められた

    借地上の建物の借家人が地主から
       借地契約解除を理由に明渡を求められた

 (問) 借地上の建物を賃借しているが、突然地主から家主(借地人)が地代を長期間滞納したので債務不履行を理由に借地契約を解除したと通告された。6ヵ月後に建物を取壊すので早急に建物を明渡すよう要求された。地主の要求に応じなければならないのか。

 (答) 借地人の地代不払い、無断増改築等の債務不履行によって借地契約が消滅した場合に、判例は借地契約の消滅を借家人に対抗出来るとしている。その場合、借家人に対する代払いの催告も不要であり、借家契約は借家人が現実に建物利用出来なくなった時に履行不能となり消滅すると判旨している(①最高裁昭和45年12月24日判決)。

 従って、債務不履行を理由とした契約解除の場合、借家人は地主に賃借権を主張できないので最終的にはは建物を明渡さなければならない。

 では、家主である借地人の滞納地代を借家人が居住権を守るために代払いすることは出来ないのか。
 判例は借地権の消滅を防止することに法律上の利益を有することから借家人が借地人に代わって地代を支払うことを認めている(②最高裁昭和63年7月1日判決)。

 しかし借家人にまで代払いの催告をして、滞納地代の支払の機会を与える必要はない(③最高裁昭和51年12月14日判決及び上記①の最高裁判決)としている。
 相談者の地主は建物を取壊す目論見があるので代払いを認めることは状況から困難である。

  借地契約が解除される場合でも、①の最高裁判決にあるように、借家契約は直ちに終了する訳ではない。地主と借家人との間で建物・敷地の明渡義務が確定され、地主が建物収去土地明渡の強制執行をして建物の使用収益が現実に出来なくなる等、借家人が現実に建物を使用出来なくなるまで借家契約は終了しない。それまでは建物の明渡請求に応じる必要はない。

 但し、借家人は建物取壊しまでの間の家賃を支払う義務がある。加えて地主から地代相当額の損害金の請求を受ける場合もあるので留意すべきである。

  なお借地人が建物を第三者に賃貸しても借地自体を転貸したことにはならない。従って地主に無断で建物を賃貸しても地主は契約を解除することは出来ない。



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2008年2月28日 (木)

建替えるという理由で明渡請求される

 目黒区自由が丘でアパートを借りている川西さんは、部屋の扉に張り紙で、「建て替えるから9月中に立ち退いて下さい。」との通告を受け、川西さんはびっくりして組合に相談。

 組合から、立ち退けない旨を家主に通知すると、家主は「他の人は1ヶ月の敷金を返しておとなしく立ち退いてくれたが、2ヶ月分を立退料として出しましょう。」と回答。

 川西さんは、単身で働きながら生活をしているので、急に1ヶ月中に立ち退けとは、人の生活を無視した乱暴なやり方として許せない。現在の住まいから立ち退いてしまうと、勤務先への通勤にも影響が出る。 勤務先を辞めなければならないことにもなり兼ねないので、到底、家主の請求には応じられない。居住者も少なくなって、一人暮らしなので心細いが、組合の力で頑張るとしている。

東京借地借家人新聞より


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2008年2月26日 (火)

建設業者が突然訪ねて来て建替えるから明け渡せと通告して来た。

 足立区梅島の五味さんは、店舗を借りて美容室を35年経営している。良いお客さんに恵まれ子育ても終わり、ほっと一息つけるようになったのでお店の改装を行おうと思っていた。

 丁度その時、家主の代理人という建設業者が突然訪ねて来て建替えるから明け渡せと一方的に通告して来た。

 2年前の暮も迫った時のことだったので、ビックリして組合に駆け込んだ。
 ただちに、組合が家主と直接交渉をすると、「いろいろな都合があって断われないんです。五味さんが絶対出ないでくれれば助かる」いう始末。

 家主のこの返事に気を大きくして以後1年間頑張った。
 しつこかった業者の連絡がぷっつりとなくなり、業者の会社も無くなっていた。

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2008年2月20日 (水)

二度目の明渡し

 大田区南蒲田2丁目木造モルタル2階建店舗兼共同住宅の内、南側階下店舗約24平方メートルを賃借して「はるこ」という飲食店を営んでいる持丸さんが、知人とともに深刻な顔で組合事務所を訪ねられた。

 取り壊し予定の建物を7年の期限限定で賃借したが、家主は建替えを取止めたので、引き続き借りてほしいと云われて、引き続き今後もお店をできると思ったのに、数ヶ月後に再び明渡しを求められての相談だった。

 契約書には期間限定でなく、更新料の記載はあっても金額は不記載であるが、通常の借家契約の内容だ。組合役員は契約書作成の不動産業者に連絡をし、明渡しには無理があること、今後の交渉は組合が対応するとの通告をした。

 不動産業者は家主にその旨を伝えたのか、早速組合に家主から電話で「よろしくお願いします」との挨拶があった。

 その後、交渉が進み更新料不払い家賃据え置き等、持丸さんの希望内容で期間満了の3月30日更新契約を締結した。

 気配りの店「はるこ」は今日も繁盛している。

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2008年2月12日 (火)

一年がかりで粘り強く新家主と立退補償交渉を行った

 大田区南蒲田2丁目の室井さんが同地所在の木造2階建店舗兼共同住宅の内、階下南側店舗約33・8平方メートルと階上の居宅3号室に5号室(各和室6畳)を賃借して、洋品縫製業を営み始めたのは昭和44年でした。

 これまで色々な困難は頑張りで切り抜けてきたのです。しかし、平成9年1月に家主が死去し、しばらく相続人が見つからず家賃の供託が約2年続き、相続人より相続財産の管理人の依頼をされたという弁護士と更新契約を締結した。

 地元の不動産業者が建物の管理人となり家賃の持参先となって、状況が大きく変化した。財産管理人は処分先を検討しているので、組合を紹介されて入会したのが昨年の3月でした。年末には買い手が決まり、従前の家主の地位を承継したと家賃の振込み先を指定してきた。

 平穏な日々は続かず、新家主から依頼された業者は、室井さんに移転先の検討や建物について、執拗に問いかけるようになった。室井さんは組合員であることを伝えて組合との交渉を求めたが拒否、組合役員と一切会おうとはしない。

 当初は弱気だった室井さんも余りにも低額な内容に怒りを覚えると共に組合の励ましもあって決意新たに交渉に臨む。店舗確保の費用や移転の諸経費にお得意を失うに伴う補償等、必要な補償額を家主に請求した。

 室井さんは、交渉のたびに組合と打ち合わせるという粘り強い交渉と頑張りによって、家賃の約102・5ヵ月分の補償額で合意。それは組合入会1周年目のことです。

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2008年2月 1日 (金)

家主が建物を売却した

       新家主が更新拒絶の通知をして来た

 文京区本駒込のマンションの1階店舗で、小泉さんは、平成14年から美容室を営んでいた。今年に入り、家主から建物を売却したのとの通知を受け、同時に新家主という人物がきた。

 新家主は自己使用のために来年の更新は拒絶する旨の通知をしてきた。心配になった小泉さんは、知人や無料の法律相談会など、いろいろなところに相談したが不安を解消できなかった。インターネットで検索したところ、城北借地借家人組合が西武百貨店で無料の借地借家なんでも相談会をやっていることを知って相談に来た。

 借地借家法では更新を拒絶、契約を解除するには「正当な事由」がなければならないこと、その点で、今回のこの新家主の主張は、到底「正当な事由」にならないとの説明を受けた。

 小泉さん「説明を聞いて安心しました。今後のこともあるので組合に入会します」と語った。

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2008年1月31日 (木)

明渡補償で合意

 大田区南蒲田2丁目所在の鉄筋コンクリート造陸屋根3階建店舗兼居宅1棟の内、階下店舗部分23・8㎡(7・2坪)を賃借している當間さんは娘さんの協力を得てペットショプを営んできた。

 昨年3月に平成18年年4月1日より平成21年3月末日限りとする、3年期限の賃貸借更新の契約書を公証役場で締結した。

 それから1年2ヶ月経過した今年の6月に、家主(不動産管理業者)が建物の老朽化と防犯防災等を理由に、今年の12月末までに明渡すよう通告してきた。

 家主の事務所に呼ばれた當間さんは、保証金200万円の返還に移転先の物件のチラシを押し付けられた。困った當麻さんは、業者団体や不動産業者に相談し組合を紹介された。

 早速、當間さんは、老朽は考えられないこと、契約解除は法律上無理があること、今後の交渉は組合を通すことを通告。

 直ちに組合事務所を訪れた家主に対し、契約期間途中の契約解除請求は権利濫用であることを指摘する。これまでの無理強いを詫びて条件を撤回した家主は、土地建物の売却し建替え計画が進んでいるのか、組合の提示を受け入れて家賃の111ヶ月分を上回る補償額と保証金の返還、立退き猶予期間6カ月の条件を家主が受け入れ合意した。

 締結は想定通り本件の土地建物を購入する株式に上場する会社と行うことになった。當間さんは大変悩んだが、こんなに早く最高の内容になって嬉しいという。

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2008年1月28日 (月)

建物の老朽化理由に明渡し求めてきた

 大田区南蒲田1丁目所在、木造二階建共同店舗兼居宅の一角を賃借し、天ぷらの店を営んでいた角張さん。高齢のため廃業してしばらくした、昨年秋ごろ建物の老朽化理由に家主は、建設業者を介して明渡し求めてきた。

 建物の相当古い現実を踏まえて交渉に応じたが、補償金は出し渋り明渡し期日は業者の都合での強制で進行せず、4月や6月の期日を押し付けられる状況となって、相談先が見つかり6月末入会。

 組合は業者に正当性ないにも係わらず、明渡しを求めるならば角張さんの希望に応えることが望ましいと伝え、賃料の約30ヵ月分の補償金と明渡し期日は9月末との組合提示の条件で合意した。

 2日間という短時間の交渉で合意に至ったことは、業者が建設工事着工の遅れを懸念したことと、借家人に対するこれまでの対応を反省してのことだろうと思います。

 こんなに早く自分の希望が叶えられてうれしい。「組合はほんとに頼りになる。組合をもっと早く知っていればよかった」と角張さんの一言。

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2008年1月24日 (木)

借家明渡で合意

 大田区大森東2丁目、旧東海道(現在は美原通り)から左折してスルガヤ通り、この通りに面した鉄筋3階建店舗兼共同住宅の内、3階中央部6畳一部屋を賃借していた森さんが昨年12月、今年の6月末までに明渡すように求められて組合に相談。

  早速、組合員であり組合を通しての交渉を書面で申し入れた。しかし、家主が組合事務所を訪れたのが6月になってからでした。

 当初家賃の10ヵ月から13ヶ月分の立退料で他の借家人は応じたと強気でした。組合役員は家賃の安いに関わりなく一定の保障は必要と、家賃の28・5ヵ月分を請求し二度目の交渉で合意。さらに、家主が立退き猶予期間6ヵ月の家賃相当額の、使用損害金の免除を申し出るなどにより円満な解決になった。

 年末を目の前にして、やっと移転先を見つけることが出来、新年を新しい住居で迎えることが出来たと森さんは喜んでおります。

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2008年1月21日 (月)

建替えるから立退け

 目黒区自由が丘でアパートを借りている川西さんは、部屋の扉に張り紙で、「建て替えるから9月中に立ち退いて下さい。」との通告を受けた。

 川西さんはびっくりして組合に相談した。組合から、立ち退けない旨を家主に通知すると、家主は「他の人は1ヶ月の敷金を返しておとなしく立ち退いてくれたが、2ヶ月分を立退料として出しましょう。」と回答して来た。

 川西さんは、単身で働きながら生活をしているので、急に1ヶ月中に立ち退けとは、人の生活を無視した乱暴なやり方として許せない。現在の住まいから立ち退いてしまうと、勤務先への通勤にも影響が出て、勤務先を辞めなければならないことにもなり兼ねない。

 到底、家主の明渡請求には応じられない。居住者も少なくなって、一人暮らしなので心細いが、組合と力を合わしてで頑張ると川西さんは決意している。

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2008年1月17日 (木)

今は店を閉めたくないと頑張って明渡し拒否

 足立区江北に住んでいる儘田さんは店舗兼居宅を借りて50年定食屋を営んできた。今年に入って突然「マンションに建替えるから明渡せ」と「業者」に言われた。あわてて家主に連絡したら「もう売りました」の一言。途方に暮れていたところ知人の紹介で組合に加入した。

 その後も毎日「業者」が定食を食べに来るが、顔を見るたび「明渡しできない」の気持ちが強くなる。5年前に夫が他界してから一人で細々とやっているが、開店以来の常連さんもいて「おばあちゃん頑張ってよ俺達来るとこ無くなるよ」と言ってくれる言葉に励まされている。

 「今は店を閉めたくない」頑張るぞーという気持ちで定休日を利用して、九段下(東京法務局)まで供託に行っている。

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2008年1月16日 (水)

マンションの明渡請求を撤回する

 大田区北千束3丁目にあるマンションの1室を賃借中の萩原さんは、明渡しを請求され組合を通じて条件を提示。業者は応じられず家主の明渡しを撤回させた。

 しばらくして求められた更新の条件は、更新料(賃料1か月分)と仲介手数料(賃料半月分)というもの。これを聞いた組合役員は、直ちに不動産業者に契約にないことを承知で更新料と家主の代理人として交渉しながら手数料を請求する根拠と整合性の説明を求めたが、業者は「家主から貰えないから」とあきれた回答。

 組合の抗議で後日業者は請求を取下げ、従前通りの条件で契約を締結した。

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2008年1月10日 (木)

アパートが突然売却に

 豊島区千早町の寺前さん夫婦は、2年前に現在のアパートを借りた。 3人目の子が生まれた直後で、今までの家では手狭になったのと、共稼ぎの寺前夫婦にとり、すぐ近くに保育園があるのが魅力だった。スペースも、10畳・8畳・6畳の他、キッチン・バスもあり、5人家族の寺前夫婦にはピッタリの家だ。

 ところが今年の6月、某社管財部長の名刺を持つ男が突然訪ねてきた。家を買取った、取壊すので9月中に明渡せとの話。寺前夫婦の知らない間にアパートが売られていたのだ。

 その後、男は毎週土曜日ごとに、賃貸物件のチラシを持って現われ、契約費用だけは出すから、移転先を一緒に探そうと、しつこく言ってきた。

 寺前さんも最初は釣り込まれて物件を見てまわったが、どうにも納得がいかず、初めて組合を訪れた。

 「順序が逆です。仮に明渡すにしても、移転先を探すのは立退補償の合意が成立してからです。借り続ける権利もあります」との話に目が覚める思いだった。 

 寺前さんは今、納得できる立退補償を求め堂々と交渉している。

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2007年12月27日 (木)

(問題8)地主の相続人と正当事由~(問題9)立退き料の残金の未納

(問題8) 地主の相続人と正当事由
 地主の死亡で、次女が借地部分を相続した。新地主は賃貸マンションに住んでいるので自己使用の必要性があるからと明渡しを請求してきた。明渡しに応じなければならないか。借地人は他に住むところがない。


 (①明渡しに応じなくてよい。 ②応じるしかない。)

 (解答)
  (問題7)番と同じ。 ①明渡しに応じなくてよい

 (解説)
 ・ ・・相続した地主が,賃貸マンションに住んでいたからといって,借地している自己所有地の明け渡しを受けて自分が住めばマンション賃貸料が浮くというだけで,経済的に有利だという事情<借地人の居住利益。

 


 (問題 9) 立退き料の残金の未納
 家主と明渡しの交渉が合意し、立退き料を半金支払ってもらったが、約束した明渡し当日になって家主は資金がないと後の半金を払わない。立退き料の残金を支払ってもらうまで借家の引渡しに応じないで頑張って住み続けようと思う。明渡し期日を過ぎると1日1万円の違約金を支払う約束があるが、このまま住み続けても大丈夫だろうか。


 (①後の半金もらうまで立退く必要ない。 ②立ち退いた後に、家主に半金を請求する。)

 (解答)
 ①後の半金もらうまで立退く必要ない

 (解説)
  「家主と明渡しの交渉が合意し」ているので,具体的な立退き料の請求権が借家人に生じています。家主には,逆に,合意で定まった金額の立退き料の支払義務がある訳です。この家主の立退き料の支払義務と借家人の借家の引渡し義務は同時履行の関係にあります。

 したがって,一方の家主の立退料残金の提供がない間は,他方の借家人の借家引渡義務の不履行もなく,違約金を払う必要はありませんが,明渡時期以後の借家の使用相当金(不当利得)として,元来の家賃同額は発生すると思われ,使用を継続すると立退料が相殺となる可能性があります。

 その意味では,②立ち退いた後に、家主に半金を請求するの方が妥当か?。



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2007年12月26日 (水)

(問題7) 立退料と正当事由

(問題7) 立退料と正当事由
 地主は土地の有効利用を理由に更新を拒絶し、立退き料として地代の42年分を提示してきている。立退き料のみで正当事由が認められるか。

(①立退き料だけでは正当事由としては認められない。 ②立退き料が借地権相当に見合う金額であれば正当事由として認められる

(解答)
 ①立退き料だけでは正当事由としては認められない

(解説)
 (問) 地主から土地を借り自宅を建てて使用しています。間もなく借地期間が満了しますが、地主から「息子夫婦の家を建てたいので、契約の更新はしない。土地を明渡してくれ」と言われました。地主は立退料を出してもいいと言っていますが、借地期間の満了とともに土地を明渡さなければならないでしょうか。また地主から、土地を明渡さないのであれば、更新料を支払えと言われています。契約を更新してもらうためには、更新料を支払わなければならないでしょうか。

  (答)  1.土地明渡請求の正当事由と立退料
 (1)借地期間が満了する場合、地主が契約の更新を拒絶するためには、自ら土地を使う必要性があるなどの正当事由が必要とされています (借地借家法第・6・条)。すなわち、地主としては、借地期間が単に満了するということだけでは、契約の更新を拒絶して借地人に対して土地の明渡を請求することができないことになっています。

 (2)ところで地主が契約の更新を拒絶できるための正当事由の有無を判断するためには、地主と借地人双方のさまざまな事情が考慮されます。
すなわち、
イ、地主及び借地人が土地の使用を必要とする事情、
ロ、借地に関する従前の経過、
ハ、土地の利用状況、
ニ、地主が財産上の給付をするという申出をしたときはその申出の内容、などが総合的に考慮されることになります。

 (3)具体的には、
上記イの事情としては、地主が土地を返してもらって建物を建てたいという希望とか、地主が相続税の支払のために土地を売却しなければならないという必要性とか、あるいは借地人に他に利用することができる土地があるかどうかなどの点、

ロの事情としては、借地人が以前において地主に権利金や更新料を支払っているかどうか、借地人に賃料の不払いや無断改築などの契約違反事由があったかどうかなどの点、

ハの事情としては、近隣の土地の利用状況において建物の高層化が進んでいることや、借地人の建物が老朽化してきたことなどの事情、

ニの事情としては、地主が借地人に立退料の支払いや、代替地の用意の申出をしているかどうかなどの事情などが考慮されます。

 (4)しかしこの場合、上記イの土地使用の必要性の事情が主として考慮され、その他の事情は従たる要素として補完的に考慮されることになりますので、地主は立退料を提供したというだけでは正当事由が認められることにはなりません。地主と借地人との土地使用の必要性を比較し、地主側に有利な事情があるけれども、なお正当事由があるとまではいえないような場合に始めて、地主からの立退料の提供の有無が補完的に考慮されることになるのです。

 (5)冒頭の(問)の事例では、借地人が自宅用地として引き続き土地の使用を継続する必要があるという事情と、地主が息子夫婦の家を新築したいという事情とが主な事情として対立することになると思われます。この点に限って言えば、借地人の事情が優先される可能性が大きく、地主側の更新拒絶には正当事由がないとの結論になる可能性が大きいと思われます。

 また立退料提供が補完的に考慮される場合でも、その立退料の金額の多寡、明渡時期の延長猶予、他に代替土地または建物の提供の申出、などの事情が正当事由を補完する要素として判断されることになります。



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2007年12月19日 (水)

(問題2)更新手続きを仲介した業者の明渡し請求(借家の朽廃)

(問題2) 更新手続きを仲介した業者の明渡し請求(借家の朽廃)

 更新手続きを終わって3ヵ月後に仲介した不動産業者がアパートを買取り、建物の朽廃を理由に明渡しを求めてきたが、契約解除は有効か否か。

   (①契約解除は有効。 ②契約解除は無効で明渡す必要はない。)

(解答)
契約解除は無効で明渡す必要はない

(解説)
1,借家契約は,建物が「朽廃」すると,当然に終了するとされています。また,「朽廃」にまではいたらずとも「かなりの程度老朽化している」と,解約申入れや更新拒絶の正当理由があると判断されてしまうケースもないではありません。

2,しかし,設問のケースは,3ヵ月月前に既に更新契約を結んだということですから,(1)契約期間の定めがあり,したがって解約申入れはできません(解約申入れは期間の定めのないときです),(2)また更新を済ませているので更新拒絶ということも起こりません。

3,したがって,実際にこの建物が「朽廃」の状態にあるか否かだけが問題となります。設問では,新たな貸主は,以前に更新契約をしたときの仲介業者だというのですから,その更新契約の時には「朽廃」を持ち出さずに,自分が貸し主になってから,よおら「朽廃」を持ち出している訳です。実際には,以前の更新時に「朽廃」の状態とは見なかったから更新したわけで,建物の寿命が3ヶ月位で急にダメになるとは考えられませんから,この「朽廃」の主張は,事実の基礎がないものでしょう。したがって,「朽廃」を理由とする明け渡し請求はできないと考えられます。

4,次の資料(京都第一法律事務所HP:藤原龍治弁護士)をご覧下さい。

 (資料)

 家主の上告を棄却-最高裁

 昨年(平成17年)10月下旬、最高裁第1小法廷は、建物明渡請求事件について、家主の上告を棄却し、賃借人であるFさんの勝訴判決が確定しました。平成13年(2001年)2月の家主からの解約通知以来足掛け4年を経て、Fさんの居住が法的に認められることで決着がつきました。

 事案の概要 

  本件の家屋は、京都市中京区にあるものですが、そもそもの賃貸借契約は昭和20年に、それぞれ先代のもとでなされました。閉鎖不動産登記簿の記載からすると、昭和29年8月に平屋造りから二階建に表示が変更されており、本件家屋の柱が2階の屋根まで通し柱であることから、そのときまでに建て替えられたものと思われます。

  以来、今日までに、Fさんの方では、必要に応じ、家主の了解を得て、屋根の葺き替え、壁の塗り替え、畳建具の新調、敷居の取替えなどの補修・修繕を行ってきていました。また、平成10年(1998年)3月には、Fさんの西隣りで、建物の取り壊し及び新築工事がなされ、そのことによってFさん宅に被害が生じ、その際、床下についても補修工事が行われました。

  このように、必要な補修を行いつつ、Fさん(当時68歳)とその奥さん(当時65歳)の二人で、長年住み続けてきたところへ、家主から解約通知が来たのでした。それには、「建物は老朽化が著しく、特に基礎部分の傷みが激しく、引き続いて居住するには大変危険であることが明らかになりました。」と書いてありました。

 裁判での争点は?

  家主は、調停を経た後、平成14年(2002年)11月に裁判を起こしましたが、そのときには、解約の理由として、老朽化していることだけでなく、近々東京の勤務先を退職して京都に戻って生活する予定であるから、本件建物を取り壊した後その土地を使用する必要がある、本件建物の向かいには家主の母が居住する建物があるが手狭であり、将来の家主の結婚等を考えても本件土地を使用する必要があるということを付け加えてきました。さらに、これらの主張だけでは弱いと思ったのか、家主は、裁判の途中で予備的請求として立退き料の提供も申し出ました。

  したがって、争点は、(1)本件建物の老朽化の有無ないし程度はどうか、(2)本件建物ないし土地の使用の必要性は、家主とFさんとでどちらが強いか、(3)立退き料の提供申出により家主の明渡し請求が認められることになるのか、ということです。

 本件建物の老朽化は?

  家主は、平成10年(1998年)3月にFさんの西隣りで行われた、建物の取り壊し及び新築工事の際に工事に入っていた建築業者の資料を提出して、建物が傾斜している、側壁などに亀裂が生じている、床に軋みがあるなどの指摘をして、著しく老朽化していて基礎部分の劣化が激しいから倒壊の危険があり、住居として使用することは危険であると主張しました。これに対し、Fさんは、補修工事の資料、現場の写真を出し、頑丈な通し柱などの存在や基礎部分も安定していることを述べ、居住になんら支障がないことを主張しました。この点、第一審の京都地裁の判決(楠本新裁判官)では、「本件建物は相当古くなっていて老朽化が目立つので、これから先数十年という期間にわたって住居に使用できるといえるかどうかは、はっきりしない。けれども、とにかく現時点では住居として使用できる状態であるということができるものである。したがって、本件建物がすでに朽廃しているとか、居住するのは危険であるというようなことはない。」という判断をしました。この点は、第二審の大阪高裁(井垣敏夫、高山恒平、神山隆一裁判官)でも、「……本件西側工事に起因する損傷か否かはともかく、本件建物の床下や基礎部分については、S林業が補修工事をしており、同社の調査によってもそれ以上の大きな問題点が指摘されているわけではないこと、被控訴人(Fさん)がこれまで施した度重なる補修工事によって、本件建物の外観及び内部の状況を写真で見る限りでは、保存状態はかなり良く、住居として使用することに支障が生じている様子は窺えないこと、被控訴人ら夫婦は、現に本件建物に居住していることが認められ、老朽化してはいるが、現時点において、本件建物が朽廃したとか、倒壊の危険があるとは到底認められず、他に控訴人主張事実を認めるに足りる的確な証拠はない。」と、よりはっきりとFさんの主張を認めました。

 自己使用の必要性は?

  家主が使用する必要性についてどのように主張しているかは既に述べましたが、それに対して、Fさんは次のように主張しました。自分は、昭和20年から本件建物に居住して育ち、この建物で妻と所帯を持ち子どもたちを育て上げた。また、約60年の歳月を費やして地縁的関係を築き上げ、生活基盤を形成して、なんとか平穏な老境を迎えようとしている。それを今頃になって本件建物を引き払って他に転居し、そこで新たな生活関係や地縁的関係を作り上げることを要求されても、そのようなことができる時間的余裕が残されていない。それだけでなく、自分たち夫婦には、そのようなことをなしうるだけの体力、気力、健康状態がすでに失われている、と。この点、京都地裁判決は、Fさんの言い分をそのまま認め、家主が「本件建物の使用を必要とする必然性はない」(たまたま家主の母親が本件建物に向かい側に住んでいるということだけである)と明確に述べ、「原告(家主)が被告を退去させて本件建物を使用すべき必要性は極めて低い」と判断しました。この点は大阪高裁も、「……仮に控訴人(家主)が近く退職して京都に戻って来るとしても、……控訴人は、現在独身であること、控訴人母建物の広さや間取り等は通常二人で暮らすのに支障のない程度のものであること等からすると、当面は、控訴人母建物に母親と同居することが可能であると考えられ、現時点における控訴人の本件建物の自己使用の必要性は具体性に乏しい上、いずれにしてもあまり大きいものとはいえない。他方、被控訴人らの本件建物の使用の必要性についてみると、……被控訴人は、12歳のころから現在に至るまで約60年間、被控訴人の妻も約40年間、本件建物に居住していて、付近の地域性からしても近隣住民等との地縁的関係が密接であること、被控訴人夫婦はいずれも高齢であり、しかも持病を抱えており、転居には抵抗感が強いことが認められ、これらによると、被控訴人による本件建物の使用の必要性は相当強いものというべきである。」と判断し、地裁・高裁とも、賃借人の人間としての生活に思いを致す判断をしました。

 立退き料の提供申出の点は?

 この点については京都地裁判決は、「本件建物の現況からすれば、もうしばらくの間は本件建物が住居として使用できると認められるので、原告が申し出ている程度の額(60万円程度)の立退き料によって、本件解約申入れが備えるべき正当事由が補完されるということはできない」と含みを残す判断をしていました。しかし、大阪高裁はより明確に、「立退き料の提供申出は、あくまで正当事由の補完要素であるから、立退き料の提供申出のみが正当事由の根拠となるものではない。したがって、立退き料提供申出以外の事情が一定の水準に達していない場合は、賃貸人が著しく高額の立退き料提供申出をしたからといって、正当事由が具備されるものではないのである。これを本件についてみるに、……現時点における控訴人の本件建物の自己使用の必要性は、被控訴人のそれに比較して相当劣るのみならず、それ自体としても相当低いものであるから、60万円はもちろん、たとえ60万円を大きく上回る、著しく高額の立退き料の提供を申し出たとしても、それにより正当事由が具備されるものではない。」と判断しました。特に、「立退き料提供申出以外の事情が一定の水準に達していない場合は、賃貸人が著しく高額の立退き料提供申出をしたからといって、正当事由が具備されるものではない」という判断は、賃借人の利益を正当に考慮した評価すべき判断だと思います。

 おわりに

  冒頭で述べたとおり、最高裁第1小法廷は家主の上告を棄却し、上記の地裁及び高裁判決の判断が維持されました。Fさんの頑張りと借地借家人組合のサポートの賜物です。借地・借家法の分野でも新自由主義・規制緩和の嵐がさらに吹き荒れようとしていますが、そのような中で、賃借人の利益を正当に評価した判決が確定したことは意味があるものと思います。



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2007年12月14日 (金)

調停で現行家賃212か月分で和解

 中央線の武蔵境駅から徒歩5分程の一戸建の借家に住む伊藤さんは、戦前の昭和18年から借りているが家主が昨年借地権付建物を地主に売却してしまった。

 新家主は、切替が法律で認められていない期間を2年とする定期借家契約を締結するよう求めてきた。伊藤さんは組合に相談し、組合を通じて定期借家契約への切替を拒否するとともに、今後の話し合いは組合を通じて行なうよう通知した。

 その後、今年2月に新家主は弁護士を代理人に立て、月額4万2500円の家賃を7万円に増額する調停を武蔵野簡易裁判所に申立ててきた。

 調停は、2回目以降から家賃の増額ではなく立退料の条件について話し合うことになった。最初は、家賃の数か月分の条件の提示があったが、次回には金額が跳ね上がり、結局4回目の調停で協議が成立。

 伊藤さんは、建物の状況も考え、家賃の212か月分の立退き料で、半世紀以上住み続けた借家を今年の11月に明渡すことで和解した。



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2007年12月13日 (木)

入居者全員に明渡通告

 豊島区長崎の荒川さんは、駅から一分という便利なところに住んでいる。利便性のよさが、一番であるがマンションの管理は最低であった。

 借主に一言の連絡もなく改装工事を行い、逆に雨漏りや水漏れを指摘しても何ヶ月も無視する。そのうえ、家主と他の居住者とのトラブルで通行が出来なくなった旨、通告し、賃料の減額その他を要求したところ、「それならば出て行け」と明渡しを請求してきた。

 その一方でこの家主は、契約更新したばかりの人を含め入居者全員に老朽化を理由に明渡しを求めてきた。入居者の何人かは組合に相談し、住み続ける権利があることを確認しつつ、貸主が適切な立退き補償をするならば話し合いに応じることにした。

 荒川さんも同じように家主の代理人である不動産会社と話し合うことになった。当初、この家主は、昔の地主と小作農みたいに出て行けと言えば出て行くと思っている人だった。しかし、組合からの通告と代理人となった不動産会社からも非常識さを指摘され、賃料の数十ヶ月分を立退き補償として出す用意があると提案してきた。



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2007年12月11日 (火)

明渡し請求の裁判、和解で解決

 埼玉県さいたま市の郊外に住む猫田さんは、古い1戸建ての住宅に住んでいた。同じような建物が10棟並ぶ静かな住宅地であった。

 平成17年に突然家主がこの地にマンション建設を計画し、テレビのコマーシャルでも有名な大手マンション業者にこの明渡し交渉を委任してしまった。
  この業者「3、4ヶ月で明渡すよう」もとめてくるなどその強引な手法で住んでいる人々にとって、不安が広がった。

 猫田さん、インターネットで借地借家人組合の存在をしり相談に来た。組合では、借地借家法では建物老朽化だけでは正当な事由にはならないことなどを話して、借家人でまとまって交渉することなどを話した。

  その後、猫田さんが中心になって相手と交渉していたが、その経過の中で、不動産会社の社員による暴力事件が起こり、猫田さんが告訴と民事の裁判をおこした。

 対抗して不動産業者の意を受けて、貸主が明渡し裁判をおこした。結果は、猫田さんのほぼ満足の出来る和解と判決で決着した。

 この結果について猫田さんは「組合に入っていたおかげで、信頼できる弁護士さんを紹介していただき、安心して裁判に望めました。結果も十分満足しています。これからは仕事に打ち込むことが出来ます」と語った。



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2007年12月 8日 (土)

雇用促進住宅の明渡し請求  (大阪八尾市別宮団地 )

 2月28日、財団法人雇用・能力開発機構は、雇用促進住宅に住む1532団地14万1722戸を15年かけて追い出し、更地にして民間デベロッパーへ売却する方針を明らかにしました。

 大阪府八尾市内にある別宮団地もその対象団地でベトナム人など在日外国人を含む約280世帯が住んでおり、今年の3月に「耐震強度不足で老朽家屋のため平成20年3月末までに退去するよう」「機構」から居住者へ通知書が送られてきました。また、在日外国人は、2年間の定期借家契約が圧倒的に多く、既に退去した居住者もいます。

 別宮団地自治会は、4月に「立ち退きに関してのアンケート」を行なった結果、「95%の世帯が引き続いて住み続けたいなど」と回答しています。

 5月18日、別宮団地自治会は、「明渡し問題懇談会」を団地集会所で開き、会場は超満員で場外にはみ出すほどの参加で居住者の深刻さと居住不安に満ちていました。

 この「懇談会」には、大阪法律事務所の寺沢達夫、原野早知子両弁護士と船越康亘大借連会長が参加し、船越会長から2月28日に示された「機構」の新方針について具体的に説明し、「借家法が適用されていることから簡単には明渡しはできない」との「機構」側の説明を報告しました。

 そして、「機構」側の別宮団地に対して、来年3月までに明け渡しを通知していることについては、2人の弁護士から法律で保護されていることを詳しく説明しました。

 居住者は、明渡し訴訟が提訴されても、全員一致して「機構」に対応することを確認しました。
 ベトナム人の1人は、「就職できると居住する場所を確保しなければならないので職業安定所の紹介で定期借家契約が何なのか十分理解できていないまま入居した。明け渡しをいわれても住み換え先も無い。仕事も失いかねない」と深刻に訴える姿が人目を引きました。

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2007年12月 6日 (木)

無断転貸と地主が言掛り (静岡市)

 村田さん宅に、地主と宅建業者が訪れ「この土地は戦時中、地主に無断転貸した違法借地だから退去しろ」と古文書を出し退去を迫りました。

 村田さんの相談を受けた静岡借組は実情調査をした結果、名義の違いは相続によるもの、現在は村田名義で賃料を支払っていることが判明。地主に「賃貸借契約は締結されている、退去請求の法的根拠無し。むしろ地代を近隣並に値下げせよ」と要求しました。

 1ヵ月後、地主は「退去しろとは云っていない。賃料を受け取っているので退去請求はできない。賃貸借契約は存続して結構。もし、借地を買い取るとか補償金で退去できないか検討して欲しい」等と180度の変化です。

 高齢の地主の周りに胡散臭い人々の動きがあり、借地人の居住権が脅かされるばかりか、地主も被害者になるのではと心配です。

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2007年12月 3日 (月)

明渡調停で納得のできる条件で和解

     納得のできる条件で和解
        組合で学び自信を持って調停に

 大田区大森南2丁目所在の木造トタン葺2階建工場兼共同住宅の内、2階部分の居宅兼作業所約37・95㎡を賃借していた増渕さんが、移転先で感想を述べた。

 明渡しを求められた約7年前は家主に逆らうなんて考えられなかった。明渡しを拒否すれば何をいわれるかと心配していたが組合に入会して借家人として権利を主張することの大切さは知った。弁護士から改めて、明渡し請求の内容証明郵便が届くと、驚き不安も募ったが、組合は直ちに明渡しを拒否し交渉は組合を通すよう通告した。また、受領拒否された家賃も組合で供託手続きをしてくれたので安心したという。

 しかし、自分以外の居住者はすでに立退き、工場も閉鎖された時は心穏やかではなかったという。しかも工場の上に共同住宅を増築したので最近特に地震でのゆれが気になっていた。

 そんな時、明渡しの調停裁判となってびっくりしたというが、組合の研修会にも参加している増渕さんは、これはチャンスと自信を持って調停裁判に臨み、納得出来る条件で合意。徒歩3分のマンションに住み替えて、東南角の部屋は明るくて風通しも良いし仕事の顧客も増えて笑顔で「こんなにタイミングがよく幸運が舞い込んできてよいのだろうかと、これも組合員になって権利を主張することが出来たから」と喜んでいた。

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2007年11月24日 (土)

明渡し理由は地震で倒潰の危険があるというものであった(静岡市)

 安部さん達は、6戸建(現4戸入居)集合住宅に住んでいる。突然東建コーポレーションという会社の社員が来訪、家主の「退去についてのお願い」なる文書に捺印させられてしまった。 内容は「老朽化で地震崩壊の危険大、2ヵ月後に取壊すので退去する」というもので、アパート中大騒ぎとなった。

 4名は組合に加入し、家主に対し「現在の住居に住み続けたい。 2カ月の解約予告は借地借家法違反で無効、正当事由が無い、交渉は組合とせよ」の4点を文書で通告した。

 第1回交渉で組合は「家主は賃貸建物が危険建物と主張しているが、先ず居住者の安全確保の耐震補強工事をせよ。退去は合意が必須条件であり、捺印できない」と主張した。

 第2回交渉は東建の上役が現われ、「幾ら希望するか金額を提示せよ。団体交渉でなく個人情報保護の立場で個別交渉をしたい。補償額に相場は無い」。

 これに対して組合は「補償請求項目の合意がなければ退去先も決められない」等の遣り取りがあり、「退去は合意が前提」を再確認し、団体交渉を認めさせた。

 組合は算出項目を「引越運搬費用・新旧賃料の差額・家具内装移転費用・駐車場差額・火災保険・電話移転費用・諸手続きに要した休業補償」等を具体的に挙げ通告。

 東建から「当社は手を引く。今後は家主直接交渉する」と撤退宣言。組合では居住者と「退去請求は振り出しに戻ったが、耐震補強等安全な居住環境を求める」ことを申合わせた。

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2007年11月22日 (木)

店舗の明渡し交渉で合意 (横浜市磯子区)

 山本さんは、横浜市磯子区JR駅前で10年間営業を継続して来ました。昨年12月に家主より、店舗の明渡しを通告され、組合に加入して、家主側と折衝を重ねてきました。明渡しの理由は、建物の老朽化による建替えです。

 折衝は、家主側代理人弁護士と組合員・組合と3者にて延べ5回に亘り、前向きに折衝をした結果、営業補償・移転費用・雑費を総合して金1360万円の提示額があり、別途、預け入れ保証金、171万5488円の返還の明示がされました。 

 合員と組合では即答は避けて、5日以内に回答を約して、組合員と前向きに検討を加えました。6月末が退去であり、5月・6月分賃料の免除を申入れたところ快諾があり、合意解決に至りました。

 4月14日午後現地で、家主・弁護士と組合員・組合が立会いの上で正式に契約書を取交して、円満解決となりました。 

全国借地借家人新聞より


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2007年11月13日 (火)

借地借家人組合の助言で不当明渡請求を撃退する

 静岡市南部で飲食店を営んでいる伊藤さんは、昨年4月隣りでお店をしている家主から「店舗が老朽化したので建替えて自分で使用するので6ヵ月後に賃貸借契約を終了する」との「解約申入れ」が宅建業者を通じてありました。伊藤さんは、即座に「明渡しに応じることはできない」と告げました。

 ところが、昨年末に家主から再度「賃貸契約は終了しているのに占拠は遺憾」との「意義申述書」なるものが宅建業者を通じて送られてきました。

 相談を受けた静岡借地借家人組合(電話054-271-5269)は、「家主と宅建業者は、借地借家法第27条「解約による建物賃貸借の終了」の一部を拠り所に、解約を言い立てていますが、同法第28条「建物賃貸借更新拒絶の要件」で正当事由がなければ成立しない。また、同法第30条では、特約で賃借人に不利なものは無効とするという強行規定がありますが立退き特約もなく立退き請求の根拠は全くないので、文書による拒否の意思表示をすること」を助言しました。

 その後、伊藤さんは静岡借地借家人組合の助言に応じて配達証明郵便で回答しました。

 それ以降、家主及び宅建業者からは何の音沙汰もありません。噂によると、家主は、自宅に隣接する繁盛する店が羨ましくて堪えられず、宅建業者に退去請求をさせたようです。

全国借地借家人新聞より

   () 「借地借家法」第27条は「期間の定めのない賃貸借契約」の場合の規定である。

(解約による建物賃貸借の終了)
第27条 建物の賃貸人が賃貸借の解約の申入れをした場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から6月を経過することによって終了する。

  前条第2項及び第3項の規定は、建物の賃貸借が解約の申入れによって終了した場合に準用する。

(建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)
第28条 建物の賃貸人による第26条第1項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。

(強行規定)
第30条 この節の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。



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2007年11月10日 (土)

建物の老朽化を理由にした建替えで建物明渡通知

 杉並区桃井の青梅街道沿のビルを借りて音楽教室を営業している町田さんは、家主から昨年11月に突然建物の老朽化に伴い建替えを行うので今年の5月31日を以って賃貸借契約を終了するとの通知を受けた。

 町田さんは、以前も他の教室の明渡し問題で組合に相談にのってもらい解決した経験があるため、今年に入り相談に行った。

 組合を通じて明渡しの条件の提示を求めたところ、家主は2月に入り突然「お知らせ」の通知を各戸に配布した。

 「当ビルの建物及び設備の経年劣化が進み…6月以降当ビル内において事故が発生する恐れがありますが、万一事故が発生した場合にも、当ビルでは責任を負いかねますので、ご利用者の皆様に通知いたします」とのショッキングな内容。

 さらに、エレベーターの中や入口の傍に張り紙をした。町田さんは直ちに「営業妨害に当り極めて遺憾」と厳しく抗議し、直ちに協議に応じるよう要請した。

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2007年11月 8日 (木)

家主が建物の老朽化を理由に立退請求

 新井さんは、かつて練馬区で老朽化を理由に明渡しを求められ、やっとのことで、豊島区長崎に居住した。静かな住宅街で、これで安心して住み続けることができると考えていた。2回目の契約を合意更新したあたりから隣室の人とのトラブルに巻き込まれるようになった。何度も家主並びに管理している不動産会社にトラブルを取り除くように要請したが、らちがあかなかった。

 そのうちに、家主が老朽化を理由に明渡しを求めてきた。管理する不動産会社は、必要に迫ってきた。そこで借地借家人組合に入会した。組合と相談し、建物の老朽化は認めるが朽廃ではないので正当事由はみとめられないが条件が合えば明渡しに応じると通知した。

 条件面では話合いがつかず、家主は調停を申し立てた。明渡し期限と立退きの和解金で当初家主が主張していた金額の2倍、明渡しの期限も大幅に伸ばすことができた。

 新井さん「途中、何回も心配で眠れなくなりそうでした。でも、組合と相談した結果、何とかめどがたちました。ほんとうにありがたいです」と語った。

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2007年10月20日 (土)

30年間住んだアパート立退けない

  新宿区に住む五十嵐さんは、このアパートに住んで30年近くになる。五十嵐さんの外に、約10世帯住んでいるが、ほとんどの居住者はこの数年間に契約したお年寄りや外国人の居住者であった。

家主は隣に住んでいるが、老朽化を理由に明渡しを求めてきた。その交渉役として、大手住宅メーカーのNホームの社員が対応した。当初「敷金は返還します。他は引越料数万円だけです」と説明していた。

 いろいろなところに電話や相談にいってたどり着いたのが借地借家人組合だった。早速、五十嵐さんは組合に入会した。組合の説明で「借地借家法では、人が住めなくなる朽廃の状態にならなければ、老朽化だけでは明渡しを求める正当な事由にはならないこと、引き続き住み続ける権利のあることなど」が説明された。

 五十嵐さんは「確かに、老朽化はしているが住めない状態ではないので、自らが法律を学び、交渉しよう」と決意した。Nホームの社員に対して、話合いを求めたところ「貴方だけは30年も住んでいるので、他の人と違う補償をするので協力してほしい」と言われた。しかしながら、実際の対応で補償については、金の無いの一点ばりで、説得にかかってきた。

 五十嵐さん「よくよく考えてみるとこのまま話をすすめて明渡しに応じてしまえば、家主は新しいマンションで収入が増える。Nホームの社員は、話をまとめて金儲けが出来る。損をするのは私だけ、それならばがんばるしかない」と決意を固めた。

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2007年10月18日 (木)

借地借家人組合のアドバイスで立退料が5倍へ(九州・福岡市)

  2月上旬、福岡市内の借家に住む母子世帯の藤田さよりさんから、「家主から家屋が老朽し建替えるので、敷金返還額17万円と引越料13万円合計30万円を条件に明渡すよう請求され引越すことに同意したが、立退料が納得できないので相談したい」と大借連(全大阪借地借家人組合連合会)事務所に電話がありました。

  そこで、大借連は、「条件が納得できない場合は、契約は継続しているので明渡請求は拒否できること。老朽家屋で立退きに応じなければならない場合は最終的に裁判所が判断することになる。その場合は条件も裁判所で判断される。したがって、家主へ立退きを拒否する旨伝えてはどうか」とアドバイスをしました。

  ところが、藤田さんは、家主から明渡しを強要され、やむを得ず移転先を決めており、立退料を当てにして契約をしてしまったので、立退料の適正な額を知りたいとのことでした。

 大借連は、地元に借地借家人組合がないことから福岡市内の法律事務所を紹介しまいた。

 照会先の法律事務所に相談に行った藤原さんから、「弁護士から一度明渡しに合意したのであれば難しいと言われ、どうしたらよい者か迷っている」と再度電話がありました。

  再度相談に応じた大借連は、「当初預けた敷金は全額返還されること。引越費用と諸経費の実費、引越先の新規家賃と従来家賃との差額の3年分の家賃と移転先の敷金と従前の敷金の差額、さらに協力金的な立退き料を概算し家主へ立退き条件の再考を申入れ、話合いに応じてくれない場合は家主側が誠意のない態度であり、立退きの合意は撤回する旨通知して頑張ってみては」と激励しました。

 2月23日、藤田さんから大借連へ入会申込書と次の礼状が郵送されてきました。
 (前文略)「立退きの件は、こちらが要求した金額(3年分の家賃差額、新しいアパートを借りるための費用、引越費用合わせて161万円と敷金(全額)を支払って頂けることになりました。本日入金されたとのことです。大借連のアドバイスがなければ、このような結果にはならなかったと思います。本当にありがとうございました。(中略)3月1日に引越をする予定です。」

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2007年10月17日 (水)

明渡し調停で希望条件実る

 大田区大森南2丁目所在の木造2階建工場兼共同住宅の内、階上の居宅の一部を賃借していた増渕さんは、平成12年11月家主代理人弁護士から賃貸部分は増築した箇所で、老朽化が著しく地震などの災害で倒壊する危険がある。また、他の居住者はすでに転居し、この程工場も閉鎖されたことから経済的なことも理由に明渡しを請求された。

 増渕さんは、明渡し請求を拒否し、家賃を供託して6年余が経過した。昨年3月代理人弁護士が病死し、新たに委任された弁護士からの明渡しの督促も拒否。それから6ヵ月後の昨年10月調停裁判となった。組合役員のアドバイスを受けて調停に臨むことになった増渕さんは、当初は低額であったが、自らの提示した補償金家賃の約45ヶ月分に8月末までに明渡すとの条件が受入れられ合意した。

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2007年10月10日 (水)

1カ月家賃を滞納した事を口実にして明渡訴訟(京都市)

 波路さんは、1年契約で借家に入居し、うっかり一ヶ月分の家賃を滞納したら、家主から間髪を入れず明渡しの裁判を提訴されました。波路さんは弁護士を依頼することなく本人で裁判を受けて立ちました。

 初めての公判で裁判官は、事実関係に争う点がないことから、話し合って和解の方向を指示してきました。波路さんも初めての経験から「円満にいくのならば」と和解の方向に同意しました。

 しかし、家主側の「直ぐに出て行け」「立退き料は払えない」などの態度に我慢できず正面から闘いに挑みました。
そもそも家主側の本音は、波路さんを借家から追い出し、そこを高く売って利益を得たいということでした。

 裁判の争点となった家賃の滞納については、波路さんは裁判に提訴される以前に払い込み、家主側も受け取っています。にもかかわらず一言の前触れもなく提訴されたものです。正面から争っても敗訴はないと判断できましたが、家主側との信頼関係が破壊され、これ以上のおつき合いは御免被りたい、という気持ちが強くなったことから、条件が合えば明渡すことに合意しようと思いました。

 この裁判、当初からせかされる進行でしたが、そのテンポに応じず、波路さんの要求を粘り強く主張し、7回の弁論の末、どうにか家主側も折れて要求が認められました。根負けせず主張を貫いたことが今回の教訓です。

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2007年10月 4日 (木)

母子家庭家賃3ヶ月滞納で「鍵交換する」と脅される

 昭島市上川原町のアパートに居住する森田さんは、家賃を3ヶ月滞納したところ、不動産会社から滞納賃料を清算しないと契約の更新はしないといわれた。森田さんは、4月から8月までの5ヶ月間で滞納賃料を分割払いで支払うことを約束し、支払いを怠ったときは退室するとの念書に署名捺印した。

 その後、前の約束を翻して、不動産会社が突然次のような文書を送付してきた。「賃貸借契約を解約した。直ちに貸室を明渡すこと。本契約が解約されたときは、借主は直ちに本物件を原状に復し退去しなければならない。借主がこれを怠り明渡さなかったときは、貸主は直ちに明渡しを執行することができる。その際、貸主は玄関のドアの鍵を交換し、本物件内の家財一式を処分するも異議なき事とする。明渡しに要した費用は全て借主の負担とする。┅┅┅鍵交換日平成17年2月20日」。

 森田さんは母子家庭で、生活も大変で途方にくれ、組合に相談にきた。組合では、「家賃の滞納はよくないが不動産会社のやり方はひどすぎる」。相談に来た2月18日に内容証明郵便を作成し、「鍵の交換や家財道具を勝手に処分すれば、住居侵入等で刑事告訴や民事上の損害賠償も辞さない。今回のような不法不当な行為を止めるように通告します」と通知した。森田さんは、娘さんが4月に就職が決まり、通勤の時間も考え4月中に移転先を見つけ、滞納賃料は4月中に清算することも予告した。

 組合の通告に驚いたか、2月20日は何事もなく、不動産会社からはその後も何も言ってこなくなった。3月中に移転先も見つかり、4月4日には引越しを終え、無事に移転した。滞納家賃は敷金と相殺し、残金を4月中に清算した。結局、不動産会社からは何も言ってこなかった

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2007年9月29日 (土)

借家の明渡しで家主が嫌がらせ

 荒川区南千住のEさんは、14年前から木造2階建アパートの一室を借り書道塾を経営している
 ところが最近、近所の人が来て、今度、この建物が私のものになったので建直すから明渡せと言われた。

 Eさんは早速組合に相談し、家主対して立ち退く意思のないこと、なぜ急に建替えるのかと理由を訊いた。家主は皆んなに出てもらったら、娘の住まいにするためと説明した。Eさんは、家主の一方的な都合では借家人を追い出すことは出来ないと家主にはっきり伝えた。

 その後、家主は何度も大声を上げて嫌がらせをしたが、Eさんはその都度繰返し反論した。意思確認のために立退き拒否の内容証明郵便を出すと家主からこんなものは無視しても何ら構わない、このままでは済まないと脅しをかける有様である。事実、解体屋まがいの人間が来て、こんな家は直ぐにでも取壊せるとすごんだりもした。

 Eさんは家主の明け渡し要求を拒否し、最後まで戦うと張り切っている。

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2007年9月28日 (金)

家主が改築を理由にした建物明渡請求

 大高さんは、12年前から先月まで、板橋区高島平の2DKのマンションに住んでいた。8世帯用の小さなマンションである。小学校と中学校に通学中の子供を持つ大高さんには手狭で、来年3月の卒業後は引っ越す予定だった。

 ところが今年3月末、家主代理人の不動産屋から「ご案内状」なる文書が郵便受けに投げ込まれた。改築を理由に9月末までに明渡せとの内容だった。

 4日後には不動産屋がやってきて8世帯が集められた。その席上で、明渡し期間は9月末、立退料は40万円と提示された。

 その後、数回の交渉の結果、立退料は80万円にアップ。そのため、大高さん以外の7世帯は9月末の明渡しに同意。通学中の子供を持つ大高さんには立退き料の額よりも、むしろ来年3月までの期日の猶予のほうが切実だった。話合いでも、そのことを強く要望したが、期日については一切受け入れてはもらえなかった。

 そんな経過で大高さんは組合に加入。「明渡し期日は要望するのではなく、あなた自身が決める権利です」と教えられた大高さんは「来年の3月を認めなければ、明渡しには応じられない。今後の交渉は組合を窓口とする」と不動産屋に通知した。

 効果は直ぐに現われた。いろんな経過はあったが、結局はその不動産屋の世話で、元の居住の直ぐ近くのマンションの3DKに、礼金なし家賃も今まで通りの条件で入居できた。勿論、礼金や家賃差額は、明渡しを求める側が負担した。

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2007年9月27日 (木)

相続で家主が交代した途端、関係が悪化

 台東区三ノ輪2丁目で昭和43年から木造2階建ての借家に住むMさんは、昭和53年まで麻雀屋を経営していたが、ご主人を亡くした後は営業を諦め、麻雀屋を廃業した。その後はパート勤めなどで細々と生活している。

 借家した当初以来、家主の承諾を得ていたので、家の修理や店舗の内装工事は、借家人の費用負担という条件で自由に改装を行って来た。その上、資材等は工事が進行するまで家主が快く預かってくれ、家主とは極めて良好な関係が長い間続いていた。

 また、更新の際にも不動産屋を間に入れると無駄な費用も掛かり、面倒な契約書の作成の手続もしなければならないから契約書の作成を省略しようと親切に言ってくれた。だが、このことが後に問題になった。

 ところが、その家主も歳には勝てずに入退院を繰返していたが、先頃呆気なくあの世へ旅立ってしまい、息子が一切を相続した途端に関係が悪化し始めた。家を無断で修理したという理由で、家賃の受取りを拒否し、建物明渡請求の調停を申し立ててきた。しかし、調停では家主の主張は認められず、結果は不調に終った。

 その後一旦は問題が解決し、供託を解除した。だが、昨年11月に突然「契約書を作成していないから家賃を受領出来ない、もし受取ってもらいたいなら不動産屋へ行って契約して来い」といって、支払った家賃を返して来た。

 Mさんは家主の難癖探しに今後も負けない決意で頑張っている。

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2007年9月26日 (水)

隣りの借家人が家主になった途端、借家の明渡請求

  荒川区東尾久6丁目で30年以上も前から木造平屋の2軒長屋の1軒約7坪の借家に住むMさんは、家も古く平屋建と言う事で家の維持管理は全て大家承知の上で自分で行って来た。

  ところが2年前突然隣りの同じ借家人が来て、今度私がお宅も含めこの建物を買取ったので出来る限り速やかに明渡してほしいとの請求を受けた。

  Mさんは何十年も住み続け、自分達で修理を行い狭い路地に入った家といえども手放す気になれず組合に相談し入会した。明渡しに対してもきっぱり拒否し、現在に至っている。

  この間、裏の勝手口の外に0.5坪位あった空地がブロックで囲われてしまった。Mさんは直ちに非常の場合の逃げ口を塞がれては生命にかかわるからと抗議したが無視された。

   今度はどうしても出ていかなけば今迄月額1万5000円の家賃を3万5000円にするよう要求された。理由を聴くと、駐車場の世間相場だとの返事。Mさんの2万円ならとの回答に家主はそんな金は供託しろと受領を拒否。徹底抗戦の腹づもりで供託を開始した。

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2007年9月20日 (木)

立退き料は借家権価格でお願いしますというが…

 借地借家人組合の会員であるSさんは、台東区谷中で親子2代に亘る長屋住まいである。両親は去年の12月に相次いで亡くなるという不幸に見舞われ、現在姉妹2人で生活している。

  家主は同じ長屋で直ぐ隣りの煙草屋である。今年の春先、家主の代理人(建築会社)から建物が相当傷んでいるので建替えに協力して欲しいとの家主の意向が伝えられた。その計画では5階建てのマンションにするとのことである。Sさんは早速、台東借地借家人組合へ相談を持ち込んだ。組合は取敢えず相手の条件をよく聴いた上で、その後の方策を考えても遅くはないと答えた。

 家主は過去にSさんの親を相手に家屋明渡請求訴訟で敗訴しており、今回の交渉には全く顔を出さず、総て建築会社任せである。建築会社は何種類かの立退き案を提示し、その交渉は至って低姿勢に終始していた。

 その提案の1つにバブル時代はよく使われたが、最近では非常に珍しい立退き料を借家権価格(注)でお願いしますというものである。この提案、借家人にとって現在では、かなり高額の立退き料になる。しかし、その後も何度か話合いを重ねたが、家主の代理人との交渉は未だに結論が出ていない。

 立退き料は、税制では一時所得として扱われる。その税額は{(立退き料-必要経費)-50万円}×50%で計算される。必要経費は弁護士費用・引越費用等である。住民税や健康保険料の所得割のことも考慮して極論すれば、立退き料の約半分は税金として消えていくことになる。

 こんなことも考えに入れて、立退き料の嵩上げだけを考えるよりは、新築マンションに低家賃で再入居する交渉を加えた方が得策ではないのか、或は現状のままで住み続ける方が良策ではないのか等、組合の考え方も伝え、姉妹で熟慮した上で慌てずに結論をだ出すようアドバイスした。

 Sさんは両親の一周忌を迎える師走までには何とか最終結論を出したいと思っている。

(注)借家権価格は、東京国税局管内では一律に借地権価格の3割として算定する取り扱いになっている。(N)

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2007年9月 6日 (木)

業者が借家の明渡しを断念

  荒川区荒川2丁目に戦前から借家しているSさんは5月に入って不動産業者と名乗る2人連れが来て、今度私達の会社がこの物件を買取った。壊して建売にするから出て行けと通告された。

 Sさん他2名は3軒1棟の作りとなっている所謂長屋の居住者である。何事も相談し合って組合と連絡を取り、業者との話合いの時も家主の要求は「借家法の正当事由に当たらないから明渡す気持ちは全くない」と主張した。

 その後何回か業者と話し合ったが、Sさんはこれ以上話しても無理とはっきり断った。業者はその足で組合事務所に助けを求めて来た。「借地借家法」の説明を神妙に聞き入っていたが、その後数日経過した後、組合に連絡が有り明渡しから手を引くとの事だった。

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2007年8月11日 (土)

家主、明渡請求を撤回

  荒川区東尾久6丁目に住居兼工場を20数年前から借家しているWさんは、ご主人と長期間努力し営業を続けて来た。今は奥さん一人で頑張っている。

 ところが、平成14年の秋頃突然家主から、借地を地主に返さなければならなくなったので、建物を明渡すよう請求された。Wさんは知人の借地借家人組合員に相談し組合入会した。地主に借地を返す必要も理由もないことを家主に伝えながら家賃を持参したが、受領を拒否され供託を開始した。

 供託を1年間続けた昨年の暮、ついに家主が折れ、借家の明け渡しを撤回した。「供託を解除してほしい。月額4万円の家賃を2000円だけ値上げを認めてほしい」との要求に対し、Wさんは、ほんの気持ちだけ応じて現在に至っている。

 Wさんは「組合に入会して本当に良かった。今までは家主に何か言うと後が恐くて何も言えなかったが、これからは自分の住まいを守る権利は勇気をもって主張して行く」と元気で働いている。

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2007年8月 9日 (木)

建物の老朽化を理由に明渡請求

 台東区蔵前地区に20数年前より共同住宅形式の店舗併用住宅を借家しているKさんの元に家主の代理人より内容証明郵便が届いた。他の共同住宅の10名の借家人にも同一内容の内容証明郵便が届けられていた。

  それは設計事務所の鑑定書を添付したもので、建物の老朽化が激しいためにガスの配管・電気の配線が修理不能で危険な状態なので借家契約を中途解約するので6ヵ月後に明渡して欲しいとの内容であった。

 入居者は永年地元の固定客を相手に居酒屋・飲食店・印刷所・雀荘等を営業しており、突然の明渡請求に困惑してしまった。

 その後、民商の役員の紹介で入居者は借地借家人組合に加入した。取敢えず、組合役員の指導の下に書面より家屋は未だ使用に耐えられる状態にあり、契約の中途解約には応じる意思のない旨を伝えた。

 すると、その後代理人から入居者にその件に関して面談したいとの要望があった。組合員は事前に班会を開き、移転しての営業は難しく、住み慣れた当地を離れたくないとの各自の意思を確認した。そこで今後は組合役員と班長を窓口にして話合いに臨むよう対応が固まった。

 Kさん達は組合役員の説明を受けて、家主には建物明渡請求に関する正当事由がなく、居住者は従来通りに営業と居住が出来ることを知り安堵した。


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2007年8月 4日 (土)

家主の明渡請求を断念させる

       突然訪問し3時間も粘る家主の
       明渡請求を断念させた

 国分寺市並木町に住む田中さんは夫婦と長男の3人家族。2年前の04年5月に木造2階建4DKの貸家を家賃月額10万円、敷金2か月分、礼金1か月分を支払って契約した。

 去年の夏に家主が突然死亡し、5月の初めに家主の奥さんが突然訪ねてきた。新しい家主となった奥さんの話によると、ご主人の入院先が遠いため転居したが、主人が亡くなったので元の家に住みたいので退去して欲しいとのこと。契約は更新しないと言ってきた。

 田中さんは、契約更新間際になって突然言われても出て行くことはできないと断ったが、3時間も粘られて一方的に話をされ、ほとほと困ってしまった。

 田中さんは、インターネットで検索し、立川市に組合があることがわかり、早速に相談に行った。

 「家主は解約するには1年前から半年前まで解約の通告をしないと契約は従前と同一の条件で更新される(借地借家法第26条)ので、明渡しの話には一切応じる必要はない」とアドバイスを受け、今度家主と会う約束をしているのであれば、面会を断り、「今後の交渉は組合に任せている」と伝えることにした。

 家主から早速組合に連絡が入り、電話でのやり取りだけだったが、今回の明渡しを家主は断念。
 この度、更新契約書の作成を求めてきたが、契約書の内容が前より借主に不利であるため突き返すことにした。

東京借地借家人新聞より


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2007年8月 2日 (木)

借家の明渡調停

   借家の解約合意書を撤回
         家主は調停を取り下げ

 府中市宮西町で昭和初期から借地の店舗と借家の住宅を両方同じ地主から借りて商売をしている桜井さんは、今年の2月に突然借家の明渡しで立川簡易裁判所に調停を申し立てられた。

 家主側は、桜井さんの借地の建替えを無条件で認める条件で借家の明渡しの合意があったと主張をした。昨年5月に桜井さんは、「貸家賃貸借解約合意書」に作成し、平成16年12月13日に明渡すことを一旦約束した。

 その後、家主が会社名義で契約をしなおしたいと言ってきたが、今度は桜井さんは拒否し解約合意書を白紙撤回した。

 それというのも、家主の代理で来た業者に騙されて、建替え承諾付の定期借地契約書を結んでしまったからで、50年で契約が満了し更新ができないことも桜井さんは理解できないまま契約してしまった。

 調停は、2回目を迎える前に家主側が調停を取り下げ終了した。その後、家主の方からは何事もなく地代と家賃は受け取っている。

東京借地借家人新聞より


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2007年8月 1日 (水)

競落した新家主が建物の明渡を要求

   超安値で競落した新家主は
         現家賃の7倍値上げを請求

 立川市錦町1丁目で立川市役所の近くに住む坂本さんは、親の代の昭和31年5月から木造平屋建に入居している。家主はこの間3人替わり、平成2年に土地と建物を買い取った不動産業者は5億6000万円の抵当権を設定した。立川市周辺で派手な地上げを行った業者だが、バブル崩壊で会社は倒産、社長も行方不明となった。

 その後、平成13年に土地と建物が差押となり、東京地方裁判所八王子支部で競売開始決定がされた。今年1月に発表された最低売却価格は2356万円とされたが、買主が現れず、再度期間入札の手続きがとられ、結局8月に国立の競売を専門に扱う不動産業者が1713万円で落札した。競売の売却価格は通常より3割ほど安く、当物件は占有権限に借家権が認められているため、さらに25%減価されている。

 今回新家主が買った45坪の土地は、坪単価37万7000円となり、近隣の公示価格が109万円と比べても超安い値段だ。新家主は明渡し交渉を地上げ業者に依頼した。

 業者は「坂本さんが移転しなければ家賃が月額2万5000円から14万円に値上げして貰わないといけない」と脅したりしたが、坂本さんが組合に加入したことを知り、家主直々10月初めに組合事務所に訪ねてきた。坂本さんと直接面会し、坂本さんはこれまで経緯を説明し、借家権が認められ借家人が住んでいることを承知の上で買ったからといって明渡しには応じられない旨を伝えた。

 家賃を受領する意思があるかどうか聞いたところ、「家賃は受領しないので供託していただいて結構です」との返事が返ってきた。坂本さんは、早速8月分以降の家賃を供託し、今後の家主の出方を見守ることにした。

東京借地借家人新聞より


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2007年7月29日 (日)

建物明渡で裁判中      

  一時使用目的の契約を何回も更新した上で一転明渡し請求

  昭島市中神町で米軍ハウスを借りている立野さんは、子育てをしながら画家の仕事をして頑張っているお母さん。

 平成4年8月に同ハウスを家主と直接交渉して借りた。というのは同ハウスは空家になっていて、不動産屋に聞いても「家主は貸さない」と言われたからだ。建物は木造瓦葺きの平家建で79.33m2と広く、庭もブロックの塀に囲まれていて、敷地も広いので立野さんはどうしても借りたくて、再三武蔵村山市の家主の自宅を訪問し、貸してもらいたいとお願いした。

  結局立野さんの願いが届き、家主も「貸しましょう」と言ってくれた。その時の契約書は「確定期限付」と書かれてあり、その後3回更新したが、その時の契約書は「一時使用目的」とされ、特約として「契約期間中貸主より解約の予告があった場合無条件で明渡す事」と書いてあった。

 昨年7月に入り、家主は突然明渡を請求し、家賃の受領も拒否し、今年の3月には東京地方裁判所八王子市部に建物明渡しで裁判にかけてきた。裁判では立野さんが借りた時や更新の時の経緯が問題になった。家主は明渡の理由は一時使用契約であることと、土地の有効利用の必要性を主張した。

 立野さんは借りた当時も一時使用の合意は一切なかったこと、契約の更新時にも家主から明渡の話しもなく、不動産屋からも一時使用の説明もなく事務的に署名したものであること等を反論し、現在裁判を独力で闘っている。

東京借地借家人新聞より

           


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2007年7月23日 (月)

新家主から店舗の明渡し

       立退料192万円の提示を断る
                  従前と同一の条件で更新

 JR立川駅から徒歩10分ほどの高松商店街で書店を経営している比留間さんは、借地人である家主が立川駅前で経営する中華料理店が倒産したため、借地権と建物を今年の6月10日付で地主に売却した。地主である新家主から、6月5日に「立ち退き通知書」送られてきた。

 内容は、5月31日付で前家主との間で借地権と家屋の売買契約が成立した。立ち退きの件については、家賃月額16万円の12か月分192万円を支払う。敷金百万円は立ち退いた後原状に復帰した時点で精算する。

 比留間さんは、昭和52年に開業して今年で25年になる。長引く不況と駅前の開発の影響で、櫛の歯が欠けるように廃業する店が相次ぎ、隣の家具店がやめた跡地を地主は現在駐車場用地として貸している。比留間さん達を立ち退かせることが出来れば大きなマンションも十分に建つ。

 その後、家主は2年間のみ貸す等の条件を提示してきたが、組合の支援も受け比留間さんはいずれも拒否。結局6月1日から前家主と全く同じ条件で3年契約を更新した。

東京借地借家人新聞より


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2007年7月18日 (水)

明渡で全面勝訴

     受領を拒否され供託すると 
            供託無効だと借地契約解除

 小平市小川西町に住む北久保さんと当間さんは、一昨年以来地主と係争していた「建物収去土地明渡請求事件」で昨年11月25日に東京地裁八王子支部で原告の地主の請求を棄却するという借地人全面勝訴の判決を勝ち取った。

 裁判では、原告は「昭和63年分から平成3年分の賃料は原告に弁済の提供をしておらず、原告は受領を拒絶していないので、被告のした供託は無効である」、「平成3年12月4日到達の書面で、昭和63年1月1日以降の遅延賃料を書面到達後1週間以内に支払うよう催告したが、期限までに支払がないので契約は解除された」などと主張。

 北久保さんは、昭和63年12月頃、平成元年4月25日に昭和63年12月頃、平成元年4月25日に昭和63年分の賃料を提供したが、原告から受領を拒否されている。また、平成3年12月16日到達の書面で、平成2年分まで賃料を供託しており、遅延賃料など存在しないと反論した。

 裁判では、借地人が平成3年度分の賃料の供託がたった1週間地主の催促日より遅れたことが問題となった。

 判決は「建物所有目的の土地の賃貸借契約の解除については、債務不履行を理由とする解除要件が形式的に満たされていたとしても、債務不履行の態様が未だ賃貸人賃借人間の信頼関係を破壊したとはいえないような事情がある場合には、信義則上解除の効力を主張することは許されない」と判断した。
 地主は控訴できず、判決は確定した。

東京借地借家人新聞より


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2007年7月11日 (水)

納得できる条件で立退き合意

         納得できる立退き条件で家主と合意

 江戸川区船堀7丁目の借店舗で靴屋を営む仲谷さんは、40年前の建物新築時から入居していた。建物は、各所で雨漏りがする状態になり、居住者が1人減り2人減りして、今では仲谷さんがたった1人になってしまった。

 家主は2000年8月に明渡調停を。調停は、結局2回開いて取り下げた。仲谷さんは雨漏りがひどいので家主に「…本書到達後10日以内に修繕してくれない場合は、当方で修繕しその費用は家賃と相殺します」という内容証明郵便をだしていた。

 ところが、本年7月に来た台風で隣の店の表看板が落ちた。家主は、消防署と警察から警告を受けた。 この事件を契機に、こう着状態であった交渉が一気に進展した。

 家主の代理人の不動産業者と組合の協議が7月24日に再開。組合は仲谷さんの営業補償を要求。即日、家主は応諾した。8月2日には、仲谷さんが納得できる条件で立退合意を家主と行った。 

東京借地借家人新聞より


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2007年6月25日 (月)

和解調書による賃料滞納等に基づく契約解除が許されないとされた事例

 判例紹介

 和解調書における賃料滞納等による無催告解除特約に基づく解除が許されないとされた事例 東京地裁平成3年8月30日判決、判例集未搭載)

 (事案)
 ビルの一室を借りて喫茶店を営む賃借人と家主との間には、かつて明渡請求の裁判があったが、賃貸借を継続することで和解が成立。その和解調書(判決と同じ効