カテゴリー「更新料」の記事

2009年10月30日 (金)

賃貸マンション更新料訴訟 「適法」 大阪高裁、異なる判断--8月は「違法」 (毎日新聞)

 滋賀県野洲市の賃貸マンションを約6年半借りた男性会社員(33)=大阪市=が入居継続時に支払う更新料計26万円の返還を貸主に求めた訴訟の控訴審判決が29日、大阪高裁であった。三浦潤裁判長は「更新料は借り主にとって一方的に不利益とはいえず、消費者契約法に違反しない」と述べ、更新料を適法とする判断を示した。その上で、1審・大津地裁判決(今年3月)同様、請求を棄却した。原告側は上告の方針。

 更新料を巡る訴訟では、8月、大阪高裁で「消費者の利益を一方的に害する」として貸主に返還を命じる判決が出ており、高裁レベルで判断が分かれた。

 更新料について、1審判決は「賃料の一部前払いとしての性質がある」として適法と認定。これに対し、三浦裁判長は「賃貸借期間が長くなった際に支払われるべき対価の追加分ないし補充分」との判断を示し、「貸主にとって必要な収益で、更新料がなければ賃料が高くなっていた可能性がある」と指摘した。【日野行介】

 ◇原告側代理人の増田尚弁護士の話
 実情に合っておらず、不当な判断だ。

毎日新聞 2009年10月30日 朝刊


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マンション更新料訴訟、決着は最高裁へ (産経新聞)

 京都や滋賀、首都圏を中心に広く定着し、全国の賃貸物件100万件以上の契約にあるとされる更新料条項。8月に「無効」としたばかりの大阪高裁が今度は「有効」と異なる判断を示したことにより、決着は最高裁に持ち越される。

 無効とした8月の大阪高裁判決は、更新料には賃料補充の性質はなく、1年更新で家賃2カ月分余りと高額だったことを背景に「一見安い賃料という印象を与え、借り主を誘引する効果がある」と指摘していた。

 しかし、今回の判決は、更新料がなくなれば家賃を上げざるをえず、敷金礼金などの初期費用がかさむようになり、かえって消費者の不利益となりかねない-という従来の家主側の主張に沿った判断を示した。

 過去の訴訟では更新料が有効とされてきたが、初めて無効と認めた7月の京都地裁判決以降、潮目が変わったとの見方もあっただけに、関係者に与えた衝撃は大きかったようだ。

 会見した家主側の伊藤知之弁護士は「契約の実態通り更新料の意義を認めており、バランスの取れた判決」と評価。一方、借り主側の増田尚弁護士は「消費者保護に正面から答えておらず不当な判断。ナンセンスだ」と憤った。 

2009年10月30日 産経新聞


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マンション更新料、大阪高裁は「有効」判決 (産経新聞)

 賃貸マンションの更新料条項は違法かつ無効として、大阪市東淀川区の男性会社員(33)が家主に支払った更新料26万円の返還を求めた訴訟の控訴審判決が29日、大阪高裁であった。三浦潤裁判長は「礼金より金額が抑えられており適正」として、原告側の請求を棄却した1審大津地裁判決を支持、控訴を棄却した。

 7月の京都地裁判決以降、更新料を無効とする司法判断は計5件続いたが、今回の「有効」判決で高裁段階での判断が分かれた。原告側は上告する方針。

 原告側は、更新料条項について、消費者の利益を一方的に害する契約条項を無効と定めた消費者契約法10条に違反するとした上で、「中途解約しても精算されず、賃料の二重取りに当たる」「借り主が趣旨を理解しないまま承諾させられた」と主張していた。

 これに対し、三浦裁判長は更新料を礼金と同様、返還を前提としない「賃借権の対価」に当たると認定。金額も月当たり5千円未満と低いうえ「契約条項の押しつけとは認められない」との判断を示した。

 判決によると、男性は平成12年12月、滋賀県野洲市のマンションに月5万2千円の家賃で入居。2年ごとの更新で毎回家賃2カ月分を支払うとの条項があり、1回は半額にしてもらって6年間で計3回、26万円を支払った。

2009年10月30日 産経新聞


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借家の更新料、今度は「有効」判決 高裁でも判断割れる (朝日新聞)

 賃貸住宅の契約更新時に入居者から「更新料」を徴収する契約条項は消費者契約法に照らして無効だとして、借り手の男性会社員(33)=大阪市=が家主に支払い済みの更新料26万円の返還を求めた訴訟の控訴審判決が29日、大阪高裁であった。三浦潤裁判長は、訴えを退けた3月の一審・大津地裁判決を支持し、借り手側の控訴を棄却した。借り手側は上告する方針。

 更新料をめぐっては、別の裁判長による8月の大阪高裁判決が「無効」とし、高裁レベルで判断が分かれる形になった。最終判断は最高裁に持ち越されることになる。

 高裁判決は、今回の更新料について、2年ごとの契約更新の際、約5万~約10万円を支払っているが、入居時に支払った礼金20万円より低いことから「適正」と判断。賃貸契約を延長するために借り手側が支払う「対価」とみなした。また、更新料を禁じると家賃に上乗せされる可能性があるとも述べ、「借り手にとって一方的に不利益になることはない」と結論づけた。

 判決によると、会社員は00年、滋賀県野洲市のマンションに月約5万円の家賃で入居。07年に退去した。

 判決後、会社員は「消費者保護の流れをせき止める判決」と批判。家主側の代理人弁護士は「更新料の意義を認めた妥当な判断」と話した。

2009年10月30日 asahi.com(朝日新聞社)


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2009年10月15日 (木)

3店舗が結束して明渡しを拒否、今度は更新料請求で調停申し立て

 荒川区に住むYさんは、地元で店舗を借りて35年商店を営んでいる。

 平成15年には更新の連絡がなく、しばらくして突然「建設計画のお知らせ」の看板が立ち、マンションの2階から3階はあっけなく追い出される始末。Yさんにも覚書の締結を求められたが、引越し費用も一切出ず、新店舗への入居も協議の上という内容でとても呑める条件ではなかった。

 その頃チラシをみて組合に相談、3店舗で組合に入り話し合いを重ねた。結果は新築断念、補強工事へ。一件落着かと思いきや今年7月に入って更新料を支払えと調停にかけてきた。Yさんたち3店舗は結束して拒否している。

東京借地借家人新聞より


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2009年10月10日 (土)

賃貸住宅更新料、首都圏と京都だけ突出して徴収~実態調査で明らかに

賃貸住宅更新料

首都圏と京都だけ突出して徴収 

 (実態調査で明らかに)

 2009年10月9日

 更新料問題に関する不動産業界の意識・実態緊急調査住宅・不動産情報ポータルサイト「HOME'S」を運営するネクストがHOME'S会員企業を対象に、更新料問題に関する不動産業界の意識調査・実態調査を実施。更新料をとっていない地域が多いことなどが明らかになった。1,796社から回答を得た。

 大阪高裁で賃貸住宅の更新料は無効との判断が出たが、今回の調査で実は大きな地域差があることが明らかになった。首都圏や京都では約9割の回答者が「更新料のみ」もしくは「更新料と事務手数料の両方」を設定しているのに対して、北海道では約9割、京都以外の近畿地方では約8割の回答者が「更新料も更新事務手数料も取っていない」と回答。更新料が地域的には限定的な商習慣であることが浮き彫りになっている。とくに首都圏では「更新料も更新事務手数料も取っていない」のはわずか1.7%に留まった。

 「更新料を設定している」と回答した会員企業に対して、設定している更新料の金額について回答してもらうと、ほぼ全地域で大半を占めるのは「更新料は家賃の1ヵ月分」とする回答。しかし京都の不動産会社では「更新料は家賃の2ヵ月分」 とする回答が最多となっている。更新料設定有無に加えてその金額設定にも地域差があり、賃貸借契約に伴う制度や金額については、全国規模で平準化されていないことも明らかになった。

 また、賃貸借契約更新料に対する考え方を聞いてみる(複数回答可)と、「昔からの商慣習」が56.7%でトップ。「オーナーの収益のため」41.7%、「更新時の事務手数料」36.1%と続き、賃貸借契約更新料に対する明確な判断基準が不動産業界内でも存在していない現状がうかがえた。

関連記事・リンク

「更新料問題に関する不動産業界の意識・実態緊急調査」(PDF)


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2009年10月 9日 (金)

更新料約定は消費者契約法10条に違反し既払更新料の返還請求が出来る

(問) 平成21年8月27日の借主勝訴の大阪高裁判決では、既に支払済みの更新料の返還請求が認められたというが、どのような内容の判決であったのか。

(答) 今回の大阪高裁の判決を前後して、更新料支払特約が消費者契約法10条に違反し無効という更新料を否定する判決が立て続けに出ている。

 例えば、平成21年7月23日の京都地裁判決では、支払い済みの1回分の更新料11万6000円が返還された。

 同年9月25日の同日3件の京都地裁判決では、既払更新料3回分(22万8000円)、もう一人は、1回分の更新料(11万6000円)の返還請求が認められた。このように、次々と過去に遡って支払った既払更新料の返還請求が実現している。

 もう1件は家主が未払い更新料(11万6000円)の支払いを求めた訴訟で、更新料支払特約は消費者契約法10条に違反し無効であるとして家主の請求を棄却した。

 これら消費者契約法10条を基にした更新料否定の判例の積重ねによって、<更新料根絶>の運動が更に加速されなければならない。そのためにも、これらの判例の検討は急務である。そこで、今回の逆転勝訴の大阪高裁の判例を中心に、借主が敗訴している1審の京都地裁(平成20年1月30日)判決も、検討する。

 <事案の概要> 平成12年8月に、以下のような内容で建物賃貸借契約を結んだ。契約期間1年(以後1年更新)、礼金6万円、家賃1か月4万5000円、敷金10万円、入居者相互会費1万500円、及び1年毎に更新料10万円を支払う約束(更新料約定)になっていた。

 契約書には、<更新料約定>が次のように記載されていた。
 第21条 (更新)
 契約書記載の賃貸借期間の満了時より,甲(貸主)にあっては6か月前,乙(借主)にあっては1か月前までに各相手方に対し更新拒絶の申出をしない限り,本契約は家賃・共益費等の金額に関する点を除き,更新継続されるものとする。但し契約書に別段の定めがある場合はそれに従う。尚この場合,乙(借主)は甲(貸主)に対し,契約書記載の更新料を支払わねばならない。

 更新料は平成13年~17年まで5回分50万円が支払われた。しかし、平成18年の更新の際、更新料の支払を拒否し、契約書に基づいて退去の1か月前に解約予告をし、11月分の家賃を未払いのまま、同年11月30日に退去した。

 借主は、退去後、既払更新料50万円と敷金10万円から未払い家賃(4万5000円)を差引いた敷金5万5000円の返還を求めて京都地裁へ提訴した。

 裁判は更新料の法的性質を中心に争われた。
 貸主側は、更新料は①更新拒絶権放棄の対価(紛争解決金)、②賃借権強化の対価、③賃料の補充(前払賃料)であると主張した。

 借主側は、①~③はいずれも更新料の法的性質を有していないし、何ら対価性を有しない不合理的なものである。更新料約定は消費者契約法又は民法90条により無効であると主張した。

 京都地裁(平成20年1月30日判決)は、更新料は①②は評価できるが、対価としての性質は希薄であり、主に③賃料補充(前払賃料)であると認定した。その上で、「本件更新料約定が無効であることを前提とする原告の不当利得返還請求には理由がない」として借主の更新料返還請求を棄却した。

 敷金に関しては、平成18年の更新料不払分(10万円)は敷金10万円によって充当され、「敷金返還を求める原告(借主)の請求には理由がない」として敷金返還請求が棄却された。

 借主はこの判決を不服として大阪高裁へ控訴した。

 大阪高裁は争点になっている更新料の法的性質①~③ を検討し、「契約において特にその性質も対価となるべきものも定められないままであって、法律的には容易に説明することが困難で、対価性の乏しい給付というほかはない」として貸主側の主張を採用できないと結論づけた。

 大阪高裁は特に1審で認められた更新料は「前払賃料」とみる見解(*)に対して、仮に更新料が前払い賃料であれば、借主が中途解約した場合、未経過期間分に相当する額の精算するのが当然である。だが、本件更新料については、そのような規定は定められていない。従って、「法律的に、これを賃料として説明することは困難であり、本件更新料が賃料の補充としての性質をもっているということもできない」 として貸主側の主張を斥けている。

 (*)過去の判例の検討をすると、更新料を「前払賃料」(賃料の補充)と見る見解は、合意更新と法定更新とに拘らず更新料支払特約があれば更新料支払義務を認めるという結論に馴染み易い傾向がある。

 その上で、大阪高裁は「更新料約定は、消費者契約法10条に違反し、無効であるというべきである」として更新料特約を否定した。従って、「更新料は法律上の原因なくして支払われた」ものであるから、既払更新料は返還すべきであるとした。

 但し、消費者契約法施行(平成13年4月1日)前の初回の契約分(平成12年8月15日締結)の更新料約定による平成13年8月支払の更新料(10万円)は有効とした。既払更新料(10万×5回)の内から10万円を除いた40万円が更新料返還請求として認められた。

 敷金に関して、大阪高裁は「本件更新料約定は無効であるから、被控訴人(賃貸人)がそれに基づいて更新料を敷金から控除することができない」と理由を述べた。貸主が敷金(10万円)から未払更新料(10万円)勝手に差引くことは許されないから、貸主に対して、敷金10万円から11月分の未払家賃(4万5000円)を差引いた5万5000円を返還するよう命じた。

 大阪高裁は、更新料約定に関して次のように述べている。
 「賃料を意味しない更新料という用語を用いることにより、賃借人の経済的な出損が少ないかのような印象を与えて契約締結を誘因する役割を果たすものでしかないと言われてもやむを得ないと思われる。すなわち、一般的に、全体的の負担額が同じであっても、当初の負担額が少ないを好む」人に対し、「賃貸物件の経済的対価として更新時にしか授受されない更新料を併用することにより、法律上の対価である家賃額を一見少なく見せることは、消費者契約法の精神に照らすと許容されることではない。・・・・被控訴人(賃貸人)が本件物件の賃貸により本件更新料に相当する金額をも含めた経済的利益を取得しようとするならば、更新料としてではなく、端的に、その分を上乗せした賃料の設定をして、賃借人になろうとする消費者に明確、透明に示すことが要請されるというべきである。」

 大阪高裁の見解は借主側の更新料の主張と同じである。次の通りである。「現在の更新料は、賃借人が物件を選定する際に主に賃料の額に着目する点を利用して、賃料については割安な印象を与えて契約を誘因し、結局は割高な賃料を取るのと同じ結果を得ようとする欺瞞的な目的で利用されているものである」。

 問題になっている京都の更新料は1年契約で更新料は家賃の2か月分以上というものである。東京の更新料は2年契約で家賃の1か月分というのが多い。例えば、東京式で言えば、家賃4万5000円、2年契約で更新料20万円は、家賃の4.4か月分の更新料となる。単純な比較で言えば京都の更新料は、東京の4.4倍ということである。今回の大阪高裁の判例が東京の更新料の場合に、そのまま適用されるかというと少々問題がある。

 取敢えずは、最高裁(1982年4月15日判決、昭和56年(オ)第1118号)の契約書に更新料支払約定があっても、法定更新された場合には更新料の支払義務がないという判例がある。これに基づいて更新料の不払を実行した方が賢明である。

 更新料を正当化するために後から珍奇な理屈を捏ね繰り回した結果が「前払賃料」説である。更新料と同じように不動産賃貸借契約では、意味不明な・曖昧な用語で徴収されているものに礼金、保証金、権利金、管理費等である。営業用店舗の保証金の「償却特約」もぼったくりの典型である。

 判決文でも述べられているように、曖昧なものは排除し、支払は家賃だけにすれば判り易い。それ以外の請求は認めない。シンプルにすれば、物件選びの比較も簡単になる。透明性を高めればトラブルも無くなる。 

     賃貸住宅の更新料の地域差

徴収率 平均額     徴収率 平均額
北海道  28.5  0.1 愛知県  40.6  0.5
宮城県   0.2  0.5 京都府  55.1  1.4
埼玉県  61.6  0.5 大阪府    0   0 
千葉県  82.9  1.0 兵庫県    0   0
東京都  65.0  1.0 広島県  19.1  0.2
神奈川県  90.1  0.8 愛媛県  13.2  0.5
富山県  17.8  0.5 福岡県  23.3  0.5
長野県  34.3  0.5 沖縄県  40.4  0.5


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2009年9月28日 (月)

どのようにしたら、更新料の支払を拒否出来るのか

 木村さんは、引越しのピークを過ぎた6月になってから賃貸物件探し始めた。既に好物件は粗方入居済みであった。選好みをいっていられる場合でないので、仕方なく家賃は少々高目(10万円)であったが、平成19年6月、千代田線根津駅近くのマンションへ入居した。

 契約書は、貸主の姿勢が窺えるような内容である。細かい文字で10頁に亘り部屋の修復作業仕様書及びそのチェック項目が書かれ、借主の義務とその費用負担を強いるものばかりであった。

 不動産業者は契約時に近隣のマンション(8~9万円前後の家賃)より高めの家賃を気にして、次回の更新時(平成21年)には必ず家賃を値下げすると約束していた。

 平成21年の更新1か月前に不動産業者が更新内容を通知して来た。だが、家賃は値下げするという約束にも拘らず、1か月10万円、管理費も1か月5000円で据置き、更新料と更新手数料は家賃の1か月相当分(合計20万円)というものであった。

 不動産業者の約束無視と遣り方に憤りを覚え、インターネットで調べて台東借地借家人組合へ入会した。木村さんは組合と相談し、不動産業者へ更新料の検討と家賃の値下げを要望する文書を送った。

 不動産業者から「更新料は約定通り支払ってもらいますが、家賃については1か月当たり3000円の値下げすることの了解を家主から得ています」という回答があった。

 木村さんは3000円の減額では納得できずに、組合役員と一緒に不動産屋を訪れ、直接交渉を行った。話し合いの結果、3000円の値下げの他に管理費5000円もカットすると不動産業者は確約した。

 しかし、不動産業者も営業利益が絡む更新料と更新手数料に関しては護りを固め、譲歩する気配がない。これ以上交渉を続けても、埒が明かないので、交渉は取敢えず打ち切ることにした。

 今回の話合いは、家賃と管理費の値下げに重点かあったので、それを中心にを交渉した。従って、更新料と更新手数料に関しては、深入りしなかった。

 後日、木村さんと話合いをした。家賃の更なる減額要求をするよりも、取敢えず、更新料と更新手数料は一括で支払わなくてはならないから、費用負担が無い更新料不支払いを選択したいという希望であった。

 組合は当初から更新料に関しては、法定更新に持込む方針であった。そこで今回木村さんに少し勇気を出してもらい、借地借家法26条の規定に従って法定更新を選択し、最高裁の判例に従って更新料の不払いを実行することにした。

                                                                     


 借地借家法26条は、法律の定めに従い、契約条件が整えば、契約書を作成しなくても、契約は法律の定めに従い自動更新されると規定されている。その際、契約は「従前の契約と同一条件で契約を更新したものとみなす」とされている。「みなす」ということは、法律的には更新が確定したものとして取り扱うということである。

 だから、家主が契約の更新をする意思がないとか、契約書を作成していなし、借主と契約の締結もしていないから、「契約は成立していない」と主張しても、法定更新された契約を法律的に覆すことは出来ないということだ。そして、法定更新された契約に不動産業者は何も関与している訳ではないし、契約の成立に何ら介在している訳ではないから、不動産業者の労務報酬は発生しない。

 尚、「更新手数料」は更新手続を依頼した者が支払う。通常は貸主が不動産業者に更新業務を依頼しているので、不動産業者は貸主に労務報酬を請求するのが原則であり、貸主は依頼した更新業務が完了したことを確認した上で労務報酬支払う。更新業務を依頼していない借主に労務報酬である更新手数料を請求することは請求根拠のない違反行為であるである。

 尚、「不動産業者から更新時の更新手数料を支払うよう請求された」を参照。

 そして、法定更新された契約は、借地借家法26条の「但書」で「その期間は、定めがないものとする」と規定さている。例えば、2年契約なら期間が限定されているので、2年後には必ず契約の更新がある。しかし、契約期間が定められていないと、期間の区切りがないので更新は発生しない。言い換えると、法定更新をすると法律的には更新が発生しないので、2度と更新料の支払いが問題になることはない。

  建物賃貸借の更新料に関しては、最高裁(昭和57年4月15日判決・昭和56年(オ)第1118号)は「建物賃貸借契約における更新料支払の約定は、特段の事情の認められない以上、専ら右賃貸借契約が合意更新される場合に関するものであって法定更新された場合における支払の趣旨までも含むものではない」と判示している。

 換言すると、更新料支払特約があっても、借主が法定更新を選択した場合、特段の事情がなければ、更新料の支払義務はないということである。従って、更新料支払い特約がある場合でも、借主は借地借家法26条の規定に従って、建物賃貸借契約を法定更新すれば、更新料支払を拒否することは可能である。そして、1度勇気をもって、更新料を拒否すれば、2度と更新料の支払が問題になることは無いということだ。

 大阪高裁(2009年8月27日判決)は「更新料支払特約」を消費者契約法10条に反して無効として、既に支払った過去4回分の更新料(合計で40万円)を返還させるという画期的な判決を下した。

 しかし、大阪高裁は、借主が過去に5回更新料を支払っているが、消費者契約法(平成13(2001)年4月1日)施行前に締結した初回の賃貸借契約(平成12年8月11日)に基づいて支払われた更新料(10万円)は有効として返還を認めなかった。

 ところが、借主は平成18年の更新の際、法定更新を選択し、更新料(10万円)を不支払した。この更新料不払いに対しても大阪高裁は、「賃貸借契約に定められた更新料約定は、消費者契約法10条に違反し、無効である」というこ基本的態度変わらないが、判決文の中で何回となく「法定更新の場合には、更新に条件を付することはできないため、更新料を支払う必要はないと解すべきである」或は「法定更新の際には更新料を払う義務がない」ということを指摘している。


 参考 借地借家法
 (建物賃貸借契約の更新等)
第26  建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の1年前から6月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、その期間は、定めがないものとする。

 前項の通知をした場合であっても、建物の賃貸借の期間が満了した後建物の賃借人が使用を継続する場合において、建物の賃貸人が遅滞なく異議を述べなかったときも、同項と同様とする。

 建物の転貸借がされている場合においては、建物の転借人がする建物の使用の継続を建物の賃借人がする建物の使用の継続とみなして、建物の賃借人と賃貸人との間について前項の規定を適用する。

(建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)
第28条 建物の賃貸人による第26条第1項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。


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2009年9月26日 (土)

賃貸更新料また返還命令…京都地裁 (2009年9月25日判決)

 賃貸住宅の契約更新の際に支払いが求められる「更新料」を巡り、京都市内のマンションを借りていた熊本県と東京都の女性2人が家主側に支払い済み更新料計34万4000円の返還などを求めた2件の訴訟の判決が25日、京都地裁であった。滝華聡之裁判長は「更新料を定めた契約条項は、消費者の利益を一方的に害しており、消費者契約法に反して無効」として、いずれも家主側に全額の支払いを命じた。家主側は控訴する方針。

 更新料を無効とする司法判断は、7月に同地裁で、8月には大阪高裁で出ており、借り主側の弁護団は「判決の流れは、もはや止められない。家主側は不当条項を速やかに見直すべきだ」と話している。

 判決によると、熊本の女性は2003年4月、東京の女性は06年3月に入居。更新料は、いずれも1年ごとに賃料2か月分とする契約で、それぞれ3回分22万8000円、1回分11万6000円を支払った。

 家主側は訴訟で「更新料には賃料を補充する性質がある」などと主張したが、判決で、滝華裁判長は「趣旨不明瞭(めいりょう)な部分が大きい」と指摘。そのうえで「更新料条項について、情報や交渉力で格差のある借り主側に誤認状態で契約を結ばせ、不利益を与えた」とした。

 この日は、家主が借り主に未払いの更新料10万6000円の支払いを求めた訴訟の判決も京都地裁であり、佐野義孝裁判官は消費者契約法に基づき、契約条項は無効として請求を棄却した。

(2009年9月26日  読売新聞)


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賃貸マンション 3判決で「更新料無効」 京都地裁 借り主勝訴の流れ (2009年9月25日判決)

 賃貸マンションの契約で更新料の支払いを定めた条項の妥当性をめぐる3件の訴訟で、京都地裁は25日、いずれも「借り主の利益を一方的に損なう条項で、消費者契約法により無効」とする判決を言い渡した。7月の京都地裁、8月の大阪高裁に続く借り主側勝訴の判決で、下級審レベルでは無効判断の流れが優勢になってきた。

 京都市内で借りていた20代女性2人がそれぞれの家主に更新料の返還を求めた二つの訴訟では、瀧華聡之裁判長が、更新料1回分11万6千円、3回分計22万8千円の全額返還を命じた。更新料の支払いを拒否した男性(27)に家主が10万6千円の支払いを求めた訴訟では、佐野義孝裁判官が訴えを棄却した。

 判決は更新料の性質について「単に更新の際に支払う金銭との意味合いが強く、趣旨不明瞭(めいりょう)な部分が大きい」などと指摘した。家主側の「賃料の補充、前払いとしての性質がある」とする主張に対しては「対価性は認められないか、希薄」として退けた。

 家主側の弁護団は「最高裁の判断が出るまで争う」として3件とも控訴する方針。

 更新料制度をめぐる訴訟では、2008年1月の京都地裁、今年3月の大津地裁は「更新料は有効」としている。

 ■京の業者 制度見直し動きも

 賃貸住宅の更新料の支払いを求める条項について、25日の京都地裁をはじめ「無効」とする司法判断が積み重なるなか、京都の不動産管理会社の間では更新料制度を見直す動きも出始めた。訴訟については「返還命令は零細な家主にとって死活問題」と最高裁まで争う構えだが、新規の契約からは「更新料」の名が消えていく流れになりそうだ。

 不動産管理会社でつくる日本賃貸住宅管理協会・京都府支部の吉田光一支部長は「判決は厳粛に受け止めている。更新料の設定はあくまでも個々の会社、家主の判断になるが、見直しの動きは広がっている」と話す。管理会社によっては、新規契約の際に更新料を設定しないよう家主に勧めたり賃料の一部であることを入居者に説明するなど対応を変えているという。

 借り主側の京都敷金・保証金弁護団はこの日の判決後、「更新料無効の流れはもはや止めることはできない。消費者保護は時代の要請だ」とする声明を発表した。9月6日の電話相談を受けて希望者が集団提訴する意向であることを示した。

京都新聞 2009年9月25日


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賃貸マンション:更新料訴訟でまた無効判決 京都地裁 (2009年9月25日判決)

 賃貸マンションの更新料条項が有効かどうか争われた3件の訴訟で、京都地裁は25日、いずれも「消費者契約法違反で無効」とする判決を出した。7月の京都地裁、8月の大阪高裁と同様の判断で、更新料を無効とする流れの定着を示すものと言えそうだ。

 借り主が家主に、更新料計34万円の返還を求めた2件では、瀧華聡之裁判長が「更新料は極めて乏しい対価しかなく、贈与のようなもので、一方的に消費者の利益を害する」と述べ、全額返還を命令。定額補修分担金12万円も「同法違反で無効」とし、12万円の返還を命じた。

 逆に家主が借り主に不払いの更新料10万6000円の支払いを求めた訴訟では、佐野義孝裁判官が「更新料を賃料の一部や補充とみるのは困難」と家主側の主張を退け、請求を棄却した。【熊谷豪】

毎日新聞 2009年9月25日


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マンション更新料は無効 京都地裁判決 (2009年9月25日判決)

 賃貸マンションの契約更新時に借り主から「更新料」を徴収する契約条項の是非が争われた3件の訴訟で、京都地裁は25日、いずれも「消費者契約法に照らして無効」との判断を示した。家主側は控訴する方針。一方、借り主側弁護団は、更新料をめぐり勝訴が続いているのを受け、京都と滋賀の借り主を原告に来月にも集団提訴する予定だ。

 借り主が家主に更新料の返還を求めた訴訟2件では、瀧華聡之裁判長が家主側にそれぞれ22万8千円と11万6千円の支払いを命じた。家主が借り主に更新料の支払いを求めた1件では、佐野義孝裁判官が請求を棄却した。

 判決は、更新料について「賃料の補充や、借り主が借り続ける権利を補強する対価などの性質は認められない」「趣旨が不明瞭」「借り主側に重大な不利益を与える」などとしていずれも消費者契約法に反すると判断。「社会的に認知された制度だ」などという家主側の主張を退けた。

 更新料をとる慣行は首都圏や京都、滋賀、福岡などにある。07年の国土交通省のアンケートでは、平均額が最も高いのは京都で、家賃の1.4カ月分だった。

 判決のうち1件では、退去時の補修費の一定額を借り主に払わせる「定額補修分担金」の条項も争われた。判決は「通常損耗分は賃料に含める形で回収されている」として家主側に12万円の支払いを命じた。

 借り主3人は、大学や大学院在学中の03~06年に京都市内のマンションに入居。1~2年後の更新時に家賃2カ月分にあたる7万6千~11万6千円を支払うとの契約を結んでいた。(中川竜児)

asahi.com(朝日新聞社) (2009年9月25日)


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2009年9月 7日 (月)

京都地裁平成21年7月23日判決 1 (事案の概要)  

 判例紹介

 事件番号 :平成20年(ワ)第3224号
 事件名 :敷金返還請求事件
 裁判年月日 :H21.7.23
 裁判所名 :京都地方裁判所
 部 :第6民事部
 結果 :認容

(判示事項の要旨)
 居住用建物の賃貸借契約における保証金の解約引き特約及び更新料特約が,消費者契約法10条に該当し無効であると判断された事例

                               主        文


1 被告は,原告に対し,46万6000円及び内35万円に対する平成20年7月31日から,内11万6000円に対する同年10月23日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

2 訴訟費用は被告の負担とする。

3 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。

                                事 実 及 び 理 由

第1 請求
   主文同旨

第2 事案の概要など
1 事案の概要
 原告は,被告(貸主)との間のマンション賃貸借契約(以下「本件賃貸借契約」という。)の締結時に保証金35万円を,契約更新時に更新料特約(以下「本件更新料特約」という。)に基づき更新料11万6000円(以下「本件更新料」という。)をそれぞれ支払ったが,本件賃貸借契約の約定中,解約引き特約(以下「本件敷引特約」という。)及び本件更新料特約が消費者契約法(以下「法」という。)10条により無効である旨主張して,敷金契約終了に基づき被告が返還すべき義務があることを自認した5万円を含めた保証金35万円及びこれに対する賃借物件明渡し後である平成20年7月31日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに,不当利得返還請求権に基づき,更新料11万6000円及びこれに対する訴えの変更申立書送達の日の翌日である同年10月23日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。

2 前提事実(証拠及び弁論の全趣旨により容易に認めることができる事実)
 (1) 原告は,平成18年4月1日,被告との間で原告を賃借人,被告を賃貸人として,以下の内容の本件賃貸借契約を締結した(甲1)。

 ア 賃貸借物件・・・・京都市a区b町c-d e号室(以下「本件物件」という。)
 イ 契約期間・・・・平成18年4月1日から平成20年3月31日まで
 ウ 賃料・・・・1か月5万8000円
 エ 保証金・・・・35万円
 オ 解約引き・・・・30万円(以下「本件敷引金」という。)
 カ 更新料・・・・賃料2か月分

(2)本件賃貸借契約にかかる契約書(以下「本件賃貸借契約書」という。)には以下の条項があった(甲1。なお,同契約書中「甲」は賃貸人たる被告のことであり,「乙」は賃借人たる原告のことである。)。

第2条(敷金または保証金)
 ① 乙は,敷金(保証金)として頭書(3)記載の金額(35万円)を本契約締結時と同時に甲に差し入れるものとする。但し,敷金(保証金)には,利息を付さない。

 ② 前項の敷金(保証金)は,乙の甲に対する賃料の支払及び損害賠償その他の本契約から生ずる一切の債務を担保する。

 ④ 甲は,敷金(保証金)を返還する際,未納の家賃損害金,滞納損害金,原状回復の為の費用等,乙が甲に支払うべき金額を控除して,その残金を明渡し後60日以内に乙に返還する。但し,敷金(保証金)の額が不足するときには,乙は不足額を直ちに甲に納付しなければならない。

第3条(賃料及び共益費等)
 1 賃料及び共益費は,頭書(3)に記載(賃料5万8000円,共益費5000円)するとおりとする。

第4条(契約期間)
 ① 契約期間は,頭書(2)記載(平成18年4月1日から平成20年3月31日まで)のとおりとする。但し,契約期間満了の2か月以上前に,乙が甲に対し書面により更新拒絶の申出をしない限り,契約は当然に更新されるものとする。但し,第11条第2項に該当する場合(乙の責に帰すべき事由による契約の解除)は本契約を更新することができない。

 ② 乙は合意更新または,前項による法定更新にかかわらず,頭書(3)記載の更新料(賃料2か月分)を支払わなければならない(本件更新料特約)。

第5条(賃料・共益費の改定)
 第3条に定める賃料及び共益費等が,物価の変動,住宅の維持管理,公租公課等,その他の事由により不相当となるに至ったときは,契約期間中といえども,甲は,家賃・共益費・敷金等を改定することができる。

第6条(延滞金)
 乙が賃料及び共益費等の全部又は一部の支払を怠ったときは,乙は甲に対し納付期日から延滞日数に応じ年率(365日あたり)14.6パーセントの割合を乗じて算出した額に相当する延滞金を支払わなければならない。但し,天災等その他不可抗力によるものと甲が認めたときは,これを減免することができる。

第10条(契約期間内の解約)
 ① 乙は契約期間中といえども,甲に対して書面により2か月以上前の予告期間を定めて,本契約の解約を申し入れることができる。この場合,予告期間満了と同時に本契約は終了する。但し,乙は予告期間にかえて2か月分の賃料相当額を甲に支払うことにより,直ちに解約することができる。

 ③ 甲は契約期間中といえども,乙に対し,6か月以上の予告期間を定めて本契約を解約することができる。

第13条(原状回復)
 乙もしくは頭書(4)記載の同居人,又はそれらの来訪者その他の乙の関係者が目的物件,本建物設備,及び諸造等を変更,又は毀損した時は,乙は直ちにこれを原状に回復しなければならない。もし,乙が原状に回復しない場合は,甲は乙の費用負担において回復することができる。

 (3) 原告は,被告に対し,平成20年1月15日,本件賃貸借契約を更新するに際し,本件更新料特約に基づき,2年間の契約期間に対する更新料として11万6000円(本件更新料)を支払った。

 (4) 原告は,被告に対し,平成20年5月8日,本件賃貸借契約の解約の申入れを行い,同月31日,本件物件を明け渡した(甲2)。

 (5) 原告は,被告に対し,平成20年6月2日,2か月分の賃料相当額として11万6000円を支払った。

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京都地裁平成21年7月23日判決 2 (争点に対する当事者の主張)

3 争点及び争点に対する当事者の主張
 (1)  本件敷引特約及び本件更新料特約は,法10条に該当するものとして無効といえるか

  ア 原告(賃借人 )
  (ア)  賃貸借契約は,賃貸人が賃借人に対して目的物を使用収益させる義務を負い,賃借人が賃貸人に対して目的物の使用収益の対価として賃料を支払う義務を負うことによって成立する契約であり,賃貸目的物の使用収益と賃料の支払が対価関係にあることを本質的な内容とする。そして,民法上,賃借人に賃料以外の金銭的負担を負わせる旨の明文規定は存しないから,賃借人に債務不履行がある場合を除き,賃借人が負担する金銭的な義務としては賃料以外のものを予定していない。

   よって,本件敷引特約及び本件更新料特約のように,賃借人に賃料以外の金銭的負担を負わせる内容の合意は,民法の賃貸借契約に関する任意規定の適用に比し,賃借人の義務を加重するものである。

  (イ)  本件敷引金の法的性質について
 被告は,本件敷引金の法的性質につき,1自然損耗料,2リフォーム費用,3空室損料,4賃貸借契約成立の謝礼,5当初賃貸借期間の前払賃料,6中途解約権の対価といった要素が渾然一体となったものである旨主張する。

  しかしながら,本件賃貸借契約に際し,本件敷引金がそのような性質を有するものであるとの説明は一切なく,そもそも前記要素は以下のとおりいずれも合理性がない。

 a ①自然損耗料及び②リフォーム費用について
  目的物の通常の使用に伴う自然損耗の修繕費用は賃料で考慮されており,賃料に加えて自然損耗の修繕費用の負担を強いることは賃借人に二重の負担を強いることになることから,本件敷引金に自然損耗料及びリフォーム費用としての要素を含ませることには合理性がない。

 b ③空室損料について
  賃貸借契約は,賃貸目的物の使用収益とこれを使用収益する期間に対応する賃料の支払が対価関係に立つ契約であるから,賃借人の使用収益しない期間の空室賃料について賃借人が負担を強いられる理由はない。

 c ④賃貸借契約成立の謝礼について
  賃料以外に賃借人が謝礼を支払わなければならないというのは不合理であって,賃貸借契約成立の謝礼という要素を含ませることには合理性がない。

 d ⑤当初賃貸借期間の前払賃料について
  現実に使用収益する期間の長短を一切考慮せずに一定金額で賃料を前払させることに合理性はない。そもそも,前払を要するほど賃料が減額されているのか,減額されているとしていくら減額されているのか明らかでないことから,前払賃料という要素を含ませることには合理性がない。

 e ⑥中途解約権の対価について
  中途解約権は,原告のみならず被告にも留保されているから,原告のみが賃貸人(被告)に対して対価を支払わなければならない理由はない。

(ウ)  本件更新料の法的性質について
 被告は,本件更新料の法的性質につき,①更新拒絶権放棄の対価,②賃借権強化の対価,③賃料の補充,④中途解約権の対価といった要素が渾然一体となったものである旨主張する。

 しかしながら,本件賃貸借契約に際し,本件更新料がそのような性質を有するものであるとの説明は一切なく,そもそも前記要素は以下のとおりいずれも合理性がない。

 a ①更新拒絶権放棄の対価について
  賃貸人の更新拒絶は,正当事由があると認められる場合でなければすることができず(借地借家法28条),居住用建物の賃貸借契約の場合,正当事由が認められることはほとんどない。また,賃貸人の更新拒絶は,期間満了の6か月前までに行使しなければならず(同法26条1項),合意更新がなされる場合,すでに賃貸人による更新拒絶権行使の期間が徒過しており,更新拒絶権が発生しないことが確定している場合がほとんどである。よって,本件更新料を更新拒絶権放棄の対価とみることはできない。

 b ②賃借権強化の対価について
  本件賃貸借契約において,賃貸人に中途解約権が留保されており,賃借権は全く強化されていない。また,居住用建物の賃貸借の場合,契約期間が短く,法定更新の場合と比べ,合意更新によって賃借権を確保するという実質的な意味はほとんどない。そもそも,賃貸人の正当事由に基づく解約が認められる場合はほとんどなく,本件更新料には賃借権を強化するという要素はない。

 c ③賃料の補充について
  現実に使用収益する期間の長短を一切考慮せず,一定金額で賃料を補充させることに合理性はない。そもそも,賃貸借期間が1,2年と短期に設定されている居住用建物の賃貸借の場合,その期間内に賃料の不足分が生じるとは考えにくく,更新料によって賃料を補充する必要性に欠ける。法定更新の場合に更新料が支払われないことについて全く説明ができないことからも,その不合理性は明らかである。

 d ④中途解約権の対価について
  賃借人が中途解約権を留保している一方,賃貸人も中途解約権を留保しているのであり,賃借人だけがさらに対価を支払わなければならない理由はない。そもそも,本件賃貸借契約においては,更新前からすでに中途解約権が留保されており,更新料と対価関係を見出すことはできない。

 e そして,全国的には居住用建物の賃貸借において更新料の定めを設けることは例外的であること,国土交通省が推奨する賃貸住宅標準契約書においても更新料の定めはないこと,公営住宅の賃貸借契約においては更新料の定めがないこと,住宅金融公庫融資物件について,更新料支払条項を設けることは賃借人に不当な負担を課すことから上記定めを設けることが罰則により禁止されていたこと等からしても,本件更新料特約が不合理であることは明らかである。

 (エ)  賃貸事業者と消費者である賃借人との交渉力の格差からすれば,敷引特約及び更新料特約を賃借人が交渉によって排除することは事実上不可能である。仲介業者は賃貸物件を媒介する業者であり,賃借人の情報の質及び量並びに交渉力の格差を是正することを業務とはしていない。

 また,契約内容につき説明され理解したようにみえても,実は情報の質及び量並びに交渉力の格差を背景に,賃貸事業者によって定められた契約内容が賃借希望者に対して一方的に押しつけられているのが現実であるから,契約条項自体が不当であれば無効となる。

 そして,前記(イ)及び(ウ)のとおり,本件敷引金及び本件更新料にはいずれも合理的な法的性質は認められないにもかかわらず,賃借人(原告)に対してそれぞれ30万円(敷引率約86パーセント,賃料の約5.2か月分)及び11万6000円(賃料の2か月分)もの金員の負担を強いている。

 賃借人の金銭的な義務は,あくまで賃料支払義務であり,それ以外に敷引金及び更新料を賃借人に負担させる正当な理由は何ら存在しないところ,本件賃貸借契約における賃料額が近隣同種物件の標準賃料額に比し低額に設定されている事実はない。

 (オ)  以上の事情を総合考慮すると,本件敷引特約及び本件更新料特約は,民法1条2項の規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものであるから,法10条により無効である。

  イ 被告(賃貸人)
  (ア)  本件敷引金の法的性質
  本件敷引金は,以下のとおり,①自然損耗料,②リフォーム費用,③空室損料,④賃貸借契約成立の謝礼,⑤当初賃貸借期間の前払賃料,⑥中途解約権の対価といった要素が渾然一体として含まれる金員であり,合理性を有する。

 a ①自然損耗料について
  自然損耗についての修繕費用を月々の賃料という名目だけで回収するか,月々の賃料という名目だけではなく,保証金・敷引金という名目によっても回収するかは,地域の慣習などを踏まえて,賃貸人の判断に委ねられている事柄であり,本件敷引特約は,自然損耗料を賄うものである。

 b ②リフォーム費用について
  リフォームの程度は,賃貸期間の長短と直接の関係はなく,①,②年程度の短期間の賃貸借であっても,相当程度のリフォームが必要となるところ,賃貸借期間がどの程度継続するか予測し難いため,リフォームを含めた適正な賃料額を設定することは困難である。そのため,リフォーム費用を賃借人の負担とし,かつ,それを固定額として賃料とは別の名目で回収することは合理的である。

 c ③空室損料について
  賃貸事業は,ある賃借人に賃貸してから次の賃借人に賃貸を開始するまでを1クールとして完結する事業であるところ,空室期間の賃料相当分を賃借人の負担とし,かつ,それを固定額として賃料とは別の名目で回収することは合理的である。

 d ④賃貸借契約成立の謝礼について
  不動産の賃貸借契約は賃貸人と賃借人の人的信頼関係で結ばれていること,賃貸借契約により賃借人が取得する権利はそれ自体が経済的価値を持つ権利性の強い権利であること等から,かかる賃借人たる地位を得た対価としての礼金を授受することには十分に合理性がある。

 e ⑤当初賃貸借期間の前払賃料について
  本件賃貸借契約においては,月払の賃料額を低額に抑えつつ,一部を賃料の前払として敷引金に含ませ,その合計をもって実質賃料としているのであるから,何ら不合理なものではない。

 f ⑥中途解約権の対価について
  本件賃貸借契約で留保される賃貸人の中途解約権は,借地借家法30条に反し無効であるから,実質的には中途解約できない。すなわち,期間の定めのある本件賃貸借契約の場合,正当事由があったとしても賃貸人の意思のみによって中途解約権を行使することはできない。仮に,賃貸人の中途解約権を定める条項が有効であったとしても,賃貸人が中途解約権を行使するためには正当事由が必要であり,その有無は厳格に判断されるため,両当事者に対等性はなく,賃借人に有利な中途解約権が付与されている。

(イ)  本件更新料の法的性質
  本件更新料は,以下のとおり,1更新拒絶権放棄の対価,2賃借権強化の対価,3賃料の補充,4中途解約権の対価といった要素が渾然一体として含まれる金員であり,合理性を有する。

 a ①更新拒絶権放棄の対価について
  本件更新料は賃貸人の更新拒絶権を放棄することの対価としての性質を有し,また,更新料の支払を約することによって,画一的に更新拒絶権行使に伴う紛争を回避する目的もあり,合理性を有する。

 b ②賃借権強化の対価について
  本件更新料の支払により,本件賃貸借契約が期間の定めのある賃貸借契約として更新され,賃貸人からの解約申入れがなされないこととなり,これにより賃借権が強化されることの対価としての性質を有する。なお,賃貸人の中途解約権は,借地借家法30条により無効である。

 c ③賃料の補充について
  賃貸人及び賃借人は,月額賃料等と同様,更新料について目的物件を使用収益させる(する)対価として把握していると考えるのが合理的意思解釈として妥当である。そして,本件更新料は,2年間の更新期間ごとに支払われることが約定されており,使用収益期間と更新料支払との相関関係が肯定されることから,本件更新料は,賃借人の使用収益期間に対応した賃料の補充的性質を有する。

 d ④中途解約権の対価について
  賃貸人の中途解約権は,借地借家法30条により無効であることから,賃借人にのみ片面的に中途解約権が付与されることになる。仮に,賃貸人の中途解約権を定める条項が有効であったとしても,賃貸人が中途解約権を行使するためには正当事由が必要とされ,その有無は厳格に判断されるため,中途解約に関して両者間に対等性はなく,賃借人に有利な中途解約権の付与にあたる。

(ウ)  本件敷引特約及び本件更新料特約は,前記の法的性質や契約当事者の意識等から,契約の要素と主たる給付の対価という核心的部分又は中心的部分の条項に該当し,専ら当事者の自由意思によって決定される事項であり,比較すべき適切な対象基準がそもそも存在しないことから,法10条は適用されない。

(エ)  居住用建物の賃貸借において賃借人は,物件の所在・設備・広さ等とともに経済的な負担(賃料・共益費・礼金・敷金・更新料等)を比較検討した上で賃借する物件を選択する。このことから,賃貸借契約の締結にあたっての賃料額の算出において,さまざまな要素を斟酌し盛り込むことは,民法が当然に予定し,許容しているものである。そして,本件敷引金及び本件更新料は,前記の法的性質のとおり,賃借人の使用収益と対価関係に立つものであるから,月額賃料と合算して全体として実質賃料を構成するから,その総額が不合理でない限り,民法601条に比して消費者の義務を加重するものではなく,法10条1項前段に該当しない。

 また,敷引及び更新料については,事実たる慣習となっており,法10条1項前段所定の「民法その他の法律の公の秩序に関しない規定」に含まれる(民法92条)から,本件敷引特約及び本件更新料特約が法10条1項前段に該当することはない。

(オ)  法10条1項後段の要件は,当該契約条項を有効とすることによって消費者が受ける不利益と当該契約条項を無効とすることによって事業者が受ける不利益とを利益衡量し,消費者の受ける不利益が信義則に反し均衡を失するといえるほどに一方的に大きいといえる場合にのみ,当該契約条項を無効とするものと解すべきである。

 居住用建物の賃貸借においては,平成12年時点において,空家率が15パーセントを超えるなど賃借人が自己の希望する条件に適合する,あるいはこれに近い物件を選択することが十分に可能な状況となっていたこと,賃貸人が個人経営者であるのに対して,賃借人はインターネット・情報誌等により容易に大量の情報を手に入れることができること,本件賃貸借契約の締結にあたっては,京都ライフが原告の仲介業者としてその契約締結交渉及び手続をしていたことなどから,両当事者に法が想定するような情報及び交渉力の格差はなかった。

 そして,本件賃貸借契約における賃料は,本件敷引特約及び本件更新料特約を前提として,近隣類似物件に比し,低廉に設定されている。

 また,本件敷引特約及び本件更新料特約は,本件賃貸借契約にかかる契約書に明示されており,原告はこれを十分に理解した上で本件賃貸借契約を締結し,本件敷引特約については誓約書まで提出している。

 原告は,本件敷引特約及び本件更新料特約を納得・了承して本件賃貸借契約を締結しており,これらの特約が有効とされても,もともと自ら承知していた負担を負うだけのことであり,不測の損害を被ることはない。他方,被告は本件敷引金及び本件更新料を含めてマンション経営全体の収支を計算し,その上で月額賃料額を設定しており,仮にこれらの特約が無効とされると,被告は不測の損害を被る。

 以上のとおり,本件敷引特約及び本件更新料特約は,内容に合理性があり,社会的にも承認されていたこと,原告被告間に情報力や交渉力の格差は存せず,原告の受ける不利益が被告の受ける不利益に比べて一方的に大きいとはいえないことなど諸般の事情を総合考慮すると,本件敷引特約及び本件更新料特約は法10条1項後段に該当しない。

 (2)  本件賃貸借契約を清算する和解が成立したといえるか

 ア 被告
  本件物件の明渡しに際し,原告と被告代理人有限会社アドバンスは,原状回復費用その他本件賃貸借契約にかかる清算問題について協議した。その結果,①被告が原告に対し特別損耗にかかる原状回復費用を請求しないこと,②被告が預かっている保証金35万円につき本件敷引特約を適用し,5万円を平成20年7月31日までに原告に返還すること,③原告が被告に対し2か月分の賃料相当額を速やかに支払うこと,を内容とした和解(以下「本件和解」という。)が成立した。原告は,本件賃貸借契約書第10条1項により,2か月以上前の予告期間を定めてするか,2か月分の賃料相当額を解約権行使時に支払うことによって本件賃貸借契約の解約告知を行うことができるが,本件ではそのいずれの要件も満たしていなかった。それにもかかわらず,被告は,原告に対し,本件賃貸借契約を平成20年5月31日をもって終了させる点で譲歩している。また,2か月分の賃料相当額について,本件賃貸借契約書第6条により,年14.6パーセントの割合による3日分の遅延損害金の支払義務を負うところ,被告は原告に対し,この遅延損害金の支払義務を免除した点で譲歩している。20日までに退去する旨誓約していたにもかかわらず,この違反を不問とする点で譲歩している。
 そして,原告は被告に対し,本件和解に基づき,平成20年6月2日,11万6000円を支払った。

 本件和解は,本件賃貸借契約の終了にかかる問題をすべて解決する趣旨のものであり,本件和解により,原告は,被告に対し,本件敷引特約適用後の預かり保証金残額5万円の返還請求権のみを有するものであり,本件敷引金及び本件更新料の返還請求権を有しない。

  イ 原告
  被告の前記アの主張は否認ないし争う。

 和解は,当事者が互いに譲歩をしてその間に存する争いをやめることを約する契約であるところ,被告主張の本件和解は,賃借人である原告のみに譲歩を強いるもので互譲がない。原状回復費用はそもそも賃貸人が負担すべきものであるから,被告が原告に対して請求しないのは当然である。

 本件賃貸借契約において,特別損耗部分は生じていない。また,敷引部分に該当しない金員を賃貸人が賃借人に返還するのは当然である。

 なお,本件契約の中途解約は,2か月以上前の予告期間を定めてするか,2か月分の賃料相当額を支払うことによって行うことができるが,あらかじめ2か月分の賃料を支払うことまで要求するものではない。また,誓約自体有効性に疑義があるし,原告は31日に退去することにつき被告から了解を得ていた。

 (3)  原告の本件請求が信義則に反するといえるか

  ア 被告
  (ア) 本件賃貸借契約における賃料は,近隣同種物件の標準賃料に比し,低額に設定されている。

 (イ) 原告は,被告に対し,駐車場に空きがないにもかかわらず,駐車場がなければいずれ出て行かなければならなくなる旨申し向けて,駐車場の賃貸を申し込んだ。被告は,原告の申込みに困惑したが,原告に退去される事態を避けたいとの思いから,平成19年12月23日,やむなく自らが使用していた駐車場を空け,原告に賃貸した。その際,原告は「マンションも借りてるんだから,安くしてよ。」と値段交渉を行い,被告はやむなく月額1万7000円のところを月額1万6000円とする減額に応じた。これにより,被告は自動車通勤をすることができなくなり,自転車通勤を余儀なくされた。さらに,原告は被告に対し,平成20年1月ころ,駐車場が狭いことを理由に駐車場の場所の変更を何度も要求していたところ,別の駐車場が空くことから被告はこれにやむなく応じ,本来その場所に決まっていた者との交渉をしてまで対処した。

 原告は,これにより自己の自動車を新たな駐車場に移動する必要があったが,期日までに移動させず,被告は,本来そこに駐車する予定であった者からのクレーム対応に忙殺された。

 (ウ)  前記(イ)のとおり,被告は原告が本件物件の賃借人であることから,駐車場契約をし,利用することができるよう種々の便宜を図ってきたにもかかわらず,原告が本件請求をすることは信義則に反し,許されない。

  イ 原告
  被告の主張は否認ないし争う。

(4) 被告による弁済の提供があったか

  ア 被告
  被告は,原告代理人A(以下「A」という。)に対し,平成21年9月1日,本件賃貸借契約に基づき本来返還すべき5万円を含めた20万円を返金する旨申し出た。しかし,Aは,その受領を拒否した。

  イ 原告
  被告の前記アの主張は認める。Aは,原告から本件敷引金及び本件更新料の合計46万6000円の返還請求を依頼されていたため,20万円では応じられないことから,上記のとおり拒否した。

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京都地裁平成21年7月23日判決 3 (裁判所の判断) 

第3 当裁判所の判断
 1 本件敷引特約及び本件更新料特約は,法10条に該当するものとして無効といえるか(争点(1))
 (1)前提事実及び弁論の全趣旨によれば,原告は法2条1項の「消費者」に,被告は同条2項の「事業者」にそれぞれ該当し,本件賃貸借契約に法が適用される。

 (2)本件敷引特約及び本件更新料特約が民法,商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し,消費者の権利を制限し,又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項といえるかについて検討する。

 ア  本件敷引特約について
  賃貸借契約は,賃借人による賃借物件の使用とその対価としての賃料の支払を内容とする契約であり(民法601条),賃借人が賃料以外の金員の支払を負担することは賃貸借契約の基本的内容に含まれない。そして,居住用建物の賃貸借の場合の保証金は,敷金と同様,賃料その他の賃借人の債務を担保する目的をもって賃貸借契約締結時に賃借人から賃貸人に交付される金員であり,賃貸借契約終了の際に賃借人の債務不履行がないときは賃貸人はその金額を返還するが,債務不履行があるときはその金額中より当然弁済に充当されることを約束して授受する金員を指すことが多く,本件賃貸借契約書(甲1)第2条にも,その趣旨が規定されている。

 しかしながら,本件敷引特約については,全く返還を許さない趣旨のものなのか,原状回復にその程度の費用を要することがあることを考慮して,基本的には返還しないが,そのような費用を要しなかったことが具体的に明らかになった場合には,本件敷引特約を適用しないこととするかについて,明瞭な約定がされていたものとは評価し難い。

 さらに,将来返還される余地のない金員として,本件敷引金のような金員を授受することが慣習化していることを認めるに足りる証拠はない。

 こうしたことを考慮すると,本件敷引特約は,その法律上の性質ないし意味合いを明確にしないまま,民法その他公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し,消費者の義務を加重したものといえる。

 イ  本件更新料特約について
前記アのとおり,賃借人が賃料以外の金員の支払を負担することは賃貸借契約の基本的内容に含まれないところ,本件更新料特約では,賃借人が賃貸人に対し,契約更新時に賃料の2か月分相当額の更新料を支払うこととされている(前提事実(1)カ)。そして,本件更新料が,賃料の補充としての性質を有しているといえるかは後記のとおり疑問であるし,仮にその性質を有していたとしても,その支払時期が早い点(民法614条参照)で賃借人の義務を加重する特約であるといえる。

 さらに,更新料を授受することが慣習化していることを認めるに足りる証拠はない。

 そうすると,本件更新料特約は,民法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し,消費者の義務を加重したものといえる。

 本件敷引特約及び本件更新料特約が民法1条2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するといえるかについて検討する。

 ア  民法1条2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するか否かは,消費者と事業者との間に情報の質及び量並びに交渉力の格差があること(法1条)にかんがみ,当事者の属性や契約条項の内容,そして,契約条項が具体的かつ明確に説明され,消費者がその条項を理解できるものであったか等種々の事情を総合考慮して判断すべきである。

 前提事実及び弁論の全趣旨によれば,原告は,居住用として本件物件の賃借人となった者であるのに対し,被告は,貸家業を営み,多くの借家人と賃貸借契約を締結してきたのであって,建物賃貸借に関する情報(礼金,保証金,更新料等を授受するのが通常かどうか,同種の他の物件と比較して本件賃貸借契約の諸条件が有利であるか否か)を継続的に得ることができる立場にあり,このような情報に接してきた期間にも差があるものと推認できるのであって,両者の間に情報収集力の格差があることは否定できない。

 イ  本件敷引特約について
 (ア)  本件敷引特約は,保証金35万円からそのうち30万円を無条件に差し引くものであるが,賃借人(原告)としては本件物件を借りようとする以上,支払わざるを得ないものであり,特に本件賃貸借契約のように4月から入居しようとする場合,賃借希望者が多数存在することから競争原理が強くはたらく結果,原告としては本件敷引特約について交渉する余地はほとんどなかったものと考えられる。そして,本件敷引金は,保証金の約85パーセントに相当し,月額賃料の約5か月分にも相当するものであり,保証金,賃料に比して高額かつ高率であり,消費者である原告にとって大きな負担となる。

 (イ)  被告は本件敷引金の法的性質について,①自然損耗料,②リフォーム費用,③空室損料,④賃貸借契約成立の謝礼,⑤当初賃貸借期間の前払賃料,⑥中途解約権の対価といった要素があり,これらの要素が渾然一体として含まれる本件敷引金には合理性がある旨主張するので,各要素について検討する。

 a ①自然損耗料及び②リフォーム費用について
  賃貸借契約は,賃借人による賃借物件の使用とその対価としての賃料の支払を内容とするものであり,賃借物件の損耗の発生は,賃貸借という契約の本質上当然に予定されているものである。そのため,建物の賃貸借においては,賃借人が社会通念上通常の使用をした場合に生ずる賃借物件の劣化又は価値の減少を意味する通常損耗にかかる投下資本の減価の回収は,通常,賃貸人が減価償却費や修繕費等の必要経費分を賃料の中に含ませてその支払を受けることにより行われているところ(最高裁平成16年(受)第1573号同17年12月16日判決・判例タイムズ1200号127頁),本件全証拠をもってしても,京都市内においてこれと異なる慣習等が存在するとは認められない。そうすると,通常損耗の回復費用は賃料を適正な額とすることによって回収するのが通常というべきであって,敷引金という形で賃借人に負担を転嫁することには合理的理由があるとはいえない。

 また,リフォーム費用も,通常損耗部分の補修のために支出される側面が多く,本件全証拠をもってしても,本件物件について通常損耗がなかったが,良質な居住環境を提供するためにリフォームを行うこととしているなど,そうしたことへの対価として返還を要しない礼金を授受することが適当とみられるような状況が存在したとまでは認め難い。そうすると,本件においては,リフォーム費用を敷引金という形で賃借人に負担を転嫁することには合理的理由があるとはいえない。

 b ③空室損料について
  賃貸人による投下資本(賃貸物件)の回収は,原則として賃料の支払を受けることにより行われているのであるから,空室期間(すなわち,賃借人が使用収益しない期間)の賃料が得られないことによるリスクは賃貸人が負うべきである。そのため,建物の賃貸借契約では,賃貸人のリスクを避けるため,賃借人からの解約も一定期間の経過をもって終了することとされている(民法617条,本件賃貸借契約書第10条1項参照)。
 そうすると,賃借人が賃貸事業者である被告に対して,使用しない期間の空室損料を支払わなければならない合理的理由があるとはいえない。

 c ④賃貸借契約成立の謝礼について
賃貸借契約が成立することにより賃貸人も利益を受けるのであり,賃借人のみに賃貸借契約成立の謝礼を一方的に負担させる合理的理由があるとはいえない。

 d ⑤当初賃貸借期間の前払賃料について
  本件賃貸借契約において,本件敷引特約が設定されていることにより賃料が低額にされているかは本件全証拠によっても明らかではない。

 また,前記aのとおり,賃貸借契約は,賃借人による賃借物件の使用とその対価としての賃料の支払を内容とするものであるから,実際に賃借人が使用する期間にかかわりなく,本件敷引金に賃料前払の要素があるとする合理的理由は見出せない。

 さらに,更新後の賃貸借期間については更新料という名目で同様の趣旨の金員支払を求め,本件賃貸借契約を締結する当初には解約引きとして,この意味合いを有する金員支払を求めることは,賃貸人に都合の良い説明であるといわざるを得ず,本件敷引特約が具体的かつ明確に説明され,消費者がその条項を理解できるものであったかという観点からすると,消費者(原告)が上記5の要素があるものと理解することはできなかったと考えざるを得ない。

 e ⑥中途解約権の対価について
  本件賃貸借契約書第10条2項により,賃貸人にも中途解約権は留保されており,その対価を賃借人に一方的に負担させる合理的理由があるとはいえない。

 (ウ)  以上のとおり,被告が主張する本件敷引金の性質に合理的理由は認められず,その趣旨は不明瞭であるといえる。

 (エ)  前記(ア)ないし(ウ)で指摘した点を考慮すると,本件敷引金を賃借人に負担させるには,その旨が具体的かつ明確に説明され,賃借人がその内容を認識した上で合意されることが必要であり,そうでない以上,民法1条2項に規定する基本原則(信義則)に反して賃借人の利益を一方的に害するものというべきである。

 (オ)  前提事実及び弁論の全趣旨によれば,原告は仲介業者を介し,契約内容の説明を受けていたこと,本件賃貸借契約書(甲1)に「解約引き30万円」の記載があったことが認められ,原告は本件敷引特約の存在自体は認識していたといえる。しかしながら,原告が被告から被告主張のような本件敷引特約の趣旨,すわなち,本件敷引金30万円がどのようにして決められたのか,自然損耗料,リフォーム費用,空室損料,賃貸借契約成立の謝礼,当初賃貸借期間の前払賃料,あるいは,中途解約権の対価の要素を有するのかということについて,具体的かつ明確な説明を受けていたとは本件全証拠によっても認められない。

 (カ)  よって,本件敷引特約は,法10条に該当し,無効である。

 ウ  本件更新料特約について
 (ア) 本件更新料特約は,賃料2か月分として11万6000円を支払うものであるが,賃借人として本件物件を(たとえ1か月でも)継続して借りようとする以上,その全額を支払わなければならないものであり,原告としては本件更新料特約について交渉する余地がほとんどない。また,賃借人としては,遠隔地に居住する必要がある場合等の外は,引き続いて当該物件を借りるのが一般的であるところ,証拠(甲21)によれば当該物件を選ぶ際に更新料の存在及びその額を知り得ないこともあり,更新料まで考慮して契約を締結することは困難である。そして,本件更新料特約による更新料は,契約期間2年に対し月額賃料の2か月分を支払うものであること,正当事由(借地借家法28条)の有無に関係なく支払わなければならないこと,法定更新なら全く金員を支払う必要がないことからすると,原告にとって大きな負担となる。

 (イ)  被告は本件更新料の法的性質について,①更新拒絶権放棄の対価,②賃借権強化の対価,③賃料の補充,④中途解約権の対価といった要素があり,合理性がある旨主張するため,各要素について検討する。

 a ①更新拒絶権放棄の対価について
  建物の賃貸借において,賃貸人に明渡しの正当事由(借地借家法28条)がない限り,賃借人は何らの対価的な出捐をする必要がなく,継続して賃借物件を使用することができるところ,居住用建物の賃貸借において,賃貸人が当該物件の使用を必要とする事情は通常想定できず(本件においても,弁論の全趣旨から,一般に行われている居住用建物の賃貸借と同様,専ら他人に賃貸する目的で建築された居住用建物の賃貸借であることが認められる),正当事由が認められる可能性はほとんどないことから,更新拒絶権放棄の対価という要素に合理的理由があるとはいえない。

 b ②賃借権強化の対価について
  居住用建物の賃貸借の場合,前記aのとおり,正当事由が認められる可能性はほとんどないため,期間の定めのない賃貸借と定めのある賃貸借とで賃借権の保護の度合いは実質的に異ならず,賃借権強化の対価という要素に合理的理由があるとはいえない。

 c ③賃料の補充について
  本件更新料特約では,更新後の実際の使用期間(前提事実のとおり,本件では更新後2か月経過時点で明け渡している)の長短にかかわらず,賃料の2か月分を支払わなければならないのであり,使用収益に対する対価である賃料の一部として評価することはできない(上記のように更新後,短期間で賃貸物件を明け渡した場合でも,残期間に対応する更新料が返還されることはうかがえない。)。

 さらに,賃料増減額請求訴訟において,その対象に更新料も含まれることを前提としていることはほとんどないこと及び同請求訴訟の審理において賃料の適正額を判断する際,通常,更新料の額まで考慮されることは稀であることからも,更新料が賃料の補充の性質を有しているとはいえず,本件更新料に賃料の補充という要素があるという点に合理的理由があるとはいえない。

 d ④中途解約権の対価について
本件賃貸借契約書第10条2項により,賃貸人にも中途解約権が留保されており,その対価を賃借人に一方的に負担させる合理的理由があるとはいえない。

 (ウ)  以上のとおり,被告が主張する本件更新料の性質に合理的理由は認められず,その趣旨は不明瞭であるといえる。

 (エ)  前記(ア)ないし(ウ)で指摘した点を考慮すると,本件更新料を賃借人に負担させる場合は,その旨が具体的かつ明確に説明され,賃借人がその内容を認識した上で合意されることが必要であり,そうでない以上,民法1条2項に規定する基本原則(信義則)に反して賃借人の利益を一方的に害するものというべきである。

 (オ)  前提事実及び弁論の全趣旨によれば,原告は仲介業者を介して契約内容の説明を受けていたこと,本件賃貸借契約書(甲1)に「更新料賃料の2か月分」の記載があったことが認められ,原告は本件更新料特約の存在自体は認識していたといえる。しかしながら,原告が被告から被告主張のような本件更新料特約の趣旨,すわなち,本件更新料が更新拒絶権放棄の対価,賃借権強化の対価,賃料の補充,あるいは,中途解約権の対価の要素を有するということについて,具体的かつ明確な説明を受けていたとは本件全証拠によっても認められない。

 (カ)  よって,本件更新料特約は,法10条に該当し,無効である。

 2  本件賃貸借契約を清算する和解が成立したといえるか(争点(2))

 被告は,本件和解により,原告は被告に対し,本件敷引特約適用後の預かり保証金残額5万円の返還請求権を有するのみであり,本件敷引金(30万円)及び本件更新料(11万6000円)の返還請求権を有しない旨主張する。

 しかしながら,賃貸借契約解除・金銭明細書(甲2)には,「尚,保証金等のお預けしています金銭より私の支払うべき費用(下記諸費用・別紙見積書・請求書)を全て清算することに了承いたします。また,清算後不足金が有る場合は,下記お約束の期日までに遅滞なくお支払いいたします。」と記載されていることが認められるが,それ以上に原告が不当利得返還請求権を有する場合にどのように処理するのかについては特段の記載がされていないし,本件全証拠をもってしても,その点に関する何らかの合意がされていたとは認められない。そうすると,被告が利得分を保持すべき法律上の原因が存在するとはいえない。

 また,民法705条の趣旨に照らせば,本件敷引特約及び本件更新料特約が法10条により無効である以上,賃借人(原告)が上記無効により本件敷引金及び本件更新料の返還を求めることができることを知りながら,あえて契約を締結するとか,こうした請求権を放棄する旨の明確な意思表示がされていない限り,不当利得返還請求権を有するものと解するのが相当である。

 本件において,被告が本件和解の証拠として掲げる賃貸借契約解除・金銭明細書(甲2)を含む本件全証拠によっても,原告が上記に述べる返還請求権を放棄する意思を明確に表示していたとは認められない。

 よって,被告は本件賃貸借契約を清算する和解が成立したとして不当利得返還義務を免れることはできない(争点(2)についての被告の主張は理由がない。)。

 3 原告の本件請求が信義則に反するといえるか(争点(3))

 被告は,上記第2の3(3)アのとおりの事情を述べて,本件請求をすることは信義則に反し許されない旨主張する。

 しかしながら,本件全証拠によっても,本件賃貸借契約に定める賃料が低額に設定されているかは明らかでないこと,駐車場に関する被告主張の事実が認められるとしても,本件賃貸借契約とは直接関連しない事情であることや,前記1で検討した本件敷引特約及び本件更新料特約の不合理性を考慮すると,原告が本件請求を行うことが信義則に反するとは評価できず,被告の上記主張は失当である。

 4 被告による有効な弁済の提供があったか(争点(4))
弁論の全趣旨によれば,被告は,Aに対し,平成21年9月1日,本件賃貸借契約に基づき本来返還すべき5万円を含めた20万円を返金する旨申し出たこと,Aはその受領を拒否したことが認められる。

 しかしながら,前記1で検討したとおり,原告は被告に対し,46万6000円の返還請求権を有しているところ,被告の弁済の提供は,その半額以下の20万円であるから,有効な弁済の提供とはならない。

 したがって争点(4)についての被告の主張は理由がない。

 5 結論
  以上によれば,原告の請求は理由があるからこれを認容することとし,訴訟費用の負担につき民訴法61条を,仮執行の宣言につき同法259条1項を,それぞれ適用して,主文のとおり判決する。

京都地方裁判所第6民事部

裁判長裁判官 辻 本  利 雄

裁判官  和 久   田 斉

裁判官  戸 取   謙 治


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2009年9月 1日 (火)

更新料、100万戸に波紋 (朝日新聞) 2

 入居者側の弁護団は判決後、「逆転勝訴」「更新料は無効」といった垂れ幕を手に、大阪市北区で記者会見した。野々山弁護士(京都弁護士会)は「画期的な意義のある判決。更新料という、悪しき習慣を地域からなくしていく大きなきっかけにしたい」と満面の笑みを見せた。勝訴した原告の男性会社員(54)は会見に参加しなかったが「これを機に不当な契約条項をなくしてほしい」とのコメントを寄せた。

 男性は京都市左京区で00年にマンションを借りてから、家主に毎年10万円の更新料を支払った。「毎月の家賃4万5千円に比べて高い」と感じたが、仲介業者から詳しい説明がないまま契約書にサインした。退去後の07年2月、京都の弁護士らによる電話相談会「更新料110番」に相談。助言を受けて同4月、全国初の提訴に踏み切った。

 一方、家主側弁護団は記者会見で「更新料の支払いは家主と入居者が合意して正当に成立した契約であり、消費者契約法が介入する余地はない。消費者保護といえば何でも通る風潮はおかしい」
と不満をあらわにし、直ちに最高裁に上告する意向を示した。

 消費者契約法が効力

 今回の高裁判決は、更新料について、借り主は何の対価も得られないのに義務だけを課されたもので、消費者契約法の「消費者の利益を一方的に害する条項を無効とする規定」が適用されると判断。同法施行前に交わした賃貸契約に基づく最初の更新料は有効だが、同法施行後の契約更新に基づいて借り主が支払わされた更新料は無効とした。

 一橋大大学院法学研究科の松本恒雄教授(消費者法)は「原状回復や敷金返還などの一連の訴訟の流れをくんだ判決で、消費者契約法の影響が大きく出ている。『業界の慣習』として何となく続いてきたことに、『おかしいんじゃないの』という意識を持つ消費者が増えてきたのは消費者契約法による効果といえる」と評価する。

 ただし、すべてのケースで「更新料=無効」というわけではなさそうだ。「月々の賃料は安くしておいて更新料で取り返すというビジネスモデルはありえなくはない。今回の件も『更新料は家賃の一部で、年に1度更新料でまとめて前払いしてもらう代わり、家賃を安くしている』という説明をきちんとしていれば無効ということにならなっかったかもしれない」と話す。

 消費者契約法をめぐる問題は、入学金返還訴訟に端を発し、不動産契約上の消費者保護をめぐる問題は、04年ごろの敷金返還訴訟から、最近の更新料の問題へと移ってきた。

 東京都の不動産コンサルタントは「次の焦点は共益費や礼金だろう」とみる。「不動産契約という消費者に身近でわかりやすい問題だけに注目を浴びているが、保険契約の解約をめぐる問題なども同根。今後は消費者契約法をめぐる幅広い分野に影響が及ぶことになるかもしれない」

朝日新聞 2009年8月28日 朝刊

 今回の大阪高裁(2009年8月27日判決)の判決文(PDF)が「京都敷金・保証金弁護団」のホーム・ページに掲載されている。


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賃貸更新料、高裁が無効判決 (朝日新聞) 1

 賃貸マンションの契約更新時に入居者から「更新料」を徴収する契約条項は消費者契約法に照らして無効だとして、京都市の男性会社員(54)が家主に支払い済みの更新料など約55万円の返還を求めた訴訟の控訴審判決が27日、大阪高裁であった。成田喜達(きたる)裁判長(亀田広美裁判長代読)は、請求を退けた一審・京都地裁判決を変更し、約45万円の支払いを家主に命じる逆転判決を言い渡した。家主側は上告する方針。

 高裁判決は、今回の更新料について「目的や性質が明確でなく、賃料の補充などの合理的な根拠を見いだすことは困難」と指摘。消費者の利益を不当に害する条項を無効と定めた消費者契約法に反し、同法が施行された01年4月以降の契約に基づいて支払われた40万円分を無効とした。家主が返還拒否した敷金約5万円も支払い対象とした。

 賃貸住宅の更新料を違法とする司法判断は7月にあった別の訴訟の京都地裁判決で初めて示され、高裁レベルでは今回が初めて。首都圏や京都などで続けてきた不動産業界に影響を与えそうだ。

 判決によると、男性は00年8月、京都市左京区のマンションに月4万5千円の家賃で入居。1年ごとの契約更新の際、家賃約2カ月分にあたる10万円の更新料を支払う内容の契約を家主と交わし、06年11月に退去するまで5回分の更新料(50万円)を払った。

 高裁判決は、消費者契約法施行後の更新契約の有効性を検討。家主側が「更新料は契約更新を拒む権利を放棄する対価だ」と主張した点について、家主の更新拒否はそもそも借地借家法の規定で正当な理由がある場合に限られているとし、徴収理由にならないと指摘。「賃料補充の性質もある」との主張も、家賃増減と連動する契約になっていないことなどを理由に退けた。

 さらに判決は、今回のケースは1年ごとに家賃2カ月分余りと高額▽借地借家法の規定を男性に十分に伝えていない、などといった問題点も指摘。「更新料を併用し、賃料を一見少なく見せることは消費者契約法の精神に照らして許されない」としたうえで、「更新料相当額を得ようとするのなら、その分を上乗せした賃料を設定し、消費者に明確、透明に示すことが求められる」と結論づけた。

 昨年1月の一審判決は家主側の主張を認め、入居者側に一方的な不利益を与えるものではないとして男性の請求を棄却した。

  

 《賃貸住宅の更新料》契約更新時に借り手が家主に支払う費用で、戦後の住宅難で家主の立場が優位だった1950年代ごろから地域によって広まり、「慣習」として定着したとされる。国土交通省のアンケート(07年)によると、首都圏や京都、福岡などでみられ、平均徴収額が最も高いのは京都で家賃の1.4カ月分、最も安いのは北海道で同0.1カ月分。

朝日新聞 2009年8月28日 朝刊

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賃貸マンション:更新料訴訟控訴審 貸主に返還命じる判決 (毎日新聞)

 賃貸マンションの更新料は消費者契約法に違反し無効だとして、借り主の会社員男性(54)=京都市=が貸主に更新料5回分など約55万円の返還を求めた訴訟の控訴審判決で大阪高裁は27日、男性の請求を棄却した1審・京都地裁判決を変更し、貸主に45万5000円の返還を命じる逆転判決を言い渡した。成田喜達裁判長(亀田広美裁判長代読)は「更新料の条項は消費者の利益を一方的に害しており、消費者契約法に反し無効」と指摘した。【北川仁士】

 更新料返還を認めたのは、別のマンションを巡る京都地裁判決(7月)以来2件目で、高裁では初めて。貸主側は上告の方針。

 判決によると男性は00年8月、同市左京区のマンションを借りる契約を貸主と締結。契約書には月額家賃4万5000円、更新料毎年10万円と記載された。男性は06年11月に退去するまで6回更新し、うち最後を除く5回更新料を支払った。

 1審判決は「更新料は賃料の前払いで、消費者の利益を一方的に害するものではない」としていた。

 これに対し成田裁判長はまず「契約時に更新料の説明は全くなく、賃料との認識はなかった」と指摘。そのうえで「借地借家法によれば、貸主側は正当な理由がなければ自動更新を拒絶できず、借り主に更新料支払い義務はないが、貸主側が説明していないため対等・自由な取引条件とはいえない」と述べ、更新料条項の違法性を認定。消費者契約法施行(01年4月)後の4回分の更新料と、男性が求めた敷金の一部の返還を命じた。

 判決後、男性側代理人の野々山宏弁護士は「貸主は、家賃を安く見せかけるための不当契約をやめるべきで、国も規制すべきだ」と訴えた。一方、貸主側代理人の田中伸弁護士は「消費者契約法を拡大解釈した不当判決だ」と批判した。

毎日新聞 2009年8月28日 東京朝刊

 今回の大阪高裁(2009年8月27日判決)の判決文(PDF)が「京都敷金・保証金弁護団」のホーム・ページに掲載されている。


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更新料訴訟で原告逆転勝訴 (産経新聞)

 賃貸マンションの更新料は消費者契約法に違反し無効として、京都市北区の男性会社員(54)がマンションの家主に、支払った5回分の更新料など55万5千円の返還を求めた訴訟の控訴審判決が27日、大阪高裁であった。成田喜達裁判長(亀田廣美裁判官代読)は「消費者契約法に違反し無効」として、原告側の請求を退けた1審京都地裁判決を変更、家主側に更新料を含む45万円の返還を命じた。

 高裁が更新料契約を「無効」とする判断を示したのは初めて。同種訴訟で更新料を「有効」とする判決が続くなか、7月に京都地裁が別の訴訟で初の無効判決を出し、高裁の判断が注目されていた。家主側は上告する方針。

 訴訟で家主側は「(もともと低く設定している)賃料の補充という性質がある」と主張したが、成田裁判長は「契約条項をみても更新料の説明がなく、単に契約更新時に支払われる金銭という以上の認識はない」と指摘。さらに、消費者の利益を一方的に害する契約条項は無効と定めた消費者契約法10条に違反するかについて、賃料補充の性質は認められない▽家賃の2カ月分余りと高額▽一見安い賃料という印象を与える-ことから「違反する」と認定した。

 一方、男性が支払った更新料5回のうち1回は、消費者契約法の施行前で公序良俗にも反せず、返還の必要はないとした。

 判決によると、男性は平成12年8月、京都市内の賃貸マンションに月4万5千円の家賃で入居。契約は1年更新で毎回10万円の更新料を支払う条項があり、男性は5年間で5回、計50万円を支払った。

2009年8月28日

 今回の大阪高裁(2009年8月27日判決)の判決文(PDF)が「京都敷金・保証金弁護団」のホーム・ページに掲載されている。


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2009年7月27日 (月)

坪10万円の更新料の支払い請求を受けているが支払わないとどうなるのか

 (問) 今年の7月12日で20年間の借地契約期間が満了します。地主は近所の不動産屋を通じて更新料を坪10万円、34坪で総額340万円請求してきた。更新料を支払わない場合、借地契約はどうなるのか。


 (答) 「借地借家法」は1992(平成4)年8月1日から施行されているが、「借地契約の更新に関する経過措置」によって「この法律の施行前に設定された借地権に係る契約の更新に関しては、なお従前の例による。」(借地借家法附則6条)。従って、借地契約を今後何度更新しても、旧「借地法」が引き続き適用される。

 借地契約の更新は、
①地主と借地人が更新契約条件に合意して、新しい契約書に署名捺印する「合意更新」(借地法5条)がある。
②これに対して地主と借地人との間で契約条件の合意が得られない場合でも、借地人が土地の使用を継続する場合、契約期間が満了すると法律の定めで、新しい契約書を作らなくても従前の借地の契約条件で自動的に更新してしまう「継続使用による更新」(借地法6条)がある。
③期間満了に際して地主に契約更新を拒否する正当な理由がない場合、借地人の一方的な更新請求だけで借地更新が認められる「請求による更新」(借地法4条1項)との3通りの更新がある。

 ②の「継続使用による更新」と③の「請求による更新」の場合の更新は、借地上の建物が鉄筋コンクリート建・鉄骨建物等の堅固建物ならば契約期間は30年、それ以外の建物ならば20年に存続期間が法定されている。その他の契約条件は従前の契約と同一で自動に法定更新更新される(借地法4条1項、6条1項)。

 「法定更新の場合、賃借人は、何らの金銭的負担なくして更新の効果を享受することができる」(東京高裁昭和56年7月15日判決)。
 借地の更新契約は、地主との間で契約条件・契約内容の合意が出来ず、契約書の作成がなされなくても、また更新料を支払わなくても法律の規定で自動的に継続される。

 ①「更新料支払の約定があっても、その約定は、法定更新の場合には、適用の余地がない」(東京高裁昭和56年7月15日判決)。

 ②「更新料支払の約定は、特段の事情の認められない以上、専ら賃貸契約が合意更新された場合に関するものであって法定更新された場合における支払の趣旨までも含むものではない」(最高裁昭和57年4月15日判決)。

 従って、借地人が借地契約を法定更新した場合、「判例」及び「借地法」からも、地主が更新料を請求する法的根拠更はない。更新料を支払わないという理由で借地の更新を地主は法律的に拒むことは出来ない。日本の法律では、借地人に更新料支払を義務務付けた法律の規定・条文は存在しない。

 また、地主は法文上の更新料請求権が存在しないので、更新料を請求する根拠として「更新料の授受は世間の慣習だ」と主張した。しかし、最高裁判所で慣習説は否定され、借地更新料は支払義務なしとされた(最高裁昭和51年10月1日及び同昭和53年1月24日判決)。

 上記の「判例」及び「借地法」から、借地更新料支払いの法律的根拠はない。更新料を支払わなくても借地人が後に不利益を蒙ることはない。既に更新料不払の借地人は大勢おり、今も従前どおり借地を続けている。

 実践する場合は組合に相談し、内容証明郵便で借地の更新請求と更新料の支払い請求を拒否する旨の文章を地主に送る。以上を組合の仲介で行えば一層効果的な結果が期待できる。


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2009年7月24日 (金)

更新料特約は消費者契約法10条に反して無効

 賃貸住宅の更新料は「無効」判決…京都地裁

読売新聞 2009年7月24日(金)

 賃貸マンションの契約更新の際に「更新料」の支払いを求める契約条項は、消費者契約法に反するとして、京都府長岡京市の20歳代の男性会社員が、支払い済みの更新料など46万6000円の返還を家主に求めた訴訟の判決が23日、京都地裁であった。

 辻本利雄裁判長は「入居者の利益を一方的に害する契約条項」と認定、同法に基づいて、更新料の契約条項を無効とする初の判断を示し、家主に請求全額の支払いを命じた。

 国土交通省によると、更新料が設定された賃貸住宅は京都や首都圏などに約100万戸あるとみられる。同種の訴訟では更新料を有効とする判断が地裁段階で続いており、判決は他の訴訟にも影響を与えそうだ。

 判決によると、男性は2006年4月、京都市下京区内のマンションに、賃料月5万8000円、2年ごとの契約更新の際には賃料2か月分の更新料を支払う、との内容の契約を結んで入居。08年の更新時に11万6000円を支払ったが、同5月末に退去した。

 裁判で家主側は、「更新料には賃料の補充的要素がある」などと主張したが、辻本裁判長は「更新後の入居期間にかかわりなく賃料の2か月分を支払わなければならず、賃借人の使用収益の対価である賃料の一部とは評価できない」と指摘。そのうえで、「家主が主張する更新料の性質に合理的理由は認められず、趣旨も不明瞭。男性に具体的かつ明確な説明もしていない」などと述べ、契約条項は無効と判断した。

 男性は今回の訴訟で、入居時に支払った保証金(敷金)35万円の返還も求めており、判決は保証金についても消費者契約法に照らして無効とし、請求を認めた。

 男性の弁護団は「判決内容は当然の判断」と評価。家主側の代理人弁護士は「拙速に出された判決で遺憾。内容を精査し、今後の方針を決めたい」としている。

京都地裁(2009年7月23日判決) 判決全文


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2009年7月23日 (木)

家主が更新料の支払いや保証金の敷引特約を借り主に強いるのは消費者契約法違反だ

 賃貸住宅の契約更新時に家主が更新料の支払いや保証金の敷引(しきびき)特約を借り主に強いるのは消費者契約法違反だとして、京都府長岡京市の20代の会社員の男性が家主に計46万6千円の返還を求めた訴訟の判決が23日、京都地裁であった。辻本利雄裁判長は「更新料などを借り主に負担させる合理的理由はなく、契約は無効だ」として全額返還を家主に命じた。

 原告側の京都敷金保証金弁護団によると、更新料をめぐる訴訟は東京地裁などで借り主側の敗訴が続いていた。消費者契約法に基づき更新料について無効とした判決は初めてで、「消費者保護の動きを加速させる画期的な判断だ」と評価した。

 訴えによると、原告の男性は06年4月に京都市内のマンションに入居する際、保証金35万円を支払い、月5万8千円の賃料と、2年ごとの更新時に賃料2カ月分の更新料を支払う契約を締結。08年1月に更新料11万6千円を支払い、同年5月に解約を申し込んだ。保証金の大半は敷引特約で返ってこなかった。

 訴訟で男性側は「更新料などの形で借り主に賃料以外の金銭負担を強いることは、消費者に二重の義務を負わせるもので違法だ」と主張。被告の家主側は「更新料や敷引には物件の損傷回復費が含まれるほか、賃料の補充・前払いの性格があり、家主が契約更新を拒絶する権利を放棄することへの対価だ」と反論した。

 判決は「賃貸借契約では、基本的に借り主が賃料以外の金銭を負担することはない」と指摘。そのうえで、「更新料や敷引は賃料に比べて高額で、入居期間と関係なく一定の金額が決まっている。月々の賃料から物件の損傷回復費分を割り引いているとも認められず、賃料の補充・前払いの性質があるとはいえない」として家主側の主張を退けた。

 契約書に更新料や敷引特約の記載があることについては、借り主と家主の間では情報量や交渉力に格差があることを踏まえ「借り主に具体的、明確に説明したと認められない以上、無効だ」と判断した。

 家主側の弁護士は「十分な審理をせず拙速な判決を出されたことは遺憾だ」と述べた。家主らの相談に応じるNPO法人日本地主家主協会(東京都)の担当者は「家主側からの契約解消は容易ではなく、更新料などの金銭的保証が必要だ。合意して契約しているのに、借り主が後になって無効だと主張するのはおかしい」と話した。

2009.07.23 asahi.com(朝日新聞)

京都地裁(2009年7月23日判決) 判決全文


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更新料や敷引の特約は消費者契約法に違反し無効

 賃貸マンションの更新料や敷引の特約は消費者契約法に違反し無効だとして、京都府長岡京市の20代の男性会社員が、家主に支払った保証金と更新料計約47万円の返還を求めた訴訟の判決が23日、京都地裁であった。辻本利雄裁判長は特約について「借り手の義務を不当に重くし、利益を一方的に害するもので無効」として、家主に全額返還を命じる判決を言い渡した。

 原告側代理人によると、消費者契約法に照らして更新料特約を無効とした判断は初めて。

 判決によると、男性は平成18年4月、家主と2年の賃貸借契約を締結。この際、保証金35万円のうち30万円は解約時に無条件で差し引く敷引特約と、契約延長の際は賃料(5万8千円)2カ月分の更新料を支払う条項がつけられた。原告は更新料支払い後の20年5月、契約を解除した。

 被告側は、更新料について「賃料の補充的要素がある」と妥当性を主張したが、辻本裁判長は「更新後の使用期間の長短にかかわらず一定額を支払う契約となっており、賃料の一部とは評価できない」と判断。「趣旨が不明瞭で(全国的に)更新料が慣習化しているとも認められない」と指摘した。

 敷引特約も、「物件劣化の対価」などとする被告側の主張を「自然劣化の費用は賃料に含ませて回収すべき」などとして退けた。

2009年7月23日 産経ニュース

京都地裁(2009年7月23日判決) 判決全文


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2009年7月 8日 (水)

更新料と地代増額の請求を撤回させる

 東武東上線北池袋の駅から数分の所に20数坪借地している松田さんは、親の代に地主との間で更新料の支払い問題で争いになって一時期、供託したこともあった。

 その後、地主が地代の受け取りを認め、毎月末頃に集金に来ていた。去年の暮れに地主が集金に来たときに「来年2月に更新の時期をくるので、あらためて更新料の支払いと地代の値上げをしたい。詳しい話は代理人の不動産会社をよこす」と言ってきた。

 松田さんの親は組合に所属していたが、親の死亡とともに組合と疎遠になっていたが、借地問題でなにかあれば組合に相談していた親の姿を思い出し古いチラシで組合に連絡してきた。

 組合では、松田さんの話から借地として借りた当時から、契約書がない契約であったことを確認し、最高裁の更新料裁判の判例を説明し、支払いを拒絶することを確認した。

 同時に、地代の値上げ請求に対しても、最高裁の地裁への通達などで公租公課の3倍程度であれば値上げに応じる必要のないことを説明し、地主並びに代理人の不動産会社にそのように通知することにした。通知を受けた不動産会社は組合の通知に対して更新料の支払いを断念し、地代の値上げ請求も撤回した。

 しかし、不動産会社はこれでは仕事にならないと考えたのか、この際、契約書を作成することを提案してきた。

 契約書作成には応じることにしたが、その際は地代の支払い方法を変更し、今後は銀行振込とすることを確認して作成した。

東京借地借家人新聞より


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2009年6月19日 (金)

借地人8人が更新料の不払いで大きな成果

 H市に居住するAさんをはじめとする借地人8世帯は、昨年、地主代理の不動産業者から「土地賃貸借契約の期限についてのご通知」という文書を送付された。

 通知は、契約期間が4月30日で満了することから「引続き契約を希望される方は、更新の契約を交わしたいと思います。更新の契約を交わすに当りまして……契約更新料がございます」として金額を提示してきた。更新料は坪数で違い、高い人で480万円、低い人で60万円。おおよそ坪5万円の計算。

 借地人は、全員で借地更新料の請求を拒否したが、地主はその後代理人の不動産屋を通じ4月23日付で契約解除を通告し、5月分以降の地代の受領も拒否してきた。

 借地人一同は連名で借地契約の法定更新を主張し、地代はH法務局に供託した。

 7月に入り地主は弁護士を代理人に立て「更新料を支払うことは当事者間の合意となっている。更新料を支払わないと契約違反になる。更新料の支払いを拒絶した場合は法的手段をとる」と内容証明郵便で一斉に通告してきた。借地人一同は「次の更新時に更新料を支払う約束はしていない」と反論した。

 9月に裁判所からAさんのところに更新料410万円を支払うよう請求する調停申立書がられてきた。他の借地人にも同様の申立書が一斉に来た。申立書では、前回の更新時に更新料を支払ったから今回も支払う約定になっているという無茶苦茶な理屈で更新料を請求している。

 更新料を支払う意思はないので調停を不調にするよう9月下旬H簡易裁判所に上申書を提出した。

 上申書には、更新料請求を拒否した経過と、地主の代理人から契約解除の通告を受け、地主には正当事由がないため昨年5月1日をもって法定更新していることを主張した。また、更新料については最高裁昭和51年10月1日判決、同53年1月24日判決で、借地人には更新料支払い義務のないことは確定していることを主張した。

 地主の代理人から「前回更新時の契約書で次回の更新の際に更新料を支払う。金額は契約更新の時期に至った時当事者双方で協議して定める旨の約定がある」との全く嘘の主張に対しては、契約書の中にもそのような合意は一切ないことを明確に反論した。

 H簡易裁判所からは、昨年11月19日付で地主側が8名の借地人全員の調停申立てを全て取り下げたとの事由で「調停終了通知」が各借地人に送られてきた。

 その後現在まで、地主の側からは何らの動きもなく、地主の不動産業者や弁護士まで使った執拗な更新料請求はひとまず陰をひそめた。

 最初は地主の代理人から、契約解除の内容証明郵便を送りつけられたり、「更新料を支払わないと孫子の代で借地権はなくなる」と脅かされたり、裁判所に調停を申し立てられたりと、この1年、借地人一同「ハラハラドキドキ」だったが、組合の指示に従ってしっかりと結束したことが、今回の結果に結びついた。

東京借地借家人新聞より


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2009年6月15日 (月)

更新料の支払いと地代の値上げ請求に対して和解調書を示して拒絶

 中野区の松ヶ丘に住む森山さんは親の代から借地していた。一昨年に親が死亡し、借地上の建物を相続した。それまでは、年1回の地代の支払いで、昨年の7月に地主に「親の死亡と建物を相続したことを通知するとともに今後は、自分名義で地代を地主の銀行口座に振込むこと」を通知した。

 早速、地主は弁護士を代理人として契約の更新と更新料の支払い並びに地代の値上げを請求してきた。

 森山さんは親から聞いていた裁判所の和解調書を持って組合に相談した。その和解調書には、「契約期間を昭和77年までの20年間とし、賃料については公租公課の2・5倍を乗じた額を賃料とし、満3年毎に同様の方法によって賃料の改定を行う」と記載されている。

 契約はすでに平成14年に法定更新され、賃料についても公租公課の2・5倍となっていることを主張し、弁護士に、更新料の支払い並びに地代の値上げ請求には応じられない旨を通知た。

 なお、都税事務所では、法定更新されている契約では土地課税台帳は閲覧できないと窓口で言われたが、裁判所の和解調書をみせると許可された。

 その後、地主の代理弁護士からはそのような和解調書が存在したことは知らず、改めて契約書を作成したいと回答があった。森山さんは法定更新のままでかまわない旨通知したが、相手から和解調書を基本とした覚書だけでも締結したいと言ってきている。

東京借地借家人新聞より


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2009年5月19日 (火)

更新料支払請求調停

 豊島区上池袋で借地している上島さんは今年、20年の更新を迎えた。

 20年前に更新したときにはバブルが崩壊しはじめた直後でもあり、上島さんは、地主の言うとおりに地代の値上げや、借地契約にない地主の言うところの更新料(当方はそのような認識ではない旨主張)の支払いに応じてしまった。

 地主は、昨年夏に、更新料の支払い(200万円)と地代の一割以上の値上げを請求してきた。上島さんは、更新料については特段の約束もないものについては支払う義務がないという昭和53年()の最高裁の判決を示し、支払う意思のないこと又、地代についても固定資産税など公租公課の約5.5倍の地代であることから値上げも拒否することを通知した。その後、何回かの話合いを行ったが、双方の主張は平行線のままだった。

 今年に入り、地主は調停にかけてきた。上島さんは、調停の場でも地主の数字の間違いなどずさんな請求に対してきちんと資料を提供し説明した。調停委員もその資料のコピーを申出るなどしていたが、調停委員は、最終的にはいくらかでも更新料を支払ったほうが今後裁判なると大変だといって合意するよう圧力をかけてきた。しかし納得のいかない上島さんはあらためて最高裁の判決を提示してこの調停を不調に終わらせるように頑張ることにした。

東京借地借家人新聞より

最高裁昭和53年1月24日判決
  「建物所有を目的とする土地賃貸借契約における賃借期間満了に際し賃貸人の一方的な請求に基づき当然に賃借人に賃貸人に対する更新料支払義務を生じさせる事実たる慣習が存在するものとは認められない」


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2009年5月12日 (火)

更新料は更地価格の7%、地代は50%の値上げを請求

 豊島区南池袋に住む原山さんは、別な借地に住む兄弟から借地の相談を受けた。

 地主とは何10年の付き合いで、昨年の10月には、介護用のリフォームについても承諾して工事を行っていた。この工事が終了する前に地主の代理人となったと称する不動産会社から更新と地代の値上げについて話合いをしたいと通知を受けた。

 更新の時期はすでに5年前に過ぎていて、工事が終了してから話合いをしようと提案したが強引に会社事務所に来るよう提案された。そこで、組合にも相談し、組合事務所で話合う用意があると申し出をしたが、原山さんの自宅で話合いを行うことになった。

 更新料については、更地価格の7%と地代については、10年間近く値上げしていないので、現行地代の50%値上げを請求してきた。

 話合いの当日は、組合事務局長が参加し、更新料についての最高裁の判決や賃料増減額についての最高裁通知の文書、国に物納された練馬区の借地の地代が平成12年から19年では30%近い減額がなされている契約書の写しなどをもって説明した。

 代理人の不動産会社はこの説明を受けるや「更新料の支払いも地代の値上げも拒否ですね」と言って、話合いを打ち切り帰ろうとした。その態度に怒った原山さんから「自ら話し合いをしたいと言って更新料の根拠や地代の値上げの理由についてなんら説明せずに帰ろうとは何事か」と一喝された。

東京借地借家人新聞より


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2009年4月20日 (月)

借地更新料を請求されているが、支払わないといけないのか

(問)
 地主から更新料を請求されています。前回は、父親の代でどこにも相談することができず、200万円を支払って更新しました。

 今回は、父親が5年前に他界し、長男である私が借地権を相続し、地代を支払っております。今回地主から300万円の高額な更新料を請求され困っています。

 更新料を支払わないと更新が出来ないのでしょうか。地主は前回更新料を支払っているので、今回も支払うことを約束しているというのですが本当でしょうか。契約書には次回の更新料については何も書かれていません。


(答)
 結論から申し上げますと更新料は支払わなくても、借地法では契約の更新できるようになっています。

 旧借地法では第4条で借地の期限が満了しても、建物が存在していれば前回と同一条件で借地契約の更新を請求する権利が認められています。また、同法第6条で更新料を支払わないで、合意更新ではなく法定更新を選択すれば、借地契約は自動的に更新されます。

 地主が更新を拒否するには、正当な事由が必要で、なおかつ遅滞なく異議を述べなければなりません。正当事由は借地人が現在の借地を使用している事情より、地主の方にもっと使用する必要性があるなどの事情がないと簡単には認められません。

 更新料については、最高裁の昭和51年(*1)と昭和53年(*2)の判決で「借地人には支払い義務はない」と明確な判決が下されています。

  また、前回更新料を支払っただけでは更新料を支払う合意が成立したとは認められません(*3)。

全国借地借家人新聞 より

(*1)最高裁昭和51年10月1日判決

(*2)最高裁昭和53年1月24日判決

*3


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2009年4月14日 (火)

借地の更新料の請求を受けたが

 (問) 東京の豊島区で借地しています。今年10月に契約期間が満了します。4月に地主代理人の弁護士から更新するならば更新料を払うよう通知が届きました。
 代理人に「更新を希望するが更新料については、法的根拠がないので支払う必要がない」と回答したところ、代理人から「前回、更新料を支払って更新したのだから今回についても了解があったものとみなされる。」として、更新料を支払うよう再度請求されました。今後どのように対応したらよいのでしょうか。


 (答) 土地賃貸借契約の中に更新料を支払うという特約がない限り、更新料の支払義務はありません。

 地主の代理人は、法的根拠はないが前回の同意を今回の更新にも適用しようとしていますが、裁判(平成16年5月21日の東京地裁民事37部の判決)では、地主側は、「前回の更新時に更新料として約331万円を支払った際に次の更新時にも更新料を支払うとの合意がなされたと主張。同時に更新料を支払う慣習が存在する」と主張した。

 判決は、「かつて更新料の支払いがあると言うだけで更新料支払の合意があったとの根拠とすることはできない」として更新料支払いの慣習を認めませんでした。

全国借地借家人新聞より


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2009年4月 2日 (木)

賃貸マンションの契約書に支払約束がある更新料は支払を拒否できるか

(問) マンションの賃貸借契約の期間が1ヵ月後に満了します。家主から頼まれたという不動産屋から「契約更新のお知らせ」が送られてきました。その内容は(1)家賃は据置き、(2)更新料は家賃の1ヵ月分、(3)手数料は家賃の半額、となっています。

 従前の契約書には「契約を更新するときは更新料を新家賃の1ヵ月分支払う」という契約条項が入っています。私は当初契約するときには契約内容を読まずに契約書にサインしてしまいました。私は前回の失敗を繰返さないために、今回更新する契約書では、この条文を削除したいと思います。削除する方法はありませんか。

 更新料は支払義務がなく払っていない人が大勢いると聴きました。私は次回以降はもちろんですが、できれば今回も更新料と手数料は支払いたくありませんが、私の場合はどうにもならないのでしょうか。


(答) 従前の契約書に記載されている更新時には更新料を支払う旨の約定は、更新を新しい契約書を取り交す合意更新にした場合は、支払約束として有効とされ支払義務があります。

 新たに契約書を取り交さない法定更新の場合はどうでしょうか。
 法定更新は借家人は何らの経済的負担を負うことなく当然に更新の効果を享受できることになっています。さらに、この規定に反する特約で借家人に不利なものは無効としています。

 本来無効な筈ですが、裁判所の判断は、無効とするものと有効とするものの両方あって確定していません。また、有効とする判例のなかには、約定更新料不払いは約束違反で契約解除(注)というものまであります。

 そこで、仮に裁判になったら負けることもあるのを承知の上で法定更新にして更新料を払わないのも1つの方法です。

 しかし、万一、契約を解除されては元も子もなくなるので今回の更新料は支払い、新規契約書の更新料を支払う旨の条項は削除するといいでしょう。家主が削除に応じないときは、法定更新にします。法定更新後は契約期間の定めがない状態で続くので、更新料を支払う機会がなくなります。

 手数料は、仕事を依頼した人から取るもので借家人に請求するのは見当違いです。断りましょう。

東京借地借家人新聞より

 (注)約定更新料を不払いして借地契約を解除された事例
 借地人は無断増改築、無断転貸、地代の滞納などがあって、地主から契約解除をされても仕方がない状態であった。

 約定更新料支払請求の調停で、借地人は借地契約解除の撤回と引き換えに更新料100万円の支払いを2回に分けて支払う約束した。1回分は支払ったが、後の半分は催告をしても支払わなかったので、貸主が建物収去土地明渡を求めて提訴した。

 1審の横浜地裁では借地人が勝訴したが、控訴審の東京高裁では借地人敗訴。これを不服として借地人が上告したが、最高裁は借地人の違約行為、不信行為を不問にする解決金の意味を含めた趣旨である更新料を支払わなかったことを理由に契約解除を認めた(最高裁昭和59年4月20日判決、判例タイムズ526号)。


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2009年3月10日 (火)

更新料1000万円の請求を断ると、契約解除通告

 斉藤さんは、荒川区荒川6丁目で昭和22年から46坪を借地しいる。親子3代にわたり和菓子店を経営している。借地契約の更新は昨年5月に20年の更新を迎えていたが、地主が何も言ってこなかったから更新に気がつかなかった。

 ところが今年の夏になって不動産屋から更新の通告を受け「更新料を600万円支払え、地代は現行6万円のところ8万円に値上げする」と言われてビックリ。

 斉藤さんさんは今まで親の代から更新料を支払っていた。だから、今回300万円位は仕様が無いと思っていたが、金額の差があまりに大きいのでとっても支払えないと断った。

 ところが、どうした訳か今度はいきなり地主本人が直接来宅し、更新料は1000万円に値上げすると通告してきた。

 斉藤さんは、借地の更新は既に借地法6条の規定に基づいて法定更新されており、今回は更新料を支払わずに済ますことにした。その代り地代は、苦しいが自ら1万円値上げし、7万円で振込もうと考えた。しかし、組合の説明では現在の地代でも高いということなので、9月末に今まで通りの6万円で地主の銀行口座に降込んだ。

 すると、地主は10月に入って直ぐに振込んだ地代を返しに来て「更新料を払っていないから地代の受領を拒否する」と言ってきた。

 斉藤さんは、それならばと10月末に、9月分と10月分の地代を供託した。

 数日後、地主から今度は賃料2か月払っていないから契約を解除すると文書通告を受けた。

 斉藤さんは、地主の理不尽なやり方に怒りを感じた。商売も売り上げが伸びず不況続きの中で高額な更新料や一方的な値上げ等到底容認できるものではない。地主とはみんなこんなやり方で借りている人達を苦しめていることを初めて知った。もう少し早くから借地人の権利を知っておけばよかったと反省いている。

東京借地借家人新聞より

借地法
第5条 当事者が契約を更新する場合においては借地権の存続期間は更新の時より起算して堅固の建物については30年、その他の建物については20年とする。この場合は第2条第1項但書の規定を準用する。

2 当事者が前項の規定する期間より長い期間を定めたときは、その定に従う。 

第6条 借地権者が借地権の消滅後土地の使用を継続する場合においては、土地の所有者が遅滞なく異議を述べないときは、前契約と同一の条件をもって更に借地権を設定したものとみなす。この場合においては前条第1項の規定(存続期間は更新の時より起算して堅固の建物については30年、その他の建物については20年とする)を準用する。

2 前項の場合において建物があるときは、土地所有は第4条第1項の但書に規定する事由(土地所有者が自分でその土地を使用する等の正当な事情)がない場合は、異議を述べることができない。


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2009年2月18日 (水)

更新料を拒否すると不動産業者は「それならば裁判にするぞ」と捨て台詞

 板橋区南常盤台に住む井上さんのところに 、今年の7月に地主の娘から「母親に代わって更新についての話を一任されたのでご連絡ください」という通知が来た。

 井上さんは不安になって、様々なところに行って相談したが、最後に知り合いから紹介されて組合事務所に来た。

 相談された組合では今年末に更新の期間が満了になるので「貴殿から賃借している土地には当方が所有している建物が存在しますので更新し、引き続き住み続けるつもりです」という回答書を出すことにした。

 回答書が到着した9月はじめに井上さんに「地方にいる地主の娘が東京に出てくるので話合いを持ちたい」とこの娘の代理人という近所の不動産業者から電話があった。それならば、こちらも窓口を組合としたいと再回答した。

  早速、この業者から組合に電話が入ってきた。この業者、地主から委任されたといって更新料の請求と地代の値上げを請求した。

 対応した組合では、「更新料支払いは最高裁の判決でも支払い義務はないですが、それでも支払いを請求する法的根拠はあるのですか」という問いに対して、「それは旧借地借家法の考え方で現在は新法の時代で、しかも20年前の昔の古い契約で、今の時勢『払わない』という考え方はおかしい」と訳のわからないことを主張してきた。

 最後には捨て台詞のように「それならば裁判にするぞ」といって電話をきった。井上さん「この不動産屋は最近、代替わりしたばかりで、実績を上げようと必死なのではないか」と話していた。

東京借地借家人新聞より


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2009年2月13日 (金)

地主が更新料支払請求(約500万円)の調停を申立

 横浜市に在住の大塚さんは、大田区大森西5丁目の宅地6・55坪の借地権付き共同住宅を相続した。

 昨年11月末の契約更新を迎えて、更新料に底地買取、明渡しに地代増額等地主の矛盾したメチャクャ内容の請求にも誠意を持って対応してきたが、益々ひどい事態となって知人の紹介で組合に入会。

 直ちに、借地法に基づく契約更新の請求と、更新料支払い拒否を内容証明郵便にて通告した。受領済の地代を返却されて供託した。この程地主は、過去の更新料支払いを理由に、当初の約半額の500万円余の更新料を請求する調停裁判を起こしてきた。

 最高裁判決や今年4月の当組合員の地裁判決を学んだ大塚さんは、調停初日に更新料の支払義務もないことを宣告し、調停は不調にしたとの報告が組合にあった。

東京借地借家人新聞より


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2009年2月 3日 (火)

エイブルが更新料と手数料2回分を請求

 茨城県つくば市で借家をしているMさんは、4年前の3月に不動産屋から更新料と手数料の請求を受け、知人の紹介で荒川借地借家人組合に入会し、更新料等の支払いを拒否した。

 家主は業者をエイブルに替えた途端、2年前と4年前の2回の更新料と手数料を社員が執拗に取り立ての催促に来るようになった。

 Mさんは、4年前に法定更新をしているので、その後更新はない筈と厳しい請求にも対応。エイブル側は次第に語気を荒げる態度に変化し、滞納もないはずの水道料まで請求してくる始末。Mさんはエイブルの一方的な請求や態度に我慢できないと組合と相談し納得するまで闘う決意でいる。

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2009年2月 2日 (月)

更新料185万円(坪当り約5万円)を請求される

 立川市錦町で36坪を借地している渡辺さんは、今年の6月末に20年の契約が切れ、地主から更新するなら更新料として185万円を支払うよう請求された。

 渡辺さんは体も弱く今回はとても更新料を支払うお金の余裕もなく困っていたら、たまたま組合事務所の前を通り過ぎ看板を見て組合に相談した。

 組合役員から「更新料を払わなくても法定更新すれば前契約と同一条件で更新ができる」と説明を受け、渡辺さんも安心した。

 地主と直接交渉することはやめて、地主に組合と話し合うよう連絡した。

 7月末に組合事務所に地主とコンサルタントが来たが、組合では更新料をキッパリと拒否した。

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2009年1月29日 (木)

更新料(420万円)と手数料(10万円)及び地代(20%)値上げを要求される

 板橋区中板橋に借地している梅崎さんは今年20年の期間満了で更新を迎えた。

 地主の代理人としての不動産会社から更新手続きの通知として「①20年前に支払った金額と同額の420万円を支払え。②現行地代の20パーセント値上げ。③更新事務手数料として10万円を支払え」という内容で送られてきた。当初は、不動産会社とはバブル時の買った物件で借金の返済で余裕がない中でこの更新料は払えきれない金額で、なんとか安くならないか交渉してきた。同時に、さまざまな法律相談などを訪ね相談したが納得のいく解答はなかった。

 そのときに組合の存在を知って相談に来た。組合で更新料については契約に特別の約束事がなければ、支払う必要のないことを説明された。組合から「①更新料支払いの法的根拠②更新料の算出根拠③更新事務手数料の根拠」などを質問する通知書を出したところ、不動産会社は回答不能に陥ってしまった。その後、直接地主が面会をしてきたが、組合の説明に反論も出来ず帰っていった。

東京借地借家人新聞より


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2009年1月22日 (木)

「更新料の支払は事実たる慣習ではない」と頑張る借地人

 東京都狛江市元和泉で寺領地37坪を借地しているYさんは、借地契約の更新日から1年後の平成19(2007)年5月、地主から坪あたり更新料として1坪8万5000円の更新料を請求されました。

 Yさんは、同敷地を自宅とアパートに使用し借地契約は別々に契約しています。アパート用地は、昭和61(1986)年に約150万円の承諾料を支払い再築し、自宅は10年前に502万円の更新料を10年の分割払いで払っています。

 Yさんはインターネットで組合を知り「更新料は法律的に支払う義務がない」ことがわかり多摩組合へ入会し、更新料の支払いを拒否する旨地主へ通知しました。

 地主は、「前回も更新料をうけとっている。また、当寺の借地人からもは更新料を受領していることから『事実たる慣習』となっている」と主張し、払わなかったら法的手続きを検討すると脅かしてきました。

 多摩借組は、最高裁の判決でも「更新料支払義務を生じさせる事実たる慣習が存在するものとは認められない」として更新料支払の慣習は否定され、判例上、既に確定していると反論した。

 2008年2月、地主は、立川簡易裁判所へ調停を申立ててきたが、Yさんは裁判所に上申書を提出し、「支払義務のない更新料を協議する調停には出席するつもりはない」との裁判所へ上申書を提出し、4月に不調になり、6月に東京地裁八王子支部に更新料請求で提訴してきました。

 Yさんは契約書で更新料の支払を合意したこともなく、、「これ以上お寺の言いなりにはなれない」として大きな圧力の中で頑張る決意をしています。

全国借地借家人新聞より


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2009年1月16日 (金)

借地更新料(36坪で185万円)を請求される

 立川市錦町*丁目に36坪を借地しているYさんは、20年前に更新料130万円を支払った。今年の6月末に20年の契約が切れ、地主から更新するなら185万円を支払うよう請求された。Yさんの娘さんは、母親も体も弱く今回はとても更新料を支払うお金の余裕もなく困っていたら、たまたま組合事務所の前を通り過ぎ看板を見て組合に相談した。

 組合から「更新料はそもそも法律上支払う義務はなく、更新料を払わなくても法定更新すれば前契約と同一条件で更新ができる」と説明を受け、渡辺さんも安心した。地主と直接交渉することはやめて、組合と話し合うよう連絡した。

 その後、地主から相談受けているという旭化成ホームズ(株)コンサルティングのM氏が連絡してきて、7月30日に組合事務所で話し合いを行なった。

 組合役員は、地主に対し「組合では更新料は合意更新の対価であり、借地人が支払を拒否する以上、地主は更新料を強制的にとることはできない」と説明した。

 M氏は前回更新料を支払っているので、更新料を支払う合意があると主張したが、契約書に次期更新時に更新料を支払う特約がないかぎり、更新料を支払う合意はないことは判例で明確になっていることを強調した。

 地主側はこれ以上話し合っても無理であることがわかり、今後は弁護士と相談してみるといって帰っていった。

東京借地借家人新聞より


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2009年1月 6日 (火)

東京地裁は地主の更新料支払請求を否認

 2008年4月25日、東京地裁は地主の土地の有効利用を理由にした土地明渡請求訴訟で借地人勝訴の判決を下した。また、地主の予備的請求である更新料支払い請求に対しても否認の判断を下し、請求を棄却した。

 大田区北糀谷*支払いは困難と、知人の紹介で組合長に相談して入会した。借地法上建物が現存しており、法定更新もやむを得ないと更新料の支払いを拒否する旨をKさんは組合を介して地主に通告。

 地主はこれまで更新料を支払うか、土地を明渡すかと借地人らに求め、明渡しさせた土地は賃貸住宅建築する等の活用して来た。Kさんより通告を受けた地主は、待っていたとばかりに自ら土地の使用と有効利用を理由に更新拒絶明渡し、予備的請求として更新料を求めて東京地裁に提訴してきた。2年余に及ぶKさんの奮闘内容は、組合の集まりや定期総会で報告されて組合員の注目だった。

 地主の提示額か、裁判所提示の相当額と引き換えに土地明渡せとの求めに応じ、和解へと進み更新料での協議となる。当初の請求の半額以下の提示にも拒否するとさらに金額を下げて、過去の支払い事例を示されて苦悩する。Kさんは、組合長ら多くの組合員に激励されて、更新料不払いを主張して、弁護士の奮闘による判決を求めた。

 判決は、地主の土地使用の必要性は乏しく、借地人の土地を使用する必要性は相当に高く、地主には人を押し退けてまで使用する必要性はないことは明らかであると有効利用を否定した。

 また、東京都内においては更新料の支払いが一般的な慣習となっており、過去に2度の更新の際にも更新料を支払っており、当事者間の慣習に従うのが当然との地主の主張に対し、借地契約が法定更新される場合にも更新料の支払いがなされるという事実たる慣習があるとまでは、本件全証拠によっても未だに認めるに足りないというべきである。地主の請求をいずれも棄却する。

 以上のように東京地裁は見事な借地人勝利の判決を下した。

東京借地借家人新聞より


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2008年12月 1日 (月)

短期間の間の立て続けの地代増額と更新料請求が認められなかった事例

 判例紹介

  地代値上請求と更新料請求が認められなかった事例 (東京地裁平成4年12月25日判決、判例集未掲載)

 (事案)
 借地人は台東区上野3丁目に31.6坪の土地を借地して木造建物を所有していたが、地主は、昭和60年以降大幅な値上げ請求を繰り返し、本件地代は、
昭和60年4月には月額3万8870円、
昭和61年4月には月額5万8870円、
昭和61年10月には月額7万8870円、
昭和62年4月には月額9万6327円(坪3048円)となっていた。

 借地期間は昭和63年9月1日であったが、地主はそれに先立つ昭和63年4月、地代を月額19万7617円(坪5660円)に値上げ請求し、更新料として215万6000円を請求した。

 (判決要旨)
 「本件土地はJR山手線上野駅の東方約300メートルに位置し、商業地域に属し、同駅前の高度商業地域の背後至近にあって交通事情も良好であること、地価は昭和61年から62年にかけ急激に上昇したが、翌年に入ると鈍化傾向を強めたこと、本件賃料も昭和60年以降急激に増額されていること、昭和62年4月の値上げは、値上げに応じなければ土地を売ると言われ、当時地上げ屋が横行していたこともあってやむなく増額に応じたこと、現行地代9万6337円は、鑑定により昭和63年9月当時の比準賃料として算出された額8万3000円よりも高額であり、昭和62年当時の公租公課の5.169倍になっており、近隣地域の比率が4倍であることに比べても高率であること。以上の事実を前提に判断すると、鑑定が適正賃料を10万円としていること近隣地域では1年ないし2年で賃料の改訂がされるのが多いことを考慮しても、本件現行賃料は、昭和63年9月時点ですでに比準賃料と比較しても高水準となっており、昭和62年以降は地価の上昇も鈍化している上、昭和61年からの賃料増額の経過、ことに同年中にはわずか6か月で増額されていること等の事情に照らすと、本件現行賃料が昭和63年9月において不相当となっているとはいえない。」

 「更新料の請求については昭和63年9月1日時点における更新が法定更新であるところ、昭和43年9月の更新の時に50万円の更新料が払われたことから直ちに、その後の更新時には更新料を支払う約定が成立したものとは認められない。

 (解説)
 本件は当組合員の事例であり、東借連常任弁護団の2名が担当した。賃料値上げを一切認めない判決は非常に少なく、短期間の間の立て続けの増額のうえ、更なる増額を請求した地主に対し、厳しい判断を下したものである。

(1993.04.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

  更新料の支払請求にに関しては、判決では前回の更新時に更新料を支払った事実があったからといって、それが直ちに更新料の支払の合意をしたことにはならないとして地主の更新料支払請求を認めなかった。今回と同趣旨の判例はこちらから


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2008年9月24日 (水)

過去2回の未払い更新料分として560万円を請求された

 杉山さんは昭和27年に90坪の借地契約をし、木造建物を建てた。契約書には契約期間が定められていなかった。

 地主は20年後の昭和47年に契約更新を言ってきた。組合に加入していた杉山さんは期間の定めの無い借地契約は「借地法」2条の規定で木造建物の場合は存続期間30年間と法定されているから、10年後が更新だと主張し、地主の言い分を抑え込んだ。

 その6年後、杉山さんは亡くなり長男が借地権を相続し、昭和57年と平成14年の更新は組合と事前の打合せ通りに法定更新を選択し、地主の請求する更新料を2回とも拒否した。

 先月、突然地主の相続人が過去2回の未払い更新料分として560万円を請求してきた。組合に相談したところ、更新料の請求権は5年で商事消滅時効になるという判例(東京地裁平成3年5月9日判決)があるので請求は拒否出来るという説明を受けた。

 早速、時効の援用と更新料請求を拒否する旨の文書を内容証明郵便で地主に送った。


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2008年9月19日 (金)

更新料として土地価格の5%を要求

 豊島区西池袋に住む大川さんは親の代から借地し、30年前に堅固な建物に建替え、契約更新を行った。

 今回の更新に際して、地主は不動産業者を代理人として更新料(坪あたり12万円)と賃料の値上げ請求を行い、併せて契約内容に「①増改築に際しては地主の承諾が必要。②更新に際しては合意更新、法定更新にかかわらず相当金額の更新料を支払う。」との提案をしてきた。契約書には更新料を支払うとの約定もないので、まず更新料を支払うとの法的根拠とその算出根拠を示すように通知した。

 代理人の不動産会社は「更新料支払いの根拠はない。慣習として存在している。支払わないと建替えとか借地権の譲渡のときに困りますよ。算出根拠は、土地の価格の5%が弁護士と不動産業者の見解である」と強弁した。

 5月末の期間満了前に決着をつけないといけないと考えていた大川さんに、組合では「期限満了までに合意更新が出来ない場合は、法定更新し、じっくり話合うことできること。またこの契約は、増改築については地主の承諾を必要とするという記載がない契約であること。借地権の譲渡も地主の承諾しなければ、裁判所の承諾があれば出来ること」などを説明した。組合の説明を聞いた大川さんは「じっくり交渉していくことにしました。借地権も大事な財産ですので」と話した。

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2008年9月 9日 (火)

更新料の話し合い中に地主が明渡し訴訟

 豊島区西池袋に住む荒川さんは、養子縁組で実の父の親からこの土地の借地権を相続した。更新に時期になり、地主の代理人の弁護士から更新料の請求がなされた。

 その弁護士と話合いをしている最中に洗濯干し場の老朽化を理由に明渡し請求の裁判をおこされた。当初、知合いの弁護士に依頼していたが、更新料や明渡し問題で妥協するよう求められ納得できずに組合に相談した。組合は顧問の弁護士を紹介するとともに正当事由のない明渡しと合意のない更新料の支払いには応じる必要がないので頑張るように話した。

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2008年9月 3日 (水)

更新料支払請求から借地の明渡請求へ

 豊島区西池袋に住む荒川さんは、養子縁組で実の父の親からこの土地の借地権を相続した。更新に時期になり、地主の代理人の弁護士から更新料の請求がなされた。

 その弁護士と話合いをしている最中に洗濯干し場の老朽化を理由に明渡し請求の裁判をおこされた。

 当初、知合いの弁護士に依頼していたが、更新料や明渡し問題で妥協するよう求められ納得できずに組合に相談した。

 組合は顧問の弁護士を紹介するとともに正当事由のない明渡しと合意のない更新料の支払いには応じる必要がないので頑張るように話した。

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2008年8月29日 (金)

更新料支払請求から借地の明渡請求へ

 豊島区西池袋に住む荒川さんは、養子縁組で実の父の親からこの土地の借地権を相続した。更新に時期になり、地主の代理人の弁護士から更新料の請求がなされた。

 その弁護士と話合いをしている最中に洗濯干し場の老朽化を理由に明渡し請求の裁判をおこされた。

 当初、知合いの弁護士に依頼していたが、更新料や明渡し問題で妥協するよう求められ納得できずに組合に相談した。

 組合は顧問の弁護士を紹介するとともに正当事由のない明渡しと合意のない更新料の支払いには応じる必要がないので頑張るように話した。

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2008年8月13日 (水)

新地主に法定更新を通知した

 北区赤羽に住む佐藤さんは、地元の地主から30坪の土地を借りていたが、その地主が事業に失敗し、佐藤さんが借りている土地も含め、借金で取られてしまった。

 新しく地主になった不動産会社から次のような条件が出されてきた。
 1、更新するなら更地価格500万円の10%、坪50万円を支払うこと。
 2、地主が借地権を買取る場合は、更地価格の60%とする。
 3、地主が底地権を売渡す場合は、更地価格の40%とする。
 以上の3つの条件が提示された。

 佐藤さんは組合と相談の結果、借地権売買及び底地の売買についてはその意思がないこと、契約の更新でお願いするが、借地法6条に定めのある法定更新にするので、更新料の請求には応じられないと回答した。

 すると地主は承服できないから賃貸契約を解除するといって、送金した地代を返却してきた。

 佐藤さんは早速組合に地代の供託書の書き方を相談し、地代を法務局に供託し頑張ることになった。

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2008年7月 8日 (火)

*更新料支払の慣習を否定し、更新料支払義務なしとした最高裁判決 (2)

 判例紹介

 借地契約の更新に際し更新料支払の慣習を否定し、借地人の更新料支払義務がないとした判決 最高裁1978(昭和53)年1月24日判決

言渡 昭和53年1月24日

交付 昭和53年1月24日

裁判所書記官 清水

昭和52年(オ)第1010号

          判    決

   東京都品川区中延4丁目*番*号

          上  告  人      A

          右訴訟代理人弁護士 平  山   国 弘
                        村  埼     満
                        八木橋   伸   之
                        米  丸   和   実
                        亀  丸   龍  一
                        川  畑   雄  三

   東京都品川区二葉4丁目*番*号

          被 上 告 人     B

 右当事者間の東京高等裁判所昭和(ネ)第2号更新料等請求事件について、同裁判所が昭和52年6月15日言い渡した判決に対し、上告人から全部破棄を求める旨の上告の申立があった。よって、当裁判所は次のとおり判決する。

          主    文

   本件上告を棄却する。
   上告費用は上告人の負担とする。

          理    由

 上告代理人平山国弘、同村崎満、同八木橋伸之、米丸和実の上告理由について

 建物所有を目的とする土地賃貸借契約における賃貸借期間満了に際し賃貸人の一方的な請求に基づき当然に賃借人に賃貸人に対する更新料支払義務を生じさせる事実たる慣習が存在するものとは認められないとした原審の認定判断、及びその余の所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係及びその説示に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひっきょう、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するか、独自の見解に基づき原判決を論難するものにすぎず、採用することができない。
 よって、民訴法401条、95条、89条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文の通り判断する。

         最高裁判所第三小法廷
               裁判長裁判官          高  辻   正 己
                    裁判官          天  野   武 一
                    裁判官          江里口    清 優
                    裁判官          服  部   高 顕
                    裁判官          環     昌  一

                   



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2008年7月 7日 (月)

*更新料支払の慣習を否定し、更新料支払義務なしとした最高裁判決 (1)

 判例紹介

 更新料支払の商慣習が存在しないとして上告人(地主)の更新料支払請求が棄却され、これにより更新に際して被上告人(借地人)は更新料の支払義務がないことが確定した。 最高裁1976(昭和51)年)10月1日判決、判例時報835号63頁)

言渡 昭和51年10月1日

昭和51年(オ)第657号

          判    決

   上  告  人             A
          右訴訟代理人弁護士 小  林   宏 也
                        本  多   藤 男  
                        長谷川   武 弘 
                        
                        
   被 上 告 人             B

          主    文

   本件上告を棄却する。
   上告費用は上告人の負担とする。

          理    由

 上告代理人小林宏也、同本多藤男、同長谷川武弘の上告理由第1点について

 原審が適法に確定した事実関係によれば、被上告人の所論所為をもって、いまだ本件賃貸借契約の継続を不可能又は著しく困難ならしめるものとは認めるに足りないとした原審の判断は、正当として是認することができる。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。

 同第2点について
 宅地賃貸借契約における賃貸期間の満了にあたり、賃貸人の請求があれば当然に賃貸人に対する賃借人の更新料支払義務が生ずる旨の商慣習ないし事実たる慣習が存在するものとは認めるに足りないとした原判決挙示の証拠関係に照らして、是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひっきょう、独自の見解を主張するものであって、採用することができない。

 同第3点及び第4点について
 記録及び原判決事実摘示に照らし、所論の点に関する原審の認定判断は、その過程に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。
 よって、民訴法401条、95条、89条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文の通り判断する。

               裁判長裁判官    大 塚   喜一郎
                    裁判官    岡 原   昌  男
                    裁判官     吉 田      豊
                    裁判官         本 林      譲
                    裁判官    栗 本   一  夫
         昭和51年10月1日
     最高裁判所第二小法廷



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2008年7月 1日 (火)

2008年1月30日京都地裁判決

判例紹介

事件番号         平成19年(ワ)第1793号
事件名          更新料返還等請求事件
裁判年月日    平成20年1月30日
裁判所名      京都地方裁判所
部         第4民事部
結果        棄却

(判示事項の要旨)
 
賃貸借契約における更新料を支払う旨の約定が,民法90条及び消費者契約法10条により無効であるとはいえないと判断された事例


                                         主              文

1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。

                                         事実及び理由

第1 請求
被告は,原告に対し,55万5000円及びこれに対する平成19年4月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第2 事案の概要

1 本件は,被告の所有する建物の一室について,被告との間で賃貸借契約を締結し居住していた原告が,①上記賃貸借契約における更新料支払の約定は消費者契約法10条又は民法90条に反し無効であると主張し,不当利得に基づき,過去5回に渡り支払った更新料(合計50万円)の返還及びこれに対する遅延損害金(訴状送達の日の翌日である平成19年4月22日から支払済みまで民法所定の年5分の割合によるもの)の支払いを求めるとともに,②敷金契約に基づき,敷金10万円から未払賃料4万5000円を控除した5万5000円の返還及びこれに対する遅延損害金(訴状送達の日の翌日である平成19年4月22日から支払済みまで民法所定の年5分の割合によるもの)の支払いを求めた事案である。

2 当事者間に争いのない事実等
(1)  被告は,別紙物件目録記載の建物(以下「本件建物」という。)を所有し,不動産賃貸を事業として営む者である(乙1,3,弁論の全趣旨)。

(2)  賃貸借契約,敷金契約の締結(甲1,乙1,7,9)
 原告は,平成12年8月6日ころ,仲介業者である株式会社京都ライフ(以下「京都ライフ」という。)から,本件建物の一室(2階205号室,以下「本件物件」という。)の紹介を受け,同月6日,京都ライフから,重要事項説明書の交付及びそれに基づく説明を受けるとともに,京都ライフを通じ,被告に対し,入居申込書(乙9)を提出して,本件物件の賃借を申し込んだ。原告と被告は,同月11日ころ,本件物件につき,次の内容の賃貸借契約(以下「本件賃貸借契約」という。)を締結し,被告は,同月15日ころ,原告に対し,本件賃貸借契約に基づき,本件物件を引き渡した。
 また,原告と被告は,本件賃貸借契約を締結するにあたり,原告が被告
に対し敷金として10万円(以下「本件敷金」という。)を預託した(以下「本件敷金契約」という。)。
(ア)  賃貸人被告
(イ)  賃借人原告
(ウ)  家賃1か月4万5000円(共益費,水道代を含む。)
(エ)  契約期間平成12年8月15日から平成13年8月30日ま
での約1年間(以後1年更新)
(オ)  礼金6万円
(カ)  更新料10万円(以下,この更新料の支払いに関する約定を「本件更新料約定」という。)

 賃貸借契約約款の内容(乙1)
原告と被告が本件賃貸借契約を締結するにあたり取り交わした建物賃貸借契約書(乙1)には,冒頭に「賃貸人と賃借人は,この契約書および賃貸借契約約款により,下記に表示する建物(目的物件)に関する賃貸借の契約を締結します。」と記載され,3頁から6頁までに「賃貸借契約約款」(以下「本件約款」という。)が記載されている。本件約款には,次の条項が掲げられている(なお,本件約款の条項中,「甲」とあるのは賃貸人である被告を意味し,「乙」とあるのは賃借人である原告を意味する。)。

第3条 (使用目的)
乙は本物件を,居住の用途以外の目的に使用してはならない。

第4条 (家賃・共益費)
① 乙は,契約書記載の家賃・共益費を,毎月末日までに翌月分を契約書指定の方法により,甲に支払う。この場合において,甲が,金融機関への振込を指定したときは,振込手数料は,乙の負担とする。
② 本契約期間の開始日が,暦上の1か月の中途である場合は,開始日の属する月の家賃・共益費は,日割計算(1か月は,30日として計算。)とする。明渡月については,日割計算はせず,乙は,明渡日が暦上の1か月の中途であっても,その月の末日までの家賃・共益費を支払うものとする。

第5条 (敷金)
① 乙は,本契約(特約を含む)より生ずる,乙の一切の債務を担保するため,本契約締結と同時に,契約書記載の敷金を甲に預託し,甲は,これを無利息にて保管する。
④ 甲は,本契約終了後,乙が,本物件の明渡を完了した日より1か月後に,本契約敷金から,乙が,本契約上,甲に対して負担する債務を控除した残金を乙に返還する。

第15条 (解約)
① 乙は,1か月以前に,甲又は甲の指定したる管理業者・管理人に書面による通知をすることにより,本契約を解約することができる。この場合においては,乙の通知が,甲に到達した日より起算して,1か月が経過した日の属する月の末日をもって,本契約は終了する。但,契約書に別段の定めがある場合はそれに従うものとする。
② 乙は,前項に拘らず,甲に1か月分の賃料を支払うことにより,本契約を即時解約することができる。
③ 甲は,6か月以前に,乙に通知することにより,本契約を解約することができる。

第21条 (更新)
契約書記載の賃貸借期間の満了時より,甲にあっては6か月前,乙にあっては1か月前までに各相手方に対し更新拒絶の申出をしない限り,本契約は家賃・共益費等の金額に関する点を除き,更新継続されるものとする。但し契約書に別段の定めがある場合はそれに従う。尚この場合,乙は甲に対し,契約書記載の更新料を支払わねばならない。

ウ 重要事項説明書の内容(乙7)
原告が被告に対し本件物件の賃借を申し込むにあたり京都ライフから交付を受けた重要事項説明書(乙7)には,「契約更新に関する事項」として,次の記載がされている。
「本契約満了により賃貸人は6か月前,賃借人は1か月前迄に各相手方に対し更新の可否を申し出ない限り継続され賃借人は賃貸人に更新料を支払い,同時に賃料等改定については公租公課・近隣賃料等の比較により改定する事が出来る。」
エ 礼金,家賃,敷金等の支払い(甲1,2,乙1,7,9)

(ア)  原告は,平成12年8月6日から同月11日にかけて,京都ライフを通じ,被告に対し,上記敷金10万円を含め,次のとおり合計24万1000円を支払った(なお,礼金の金額は,原告提出の重要事項説明書の写し〔甲1〕〔15万円〕と被告提出の重要事項説明書の原本〔乙7〕〔6万円〕とで異なっているが,前者〔写し〕には改ざんの痕跡が認められることに加え,原告が作成した入居申込書〔乙9〕には礼金が6万円であると記載されていること,原告の支払合計額が27万8800円であり〔甲2〕,礼金が6万円を前提とする上記24万1000円に(イ)記載の手数料3万7800円を加算した金額と一致することに照らし,礼金の金額は,後者〔原本〕に記載されている6万円であるものと認められる。)。

①  礼金6万円
②  家賃7万0500円
内訳・8月15日から同月31日までの17日分=2万5500円
9月分4万5000円
④  敷金10万円
⑤  入居者相互会費1万0500円

(イ)  原告は,平成12年8月11日,京都ライフに対し,手数料として3
万7800円を支払った。

(3)  賃貸借契約の更新・解約・賃料の支払い(甲3ないし8,乙4,5)
ア 原告と被告は,平成13年8月3日ころ,契約期間を平成13年8月31日から平成14年8月31日までとするほかは,家賃(共益費,水道代を含む。)の金額を含め,契約内容を従前どおりとすることととして,本件賃貸借契約を更新する旨合意し,原告は,同日,被告に対し,更新料10万円を支払った(甲3,5)。

イ 原告と被告は,平成14年9月1日,契約期間を平成14年9月1日から平成15年8月31日までとするほかは,家賃(共益費,水道代を含む。)の金額を含め,契約内容を従前どおりとすることととして,本件賃貸借契約を更新する旨合意し,原告は,同月25日,被告に対し,更新料10万円を支払った(甲4,5)。

ウ 原告と被告は,平成15年8月ころ,契約期間を平成15年9月1日から平成16年8月31日までとするほかは,家賃(共益費,水道代を含む。)の金額を含め,契約内容を従前どおりとすることととして,本件賃貸借契約を更新する旨合意し,原告は,そのころ,被告に対し,更新料10万円を支払った(甲6)。

エ 原告は,平成16年8月9日,被告に対し,更新料10万円を支払い,原告と被告は,同年9月1日,契約期間を平成16年9月1日から平成17年8月31日までとするほかは,家賃(共益費,水道代を含む。)の金額を含め,契約内容を従前どおりとすることととして,本件賃貸借契約を更新する旨合意した(甲7,乙4)。

オ 原告は,平成17年8月4日,被告に対し,更新料10万円を支払い,原告と被告は,同年9月1日,契約期間を平成17年9月1日から平成18年8月31日までとするほかは,家賃(共益費,水道代を含む。)の金額を含め,契約内容を従前どおりとすることととして,本件賃貸借契約を更新する旨合意した(甲8,乙5)。

カ 原告と被告は,契約期間を平成17年9月1日から平成18年8月31日までとする本件賃貸借契約について,解約の通知及び更新拒絶の申出をしない一方,更新する旨の合意もせず,また,原告は,被告に対し,更新料(10万円)を支払わなかった。原告は,被告に対し,上記契約期間経過後である平成18年9月1日から同年10月31日までの間の家賃2か月分合計9万円を支払った(当事者間に争いがない。)。

キ 原告は,被告に対し,本件約款第15条①の定めに従い,平成18年10月28日付け賃貸借契約解約通知書(乙6)を提出し,同年11月30日をもって本件賃貸借契約を解約する旨の意思表示を行い,同日,本件物件を明け渡したが,同年11月分の賃料(4万5000円)を支払っていない。

3  当事者の主張
  (原告の主張)
(1)  既払更新料の返還請求について
ア 本件更新料約定は,消費者契約法10条又は民法90条により無効である。

イ 更新料の法的性質について
(ア) 本件賃貸借契約における更新料は,次のとおり,①更新拒絶権放棄の対価(紛争解決金),②賃借権強化の対価,③賃料の補充のいずれの性質も有していない。

(イ) 更新拒絶権放棄の対価(紛争解決金)の性質(①)について
a  更新拒絶の正当事由の有無は,建物の使用を必要とする事情が賃貸人と賃借人でどちらがより大きいのかという点を基本要素とし(自己使用の必要性),この基本要素を判断するために,従前の経過や利用状況,立退料などを補完的要素として考慮するという構造で判断されるべきものである。

 そして,本件建物のように専ら他人に賃貸する目的で建築された居住用物件の場合,賃貸人の自己使用の必要性は乏しく,自己使用の観点から賃貸人に正当事由が認められることは考え難いし,仮に自己使用の必要性が認められたとしても,立退料の支払いもないまま正当事由が認められる場合を想定することができない。
 また,正当事由が存在し,賃貸人が更新拒絶権を行使できる場合には,目的物を自己使用することにつき賃貸人に相当程度大きな経済的利益が存する場合であろうから,賃借人が更新料程度の金員の支払いを申し出たとしても,賃貸人としては更新拒絶権を行使するはずである。
 したがって,更新料の支払いによって更新拒絶権を放棄するという契約当事者の意思は,少なくとも,本件賃貸借契約のような専ら他人に賃貸する目的で建築された居住用物件の賃貸借契約における更新料支払条項からは読み取ることができない。

  以上からすると,本件賃貸借契約のような賃貸借契約においては,更新料は更新拒絶権放棄の対価となっていないといえる。

d  また,通常,更新料は,契約期間満了のころに当事者間で合意更新をすることによって支払われるものであるが,賃貸人の更新拒絶権は契約期間満了の6か月前までに行使しなければならない(借地借家法26条1項。したがっ) て,合意更新がされる場合は,既に賃貸人による更新拒絶権行使の期間が徒過しており,更新拒絶権が発生しないことが確定しているのが通常である。このような場合,もはや更新拒絶権の放棄とか更新拒絶権行使に伴う紛争回避ということは全く問題となる余地はなく,更新拒絶権放棄や更新拒絶権行使に伴う紛争解決金ということで更新料の性質を説明することはできない。

  以上の理由から,本件賃貸借契約における更新料は,更新拒絶権放棄の対価(紛争解決金)の性質を有しない。

(ウ)  賃借権強化の対価の性質(②)について
a  本件賃貸借契約においては,被告は,6か月以前に,原告に通知することにより,本件賃貸借契約を解約することができるとされており(本件約款第15条③),合意更新がなされても,賃借権は,何ら強化されていない。
 この点,被告は,本件約款第15条③は,本件賃貸借契約が法定更新された場合における確認的規定であり,合意更新された場合には適用がないと主張する。しかしながら,本件約款第15条③は,第15条の「解約」という条項の中に規定されていることからして同条項は更新後の契約の規律に関する規定ではないし,同条項には合意更新された場合には適用がないとの文言は付されていないことに加え,本件賃貸借契約においては,自動更新条項(本件約款第21条)が設けられており,そもそも法定更新が予定されていないのであるから,被告の上記主張は失当である。

 また,本件賃貸借契約のように専ら他人に賃貸する目的で建築された居住用物件の賃貸借契約の場合においては,法定更新がなされ期間の定めのない賃貸借契約となっても,賃貸人の正当事由に基づく解約が認められるときはほとんどない。また,正当事由が認められるときでも,相当額の立退料の支払いが命じられるのが通常であるから,賃借人が更新料を支払ってまで合意更新を行う実益は極めて乏しい。

  加えて,法定更新がされた場合でも,その後の賃貸人からの解約申入れは6か月前にしなければならないのであるから(借地借家法27条,賃借人は,少なく) とも更新後6か月間は賃借権を確保できることになる。そうすると,契約期間が1年間である本件賃貸借契約の場合,法定更新と合意更新とで,賃借人が賃借権を確保できる期間の違いは,わずか6か月間に過ぎないし,更新時に賃貸人側に更新拒絶の正当事由が存在しなかったにもかかわらず,その後の6か月間に解約申入れの正当事由が発生するなどいうことは想定し難い。

  以上の理由から,本件賃貸借契約における更新料は,賃借権強化の対価の性質を有しない。

(エ)  賃料の補充の性質(③)について
a  契約期間が長期間である賃貸借契約の場合とは異なり,本件賃貸借契約のように契約期間が短期間の賃貸借契約においては,そのような短期間の内に賃料の不足分が生じるとは考えにくい。
 また,更新料が賃料の補充の性質を有するという見解は,不動産価格が右肩上がりに上昇していくことを前提としており,不動産価格の現況を全く考慮していない。
 さらに,賃料の不足分というのであれば,更新後に間もなく解約した場合と,更新後の契約期間を満了した場合とで,自ずと金額が異なるはずであるところ,これを区別せず,賃料の不足分を一定の金額で算定することに無理がある。

  また,法は賃料増額請求を許容しているのであるから,不動産価格が上昇し周辺の賃料額と不均衡が生じれば,賃料増額請求により賃料不足分の請求ができるはずである。

  さらに,更新料の性質を賃料の補充と考えると,合意更新の場合にのみ更新料が支払われ,法定更新の場合に更新料が支払われないことについて,全く説明ができない。

 被告は,賃貸人は,権利金,礼金や更新料なども含めた全体の収支計算を行ったうえで毎月の賃料額を設定するのが当然であるから,設定賃料と本来受けるべき経済賃料との差額について,更新料により補充することは合理性を有すると主張する。しかしながら,民法上,賃貸借契約における使用収益の対価としては賃料のみが予定され,権利金,礼金及び更新料については何ら規定がなく,そのような法的根拠のない金員も含めて賃料額の設定を行うなどということは,民法上も全く予定されていないし,更新料等の一時金によって賃料を補充するということは,経験則上,認められない。

 以上の理由から,本件賃貸借契約における更新料は賃料の補充の性質を有しない。
 むしろ,現在の更新料は,賃借人が物件を選定する際に主に賃料の額に着目する点を利用して,賃料については割安な印象を与えて契約を誘因し,結局は割高な賃料を取るのと同じ結果を得ようする欺瞞的な目的で利用されているものである。

(オ)  以上のとおり,本件賃貸借契約における更新料は,被告が主張するいずれの法的性質も有しておらず,何ら対価性を有しない不合理なものである。

ウ 消費者契約法10条について
(ア)  消費者契約法は,消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差にかんがみ,消費者の利益を不当に害することとなる条項の全部又は一部を無効とすることにより,消費者の利益の擁護を図り,もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とするものである(同法1)。このように,消費者契約法は,事業者と消費者との間に構造的格差があることを認めた上で,その格差を是正するために民法を修正するものである。
 この立法趣旨からすると,消費者契約法10条の,「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害する」とは,具体的には,当該契約条項によって消費者が受ける不利益とその条項を無効にすることによって事業者が受ける不利益とを衡量し,両者が均衡を失していると認められる場合を意味すると考えるべきであるが,その骨格となるのは,消費者契約法の目的,すなわち事業者と消費者の情報格差,交渉力格差を是正する原理であって,そのための均衡性原理と理解すべきである。この点からすれば,上記文言は,契約条項が「正当な理由がなく」消費者の利益を害するという意味と解するべきである。

(イ)  本件更新料約定は,民法601条の賃料支払義務に加えて賃借人の義務を加重するものであるから,「民法,商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し…消費者の義務を加重する消費者契約の条項」に該当することは明らかである。

(ウ)  そして,上記のとおり,本件賃貸借契約における更新料には,何ら合理的な対価性を有していないのであるから,本件更新料約定は,「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害する」条項といえる。

(エ)  加えて,本件賃貸借契約は,契約期間が1年間であるにもかかわらず,更新料の金額は10万円(月額賃料の約2.22倍)と高額であり,その不当性は際だっている。

(オ)  以上の理由から,本件更新料約定は消費者契約法10条に該当し無効である。

エ 民法90条について
上記のとおり,本件賃貸借契約における更新料は,全く合理的な対価性を有していないことに加え,その月額賃料に対する比率,本件賃貸借契約の契約期間の短さからすると,本件更新料約定は,暴利行為(少なくとも極めて不合理な支払約束)であるといえ,公序良俗に反し無効である。

オ まとめ
 よって,原告は,被告に対し,不当利得に基づき,既払更新料50万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払いを求める。

(2)  敷金の返還請求について
ア 上記のとおり,本件賃貸借契約締結の際,原告は被告に対し,敷金10万円を預託し,本件賃貸借契約は平成18年11月30日に終了し,そのころ,原告は,被告に対し,本件物件を明け渡した。

イ 平成18年11月分の未払賃料4万5000円は,上記敷金に充当される。
 被告は,平成18年分の更新料10万円が充当されると主張するが,上記のとおり,本件更新料約定は無効である上,平成18年の更新は法定更新である(本件約款第21条に基づく自動更新が行われたのであれば,更新料の授受がなされているはずであるが,更新料は授受されていない。)から,更新料支払義務は発生しない。

ウ よって,原告は被告に対し,本件敷金契約に基づき,本件敷金の残金5万5000円の返還及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払いを求める。

  (被告の主張)
(1)  既払更新料の返還請求について

ア 本件更新料約定は,消費者契約法10条及び民法90条に違反するものではなく有効である。

イ 更新料の法的性質について
(ア)  更新料は,一般的に,①更新拒絶権放棄の対価(紛争解決金),②賃借権強化の対価,③賃料の補充という複合的な法的性質を有するものであり,本件賃貸借契約における更新料も同様に,上記各法的性質を有する。

(イ)  更新拒絶権放棄の対価(紛争解決金)の性質(①)について更新料は,賃貸人の更新拒絶権を放棄することの対価としての性質を有する。また,更新料の支払いによる更新が予測される場合には,賃貸人は,更新拒絶権の有無を検討することなく更新に応じているのであり,更新料には,その支払いを約することによって,画一的に更新拒絶権行使に伴う紛争を回避する目的(紛争解決金としての性質)もある。
 なお,原告は,本件物件のような専ら他人に賃貸する目的で建築された居住用物件の場合においては,賃貸人からの更新拒絶の正当事由が認められるときは考え難いと主張するが,更新拒絶の正当理由は,賃貸人側の事情と賃借人側の事情を比較衡量して決すべきところ,近時は賃貸物件も過剰供給の状況が続いていることに伴い,借家権保護の必要性も変容しており,近時の裁判例においても,必ずしも賃貸人に自己使用の必要性があることまでは要求しておらず,不動産の有効利用の必要性がある場合などに賃貸人の更新拒絶権が認められる事例も少なくないから,原告の上記主張は失当である。

(ウ)  賃借権強化の対価の性質(②)について
 更新料は,契約更新後に期間の定めのある賃貸借契約となり,賃貸人からの解約申入れがなされないことの対価,すなわち賃借権が強化されることの対価としての性質を有する。
 原告は,本件約款第15条③を捉えて,本件賃貸借契約においては,合意更新後においても賃貸人からの解約申入れができると主張するが,同条項を合理的に解釈すれば,法定更新の場合の解約申入期間を確認的に定めた条項に過ぎないものであり,合意更新の場合には適用がないから,原告の上記主張は失当である。

(エ)  賃料の補充の性質(③)について
a  賃料の支払いについての民法614条は任意規定であるから,それと異なる合意をすることも可能であるところ,更新料は,低く設定された月々の賃料と併用されることにより,賃料の補充としての性質を有するものである。すなわち,賃貸人は,更新料約定がある場合には,賃料に加えて更新料が一時金として入ってくることを前提として月々の賃料を設定しているし,賃借人も,更新時の更新料を考慮して,賃借物件を選択している。

 更新料支払約定がある場合,賃借人としても,契約当初から1回目の更新までは,低く設定された賃料で賃借することができる上,仲介手数料,敷金等の初期費用が少なくて済む(これらの金額は月々の賃料を基準に決定されることが多いため)という利点がある。また,更新前に退去する賃借人にとっては,当該物件の居住期間の総額支払賃料が少なくて済むという利点がある。加えて,企業等の社宅や生活保護などで,更新料の補助がなされている場合は,月々の賃料の負担者は賃借人であるが,更新料の負担者は補助をしている者(企業,国等)であり,月々の賃料と更新料の負担者が異なっている。このような場合,賃借人には,更新料につき補助が受けられる上,月々の賃料が低額となるという利点がある。

 なお,更新料を賃料の補充と考えると,契約期間内に賃貸借契約が終了した場合と期間満了した場合とで差異が生じ得るが,この場合は,賃借人が更新料の支払いにより受けるべき利益を自ら放棄したものと
評価できるし,そもそも賃貸借契約は継続的な目的物の使用の対価として賃料を設定するため,厳密に使用収益の期間と賃料額を対応させること自体困難であるから,上記の差異をもって,更新料が賃料の補
充の性質を有することを否定する理由とはならない。

 また,原告は,更新料に賃料の補充の性質があるとすると,合意更新の場合と法定更新の場合とで,更新料支払義務の有無につき違いが生じ不合理であると主張する。しかしながら,賃料の補充の必要性は法定更新,合意更新いずれの場合でも同じであることからすれば,法定更新の場合にも更新料支払義務があるといえるから,原告の上記主張は失当である。

 本件賃貸借契約においても,本件建物は,京都市左京区下鴨の良好な閑静な住宅地に所在する鉄骨ブロック4階建の昭和58年1月31日築の建物(乙3)であり,本件物件は,電気・ガス・水道・6帖・台所・トイレ・給湯設備・冷暖房設備ありの物件であり(乙7),本件物件の月々の賃料は5万円でも相当であるが,本件更新料約定が存在するため,月々の賃料は4万5000円と比較的低額に設定されているものである。

(オ)  以上のとおり,本件賃貸借契約における更新料は,更新拒絶権放棄の対価(紛争解決金),賃借権強化の対価,賃料の補充の性質を有するものであり,原告の主張するように,何ら合理的な対価性を有していないものではない。

ウ 消費者契約法10条について
(ア)  上記更新料の法的性質に鑑みれば,更新料の支払いは賃貸借契約の中心的な内容の一つであり,契約の中心部分を定める条項に該当するというべきであるから,契約の中心条項について消費者契約法10条の適用はないという見解に立てば,本件更新料約定にはそもそも同条の適用はない。
 また,本件賃貸借契約は,原告と被告が個別に交渉をして契約締結に至っている(被告は,本件建物の本件物件以外の部屋も賃貸しているが,契約条件は部屋ごとに異なっている。)から,個別交渉を経た条項について消費者契約法10条の適用はないという見解に立てば,本件更新料約定には同条項の適用はない。

(イ)  上記のとおり,本件賃貸借契約における更新料は,更新拒絶権放棄の対価,賃借権強化の対価,賃料の補充という複合的な性質を有しており,また,賃料の支払義務は民法に定められているのであるから,本件更新料約定は,「民法,商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し…消費者の義務を加重する」条項ではない。

(ウ)  消費者契約法10条の,「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害する」条項に該当するか否かは,当該条項を有効とすることによって消費者が受ける不利益と,その条項を無効とすることによって事業者が受ける不利益とを総合的に衡量し,消費者の受ける不利益が,均衡を失すると言えるほどに一方的に大きいといえるか否かで判断されるべきものであるところ,次の理由から,本件更新料約定は,上記文言に該当しない。

 本件更新料約定の合理性について
上記のとおり,本件賃貸借契約における更新料は,更新拒絶権放棄の対価(紛争解決金),賃借権強化の対価,賃料の補充という複合的な性質を有しており,十分な合理性を有している。
 また,借家契約における更新料支払の合意は,古くから全国的に行われてきたものであるし,裁判実務においても承認されてきている(一定額の更新料の支払いを内容とする和解や調停も相当数存在する。)。
さらに,生活保護制度でも,更新料の扶助がなされており,更新料支払の合意は社会的承認を得ているものといえる。
 加えて,借地借家法の制定過程において,借家契約における賃料名目以外の金銭(権利金,更新料,立退料等)につき,何らかの法的規制を及ぼすべきか否かについての問題提起がなされているが,借地借家法の制定においても,その後の同法の改正においても,更新料に関する規制はなされていない(この立法者の意思としては,更新料そのものが不合理なものであるとして法的規制を及ぼすのではなく,専ら私的自治に委ねるべきとの判断が示されていると考えるべきである。)。

 情報の格差について
建物の賃貸借契約は一般に広く行われる契約であり,物件の広告においても更新料という用語は広く用いられており,更新料は,「約定の契約期間満了後も契約を継続する場合にその対価として支払うもの」であるという意味においては一般に広く理解されているものである。
 また,建物の賃貸借契約は,賃貸条件に関する情報をもとに,消費者が経済的負担を勘案して物件を選択し,申込みを行い,契約に至るというのが実態であり,事業者が消費者に対して契約締結を働きかけるものではない。
 さらに,今日においては,消費者は,賃貸物件の情報を容易に入手することができるし,仲介を行う宅地建物取引業者(建物賃貸借においては,ほとんどの場合,宅地建物取引業者の仲介がなされている。)には,重要事項説明義務として,消費者に対し,更新料を含む賃貸条件等について説明すべき義務が課せられている(本件賃貸借契約においても,重要事項説明書〔甲1,乙7〕が交付され,更新料についての説明が行われている。)。その上で,消費者は,更新料を含む経済的負担を物件の使用収益の対価として認識し,契約の申込を行っているのが通常であり,そこに情報の格差を理由に法が介入する合理的な理由は見出せない。

  原告及び被告の不利益について
原告は,5回にわたり被告との間で合意更新を行って更新料を支払ってきた。原告は,更新料を含めた経済的負担に見合う経済的合理性があると判断し,本件物件の使用収益,契約期間の保護という利益を既に享受しているのであるから,本件更新料約定を無効にしてまで保護すべき原告の利益は存在しない(仮に存在するとしても極めて小さい。)。
 他方,被告は,更新料の支払いを受けることの対価として,更新拒絶権を放棄し,賃借権の強化という利益を原告に与えているし,更新料等の一時金を含めて全体の収支を計算し,月々の賃料を設定している。更新料徴収に対する,このような被告の期待(利益)は十分に法的保護に値するものである(実際に,原告から支払われた更新料は,被告の収入となり,税務申告をして税金を支払い,また賃貸経営の諸経費,生活費などにすでに使用されてしまっている。)。
 さらに,本件更新料約定が無効となれば,他の物件の賃貸借関係にも波及し,被告は,消費者契約法施行後に締結された全ての賃貸借契約について,更新料を返還しなければならなくなるという不測の損害を被ることとなる。
 このように,本件更新料約定が有効とされることによって原告が被る不利益と,無効とされることによって被告が被る不利益とを比較衡量すると,被告の不利益の方が圧倒的に大きい。

(エ)  以上より,本件更新料約定は,消費者契約法10条に違反するものではない。

エ 民法90条について
上記アないしウで述べたところによれば,本件更新料約定が公序良俗に反するものではないことは明らかである。
 なお,原告は,更新料と月々の賃料とを単純に比較し,本件賃貸借契約における更新料が不当に高額であると主張するが,更新料の金額の高低は,単純に月々の賃料との比較で決められるべき問題ではなく,月々の賃料及び更新料を併せた絶対的な金額そのもので判断がなされるべきものであるから,原告の主張は失当である。

オ まとめ
 以上のとおり,本件更新料約定は有効であるから,既払更新料の返還を求める原告の請求には理由がない。

(2)  敷金の返還請求について
ア 原告の主張(2)アの事実は認める。

イ 同イは争う。本件賃貸借契約は,平成18年には本件約款第21条に基づき自動更新され,原告は,更新料10万円の支払義務を負っているが,これを支払っていないから,本件敷金には,未払賃料よりも弁済期の早い更新料10万円が充当され,平成18年11月分の賃料4万5000円が未払いとなっているから,本件敷金は残存しない。

ウ よって,敷金の返還を求める原告の請求には理由がない。

第3  当裁判所の判断
1 前記当事者間に争いのない事実等,証拠(甲1ないし8,乙1,4ないし7,9)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。

(1)  原告は,平成12年8月6日,京都ライフから,重要事項説明書の交付及びそれに基づく説明を受けた上で(その際,本件更新料約定についても説明を受けた。),京都ライフを通じ,被告に対し,本件物件の賃借を申し込み原告と被告は,同月11日ころ,本件賃貸借契約を締結している。

(2)  原告と被告は,平成13年から平成17年までの毎年8月末の本件賃貸借契約の各更新の際,解約の通知及び更新拒絶の申出を行わず,その都度,契約期間をその後の1年間とするほかは,家賃(共益費,水道代を含む。)の金額を含め,契約内容を従前どおりとすることととして,本件賃貸借契約を更新する旨合意し,原告は,被告に対し,更新料10万円(合計50万円)を支払っている。

(3)  原告と被告は,平成18年8月末の本件賃貸借契約の更新の際には,同様に,解約の通知及び更新拒絶の申出をしない一方,更新する旨の合意もせず,また,原告は,被告に対し,更新料(10万円)を支払わなかった。原告は,被告に対し,上記契約期間経過後である平成18年9月1日から同年10月31日までの間の家賃2か月分合計9万円を支払った。

(4)  原告と被告は,本件賃貸借契約において,自動更新条項(本件約款第21条)を設け,更新時に特段の合意をしない場合においても,本件賃貸借契約を,自動的に,家賃・共益費等の金額に関する点を除き,従前と同様の条件で更新し,その際,原告が被告に対し更新料10万円を支払う旨合意しているから,本件賃貸借契約においては,法定更新が行われる余地はなく,当事者間の合意による更新又は本件約款第21条による自動更新のみが予定されており,いずれの場合においても本件更新料約定に基づく更新料の支払いが合意されているということになる。したがって,本件賃貸借契約の前記6回の更新のうち,平成13年から平成17年までの5回は,当事者間の合意による更新であり,平成18年の最後の更新は,法定更新ではなく,本件約款第21条による自動更新である(本件賃貸借契約は,平成18年の更新後も契約期間を定めていることになる。)。

2  更新料の法的性質
(1)  被告は,本件賃貸借契約における更新料は,①賃貸人の更新拒絶権放棄の対価(紛争解決金),②賃借権強化の対価,③賃料の補充という複合的性質を有していると主張する。

(2)  更新拒絶権放棄の対価(紛争解決金)の性質(①)について
ア 賃貸人は,正当事由があると認められる場合であれば,賃貸借契約の更新をしない旨の通知をすることができるところ(借地借家法28条),賃貸人と賃借人との間で更新料が授受され,賃貸借契約の合意更新(ないし自動更新)が行われる場合においては,賃貸人は,正当事由が存在しないことが明らかではないときにおいても,賃貸借契約の更新をしない旨の通知をしないで,契約を合意更新(ないし自動更新)するのであるから,一般的に,更新料は,更新拒絶権放棄の対価の性質を有するものと認めることができる。

イ もっとも,当然のことながら,常に正当事由があると認められるものではなく,特に,本件賃貸借契約のように専ら他人に賃貸する目的で建築された居住用物件の賃貸借契約においては,更新拒絶の正当事由が認められる場合は多くはないと考えられるから,更新拒絶権放棄の対価としての性質は希薄であるというべきである。

ウ 原告は,合意更新(ないし自動更新)がされる場合は,既に賃貸人による更新拒絶権行使の期間(契約期間の満了の6月前まで〔借地借家法26条1項〕)が徒過しており,更新拒絶権が発生しないことが確定しているのが通常であるから,更新拒絶権放棄や更新拒絶権行使に伴う紛争解決金ということで更新料の性質を説明することはできないと主張する。しかしながら,更新料を支払うことをあらかじめ合意している場合には,賃貸人は,更新料の支払いが受けられることを期待して,更新拒絶権を行使しないものと考えられるから,更新料は,更新拒絶権放棄の対価となっているものと評価することができ,原告の主張を採用することはできない。

(3)  賃借権強化の対価の性質(②)について
ア 賃貸人と賃借人との間で更新料が授受され,賃貸借契約の合意更新(ないし自動更新)が行われ,更新後も期間の定めのある賃貸借契約となる場合には,賃借人は,契約期間の満了までは明渡しを求められることがない。これに対し,法定更新の場合には,更新後の賃貸借契約は,期間の定めのないものとなり(借地借家法26条1項),賃貸人はいつでも解約を申し入れることができることとなるから,賃借人の立場は,程度の差はあるにせよ,そのことによって不安定なものとなる。したがって,更新料を支払って合意更新することには(更新後も期間の定めのある賃貸借契約とすることができるから),賃借人にとっても,利益は存することになる。
 加えて,賃貸人が更新拒絶権を行使した場合には,正当事由の存否の判断にあたり,従前更新料の授受がされていることが考慮されるもの考えられる。
 したがって,本件賃貸借契約における更新料は,賃借権強化の性質を有するものと認めることができる。

イ もっとも,前判示のとおり,本件賃貸借契約においては,契約期間が1年間という比較的短期間であるから,合意更新(ないし自動更新)により賃借権が強化される程度は限られたものである上,前判示の更新拒絶の場合と同様に,本件賃貸借契約のように専ら他人に賃貸する目的で建築された居住用物件の賃貸借由が認められる場合は多くはないものと考えられるから,賃借権強化の対価としての性質は希薄であるというべきである。

ウ 原告は,本件賃貸借契約では合意更新(ないし自動更新)が行われ,更新後も期間の定めのある賃貸借契約となっても,本件約款第15条③により,賃貸人である被告は,賃借人である原告に対し,解約を申し入れることができるとされており,何ら賃借権は強化されていないと主張する。しかしながら,借地借家法は,建物の賃貸借について期間の定めがある場合においては,賃貸人が期間内に解約する権利を民法618条に基づいて留保することを予定していないものと解するのが相当であり(借地借家法27条は,建物の賃貸借について期間の定めがない場合において,賃貸人が解約の申入れをしたときには,解約申入れの日から6か月を経過することによって終了する旨を規定している。),本件約款第15条③は,借地借家法30条により無効であるから,同条項が有効であることを前提とする原告の主張を採用することはできない。

(4) 賃料の補充の性質(③)について
ア 前判示のとおり,本件賃貸借契約における更新料は,更新拒絶権放棄の対価及び賃借権強化の対価としての性質を有するものの,その程度は希薄である。それにもかかわらず,原告は,本件物件を賃借するにあたり,被告との間で,礼金6万円,家賃(共益費,水道代を含む。)1か月4万5000円を前月末日支払い,契約期間1年間,自動更新条項(本件約款第21条)のほか,合意更新又は自動更新の際更新料として10万円を支払う旨の約定のある本件賃貸借契約を締結している。
 このような賃貸借契約を締結する当事者の意思を合理的に解釈すると,賃貸人は,契約締結後1年目は礼金6万円に月額家賃4万5000円の12か月分を加算した合計60万円の売り上げを予定し,2年目以降は更新料10万円に月額家賃4万5000円の12か月分を加算した合計64万円の売り上げか,または,賃借人が転居した場合には新たな賃借人から,上記1年目と同様の売り上げを期待しているものと考えられ,他方,賃借人は,仲介業者から複数の物件の紹介を受けるのが一般の取扱いであると考えられることからすると,物件の所在,設備,広さ等とともに,更新料を含む経済的な出捐(礼金,敷金,賃料及び更新料)を比較検討した上で,賃借する物件を選択しているとみることができる。そして,原告又は被告が,本件賃貸借契約を締結するにあたり,これと異なる意思を有していたことを認めるに足りる証拠はない。

イ このように更新料は,被告が本件物件を原告に賃貸し,原告が本件物件を使用収益することに伴い,原告が被告に対して行うことを約束した経済的な出損であり,しかも,前判示のとおり,本件賃貸借契約の契約期間が1年間と比較的短期間であり,かつ,更新しない場合には授受が予定されていない(契約後1年間で終了し更新しない場合には,全く授受されない。)ことからすると,本件更新料約定は,本件賃貸借契約における賃料の支払方法に関する条項であり,具体的には,契約期間1年間の賃料の一部を更新時に支払うこと(いわば賃料の前払い)を取り決めたものであるというべきである。したがって,本件賃貸借契約において更新料は,用語が適切かは疑義が残るが,賃料の補充の性質を有しているものということができよう。

(5)  以上のとおり,本件賃貸借契約における更新料は,主として賃料の補充(賃料の前払い)としての性質を有しており,併せて,その程度は希薄ではあるものの,なお,更新拒絶権放棄の対価及び賃借権強化の対価としての性質を有しているものと認められる。

3  民法90条及び消費者契約法10条
(1)  前判示の本件賃貸借契約における更新料の性質をふまえ,本件更新料約定が,民法90条により無効となるか検討するに,前判示のとおり,本件賃貸借契約における更新料が主として賃料の補充(賃料の前払い)としての性質を有しているところ,その金額は10万円であり,契約期間(1年間)や月払いの賃料の金額(4万5000円)に照らし,直ちに相当性を欠くとまでいうことはできない。
 よって,本件更新料約定が民法90条により無効であるとする原告の主張を採用することはできない。

(2)  本件更新料約定が,消費者契約法10条により無効となるか検討する。
ア 前判示のとおり,本件賃貸借契約における更新料は,主として賃料の補充(賃料の前払い)としての性質を有しており,本件更新料約定が,本件賃貸借契約における賃料の支払方法に関する条項(契約期間1年間の賃料の一部を更新時に支払うことを取り決めたもの)であることからすると,「賃料は,建物については毎月末に支払わなければならない」と定める民法614条本文と比べ,賃借人の義務を加重しているものと考えられるから,消費者契約法10条前段の定める要件(本件更新料約定が「民法,商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し,消費者の義務を加重する消費者契約の条項」であること)を満たすものというべきである。

イ そこで,同条後段の要件(本件更新料約定が「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」であること)について検討するに,前判示のとおり,①本件賃貸借契約における更新料の金額は10万円であり,契約期間(1年間)や月払いの賃料の金額(4万5000円)に照らし,過大なものではないこと(しかも,本件賃貸借契約においては,賃借人である原告は,契約期間の定めがあるにもかかわらず,いつでも解約を申し入れることができ,その場合には,更新料の返還は予定されていないが,原告が解約を申し入れた場合には,解約を申し入れた日から,民法618条において準用する同法617条1項2号が規定する3か月を経過することによって終了するのではなく,解約を申し入れた日から1か月が経過した日の属する月の末日をもって終了するか,又は,被告に1か月分の賃料を支払うことにより即時解約することもできることとされているから〔本件約款第15条〕,月払いの賃料の金額〔4万5000円〕の2か月分余りである本件賃貸借契約における更新料の金額は,過大なものとはいえないこと),②本件更新料約定の内容(更新料の金額,支払条件等)は,明確である上,原告が,本件賃貸借契約を締結するにあたり,仲介業者である京都ライフから,本件更新料約定の存在及び更新料の金額について説明を受けていることからすると,本件更新料約定が原告に不測の損害あるいは不利益をもたらすものではないことのほか,③本件賃貸借契約における更新料が,その程度は希薄ではあるものの,なお,更新拒絶権放棄の対価及び賃借権強化の対価としての性質を有しているものと認められることを併せ考慮すると,本件更新料約定が,「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」とはいえないものというべきである。

ウ 以上によれば,本件更新料約定が消費者契約法10条により無効であるということはできない。

エ なお,原告の主張するとおり,更新料は,賃借人が物件を選定する際に主として月払いの賃料の金額に着目する点に乗じ,「更新料」という直ちに賃料を意味するものではない言葉を用いることにより,賃借人の経済的な出損があたかも少ないかのような印象を与えて契約締結を誘因する目的で利用されている面があることを直ちに否定することはできないけれども,更新料に関する報道が広く行われることなどを通じ,消費者が更新料の性質についての認識を深めていくことが考えられるし,不動産賃貸借の市場がその機能を十全に発揮すれば,賃貸業者の間で,更新料に関する競争が行われることが考えられるのであるから,原告の上記のような懸念が事実であるとしても,そのことから,直ちに,更新料に関する約定がおよそ民法90条又は消費者契約法10条により無効であるということはできない。加えて,賃貸借契約を締結する際,賃貸人に対して更新料に関する約定に関する説明が十分に行われなかった場合や,更新料に関する約定の内容(更新料の金額,支払条件等)が不明確であるため賃借人が賃貸借契約に伴い要する経済的な出損の全体像を正しく認識できない場合には,更新料に関する約定が当該賃貸借契約の内容とはなっていないとされたり,上記約定が消費者契約法10条により無効とされることが考えられないではないが,本件賃貸借契約の締結に至る前判示のとおりの経緯,本件更新料約定の内容には,そのような事情は認められない。

 以上のとおり,本件更新料約定が民法90条又は消費者契約法10条により無効であるとする原告の主張を採用することはできないから,本件更新料約定が無効であることを前提とする原告の不当利得返還請求には理由がない。

5  敷金返還請求について
(1) 前判示のとおり,原告と被告は,本件賃貸借契約において,自動更新条項(本件約款第21条)を設け,更新時に特段の合意をしない場合においても,本件賃貸借契約を,自動的に,家賃・共益費等の金額に関する点を除き,従前と同様の条件で更新し,その際,原告が被告に対し更新料10万円を支払う旨合意しているから,本件賃貸借契約においては,法定更新が行われる余地はなく,当事者間の合意による更新又は本件約款第21条による自動更新のみが予定されており,いずれの場合においても本件更新料約定に基づく更新料の支払いが合意されているということになる。

(2)  したがって,原告は,本件約款第21条及び本件更新料約定に基づき,被告に対し,10万円の更新料支払義務を負うこととなる。そして,前判示のとおり,本件敷金の額は10万円であり,本件敷金契約は,本件約款第5条④において,「被告は,本件賃貸借契約終了後,原告が,本物件の明渡を完了した日より1か月後に,本件敷金から,原告が,本件賃貸借契約上,被告に対して負担する債務を控除した残金を原告に返還する」旨定めており,本件敷金は,上記更新料10万円の支払義務に充当されるから,本件敷金の返還を求める原告の請求には理由がないこととなる。

第4  結論
 以上の次第で,原告の請求にはいずれも理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。 

    京都地方裁判所第4民事部

             裁判長裁判官     池田光宏

             裁判官          井田宏

             裁判官          中嶋謙英



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2008年6月12日 (木)

2008年1月30日、更新料返還訴訟 判決文要旨(京都地裁)

 判例紹介

更新料訴訟



平成19年(ワ)第1793号更新料返還等請求事件

判決要旨

京都地方裁判所第4民事部

第1 結論・・・請求棄却

第2 事案の概要
  被告との間で賃貸借契約を締結し、被告の所有する物件に居住していた原告が、更新料支払の約定が消費者契約法10条又は民法90条に反し無効であると主張して、既払いの更新料の返還等を求めた事案

第3 判決理由の要旨
 1 更新料の法的性質について

 (1)更新拒絶権放棄の対価(紛争解決金)・賃借権強化の対価の性質について

 ア 更新料が授受され合意更新が行われる場合、賃貸人は、更新拒絶の通知をしないで、契約を更新するのであるから、更新料は、更新拒絶権放棄の対価の性質を有する。
 また、法定更新の場合(更新後は、期間の定めのない賃貸借となり、賃貸人からいつでも解約申入れが可能となる。)とは異なり、合意更新により更新後も期間の定めのある賃貸借となる場合には、賃借人は、期間満了まで明渡しを求められることがない上、賃貸人が将来、更新を拒絶した場合の正当事由の存否の判断にあたり、従前の更新料の授受が考慮されるものと考えられるから、更新料は、賃借権強化の性質を有する。

 イ もっとも、常に更新拒絶や解約申入れの正当事由があると認められるものではなく、特に、本件のように専ら賃貸目的で建築された居住用物件の賃貸借契約においては、正当事由が認められる場合は多くはないと考えられるし、本件賃貸借契約の期間は1年間と比較的短期間であり賃借権が強化される程度は限られたものであるから、本件更新料の有する、更新拒絶権放棄の対価・賃借権強化の対価としての性質は希薄である。

 (2) 賃料の補充の性質について

 ア 上記のとおり、本件更新料の有する、更新拒絶権放棄の対価及び賃借権強化の対価としての性質は希薄であるにもかかわらず、原告と被告は、更新料支払の約定のある本件賃貸借契約を締結している。
  このような契約当事者の意思を合理的に解釈すると、賃貸人は、1年目は、礼金と家賃を加算した金額の売り上げを、2年目以降は、更新料と家賃を加算した金額の売り上げを期待しているものと考えられ、他方、賃借人は、更新料を含む経済的な出指を比較検討した上で、物件を選択しているとみることができる。そして、原告又は被告が、これと異なる意思を有していたことを認めるに足りる証拠はない。

 イ このように、本件更新料は、本件物件の賃貸借に伴い約束された経済的な出損であり、本件約定は、1年間の賃料の一部を更新時に支払うこと(いわば賃料の前払い)を取り決めたものであるというべきである。

 2 本件約定が民法90条により無効といえるか

 本件更新料は、その金額、契約期間や月払いの賃料の金額に照らし、直ちに相当性を欠くとまではいえないから、本件約定が民法90条により無効であるということはできない。

 3 本件約定が,消費者契約法10条により無効といえるか。

(1) 消費者契約法10条前段の要件(「民法、商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の義務を加重する消費者契約の条項」)を満たすか。

  本件更新料が、主とじて賃料の補充(賃料の前払い)としての性質を有していることからすると、本件約定は、「賃料は、建物については毎月末に支払わなければならない」と定める民法614条本文と比べ、賃借人の義務を加重しているものと考えられるから、本件約定は、上記要件を満たす。

(2) 消費者契約法10条後段の要件(「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」)を満たすか。

  ① 本件更新料の金額は、契約期間や賃料の月額に照らし、過大なものではないこと
  ② 本件更新料約定の内容は明確である上、その存在及び更新料の金額について原告は説明を受けていることからすると、本件約定が原告に不測の損害、不利益をもたらすものではないこと等を併せ考慮すると、本件約定が上記要件を満たすものとはいえない。

(3) 結論
  以上より、本件約定が消費者契約法10条により無効であるということはできない。

                            


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2008年4月10日 (木)

地主が更新料を要求

       地主に借地契約の更新請求を通知した

 台東区千束で永年雑貨商を営む野口さんは16坪を借地している。先月末に3軒先に住む地主に地代を持参した折り、突然地主から「来月10日に契約が満了になる。契約を更新するのであれば更新料として500万円支払って頂きたい」と言われ、慌ててしまった。家に帰り、家族と更新料について話し合った。だが昨今の景気動向では、とても高額な更新料を支払うことは出来ない。

 困り果て、近所の人から借地借家人組合があることを知り早速組合に相談し、加入した。組合の説明では、野口さんの借地契約書には「更新料支払特約」が書き込まれていない。このように更新料の支払い約束の無い場合は、更新料の支払義務がないことは判例上確定している。従って更新料を支払わなくても借地の更新は問題なく出来る。また建替えも組合の指導に随えば問題なく行えるという説明であった。

 後日組合が準備した「借地法」4条に基づく「借地契約の更新請求」を地主に配達証明付内容証明郵便で通知した。

  借地法4条は借地権が消滅した場合でも借地人からの請求によって一方的に更新を認め、地主は原則としてこれを拒めない。借地契約は地主と合意しなくても前の契約と同一条件の借地権が設定されたものとみなされ、木造建物の場合は借地期間20年と法定される。契約書が無くても借地契約は自動更新される。

 「次回、地主宅に地代を持参する時は地主に更新料は法定されていないし、判例上も支払義務がないことは確定していることを説明し、更新料支払い拒否の意思を明確に伝える積りである。今ままでは地主の要求に言われるままに応じて来た。これからは借地法を勉強して根拠の無い要求には一切応じない決心を固めた。これからは組合とともに頑張りたい」と語った。



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2008年3月 9日 (日)

更新料650万円の請求を拒否すると・・・・。

 荒川区町屋で共有名義50坪を借地している梅津さん夫婦は、昨年秋に更新料として20年前の倍額の650万円の支払いを要求されたが、きっぱりと支払い拒否し法定更新をした。その後、地主から何度も「非人間だとか、人の土地を奪い取るのか」等々の手紙を何通も受け取った。

 梅津さんはその都度、借地人の権利義務の関係を地主に訴え、対応の正当性を主張し続けた。今年5月になって、地主の代理人の弁護士2名より突然、梅津さんのご主人名義で家を建てたのは借地の無断譲渡との理由で契約を解除する旨の内容証明が送られてきた。梅津さん夫婦は、現在の住居を数十年前に建てた時先代の地主との間で話し合い合意が成立の上、承諾書も交わしてあったので無断譲渡ではないと代理人に回答した。

 6月に入ると代理人の弁護士から再度通知があり、「梅津さんを正式に借地人として認める。但し特約事項で、①更新時に更新料を支払うこと、②現賃貸人の亡夫が地主当時合意した事実も一切承認しないのでご主人亡き後地主の承諾なしでは借地権の相続は認めない」との契約書の作成をしたい旨の申し出があった。梅津さん夫婦はこんな契約は断固拒否すると返答した。

 その後、弁護士は沈黙しているが、更新料を不払いだからと6月から更に5000円の値上げを請求し、契約書の作成と更新料と地代値上げは絶対に譲歩しないと主張している。梅津さんは不当な請求を拒否して頑張る決意だ。

東京借地借家人新聞より


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2008年3月 8日 (土)

更新料返還訴 京都で2人が新たに提訴 

 賃貸マンションなどの更新料制度の違法性を主張し、借主側の立場で訴訟を支援している「京都敷金・保証金弁護団」(団長・野々山宏弁護士)は2月27日、新たに2件の更新料返還の訴えを起こしたと発表した。

 賃貸マンションの更新料は消費者契約法違反だとして、女性2人が27日、貸主側に返還などを求めて、それぞれ京都地裁と右京簡裁に提訴した。

 京都地裁に提訴している北海道出身の20代女子大生は2006年4月から契約期間1年、家賃5万8000円と1年ごとに更新料11万6000円を払う契約で京都市左京区の学生マンションに入居した。ところが2007年の更新後、防犯カメラで帰宅時間や友人の来訪をチェックされ、そのチェック結果を理由に中途解約された。結果、契約更新、7カ月後の11月にマンションを退去した。地裁に提出した訴状では、更新料や保証金のほか、プライバシー侵害による慰謝料など計約64万円を求めている。

 一方、右京簡裁に提訴した熊本県出身の20代女性は03年4月から、家賃3万8000円、1年ごとに更新料7万6000円を払う契約で、西京区のマンションに居住した。4回の契約更新したが、既に支払った3回分の更新料(22万8000円)の返還などを請求している。

 京都の「既払更新料の返還訴訟」で京都地裁は2008年1月30日、「更新料は,主として賃料の補充(賃料の前払い)としての性質がある」とする判決を出した。

 借主側の「京都敷金・保証金弁護団」は「貸主は退去を要求しながら更新料の精算をしておらず、京都地裁判決が更新料を有効とした根拠の『更新料は,賃料の補充(賃料の前払い)』という判断と矛盾する。更新料が 賃料の前払いでないのは明らか」と主張する。

 「大学進学で京都に来た両原告は更新料制度を知らなかった。学生の街・京都での不当な制度を改めたい」と強調している。

京都地裁2008年1月30日判決全文はこちら

判決文要旨はこちら



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2008年2月21日 (木)

2008年1月30日京都地裁判決(更新料返還請求)

 判例紹介

事件番号         平成19年(ワ)第1793号
事件名          更新料返還等請求事件
裁判年月日    平成20年1月30日
裁判所名      京都地方裁判所
部         第4民事部
結果        棄却

(判示事項の要旨)
 
賃貸借契約における更新料を支払う旨の約定が,民法90条及び消費者契約法10条により無効であるとはいえないと判断された事例


                                         主              文

1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。

                                         事実及び理由

第1 請求
被告は,原告に対し,55万5000円及びこれに対する平成19年4月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第2 事案の概要

1 本件は,被告の所有する建物の一室について,被告との間で賃貸借契約を締結し居住していた原告が,①上記賃貸借契約における更新料支払の約定は消費者契約法10条又は民法90条に反し無効であると主張し,不当利得に基づき,過去5回に渡り支払った更新料(合計50万円)の返還及びこれに対する遅延損害金(訴状送達の日の翌日である平成19年4月22日から支払済みまで民法所定の年5分の割合によるもの)の支払いを求めるとともに,②敷金契約に基づき,敷金10万円から未払賃料4万5000円を控除した5万5000円の返還及びこれに対する遅延損害金(訴状送達の日の翌日である平成19年4月22日から支払済みまで民法所定の年5分の割合によるもの)の支払いを求めた事案である。

2 当事者間に争いのない事実等
(1)  被告は,別紙物件目録記載の建物(以下「本件建物」という。)を所有し,不動産賃貸を事業として営む者である(乙1,3,弁論の全趣旨)。

(2)  賃貸借契約,敷金契約の締結(甲1,乙1,7,9)
 原告は,平成12年8月6日ころ,仲介業者である株式会社京都ライフ(以下「京都ライフ」という。)から,本件建物の一室(2階205号室,以下「本件物件」という。)の紹介を受け,同月6日,京都ライフから,重要事項説明書の交付及びそれに基づく説明を受けるとともに,京都ライフを通じ,被告に対し,入居申込書(乙9)を提出して,本件物件の賃借を申し込んだ。原告と被告は,同月11日ころ,本件物件につき,次の内容の賃貸借契約(以下「本件賃貸借契約」という。)を締結し,被告は,同月15日ころ,原告に対し,本件賃貸借契約に基づき,本件物件を引き渡した。
 また,原告と被告は,本件賃貸借契約を締結するにあたり,原告が被告
に対し敷金として10万円(以下「本件敷金」という。)を預託した(以下「本件敷金契約」という。)。
(ア)  賃貸人被告
(イ)  賃借人原告
(ウ)  家賃1か月4万5000円(共益費,水道代を含む。)
(エ)  契約期間平成12年8月15日から平成13年8月30日ま
での約1年間(以後1年更新)
(オ)  礼金6万円
(カ)  更新料10万円(以下,この更新料の支払いに関する約定を「本件更新料約定」という。)

 賃貸借契約約款の内容(乙1)
原告と被告が本件賃貸借契約を締結するにあたり取り交わした建物賃貸借契約書(乙1)には,冒頭に「賃貸人と賃借人は,この契約書および賃貸借契約約款により,下記に表示する建物(目的物件)に関する賃貸借の契約を締結します。」と記載され,3頁から6頁までに「賃貸借契約約款」(以下「本件約款」という。)が記載されている。本件約款には,次の条項が掲げられている(なお,本件約款の条項中,「甲」とあるのは賃貸人である被告を意味し,「乙」とあるのは賃借人である原告を意味する。)。

第3条 (使用目的)
乙は本物件を,居住の用途以外の目的に使用してはならない。

第4条 (家賃・共益費)
① 乙は,契約書記載の家賃・共益費を,毎月末日までに翌月分を契約書指定の方法により,甲に支払う。この場合において,甲が,金融機関への振込を指定したときは,振込手数料は,乙の負担とする。
② 本契約期間の開始日が,暦上の1か月の中途である場合は,開始日の属する月の家賃・共益費は,日割計算(1か月は,30日として計算。)とする。明渡月については,日割計算はせず,乙は,明渡日が暦上の1か月の中途であっても,その月の末日までの家賃・共益費を支払うものとする。

第5条 (敷金)
① 乙は,本契約(特約を含む)より生ずる,乙の一切の債務を担保するため,本契約締結と同時に,契約書記載の敷金を甲に預託し,甲は,これを無利息にて保管する。
④ 甲は,本契約終了後,乙が,本物件の明渡を完了した日より1か月後に,本契約敷金から,乙が,本契約上,甲に対して負担する債務を控除した残金を乙に返還する。

第15条 (解約)
① 乙は,1か月以前に,甲又は甲の指定したる管理業者・管理人に書面による通知をすることにより,本契約を解約することができる。この場合においては,乙の通知が,甲に到達した日より起算して,1か月が経過した日の属する月の末日をもって,本契約は終了する。但,契約書に別段の定めがある場合はそれに従うものとする。
② 乙は,前項に拘らず,甲に1か月分の賃料を支払うことにより,本契約を即時解約することができる。
③ 甲は,6か月以前に,乙に通知することにより,本契約を解約することができる。

第21条 (更新)
契約書記載の賃貸借期間の満了時より,甲にあっては6か月前,乙にあっては1か月前までに各相手方に対し更新拒絶の申出をしない限り,本契約は家賃・共益費等の金額に関する点を除き,更新継続されるものとする。但し契約書に別段の定めがある場合はそれに従う。尚この場合,乙は甲に対し,契約書記載の更新料を支払わねばならない。

ウ 重要事項説明書の内容(乙7)
原告が被告に対し本件物件の賃借を申し込むにあたり京都ライフから交付を受けた重要事項説明書(乙7)には,「契約更新に関する事項」として,次の記載がされている。
「本契約満了により賃貸人は6か月前,賃借人は1か月前迄に各相手方に対し更新の可否を申し出ない限り継続され賃借人は賃貸人に更新料を支払い,同時に賃料等改定については公租公課・近隣賃料等の比較により改定する事が出来る。」
エ 礼金,家賃,敷金等の支払い(甲1,2,乙1,7,9)

(ア)  原告は,平成12年8月6日から同月11日にかけて,京都ライフを通じ,被告に対し,上記敷金10万円を含め,次のとおり合計24万1000円を支払った(なお,礼金の金額は,原告提出の重要事項説明書の写し〔甲1〕〔15万円〕と被告提出の重要事項説明書の原本〔乙7〕〔6万円〕とで異なっているが,前者〔写し〕には改ざんの痕跡が認められることに加え,原告が作成した入居申込書〔乙9〕には礼金が6万円であると記載されていること,原告の支払合計額が27万8800円であり〔甲2〕,礼金が6万円を前提とする上記24万1000円に(イ)記載の手数料3万7800円を加算した金額と一致することに照らし,礼金の金額は,後者〔原本〕に記載されている6万円であるものと認められる。)。

①  礼金6万円
②  家賃7万0500円
内訳・8月15日から同月31日までの17日分=2万5500円
9月分4万5000円
④  敷金10万円
⑤  入居者相互会費1万0500円

(イ)  原告は,平成12年8月11日,京都ライフに対し,手数料として3
万7800円を支払った。

(3)  賃貸借契約の更新・解約・賃料の支払い(甲3ないし8,乙4,5)
ア 原告と被告は,平成13年8月3日ころ,契約期間を平成13年8月31日から平成14年8月31日までとするほかは,家賃(共益費,水道代を含む。)の金額を含め,契約内容を従前どおりとすることととして,本件賃貸借契約を更新する旨合意し,原告は,同日,被告に対し,更新料10万円を支払った(甲3,5)。

イ 原告と被告は,平成14年9月1日,契約期間を平成14年9月1日から平成15年8月31日までとするほかは,家賃(共益費,水道代を含む。)の金額を含め,契約内容を従前どおりとすることととして,本件賃貸借契約を更新する旨合意し,原告は,同月25日,被告に対し,更新料10万円を支払った(甲4,5)。

ウ 原告と被告は,平成15年8月ころ,契約期間を平成15年9月1日から平成16年8月31日までとするほかは,家賃(共益費,水道代を含む。)の金額を含め,契約内容を従前どおりとすることととして,本件賃貸借契約を更新する旨合意し,原告は,そのころ,被告に対し,更新料10万円を支払った(甲6)。

エ 原告は,平成16年8月9日,被告に対し,更新料10万円を支払い,原告と被告は,同年9月1日,契約期間を平成16年9月1日から平成17年8月31日までとするほかは,家賃(共益費,水道代を含む。)の金額を含め,契約内容を従前どおりとすることととして,本件賃貸借契約を更新する旨合意した(甲7,乙4)。

オ 原告は,平成17年8月4日,被告に対し,更新料10万円を支払い,原告と被告は,同年9月1日,契約期間を平成17年9月1日から平成18年8月31日までとするほかは,家賃(共益費,水道代を含む。)の金額を含め,契約内容を従前どおりとすることととして,本件賃貸借契約を更新する旨合意した(甲8,乙5)。

カ 原告と被告は,契約期間を平成17年9月1日から平成18年8月31日までとする本件賃貸借契約について,解約の通知及び更新拒絶の申出をしない一方,更新する旨の合意もせず,また,原告は,被告に対し,更新料(10万円)を支払わなかった。原告は,被告に対し,上記契約期間経過後である平成18年9月1日から同年10月31日までの間の家賃2か月分合計9万円を支払った(当事者間に争いがない。)。

キ 原告は,被告に対し,本件約款第15条①の定めに従い,平成18年10月28日付け賃貸借契約解約通知書(乙6)を提出し,同年11月30日をもって本件賃貸借契約を解約する旨の意思表示を行い,同日,本件物件を明け渡したが,同年11月分の賃料(4万5000円)を支払っていない。

3  当事者の主張
  (原告の主張)
(1)  既払更新料の返還請求について
ア 本件更新料約定は,消費者契約法10条又は民法90条により無効である。

イ 更新料の法的性質について
(ア) 本件賃貸借契約における更新料は,次のとおり,①更新拒絶権放棄の対価(紛争解決金),②賃借権強化の対価,③賃料の補充のいずれの性質も有していない。

(イ) 更新拒絶権放棄の対価(紛争解決金)の性質(①)について
a  更新拒絶の正当事由の有無は,建物の使用を必要とする事情が賃貸人と賃借人でどちらがより大きいのかという点を基本要素とし(自己使用の必要性),この基本要素を判断するために,従前の経過や利用状況,立退料などを補完的要素として考慮するという構造で判断されるべきものである。

 そして,本件建物のように専ら他人に賃貸する目的で建築された居住用物件の場合,賃貸人の自己使用の必要性は乏しく,自己使用の観点から賃貸人に正当事由が認められることは考え難いし,仮に自己使用の必要性が認められたとしても,立退料の支払いもないまま正当事由が認められる場合を想定することができない。
 また,正当事由が存在し,賃貸人が更新拒絶権を行使できる場合には,目的物を自己使用することにつき賃貸人に相当程度大きな経済的利益が存する場合であろうから,賃借人が更新料程度の金員の支払いを申し出たとしても,賃貸人としては更新拒絶権を行使するはずである。
 したがって,更新料の支払いによって更新拒絶権を放棄するという契約当事者の意思は,少なくとも,本件賃貸借契約のような専ら他人に賃貸する目的で建築された居住用物件の賃貸借契約における更新料支払条項からは読み取ることができない。

  以上からすると,本件賃貸借契約のような賃貸借契約においては,更新料は更新拒絶権放棄の対価となっていないといえる。

d  また,通常,更新料は,契約期間満了のころに当事者間で合意更新をすることによって支払われるものであるが,賃貸人の更新拒絶権は契約期間満了の6か月前までに行使しなければならない(借地借家法26条1項。したがっ) て,合意更新がされる場合は,既に賃貸人による更新拒絶権行使の期間が徒過しており,更新拒絶権が発生しないことが確定しているのが通常である。このような場合,もはや更新拒絶権の放棄とか更新拒絶権行使に伴う紛争回避ということは全く問題となる余地はなく,更新拒絶権放棄や更新拒絶権行使に伴う紛争解決金ということで更新料の性質を説明することはできない。

  以上の理由から,本件賃貸借契約における更新料は,更新拒絶権放棄の対価(紛争解決金)の性質を有しない。

(ウ)  賃借権強化の対価の性質(②)について
a  本件賃貸借契約においては,被告は,6か月以前に,原告に通知することにより,本件賃貸借契約を解約することができるとされており(本件約款第15条③),合意更新がなされても,賃借権は,何ら強化されていない。
 この点,被告は,本件約款第15条③は,本件賃貸借契約が法定更新された場合における確認的規定であり,合意更新された場合には適用がないと主張する。しかしながら,本件約款第15条③は,第15条の「解約」という条項の中に規定されていることからして同条項は更新後の契約の規律に関する規定ではないし,同条項には合意更新された場合には適用がないとの文言は付されていないことに加え,本件賃貸借契約においては,自動更新条項(本件約款第21条)が設けられており,そもそも法定更新が予定されていないのであるから,被告の上記主張は失当である。

 また,本件賃貸借契約のように専ら他人に賃貸する目的で建築された居住用物件の賃貸借契約の場合においては,法定更新がなされ期間の定めのない賃貸借契約となっても,賃貸人の正当事由に基づく解約が認められるときはほとんどない。また,正当事由が認められるときでも,相当額の立退料の支払いが命じられるのが通常であるから,賃借人が更新料を支払ってまで合意更新を行う実益は極めて乏しい。

  加えて,法定更新がされた場合でも,その後の賃貸人からの解約申入れは6か月前にしなければならないのであるから(借地借家法27条,賃借人は,少なく) とも更新後6か月間は賃借権を確保できることになる。そうすると,契約期間が1年間である本件賃貸借契約の場合,法定更新と合意更新とで,賃借人が賃借権を確保できる期間の違いは,わずか6か月間に過ぎないし,更新時に賃貸人側に更新拒絶の正当事由が存在しなかったにもかかわらず,その後の6か月間に解約申入れの正当事由が発生するなどいうことは想定し難い。

  以上の理由から,本件賃貸借契約における更新料は,賃借権強化の対価の性質を有しない。

(エ)  賃料の補充の性質(③)について
a  契約期間が長期間である賃貸借契約の場合とは異なり,本件賃貸借契約のように契約期間が短期間の賃貸借契約においては,そのような短期間の内に賃料の不足分が生じるとは考えにくい。
 また,更新料が賃料の補充の性質を有するという見解は,不動産価格が右肩上がりに上昇していくことを前提としており,不動産価格の現況を全く考慮していない。
 さらに,賃料の不足分というのであれば,更新後に間もなく解約した場合と,更新後の契約期間を満了した場合とで,自ずと金額が異なるはずであるところ,これを区別せず,賃料の不足分を一定の金額で算定することに無理がある。

  また,法は賃料増額請求を許容しているのであるから,不動産価格が上昇し周辺の賃料額と不均衡が生じれば,賃料増額請求により賃料不足分の請求ができるはずである。

  さらに,更新料の性質を賃料の補充と考えると,合意更新の場合にのみ更新料が支払われ,法定更新の場合に更新料が支払われないことについて,全く説明ができない。

 被告は,賃貸人は,権利金,礼金や更新料なども含めた全体の収支計算を行ったうえで毎月の賃料額を設定するのが当然であるから,設定賃料と本来受けるべき経済賃料との差額について,更新料により補充することは合理性を有すると主張する。しかしながら,民法上,賃貸借契約における使用収益の対価としては賃料のみが予定され,権利金,礼金及び更新料については何ら規定がなく,そのような法的根拠のない金員も含めて賃料額の設定を行うなどということは,民法上も全く予定されていないし,更新料等の一時金によって賃料を補充するということは,経験則上,認められない。

 以上の理由から,本件賃貸借契約における更新料は賃料の補充の性質を有しない。
 むしろ,現在の更新料は,賃借人が物件を選定する際に主に賃料の額に着目する点を利用して,賃料については割安な印象を与えて契約を誘因し,結局は割高な賃料を取るのと同じ結果を得ようする欺瞞的な目的で利用されているものである。

(オ)  以上のとおり,本件賃貸借契約における更新料は,被告が主張するいずれの法的性質も有しておらず,何ら対価性を有しない不合理なものである。

ウ 消費者契約法10条について
(ア)  消費者契約法は,消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差にかんがみ,消費者の利益を不当に害することとなる条項の全部又は一部を無効とすることにより,消費者の利益の擁護を図り,もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とするものである(同法1)。このように,消費者契約法は,事業者と消費者との間に構造的格差があることを認めた上で,その格差を是正するために民法を修正するものである。
 この立法趣旨からすると,消費者契約法10条の,「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害する」とは,具体的には,当該契約条項によって消費者が受ける不利益とその条項を無効にすることによって事業者が受ける不利益とを衡量し,両者が均衡を失していると認められる場合を意味すると考えるべきであるが,その骨格となるのは,消費者契約法の目的,すなわち事業者と消費者の情報格差,交渉力格差を是正する原理であって,そのための均衡性原理と理解すべきである。この点からすれば,上記文言は,契約条項が「正当な理由がなく」消費者の利益を害するという意味と解するべきである。

(イ)  本件更新料約定は,民法601条の賃料支払義務に加えて賃借人の義務を加重するものであるから,「民法,商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し…消費者の義務を加重する消費者契約の条項」に該当することは明らかである。

(ウ)  そして,上記のとおり,本件賃貸借契約における更新料には,何ら合理的な対価性を有していないのであるから,本件更新料約定は,「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害する」条項といえる。

(エ)  加えて,本件賃貸借契約は,契約期間が1年間であるにもかかわらず,更新料の金額は10万円(月額賃料の約2.22倍)と高額であり,その不当性は際だっている。

(オ)  以上の理由から,本件更新料約定は消費者契約法10条に該当し無効である。

エ 民法90条について
上記のとおり,本件賃貸借契約における更新料は,全く合理的な対価性を有していないことに加え,その月額賃料に対する比率,本件賃貸借契約の契約期間の短さからすると,本件更新料約定は,暴利行為(少なくとも極めて不合理な支払約束)であるといえ,公序良俗に反し無効である。

オ まとめ
 よって,原告は,被告に対し,不当利得に基づき,既払更新料50万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払いを求める。

(2)  敷金の返還請求について
ア 上記のとおり,本件賃貸借契約締結の際,原告は被告に対し,敷金10万円を預託し,本件賃貸借契約は平成18年11月30日に終了し,そのころ,原告は,被告に対し,本件物件を明け渡した。

イ 平成18年11月分の未払賃料4万5000円は,上記敷金に充当される。
 被告は,平成18年分の更新料10万円が充当されると主張するが,上記のとおり,本件更新料約定は無効である上,平成18年の更新は法定更新である(本件約款第21条に基づく自動更新が行われたのであれば,更新料の授受がなされているはずであるが,更新料は授受されていない。)から,更新料支払義務は発生しない。

ウ よって,原告は被告に対し,本件敷金契約に基づき,本件敷金の残金5万5000円の返還及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払いを求める。

  (被告の主張)
(1)  既払更新料の返還請求について

ア 本件更新料約定は,消費者契約法10条及び民法90条に違反するものではなく有効である。

イ 更新料の法的性質について
(ア)  更新料は,一般的に,①更新拒絶権放棄の対価(紛争解決金),②賃借権強化の対価,③賃料の補充という複合的な法的性質を有するものであり,本件賃貸借契約における更新料も同様に,上記各法的性質を有する。

(イ)  更新拒絶権放棄の対価(紛争解決金)の性質(①)について更新料は,賃貸人の更新拒絶権を放棄することの対価としての性質を有する。また,更新料の支払いによる更新が予測される場合には,賃貸人は,更新拒絶権の有無を検討することなく更新に応じているのであり,更新料には,その支払いを約することによって,画一的に更新拒絶権行使に伴う紛争を回避する目的(紛争解決金としての性質)もある。
 なお,原告は,本件物件のような専ら他人に賃貸する目的で建築された居住用物件の場合においては,賃貸人からの更新拒絶の正当事由が認められるときは考え難いと主張するが,更新拒絶の正当理由は,賃貸人側の事情と賃借人側の事情を比較衡量して決すべきところ,近時は賃貸物件も過剰供給の状況が続いていることに伴い,借家権保護の必要性も変容しており,近時の裁判例においても,必ずしも賃貸人に自己使用の必要性があることまでは要求しておらず,不動産の有効利用の必要性がある場合などに賃貸人の更新拒絶権が認められる事例も少なくないから,原告の上記主張は失当である。

(ウ)  賃借権強化の対価の性質(②)について
 更新料は,契約更新後に期間の定めのある賃貸借契約となり,賃貸人からの解約申入れがなされないことの対価,すなわち賃借権が強化されることの対価としての性質を有する。
 原告は,本件約款第15条③を捉えて,本件賃貸借契約においては,合意更新後においても賃貸人からの解約申入れができると主張するが,同条項を合理的に解釈すれば,法定更新の場合の解約申入期間を確認的に定めた条項に過ぎないものであり,合意更新の場合には適用がないから,原告の上記主張は失当である。

(エ)  賃料の補充の性質(③)について
a  賃料の支払いについての民法614条は任意規定であるから,それと異なる合意をすることも可能であるところ,更新料は,低く設定された月々の賃料と併用されることにより,賃料の補充としての性質を有するものである。すなわち,賃貸人は,更新料約定がある場合には,賃料に加えて更新料が一時金として入ってくることを前提として月々の賃料を設定しているし,賃借人も,更新時の更新料を考慮して,賃借物件を選択している。

 更新料支払約定がある場合,賃借人としても,契約当初から1回目の更新までは,低く設定された賃料で賃借することができる上,仲介手数料,敷金等の初期費用が少なくて済む(これらの金額は月々の賃料を基準に決定されることが多いため)という利点がある。また,更新前に退去する賃借人にとっては,当該物件の居住期間の総額支払賃料が少なくて済むという利点がある。加えて,企業等の社宅や生活保護などで,更新料の補助がなされている場合は,月々の賃料の負担者は賃借人であるが,更新料の負担者は補助をしている者(企業,国等)であり,月々の賃料と更新料の負担者が異なっている。このような場合,賃借人には,更新料につき補助が受けられる上,月々の賃料が低額となるという利点がある。

 なお,更新料を賃料の補充と考えると,契約期間内に賃貸借契約が終了した場合と期間満了した場合とで差異が生じ得るが,この場合は,賃借人が更新料の支払いにより受けるべき利益を自ら放棄したものと
評価できるし,そもそも賃貸借契約は継続的な目的物の使用の対価として賃料を設定するため,厳密に使用収益の期間と賃料額を対応させること自体困難であるから,上記の差異をもって,更新料が賃料の補
充の性質を有することを否定する理由とはならない。

 また,原告は,更新料に賃料の補充の性質があるとすると,合意更新の場合と法定更新の場合とで,更新料支払義務の有無につき違いが生じ不合理であると主張する。しかしながら,賃料の補充の必要性は法定更新,合意更新いずれの場合でも同じであることからすれば,法定更新の場合にも更新料支払義務があるといえるから,原告の上記主張は失当である。

 本件賃貸借契約においても,本件建物は,京都市左京区下鴨の良好な閑静な住宅地に所在する鉄骨ブロック4階建の昭和58年1月31日築の建物(乙3)であり,本件物件は,電気・ガス・水道・6帖・台所・トイレ・給湯設備・冷暖房設備ありの物件であり(乙7),本件物件の月々の賃料は5万円でも相当であるが,本件更新料約定が存在するため,月々の賃料は4万5000円と比較的低額に設定されているものである。

(オ)  以上のとおり,本件賃貸借契約における更新料は,更新拒絶権放棄の対価(紛争解決金),賃借権強化の対価,賃料の補充の性質を有するものであり,原告の主張するように,何ら合理的な対価性を有していないものではない。

ウ 消費者契約法10条について
(ア)  上記更新料の法的性質に鑑みれば,更新料の支払いは賃貸借契約の中心的な内容の一つであり,契約の中心部分を定める条項に該当するというべきであるから,契約の中心条項について消費者契約法10条の適用はないという見解に立てば,本件更新料約定にはそもそも同条の適用はない。
 また,本件賃貸借契約は,原告と被告が個別に交渉をして契約締結に至っている(被告は,本件建物の本件物件以外の部屋も賃貸しているが,契約条件は部屋ごとに異なっている。)から,個別交渉を経た条項について消費者契約法10条の適用はないという見解に立てば,本件更新料約定には同条項の適用はない。

(イ)  上記のとおり,本件賃貸借契約における更新料は,更新拒絶権放棄の対価,賃借権強化の対価,賃料の補充という複合的な性質を有しており,また,賃料の支払義務は民法に定められているのであるから,本件更新料約定は,「民法,商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し…消費者の義務を加重する」条項ではない。

(ウ)  消費者契約法10条の,「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害する」条項に該当するか否かは,当該条項を有効とすることによって消費者が受ける不利益と,その条項を無効とすることによって事業者が受ける不利益とを総合的に衡量し,消費者の受ける不利益が,均衡を失すると言えるほどに一方的に大きいといえるか否かで判断されるべきものであるところ,次の理由から,本件更新料約定は,上記文言に該当しない。

 本件更新料約定の合理性について
上記のとおり,本件賃貸借契約における更新料は,更新拒絶権放棄の対価(紛争解決金),賃借権強化の対価,賃料の補充という複合的な性質を有しており,十分な合理性を有している。
 また,借家契約における更新料支払の合意は,古くから全国的に行われてきたものであるし,裁判実務においても承認されてきている(一定額の更新料の支払いを内容とする和解や調停も相当数存在する。)。
さらに,生活保護制度でも,更新料の扶助がなされており,更新料支払の合意は社会的承認を得ているものといえる。
 加えて,借地借家法の制定過程において,借家契約における賃料名目以外の金銭(権利金,更新料,立退料等)につき,何らかの法的規制を及ぼすべきか否かについての問題提起がなされているが,借地借家法の制定においても,その後の同法の改正においても,更新料に関する規制はなされていない(この立法者の意思としては,更新料そのものが不合理なものであるとして法的規制を及ぼすのではなく,専ら私的自治に委ねるべきとの判断が示されていると考えるべきである。)。

 情報の格差について
建物の賃貸借契約は一般に広く行われる契約であり,物件の広告においても更新料という用語は広く用いられており,更新料は,「約定の契約期間満了後も契約を継続する場合にその対価として支払うもの」であるという意味においては一般に広く理解されているものである。
 また,建物の賃貸借契約は,賃貸条件に関する情報をもとに,消費者が経済的負担を勘案して物件を選択し,申込みを行い,契約に至るというのが実態であり,事業者が消費者に対して契約締結を働きかけるものではない。
 さらに,今日においては,消費者は,賃貸物件の情報を容易に入手することができるし,仲介を行う宅地建物取引業者(建物賃貸借においては,ほとんどの場合,宅地建物取引業者の仲介がなされている。)には,重要事項説明義務として,消費者に対し,更新料を含む賃貸条件等について説明すべき義務が課せられている(本件賃貸借契約においても,重要事項説明書〔甲1,乙7〕が交付され,更新料についての説明が行われている。)。その上で,消費者は,更新料を含む経済的負担を物件の使用収益の対価として認識し,契約の申込を行っているのが通常であり,そこに情報の格差を理由に法が介入する合理的な理由は見出せない。

  原告及び被告の不利益について
原告は,5回にわたり被告との間で合意更新を行って更新料を支払ってきた。原告は,更新料を含めた経済的負担に見合う経済的合理性があると判断し,本件物件の使用収益,契約期間の保護という利益を既に享受しているのであるから,本件更新料約定を無効にしてまで保護すべき原告の利益は存在しない(仮に存在するとしても極めて小さい。)。
 他方,被告は,更新料の支払いを受けることの対価として,更新拒絶権を放棄し,賃借権の強化という利益を原告に与えているし,更新料等の一時金を含めて全体の収支を計算し,月々の賃料を設定している。更新料徴収に対する,このような被告の期待(利益)は十分に法的保護に値するものである(実際に,原告から支払われた更新料は,被告の収入となり,税務申告をして税金を支払い,また賃貸経営の諸経費,生活費などにすでに使用されてしまっている。)。
 さらに,本件更新料約定が無効となれば,他の物件の賃貸借関係にも波及し,被告は,消費者契約法施行後に締結された全ての賃貸借契約について,更新料を返還しなければならなくなるという不測の損害を被ることとなる。
 このように,本件更新料約定が有効とされることによって原告が被る不利益と,無効とされることによって被告が被る不利益とを比較衡量すると,被告の不利益の方が圧倒的に大きい。

(エ)  以上より,本件更新料約定は,消費者契約法10条に違反するものではない。

エ 民法90条について
上記アないしウで述べたところによれば,本件更新料約定が公序良俗に反するものではないことは明らかである。
 なお,原告は,更新料と月々の賃料とを単純に比較し,本件賃貸借契約における更新料が不当に高額であると主張するが,更新料の金額の高低は,単純に月々の賃料との比較で決められるべき問題ではなく,月々の賃料及び更新料を併せた絶対的な金額そのもので判断がなされるべきものであるから,原告の主張は失当である。

オ まとめ
 以上のとおり,本件更新料約定は有効であるから,既払更新料の返還を求める原告の請求には理由がない。

(2)  敷金の返還請求について
ア 原告の主張(2)アの事実は認める。

イ 同イは争う。本件賃貸借契約は,平成18年には本件約款第21条に基づき自動更新され,原告は,更新料10万円の支払義務を負っているが,これを支払っていないから,本件敷金には,未払賃料よりも弁済期の早い更新料10万円が充当され,平成18年11月分の賃料4万5000円が未払いとなっているから,本件敷金は残存しない。

ウ よって,敷金の返還を求める原告の請求には理由がない。

第3  当裁判所の判断
1 前記当事者間に争いのない事実等,証拠(甲1ないし8,乙1,4ないし7,9)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。

(1)  原告は,平成12年8月6日,京都ライフから,重要事項説明書の交付及びそれに基づく説明を受けた上で(その際,本件更新料約定についても説明を受けた。),京都ライフを通じ,被告に対し,本件物件の賃借を申し込み原告と被告は,同月11日ころ,本件賃貸借契約を締結している。

(2)  原告と被告は,平成13年から平成17年までの毎年8月末の本件賃貸借契約の各更新の際,解約の通知及び更新拒絶の申出を行わず,その都度,契約期間をその後の1年間とするほかは,家賃(共益費,水道代を含む。)の金額を含め,契約内容を従前どおりとすることととして,本件賃貸借契約を更新する旨合意し,原告は,被告に対し,更新料10万円(合計50万円)を支払っている。

(3)  原告と被告は,平成18年8月末の本件賃貸借契約の更新の際には,同様に,解約の通知及び更新拒絶の申出をしない一方,更新する旨の合意もせず,また,原告は,被告に対し,更新料(10万円)を支払わなかった。原告は,被告に対し,上記契約期間経過後である平成18年9月1日から同年10月31日までの間の家賃2か月分合計9万円を支払った。

(4)  原告と被告は,本件賃貸借契約において,自動更新条項(本件約款第21条)を設け,更新時に特段の合意をしない場合においても,本件賃貸借契約を,自動的に,家賃・共益費等の金額に関する点を除き,従前と同様の条件で更新し,その際,原告が被告に対し更新料10万円を支払う旨合意しているから,本件賃貸借契約においては,法定更新が行われる余地はなく,当事者間の合意による更新又は本件約款第21条による自動更新のみが予定されており,いずれの場合においても本件更新料約定に基づく更新料の支払いが合意されているということになる。したがって,本件賃貸借契約の前記6回の更新のうち,平成13年から平成17年までの5回は,当事者間の合意による更新であり,平成18年の最後の更新は,法定更新ではなく,本件約款第21条による自動更新である(本件賃貸借契約は,平成18年の更新後も契約期間を定めていることになる。)。

2  更新料の法的性質
(1)  被告は,本件賃貸借契約における更新料は,①賃貸人の更新拒絶権放棄の対価(紛争解決金),②賃借権強化の対価,③賃料の補充という複合的性質を有していると主張する。

(2)  更新拒絶権放棄の対価(紛争解決金)の性質(①)について
ア 賃貸人は,正当事由があると認められる場合であれば,賃貸借契約の更新をしない旨の通知をすることができるところ(借地借家法28条),賃貸人と賃借人との間で更新料が授受され,賃貸借契約の合意更新(ないし自動更新)が行われる場合においては,賃貸人は,正当事由が存在しないことが明らかではないときにおいても,賃貸借契約の更新をしない旨の通知をしないで,契約を合意更新(ないし自動更新)するのであるから,一般的に,更新料は,更新拒絶権放棄の対価の性質を有するものと認めることができる。

イ もっとも,当然のことながら,常に正当事由があると認められるものではなく,特に,本件賃貸借契約のように専ら他人に賃貸する目的で建築された居住用物件の賃貸借契約においては,更新拒絶の正当事由が認められる場合は多くはないと考えられるから,更新拒絶権放棄の対価としての性質は希薄であるというべきである。

ウ 原告は,合意更新(ないし自動更新)がされる場合は,既に賃貸人による更新拒絶権行使の期間(契約期間の満了の6月前まで〔借地借家法26条1項〕)が徒過しており,更新拒絶権が発生しないことが確定しているのが通常であるから,更新拒絶権放棄や更新拒絶権行使に伴う紛争解決金ということで更新料の性質を説明することはできないと主張する。しかしながら,更新料を支払うことをあらかじめ合意している場合には,賃貸人は,更新料の支払いが受けられることを期待して,更新拒絶権を行使しないものと考えられるから,更新料は,更新拒絶権放棄の対価となっているものと評価することができ,原告の主張を採用することはできない。

(3)  賃借権強化の対価の性質(②)について
ア 賃貸人と賃借人との間で更新料が授受され,賃貸借契約の合意更新(ないし自動更新)が行われ,更新後も期間の定めのある賃貸借契約となる場合には,賃借人は,契約期間の満了までは明渡しを求められることがない。これに対し,法定更新の場合には,更新後の賃貸借契約は,期間の定めのないものとなり(借地借家法26条1項),賃貸人はいつでも解約を申し入れることができることとなるから,賃借人の立場は,程度の差はあるにせよ,そのことによって不安定なものとなる。したがって,更新料を支払って合意更新することには(更新後も期間の定めのある賃貸借契約とすることができるから),賃借人にとっても,利益は存することになる。
 加えて,賃貸人が更新拒絶権を行使した場合には,正当事由の存否の判断にあたり,従前更新料の授受がされていることが考慮されるもの考えられる。
 したがって,本件賃貸借契約における更新料は,賃借権強化の性質を有するものと認めることができる。

イ もっとも,前判示のとおり,本件賃貸借契約においては,契約期間が1年間という比較的短期間であるから,合意更新(ないし自動更新)により賃借権が強化される程度は限られたものである上,前判示の更新拒絶の場合と同様に,本件賃貸借契約のように専ら他人に賃貸する目的で建築された居住用物件の賃貸借由が認められる場合は多くはないものと考えられるから,賃借権強化の対価としての性質は希薄であるというべきである。

ウ 原告は,本件賃貸借契約では合意更新(ないし自動更新)が行われ,更新後も期間の定めのある賃貸借契約となっても,本件約款第15条③により,賃貸人である被告は,賃借人である原告に対し,解約を申し入れることができるとされており,何ら賃借権は強化されていないと主張する。しかしながら,借地借家法は,建物の賃貸借について期間の定めがある場合においては,賃貸人が期間内に解約する権利を民法618条に基づいて留保することを予定していないものと解するのが相当であり(借地借家法27条は,建物の賃貸借について期間の定めがない場合において,賃貸人が解約の申入れをしたときには,解約申入れの日から6か月を経過することによって終了する旨を規定している。),本件約款第15条③は,借地借家法30条により無効であるから,同条項が有効であることを前提とする原告の主張を採用することはできない。

(4) 賃料の補充の性質(③)について
ア 前判示のとおり,本件賃貸借契約における更新料は,更新拒絶権放棄の対価及び賃借権強化の対価としての性質を有するものの,その程度は希薄である。それにもかかわらず,原告は,本件物件を賃借するにあたり,被告との間で,礼金6万円,家賃(共益費,水道代を含む。)1か月4万5000円を前月末日支払い,契約期間1年間,自動更新条項(本件約款第21条)のほか,合意更新又は自動更新の際更新料として10万円を支払う旨の約定のある本件賃貸借契約を締結している。
 このような賃貸借契約を締結する当事者の意思を合理的に解釈すると,賃貸人は,契約締結後1年目は礼金6万円に月額家賃4万5000円の12か月分を加算した合計60万円の売り上げを予定し,2年目以降は更新料10万円に月額家賃4万5000円の12か月分を加算した合計64万円の売り上げか,または,賃借人が転居した場合には新たな賃借人から,上記1年目と同様の売り上げを期待しているものと考えられ,他方,賃借人は,仲介業者から複数の物件の紹介を受けるのが一般の取扱いであると考えられることからすると,物件の所在,設備,広さ等とともに,更新料を含む経済的な出捐(礼金,敷金,賃料及び更新料)を比較検討した上で,賃借する物件を選択しているとみることができる。そして,原告又は被告が,本件賃貸借契約を締結するにあたり,これと異なる意思を有していたことを認めるに足りる証拠はない。

イ このように更新料は,被告が本件物件を原告に賃貸し,原告が本件物件を使用収益することに伴い,原告が被告に対して行うことを約束した経済的な出損であり,しかも,前判示のとおり,本件賃貸借契約の契約期間が1年間と比較的短期間であり,かつ,更新しない場合には授受が予定されていない(契約後1年間で終了し更新しない場合には,全く授受されない。)ことからすると,本件更新料約定は,本件賃貸借契約における賃料の支払方法に関する条項であり,具体的には,契約期間1年間の賃料の一部を更新時に支払うこと(いわば賃料の前払い)を取り決めたものであるというべきである。したがって,本件賃貸借契約において更新料は,用語が適切かは疑義が残るが,賃料の補充の性質を有しているものということができよう。

(5)  以上のとおり,本件賃貸借契約における更新料は,主として賃料の補充(賃料の前払い)としての性質を有しており,併せて,その程度は希薄ではあるものの,なお,更新拒絶権放棄の対価及び賃借権強化の対価としての性質を有しているものと認められる。

3  民法90条及び消費者契約法10条
(1)  前判示の本件賃貸借契約における更新料の性質をふまえ,本件更新料約定が,民法90条により無効となるか検討するに,前判示のとおり,本件賃貸借契約における更新料が主として賃料の補充(賃料の前払い)としての性質を有しているところ,その金額は10万円であり,契約期間(1年間)や月払いの賃料の金額(4万5000円)に照らし,直ちに相当性を欠くとまでいうことはできない。
 よって,本件更新料約定が民法90条により無効であるとする原告の主張を採用することはできない。

(2)  本件更新料約定が,消費者契約法10条により無効となるか検討する。
ア 前判示のとおり,本件賃貸借契約における更新料は,主として賃料の補充(賃料の前払い)としての性質を有しており,本件更新料約定が,本件賃貸借契約における賃料の支払方法に関する条項(契約期間1年間の賃料の一部を更新時に支払うことを取り決めたもの)であることからすると,「賃料は,建物については毎月末に支払わなければならない」と定める民法614条本文と比べ,賃借人の義務を加重しているものと考えられるから,消費者契約法10条前段の定める要件(本件更新料約定が「民法,商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し,消費者の義務を加重する消費者契約の条項」であること)を満たすものというべきである。

イ そこで,同条後段の要件(本件更新料約定が「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」であること)について検討するに,前判示のとおり,①本件賃貸借契約における更新料の金額は10万円であり,契約期間(1年間)や月払いの賃料の金額(4万5000円)に照らし,過大なものではないこと(しかも,本件賃貸借契約においては,賃借人である原告は,契約期間の定めがあるにもかかわらず,いつでも解約を申し入れることができ,その場合には,更新料の返還は予定されていないが,原告が解約を申し入れた場合には,解約を申し入れた日から,民法618条において準用する同法617条1項2号が規定する3か月を経過することによって終了するのではなく,解約を申し入れた日から1か月が経過した日の属する月の末日をもって終了するか,又は,被告に1か月分の賃料を支払うことにより即時解約することもできることとされているから〔本件約款第15条〕,月払いの賃料の金額〔4万5000円〕の2か月分余りである本件賃貸借契約における更新料の金額は,過大なものとはいえないこと),②本件更新料約定の内容(更新料の金額,支払条件等)は,明確である上,原告が,本件賃貸借契約を締結するにあたり,仲介業者である京都ライフから,本件更新料約定の存在及び更新料の金額について説明を受けていることからすると,本件更新料約定が原告に不測の損害あるいは不利益をもたらすものではないことのほか,③本件賃貸借契約における更新料が,その程度は希薄ではあるものの,なお,更新拒絶権放棄の対価及び賃借権強化の対価としての性質を有しているものと認められることを併せ考慮すると,本件更新料約定が,「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」とはいえないものというべきである。

ウ 以上によれば,本件更新料約定が消費者契約法10条により無効であるということはできない。

エ なお,原告の主張するとおり,更新料は,賃借人が物件を選定する際に主として月払いの賃料の金額に着目する点に乗じ,「更新料」という直ちに賃料を意味するものではない言葉を用いることにより,賃借人の経済的な出損があたかも少ないかのような印象を与えて契約締結を誘因する目的で利用されている面があることを直ちに否定することはできないけれども,更新料に関する報道が広く行われることなどを通じ,消費者が更新料の性質についての認識を深めていくことが考えられるし,不動産賃貸借の市場がその機能を十全に発揮すれば,賃貸業者の間で,更新料に関する競争が行われることが考えられるのであるから,原告の上記のような懸念が事実であるとしても,そのことから,直ちに,更新料に関する約定がおよそ民法90条又は消費者契約法10条により無効であるということはできない。加えて,賃貸借契約を締結する際,賃貸人に対して更新料に関する約定に関する説明が十分に行われなかった場合や,更新料に関する約定の内容(更新料の金額,支払条件等)が不明確であるため賃借人が賃貸借契約に伴い要する経済的な出損の全体像を正しく認識できない場合には,更新料に関する約定が当該賃貸借契約の内容とはなっていないとされたり,上記約定が消費者契約法10条により無効とされることが考えられないではないが,本件賃貸借契約の締結に至る前判示のとおりの経緯,本件更新料約定の内容には,そのような事情は認められない。

 以上のとおり,本件更新料約定が民法90条又は消費者契約法10条により無効であるとする原告の主張を採用することはできないから,本件更新料約定が無効であることを前提とする原告の不当利得返還請求には理由がない。

5  敷金返還請求について
(1) 前判示のとおり,原告と被告は,本件賃貸借契約において,自動更新条項(本件約款第21条)を設け,更新時に特段の合意をしない場合においても,本件賃貸借契約を,自動的に,家賃・共益費等の金額に関する点を除き,従前と同様の条件で更新し,その際,原告が被告に対し更新料10万円を支払う旨合意しているから,本件賃貸借契約においては,法定更新が行われる余地はなく,当事者間の合意による更新又は本件約款第21条による自動更新のみが予定されており,いずれの場合においても本件更新料約定に基づく更新料の支払いが合意されているということになる。

(2)  したがって,原告は,本件約款第21条及び本件更新料約定に基づき,被告に対し,10万円の更新料支払義務を負うこととなる。そして,前判示のとおり,本件敷金の額は10万円であり,本件敷金契約は,本件約款第5条④において,「被告は,本件賃貸借契約終了後,原告が,本物件の明渡を完了した日より1か月後に,本件敷金から,原告が,本件賃貸借契約上,被告に対して負担する債務を控除した残金を原告に返還する」旨定めており,本件敷金は,上記更新料10万円の支払義務に充当されるから,本件敷金の返還を求める原告の請求には理由がないこととなる。

第4  結論
 以上の次第で,原告の請求にはいずれも理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。 

    京都地方裁判所第4民事部

             裁判長裁判官     池田光宏

             裁判官          井田宏

             裁判官          中嶋謙英



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2008年2月14日 (木)

地主は20年前と同じ1000万円の更新料を請求してきたが

 豊島区北大塚で借地している斉藤さんは、20年前の更新時に地主の代理人である弁護士から1000万円の更新料を請求された。斉藤さん、慌てて弁護士を代理人にして交渉したが、よくわからないままに結局500数10万円を支払った。

 今年、更新の時期を迎え、また地主の代理人は「更新手続きと前回と同じ更新料の支払い。公租公課、諸物価の値上がりを理由とした地代のおおよそ2倍とする値上げ」を通知してきた。びっくりして、以前、知人から「借地問題で困ったことがあったら相談するよう」話を聞いていた借地借家人組合にやってきた。

 組合では「契約書に更新料支払いの約束がないこと。20前のバブルの頃と同じ更新料を請求していること」などを指摘し、「更新料では、最高裁判例では支払い義務がないこと。また、更新料の算出根拠を示すこと。地代の値上げの根拠となる公租公課の開示を求める」通知書をだした。

 弁護士からの回答が1ヶ月過ぎてきたが、更新料については法的根拠については示すことなく前回更新料を支払ったことが今回の合意であると強弁して来た。また、更新料の算出根拠や地代の値上げの根拠とした公租公課については回答すら出来なかった。斉藤さんは「ここまできたら、あくまで支払わないでがんばる」と語った。

東京借地借家人新聞より


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2008年2月 2日 (土)

2008年1月30日、更新料返還訴訟 判決文要旨(京都地裁)

 判例紹介

 更新料訴訟



平成19年(ワ)第1793号更新料返還等請求事件

判決要旨

京都地方裁判所第4民事部

第1 結論・・・請求棄却

第2 事案の概要
  被告との間で賃貸借契約を締結し、被告の所有する物件に居住していた原告が、更新料支払の約定が消費者契約法10条又は民法90条に反し無効であると主張して、既払いの更新料の返還等を求めた事案

第3 判決理由の要旨
 1 更新料の法的性質について

 (1)更新拒絶権放棄の対価(紛争解決金)・賃借権強化の対価の性質について

 ア 更新料が授受され合意更新が行われる場合、賃貸人は、更新拒絶の通知をしないで、契約を更新するのであるから、更新料は、更新拒絶権放棄の対価の性質を有する。
 また、法定更新の場合(更新後は、期間の定めのない賃貸借となり、賃貸人からいつでも解約申入れが可能となる。)とは異なり、合意更新により更新後も期間の定めのある賃貸借となる場合には、賃借人は、期間満了まで明渡しを求められることがない上、賃貸人が将来、更新を拒絶した場合の正当事由の存否の判断にあたり、従前の更新料の授受が考慮されるものと考えられるから、更新料は、賃借権強化の性質を有する。

 イ もっとも、常に更新拒絶や解約申入れの正当事由があると認められるものではなく、特に、本件のように専ら賃貸目的で建築された居住用物件の賃貸借契約においては、正当事由が認められる場合は多くはないと考えられるし、本件賃貸借契約の期間は1年間と比較的短期間であり賃借権が強化される程度は限られたものであるから、本件更新料の有する、更新拒絶権放棄の対価・賃借権強化の対価としての性質は希薄である。

 (2) 賃料の補充の性質について

 ア 上記のとおり、本件更新料の有する、更新拒絶権放棄の対価及び賃借権強化の対価としての性質は希薄であるにもかかわらず、原告と被告は、更新料支払の約定のある本件賃貸借契約を締結している。
  このような契約当事者の意思を合理的に解釈すると、賃貸人は、1年目は、礼金と家賃を加算した金額の売り上げを、2年目以降は、更新料と家賃を加算した金額の売り上げを期待しているものと考えられ、他方、賃借人は、更新料を含む経済的な出指を比較検討した上で、物件を選択しているとみることができる。そして、原告又は被告が、これと異なる意思を有していたことを認めるに足りる証拠はない。

 イ このように、本件更新料は、本件物件の賃貸借に伴い約束された経済的な出損であり、本件約定は、1年間の賃料の一部を更新時に支払うこと(いわば賃料の前払い)を取り決めたものであるというべきである。

 2 本件約定が民法90条により無効といえるか

 本件更新料は、その金額、契約期間や月払いの賃料の金額に照らし、直ちに相当性を欠くとまではいえないから、本件約定が民法90条により無効であるということはできない。

 3 本件約定が,消費者契約法10条により無効といえるか。

(1) 消費者契約法10条前段の要件(「民法、商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の義務を加重する消費者契約の条項」)を満たすか。

  本件更新料が、主として賃料の補充(賃料の前払い)としての性質を有していることからすると、本件約定は、「賃料は、建物については毎月末に支払わなければならない」と定める民法614条本文と比べ、賃借人の義務を加重しているものと考えられるから、本件約定は、上記要件を満たす。

(2) 消費者契約法10条後段の要件(「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」)を満たすか。

  ① 本件更新料の金額は、契約期間や賃料の月額に照らし、過大なものではないこと
  ② 本件更新料約定の内容は明確である上、その存在及び更新料の金額について原告は説明を受けていることからすると、本件約定が原告に不測の損害、不利益をもたらすものではないこと等を併せ考慮すると、本件約定が上記要件を満たすものとはいえない。

(3) 結論
  以上より、本件約定が消費者契約法10条により無効であるということはできない。

                            


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2008年1月30日 (水)

「不当判決だ!」更新料“お墨付き”に原告ら嘆く

<マンション更新料>過大でない…返還請求を棄却 京都地裁

1月30日  毎日新聞

 賃貸マンションの更新料は消費者契約法に違反し無効だとして、京都市の男性会社員(53)が貸主に、更新料5回分計50万円の返還を求めた訴訟の判決が30日、京都地裁であった。池田光宏裁判長は「更新料はいわば賃料の前払いで(本件では)契約期間や家賃に照らし過大でなく、消費者の利益を一方的に害するものとはいえない」と述べ、請求を棄却した。男性側は大阪高裁に控訴した。

 判決によると、男性は00年8月、月額家賃4万5000円、更新料毎年10万円で左京区のマンションを借りる契約を貸主と締結。06年11月に退去するまで6回更新したうち、最後を除く5回、更新料を支払った。

 判決は「借り手は更新料を含めて物件を選択しており、契約前に更新料の金額について説明を受けている」と指摘。「契約が不測の損害、不利益をもたらすものではない」として、消費者の利益を一方的に害する条項を無効と定めた同法に反しないと結論付けた。

 男性は「更新料は賃料増額手続きの代わりに脱法的に始められたもので、借り手側が情報力、交渉力に劣るため維持されてきた」などと主張していた。

 更新料は全国で100万戸以上に設定されているとみられ、影響の大きさから、男性側が「京都敷金・保証金弁護団」、貸手側が「貸主更新料弁護団」を組織して正面から争っていた。【太田裕之】

 ▽男性側の弁護団事務局長、長野浩三弁護士の話 更新料は賃貸者契約を分かりにくくしており、合理的な理由もない。控訴審で争う。

 ▽貸手側の田中伸・弁護団代表の話 合意したものを返還せよというのはおかしな話で、(今後予想される)礼金や共益費の返還訴訟でも、約束の履行を主張し勝訴を求めていきたい。

 ▽消費者契約法に詳しい坂東俊矢・京都産業大法科大学院教授の話 現状追認型の判決。更新料が賃料の一部であるなら、本来は家賃に分散して上乗せすべきだ。物件と家賃だけで消費者が家を選択できる方向に向かうのが妥当だ。

 ◇更新料

 マンションなど賃貸住宅で1~2年の契約期間を更新する度に借り手が貸主に支払う。家賃1カ月分前後の場合が多く、敷金と異なり返還されない。導入の経緯は不明だが、約40年前からある。東京、神奈川、千葉、埼玉など首都圏や北海道、愛知、京都、福岡、沖縄などを中心に、全国で100万戸以上に設定されているとみられる。

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「不当判決だ!」更新料“お墨付き”に原告ら嘆く
1月30日 産経新聞

 「原告の請求をいずれも棄却する」。借り主と家主の間で、なかば慣習化している賃貸マンションの更新料に、京都地裁は30日、「お墨付き」を与えた。原告と被告双方に弁護団が結成され、真っ向から争った更新料返還訴訟。借り主側は、弱い立場に置かれる消費者を保護する消費者契約法を武器に更新料の不当性を訴えてきたが、「悪しき慣習」の壁にくさびを打つことはできず、落胆が広がった。

 判決言い渡し後、京都市中京区の弁護士会館3階で開かれた原告側の「京都敷金・保証金弁護団」の報告会。代表の野々山宏弁護士は開口一番、「不当判決です」と強い調子で判決を批判、「本来、家主への対価は賃料だけのはず。金銭の収受は合理的な根拠のある賃料のみにして、それ以外は無効とすべきだ」と主張した。

 原告側を支援してきたNPO法人「京都消費者契約ネットワーク」の松本久美子理事も「京都は学生の町。毎年、全国から集まる学生の父母たちから嘆きの声が寄せられるが、払わないと住むことができない。京都のイメージを悪くしているし、更新料を取らない良心的な家主がかわいそうだ」と無念さをにじませた。

 弁護団は「不当条項の宝庫と呼ばれる賃貸借契約を野放しにするのと同義である」とする声明を発表し、即日控訴する。長野浩三弁護士は「更新料は賃料の一部というが中途解約しても返ってこない。敗訴は敗訴だが合理性のない判決なので控訴審では覆せる」と今後の展開に自信をみせた。

 一方、被告側の「貸主更新料弁護団」は同じ弁護士会館の地下フロアで報告会を開いた。田中伸弁護士は「非常に公正な判決。納得したうえで支払いを約束した更新料を支払っておきながら、後で返還せよとは一般的におかしく、きわめて常識的な判決だ」と話した。

 また、被告側を支援してきた日本賃貸住宅管理協会京都支部の吉田光一支部長も「願いが認められてうれしい。更新料は家賃とともに賃貸事業計画に盛り込むものであり、更新料の分、家賃を安くする京都人の知恵である。良識ある結果でよかった」と語った。

 2004年5月18日、京都で借主勝訴判決。 法定更新の場合は更新料の支払不要

 *更新料支払特約 に関してはこちら、或はこちらも

 *更新料の支払義務がないという最高裁判決こちら



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2008年1月27日 (日)

賃貸住宅の契約更新料訴訟、30日に判決…京都地裁

   賃貸住宅の契約更新料訴訟、30日に判決…京都地裁

 賃貸住宅の契約更新の際、入居者に「更新料」の支払いを求める契約は、家主側が一方的に押しつけたものであり、消費者契約法に違反するとして、京都市の男性(53)が、支払った50万円の返還を家主に求めた訴訟の判決が30日、京都地裁(池田光宏裁判長)で言い渡される。更新料は、京都や首都圏など一部地域の特有な慣習で、必要な賃貸住宅は100万件以上とされる。同法違反と認められれば初判断となり、業界への影響が大きく、判決が注目される。

 男性は昨年4月に提訴した。訴えによると、2000年8月、1年ごとに更新料10万円を支払うなどの契約を結び、賃貸マンションに入居。05年8月まで計50万円を支払った。

 消費者契約法10条は、消費者の利益を一方的に侵害する契約条項は無効としており、更新料の正当性が最大の争点だ。裁判では、原告、被告双方が弁護団を結成し、全面的に争った。

 原告側弁護団は消費者問題に詳しい約15人が参加し、更新料について「家主が地位や情報力、交渉力を背景に押しつけ、消費者の利益を侵害している」と主張。これに対し、家主側も約10人の弁護団が「合意した契約は守るべき。契約期間中の賃借権を保障する対価」などと反論した。

 更新料を巡る同様の訴訟は、東京地裁(05年10月)、明石簡裁(06年8月)の両判決などがあるが、いずれも、家主側の主張に沿って正当性を認定した。しかし、原告側弁護団の長野浩三弁護士は「今回のように議論を重ねた末の判断ではなく、先例的な価値はない」としている。

 京都地裁が違法と認定した場合、01年4月の同法施行後の更新料が、家主側の不当利得となる可能性もある。全国1100社加盟の「日本賃貸住宅管理協会」(東京)の吉田光一・京都府支部長は「家主にとっては更新料も事業収入で、判決次第で経営に大きな痛手になる。どんな判決が出ても、今後も家主側を全面的に支援する」と話している。

(2008年1月27日  読売新聞)



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2008年1月23日 (水)

地代は更新が終わってないと受領拒否したので即供託

 大田区西蒲田1丁目所在の宅地約32・21坪を借地している赤木さんは、約3年前借地の譲渡に関する承諾を求めたが、地主は回答を引き延ばすばかりなので組合に相談し入会された。

 組合役員が交渉を行うことになって、地主はこれまでの理不尽な対応は改めたのです。しかし、組合役員が借地権購入者を提示して承諾を求めたにも関わらず、地主は自分が買い取るというものの、赤木さんの希望を無視した低額な価格を提示して時間稼ぎするという態度に終始したのです。

 土地の契約更新を迎えて不動産業者を代理人にして更新料を請求する地主に対して、赤木さんは譲渡を取りやめて息子さんが祖父の借地権を相続するとともに住むことを通告した。

 交渉継続中に組合役員が死去するとの不幸な状況が生じたのですが、担当交代して交渉に臨むことになりました。新たな担当者は赤木さんから預かった地代を地主に直接会って、提供したのですが「更新手続き」が終わっていないと受領拒否。

 そこで更新料の金額を尋ねると代理人の請求額より100万円も多い金額を提示するので、代理人の業者に確認して間違いが明らかになっても、詫びもしない地主には呆れるばかりです。

 この交渉内容を聞いた赤木さん親子の決断は早く明確でした。借地法第4条・6条を理解し、更新料の支払いの習慣はないとの最高裁判決に確信をもって、更新料支払いを拒否することを決意した。

 地主代理人との交渉は決裂し地代供託となった。

東京借地借家人新聞より


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2007年12月17日 (月)

借地の更新料を今回も不払で押通した

 東池袋で40坪を借地している田原さんは、今年の元旦を、とりわけさわやかな気持ちで迎えることが出来た。

 田原さんが組合に加入したのは、今から21年も前のことだ。その頃は毎年のように地代が値上げされていた。固定資産税や都市計画税の引き上げがその理由だった。

 田原さんとしても、将来の地代を考えると不安だったし、近所には供託している人もあるようだったが、すぐ近所に住む地主との関係を考えると、供託に踏み切る気にはなれず、地主に言われるままに値上げをしていた。

 そんな田原さんに、坪当り8万円、総額320万円の更新料の請求があったのだ。とても支払える金額ではなかった。地主宅を訪れ、何とか支払える100万円程度にしてくれるようお願いしたが、受け入れては貰えなかった。
 玄関に置かれた小さな椅子に掛けさせられ、一段高い位置に座った地主と話した時の屈辱感は、田原さんにとって今でも忘れられない。

 そのときが組合との出会いだった。地主の一方的な更新料請求には支払い義務はない、不払を貫きましょうと励まされた。
 田原さんは思い切って不払に踏み切り、その後20年間地代の供託を続けてきた。

 昨年8月、2度目の借地の更新時期を迎え、更新料を再度請求されたが、田原さんは今回も自信をもって断った。さすがの地主も遂に更新料を断念。

 昨年12月20日、新契約書を取交し合意更新が成立したのだ。

東京借地借家人新聞より

 地主の一方的な更新料請求に対し、借地人には更新料支払義務が無いという最高裁判決がある。



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2007年11月21日 (水)

更新料も地代値上げも拒否することにした

 山田さんは、西池袋で30坪を借地している。公道から細い2項道路を入った位置にある宅地である。
 山田さんが組合に加入したのは今から18年前の地代の値上げがきっかけだった。18年前というと平成元年で、バブル景気絶頂の頃であった。

 当時は毎年のように地主から地代値上げを言われていた。借地を相続したばかりの山田さんとしては、そのまま値上げに応じていたので、既に坪当り1000円を超えていた。
 その頃、近所の公道に面した宅地の地代が700円程度。そのことを偶然知った山田さんに対し、更に坪当り140円の値上げがきた。

 その時、山田さんは相当額の支払いで、不当な値上げは防げることを初めて知った。この時が組合との出会い、その後今回までは、値上げの請求は一切なかった。

 今年の3月末日で契約期間が満了。3月早々、地主から通知が届いた。更新料として360万円余を支払え、4月分以降の地代は坪当り180円値上げする内容だった。多少の話し合いには応じるつもりだから、来宅する日を知らせるようとの言葉も添えられてあったが、山田さんはそんな言葉には惑わされず、久しぶりに組合を訪ねた。

 結局、「更新料」も「値上げ」も拒否し頑張ることにした。納得できないまま、値上げに応じた頃の嫌な思いは、もう終わりだ。

東京借地借家人新聞より


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2007年11月17日 (土)

借地の更新料を支払わず、法定更新を選択

 大田区中央4丁目所在の宅地36・94坪を賃借している渡辺さんは、平成16年2月、契約更新時を6カ月後に控えて同業者(クリーニング業)の紹介で組合に入会した。地主から請求される更新料の悩みを打ち明けていたら、組合を紹介してもらった。

 組合の役員から法律的にも裁判の判例でも、支払い義務はないことの説明を受けて、不払いの決意をして更新の8月に地代を持参したが、更新料の請求はなく、地代は通常通り受領した。

 2年経過した昨年秋、地主が更新について代理人から連絡させると伝えてきた。早速連絡があり、渡辺さんは組合員であることを伝え、交渉は組合を通してと主張した。

 今年の1月になって代理人より組合事務所に電話での問い合わせがあり、担当者の留守を伝えたが、その後4月末になるが組合事務所にも渡辺さん宅にも連絡はない。また、地主からも連絡はない。

 渡辺さんは、「法定更新のままでも組合員であるので安心しています」と笑顔が頼もしい。

東京借地借家人新聞より


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2007年11月16日 (金)

更新料と地代増額の調停、1回で地主取下げる

 荒川区東日暮里2丁目で、60年前父親の代から36坪を借地している熊倉さんは、父親亡き後、借地権を相続し昨年11月22日に20年の期間満了を迎えた。

 更新の条件として、地主は月額4万100円の地代を12月から6900円値上げして4万7000円に、更新料は247万4850円を支払えと通告してきた。困った熊倉さんは、組合に入会し、地税を計算した。その結果、6900円の値上げには応じないが、4500円の値上げを認める。更新料は支払う法的根拠は全くないと内容証明郵便で回答した。

 地主から文書が届き、一部値上げを認めたことのお礼と更新料を1割値引きするから支払って欲しいとの内容だった。熊倉さんは、この請求も拒否したところ、地主は3ヵ月後に二人の弁護士名で代理人を立て、地代増額と更新料請求の調停を申立ててきた。

 熊倉さんは調停の場でもきっぱり請求を断った。調停官も地主の要求には必ずしも応じなくてもよいと助言があった。2回目の調停が4月11日となっていたが、4月6日に地主側が調停を取り下げ、出頭しなくてよいと通知があり、熊倉さんは一安心した。

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2007年11月 7日 (水)

更新料請求の法的根拠算出根拠の回答を求めた

 豊島区巣鴨に住む尾崎さんは、親の代から借地していた。昨年の12月に更新を迎えた。地主の代理人という不動産会社から更新料の請求と更新に際して更新料を支払うという約定の契約書の締結を求められた。その上、更新事務手数料まで請求された。

 組合と相談し、更新料についてはその法的根拠、その算出根拠を求めることにした。また、更新料支払いの特約については拒否することにした。同時に更新手数料なるものは、地主の代理人であるので当然拒否することにした。

 代理人の事務所で話合いをもった時に、事務手数料問題で追求すると「根拠はありません。もらえたらもらうつもりで請求した」などとあまりにも無責任な回答であった。同様に更新料請求の法的根拠算出根拠についても回答不能となった。

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2007年10月12日 (金)

借地権価格の10%の更新料突然請求される

 福生市志茂に住む借地人の西田さんは、11月に地主から借地契約が12月で満了するので更新料として借地権価格の10%、72坪で192万7000円の更新料を請求されました。

 西田さんは、昭和31(19956)年に当時約2万円の権利金を支払い、借地契約を口頭で結び契約書を作成せず、今日まで来ました。先代の地主さんからも更新料など請求されたこともなく、全く寝耳に水の話。おまけに契約書を作成するといって契約書の案文を渡されました。

 この暮れに来て、200万円弱の高額な更新料を請求されてほとほと困った西田さんは、組合に相談に来ました。契約期間を旧借地法で計算すると昭和31年から当初の存続期間30年で、その後地主は何も言わず20年間法定更新しているので、平成18(2006)年の12月に期間が満了します。

 西田さんは、組合から「更新料は相場も法的根拠のない金銭なので地主の請求額を認める必要はなく、契約書も借地人との合意で作成するので借地人にとって不利な条項を削除、訂正してよい。」とアドバイスを受け、「地主と交渉してみます」と元気を取り戻しました。

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2007年10月 2日 (火)

価格交渉が決裂すると更新料680万円を請求され、調停へ

 板橋区大谷口の梨木さんは近所に住む地主から、自宅用に34坪を借地している。商店街ではないが、数件の商店が混在する通りに面した場所である。

 昨年の11月末に、契約期間が満了するという僅か数日前のことだ。地主からわざわざ「折り入って御相談したいことが有り、是非とも御来宅をお願います」との趣旨の手紙が届いた。

 その日の夜、梨木さんは早速に地主宅を訪問した。型通りの挨拶が済むと、直ぐに地主は2つの提案を切り出してきた。このまま更新しても相当の更新料も頂くことになるから、この際、底地を買って貰いたい。それが無理なら、私の方で家を買取ると言うのである。余りに突然な話で、梨木さんも少々困惑したが、返事は後日にすると約し、その場を引き上げた。

 数日後、梨木さんが地主に売却価格・買取価格の提示を求めたところ、契約期間が到来しているから、借地権価格は4割、底地価格を6割にするとの高圧的な回答だった。

 その後2度、話し合いの機会を持ったが、地主の意向は最初と全く変わらず、売買の話は結局は物別れで終った。

 その1週間後、更新料680万円を請求する旨の手紙が届いた。しかし、梨木さんは更新請求には、全く動じなかった。予め、覚悟していたし、組合と事前の打ち合わせも済ませていたからだ。即日、更新料を拒否する旨の通知を地主に送り付けた。

 その後、地主は更新料支払請求の調停を申立てたが、調停は第1回期日で不調に終った。

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2007年9月25日 (火)

寺は懲りずに更新料で続けざまの調停攻撃

 豊島区高田町の藤本さんの借地は30坪。接道(注)の関係で残念ながら再建築は出来ない。地主は、Kという寺で、一帯に相当の土地を持つ大地主。借地人泣かせで有名な寺だ。6年前の更新のとき、藤本さんは、更新料900万円を請求された。藤本さんも、100万円や200万円位は言われるものと覚悟はしていたが、金額を聞いて驚いた。

 その時が藤本さんと組合との最初の出会い。安い高いの問題ではなく、不払で頑張ろうと組合に励まされ、藤本さんが更新料の支払を断ったら、直に地主から更新拒絶の通知がきた。寺は、更新料ではなく、900万円は参詣者用の宿泊施設を建てる建築協力金ということを理由に挙げたが、何はともあれ寺への費用支払を拒否したことで、寺から更新拒絶を言い渡された。でも藤本さんは、そんなことでは怯まなかった。

 その後、寺は対応を変え、更新料支払請求の調停を申し立てたが、藤本さんはきっぱりと更新料支払を拒否の態度を貫いた。結局、調停は不調で終った。

 それから3年目の今年の4月、寺は再び調停を起してきた。調停の内容は①土地を明渡せ、②出来なければ、更新料450万円を支払え、③それに加えて地代の値上げ、というものだった。

 しかし、再度の調停も寺の思惑通りには進まなかった。藤本さんが明渡し・更新料で話し合う意思はないとの態度を貫いたので、2回目からは地代だけの話しに切替えられたのだ。2度くらいの調停など、何のその予め決めた方針は必ず貫き通す。調停に臨んだ藤本さんの対応は、実に見事だった。

東京借地借家人新聞より

(注)建築基準法では建物の敷地は道路に2m以上接していなければならない(建築基準法43条1項)。この道路幅の制限を充たしていないため。


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2007年9月15日 (土)

不動産屋が更新料を強要

 荒川区荒川6丁目に住むOさんは、20年前に約17坪の借地権付きの家屋を買い、今年3月に1回目の借地の更新を迎える。

 近所の人達から借地の事に関して「更新料をいくら払った。地主に何か言うと後が恐いから」等々を聞かされていた。初めての借地更新でいくらの更新料を請求されるのか不安になっていたところ、不動産屋から「今後も地主と仲良くしたいなら坪10万円にまけるから合計170万円支払え」と言われた。

 組合に相談に行ったOさんは、更新料を支払わなくてもいいことが解って、その旨を不動産屋に伝えた。すると、不動産屋は「それなら30万円まける。駄目なら土地を買取れ。住み続けるなら今後一切家屋の修理は認めない。嫌なら出て行け」と言った。

 Oさんは徹底して闘う決意でいる。

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2007年9月14日 (金)

更新料を支払わなくても借金にならないが、銀行から借りて払えば借金になる

 足立区伊興町の山田真理子さんは、夫を無くした後、息子さんと2人で小さな町工場を細々と経営している。

 土地の更新になる昨年9月1坪13万円の更新料を請求された。山田さんも更新料についてはある程度は覚悟していたが、なんと1坪13万円とは、天と地がひっくり返るような思いだった。

 "どうしよう"そんな時、息子さんが組合のあることを知り飛び込んでいった。組合では、更新料は支払義務のないことを話すと、山田さんは本を買って40年ぶりに猛勉強をした。

 組合で勉強した一番の収穫は「更新料を支払わなくても借金にならないが、銀行から借りて払えば借金になる」という説明を聞いたことだ。この言葉で目がさめ、更新料坪13万円から1円も下げないと言う地主を相手に、現在地代を供託して頑張っている。

東京借地借家人新聞より


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2007年9月12日 (水)

地主宅を訪問し、更新料を堂々と断る

    夫婦は地主宅を訪問し、
         830万円の更新料の請求を堂々と断った

  豊島区千川町の杉本さんが借地したのは40年前。借地面積90坪、南側道路に面し広い庭のある立派な屋敷だ。豊島区内では市街化が比較的遅れた地域だが、地下鉄駅も近くに出来、敷地も広く緑の多いもの地域は、都内でも有数の住宅地である。

 今年の4月末で、2度目の更新である。3月末、近いうちに来宅するようにとの連絡が地主からあった。以前から考えてきたことだが、遂に来るべきものがきたとの思いだった。

 杉本さんの家では、2人の息子が今年大学を卒業したばかりのところで、大した蓄えはない。更新料の支払義務はないと聞いてはいたものの、前回は支払った経過もあり拒否するわけにはいかないのでは、との不安はどうしても拭えなかった。何とかしなくては、そんな思いで、2週間が過ぎた。

 杉本さんが思い切って組合を訪ねたのは4月15日、奥さんだけの訪問だった。相談員から法定更新制度、更新料の判例、不払の実態等について話を聞いたが、そんな訳にいかないのではとの先入観がわざわいし、充分な確信にはならないようだった。

 「大事な問題です。ご主人とご一緒に来て下さい」と言われ、翌日夫婦そろって再び組合を訪れた。この時のご主人の態度は実に見事だった。「組合に加入し不払を貫こう」とのご主人の一言が、奥さんの気持ちを決めた。

 数日後、夫婦は地主宅を訪問し、830万円の更新料の請求を堂々と断った。

東京借地借家人新聞より


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2007年8月18日 (土)

一旦支払った更新料を取り戻す

      改めて更新料の支払義務が
              無いことを地主に通知した

 練馬区に住む千葉さんは、この2月に地主から、契約更新に際して、更新料の支払いとして250万円請求された。

 すでに子供さんも嫁いで他の所に住んでおり、本人は年金生活を送っていた。その中からお金を工面し、100万円を持って地主宅を訪問したが、地主は「これでは駄目だから借地を娘名義にして残りの残金を娘に出してもらえ」と言われ困っていた。知り合いの人に相談したところ組合を紹介してもらい組合事務所に来た。

 組合で、よくよく話を聞くと100万円を支払ってもまだ領収書ももらっていないという事なので、このお金を返してもらうことから考え、次に更新料については支払う必要のないことを通告する事にした。

 嫁ぎ先の娘さんに電話で連絡を取り、娘さんから地主に電話してもらい「いろいろ検討するので、一旦100万円を返してください」と言ったところ、100万円は返してもらえる事になった。

 喜びの千葉さん「今度は、更新料の支払義務のないことを地主に通告し、地代の値上げも今まで言われたとおりにしてきたけれど、今後は頑張ってやっていきたい」と話している。

東京借地借家人新聞より

 

貸主の更新料支払要求に対して借主は、その支払を拒否出来るのか。法律上更新料の支払義務はあるのか。更新料支払に関する最高裁判決は、こちらを参照して下さい。 (N)   


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2007年8月13日 (月)

更新料と地代の値上げを拒否する

   荒川区西日暮里4丁目で49坪の借地をしている深津重雄さんは、10月末日で20年目の更新を迎えたが、地主は8月頃から前回の更新料は350万円支払ってもらったから、今回は20年経過しているので倍の700万円を支払えと要求して来た。

  深津さんは長引く不況で支払えないと断った。地主は「それなら650万円にするが、それ以上はダメだ。支払は分割でも構わない。更新料の支払は慣習であり、当然借地人は支払うのが当たり前」と強気一点張りである。

  何度か地主と話合い行い、300万円まで値下げした。地主はこんなに誠意を持って値下げしたのだから更新料は間違いなく支払え。嫌なら明渡すか地代を大幅に上げると通告して来たので借地借家人組合入会した。
  早速、内容証明郵便で「更新料の支払は拒否する。地代も税額の4倍も支払っているので一方的な値上げは認められない」という趣旨の通告した。

東京借地借家人新聞より


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2007年7月28日 (土)

更新料不払い

 借地人8人が一致団結し更新料の不払いで大きな成果

 八王子市本町の大村富三さん他7世帯の借地人一同は、地主の更新料請求の調停申立てに対し、八王子簡易裁判所に調停不調の上申書を昨年9月に提出した。

 上申書には、更新料請求を拒否した経過と、地主の代理人から契約解除の通告を受け、地主には正当事由がないため昨年5月1日をもって法定更新していることを主張した。また、更新料については最高裁昭和51年10月1日判決、同53年1月24日判決で、借地人には更新料支払い義務のないことは確定していることを主張した。

 地主の代理人から「前回更新時の契約書で次回の更新の際に更新料を支払う。金額は契約更新の時期に至った時当事者双方で協議して定める旨の約定がある」との全く嘘の主張に対しては、契約書の中にもそのような合意は一切ないことを明確に反論した。

 八王子簡易裁判所からは、昨年11月19日付で地主側が8名の借地人全員の調停申立てを全て取り下げたとの事由で「調停終了通知」が各借地人に送られてきた。その後現在まで、地主の側からは何らの動きもなく、地主の不動産業者や弁護士まで使った執ような更新料請求はひとまず陰をひそめた。

 最初は地主の代理人から、契約解除の内容証明郵便を送りつけられたり、「更新料を支払わないと孫子の代で借地権はなくなる」と脅かされたり、裁判所に調停を申し立てられたりと、この1年、借地人一同「ハラハラドキドキ」だったが、組合の指示に従ってしっかりと結束したことが、今回の結果に結びついた。

東京借地借家人新聞より


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2007年7月26日 (木)

更新料請求を撤回

  八王子市本郷町で70坪を借地している中西さんは、今年の6月末で契約期間が満了する。地主の代理人の弁護士から、①更新する意思があるか。②更新する場合は地代を月額坪当り500円から750円に値上げする。更新料については協議して欲しい。③契約書を作成して欲しい。以上3点について回答を求められた。

 中西さんは、組合から内容証明郵便で①更新については旧借地法第4条に基づき前契約と同一条件で更新を請求する。②更新料は法律上支払義務のない金銭であり支払えない。地価下落の中50%の値上げには応じられない。③前契約と同一の条件で地代を据え置くなら契約書の作成には応じる用意はあると回答した。

 地主はその後、無断で増改築したとの因縁をつけてきたが、壁や屋根を塗装し、窓をサッシにしただけで増改築には当たらないと反論。その後、脅しが通用しないとわかったのか地主の態度が変わり、協議の結果他の借地人も含め坪20円の値上げで決着した。

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2007年7月12日 (木)

更新料を請求される

      地主からの更新料請求は断わり、
                 法定更新を主張した

 昭島市拝島町で113坪を借地している森谷さんは、地主から今年の4月末で借地契約が満了するので、更新料として205万9000円を試算したので協議に応じるよう通告された。

 森谷さんは、戦後間もなく義理の兄が工場として借地していた土地を地主の了解を受け、昭和30年に名義変更して借地権を引き継いだ。

 その後、地主から20年経過した昭和51年に契約書を作成するとの話があり、森谷さんは法律のことは何も分からず、言われるままに契約期間10年の更新契約書を作成した。

当初、旧借地法第5条に基づきさらに20年間法定更新されると、平成28年が更新時期で今年は更新時期ではないと主張したが、地主は借地法2条1項に基づき、期間10年は無効となり、当初の存続期間30年で、そこから契約時期が始まっていると主張してきた。

 その後、森谷さんに事情を聞いたところ、戦後兄が契約した当時は、契約書もなく借地の目的が建物所有を目的としていたかどうかも不明で、昭和51年に森谷さんの自宅を建てるために初めて契約書を作成した経緯があった。

 そこで、今年の4月末日で契約期間が満了したという地主の主張は認めるが、契約期間満了後も借地の継続について地主は異議を述べていないことから、森谷さんは法定更新を主張することにした。また、更新料については支払い義務がないことから、はっきりと拒否することにした。

東京借地借家人新聞より

借地法
第2条
 借地権ノ存続期間ハ石造、土造、煉瓦造又ハ之ニ類スル堅固ノ建物ノ所有ヲ目的トスルモノニ付テハ60年、其ノ他ノ建物ノ所有ヲ目的トスルモノニ付テハ30年トス
但シ建物カ此ノ期間満了前朽廃シタルトキハ借地権ハ之ニ因リテ消滅ス
 契約ヲ以テ堅固ノ建物ニ付30年以上、其ノ他ノ建物ニ付20年以上ノ存続期間ヲ定メタルトキハ借地権ハ前項ノ規定ニ拘ラス其ノ期間ノ満了ニ因リテ消滅ス
第3条 契約ヲ以テ借地権ヲ設定スル場合ニ於テ建物ノ種類及構造ヲ定メサルトキハ借地権ハ堅固ノ建物以外ノ建物ノ所有ヲ目的トスルモノト看做ス
第5条 当事者カ契約ヲ更新スル場合ニ於テハ借地権ノ存続期間ハ更新ノ時ヨリ起算シ堅固ノ建物ニ付テハ30年、其ノ他ノ建物ニ付テハ20年トス
此ノ場合ニ於テハ第2条第1項但書ノ規定ヲ準用ス
 当事者カ前項ニ規定スル期間ヨリ長キ期間ヲ定メタルトキハ其ノ定ニ従フ
第11条 第2条、第4条乃至第8条ノ2、第9条ノ2(第9条ノ4ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)及前条ノ規定ニ反スル契約条件ニシテ借地権者ニ不利ナルモノハ之ヲ定メサルモノト看做ス

東京借地借家人新聞より


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2007年6月10日 (日)

更新料返還請求訴訟 (京都)

   賃貸借更新料返還請求訴訟
    家主側「適法」と答弁書 弁護団結成、全面対決 /京都

 左京区のマンションを借りていた男性(52)が、賃貸借契約で年1回家主に払ってきた更新料は違法だとして、5回分計50万円の返還を家主に求めた訴訟で5日、家主側が「更新料は賃料の補充や(契約を)更新できる地位確保の対価などであって適法」として棄却を求める答弁書を京都簡裁に提出した。家主のために、これまで同種の訴訟で貸主側の代理人を務めてきた京都弁護士会の弁護士10人が「この家主1人の問題ではなく、首都圏などにも影響を及ぼす」と「貸主更新料弁護団」(田中伸代表)を結成。借り手側の「京都敷金・保証金弁護団」(野々山宏団長)と全面的に争う展開となった。【太田裕之】

 訴状などによると、借り手の男性は00年8月、賃料月4万5000円で毎年10万円の更新料を支払う契約を家主と結び、06年11月の退去までに6回更新した。男性は5回払った更新料について「消費者の利益を一方的に害するもので消費者契約法に違反するか、暴利行為で公序良俗に反して無効」と訴えている。

 家主側は答弁書で「更新料は消費者契約法にも公序良俗にも違反しない。借り手が納得了解して契約を結び、異議なく支払ってきたのを、退去後に返還請求することは信義に反する」と反論。さらに「日本全国の建物賃貸借に重大な影響を与える訴訟で、詳細・厳密に審理されるべきだ」として京都地裁への移送も申し立てた。

 会見した家主側弁護団の田中代表は「借り手の権利のみが過大主張されている。契約で明記して受領し、税務申告もしている更新料の返還請求を認められれば、家主側は経営が成り立たない。メニューを見て注文し飲食代を払った後でサービス料を返せと言うのと同じで不当だ」と述べた。

毎日新聞 2007年6月6日


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2007年6月 9日 (土)

地主が更新料の請求を断念

           更新料の法的根拠を求めた
                 地主の弁護士は更新料の請求を断念

 豊島区要町に33.5坪の土地を借地している加藤さんは、昨年末で借地契約期間の20年が満了し、更新を迎えた。10月頃に地主の代理人である弁護士から「近隣の相場である136万円を支払うよう」請求された。

 加藤さんは、組合と相談し「更新料の法的根拠、金額の根拠」を示すよう回答した。法的根拠を示すことの出来ない弁護士は「前回、更新料を支払った。これは更新料支払いの同意と同じである」と主張した。

  これに対して、加藤さんは「前回の支払いは建替え承諾料で更新料ではない。又、前回支払っても、今回も同意したとはみなされないという裁判の判例もある」と回答した。

  相手側の弁護士は、返事が出来なくなり、この4月に「更新料の請求を断念した。新しい契約書を作成したいので検討してください」という文書を送ってきた。

 加藤さん「組合と相談したおかげで、100%満足の回答です。でも、新しい契約がどのようなものか組合と引き続き相談していきます」と語った。

東京借地借家人新聞より


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2007年5月17日 (木)

更新料は坪10万円

組合のアドバイスで地主に更新料の根拠を示せと主張

 豊島区上池袋に住む榎本さんは借地して60年になる。20年前に親が地主の言いなりになり更新料を支払った。 定年を過ぎ、年金生活の現在、今回の更新及び更新料については、どうなることなのか不安でしょうがなかった。

 地主から「更新についてのご案内」という通知をもらった。その中には「更新する意思があるのか。更新するなら坪当り10万円を支払え」と記されていた。30数坪を借りている榎本さんにとっては300数10万円を支払わなければならない。そんな矢先に城北借地借家人組合のチラシが入った。そこには西武百貨店で借地借家の無料相談を行う案内が載っていたので、さっそく相談にいった。

 榎本さんの「更新料の相場はいくらかですか。更新の期間が過ぎてしまったらどうなるのですか」という質問に対して相談員は「更新料支払うという約束がなければ支払う必要がないこと。更新時期が過ぎても正当な事由がないかぎり更新拒絶はできないことその場合、法定更新されて期間は20年になること」などを丁寧に説明された。

目からうろこが取れた榎本さんは組合に入会し、その上で地主に「(1)更新料を支払うという法的根拠を示してください(2)坪10万円という数字の公の根拠(裁判の判例など)を示してください」という通知を出すことにした。その後、地主からの回答はない。榎本さん「回答がないというのは、多少不安であるが、組合に入会してよかった」と述べた。

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2007年5月15日 (火)

高額更新料

  家主の一方的な値上げと受領拒否に対し供託で頑張る

 豊島区南長崎で2軒長屋の店舗を借りて商売をしていた橋本さんと須永さんは昨年の年末に5年目の契約更新の時期を迎えた。2人とも、この不況の中で商売も大変で、売上も中々伸びないどころか後退している。本来ならば、賃料を下げてほしいと思いつつも、現行のままの条件で更新すると思っていた。

 その矢先の12月に、家主が持ってきた更新に際しての通知書には「(1)賃料を現行の12万円を13万円に値上げする。(2)更新に際して更新料として新賃料の2カ月分を支払うこととする。(3)契約期間は3年間とする。」というものであった。

 「賃料を値下げしてほしいと思っていたのに値上げを通知され、その上、今まで支払っていなかった更新料まで請求され、期間も5年から3年契約に変更を要求されている」こんな理不尽なことが許されるのかと思って、知人に相談したところ、組合を紹介された。

 組合で、賃料の増減、契約内容の変更には双方の合意が必要なことを説明され、この時期に一方的な値上げは認められないとして、現行どおりの賃料を持参したところ家主は受取を拒否してきた。橋本さんは隣の須永さんも同じ通知書を受け取っていたので2人で組合に入会し、合意更新が出来ないならば、法定更新で、賃料の受取を拒否したので供託して頑張ることにした。2人とも「組合に入会したことで安心して対応できる。」と語った。

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2007年5月11日 (金)

更新料を断ると明渡請求

 地主の車の出入の邪魔という理由

 大田区南蒲田2丁目に居住する借地人の飯田さんは、高額な更新料を請求されて知人の紹介で組合に加入した。

 知人も借地人で今年2月に地上げされたことから組合に加入し、地上げ業者と対応して希望する価格で底地を購入することができたことを説明して、組合への加入を勧めた。

 飯田さんは18坪の借地権付の建物を40年前に購入し、クリーニング業を営んできた。前回の更新時は坪当たり5万円の更新料だったが、今回は坪15万円の請求で、あらかじめ考えていた金額を大幅に上回っていた。

 しかも円満に更新ができればと思い、近隣よりも高額な地代に応じてきたのに、地主は周辺の更新料請求額の2倍強の高額な請求をしてきた。

 飯田さんは、坪15万円の更新料の支払を断り、月々の地代を提供したが受領を拒否された。地主は「立退料を出すから明渡せ」と言ううので、それも断り、地代は供託すると伝えた。

 地主は、道路の角地にある飯田さんの建物が車の出入りの邪魔だと言う。飯田さんは、こんな無謀な話しには絶対に妥協しないと決意している。

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2007年5月 3日 (木)

更新料を払えば借地契約書名義を相続人に書替えてあげると言われた

(問) 2年前に借地人だった父親が死亡し長男の私が相続することになりましたが、何の手続きもせず現在までそのまま放置しています。借地権の相続はどのような手続きをすればいいのでしょうか。

 借地契約は今年の2月15日で契約期間が満了します。すでに地主から更新料を坪当たり10万円、57坪で570万円要求されています。

 私は借地更新料は支払義務がないという話を聞いていますが、地主は更新料を払えば、借地人名義を私の名前で契約書を作ってあげると言っています。このため、更新料の支払を拒否すると私名義の契約書ができないと思いますが大丈夫でしょうか。

 (答) 借地の相続は、借地上の建物の登記の所有者名義を相続人に変更するだけでいいのです。これは司法書士に頼めば簡単にできます。その際に地主の承諾は不要です。地主に対しては、建物所有者の相続による移転登記終了後に「借地権は私が引継ぎました」という通知をするだけでいいのです。これで借地権の相続は完了です。相続人名義の借地契約書は無くてもなんの問題もありません。

 借地更新料はご指摘のとおり支払義務はありません。それは、借地契約の更新は地主にしてもらわなくても法律の定めで自動的に更新されるからです。

 借地契約の更新には、地主と借地人が更新契約条件に合意して、更新契約書に署名捺印する「合意更新」と従前の契約期間が過ぎると法律の定めで自動的に更新する「法定更新」の2通りあります。

 法定更新した場合の契約条件は、借地上の建物が非堅固(木造並)では期間は20年で、その他の契約条件は従前と同一です。

 地主は更新料を請求する根拠として「更新料の授受は世間の慣習だ」と主張しましたが、最高裁判所で慣習説は否定され、借地更新料は支払義務なしとされました。最高裁判所昭和51年10月1日および最高裁判所昭和53年1月24日の判決で法的には決着済みの問題になりました。

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2007年4月30日 (月)

借地の更新料の支払い拒否

地主に 更新料の支払いを断り、
          拒否された地代の供託を通知

 大田区新蒲田3丁目所在の宅地39坪を賃借中の中本さんの契約期間満了は平成14年の6月。また、同一地主から賃借人の荒井さんも宅地50坪の期限は同年10月であった。

 地主より不動産業者を差し向けるとの連絡があり、やっと平成17年になって業者と話し合いとなった。業者は地主より伝えられていた、坪5万円の更新料に固守し交渉は決裂した。

 しかし、地主は請求額の更新料を3月末日までに、持参せよとの書面により催促してきた。

 組合と相談し、中本・荒井の両氏は、平成16年12月分までの持参した地代が受領されていることから、既に借地契約が法定更新されていると説明された。更新料の支払い義務は法律上の規定にはなく、更新料支払いの商習慣も最高裁が否定していることも説明された。

 そこで、組合は、地主に対して借地人らは更新料の支払いに応じないことと、拒否された地代を供託する旨を内容証明郵便にて通告した。

 中本さんと荒井さんは、今後も自信を持って対応すると決意している。

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2007年4月28日 (土)

今回も借地更新料を拒否

 大田区羽田3丁目に居住する石井・小島・佐藤・須山(正)・須山(新)・田村(アイウエオ順)ら借地人6名が借地人組合に加入して20年余を経過する。

   前回の更新の時は、父から相続した息子より依頼された小田原の弁護士との交渉であった。当時周辺で更新料を支払う事例を見聞きする中、石井さんら6名の借地人は借地法や判例を学習の上、更新料不払いで意志を統一し団結を強めて交渉に臨んだのです。

   その結果、地主代理人弁護士は法律上更新料を諦めざるをえないが、地主を説得するので地代を増額してほしいと提案する。交渉は長引き小田原への通いは1ヶ月余に及んだが遂に、更新料請求は撤回され、地代も納得出来る増額内容で合意した。

  早いものです。あれから20年も経ちました。その間の数回の地代値上げは地主との直接交渉であったので、今回の更新についても地主との交渉と想定したが、組合を嫌がったのでしょう。地主は地元の不動産業者に依頼されたのです。業者は借地人らにではなく、組合に書面にて契約更新を打診してきた。

   直ちに、借地法第4条に基づき更新を請求することを通告すると、業者は更新料は頂けないだろうと請求せずに地代の増額を提示してきたのです。その内容は坪当たり60円の値上げであった。

   借地人らは更新契約書を手にすることが出来ればと了承するつもりであったが交渉で坪当たり50円で合意し12月に締結。嬉しい新年を迎えられました。
           

東京借地借家人新聞より


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2007年4月25日 (水)

更新料を断わる  

  豊島区JR大塚駅より歩いて数分のところに親の代より借地している仲村さんの所に地主から借地の更新の話があったのは昨年のことであった。

   20年前の更新時に支払った更新料より高い300万円を請求され、しかも、地代の値上げを請求された。知合いの組合員さんから紹介されて組合に入会した。

   組合から更新料の支払いについてその法的根拠、及び算出根拠を求める手紙を出したところ、回答に窮して、私道の駐車問題などで財産権の侵害だなどと称して話合いがつかないならば裁判だと主張してきた。また、前回更新料を支払ったのだから、暗黙の了解があったと解すべきだ主張してきた。

   組合では、仲村さんに、先の東京借地借家人新聞に載った更新料支払いの了解についての判例紹介(*)などをもとに貸主に反論することを提案した。この間、数度にわたる通知書のやり取りをしてきた仲村さんは「組合に入って、このような問題でも安心して相談できる。本当に助かります」と話していた。

東京借地借家人新聞 より

 (*)「かつて更新料を支払った事実があるというだけで更新料支払の合意があったことの根拠とすることはできない」(東京地裁2004年5月21日判決)。そして、更新料の支払いの慣習があるとする地主の主張も認められなかった。


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2007年4月23日 (月)

約定更新料を地主が請求

建築確認も取れない土地と支払を拒否

 大田区南六郷1丁目に、所在する宅地約17.82坪を木造住宅建てて使用している山下さんは、父から引きついだ家屋に夫と子供2人と生活している。

借地契約は今年9月末日で期間満了を迎えて、地主より105万円請求された。返事を渋ると、地主は、契約書に借地権価格の1割以上の更新料を支払うと約してあると、電話で執拗に支払いを求めた。

 山下さんはこれまで色々と相談していた隣人(同一借地人の林さん)に相談。林さんは組合の存在は知っていたが、場所は判らず、区の消費者センターに問合わせて組合事務所を訪ねて2人で入会。

 約定更新料は借地法第11条〔〕により無効になることを勉強した山下さんは、組合に入会したことも含め地主に通告。

 地主の依頼を受けた弁護士から組合に連絡があり、地主は請求額に固執し支払いは月賦でも良いとの条件を提示。 

 法律を学んだ山下さんは、建築許可も取れない奥まった宅地を踏まえ重ねて支払い拒否。林さんも2年後の更新を控えて、山下さんに続くと決意している。

  東京借地借家人新聞 より

 

 〔〕借地法 第11条 第2条、第4条乃至第8条ノ2、第9条ノ2(第9条ノ2ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)及前条規定ニ反スル契約条件ニシテ借地権者ニ不利ナルモノハ之ヲ定メサルモノト看做ス


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2007年4月 2日 (月)

更新料支払特約

  更新料の授受は慣習に多く頼っており、地域差が非常に大きいという理由から「借地借家法」においても更新料の規定は置かれなかった。更新料については法律には何の規定もない。
 従って法律上は、賃借人が更新料支払の義務を負っている訳ではないし、また賃貸人が更新料を請求する権利を持っている訳でもない。

 最高裁は更新料に関して「賃借期間満了に際し賃貸人の一方的な請求に基づき当然に賃借人に賃貸人に対する更新料支払義務を生じさせる事実たる慣習が存在するものとは認められない」(最高裁1978年1月24日判決)と判断した。

 即ち、予め更新料の支払約束が無い場合は賃貸人が賃借人に対して更新料を請求することが出来ない。前記最高裁判決後、借地・借家に関して更新料支払合意が無い場合には更新料支払を認めた判例は存在しない。

 それでは、契約書に更新料支払特約がある場合、賃借人は更新料の支払義務を負うのか。
更新料支払の理由として多くの裁判例で指摘されるのは、
(A)賃料の不足を補充する趣旨
(B)賃貸人の更新拒絶権・異議権放棄の対価
(C)合意更新された期間は解約申入れの危険を回避出来るという利益の対価、
 以上三点である。

更新料支払特約がある場合、契約を合意更新せずに、法定更新するとどうなるか。
 ①「肯定説」更新料特約は契約自由の原則によって合意したのであるから合意更新は勿論であり、法定更新にも有効である。即ち、更新料特約が有る場合、賃借人は更新料支払の義務がある

 ②「否定説」更新料特約は合意更新の場合にのみ有効であり、法定更新になった場合は効力を有しない。即ち法定更新した場合は賃借人に更新料支払の義務はない

 借家の場合において、最高裁は②の立場から「本件建物賃貸借契約における更新料支払の約定は特段の事情の認められない以上、専ら賃貸借契約が合意される場合に関するものであって法定更新された場合における支払の趣旨までも含むものではない」(1982年4月15日判決)と明快な判断をしている。

 更新料支払特約は合意更新を想定したもので、法定更新には適用されない。法定更新した場合は賃借人に更新料支払の義務はない。

 これは当然の結論である。借地借家法は経済的負担の無い法定更新を定めている。更新料特約は法の趣旨に反して借主に不利益な経済的負担を課している。特約が法定更新の場合にも適用されるとすれば、それは実質的に経済負担を強制する合意更新を義務付け、無償の法定更新を排除するに等しい。換言すれば法定更新制度の否定である。


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2007年3月 6日 (火)

更新料と地代値上げを拒否

 更新料と地代値上げを拒否、
             不利益な特約条項を削除させる

 板橋に住む、西郷さんの家は板橋区と豊島区の区界で、昔は、目の前を川が流れており、今は暗渠になって遊歩道と公園になっている。

 昨年の夏に、西郷さんの自宅に地主の代理人の不動産会社が訪問してきた。内容は、法定更新中の契約を更新したいので、更新料の支払と地代の値上げ、そして契約書を取り交わしたいと言ってきた。

 昔、借地借家人組合に相談した事がある西郷さんは、知り合いの人を通じて組合事務所に相談に来た。組合では、直ちに地主宛てに「更新料については法的根拠がないこと。地代の値上げについても、経済事情の動向、公租公課の増減、近隣の相場のいずれもとっても値上げの要因がないこと」との断りの通知書を出した。 

 この通知書に対して代理人は更新料と値上げをあきらめ財務省に物納したいので契約書の作成に応じて欲しいと言ってきた。財務省に提出予定の契約書案は増改築特約や更新料支払などの内容で認められないと返答。最終的には借地人に不利な条項を全て削除した契約で文書が出来上がった。

東京借地借家人新聞より


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