カテゴリー「更新料」の記事

2009年7月 8日 (水)

更新料と地代増額の請求を撤回させる

 東武東上線北池袋の駅から数分の所に20数坪借地している松田さんは、親の代に地主との間で更新料の支払い問題で争いになって一時期、供託したこともあった。

 その後、地主が地代の受け取りを認め、毎月末頃に集金に来ていた。去年の暮れに地主が集金に来たときに「来年2月に更新の時期をくるので、あらためて更新料の支払いと地代の値上げをしたい。詳しい話は代理人の不動産会社をよこす」と言ってきた。

 松田さんの親は組合に所属していたが、親の死亡とともに組合と疎遠になっていたが、借地問題でなにかあれば組合に相談していた親の姿を思い出し古いチラシで組合に連絡してきた。

 組合では、松田さんの話から借地として借りた当時から、契約書がない契約であったことを確認し、最高裁の更新料裁判の判例を説明し、支払いを拒絶することを確認した。

 同時に、地代の値上げ請求に対しても、最高裁の地裁への通達などで公租公課の3倍程度であれば値上げに応じる必要のないことを説明し、地主並びに代理人の不動産会社にそのように通知することにした。通知を受けた不動産会社は組合の通知に対して更新料の支払いを断念し、地代の値上げ請求も撤回した。

 しかし、不動産会社はこれでは仕事にならないと考えたのか、この際、契約書を作成することを提案してきた。

 契約書作成には応じることにしたが、その際は地代の支払い方法を変更し、今後は銀行振込とすることを確認して作成した。

東京借地借家人新聞より


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2009年6月19日 (金)

借地人8人が更新料の不払いで大きな成果

 H市に居住するAさんをはじめとする借地人8世帯は、昨年、地主代理の不動産業者から「土地賃貸借契約の期限についてのご通知」という文書を送付された。

 通知は、契約期間が4月30日で満了することから「引続き契約を希望される方は、更新の契約を交わしたいと思います。更新の契約を交わすに当りまして……契約更新料がございます」として金額を提示してきた。更新料は坪数で違い、高い人で480万円、低い人で60万円。おおよそ坪5万円の計算。

 借地人は、全員で借地更新料の請求を拒否したが、地主はその後代理人の不動産屋を通じ4月23日付で契約解除を通告し、5月分以降の地代の受領も拒否してきた。

 借地人一同は連名で借地契約の法定更新を主張し、地代はH法務局に供託した。

 7月に入り地主は弁護士を代理人に立て「更新料を支払うことは当事者間の合意となっている。更新料を支払わないと契約違反になる。更新料の支払いを拒絶した場合は法的手段をとる」と内容証明郵便で一斉に通告してきた。借地人一同は「次の更新時に更新料を支払う約束はしていない」と反論した。

 9月に裁判所からAさんのところに更新料410万円を支払うよう請求する調停申立書がられてきた。他の借地人にも同様の申立書が一斉に来た。申立書では、前回の更新時に更新料を支払ったから今回も支払う約定になっているという無茶苦茶な理屈で更新料を請求している。

 更新料を支払う意思はないので調停を不調にするよう9月下旬H簡易裁判所に上申書を提出した。

 上申書には、更新料請求を拒否した経過と、地主の代理人から契約解除の通告を受け、地主には正当事由がないため昨年5月1日をもって法定更新していることを主張した。また、更新料については最高裁昭和51年10月1日判決、同53年1月24日判決で、借地人には更新料支払い義務のないことは確定していることを主張した。

 地主の代理人から「前回更新時の契約書で次回の更新の際に更新料を支払う。金額は契約更新の時期に至った時当事者双方で協議して定める旨の約定がある」との全く嘘の主張に対しては、契約書の中にもそのような合意は一切ないことを明確に反論した。

 H簡易裁判所からは、昨年11月19日付で地主側が8名の借地人全員の調停申立てを全て取り下げたとの事由で「調停終了通知」が各借地人に送られてきた。

 その後現在まで、地主の側からは何らの動きもなく、地主の不動産業者や弁護士まで使った執拗な更新料請求はひとまず陰をひそめた。

 最初は地主の代理人から、契約解除の内容証明郵便を送りつけられたり、「更新料を支払わないと孫子の代で借地権はなくなる」と脅かされたり、裁判所に調停を申し立てられたりと、この1年、借地人一同「ハラハラドキドキ」だったが、組合の指示に従ってしっかりと結束したことが、今回の結果に結びついた。

東京借地借家人新聞より


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2009年6月15日 (月)

更新料の支払いと地代の値上げ請求に対して和解調書を示して拒絶

 中野区の松ヶ丘に住む森山さんは親の代から借地していた。一昨年に親が死亡し、借地上の建物を相続した。それまでは、年1回の地代の支払いで、昨年の7月に地主に「親の死亡と建物を相続したことを通知するとともに今後は、自分名義で地代を地主の銀行口座に振込むこと」を通知した。

 早速、地主は弁護士を代理人として契約の更新と更新料の支払い並びに地代の値上げを請求してきた。

 森山さんは親から聞いていた裁判所の和解調書を持って組合に相談した。その和解調書には、「契約期間を昭和77年までの20年間とし、賃料については公租公課の2・5倍を乗じた額を賃料とし、満3年毎に同様の方法によって賃料の改定を行う」と記載されている。

 契約はすでに平成14年に法定更新され、賃料についても公租公課の2・5倍となっていることを主張し、弁護士に、更新料の支払い並びに地代の値上げ請求には応じられない旨を通知た。

 なお、都税事務所では、法定更新されている契約では土地課税台帳は閲覧できないと窓口で言われたが、裁判所の和解調書をみせると許可された。

 その後、地主の代理弁護士からはそのような和解調書が存在したことは知らず、改めて契約書を作成したいと回答があった。森山さんは法定更新のままでかまわない旨通知したが、相手から和解調書を基本とした覚書だけでも締結したいと言ってきている。

東京借地借家人新聞より


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2009年5月19日 (火)

更新料支払請求調停

 豊島区上池袋で借地している上島さんは今年、20年の更新を迎えた。

 20年前に更新したときにはバブルが崩壊しはじめた直後でもあり、上島さんは、地主の言うとおりに地代の値上げや、借地契約にない地主の言うところの更新料(当方はそのような認識ではない旨主張)の支払いに応じてしまった。

 地主は、昨年夏に、更新料の支払い(200万円)と地代の一割以上の値上げを請求してきた。上島さんは、更新料については特段の約束もないものについては支払う義務がないという昭和53年()の最高裁の判決を示し、支払う意思のないこと又、地代についても固定資産税など公租公課の約5.5倍の地代であることから値上げも拒否することを通知した。その後、何回かの話合いを行ったが、双方の主張は平行線のままだった。

 今年に入り、地主は調停にかけてきた。上島さんは、調停の場でも地主の数字の間違いなどずさんな請求に対してきちんと資料を提供し説明した。調停委員もその資料のコピーを申出るなどしていたが、調停委員は、最終的にはいくらかでも更新料を支払ったほうが今後裁判なると大変だといって合意するよう圧力をかけてきた。しかし納得のいかない上島さんはあらためて最高裁の判決を提示してこの調停を不調に終わらせるように頑張ることにした。

東京借地借家人新聞より

最高裁昭和53年1月24日判決
  「建物所有を目的とする土地賃貸借契約における賃借期間満了に際し賃貸人の一方的な請求に基づき当然に賃借人に賃貸人に対する更新料支払義務を生じさせる事実たる慣習が存在するものとは認められない」


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2009年5月12日 (火)

更新料は更地価格の7%、地代は50%の値上げを請求

 豊島区南池袋に住む原山さんは、別な借地に住む兄弟から借地の相談を受けた。

 地主とは何10年の付き合いで、昨年の10月には、介護用のリフォームについても承諾して工事を行っていた。この工事が終了する前に地主の代理人となったと称する不動産会社から更新と地代の値上げについて話合いをしたいと通知を受けた。

 更新の時期はすでに5年前に過ぎていて、工事が終了してから話合いをしようと提案したが強引に会社事務所に来るよう提案された。そこで、組合にも相談し、組合事務所で話合う用意があると申し出をしたが、原山さんの自宅で話合いを行うことになった。

 更新料については、更地価格の7%と地代については、10年間近く値上げしていないので、現行地代の50%値上げを請求してきた。

 話合いの当日は、組合事務局長が参加し、更新料についての最高裁の判決や賃料増減額についての最高裁通知の文書、国に物納された練馬区の借地の地代が平成12年から19年では30%近い減額がなされている契約書の写しなどをもって説明した。

 代理人の不動産会社はこの説明を受けるや「更新料の支払いも地代の値上げも拒否ですね」と言って、話合いを打ち切り帰ろうとした。その態度に怒った原山さんから「自ら話し合いをしたいと言って更新料の根拠や地代の値上げの理由についてなんら説明せずに帰ろうとは何事か」と一喝された。

東京借地借家人新聞より


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2009年4月20日 (月)

借地更新料を請求されているが、支払わないといけないのか

(問)
 地主から更新料を請求されています。前回は、父親の代でどこにも相談することができず、200万円を支払って更新しました。

 今回は、父親が5年前に他界し、長男である私が借地権を相続し、地代を支払っております。今回地主から300万円の高額な更新料を請求され困っています。

 更新料を支払わないと更新が出来ないのでしょうか。地主は前回更新料を支払っているので、今回も支払うことを約束しているというのですが本当でしょうか。契約書には次回の更新料については何も書かれていません。


(答)
 結論から申し上げますと更新料は支払わなくても、借地法では契約の更新できるようになっています。

 旧借地法では第4条で借地の期限が満了しても、建物が存在していれば前回と同一条件で借地契約の更新を請求する権利が認められています。また、同法第6条で更新料を支払わないで、合意更新ではなく法定更新を選択すれば、借地契約は自動的に更新されます。

 地主が更新を拒否するには、正当な事由が必要で、なおかつ遅滞なく異議を述べなければなりません。正当事由は借地人が現在の借地を使用している事情より、地主の方にもっと使用する必要性があるなどの事情がないと簡単には認められません。

 更新料については、最高裁の昭和51年(*1)と昭和53年(*2)の判決で「借地人には支払い義務はない」と明確な判決が下されています。

  また、前回更新料を支払っただけでは更新料を支払う合意が成立したとは認められません(*3)。

全国借地借家人新聞 より

(*1)最高裁昭和51年10月1日判決

(*2)最高裁昭和53年1月24日判決

*3


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2009年4月14日 (火)

借地の更新料の請求を受けたが

 (問) 東京の豊島区で借地しています。今年10月に契約期間が満了します。4月に地主代理人の弁護士から更新するならば更新料を払うよう通知が届きました。
 代理人に「更新を希望するが更新料については、法的根拠がないので支払う必要がない」と回答したところ、代理人から「前回、更新料を支払って更新したのだから今回についても了解があったものとみなされる。」として、更新料を支払うよう再度請求されました。今後どのように対応したらよいのでしょうか。


 (答) 土地賃貸借契約の中に更新料を支払うという特約がない限り、更新料の支払義務はありません。

 地主の代理人は、法的根拠はないが前回の同意を今回の更新にも適用しようとしていますが、裁判(平成16年5月21日の東京地裁民事37部の判決)では、地主側は、「前回の更新時に更新料として約331万円を支払った際に次の更新時にも更新料を支払うとの合意がなされたと主張。同時に更新料を支払う慣習が存在する」と主張した。

 判決は、「かつて更新料の支払いがあると言うだけで更新料支払の合意があったとの根拠とすることはできない」として更新料支払いの慣習を認めませんでした。

全国借地借家人新聞より


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2009年4月 2日 (木)

賃貸マンションの契約書に支払約束がある更新料は支払を拒否できるか

(問) マンションの賃貸借契約の期間が1ヵ月後に満了します。家主から頼まれたという不動産屋から「契約更新のお知らせ」が送られてきました。その内容は(1)家賃は据置き、(2)更新料は家賃の1ヵ月分、(3)手数料は家賃の半額、となっています。

 従前の契約書には「契約を更新するときは更新料を新家賃の1ヵ月分支払う」という契約条項が入っています。私は当初契約するときには契約内容を読まずに契約書にサインしてしまいました。私は前回の失敗を繰返さないために、今回更新する契約書では、この条文を削除したいと思います。削除する方法はありませんか。

 更新料は支払義務がなく払っていない人が大勢いると聴きました。私は次回以降はもちろんですが、できれば今回も更新料と手数料は支払いたくありませんが、私の場合はどうにもならないのでしょうか。


(答) 従前の契約書に記載されている更新時には更新料を支払う旨の約定は、更新を新しい契約書を取り交す合意更新にした場合は、支払約束として有効とされ支払義務があります。

 新たに契約書を取り交さない法定更新の場合はどうでしょうか。
 法定更新は借家人は何らの経済的負担を負うことなく当然に更新の効果を享受できることになっています。さらに、この規定に反する特約で借家人に不利なものは無効としています。

 本来無効な筈ですが、裁判所の判断は、無効とするものと有効とするものの両方あって確定していません。また、有効とする判例のなかには、約定更新料不払いは約束違反で契約解除(注)というものまであります。

 そこで、仮に裁判になったら負けることもあるのを承知の上で法定更新にして更新料を払わないのも1つの方法です。

 しかし、万一、契約を解除されては元も子もなくなるので今回の更新料は支払い、新規契約書の更新料を支払う旨の条項は削除するといいでしょう。家主が削除に応じないときは、法定更新にします。法定更新後は契約期間の定めがない状態で続くので、更新料を支払う機会がなくなります。

 手数料は、仕事を依頼した人から取るもので借家人に請求するのは見当違いです。断りましょう。

東京借地借家人新聞より

 (注)約定更新料を不払いして借地契約を解除された事例
 借地人は無断増改築、無断転貸、地代の滞納などがあって、地主から契約解除をされても仕方がない状態であった。

 約定更新料支払請求の調停で、借地人は借地契約解除の撤回と引き換えに更新料100万円の支払いを2回に分けて支払う約束した。1回分は支払ったが、後の半分は催告をしても支払わなかったので、貸主が建物収去土地明渡を求めて提訴した。

 1審の横浜地裁では借地人が勝訴したが、控訴審の東京高裁では借地人敗訴。これを不服として借地人が上告したが、最高裁は借地人の違約行為、不信行為を不問にする解決金の意味を含めた趣旨である更新料を支払わなかったことを理由に契約解除を認めた(最高裁昭和59年4月20日判決、判例タイムズ526号)。


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2009年3月10日 (火)

更新料1000万円の請求を断ると、契約解除通告

 斉藤さんは、荒川区荒川6丁目で昭和22年から46坪を借地しいる。親子3代にわたり和菓子店を経営している。借地契約の更新は昨年5月に20年の更新を迎えていたが、地主が何も言ってこなかったから更新に気がつかなかった。

 ところが今年の夏になって不動産屋から更新の通告を受け「更新料を600万円支払え、地代は現行6万円のところ8万円に値上げする」と言われてビックリ。

 斉藤さんさんは今まで親の代から更新料を支払っていた。だから、今回300万円位は仕様が無いと思っていたが、金額の差があまりに大きいのでとっても支払えないと断った。

 ところが、どうした訳か今度はいきなり地主本人が直接来宅し、更新料は1000万円に値上げすると通告してきた。

 斉藤さんは、借地の更新は既に借地法6条の規定に基づいて法定更新されており、今回は更新料を支払わずに済ますことにした。その代り地代は、苦しいが自ら1万円値上げし、7万円で振込もうと考えた。しかし、組合の説明では現在の地代でも高いということなので、9月末に今まで通りの6万円で地主の銀行口座に降込んだ。

 すると、地主は10月に入って直ぐに振込んだ地代を返しに来て「更新料を払っていないから地代の受領を拒否する」と言ってきた。

 斉藤さんは、それならばと10月末に、9月分と10月分の地代を供託した。

 数日後、地主から今度は賃料2か月払っていないから契約を解除すると文書通告を受けた。

 斉藤さんは、地主の理不尽なやり方に怒りを感じた。商売も売り上げが伸びず不況続きの中で高額な更新料や一方的な値上げ等到底容認できるものではない。地主とはみんなこんなやり方で借りている人達を苦しめていることを初めて知った。もう少し早くから借地人の権利を知っておけばよかったと反省いている。

東京借地借家人新聞より

借地法
第5条 当事者が契約を更新する場合においては借地権の存続期間は更新の時より起算して堅固の建物については30年、その他の建物については20年とする。この場合は第2条第1項但書の規定を準用する。

2 当事者が前項の規定する期間より長い期間を定めたときは、その定に従う。 

第6条 借地権者が借地権の消滅後土地の使用を継続する場合においては、土地の所有者が遅滞なく異議を述べないときは、前契約と同一の条件をもって更に借地権を設定したものとみなす。この場合においては前条第1項の規定(存続期間は更新の時より起算して堅固の建物については30年、その他の建物については20年とする)を準用する。

2 前項の場合において建物があるときは、土地所有は第4条第1項の但書に規定する事由(土地所有者が自分でその土地を使用する等の正当な事情)がない場合は、異議を述べることができない。


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2009年2月18日 (水)

更新料を拒否すると不動産業者は「それならば裁判にするぞ」と捨て台詞

 板橋区南常盤台に住む井上さんのところに 、今年の7月に地主の娘から「母親に代わって更新についての話を一任されたのでご連絡ください」という通知が来た。

 井上さんは不安になって、様々なところに行って相談したが、最後に知り合いから紹介されて組合事務所に来た。

 相談された組合では今年末に更新の期間が満了になるので「貴殿から賃借している土地には当方が所有している建物が存在しますので更新し、引き続き住み続けるつもりです」という回答書を出すことにした。

 回答書が到着した9月はじめに井上さんに「地方にいる地主の娘が東京に出てくるので話合いを持ちたい」とこの娘の代理人という近所の不動産業者から電話があった。それならば、こちらも窓口を組合としたいと再回答した。

  早速、この業者から組合に電話が入ってきた。この業者、地主から委任されたといって更新料の請求と地代の値上げを請求した。

 対応した組合では、「更新料支払いは最高裁の判決でも支払い義務はないですが、それでも支払いを請求する法的根拠はあるのですか」という問いに対して、「それは旧借地借家法の考え方で現在は新法の時代で、しかも20年前の昔の古い契約で、今の時勢『払わない』という考え方はおかしい」と訳のわからないことを主張してきた。

 最後には捨て台詞のように「それならば裁判にするぞ」といって電話をきった。井上さん「この不動産屋は最近、代替わりしたばかりで、実績を上げようと必死なのではないか」と話していた。

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2009年2月13日 (金)

地主が更新料支払請求(約500万円)の調停を申立

 横浜市に在住の大塚さんは、大田区大森西5丁目の宅地6・55坪の借地権付き共同住宅を相続した。

 昨年11月末の契約更新を迎えて、更新料に底地買取、明渡しに地代増額等地主の矛盾したメチャクャ内容の請求にも誠意を持って対応してきたが、益々ひどい事態となって知人の紹介で組合に入会。

 直ちに、借地法に基づく契約更新の請求と、更新料支払い拒否を内容証明郵便にて通告した。受領済の地代を返却されて供託した。この程地主は、過去の更新料支払いを理由に、当初の約半額の500万円余の更新料を請求する調停裁判を起こしてきた。

 最高裁判決や今年4月の当組合員の地裁判決を学んだ大塚さんは、調停初日に更新料の支払義務もないことを宣告し、調停は不調にしたとの報告が組合にあった。

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2009年2月 3日 (火)

エイブルが更新料と手数料2回分を請求

 茨城県つくば市で借家をしているMさんは、4年前の3月に不動産屋から更新料と手数料の請求を受け、知人の紹介で荒川借地借家人組合に入会し、更新料等の支払いを拒否した。

 家主は業者をエイブルに替えた途端、2年前と4年前の2回の更新料と手数料を社員が執拗に取り立ての催促に来るようになった。

 Mさんは、4年前に法定更新をしているので、その後更新はない筈と厳しい請求にも対応。エイブル側は次第に語気を荒げる態度に変化し、滞納もないはずの水道料まで請求してくる始末。Mさんはエイブルの一方的な請求や態度に我慢できないと組合と相談し納得するまで闘う決意でいる。

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2009年2月 2日 (月)

更新料185万円(坪当り約5万円)を請求される

 立川市錦町で36坪を借地している渡辺さんは、今年の6月末に20年の契約が切れ、地主から更新するなら更新料として185万円を支払うよう請求された。

 渡辺さんは体も弱く今回はとても更新料を支払うお金の余裕もなく困っていたら、たまたま組合事務所の前を通り過ぎ看板を見て組合に相談した。

 組合役員から「更新料を払わなくても法定更新すれば前契約と同一条件で更新ができる」と説明を受け、渡辺さんも安心した。

 地主と直接交渉することはやめて、地主に組合と話し合うよう連絡した。

 7月末に組合事務所に地主とコンサルタントが来たが、組合では更新料をキッパリと拒否した。

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2009年1月29日 (木)

更新料(420万円)と手数料(10万円)及び地代(20%)値上げを要求される

 板橋区中板橋に借地している梅崎さんは今年20年の期間満了で更新を迎えた。

 地主の代理人としての不動産会社から更新手続きの通知として「①20年前に支払った金額と同額の420万円を支払え。②現行地代の20パーセント値上げ。③更新事務手数料として10万円を支払え」という内容で送られてきた。当初は、不動産会社とはバブル時の買った物件で借金の返済で余裕がない中でこの更新料は払えきれない金額で、なんとか安くならないか交渉してきた。同時に、さまざまな法律相談などを訪ね相談したが納得のいく解答はなかった。

 そのときに組合の存在を知って相談に来た。組合で更新料については契約に特別の約束事がなければ、支払う必要のないことを説明された。組合から「①更新料支払いの法的根拠②更新料の算出根拠③更新事務手数料の根拠」などを質問する通知書を出したところ、不動産会社は回答不能に陥ってしまった。その後、直接地主が面会をしてきたが、組合の説明に反論も出来ず帰っていった。

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2009年1月22日 (木)

「更新料の支払は事実たる慣習ではない」と頑張る借地人

 東京都狛江市元和泉で寺領地37坪を借地しているYさんは、借地契約の更新日から1年後の平成19(2007)年5月、地主から坪あたり更新料として1坪8万5000円の更新料を請求されました。

 Yさんは、同敷地を自宅とアパートに使用し借地契約は別々に契約しています。アパート用地は、昭和61(1986)年に約150万円の承諾料を支払い再築し、自宅は10年前に502万円の更新料を10年の分割払いで払っています。

 Yさんはインターネットで組合を知り「更新料は法律的に支払う義務がない」ことがわかり多摩組合へ入会し、更新料の支払いを拒否する旨地主へ通知しました。

 地主は、「前回も更新料をうけとっている。また、当寺の借地人からもは更新料を受領していることから『事実たる慣習』となっている」と主張し、払わなかったら法的手続きを検討すると脅かしてきました。

 多摩借組は、最高裁の判決でも「更新料支払義務を生じさせる事実たる慣習が存在するものとは認められない」として更新料支払の慣習は否定され、判例上、既に確定していると反論した。

 2008年2月、地主は、立川簡易裁判所へ調停を申立ててきたが、Yさんは裁判所に上申書を提出し、「支払義務のない更新料を協議する調停には出席するつもりはない」との裁判所へ上申書を提出し、4月に不調になり、6月に東京地裁八王子支部に更新料請求で提訴してきました。

 Yさんは契約書で更新料の支払を合意したこともなく、、「これ以上お寺の言いなりにはなれない」として大きな圧力の中で頑張る決意をしています。

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2009年1月16日 (金)

借地更新料(36坪で185万円)を請求される

 立川市錦町1丁目に36坪を借地している渡辺さんは、20年前に更新料130万円を支払った。今年の6月末に20年の契約が切れ、地主から更新するなら185万円を支払うよう請求された。渡辺さんの娘さんは、母親も体も弱く今回はとても更新料を支払うお金の余裕もなく困っていたら、たまたま組合事務所の前を通り過ぎ看板を見て組合に相談した。

 組合から「更新料はそもそも法律上支払う義務はなく、更新料を払わなくても法定更新すれば前契約と同一条件で更新ができる」と説明を受け、渡辺さんも安心した。地主と直接交渉することはやめて、組合と話し合うよう連絡した。

 その後、地主から相談受けているという旭化成ホームズ(株)コンサルティングの武藤氏が連絡してきて、7月30日に組合事務所で話し合いを行なった。

 組合役員は、地主に対し「組合では更新料は合意更新の対価であり、借地人が支払を拒否する以上、地主は更新料を強制的にとることはできない」と説明した。

 武藤氏は前回更新料を支払っているので、更新料を支払う合意があると主張したが、契約書に次期更新時に更新料を支払う特約がないかぎり、更新料を支払う合意はないことは判例で明確になっていることを強調した。

 地主側はこれ以上話し合っても無理であることがわかり、今後は弁護士と相談してみるといって帰っていった。

東京借地借家人新聞より


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2009年1月 6日 (火)

東京地裁は地主の土地明渡請求と予備的請求の更新料支払請求を棄却

 2008年4月25日、東京地裁は地主の土地の有効利用を理由にした土地明渡請求訴訟で借地人勝訴の判決を下した。また、地主の予備的請求である更新料支払い請求に対しても否認の判断を下し、請求を棄却した。

 大田区北糀谷2丁目に土地約64・4坪を賃借する小山田さんは、650万円の更新料を請求されて過去にない深刻な不況で支払いは困難と、知人の紹介で組合長に相談して入会した。借地法上建物が現存しており、法定更新もやむを得ないと更新料の支払いを拒否する旨を小山田さんは組合を介して地主に通告。

 地主はこれまで更新料を支払うか、土地を明渡すかと借地人らに求め、明渡しさせた土地は賃貸住宅建築する等の活用して来た。小山田さんより通告を受けた地主は、待っていたとばかりに自ら土地の使用と有効利用を理由に更新拒絶明渡し、予備的請求として更新料を求めて東京地裁に提訴してきた。2年余に及ぶ小山田さんの奮闘内容は、組合の集まりや定期総会で報告されて組合員の注目だった。

 地主の提示額か、裁判所提示の相当額と引き換えに土地明渡せとの求めに応じ、和解へと進み更新料での協議となる。当初の請求の半額以下の提示にも拒否するとさらに金額を下げて、過去の支払い事例を示されて苦悩する。小山田さんは、組合長ら多くの組合員に激励されて、更新料不払いを主張して、弁護士の奮闘による判決を求めた。

 判決は、地主の土地使用の必要性は乏しく、借地人の土地を使用する必要性は相当に高く、地主には人を押し退けてまで使用する必要性はないことは明らかであると有効利用を否定した。

 また、東京都内においては更新料の支払いが一般的な慣習となっており、過去に2度の更新の際にも更新料を支払っており、当事者間の慣習に従うのが当然との地主の主張に対し、借地契約が法定更新される場合にも更新料の支払いがなされるという事実たる慣習があるとまでは、本件全証拠によっても未だに認めるに足りないというべきである。地主の請求をいずれも棄却する。

 以上のように東京地裁は見事な借地人勝利の判決を下した。

東京借地借家人新聞より


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2008年12月 1日 (月)

短期間の間の立て続けの地代増額と更新料請求が認められなかった事例

 判例紹介

  地代値上請求と更新料請求が認められなかった事例 (東京地裁平成4年12月25日判決、判例集未掲載)

 (事案)
 借地人は台東区上野3丁目に31.6坪の土地を借地して木造建物を所有していたが、地主は、昭和60年以降大幅な値上げ請求を繰り返し、本件地代は、
昭和60年4月には月額3万8870円、
昭和61年4月には月額5万8870円、
昭和61年10月には月額7万8870円、
昭和62年4月には月額9万6327円(坪3048円)となっていた。

 借地期間は昭和63年9月1日であったが、地主はそれに先立つ昭和63年4月、地代を月額19万7617円(坪5660円)に値上げ請求し、更新料として215万6000円を請求した。

 (判決要旨)
 「本件土地はJR山手線上野駅の東方約300メートルに位置し、商業地域に属し、同駅前の高度商業地域の背後至近にあって交通事情も良好であること、地価は昭和61年から62年にかけ急激に上昇したが、翌年に入ると鈍化傾向を強めたこと、本件賃料も昭和60年以降急激に増額されていること、昭和62年4月の値上げは、値上げに応じなければ土地を売ると言われ、当時地上げ屋が横行していたこともあってやむなく増額に応じたこと、現行地代9万6337円は、鑑定により昭和63年9月当時の比準賃料として算出された額8万3000円よりも高額であり、昭和62年当時の公租公課の5.169倍になっており、近隣地域の比率が4倍であることに比べても高率であること。以上の事実を前提に判断すると、鑑定が適正賃料を10万円としていること近隣地域では1年ないし2年で賃料の改訂がされるのが多いことを考慮しても、本件現行賃料は、昭和63年9月時点ですでに比準賃料と比較しても高水準となっており、昭和62年以降は地価の上昇も鈍化している上、昭和61年からの賃料増額の経過、ことに同年中にはわずか6か月で増額されていること等の事情に照らすと、本件現行賃料が昭和63年9月において不相当となっているとはいえない。」

 「更新料の請求については昭和63年9月1日時点における更新が法定更新であるところ、昭和43年9月の更新の時に50万円の更新料が払われたことから直ちに、その後の更新時には更新料を支払う約定が成立したものとは認められない。

 (解説)
 本件は当組合員の事例であり、東借連常任弁護団の2名が担当した。賃料値上げを一切認めない判決は非常に少なく、短期間の間の立て続けの増額のうえ、更なる増額を請求した地主に対し、厳しい判断を下したものである。

(1993.04.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

  更新料の支払請求にに関しては、判決では前回の更新時に更新料を支払った事実があったからといって、それが直ちに更新料の支払の合意をしたことにはならないとして地主の更新料支払請求を認めなかった。今回と同趣旨の判例はこちらから


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2008年9月24日 (水)

過去2回の未払い更新料分として560万円を請求された

 杉山さんは昭和27年に90坪の借地契約をし、木造建物を建てた。契約書には契約期間が定められていなかった。

 地主は20年後の昭和47年に契約更新を言ってきた。組合に加入していた杉山さんは期間の定めの無い借地契約は「借地法」2条の規定で木造建物の場合は存続期間30年間と法定されているから、10年後が更新だと主張し、地主の言い分を抑え込んだ。

 その6年後、杉山さんは亡くなり長男が借地権を相続し、昭和57年と平成14年の更新は組合と事前の打合せ通りに法定更新を選択し、地主の請求する更新料を2回とも拒否した。

 先月、突然地主の相続人が過去2回の未払い更新料分として560万円を請求してきた。組合に相談したところ、更新料の請求権は5年で商事消滅時効になるという判例(東京地裁平成3年5月9日判決)があるので請求は拒否出来るという説明を受けた。

 早速、時効の援用と更新料請求を拒否する旨の文書を内容証明郵便で地主に送った。


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2008年9月19日 (金)

更新料として土地価格の5%を要求

 豊島区西池袋に住む大川さんは親の代から借地し、30年前に堅固な建物に建替え、契約更新を行った。

 今回の更新に際して、地主は不動産業者を代理人として更新料(坪あたり12万円)と賃料の値上げ請求を行い、併せて契約内容に「①増改築に際しては地主の承諾が必要。②更新に際しては合意更新、法定更新にかかわらず相当金額の更新料を支払う。」との提案をしてきた。契約書には更新料を支払うとの約定もないので、まず更新料を支払うとの法的根拠とその算出根拠を示すように通知した。

 代理人の不動産会社は「更新料支払いの根拠はない。慣習として存在している。支払わないと建替えとか借地権の譲渡のときに困りますよ。算出根拠は、土地の価格の5%が弁護士と不動産業者の見解である」と強弁した。

 5月末の期間満了前に決着をつけないといけないと考えていた大川さんに、組合では「期限満了までに合意更新が出来ない場合は、法定更新し、じっくり話合うことできること。またこの契約は、増改築については地主の承諾を必要とするという記載がない契約であること。借地権の譲渡も地主の承諾しなければ、裁判所の承諾があれば出来ること」などを説明した。組合の説明を聞いた大川さんは「じっくり交渉していくことにしました。借地権も大事な財産ですので」と話した。

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2008年9月 9日 (火)

更新料の話し合い中に地主が明渡し訴訟

 豊島区西池袋に住む荒川さんは、養子縁組で実の父の親からこの土地の借地権を相続した。更新に時期になり、地主の代理人の弁護士から更新料の請求がなされた。

 その弁護士と話合いをしている最中に洗濯干し場の老朽化を理由に明渡し請求の裁判をおこされた。当初、知合いの弁護士に依頼していたが、更新料や明渡し問題で妥協するよう求められ納得できずに組合に相談した。組合は顧問の弁護士を紹介するとともに正当事由のない明渡しと合意のない更新料の支払いには応じる必要がないので頑張るように話した。

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2008年9月 3日 (水)

更新料支払請求から借地の明渡請求へ

 豊島区西池袋に住む荒川さんは、養子縁組で実の父の親からこの土地の借地権を相続した。更新に時期になり、地主の代理人の弁護士から更新料の請求がなされた。

 その弁護士と話合いをしている最中に洗濯干し場の老朽化を理由に明渡し請求の裁判をおこされた。

 当初、知合いの弁護士に依頼していたが、更新料や明渡し問題で妥協するよう求められ納得できずに組合に相談した。

 組合は顧問の弁護士を紹介するとともに正当事由のない明渡しと合意のない更新料の支払いには応じる必要がないので頑張るように話した。

東京借地借家人新聞より


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2008年8月29日 (金)

更新料支払請求から借地の明渡請求へ

 豊島区西池袋に住む荒川さんは、養子縁組で実の父の親からこの土地の借地権を相続した。更新に時期になり、地主の代理人の弁護士から更新料の請求がなされた。

 その弁護士と話合いをしている最中に洗濯干し場の老朽化を理由に明渡し請求の裁判をおこされた。

 当初、知合いの弁護士に依頼していたが、更新料や明渡し問題で妥協するよう求められ納得できずに組合に相談した。

 組合は顧問の弁護士を紹介するとともに正当事由のない明渡しと合意のない更新料の支払いには応じる必要がないので頑張るように話した。

東京借地借家人新聞より


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2008年8月13日 (水)

新地主に法定更新を通知した

 北区赤羽に住む佐藤さんは、地元の地主から30坪の土地を借りていたが、その地主が事業に失敗し、佐藤さんが借りている土地も含め、借金で取られてしまった。

 新しく地主になった不動産会社から次のような条件が出されてきた。
 1、更新するなら更地価格500万円の10%、坪50万円を支払うこと。
 2、地主が借地権を買取る場合は、更地価格の60%とする。
 3、地主が底地権を売渡す場合は、更地価格の40%とする。
 以上の3つの条件が提示された。

 佐藤さんは組合と相談の結果、借地権売買及び底地の売買についてはその意思がないこと、契約の更新でお願いするが、借地法6条に定めのある法定更新にするので、更新料の請求には応じられないと回答した。

 すると地主は承服できないから賃貸契約を解除するといって、送金した地代を返却してきた。

 佐藤さんは早速組合に地代の供託書の書き方を相談し、地代を法務局に供託し頑張ることになった。

東京借地借家人新聞より


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2008年7月 8日 (火)

*更新料支払の慣習を否定し、更新料支払義務なしとした最高裁判決 (2)

 判例紹介

 借地契約の更新に際し更新料支払の慣習を否定し、借地人の更新料支払義務がないとした判決 最高裁1978(昭和53)年1月24日判決

言渡 昭和53年1月24日

交付 昭和53年1月24日

裁判所書記官 清水

昭和52年(オ)第1010号

          判    決

   東京都品川区中延4丁目*番*号

          上  告  人      A

          右訴訟代理人弁護士 平  山   国 弘
                        村  埼     満
                        八木橋   伸   之
                        米  丸   和   実
                        亀  丸   龍  一
                        川  畑   雄  三

   東京都品川区二葉4丁目*番*号

          被 上 告 人     B

 右当事者間の東京高等裁判所昭和(ネ)第2号更新料等請求事件について、同裁判所が昭和52年6月15日言い渡した判決に対し、上告人から全部破棄を求める旨の上告の申立があった。よって、当裁判所は次のとおり判決する。

          主    文

   本件上告を棄却する。
   上告費用は上告人の負担とする。

          理    由

 上告代理人平山国弘、同村崎満、同八木橋伸之、米丸和実の上告理由について

 建物所有を目的とする土地賃貸借契約における賃貸借期間満了に際し賃貸人の一方的な請求に基づき当然に賃借人に賃貸人に対する更新料支払義務を生じさせる事実たる慣習が存在するものとは認められないとした原審の認定判断、及びその余の所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係及びその説示に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひっきょう、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するか、独自の見解に基づき原判決を論難するものにすぎず、採用することができない。
 よって、民訴法401条、95条、89条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文の通り判断する。

         最高裁判所第三小法廷
               裁判長裁判官          高  辻   正 己
                    裁判官          天  野   武 一
                    裁判官          江里口    清 優
                    裁判官          服  部   高 顕
                    裁判官          環     昌  一

                   



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2008年7月 7日 (月)

*更新料支払の慣習を否定し、更新料支払義務なしとした最高裁判決 (1)

 判例紹介

 更新料支払の商慣習が存在しないとして上告人(地主)の更新料支払請求が棄却され、これにより更新に際して被上告人(借地人)は更新料の支払義務がないことが確定した。 最高裁1976(昭和51)年)10月1日判決、判例時報835号63頁)

言渡 昭和51年10月1日

昭和51年(オ)第657号

          判    決

   上  告  人             A
          右訴訟代理人弁護士 小  林   宏 也
                        本  多   藤 男  
                        長谷川   武 弘 
                        
                        
   被 上 告 人             B

          主    文

   本件上告を棄却する。
   上告費用は上告人の負担とする。

          理    由

 上告代理人小林宏也、同本多藤男、同長谷川武弘の上告理由第1点について

 原審が適法に確定した事実関係によれば、被上告人の所論所為をもって、いまだ本件賃貸借契約の継続を不可能又は著しく困難ならしめるものとは認めるに足りないとした原審の判断は、正当として是認することができる。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。

 同第2点について
 宅地賃貸借契約における賃貸期間の満了にあたり、賃貸人の請求があれば当然に賃貸人に対する賃借人の更新料支払義務が生ずる旨の商慣習ないし事実たる慣習が存在するものとは認めるに足りないとした原判決挙示の証拠関係に照らして、是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひっきょう、独自の見解を主張するものであって、採用することができない。

 同第3点及び第4点について
 記録及び原判決事実摘示に照らし、所論の点に関する原審の認定判断は、その過程に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。
 よって、民訴法401条、95条、89条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文の通り判断する。

               裁判長裁判官    大 塚   喜一郎
                    裁判官    岡 原   昌  男
                    裁判官     吉 田      豊
                    裁判官         本 林      譲
                    裁判官    栗 本   一  夫
         昭和51年10月1日
     最高裁判所第二小法廷



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2008年7月 1日 (火)

2008年1月30日京都地裁判決

判例紹介

事件番号         平成19年(ワ)第1793号
事件名          更新料返還等請求事件
裁判年月日    平成20年1月30日
裁判所名      京都地方裁判所
部         第4民事部
結果        棄却

(判示事項の要旨)
 
賃貸借契約における更新料を支払う旨の約定が,民法90条及び消費者契約法10条により無効であるとはいえないと判断された事例


                                         主              文

1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。

                                         事実及び理由

第1 請求
被告は,原告に対し,55万5000円及びこれに対する平成19年4月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第2 事案の概要

1 本件は,被告の所有する建物の一室について,被告との間で賃貸借契約を締結し居住していた原告が,①上記賃貸借契約における更新料支払の約定は消費者契約法10条又は民法90条に反し無効であると主張し,不当利得に基づき,過去5回に渡り支払った更新料(合計50万円)の返還及びこれに対する遅延損害金(訴状送達の日の翌日である平成19年4月22日から支払済みまで民法所定の年5分の割合によるもの)の支払いを求めるとともに,②敷金契約に基づき,敷金10万円から未払賃料4万5000円を控除した5万5000円の返還及びこれに対する遅延損害金(訴状送達の日の翌日である平成19年4月22日から支払済みまで民法所定の年5分の割合によるもの)の支払いを求めた事案である。

2 当事者間に争いのない事実等
(1)  被告は,別紙物件目録記載の建物(以下「本件建物」という。)を所有し,不動産賃貸を事業として営む者である(乙1,3,弁論の全趣旨)。

(2)  賃貸借契約,敷金契約の締結(甲1,乙1,7,9)
 原告は,平成12年8月6日ころ,仲介業者である株式会社京都ライフ(以下「京都ライフ」という。)から,本件建物の一室(2階205号室,以下「本件物件」という。)の紹介を受け,同月6日,京都ライフから,重要事項説明書の交付及びそれに基づく説明を受けるとともに,京都ライフを通じ,被告に対し,入居申込書(乙9)を提出して,本件物件の賃借を申し込んだ。原告と被告は,同月11日ころ,本件物件につき,次の内容の賃貸借契約(以下「本件賃貸借契約」という。)を締結し,被告は,同月15日ころ,原告に対し,本件賃貸借契約に基づき,本件物件を引き渡した。
 また,原告と被告は,本件賃貸借契約を締結するにあたり,原告が被告
に対し敷金として10万円(以下「本件敷金」という。)を預託した(以下「本件敷金契約」という。)。
(ア)  賃貸人被告
(イ)  賃借人原告
(ウ)  家賃1か月4万5000円(共益費,水道代を含む。)
(エ)  契約期間平成12年8月15日から平成13年8月30日ま
での約1年間(以後1年更新)
(オ)  礼金6万円
(カ)  更新料10万円(以下,この更新料の支払いに関する約定を「本件更新料約定」という。)

 賃貸借契約約款の内容(乙1)
原告と被告が本件賃貸借契約を締結するにあたり取り交わした建物賃貸借契約書(乙1)には,冒頭に「賃貸人と賃借人は,この契約書および賃貸借契約約款により,下記に表示する建物(目的物件)に関する賃貸借の契約を締結します。」と記載され,3頁から6頁までに「賃貸借契約約款」(以下「本件約款」という。)が記載されている。本件約款には,次の条項が掲げられている(なお,本件約款の条項中,「甲」とあるのは賃貸人である被告を意味し,「乙」とあるのは賃借人である原告を意味する。)。

第3条 (使用目的)
乙は本物件を,居住の用途以外の目的に使用してはならない。

第4条 (家賃・共益費)
① 乙は,契約書記載の家賃・共益費を,毎月末日までに翌月分を契約書指定の方法により,甲に支払う。この場合において,甲が,金融機関への振込を指定したときは,振込手数料は,乙の負担とする。
② 本契約期間の開始日が,暦上の1か月の中途である場合は,開始日の属する月の家賃・共益費は,日割計算(1か月は,30日として計算。)とする。明渡月については,日割計算はせず,乙は,明渡日が暦上の1か月の中途であっても,その月の末日までの家賃・共益費を支払うものとする。

第5条 (敷金)
① 乙は,本契約(特約を含む)より生ずる,乙の一切の債務を担保するため,本契約締結と同時に,契約書記載の敷金を甲に預託し,甲は,これを無利息にて保管する。
④ 甲は,本契約終了後,乙が,本物件の明渡を完了した日より1か月後に,本契約敷金から,乙が,本契約上,甲に対して負担する債務を控除した残金を乙に返還する。

第15条 (解約)
① 乙は,1か月以前に,甲又は甲の指定したる管理業者・管理人に書面による通知をすることにより,本契約を解約することができる。この場合においては,乙の通知が,甲に到達した日より起算して,1か月が経過した日の属する月の末日をもって,本契約は終了する。但,契約書に別段の定めがある場合はそれに従うものとする。
② 乙は,前項に拘らず,甲に1か月分の賃料を支払うことにより,本契約を即時解約することができる。
③ 甲は,6か月以前に,乙に通知することにより,本契約を解約することができる。

第21条 (更新)
契約書記載の賃貸借期間の満了時より,甲にあっては6か月前,乙にあっては1か月前までに各相手方に対し更新拒絶の申出をしない限り,本契約は家賃・共益費等の金額に関する点を除き,更新継続されるものとする。但し契約書に別段の定めがある場合はそれに従う。尚この場合,乙は甲に対し,契約書記載の更新料を支払わねばならない。

ウ 重要事項説明書の内容(乙7)
原告が被告に対し本件物件の賃借を申し込むにあたり京都ライフから交付を受けた重要事項説明書(乙7)には,「契約更新に関する事項」として,次の記載がされている。
「本契約満了により賃貸人は6か月前,賃借人は1か月前迄に各相手方に対し更新の可否を申し出ない限り継続され賃借人は賃貸人に更新料を支払い,同時に賃料等改定については公租公課・近隣賃料等の比較により改定する事が出来る。」
エ 礼金,家賃,敷金等の支払い(甲1,2,乙1,7,9)

(ア)  原告は,平成12年8月6日から同月11日にかけて,京都ライフを通じ,被告に対し,上記敷金10万円を含め,次のとおり合計24万1000円を支払った(なお,礼金の金額は,原告提出の重要事項説明書の写し〔甲1〕〔15万円〕と被告提出の重要事項説明書の原本〔乙7〕〔6万円〕とで異なっているが,前者〔写し〕には改ざんの痕跡が認められることに加え,原告が作成した入居申込書〔乙9〕には礼金が6万円であると記載されていること,原告の支払合計額が27万8800円であり〔甲2〕,礼金が6万円を前提とする上記24万1000円に(イ)記載の手数料3万7800円を加算した金額と一致することに照らし,礼金の金額は,後者〔原本〕に記載されている6万円であるものと認められる。)。

①  礼金6万円
②  家賃7万0500円
内訳・8月15日から同月31日までの17日分=2万5500円
9月分4万5000円
④  敷金10万円
⑤  入居者相互会費1万0500円

(イ)  原告は,平成12年8月11日,京都ライフに対し,手数料として3
万7800円を支払った。

(3)  賃貸借契約の更新・解約・賃料の支払い(甲3ないし8,乙4,5)
ア 原告と被告は,平成13年8月3日ころ,契約期間を平成13年8月31日から平成14年8月31日までとするほかは,家賃(共益費,水道代を含む。)の金額を含め,契約内容を従前どおりとすることととして,本件賃貸借契約を更新する旨合意し,原告は,同日,被告に対し,更新料10万円を支払った(甲3,5)。

イ 原告と被告は,平成14年9月1日,契約期間を平成14年9月1日から平成15年8月31日までとするほかは,家賃(共益費,水道代を含む。)の金額を含め,契約内容を従前どおりとすることととして,本件賃貸借契約を更新する旨合意し,原告は,同月25日,被告に対し,更新料10万円を支払った(甲4,5)。

ウ 原告と被告は,平成15年8月ころ,契約期間を平成15年9月1日から平成16年8月31日までとするほかは,家賃(共益費,水道代を含む。)の金額を含め,契約内容を従前どおりとすることととして,本件賃貸借契約を更新する旨合意し,原告は,そのころ,被告に対し,更新料10万円を支払った(甲6)。

エ 原告は,平成16年8月9日,被告に対し,更新料10万円を支払い,原告と被告は,同年9月1日,契約期間を平成16年9月1日から平成17年8月31日までとするほかは,家賃(共益費,水道代を含む。)の金額を含め,契約内容を従前どおりとすることととして,本件賃貸借契約を更新する旨合意した(甲7,乙4)。

オ 原告は,平成17年8月4日,被告に対し,更新料10万円を支払い,原告と被告は,同年9月1日,契約期間を平成17年9月1日から平成18年8月31日までとするほかは,家賃(共益費,水道代を含む。)の金額を含め,契約内容を従前どおりとすることととして,本件賃貸借契約を更新する旨合意した(甲8,乙5)。

カ 原告と被告は,契約期間を平成17年9月1日から平成18年8月31日までとする本件賃貸借契約について,解約の通知及び更新拒絶の申出をしない一方,更新する旨の合意もせず,また,原告は,被告に対し,更新料(10万円)を支払わなかった。原告は,被告に対し,上記契約期間経過後である平成18年9月1日から同年10月31日までの間の家賃2か月分合計9万円を支払った(当事者間に争いがない。)。

キ 原告は,被告に対し,本件約款第15条①の定めに従い,平成18年10月28日付け賃貸借契約解約通知書(乙6)を提出し,同年11月30日をもって本件賃貸借契約を解約する旨の意思表示を行い,同日,本件物件を明け渡したが,同年11月分の賃料(4万5000円)を支払っていない。

3  当事者の主張
  (原告の主張)
(1)  既払更新料の返還請求について
ア 本件更新料約定は,消費者契約法10条又は民法90条により無効である。

イ 更新料の法的性質について
(ア) 本件賃貸借契約における更新料は,次のとおり,①更新拒絶権放棄の対価(紛争解決金),②賃借権強化の対価,③賃料の補充のいずれの性質も有していない。

(イ) 更新拒絶権放棄の対価(紛争解決金)の性質(①)について
a  更新拒絶の正当事由の有無は,建物の使用を必要とする事情が賃貸人と賃借人でどちらがより大きいのかという点を基本要素とし(自己使用の必要性),この基本要素を判断するために,従前の経過や利用状況,立退料などを補完的要素として考慮するという構造で判断されるべきものである。

 そして,本件建物のように専ら他人に賃貸する目的で建築された居住用物件の場合,賃貸人の自己使用の必要性は乏しく,自己使用の観点から賃貸人に正当事由が認められることは考え難いし,仮に自己使用の必要性が認められたとしても,立退料の支払いもないまま正当事由が認められる場合を想定することができない。
 また,正当事由が存在し,賃貸人が更新拒絶権を行使できる場合には,目的物を自己使用することにつき賃貸人に相当程度大きな経済的利益が存する場合であろうから,賃借人が更新料程度の金員の支払いを申し出たとしても,賃貸人としては更新拒絶権を行使するはずである。
 したがって,更新料の支払いによって更新拒絶権を放棄するという契約当事者の意思は,少なくとも,本件賃貸借契約のような専ら他人に賃貸する目的で建築された居住用物件の賃貸借契約における更新料支払条項からは読み取ることができない。

  以上からすると,本件賃貸借契約のような賃貸借契約においては,更新料は更新拒絶権放棄の対価となっていないといえる。

d  また,通常,更新料は,契約期間満了のころに当事者間で合意更新をすることによって支払われるものであるが,賃貸人の更新拒絶権は契約期間満了の6か月前までに行使しなければならない(借地借家法26条1項。したがっ) て,合意更新がされる場合は,既に賃貸人による更新拒絶権行使の期間が徒過しており,更新拒絶権が発生しないことが確定しているのが通常である。このような場合,もはや更新拒絶権の放棄とか更新拒絶権行使に伴う紛争回避ということは全く問題となる余地はなく,更新拒絶権放棄や更新拒絶権行使に伴う紛争解決金ということで更新料の性質を説明することはできない。

  以上の理由から,本件賃貸借契約における更新料は,更新拒絶権放棄の対価(紛争解決金)の性質を有しない。

(ウ)  賃借権強化の対価の性質(②)について
a  本件賃貸借契約においては,被告は,6か月以前に,原告に通知することにより,本件賃貸借契約を解約することができるとされており(本件約款第15条③),合意更新がなされても,賃借権は,何ら強化されていない。
 この点,被告は,本件約款第15条③は,本件賃貸借契約が法定更新された場合における確認的規定であり,合意更新された場合には適用がないと主張する。しかしながら,本件約款第15条③は,第15条の「解約」という条項の中に規定されていることからして同条項は更新後の契約の規律に関する規定ではないし,同条項には合意更新された場合には適用がないとの文言は付されていないことに加え,本件賃貸借契約においては,自動更新条項(本件約款第21条)が設けられており,そもそも法定更新が予定されていないのであるから,被告の上記主張は失当である。

 また,本件賃貸借契約のように専ら他人に賃貸する目的で建築された居住用物件の賃貸借契約の場合においては,法定更新がなされ期間の定めのない賃貸借契約となっても,賃貸人の正当事由に基づく解約が認められるときはほとんどない。また,正当事由が認められるときでも,相当額の立退料の支払いが命じられるのが通常であるから,賃借人が更新料を支払ってまで合意更新を行う実益は極めて乏しい。

  加えて,法定更新がされた場合でも,その後の賃貸人からの解約申入れは6か月前にしなければならないのであるから(借地借家法27条,賃借人は,少なく) とも更新後6か月間は賃借権を確保できることになる。そうすると,契約期間が1年間である本件賃貸借契約の場合,法定更新と合意更新とで,賃借人が賃借権を確保できる期間の違いは,わずか6か月間に過ぎないし,更新時に賃貸人側に更新拒絶の正当事由が存在しなかったにもかかわらず,その後の6か月間に解約申入れの正当事由が発生するなどいうことは想定し難い。

  以上の理由から,本件賃貸借契約における更新料は,賃借権強化の対価の性質を有しない。

(エ)  賃料の補充の性質(③)について
a  契約期間が長期間である賃貸借契約の場合とは異なり,本件賃貸借契約のように契約期間が短期間の賃貸借契約においては,そのような短期間の内に賃料の不足分が生じるとは考えにくい。
 また,更新料が賃料の補充の性質を有するという見解は,不動産価格が右肩上がりに上昇していくことを前提としており,不動産価格の現況を全く考慮していない。
 さらに,賃料の不足分というのであれば,更新後に間もなく解約した場合と,更新後の契約期間を満了した場合とで,自ずと金額が異なるはずであるところ,これを区別せず,賃料の不足分を一定の金額で算定することに無理がある。

  また,法は賃料増額請求を許容しているのであるから,不動産価格が上昇し周辺の賃料額と不均衡が生じれば,賃料増額請求により賃料不足分の請求ができるはずである。

  さらに,更新料の性質を賃料の補充と考えると,合意更新の場合にのみ更新料が支払われ,法定更新の場合に更新料が支払われないことについて,全く説明ができない。

 被告は,賃貸人は,権利金,礼金や更新料なども含めた全体の収支計算を行ったうえで毎月の賃料額を設定するのが当然であるから,設定賃料と本来受けるべき経済賃料との差額について,更新料により補充することは合理性を有すると主張する。しかしながら,民法上,賃貸借契約における使用収益の対価としては賃料のみが予定され,権利金,礼金及び更新料については何ら規定がなく,そのような法的根拠のない金員も含めて賃料額の設定を行うなどということは,民法上も全く予定されていないし,更新料等の一時金によって賃料を補充するということは,経験則上,認められない。

 以上の理由から,本件賃貸借契約における更新料は賃料の補充の性質を有しない。
 むしろ,現在の更新料は,賃借人が物件を選定する際に主に賃料の額に着目する点を利用して,賃料については割安な印象を与えて契約を誘因し,結局は割高な賃料を取るのと同じ結果を得ようする欺瞞的な目的で利用されているものである。

(オ)  以上のとおり,本件賃貸借契約における更新料は,被告が主張するいずれの法的性質も有しておらず,何ら対価性を有しない不合理なものである。

ウ 消費者契約法10条について
(ア)  消費者契約法は,消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差にかんがみ,消費者の利益を不当に害することとなる条項の全部又は一部を無効とすることにより,消費者の利益の擁護を図り,もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とするものである(同法1)。このように,消費者契約法は,事業者と消費者との間に構造的格差があることを認めた上で,その格差を是正するために民法を修正するものである。
 この立法趣旨からすると,消費者契約法10条の,「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害する」とは,具体的には,当該契約条項によって消費者が受ける不利益とその条項を無効にすることによって事業者が受ける不利益とを衡量し,両者が均衡を失していると認められる場合を意味すると考えるべきであるが,その骨格となるのは,消費者契約法の目的,すなわち事業者と消費者の情報格差,交渉力格差を是正する原理であって,そのための均衡性原理と理解すべきである。この点からすれば,上記文言は,契約条項が「正当な理由がなく」消費者の利益を害するという意味と解するべきである。

(イ)  本件更新料約定は,民法601条の賃料支払義務に加えて賃借人の義務を加重するものであるから,「民法,商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し…消費者の義務を加重する消費者契約の条項」に該当することは明らかである。

(ウ)  そして,上記のとおり,本件賃貸借契約における更新料には,何ら合理的な対価性を有していないのであるから,本件更新料約定は,「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害する」条項といえる。

(エ)  加えて,本件賃貸借契約は,契約期間が1年間であるにもかかわらず,更新料の金額は10万円(月額賃料の約2.22倍)と高額であり,その不当性は際だっている。

(オ)  以上の理由から,本件更新料約定は消費者契約法10条に該当し無効である。

エ 民法90条について
上記のとおり,本件賃貸借契約における更新料は,全く合理的な対価性を有していないことに加え,その月額賃料に対する比率,本件賃貸借契約の契約期間の短さからすると,本件更新料約定は,暴利行為(少なくとも極めて不合理な支払約束)であるといえ,公序良俗に反し無効である。

オ まとめ
 よって,原告は,被告に対し,不当利得に基づき,既払更新料50万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払いを求める。

(2)  敷金の返還請求について
ア 上記のとおり,本件賃貸借契約締結の際,原告は被告に対し,敷金10万円を預託し,本件賃貸借契約は平成18年11月30日に終了し,そのころ,原告は,被告に対し,本件物件を明け渡した。

イ 平成18年11月分の未払賃料4万5000円は,上記敷金に充当される。
 被告は,平成18年分の更新料10万円が充当されると主張するが,上記のとおり,本件更新料約定は無効である上,平成18年の更新は法定更新である(本件約款第21条に基づく自動更新が行われたのであれば,更新料の授受がなされているはずであるが,更新料は授受されていない。)から,更新料支払義務は発生しない。

ウ よって,原告は被告に対し,本件敷金契約に基づき,本件敷金の残金5万5000円の返還及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払いを求める。

  (被告の主張)
(1)  既払更新料の返還請求について

ア 本件更新料約定は,消費者契約法10条及び民法90条に違反するものではなく有効である。

イ 更新料の法的性質について
(ア)  更新料は,一般的に,①更新拒絶権放棄の対価(紛争解決金),②賃借権強化の対価,③賃料の補充という複合的な法的性質を有するものであり,本件賃貸借契約における更新料も同様に,上記各法的性質を有する。

(イ)  更新拒絶権放棄の対価(紛争解決金)の性質(①)について更新料は,賃貸人の更新拒絶権を放棄することの対価としての性質を有する。また,更新料の支払いによる更新が予測される場合には,賃貸人は,更新拒絶権の有無を検討することなく更新に応じているのであり,更新料には,その支払いを約することによって,画一的に更新拒絶権行使に伴う紛争を回避する目的(紛争解決金としての性質)もある。
 なお,原告は,本件物件のような専ら他人に賃貸する目的で建築された居住用物件の場合においては,賃貸人からの更新拒絶の正当事由が認められるときは考え難いと主張するが,更新拒絶の正当理由は,賃貸人側の事情と賃借人側の事情を比較衡量して決すべきところ,近時は賃貸物件も過剰供給の状況が続いていることに伴い,借家権保護の必要性も変容しており,近時の裁判例においても,必ずしも賃貸人に自己使用の必要性があることまでは要求しておらず,不動産の有効利用の必要性がある場合などに賃貸人の更新拒絶権が認められる事例も少なくないから,原告の上記主張は失当である。

(ウ)  賃借権強化の対価の性質(②)について
 更新料は,契約更新後に期間の定めのある賃貸借契約となり,賃貸人からの解約申入れがなされないことの対価,すなわち賃借権が強化されることの対価としての性質を有する。
 原告は,本件約款第15条③を捉えて,本件賃貸借契約においては,合意更新後においても賃貸人からの解約申入れができると主張するが,同条項を合理的に解釈すれば,法定更新の場合の解約申入期間を確認的に定めた条項に過ぎないものであり,合意更新の場合には適用がないから,原告の上記主張は失当である。

(エ)  賃料の補充の性質(③)について
a  賃料の支払いについての民法614条は任意規定であるから,それと異なる合意をすることも可能であるところ,更新料は,低く設定された月々の賃料と併用されることにより,賃料の補充としての性質を有するものである。すなわち,賃貸人は,更新料約定がある場合には,賃料に加えて更新料が一時金として入ってくることを前提として月々の賃料を設定しているし,賃借人も,更新時の更新料を考慮して,賃借物件を選択している。

 更新料支払約定がある場合,賃借人としても,契約当初から1回目の更新までは,低く設定された賃料で賃借することができる上,仲介手数料,敷金等の初期費用が少なくて済む(これらの金額は月々の賃料を基準に決定されることが多いため)という利点がある。また,更新前に退去する賃借人にとっては,当該物件の居住期間の総額支払賃料が少なくて済むという利点がある。加えて,企業等の社宅や生活保護などで,更新料の補助がなされている場合は,月々の賃料の負担者は賃借人であるが,更新料の負担者は補助をしている者(企業,国等)であり,月々の賃料と更新料の負担者が異なっている。このような場合,賃借人には,更新料につき補助が受けられる上,月々の賃料が低額となるという利点がある。

 なお,更新料を賃料の補充と考えると,契約期間内に賃貸借契約が終了した場合と期間満了した場合とで差異が生じ得るが,この場合は,賃借人が更新料の支払いにより受けるべき利益を自ら放棄したものと
評価できるし,そもそも賃貸借契約は継続的な目的物の使用の対価として賃料を設定するため,厳密に使用収益の期間と賃料額を対応させること自体困難であるから,上記の差異をもって,更新料が賃料の補
充の性質を有することを否定する理由とはならない。

 また,原告は,更新料に賃料の補充の性質があるとすると,合意更新の場合と法定更新の場合とで,更新料支払義務の有無につき違いが生じ不合理であると主張する。しかしながら,賃料の補充の必要性は法定更新,合意更新いずれの場合でも同じであることからすれば,法定更新の場合にも更新料支払義務があるといえるから,原告の上記主張は失当である。

 本件賃貸借契約においても,本件建物は,京都市左京区下鴨の良好な閑静な住宅地に所在する鉄骨ブロック4階建の昭和58年1月31日築の建物(乙3)であり,本件物件は,電気・ガス・水道・6帖・台所・トイレ・給湯設備・冷暖房設備ありの物件であり(乙7),本件物件の月々の賃料は5万円でも相当であるが,本件更新料約定が存在するため,月々の賃料は4万5000円と比較的低額に設定されているものである。

(オ)  以上のとおり,本件賃貸借契約における更新料は,更新拒絶権放棄の対価(紛争解決金),賃借権強化の対価,賃料の補充の性質を有するものであり,原告の主張するように,何ら合理的な対価性を有していないものではない。

ウ 消費者契約法10条について
(ア)  上記更新料の法的性質に鑑みれば,更新料の支払いは賃貸借契約の中心的な内容の一つであり,契約の中心部分を定める条項に該当するというべきであるから,契約の中心条項について消費者契約法10条の適用はないという見解に立てば,本件更新料約定にはそもそも同条の適用はない。
 また,本件賃貸借契約は,原告と被告が個別に交渉をして契約締結に至っている(被告は,本件建物の本件物件以外の部屋も賃貸しているが,契約条件は部屋ごとに異なっている。)から,個別交渉を経た条項について消費者契約法10条の適用はないという見解に立てば,本件更新料約定には同条項の適用はない。

(イ)  上記のとおり,本件賃貸借契約における更新料は,更新拒絶権放棄の対価,賃借権強化の対価,賃料の補充という複合的な性質を有しており,また,賃料の支払義務は民法に定められているのであるから,本件更新料約定は,「民法,商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し…消費者の義務を加重する」条項ではない。

(ウ)  消費者契約法10条の,「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害する」条項に該当するか否かは,当該条項を有効とすることによって消費者が受ける不利益と,その条項を無効とすることによって事業者が受ける不利益とを総合的に衡量し,消費者の受ける不利益が,均衡を失すると言えるほどに一方的に大きいといえるか否かで判断されるべきものであるところ,次の理由から,本件更新料約定は,上記文言に該当しない。

 本件更新料約定の合理性について
上記のとおり,本件賃貸借契約における更新料は,更新拒絶権放棄の対価(紛争解決金),賃借権強化の対価,賃料の補充という複合的な性質を有しており,十分な合理性を有している。
 また,借家契約における更新料支払の合意は,古くから全国的に行われてきたものであるし,裁判実務においても承認されてきている(一定額の更新料の支払いを内容とする和解や調停も相当数存在する。)。
さらに,生活保護制度でも,更新料の扶助がなされており,更新料支払の合意は社会的承認を得ているものといえる。
 加えて,借地借家法の制定過程において,借家契約における賃料名目以外の金銭(権利金,更新料,立退料等)につき,何らかの法的規制を及ぼすべきか否かについての問題提起がなされているが,借地借家法の制定においても,その後の同法の改正においても,更新料に関する規制はなされていない(この立法者の意思としては,更新料そのものが不合理なものであるとして法的規制を及ぼすのではなく,専ら私的自治に委ねるべきとの判断が示されていると考えるべきである。)。

 情報の格差について
建物の賃貸借契約は一般に広く行われる契約であり,物件の広告においても更新料という用語は広く用いられており,更新料は,「約定の契約期間満了後も契約を継続する場合にその対価として支払うもの」であるという意味においては一般に広く理解されているものである。
 また,建物の賃貸借契約は,賃貸条件に関する情報をもとに,消費者が経済的負担を勘案して物件を選択し,申込みを行い,契約に至るというのが実態であり,事業者が消費者に対して契約締結を働きかけるものではない。
 さらに,今日においては,消費者は,賃貸物件の情報を容易に入手することができるし,仲介を行う宅地建物取引業者(建物賃貸借においては,ほとんどの場合,宅地建物取引業者の仲介がなされている。)には,重要事項説明義務として,消費者に対し,更新料を含む賃貸条件等について説明すべき義務が課せられている(本件賃貸借契約においても,重要事項説明書〔甲1,乙7〕が交付され,更新料についての説明が行われている。)。その上で,消費者は,更新料を含む経済的負担を物件の使用収益の対価として認識し,契約の申込を行っているのが通常であり,そこに情報の格差を理由に法が介入する合理的な理由は見出せない。

  原告及び被告の不利益について
原告は,5回にわたり被告との間で合意更新を行って更新料を支払ってきた。原告は,更新料を含めた経済的負担に見合う経済的合理性があると判断し,本件物件の使用収益,契約期間の保護という利益を既に享受しているのであるから,本件更新料約定を無効にしてまで保護すべき原告の利益は存在しない(仮に存在するとしても極めて小さい。)。
 他方,被告は,更新料の支払いを受けることの対価として,更新拒絶権を放棄し,賃借権の強化という利益を原告に与えているし,更新料等の一時金を含めて全体の収支を計算し,月々の賃料を設定している。更新料徴収に対する,このような被告の期待(利益)は十分に法的保護に値するものである(実際に,原告から支払われた更新料は,被告の収入となり,税務申告をして税金を支払い,また賃貸経営の諸経費,生活費などにすでに使用されてしまっている。)。
 さらに,本件更新料約定が無効となれば,他の物件の賃貸借関係にも波及し,被告は,消費者契約法施行後に締結された全ての賃貸借契約について,更新料を返還しなければならなくなるという不測の損害を被ることとなる。
 このように,本件更新料約定が有効とされることによって原告が被る不利益と,無効とされることによって被告が被る不利益とを比較衡量すると,被告の不利益の方が圧倒的に大きい。

(エ)  以上より,本件更新料約定は,消費者契約法10条に違反するものではない。

エ 民法90条について
上記アないしウで述べたところによれば,本件更新料約定が公序良俗に反するものではないことは明らかである。
 なお,原告は,更新料と月々の賃料とを単純に比較し,本件賃貸借契約における更新料が不当に高額であると主張するが,更新料の金額の高低は,単純に月々の賃料との比較で決められるべき問題ではなく,月々の賃料及び更新料を併せた絶対的な金額そのもので判断がなされるべきものであるから,原告の主張は失当である。

オ まとめ
 以上のとおり,本件更新料約定は有効であるから,既払更新料の返還を求める原告の請求には理由がない。

(2)  敷金の返還請求について
ア 原告の主張(2)アの事実は認める。

イ 同イは争う。本件賃貸借契約は,平成18年には本件約款第21条に基づき自動更新され,原告は,更新料10万円の支払義務を負っているが,これを支払っていないから,本件敷金には,未払賃料よりも弁済期の早い更新料10万円が充当され,平成18年11月分の賃料4万5000円が未払いとなっているから,本件敷金は残存しない。

ウ よって,敷金の返還を求める原告の請求には理由がない。

第3  当裁判所の判断
1 前記当事者間に争いのない事実等,証拠(甲1ないし8,乙1,4ないし7,9)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。

(1)  原告は,平成12年8月6日,京都ライフから,重要事項説明書の交付及びそれに基づく説明を受けた上で(その際,本件更新料約定についても説明を受けた。),京都ライフを通じ,被告に対し,本件物件の賃借を申し込み原告と被告は,同月11日ころ,本件賃貸借契約を締結している。

(2)  原告と被告は,平成13年から平成17年までの毎年8月末の本件賃貸借契約の各更新の際,解約の通知及び更新拒絶の申出を行わず,その都度,契約期間をその後の1年間とするほかは,家賃(共益費,水道代を含む。)の金額を含め,契約内容を従前どおりとすることととして,本件賃貸借契約を更新する旨合意し,原告は,被告に対し,更新料10万円(合計50万円)を支払っている。

(3)  原告と被告は,平成18年8月末の本件賃貸借契約の更新の際には,同様に,解約の通知及び更新拒絶の申出をしない一方,更新する旨の合意もせず,また,原告は,被告に対し,更新料(10万円)を支払わなかった。原告は,被告に対し,上記契約期間経過後である平成18年9月1日から同年10月31日までの間の家賃2か月分合計9万円を支払った。

(4)  原告と被告は,本件賃貸借契約において,自動更新条項(本件約款第21条)を設け,更新時に特段の合意をしない場合においても,本件賃貸借契約を,自動的に,家賃・共益費等の金額に関する点を除き,従前と同様の条件で更新し,その際,原告が被告に対し更新料10万円を支払う旨合意しているから,本件賃貸借契約においては,法定更新が行われる余地はなく,当事者間の合意による更新又は本件約款第21条による自動更新のみが予定されており,いずれの場合においても本件更新料約定に基づく更新料の支払いが合意されているということになる。したがって,本件賃貸借契約の前記6回の更新のうち,平成13年から平成17年までの5回は,当事者間の合意による更新であり,平成18年の最後の更新は,法定更新ではなく,本件約款第21条による自動更新である(本件賃貸借契約は,平成18年の更新後も契約期間を定めていることになる。)。

2  更新料の法的性質
(1)  被告は,本件賃貸借契約における更新料は,①賃貸人の更新拒絶権放棄の対価(紛争解決金),②賃借権強化の対価,③賃料の補充という複合的性質を有していると主張する。

(2)  更新拒絶権放棄の対価(紛争解決金)の性質(①)について
ア 賃貸人は,正当事由があると認められる場合であれば,賃貸借契約の更新をしない旨の通知をすることができるところ(借地借家法28条),賃貸人と賃借人との間で更新料が授受され,賃貸借契約の合意更新(ないし自動更新)が行われる場合においては,賃貸人は,正当事由が存在しないことが明らかではないときにおいても,賃貸借契約の更新をしない旨の通知をしないで,契約を合意更新(ないし自動更新)するのであるから,一般的に,更新料は,更新拒絶権放棄の対価の性質を有するものと認めることができる。

イ もっとも,当然のことながら,常に正当事由があると認められるものではなく,特に,本件賃貸借契約のように専ら他人に賃貸する目的で建築された居住用物件の賃貸借契約においては,更新拒絶の正当事由が認められる場合は多くはないと考えられるから,更新拒絶権放棄の対価としての性質は希薄であるというべきである。

ウ 原告は,合意更新(ないし自動更新)がされる場合は,既に賃貸人による更新拒絶権行使の期間(契約期間の満了の6月前まで〔借地借家法26条1項〕)が徒過しており,更新拒絶権が発生しないことが確定しているのが通常であるから,更新拒絶権放棄や更新拒絶権行使に伴う紛争解決金ということで更新料の性質を説明することはできないと主張する。しかしながら,更新料を支払うことをあらかじめ合意している場合には,賃貸人は,更新料の支払いが受けられることを期待して,更新拒絶権を行使しないものと考えられるから,更新料は,更新拒絶権放棄の対価となっているものと評価することができ,原告の主張を採用することはできない。

(3)  賃借権強化の対価の性質(②)について
ア 賃貸人と賃借人との間で更新料が授受され,賃貸借契約の合意更新(ないし自動更新)が行われ,更新後も期間の定めのある賃貸借契約となる場合には,賃借人は,契約期間の満了までは明渡しを求められることがない。これに対し,法定更新の場合には,更新後の賃貸借契約は,期間の定めのないものとなり(借地借家法26条1項),賃貸人はいつでも解約を申し入れることができることとなるから,賃借人の立場は,程度の差はあるにせよ,そのことによって不安定なものとなる。したがって,更新料を支払って合意更新することには(更新後も期間の定めのある賃貸借契約とすることができるから),賃借人にとっても,利益は存することになる。
 加えて,賃貸人が更新拒絶権を行使した場合には,正当事由の存否の判断にあたり,従前更新料の授受がされていることが考慮されるもの考えられる。
 したがって,本件賃貸借契約における更新料は,賃借権強化の性質を有するものと認めることができる。

イ もっとも,前判示のとおり,本件賃貸借契約においては,契約期間が1年間という比較的短期間であるから,合意更新(ないし自動更新)により賃借権が強化される程度は限られたものである上,前判示の更新拒絶の場合と同様に,本件賃貸借契約のように専ら他人に賃貸する目的で建築された居住用物件の賃貸借由が認められる場合は多くはないものと考えられるから,賃借権強化の対価としての性質は希薄であるというべきである。

ウ 原告は,本件賃貸借契約では合意更新(ないし自動更新)が行われ,更新後も期間の定めのある賃貸借契約となっても,本件約款第15条③により,賃貸人である被告は,賃借人である原告に対し,解約を申し入れることができるとされており,何ら賃借権は強化されていないと主張する。しかしながら,借地借家法は,建物の賃貸借について期間の定めがある場合においては,賃貸人が期間内に解約する権利を民法618条に基づいて留保することを予定していないものと解するのが相当であり(借地借家法27条は,建物の賃貸借について期間の定めがない場合において,賃貸人が解約の申入れをしたときには,解約申入れの日から6か月を経過することによって終了する旨を規定している。),本件約款第15条③は,借地借家法30条により無効であるから,同条項が有効であることを前提とする原告の主張を採用することはできない。

(4) 賃料の補充の性質(③)について
ア 前判示のとおり,本件賃貸借契約における更新料は,更新拒絶権放棄の対価及び賃借権強化の対価としての性質を有するものの,その程度は希薄である。それにもかかわらず,原告は,本件物件を賃借するにあたり,被告との間で,礼金6万円,家賃(共益費,水道代を含む。)1か月4万5000円を前月末日支払い,契約期間1年間,自動更新条項(本件約款第21条)のほか,合意更新又は自動更新の際更新料として10万円を支払う旨の約定のある本件賃貸借契約を締結している。
 このような賃貸借契約を締結する当事者の意思を合理的に解釈すると,賃貸人は,契約締結後1年目は礼金6万円に月額家賃4万5000円の12か月分を加算した合計60万円の売り上げを予定し,2年目以降は更新料10万円に月額家賃4万5000円の12か月分を加算した合計64万円の売り上げか,または,賃借人が転居した場合には新たな賃借人から,上記1年目と同様の売り上げを期待しているものと考えられ,他方,賃借人は,仲介業者から複数の物件の紹介を受けるのが一般の取扱いであると考えられることからすると,物件の所在,設備,広さ等とともに,更新料を含む経済的な出捐(礼金,敷金,賃料及び更新料)を比較検討した上で,賃借する物件を選択しているとみることができる。そして,原告又は被告が,本件賃貸借契約を締結するにあたり,これと異なる意思を有していたことを認めるに足りる証拠はない。

イ このように更新料は,被告が本件物件を原告に賃貸し,原告が本件物件を使用収益することに伴い,原告が被告に対して行うことを約束した経済的な出損であり,しかも,前判示のとおり,本件賃貸借契約の契約期間が1年間と比較的短期間であり,かつ,更新しない場合には授受が予定されていない(契約後1年間で終了し更新しない場合には,全く授受されない。)ことからすると,本件更新料約定は,本件賃貸借契約における賃料の支払方法に関する条項であり,具体的には,契約期間1年間の賃料の一部を更新時に支払うこと(いわば賃料の前払い)を取り決めたものであるというべきである。したがって,本件賃貸借契約において更新料は,用語が適切かは疑義が残るが,賃料の補充の性質を有しているものということができよう。

(5)  以上のとおり,本件賃貸借契約における更新料は,主として賃料の補充(賃料の前払い)としての性質を有しており,併せて,その程度は希薄ではあるものの,なお,更新拒絶権放棄の対価及び賃借権強化の対価としての性質を有しているものと認められる。

3  民法90条及び消費者契約法10条
(1)  前判示の本件賃貸借契約における更新料の性質をふまえ,本件更新料約定が,民法90条により無効となるか検討するに,前判示のとおり,本件賃貸借契約における更新料が主として賃料の補充(賃料の前払い)としての性質を有しているところ,その金額は10万円であり,契約期間(1年間)や月払いの賃料の金額(4万5000円)に照らし,直ちに相当性を欠くとまでいうことはできない。
 よって,本件更新料約定が民法90条により無効であるとする原告の主張を採用することはできない。

(2)  本件更新料約定が,消費者契約法10条により無効となるか検討する。
ア 前判示のとおり,本件賃貸借契約における更新料は,主として賃料の補充(賃料の前払い)としての性質を有しており,本件更新料約定が,本件賃貸借契約における賃料の支払方法に関する条項(契約期間1年間の賃料の一部を更新時に支払うことを取り決めたもの)であることからすると,「賃料は,建物については毎月末に支払わなければならない」と定める民法614条本文と比べ,賃借人の義務を加重しているものと考えられるから,消費者契約法10条前段の定める要件(本件更新料約定が「民法,商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し,消費者の義務を加重する消費者契約の条項」であること)を満たすものというべきである。

イ そこで,同条後段の要件(本件更新料約定が「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」であること)について検討するに,前判示のとおり,①本件賃貸借契約における更新料の金額は10万円であり,契約期間(1年間)や月払いの賃料の金額(4万5000円)に照らし,過大なものではないこと(しかも,本件賃貸借契約においては,賃借人である原告は,契約期間の定めがあるにもかかわらず,いつでも解約を申し入れることができ,その場合には,更新料の返還は予定されていないが,原告が解約を申し入れた場合には,解約を申し入れた日から,民法618条において準用する同法617条1項2号が規定する3か月を経過することによって終了するのではなく,解約を申し入れた日から1か月が経過した日の属する月の末日をもって終了するか,又は,被告に1か月分の賃料を支払うことにより即時解約することもできることとされているから〔本件約款第15条〕,月払いの賃料の金額〔4万5000円〕の2か月分余りである本件賃貸借契約における更新料の金額は,過大なものとはいえないこと),②本件更新料約定の内容(更新料の金額,支払条件等)は,明確である上,原告が,本件賃貸借契約を締結するにあたり,仲介業者である京都ライフから,本件更新料約定の存在及び更新料の金額について説明を受けていることからすると,本件更新料約定が原告に不測の損害あるいは不利益をもたらすものではないことのほか,③本件賃貸借契約における更新料が,その程度は希薄ではあるものの,なお,更新拒絶権放棄の対価及び賃借権強化の対価としての性質を有しているものと認められることを併せ考慮すると,本件更新料約定が,「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」とはいえないものというべきである。

ウ 以上によれば,本件更新料約定が消費者契約法10条により無効であるということはできない。

エ なお,原告の主張するとおり,更新料は,賃借人が物件を選定する際に主として月払いの賃料の金額に着目する点に乗じ,「更新料」という直ちに賃料を意味するものではない言葉を用いることにより,賃借人の経済的な出損があたかも少ないかのような印象を与えて契約締結を誘因する目的で利用されている面があることを直ちに否定することはできないけれども,更新料に関する報道が広く行われることなどを通じ,消費者が更新料の性質についての認識を深めていくことが考えられるし,不動産賃貸借の市場がその機能を十全に発揮すれば,賃貸業者の間で,更新料に関する競争が行われることが考えられるのであるから,原告の上記のような懸念が事実であるとしても,そのことから,直ちに,更新料に関する約定がおよそ民法90条又は消費者契約法10条により無効であるということはできない。加えて,賃貸借契約を締結する際,賃貸人に対して更新料に関する約定に関する説明が十分に行われなかった場合や,更新料に関する約定の内容(更新料の金額,支払条件等)が不明確であるため賃借人が賃貸借契約に伴い要する経済的な出損の全体像を正しく認識できない場合には,更新料に関する約定が当該賃貸借契約の内容とはなっていないとされたり,上記約定が消費者契約法10条により無効とされることが考えられないではないが,本件賃貸借契約の締結に至る前判示のとおりの経緯,本件更新料約定の内容には,そのような事情は認められない。

 以上のとおり,本件更新料約定が民法90条又は消費者契約法10条により無効であるとする原告の主張を採用することはできないから,本件更新料約定が無効であることを前提とする原告の不当利得返還請求には理由がない。

5  敷金返還請求について
(1) 前判示のとおり,原告と被告は,本件賃貸借契約において,自動更新条項(本件約款第21条)を設け,更新時に特段の合意をしない場合においても,本件賃貸借契約を,自動的に,家賃・共益費等の金額に関する点を除き,従前と同様の条件で更新し,その際,原告が被告に対し更新料10万円を支払う旨合意しているから,本件賃貸借契約においては,法定更新が行われる余地はなく,当事者間の合意による更新又は本件約款第21条による自動更新のみが予定されており,いずれの場合においても本件更新料約定に基づく更新料の支払いが合意されているということになる。

(2)  したがって,原告は,本件約款第21条及び本件更新料約定に基づき,被告に対し,10万円の更新料支払義務を負うこととなる。そして,前判示のとおり,本件敷金の額は10万円であり,本件敷金契約は,本件約款第5条④において,「被告は,本件賃貸借契約終了後,原告が,本物件の明渡を完了した日より1か月後に,本件敷金から,原告が,本件賃貸借契約上,被告に対して負担する債務を控除した残金を原告に返還する」旨定めており,本件敷金は,上記更新料10万円の支払義務に充当されるから,本件敷金の返還を求める原告の請求には理由がないこととなる。

第4  結論
 以上の次第で,原告の請求にはいずれも理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。 

    京都地方裁判所第4民事部

             裁判長裁判官     池田光宏

             裁判官          井田宏

             裁判官          中嶋謙英



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2008年6月12日 (木)

2008年1月30日、更新料返還訴訟 判決文要旨(京都地裁)

 判例紹介

更新料訴訟



平成19年(ワ)第1793号更新料返還等請求事件

判決要旨

京都地方裁判所第4民事部

第1 結論・・・請求棄却

第2 事案の概要
  被告との間で賃貸借契約を締結し、被告の所有する物件に居住していた原告が、更新料支払の約定が消費者契約法10条又は民法90条に反し無効であると主張して、既払いの更新料の返還等を求めた事案

第3 判決理由の要旨
 1 更新料の法的性質について

 (1)更新拒絶権放棄の対価(紛争解決金)・賃借権強化の対価の性質について

 ア 更新料が授受され合意更新が行われる場合、賃貸人は、更新拒絶の通知をしないで、契約を更新するのであるから、更新料は、更新拒絶権放棄の対価の性質を有する。
 また、法定更新の場合(更新後は、期間の定めのない賃貸借となり、賃貸人からいつでも解約申入れが可能となる。)とは異なり、合意更新により更新後も期間の定めのある賃貸借となる場合には、賃借人は、期間満了まで明渡しを求められることがない上、賃貸人が将来、更新を拒絶した場合の正当事由の存否の判断にあたり、従前の更新料の授受が考慮されるものと考えられるから、更新料は、賃借権強化の性質を有する。

 イ もっとも、常に更新拒絶や解約申入れの正当事由があると認められるものではなく、特に、本件のように専ら賃貸目的で建築された居住用物件の賃貸借契約においては、正当事由が認められる場合は多くはないと考えられるし、本件賃貸借契約の期間は1年間と比較的短期間であり賃借権が強化される程度は限られたものであるから、本件更新料の有する、更新拒絶権放棄の対価・賃借権強化の対価としての性質は希薄である。

 (2) 賃料の補充の性質について

 ア 上記のとおり、本件更新料の有する、更新拒絶権放棄の対価及び賃借権強化の対価としての性質は希薄であるにもかかわらず、原告と被告は、更新料支払の約定のある本件賃貸借契約を締結している。
  このような契約当事者の意思を合理的に解釈すると、賃貸人は、1年目は、礼金と家賃を加算した金額の売り上げを、2年目以降は、更新料と家賃を加算した金額の売り上げを期待しているものと考えられ、他方、賃借人は、更新料を含む経済的な出指を比較検討した上で、物件を選択しているとみることができる。そして、原告又は被告が、これと異なる意思を有していたことを認めるに足りる証拠はない。

 イ このように、本件更新料は、本件物件の賃貸借に伴い約束された経済的な出損であり、本件約定は、1年間の賃料の一部を更新時に支払うこと(いわば賃料の前払い)を取り決めたものであるというべきである。

 2 本件約定が民法90条により無効といえるか

 本件更新料は、その金額、契約期間や月払いの賃料の金額に照らし、直ちに相当性を欠くとまではいえないから、本件約定が民法90条により無効であるということはできない。

 3 本件約定が,消費者契約法10条により無効といえるか。

(1) 消費者契約法10条前段の要件(「民法、商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の義務を加重する消費者契約の条項」)を満たすか。

  本件更新料が、主とじて賃料の補充(賃料の前払い)としての性質を有していることからすると、本件約定は、「賃料は、建物については毎月末に支払わなければならない」と定める民法614条本文と比べ、賃借人の義務を加重しているものと考えられるから、本件約定は、上記要件を満たす。

(2) 消費者契約法10条後段の要件(「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」)を満たすか。

  ① 本件更新料の金額は、契約期間や賃料の月額に照らし、過大なものではないこと
  ② 本件更新料約定の内容は明確である上、その存在及び更新料の金額について原告は説明を受けていることからすると、本件約定が原告に不測の損害、不利益をもたらすものではないこと等を併せ考慮すると、本件約定が上記要件を満たすものとはいえない。

(3) 結論
  以上より、本件約定が消費者契約法10条により無効であるということはできない。

                            


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2008年4月10日 (木)

地主が更新料を要求

       地主に借地契約の更新請求を通知した

 台東区千束で永年雑貨商を営む野口さんは16坪を借地している。先月末に3軒先に住む地主に地代を持参した折り、突然地主から「来月10日に契約が満了になる。契約を更新するのであれば更新料として500万円支払って頂きたい」と言われ、慌ててしまった。家に帰り、家族と更新料について話し合った。だが昨今の景気動向では、とても高額な更新料を支払うことは出来ない。

 困り果て、近所の人から借地借家人組合があることを知り早速組合に相談し、加入した。組合の説明では、野口さんの借地契約書には「更新料支払特約」が書き込まれていない。このように更新料の支払い約束の無い場合は、更新料の支払義務がないことは判例上確定している。従って更新料を支払わなくても借地の更新は問題なく出来る。また建替えも組合の指導に随えば問題なく行えるという説明であった。

 後日組合が準備した「借地法」4条に基づく「借地契約の更新請求」を地主に配達証明付内容証明郵便で通知した。

  借地法4条は借地権が消滅した場合でも借地人からの請求によって一方的に更新を認め、地主は原則としてこれを拒めない。借地契約は地主と合意しなくても前の契約と同一条件の借地権が設定されたものとみなされ、木造建物の場合は借地期間20年と法定される。契約書が無くても借地契約は自動更新される。

 「次回、地主宅に地代を持参する時は地主に更新料は法定されていないし、判例上も支払義務がないことは確定していることを説明し、更新料支払い拒否の意思を明確に伝える積りである。今ままでは地主の要求に言われるままに応じて来た。これからは借地法を勉強して根拠の無い要求には一切応じない決心を固めた。これからは組合とともに頑張りたい」と語った。



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2008年3月 9日 (日)

更新料650万円の請求を拒否すると・・・・。

 荒川区町屋で共有名義50坪を借地している梅津さん夫婦は、昨年秋に更新料として20年前の倍額の650万円の支払いを要求されたが、きっぱりと支払い拒否し法定更新をした。その後、地主から何度も「非人間だとか、人の土地を奪い取るのか」等々の手紙を何通も受け取った。

 梅津さんはその都度、借地人の権利義務の関係を地主に訴え、対応の正当性を主張し続けた。今年5月になって、地主の代理人の弁護士2名より突然、梅津さんのご主人名義で家を建てたのは借地の無断譲渡との理由で契約を解除する旨の内容証明が送られてきた。梅津さん夫婦は、現在の住居を数十年前に建てた時先代の地主との間で話し合い合意が成立の上、承諾書も交わしてあったので無断譲渡ではないと代理人に回答した。

 6月に入ると代理人の弁護士から再度通知があり、「梅津さんを正式に借地人として認める。但し特約事項で、①更新時に更新料を支払うこと、②現賃貸人の亡夫が地主当時合意した事実も一切承認しないのでご主人亡き後地主の承諾なしでは借地権の相続は認めない」との契約書の作成をしたい旨の申し出があった。梅津さん夫婦はこんな契約は断固拒否すると返答した。

 その後、弁護士は沈黙しているが、更新料を不払いだからと6月から更に5000円の値上げを請求し、契約書の作成と更新料と地代値上げは絶対に譲歩しないと主張している。梅津さんは不当な請求を拒否して頑張る決意だ。

東京借地借家人新聞より


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2008年3月 8日 (土)

更新料返還訴 京都で2人が新たに提訴 

 賃貸マンションなどの更新料制度の違法性を主張し、借主側の立場で訴訟を支援している「京都敷金・保証金弁護団」(団長・野々山宏弁護士)は2月27日、新たに2件の更新料返還の訴えを起こしたと発表した。

 賃貸マンションの更新料は消費者契約法違反だとして、女性2人が27日、貸主側に返還などを求めて、それぞれ京都地裁と右京簡裁に提訴した。

 京都地裁に提訴している北海道出身の20代女子大生は2006年4月から契約期間1年、家賃5万8000円と1年ごとに更新料11万6000円を払う契約で京都市左京区の学生マンションに入居した。ところが2007年の更新後、防犯カメラで帰宅時間や友人の来訪をチェックされ、そのチェック結果を理由に中途解約された。結果、契約更新、7カ月後の11月にマンションを退去した。地裁に提出した訴状では、更新料や保証金のほか、プライバシー侵害による慰謝料など計約64万円を求めている。

 一方、右京簡裁に提訴した熊本県出身の20代女性は03年4月から、家賃3万8000円、1年ごとに更新料7万6000円を払う契約で、西京区のマンションに居住した。4回の契約更新したが、既に支払った3回分の更新料(22万8000円)の返還などを請求している。

 京都の「既払更新料の返還訴訟」で京都地裁は2008年1月30日、「更新料は,主として賃料の補充(賃料の前払い)としての性質がある」とする判決を出した。

 借主側の「京都敷金・保証金弁護団」は「貸主は退去を要求しながら更新料の精算をしておらず、京都地裁判決が更新料を有効とした根拠の『更新料は,賃料の補充(賃料の前払い)』という判断と矛盾する。更新料が 賃料の前払いでないのは明らか」と主張する。

 「大学進学で京都に来た両原告は更新料制度を知らなかった。学生の街・京都での不当な制度を改めたい」と強調している。

京都地裁2008年1月30日判決全文はこちら

判決文要旨はこちら



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2008年2月21日 (木)

2008年1月30日京都地裁判決(更新料返還請求)

 判例紹介

事件番号         平成19年(ワ)第1793号
事件名          更新料返還等請求事件
裁判年月日    平成20年1月30日
裁判所名      京都地方裁判所
部         第4民事部
結果        棄却

(判示事項の要旨)
 
賃貸借契約における更新料を支払う旨の約定が,民法90条及び消費者契約法10条により無効であるとはいえないと判断された事例


                                         主              文

1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。

                                         事実及び理由

第1 請求
被告は,原告に対し,55万5000円及びこれに対する平成19年4月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第2 事案の概要

1 本件は,被告の所有する建物の一室について,被告との間で賃貸借契約を締結し居住していた原告が,①上記賃貸借契約における更新料支払の約定は消費者契約法10条又は民法90条に反し無効であると主張し,不当利得に基づき,過去5回に渡り支払った更新料(合計50万円)の返還及びこれに対する遅延損害金(訴状送達の日の翌日である平成19年4月22日から支払済みまで民法所定の年5分の割合によるもの)の支払いを求めるとともに,②敷金契約に基づき,敷金10万円から未払賃料4万5000円を控除した5万5000円の返還及びこれに対する遅延損害金(訴状送達の日の翌日である平成19年4月22日から支払済みまで民法所定の年5分の割合によるもの)の支払いを求めた事案である。

2 当事者間に争いのない事実等
(1)  被告は,別紙物件目録記載の建物(以下「本件建物」という。)を所有し,不動産賃貸を事業として営む者である(乙1,3,弁論の全趣旨)。

(2)  賃貸借契約,敷金契約の締結(甲1,乙1,7,9)
 原告は,平成12年8月6日ころ,仲介業者である株式会社京都ライフ(以下「京都ライフ」という。)から,本件建物の一室(2階205号室,以下「本件物件」という。)の紹介を受け,同月6日,京都ライフから,重要事項説明書の交付及びそれに基づく説明を受けるとともに,京都ライフを通じ,被告に対し,入居申込書(乙9)を提出して,本件物件の賃借を申し込んだ。原告と被告は,同月11日ころ,本件物件につき,次の内容の賃貸借契約(以下「本件賃貸借契約」という。)を締結し,被告は,同月15日ころ,原告に対し,本件賃貸借契約に基づき,本件物件を引き渡した。
 また,原告と被告は,本件賃貸借契約を締結するにあたり,原告が被告
に対し敷金として10万円(以下「本件敷金」という。)を預託した(以下「本件敷金契約」という。)。
(ア)  賃貸人被告
(イ)  賃借人原告
(ウ)  家賃1か月4万5000円(共益費,水道代を含む。)
(エ)  契約期間平成12年8月15日から平成13年8月30日ま
での約1年間(以後1年更新)
(オ)  礼金6万円
(カ)  更新料10万円(以下,この更新料の支払いに関する約定を「本件更新料約定」という。)

 賃貸借契約約款の内容(乙1)
原告と被告が本件賃貸借契約を締結するにあたり取り交わした建物賃貸借契約書(乙1)には,冒頭に「賃貸人と賃借人は,この契約書および賃貸借契約約款により,下記に表示する建物(目的物件)に関する賃貸借の契約を締結します。」と記載され,3頁から6頁までに「賃貸借契約約款」(以下「本件約款」という。)が記載されている。本件約款には,次の条項が掲げられている(なお,本件約款の条項中,「甲」とあるのは賃貸人である被告を意味し,「乙」とあるのは賃借人である原告を意味する。)。

第3条 (使用目的)
乙は本物件を,居住の用途以外の目的に使用してはならない。

第4条 (家賃・共益費)
① 乙は,契約書記載の家賃・共益費を,毎月末日までに翌月分を契約書指定の方法により,甲に支払う。この場合において,甲が,金融機関への振込を指定したときは,振込手数料は,乙の負担とする。
② 本契約期間の開始日が,暦上の1か月の中途である場合は,開始日の属する月の家賃・共益費は,日割計算(1か月は,30日として計算。)とする。明渡月については,日割計算はせず,乙は,明渡日が暦上の1か月の中途であっても,その月の末日までの家賃・共益費を支払うものとする。

第5条 (敷金)
① 乙は,本契約(特約を含む)より生ずる,乙の一切の債務を担保するため,本契約締結と同時に,契約書記載の敷金を甲に預託し,甲は,これを無利息にて保管する。
④ 甲は,本契約終了後,乙が,本物件の明渡を完了した日より1か月後に,本契約敷金から,乙が,本契約上,甲に対して負担する債務を控除した残金を乙に返還する。

第15条 (解約)
① 乙は,1か月以前に,甲又は甲の指定したる管理業者・管理人に書面による通知をすることにより,本契約を解約することができる。この場合においては,乙の通知が,甲に到達した日より起算して,1か月が経過した日の属する月の末日をもって,本契約は終了する。但,契約書に別段の定めがある場合はそれに従うものとする。
② 乙は,前項に拘らず,甲に1か月分の賃料を支払うことにより,本契約を即時解約することができる。
③ 甲は,6か月以前に,乙に通知することにより,本契約を解約することができる。

第21条 (更新)
契約書記載の賃貸借期間の満了時より,甲にあっては6か月前,乙にあっては1か月前までに各相手方に対し更新拒絶の申出をしない限り,本契約は家賃・共益費等の金額に関する点を除き,更新継続されるものとする。但し契約書に別段の定めがある場合はそれに従う。尚この場合,乙は甲に対し,契約書記載の更新料を支払わねばならない。

ウ 重要事項説明書の内容(乙7)
原告が被告に対し本件物件の賃借を申し込むにあたり京都ライフから交付を受けた重要事項説明書(乙7)には,「契約更新に関する事項」として,次の記載がされている。
「本契約満了により賃貸人は6か月前,賃借人は1か月前迄に各相手方に対し更新の可否を申し出ない限り継続され賃借人は賃貸人に更新料を支払い,同時に賃料等改定については公租公課・近隣賃料等の比較により改定する事が出来る。」
エ 礼金,家賃,敷金等の支払い(甲1,2,乙1,7,9)

(ア)  原告は,平成12年8月6日から同月11日にかけて,京都ライフを通じ,被告に対し,上記敷金10万円を含め,次のとおり合計24万1000円を支払った(なお,礼金の金額は,原告提出の重要事項説明書の写し〔甲1〕〔15万円〕と被告提出の重要事項説明書の原本〔乙7〕〔6万円〕とで異なっているが,前者〔写し〕には改ざんの痕跡が認められることに加え,原告が作成した入居申込書〔乙9〕には礼金が6万円であると記載されていること,原告の支払合計額が27万8800円であり〔甲2〕,礼金が6万円を前提とする上記24万1000円に(イ)記載の手数料3万7800円を加算した金額と一致することに照らし,礼金の金額は,後者〔原本〕に記載されている6万円であるものと認められる。)。

①  礼金6万円
②  家賃7万0500円
内訳・8月15日から同月31日までの17日分=2万5500円
9月分4万5000円
④  敷金10万円
⑤  入居者相互会費1万0500円

(イ)  原告は,平成12年8月11日,京都ライフに対し,手数料として3
万7800円を支払った。

(3)  賃貸借契約の更新・解約・賃料の支払い(甲3ないし8,乙4,5)
ア 原告と被告は,平成13年8月3日ころ,契約期間を平成13年8月31日から平成14年8月31日までとするほかは,家賃(共益費,水道代を含む。)の金額を含め,契約内容を従前どおりとすることととして,本件賃貸借契約を更新する旨合意し,原告は,同日,被告に対し,更新料10万円を支払った(甲3,5)。

イ 原告と被告は,平成14年9月1日,契約期間を平成14年9月1日から平成15年8月31日までとするほかは,家賃(共益費,水道代を含む。)の金額を含め,契約内容を従前どおりとすることととして,本件賃貸借契約を更新する旨合意し,原告は,同月25日,被告に対し,更新料10万円を支払った(甲4,5)。

ウ 原告と被告は,平成15年8月ころ,契約期間を平成15年9月1日から平成16年8月31日までとするほかは,家賃(共益費,水道代を含む。)の金額を含め,契約内容を従前どおりとすることととして,本件賃貸借契約を更新する旨合意し,原告は,そのころ,被告に対し,更新料10万円を支払った(甲6)。

エ 原告は,平成16年8月9日,被告に対し,更新料10万円を支払い,原告と被告は,同年9月1日,契約期間を平成16年9月1日から平成17年8月31日までとするほかは,家賃(共益費,水道代を含む。)の金額を含め,契約内容を従前どおりとすることととして,本件賃貸借契約を更新する旨合意した(甲7,乙4)。

オ 原告は,平成17年8月4日,被告に対し,更新料10万円を支払い,原告と被告は,同年9月1日,契約期間を平成17年9月1日から平成18年8月31日までとするほかは,家賃(共益費,水道代を含む。)の金額を含め,契約内容を従前どおりとすることととして,本件賃貸借契約を更新する旨合意した(甲8,乙5)。

カ 原告と被告は,契約期間を平成17年9月1日から平成18年8月31日までとする本件賃貸借契約について,解約の通知及び更新拒絶の申出をしない一方,更新する旨の合意もせず,また,原告は,被告に対し,更新料(10万円)を支払わなかった。原告は,被告に対し,上記契約期間経過後である平成18年9月1日から同年10月31日までの間の家賃2か月分合計9万円を支払った(当事者間に争いがない。)。

キ 原告は,被告に対し,本件約款第15条①の定めに従い,平成18年10月28日付け賃貸借契約解約通知書(乙6)を提出し,同年11月30日をもって本件賃貸借契約を解約する旨の意思表示を行い,同日,本件物件を明け渡したが,同年11月分の賃料(4万5000円)を支払っていない。

3  当事者の主張
  (原告の主張)
(1)  既払更新料の返還請求について
ア 本件更新料約定は,消費者契約法10条又は民法90条により無効である。

イ 更新料の法的性質について
(ア) 本件賃貸借契約における更新料は,次のとおり,①更新拒絶権放棄の対価(紛争解決金),②賃借権強化の対価,③賃料の補充のいずれの性質も有していない。

(イ) 更新拒絶権放棄の対価(紛争解決金)の性質(①)について
a  更新拒絶の正当事由の有無は,建物の使用を必要とする事情が賃貸人と賃借人でどちらがより大きいのかという点を基本要素とし(自己使用の必要性),この基本要素を判断するために,従前の経過や利用状況,立退料などを補完的要素として考慮するという構造で判断されるべきものである。

 そして,本件建物のように専ら他人に賃貸する目的で建築された居住用物件の場合,賃貸人の自己使用の必要性は乏しく,自己使用の観点から賃貸人に正当事由が認められることは考え難いし,仮に自己使用の必要性が認められたとしても,立退料の支払いもないまま正当事由が認められる場合を想定することができない。
 また,正当事由が存在し,賃貸人が更新拒絶権を行使できる場合には,目的物を自己使用することにつき賃貸人に相当程度大きな経済的利益が存する場合であろうから,賃借人が更新料程度の金員の支払いを申し出たとしても,賃貸人としては更新拒絶権を行使するはずである。
 したがって,更新料の支払いによって更新拒絶権を放棄するという契約当事者の意思は,少なくとも,本件賃貸借契約のような専ら他人に賃貸する目的で建築された居住用物件の賃貸借契約における更新料支払条項からは読み取ることができない。

  以上からすると,本件賃貸借契約のような賃貸借契約においては,更新料は更新拒絶権放棄の対価となっていないといえる。

d  また,通常,更新料は,契約期間満了のころに当事者間で合意更新をすることによって支払われるものであるが,賃貸人の更新拒絶権は契約期間満了の6か月前までに行使しなければならない(借地借家法26条1項。したがっ) て,合意更新がされる場合は,既に賃貸人による更新拒絶権行使の期間が徒過しており,更新拒絶権が発生しないことが確定しているのが通常である。このような場合,もはや更新拒絶権の放棄とか更新拒絶権行使に伴う紛争回避ということは全く問題となる余地はなく,更新拒絶権放棄や更新拒絶権行使に伴う紛争解決金ということで更新料の性質を説明することはできない。

  以上の理由から,本件賃貸借契約における更新料は,更新拒絶権放棄の対価(紛争解決金)の性質を有しない。

(ウ)  賃借権強化の対価の性質(②)について
a  本件賃貸借契約においては,被告は,6か月以前に,原告に通知することにより,本件賃貸借契約を解約することができるとされており(本件約款第15条③),合意更新がなされても,賃借権は,何ら強化されていない。
 この点,被告は,本件約款第15条③は,本件賃貸借契約が法定更新された場合における確認的規定であり,合意更新された場合には適用がないと主張する。しかしながら,本件約款第15条③は,第15条の「解約」という条項の中に規定されていることからして同条項は更新後の契約の規律に関する規定ではないし,同条項には合意更新された場合には適用がないとの文言は付されていないことに加え,本件賃貸借契約においては,自動更新条項(本件約款第21条)が設けられており,そもそも法定更新が予定されていないのであるから,被告の上記主張は失当である。

 また,本件賃貸借契約のように専ら他人に賃貸する目的で建築された居住用物件の賃貸借契約の場合においては,法定更新がなされ期間の定めのない賃貸借契約となっても,賃貸人の正当事由に基づく解約が認められるときはほとんどない。また,正当事由が認められるときでも,相当額の立退料の支払いが命じられるのが通常であるから,賃借人が更新料を支払ってまで合意更新を行う実益は極めて乏しい。

  加えて,法定更新がされた場合でも,その後の賃貸人からの解約申入れは6か月前にしなければならないのであるから(借地借家法27条,賃借人は,少なく) とも更新後6か月間は賃借権を確保できることになる。そうすると,契約期間が1年間である本件賃貸借契約の場合,法定更新と合意更新とで,賃借人が賃借権を確保できる期間の違いは,わずか6か月間に過ぎないし,更新時に賃貸人側に更新拒絶の正当事由が存在しなかったにもかかわらず,その後の6か月間に解約申入れの正当事由が発生するなどいうことは想定し難い。

  以上の理由から,本件賃貸借契約における更新料は,賃借権強化の対価の性質を有しない。

(エ)  賃料の補充の性質(③)について
a  契約期間が長期間である賃貸借契約の場合とは異なり,本件賃貸借契約のように契約期間が短期間の賃貸借契約においては,そのような短期間の内に賃料の不足分が生じるとは考えにくい。
 また,更新料が賃料の補充の性質を有するという見解は,不動産価格が右肩上がりに上昇していくことを前提としており,不動産価格の現況を全く考慮していない。
 さらに,賃料の不足分というのであれば,更新後に間もなく解約した場合と,更新後の契約期間を満了した場合とで,自ずと金額が異なるはずであるところ,これを区別せず,賃料の不足分を一定の金額で算定することに無理がある。

  また,法は賃料増額請求を許容しているのであるから,不動産価格が上昇し周辺の賃料額と不均衡が生じれば,賃料増額請求により賃料不足分の請求ができるはずである。

  さらに,更新料の性質を賃料の補充と考えると,合意更新の場合にのみ更新料が支払われ,法定更新の場合に更新料が支払われないことについて,全く説明ができない。

 被告は,賃貸人は,権利金,礼金や更新料なども含めた全体の収支計算を行ったうえで毎月の賃料額を設定するのが当然であるから,設定賃料と本来受けるべき経済賃料との差額について,更新料により補充することは合理性を有すると主張する。しかしながら,民法上,賃貸借契約における使用収益の対価としては賃料のみが予定され,権利金,礼金及び更新料については何ら規定がなく,そのような法的根拠のない金員も含めて賃料額の設定を行うなどということは,民法上も全く予定されていないし,更新料等の一時金によって賃料を補充するということは,経験則上,認められない。

 以上の理由から,本件賃貸借契約における更新料は賃料の補充の性質を有しない。
 むしろ,現在の更新料は,賃借人が物件を選定する際に主に賃料の額に着目する点を利用して,賃料については割安な印象を与えて契約を誘因し,結局は割高な賃料を取るのと同じ結果を得ようする欺瞞的な目的で利用されているものである。

(オ)  以上のとおり,本件賃貸借契約における更新料は,被告が主張するいずれの法的性質も有しておらず,何ら対価性を有しない不合理なものである。

ウ 消費者契約法10条について
(ア)  消費者契約法は,消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差にかんがみ,消費者の利益を不当に害することとなる条項の全部又は一部を無効とすることにより,消費者の利益の擁護を図り,もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とするものである(同法1)。このように,消費者契約法は,事業者と消費者との間に構造的格差があることを認めた上で,その格差を是正するために民法を修正するものである。
 この立法趣旨からすると,消費者契約法10条の,「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害する」とは,具体的には,当該契約条項によって消費者が受ける不利益とその条項を無効にすることによって事業者が受ける不利益とを衡量し,両者が均衡を失していると認められる場合を意味すると考えるべきであるが,その骨格となるのは,消費者契約法の目的,すなわち事業者と消費者の情報格差,交渉力格差を是正する原理であって,そのための均衡性原理と理解すべきである。この点からすれば,上記文言は,契約条項が「正当な理由がなく」消費者の利益を害するという意味と解するべきである。

(イ)  本件更新料約定は,民法601条の賃料支払義務に加えて賃借人の義務を加重するものであるから,「民法,商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し…消費者の義務を加重する消費者契約の条項」に該当することは明らかである。

(ウ)  そして,上記のとおり,本件賃貸借契約における更新料には,何ら合理的な対価性を有していないのであるから,本件更新料約定は,「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害する」条項といえる。

(エ)  加えて,本件賃貸借契約は,契約期間が1年間であるにもかかわらず,更新料の金額は10万円(月額賃料の約2.22倍)と高額であり,その不当性は際だっている。

(オ)  以上の理由から,本件更新料約定は消費者契約法10条に該当し無効である。

エ 民法90条について
上記のとおり,本件賃貸借契約における更新料は,全く合理的な対価性を有していないことに加え,その月額賃料に対する比率,本件賃貸借契約の契約期間の短さからすると,本件更新料約定は,暴利行為(少なくとも極めて不合理な支払約束)であるといえ,公序良俗に反し無効である。

オ まとめ
 よって,原告は,被告に対し,不当利得に基づき,既払更新料50万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払いを求める。

(2)  敷金の返還請求について
ア 上記のとおり,本件賃貸借契約締結の際,原告は被告に対し,敷金10万円を預託し,本件賃貸借契約は平成18年11月30日に終了し,そのころ,原告は,被告に対し,本件物件を明け渡した。

イ 平成18年11月分の未払賃料4万5000円は,上記敷金に充当される。
 被告は,平成18年分の更新料10万円が充当されると主張するが,上記のとおり,本件更新料約定は無効である上,平成18年の更新は法定更新である(本件約款第21条に基づく自動更新が行われたのであれば,更新料の授受がなされているはずであるが,更新料は授受されていない。)から,更新料支払義務は発生しない。

ウ よって,原告は被告に対し,本件敷金契約に基づき,本件敷金の残金5万5000円の返還及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払いを求める。

  (被告の主張)
(1)  既払更新料の返還請求について

ア 本件更新料約定は,消費者契約法10条及び民法90条に違反するものではなく有効である。

イ 更新料の法的性質について
(ア)  更新料は,一般的に,①更新拒絶権放棄の対価(紛争解決金),②賃借権強化の対価,③賃料の補充という複合的な法的性質を有するものであり,本件賃貸借契約における更新料も同様に,上記各法的性質を有する。

(イ)  更新拒絶権放棄の対価(紛争解決金)の性質(①)について更新料は,賃貸人の更新拒絶権を放棄することの対価としての性質を有する。また,更新料の支払いによる更新が予測される場合には,賃貸人は,更新拒絶権の有無を検討することなく更新に応じているのであり,更新料には,その支払いを約することによって,画一的に更新拒絶権行使に伴う紛争を回避する目的(紛争解決金としての性質)もある。
 なお,原告は,本件物件のような専ら他人に賃貸する目的で建築された居住用物件の場合においては,賃貸人からの更新拒絶の正当事由が認められるときは考え難いと主張するが,更新拒絶の正当理由は,賃貸人側の事情と賃借人側の事情を比較衡量して決すべきところ,近時は賃貸物件も過剰供給の状況が続いていることに伴い,借家権保護の必要性も変容しており,近時の裁判例においても,必ずしも賃貸人に自己使用の必要性があることまでは要求しておらず,不動産の有効利用の必要性がある場合などに賃貸人の更新拒絶権が認められる事例も少なくないから,原告の上記主張は失当である。

(ウ)  賃借権強化の対価の性質(②)について
 更新料は,契約更新後に期間の定めのある賃貸借契約となり,賃貸人からの解約申入れがなされないことの対価,すなわち賃借権が強化されることの対価としての性質を有する。
 原告は,本件約款第15条③を捉えて,本件賃貸借契約においては,合意更新後においても賃貸人からの解約申入れができると主張するが,同条項を合理的に解釈すれば,法定更新の場合の解約申入期間を確認的に定めた条項に過ぎないものであり,合意更新の場合には適用がないから,原告の上記主張は失当である。

(エ)  賃料の補充の性質(③)について
a  賃料の支払いについての民法614条は任意規定であるから,それと異なる合意をすることも可能であるところ,更新料は,低く設定された月々の賃料と併用されることにより,賃料の補充としての性質を有するものである。すなわち,賃貸人は,更新料約定がある場合には,賃料に加えて更新料が一時金として入ってくることを前提として月々の賃料を設定しているし,賃借人も,更新時の更新料を考慮して,賃借物件を選択している。

 更新料支払約定がある場合,賃借人としても,契約当初から1回目の更新までは,低く設定された賃料で賃借することができる上,仲介手数料,敷金等の初期費用が少なくて済む(これらの金額は月々の賃料を基準に決定されることが多いため)という利点がある。また,更新前に退去する賃借人にとっては,当該物件の居住期間の総額支払賃料が少なくて済むという利点がある。加えて,企業等の社宅や生活保護などで,更新料の補助がなされている場合は,月々の賃料の負担者は賃借人であるが,更新料の負担者は補助をしている者(企業,国等)であり,月々の賃料と更新料の負担者が異なっている。このような場合,賃借人には,更新料につき補助が受けられる上,月々の賃料が低額となるという利点がある。

 なお,更新料を賃料の補充と考えると,契約期間内に賃貸借契約が終了した場合と期間満了した場合とで差異が生じ得るが,この場合は,賃借人が更新料の支払いにより受けるべき利益を自ら放棄したものと
評価できるし,そもそも賃貸借契約は継続的な目的物の使用の対価として賃料を設定するため,厳密に使用収益の期間と賃料額を対応させること自体困難であるから,上記の差異をもって,更新料が賃料の補
充の性質を有することを否定する理由とはならない。

 また,原告は,更新料に賃料の補充の性質があるとすると,合意更新の場合と法定更新の場合とで,更新料支払義務の有無につき違いが生じ不合理であると主張する。しかしながら,賃料の補充の必要性は法定更新,合意更新いずれの場合でも同じであることからすれば,法定更新の場合にも更新料支払義務があるといえるから,原告の上記主張は失当である。

 本件賃貸借契約においても,本件建物は,京都市左京区下鴨の良好な閑静な住宅地に所在する鉄骨ブロック4階建の昭和58年1月31日築の建物(乙3)であり,本件物件は,電気・ガス・水道・6帖・台所・トイレ・給湯設備・冷暖房設備ありの物件であり(乙7),本件物件の月々の賃料は5万円でも相当であるが,本件更新料約定が存在するため,月々の賃料は4万5000円と比較的低額に設定されているものである。

(オ)  以上のとおり,本件賃貸借契約における更新料は,更新拒絶権放棄の対価(紛争解決金),賃借権強化の対価,賃料の補充の性質を有するものであり,原告の主張するように,何ら合理的な対価性を有していないものではない。

ウ 消費者契約法10条について
(ア)  上記更新料の法的性質に鑑みれば,更新料の支払いは賃貸借契約の中心的な内容の一つであり,契約の中心部分を定める条項に該当するというべきであるから,契約の中心条項について消費者契約法10条の適用はないという見解に立てば,本件更新料約定にはそもそも同条の適用はない。
 また,本件賃貸借契約は,原告と被告が個別に交渉をして契約締結に至っている(被告は,本件建物の本件物件以外の部屋も賃貸しているが,契約条件は部屋ごとに異なっている。)から,個別交渉を経た条項について消費者契約法10条の適用はないという見解に立てば,本件更新料約定には同条項の適用はない。

(イ)  上記のとおり,本件賃貸借契約における更新料は,更新拒絶権放棄の対価,賃借権強化の対価,賃料の補充という複合的な性質を有しており,また,賃料の支払義務は民法に定められているのであるから,本件更新料約定は,「民法,商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し…消費者の義務を加重する」条項ではない。

(ウ)  消費者契約法10条の,「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害する」条項に該当するか否かは,当該条項を有効とすることによって消費者が受ける不利益と,その条項を無効とすることによって事業者が受ける不利益とを総合的に衡量し,消費者の受ける不利益が,均衡を失すると言えるほどに一方的に大きいといえるか否かで判断されるべきものであるところ,次の理由から,本件更新料約定は,上記文言に該当しない。

 本件更新料約定の合理性について
上記のとおり,本件賃貸借契約における更新料は,更新拒絶権放棄の対価(紛争解決金),賃借権強化の対価,賃料の補充という複合的な性質を有しており,十分な合理性を有している。
 また,借家契約における更新料支払の合意は,古くから全国的に行われてきたものであるし,裁判実務においても承認されてきている(一定額の更新料の支払いを内容とする和解や調停も相当数存在する。)。
さらに,生活保護制度でも,更新料の扶助がなされており,更新料支払の合意は社会的承認を得ているものといえる。
 加えて,借地借家法の制定過程において,借家契約における賃料名目以外の金銭(権利金,更新料,立退料等)につき,何らかの法的規制を及ぼすべきか否かについての問題提起がなされているが,借地借家法の制定においても,その後の同法の改正においても,更新料に関する規制はなされていない(この立法者の意思としては,更新料そのものが不合理なものであるとして法的規制を及ぼすのではなく,専ら私的自治に委ねるべきとの判断が示されていると考えるべきである。)。

 情報の格差について
建物の賃貸借契約は一般に広く行われる契約であり,物件の広告においても更新料という用語は広く用いられており,更新料は,「約定の契約期間満了後も契約を継続する場合にその対価として支払うもの」であるという意味においては一般に広く理解されているものである。
 また,建物の賃貸借契約は,賃貸条件に関する情報をもとに,消費者が経済的負担を勘案して物件を選択し,申込みを行い,契約に至るというのが実態であり,事業者が消費者に対して契約締結を働きかけるものではない。
 さらに,今日においては,消費者は,賃貸物件の情報を容易に入手することができるし,仲介を行う宅地建物取引業者(建物賃貸借においては,ほとんどの場合,宅地建物取引業者の仲介がなされている。)には,重要事項説明義務として,消費者に対し,更新料を含む賃貸条件等について説明すべき義務が課せられている(本件賃貸借契約においても,重要事項説明書〔甲1,乙7〕が交付され,更新料についての説明が行われている。)。その上で,消費者は,更新料を含む経済的負担を物件の使用収益の対価として認識し,契約の申込を行っているのが通常であり,そこに情報の格差を理由に法が介入する合理的な理由は見出せない。

  原告及び被告の不利益について
原告は,5回にわたり被告との間で合意更新を行って更新料を支払ってきた。原告は,更新料を含めた経済的負担に見合う経済的合理性があると判断し,本件物件の使用収益,契約期間の保護という利益を既に享受しているのであるから,本件更新料約定を無効にしてまで保護すべき原告の利益は存在しない(仮に存在するとしても極めて小さい。)。
 他方,被告は,更新料の支払いを受けることの対価として,更新拒絶権を放棄し,賃借権の強化という利益を原告に与えているし,更新料等の一時金を含めて全体の収支を計算し,月々の賃料を設定している。更新料徴収に対する,このような被告の期待(利益)は十分に法的保護に値するものである(実際に,原告から支払われた更新料は,被告の収入となり,税務申告をして税金を支払い,また賃貸経営の諸経費,生活費などにすでに使用されてしまっている。)。
 さらに,本件更新料約定が無効となれば,他の物件の賃貸借関係にも波及し,被告は,消費者契約法施行後に締結された全ての賃貸借契約について,更新料を返還しなければならなくなるという不測の損害を被ることとなる。
 このように,本件更新料約定が有効とされることによって原告が被る不利益と,無効とされることによって被告が被る不利益とを比較衡量すると,被告の不利益の方が圧倒的に大きい。

(エ)  以上より,本件更新料約定は,消費者契約法10条に違反するものではない。

エ 民法90条について
上記アないしウで述べたところによれば,本件更新料約定が公序良俗に反するものではないことは明らかである。
 なお,原告は,更新料と月々の賃料とを単純に比較し,本件賃貸借契約における更新料が不当に高額であると主張するが,更新料の金額の高低は,単純に月々の賃料との比較で決められるべき問題ではなく,月々の賃料及び更新料を併せた絶対的な金額そのもので判断がなされるべきものであるから,原告の主張は失当である。

オ まとめ
 以上のとおり,本件更新料約定は有効であるから,既払更新料の返還を求める原告の請求には理由がない。

(2)  敷金の返還請求について
ア 原告の主張(2)アの事実は認める。

イ 同イは争う。本件賃貸借契約は,平成18年には本件約款第21条に基づき自動更新され,原告は,更新料10万円の支払義務を負っているが,これを支払っていないから,本件敷金には,未払賃料よりも弁済期の早い更新料10万円が充当され,平成18年11月分の賃料4万5000円が未払いとなっているから,本件敷金は残存しない。

ウ よって,敷金の返還を求める原告の請求には理由がない。

第3  当裁判所の判断
1 前記当事者間に争いのない事実等,証拠(甲1ないし8,乙1,4ないし7,9)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。

(1)  原告は,平成12年8月6日,京都ライフから,重要事項説明書の交付及びそれに基づく説明を受けた上で(その際,本件更新料約定についても説明を受けた。),京都ライフを通じ,被告に対し,本件物件の賃借を申し込み原告と被告は,同月11日ころ,本件賃貸借契約を締結している。

(2)  原告と被告は,平成13年から平成17年までの毎年8月末の本件賃貸借契約の各更新の際,解約の通知及び更新拒絶の申出を行わず,その都度,契約期間をその後の1年間とするほかは,家賃(共益費,水道代を含む。)の金額を含め,契約内容を従前どおりとすることととして,本件賃貸借契約を更新する旨合意し,原告は,被告に対し,更新料10万円(合計50万円)を支払っている。

(3)  原告と被告は,平成18年8月末の本件賃貸借契約の更新の際には,同様に,解約の通知及び更新拒絶の申出をしない一方,更新する旨の合意もせず,また,原告は,被告に対し,更新料(10万円)を支払わなかった。原告は,被告に対し,上記契約期間経過後である平成18年9月1日から同年10月31日までの間の家賃2か月分合計9万円を支払った。

(4)  原告と被告は,本件賃貸借契約において,自動更新条項(本件約款第21条)を設け,更新時に特段の合意をしない場合においても,本件賃貸借契約を,自動的に,家賃・共益費等の金額に関する点を除き,従前と同様の条件で更新し,その際,原告が被告に対し更新料10万円を支払う旨合意しているから,本件賃貸借契約においては,法定更新が行われる余地はなく,当事者間の合意による更新又は本件約款第21条による自動更新のみが予定されており,いずれの場合においても本件更新料約定に基づく更新料の支払いが合意されているということになる。したがって,本件賃貸借契約の前記6回の更新のうち,平成13年から平成17年までの5回は,当事者間の合意による更新であり,平成18年の最後の更新は,法定更新ではなく,本件約款第21条による自動更新である(本件賃貸借契約は,平成18年の更新後も契約期間を定めていることになる。)。

2  更新料の法的性質
(1)  被告は,本件賃貸借契約における更新料は,①賃貸人の更新拒絶権放棄の対価(紛争解決金),②賃借権強化の対価,③賃料の補充という複合的性質を有していると主張する。

(2)  更新拒絶権放棄の対価(紛争解決金)の性質(①)について
ア 賃貸人は,正当事由があると認められる場合であれば,賃貸借契約の更新をしない旨の通知をすることができるところ(借地借家法28条),賃貸人と賃借人との間で更新料が授受され,賃貸借契約の合意更新(ないし自動更新)が行われる場合においては,賃貸人は,正当事由が存在しないことが明らかではないときにおいても,賃貸借契約の更新をしない旨の通知をしないで,契約を合意更新(ないし自動更新)するのであるから,一般的に,更新料は,更新拒絶権放棄の対価の性質を有するものと認めることができる。

イ もっとも,当然のことながら,常に正当事由があると認められるものではなく,特に,本件賃貸借契約のように専ら他人に賃貸する目的で建築された居住用物件の賃貸借契約においては,更新拒絶の正当事由が認められる場合は多くはないと考えられるから,更新拒絶権放棄の対価としての性質は希薄であるというべきである。

ウ 原告は,合意更新(ないし自動更新)がされる場合は,既に賃貸人による更新拒絶権行使の期間(契約期間の満了の6月前まで〔借地借家法26条1項〕)が徒過しており,更新拒絶権が発生しないことが確定しているのが通常であるから,更新拒絶権放棄や更新拒絶権行使に伴う紛争解決金ということで更新料の性質を説明することはできないと主張する。しかしながら,更新料を支払うことをあらかじめ合意している場合には,賃貸人は,更新料の支払いが受けられることを期待して,更新拒絶権を行使しないものと考えられるから,更新料は,更新拒絶権放棄の対価となっているものと評価することができ,原告の主張を採用することはできない。

(3)  賃借権強化の対価の性質(②)について
ア 賃貸人と賃借人との間で更新料が授受され,賃貸借契約の合意更新(ないし自動更新)が行われ,更新後も期間の定めのある賃貸借契約となる場合には,賃借人は,契約期間の満了までは明渡しを求められることがない。これに対し,法定更新の場合には,更新後の賃貸借契約は,期間の定めのないものとなり(借地借家法26条1項),賃貸人はいつでも解約を申し入れることができることとなるから,賃借人の立場は,程度の差はあるにせよ,そのことによって不安定なものとなる。したがって,更新料を支払って合意更新することには(更新後も期間の定めのある賃貸借契約とすることができるから),賃借人にとっても,利益は存することになる。
 加えて,賃貸人が更新拒絶権を行使した場合には,正当事由の存否の判断にあたり,従前更新料の授受がされていることが考慮されるもの考えられる。
 したがって,本件賃貸借契約における更新料は,賃借権強化の性質を有するものと認めることができる。

イ もっとも,前判示のとおり,本件賃貸借契約においては,契約期間が1年間という比較的短期間であるから,合意更新(ないし自動更新)により賃借権が強化される程度は限られたものである上,前判示の更新拒絶の場合と同様に,本件賃貸借契約のように専ら他人に賃貸する目的で建築された居住用物件の賃貸借由が認められる場合は多くはないものと考えられるから,賃借権強化の対価としての性質は希薄であるというべきである。

ウ 原告は,本件賃貸借契約では合意更新(ないし自動更新)が行われ,更新後も期間の定めのある賃貸借契約となっても,本件約款第15条③により,賃貸人である被告は,賃借人である原告に対し,解約を申し入れることができるとされており,何ら賃借権は強化されていないと主張する。しかしながら,借地借家法は,建物の賃貸借について期間の定めがある場合においては,賃貸人が期間内に解約する権利を民法618条に基づいて留保することを予定していないものと解するのが相当であり(借地借家法27条は,建物の賃貸借について期間の定めがない場合において,賃貸人が解約の申入れをしたときには,解約申入れの日から6か月を経過することによって終了する旨を規定している。),本件約款第15条③は,借地借家法30条により無効であるから,同条項が有効であることを前提とする原告の主張を採用することはできない。

(4) 賃料の補充の性質(③)について
ア 前判示のとおり,本件賃貸借契約における更新料は,更新拒絶権放棄の対価及び賃借権強化の対価としての性質を有するものの,その程度は希薄である。それにもかかわらず,原告は,本件物件を賃借するにあたり,被告との間で,礼金6万円,家賃(共益費,水道代を含む。)1か月4万5000円を前月末日支払い,契約期間1年間,自動更新条項(本件約款第21条)のほか,合意更新又は自動更新の際更新料として10万円を支払う旨の約定のある本件賃貸借契約を締結している。
 このような賃貸借契約を締結する当事者の意思を合理的に解釈すると,賃貸人は,契約締結後1年目は礼金6万円に月額家賃4万5000円の12か月分を加算した合計60万円の売り上げを予定し,2年目以降は更新料10万円に月額家賃4万5000円の12か月分を加算した合計64万円の売り上げか,または,賃借人が転居した場合には新たな賃借人から,上記1年目と同様の売り上げを期待しているものと考えられ,他方,賃借人は,仲介業者から複数の物件の紹介を受けるのが一般の取扱いであると考えられることからすると,物件の所在,設備,広さ等とともに,更新料を含む経済的な出捐(礼金,敷金,賃料及び更新料)を比較検討した上で,賃借する物件を選択しているとみることができる。そして,原告又は被告が,本件賃貸借契約を締結するにあたり,これと異なる意思を有していたことを認めるに足りる証拠はない。

イ このように更新料は,被告が本件物件を原告に賃貸し,原告が本件物件を使用収益することに伴い,原告が被告に対して行うことを約束した経済的な出損であり,しかも,前判示のとおり,本件賃貸借契約の契約期間が1年間と比較的短期間であり,かつ,更新しない場合には授受が予定されていない(契約後1年間で終了し更新しない場合には,全く授受されない。)ことからすると,本件更新料約定は,本件賃貸借契約における賃料の支払方法に関する条項であり,具体的には,契約期間1年間の賃料の一部を更新時に支払うこと(いわば賃料の前払い)を取り決めたものであるというべきである。したがって,本件賃貸借契約において更新料は,用語が適切かは疑義が残るが,賃料の補充の性質を有しているものということができよう。

(5)  以上のとおり,本件賃貸借契約における更新料は,主として賃料の補充(賃料の前払い)としての性質を有しており,併せて,その程度は希薄ではあるものの,なお,更新拒絶権放棄の対価及び賃借権強化の対価としての性質を有しているものと認められる。

3  民法90条及び消費者契約法10条
(1)  前判示の本件賃貸借契約における更新料の性質をふまえ,本件更新料約定が,民法90条により無効となるか検討するに,前判示のとおり,本件賃貸借契約における更新料が主として賃料の補充(賃料の前払い)としての性質を有しているところ,その金額は10万円であり,契約期間(1年間)や月払いの賃料の金額(4万5000円)に照らし,直ちに相当性を欠くとまでいうことはできない。
 よって,本件更新料約定が民法90条により無効であるとする原告の主張を採用することはできない。

(2)  本件更新料約定が,消費者契約法10条により無効となるか検討する。
ア 前判示のとおり,本件賃貸借契約における更新料は,主として賃料の補充(賃料の前払い)としての性質を有しており,本件更新料約定が,本件賃貸借契約における賃料の支払方法に関する条項(契約期間1年間の賃料の一部を更新時に支払うことを取り決めたもの)であることからすると,「賃料は,建物については毎月末に支払わなければならない」と定める民法614条本文と比べ,賃借人の義務を加重しているものと考えられるから,消費者契約法10条前段の定める要件(本件更新料約定が「民法,商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し,消費者の義務を加重する消費者契約の条項」であること)を満たすものというべきである。

イ そこで,同条後段の要件(本件更新料約定が「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」であること)について検討するに,前判示のとおり,①本件賃貸借契約における更新料の金額は10万円であり,契約期間(1年間)や月払いの賃料の金額(4万5000円)に照らし,過大なものではないこと(しかも,本件賃貸借契約においては,賃借人である原告は,契約期間の定めがあるにもかかわらず,いつでも解約を申し入れることができ,その場合には,更新料の返還は予定されていないが,原告が解約を申し入れた場合には,解約を申し入れた日から,民法618条において準用する同法617条1項2号が規定する3か月を経過することによって終了するのではなく,解約を申し入れた日から1か月が経過した日の属する月の末日をもって終了するか,又は,被告に1か月分の賃料を支払うことにより即時解約することもできることとされているから〔本件約款第15条〕,月払いの賃料の金額〔4万5000円〕の2か月分余りである本件賃貸借契約における更新料の金額は,過大なものとはいえないこと),②本件更新料約定の内容(更新料の金額,支払条件等)は,明確である上,原告が,本件賃貸借契約を締結するにあたり,仲介業者である京都ライフから,本件更新料約定の存在及び更新料の金額について説明を受けていることからすると,本件更新料約定が原告に不測の損害あるいは不利益をもたらすものではないことのほか,③本件賃貸借契約における更新料が,その程度は希薄ではあるものの,なお,更新拒絶権放棄の対価及び賃借権強化の対価としての性質を有しているものと認められることを併せ考慮すると,本件更新料約定が,「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」とはいえないものというべきである。

ウ 以上によれば,本件更新料約定が消費者契約法10条により無効であるということはできない。

エ なお,原告の主張するとおり,更新料は,賃借人が物件を選定する際に主として月払いの賃料の金額に着目する点に乗じ,「更新料」という直ちに賃料を意味するものではない言葉を用いることにより,賃借人の経済的な出損があたかも少ないかのような印象を与えて契約締結を誘因する目的で利用されている面があることを直ちに否定することはできないけれども,更新料に関する報道が広く行われることなどを通じ,消費者が更新料の性質についての認識を深めていくことが考えられるし,不動産賃貸借の市場がその機能を十全に発揮すれば,賃貸業者の間で,更新料に関する競争が行われることが考えられるのであるから,原告の上記のような懸念が事実であるとしても,そのことから,直ちに,更新料に関する約定がおよそ民法90条又は消費者契約法10条により無効であるということはできない。加えて,賃貸借契約を締結する際,賃貸人に対して更新料に関する約定に関する説明が十分に行われなかった場合や,更新料に関する約定の内容(更新料の金額,支払条件等)が不明確であるため賃借人が賃貸借契約に伴い要する経済的な出損の全体像を正しく認識できない場合には,更新料に関する約定が当該賃貸借契約の内容とはなっていないとされたり,上記約定が消費者契約法10条により無効とされることが考えられないではないが,本件賃貸借契約の締結に至る前判示のとおりの経緯,本件更新料約定の内容には,そのような事情は認められない。

 以上のとおり,本件更新料約定が民法90条又は消費者契約法10条により無効であるとする原告の主張を採用することはできないから,本件更新料約定が無効であることを前提とする原告の不当利得返還請求には理由がない。

5  敷金返還請求について
(1) 前判示のとおり,原告と被告は,本件賃貸借契約において,自動更新条項(本件約款第21条)を設け,更新時に特段の合意をしない場合においても,本件賃貸借契約を,自動的に,家賃・共益費等の金額に関する点を除き,従前と同様の条件で更新し,その際,原告が被告に対し更新料10万円を支払う旨合意しているから,本件賃貸借契約においては,法定更新が行われる余地はなく,当事者間の合意による更新又は本件約款第21条による自動更新のみが予定されており,いずれの場合においても本件更新料約定に基づく更新料の支払いが合意されているということになる。

(2)  したがって,原告は,本件約款第21条及び本件更新料約定に基づき,被告に対し,10万円の更新料支払義務を負うこととなる。そして,前判示のとおり,本件敷金の額は10万円であり,本件敷金契約は,本件約款第5条④において,「被告は,本件賃貸借契約終了後,原告が,本物件の明渡を完了した日より1か月後に,本件敷金から,原告が,本件賃貸借契約上,被告に対して負担する債務を控除した残金を原告に返還する」旨定めており,本件敷金は,上記更新料10万円の支払義務に充当されるから,本件敷金の返還を求める原告の請求には理由がないこととなる。

第4  結論
 以上の次第で,原告の請求にはいずれも理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。 

    京都地方裁判所第4民事部

             裁判長裁判官     池田光宏

             裁判官          井田宏

             裁判官          中嶋謙英



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2008年2月14日 (木)

地主は20年前と同じ1000万円の更新料を請求してきたが

 豊島区北大塚で借地している斉藤さんは、20年前の更新時に地主の代理人である弁護士から1000万円の更新料を請求された。斉藤さん、慌てて弁護士を代理人にして交渉したが、よくわからないままに結局500数10万円を支払った。

 今年、更新の時期を迎え、また地主の代理人は「更新手続きと前回と同じ更新料の支払い。公租公課、諸物価の値上がりを理由とした地代のおおよそ2倍とする値上げ」を通知してきた。びっくりして、以前、知人から「借地問題で困ったことがあったら相談するよう」話を聞いていた借地借家人組合にやってきた。

 組合では「契約書に更新料支払いの約束がないこと。20前のバブルの頃と同じ更新料を請求していること」などを指摘し、「更新料では、最高裁判例では支払い義務がないこと。また、更新料の算出根拠を示すこと。地代の値上げの根拠となる公租公課の開示を求める」通知書をだした。

 弁護士からの回答が1ヶ月過ぎてきたが、更新料については法的根拠については示すことなく前回更新料を支払ったことが今回の合意であると強弁して来た。また、更新料の算出根拠や地代の値上げの根拠とした公租公課については回答すら出来なかった。斉藤さんは「ここまできたら、あくまで支払わないでがんばる」と語った。

東京借地借家人新聞より


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2008年2月 2日 (土)

2008年1月30日、更新料返還訴訟 判決文要旨(京都地裁)

 判例紹介

 更新料訴訟



平成19年(ワ)第1793号更新料返還等請求事件

判決要旨

京都地方裁判所第4民事部

第1 結論・・・請求棄却

第2 事案の概要
  被告との間で賃貸借契約を締結し、被告の所有する物件に居住していた原告が、更新料支払の約定が消費者契約法10条又は民法90条に反し無効であると主張して、既払いの更新料の返還等を求めた事案

第3 判決理由の要旨
 1 更新料の法的性質について

 (1)更新拒絶権放棄の対価(紛争解決金)・賃借権強化の対価の性質について

 ア 更新料が授受され合意更新が行われる場合、賃貸人は、更新拒絶の通知をしないで、契約を更新するのであるから、更新料は、更新拒絶権放棄の対価の性質を有する。
 また、法定更新の場合(更新後は、期間の定めのない賃貸借となり、賃貸人からいつでも解約申入れが可能となる。)とは異なり、合意更新により更新後も期間の定めのある賃貸借となる場合には、賃借人は、期間満了まで明渡しを求められることがない上、賃貸人が将来、更新を拒絶した場合の正当事由の存否の判断にあたり、従前の更新料の授受が考慮されるものと考えられるから、更新料は、賃借権強化の性質を有する。

 イ もっとも、常に更新拒絶や解約申入れの正当事由があると認められるものではなく、特に、本件のように専ら賃貸目的で建築された居住用物件の賃貸借契約においては、正当事由が認められる場合は多くはないと考えられるし、本件賃貸借契約の期間は1年間と比較的短期間であり賃借権が強化される程度は限られたものであるから、本件更新料の有する、更新拒絶権放棄の対価・賃借権強化の対価としての性質は希薄である。

 (2) 賃料の補充の性質について

 ア 上記のとおり、本件更新料の有する、更新拒絶権放棄の対価及び賃借権強化の対価としての性質は希薄であるにもかかわらず、原告と被告は、更新料支払の約定のある本件賃貸借契約を締結している。
  このような契約当事者の意思を合理的に解釈すると、賃貸人は、1年目は、礼金と家賃を加算した金額の売り上げを、2年目以降は、更新料と家賃を加算した金額の売り上げを期待しているものと考えられ、他方、賃借人は、更新料を含む経済的な出指を比較検討した上で、物件を選択しているとみることができる。そして、原告又は被告が、これと異なる意思を有していたことを認めるに足りる証拠はない。

 イ このように、本件更新料は、本件物件の賃貸借に伴い約束された経済的な出損であり、本件約定は、1年間の賃料の一部を更新時に支払うこと(いわば賃料の前払い)を取り決めたものであるというべきである。

 2 本件約定が民法90条により無効といえるか

 本件更新料は、その金額、契約期間や月払いの賃料の金額に照らし、直ちに相当性を欠くとまではいえないから、本件約定が民法90条により無効であるということはできない。

 3 本件約定が,消費者契約法10条により無効といえるか。

(1) 消費者契約法10条前段の要件(「民法、商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の義務を加重する消費者契約の条項」)を満たすか。

  本件更新料が、主として賃料の補充(賃料の前払い)としての性質を有していることからすると、本件約定は、「賃料は、建物については毎月末に支払わなければならない」と定める民法614条本文と比べ、賃借人の義務を加重しているものと考えられるから、本件約定は、上記要件を満たす。

(2) 消費者契約法10条後段の要件(「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」)を満たすか。

  ① 本件更新料の金額は、契約期間や賃料の月額に照らし、過大なものではないこと
  ② 本件更新料約定の内容は明確である上、その存在及び更新料の金額について原告は説明を受けていることからすると、本件約定が原告に不測の損害、不利益をもたらすものではないこと等を併せ考慮すると、本件約定が上記要件を満たすものとはいえない。

(3) 結論
  以上より、本件約定が消費者契約法10条により無効であるということはできない。

                            


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2008年1月30日 (水)

「不当判決だ!」更新料“お墨付き”に原告ら嘆く

<マンション更新料>過大でない…返還請求を棄却 京都地裁

1月30日  毎日新聞

 賃貸マンションの更新料は消費者契約法に違反し無効だとして、京都市の男性会社員(53)が貸主に、更新料5回分計50万円の返還を求めた訴訟の判決が30日、京都地裁であった。池田光宏裁判長は「更新料はいわば賃料の前払いで(本件では)契約期間や家賃に照らし過大でなく、消費者の利益を一方的に害するものとはいえない」と述べ、請求を棄却した。男性側は大阪高裁に控訴した。

 判決によると、男性は00年8月、月額家賃4万5000円、更新料毎年10万円で左京区のマンションを借りる契約を貸主と締結。06年11月に退去するまで6回更新したうち、最後を除く5回、更新料を支払った。

 判決は「借り手は更新料を含めて物件を選択しており、契約前に更新料の金額について説明を受けている」と指摘。「契約が不測の損害、不利益をもたらすものではない」として、消費者の利益を一方的に害する条項を無効と定めた同法に反しないと結論付けた。

 男性は「更新料は賃料増額手続きの代わりに脱法的に始められたもので、借り手側が情報力、交渉力に劣るため維持されてきた」などと主張していた。

 更新料は全国で100万戸以上に設定されているとみられ、影響の大きさから、男性側が「京都敷金・保証金弁護団」、貸手側が「貸主更新料弁護団」を組織して正面から争っていた。【太田裕之】

 ▽男性側の弁護団事務局長、長野浩三弁護士の話 更新料は賃貸者契約を分かりにくくしており、合理的な理由もない。控訴審で争う。

 ▽貸手側の田中伸・弁護団代表の話 合意したものを返還せよというのはおかしな話で、(今後予想される)礼金や共益費の返還訴訟でも、約束の履行を主張し勝訴を求めていきたい。

 ▽消費者契約法に詳しい坂東俊矢・京都産業大法科大学院教授の話 現状追認型の判決。更新料が賃料の一部であるなら、本来は家賃に分散して上乗せすべきだ。物件と家賃だけで消費者が家を選択できる方向に向かうのが妥当だ。

 ◇更新料

 マンションなど賃貸住宅で1~2年の契約期間を更新する度に借り手が貸主に支払う。家賃1カ月分前後の場合が多く、敷金と異なり返還されない。導入の経緯は不明だが、約40年前からある。東京、神奈川、千葉、埼玉など首都圏や北海道、愛知、京都、福岡、沖縄などを中心に、全国で100万戸以上に設定されているとみられる。

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「不当判決だ!」更新料“お墨付き”に原告ら嘆く
1月30日 産経新聞

 「原告の請求をいずれも棄却する」。借り主と家主の間で、なかば慣習化している賃貸マンションの更新料に、京都地裁は30日、「お墨付き」を与えた。原告と被告双方に弁護団が結成され、真っ向から争った更新料返還訴訟。借り主側は、弱い立場に置かれる消費者を保護する消費者契約法を武器に更新料の不当性を訴えてきたが、「悪しき慣習」の壁にくさびを打つことはできず、落胆が広がった。

 判決言い渡し後、京都市中京区の弁護士会館3階で開かれた原告側の「京都敷金・保証金弁護団」の報告会。代表の野々山宏弁護士は開口一番、「不当判決です」と強い調子で判決を批判、「本来、家主への対価は賃料だけのはず。金銭の収受は合理的な根拠のある賃料のみにして、それ以外は無効とすべきだ」と主張した。

 原告側を支援してきたNPO法人「京都消費者契約ネットワーク」の松本久美子理事も「京都は学生の町。毎年、全国から集まる学生の父母たちから嘆きの声が寄せられるが、払わないと住むことができない。京都のイメージを悪くしているし、更新料を取らない良心的な家主がかわいそうだ」と無念さをにじませた。

 弁護団は「不当条項の宝庫と呼ばれる賃貸借契約を野放しにするのと同義である」とする声明を発表し、即日控訴する。長野浩三弁護士は「更新料は賃料の一部というが中途解約しても返ってこない。敗訴は敗訴だが合理性のない判決なので控訴審では覆せる」と今後の展開に自信をみせた。

 一方、被告側の「貸主更新料弁護団」は同じ弁護士会館の地下フロアで報告会を開いた。田中伸弁護士は「非常に公正な判決。納得したうえで支払いを約束した更新料を支払っておきながら、後で返還せよとは一般的におかしく、きわめて常識的な判決だ」と話した。

 また、被告側を支援してきた日本賃貸住宅管理協会京都支部の吉田光一支部長も「願いが認められてうれしい。更新料は家賃とともに賃貸事業計画に盛り込むものであり、更新料の分、家賃を安くする京都人の知恵である。良識ある結果でよかった」と語った。

 2004年5月18日、京都で借主勝訴判決。 法定更新の場合は更新料の支払不要

 *更新料支払特約 に関してはこちら、或はこちらも

 *更新料の支払義務がないという最高裁判決こちら



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2008年1月27日 (日)

賃貸住宅の契約更新料訴訟、30日に判決…京都地裁

   賃貸住宅の契約更新料訴訟、30日に判決…京都地裁

 賃貸住宅の契約更新の際、入居者に「更新料」の支払いを求める契約は、家主側が一方的に押しつけたものであり、消費者契約法に違反するとして、京都市の男性(53)が、支払った50万円の返還を家主に求めた訴訟の判決が30日、京都地裁(池田光宏裁判長)で言い渡される。更新料は、京都や首都圏など一部地域の特有な慣習で、必要な賃貸住宅は100万件以上とされる。同法違反と認められれば初判断となり、業界への影響が大きく、判決が注目される。

 男性は昨年4月に提訴した。訴えによると、2000年8月、1年ごとに更新料10万円を支払うなどの契約を結び、賃貸マンションに入居。05年8月まで計50万円を支払った。

 消費者契約法10条は、消費者の利益を一方的に侵害する契約条項は無効としており、更新料の正当性が最大の争点だ。裁判では、原告、被告双方が弁護団を結成し、全面的に争った。

 原告側弁護団は消費者問題に詳しい約15人が参加し、更新料について「家主が地位や情報力、交渉力を背景に押しつけ、消費者の利益を侵害している」と主張。これに対し、家主側も約10人の弁護団が「合意した契約は守るべき。契約期間中の賃借権を保障する対価」などと反論した。

 更新料を巡る同様の訴訟は、東京地裁(05年10月)、明石簡裁(06年8月)の両判決などがあるが、いずれも、家主側の主張に沿って正当性を認定した。しかし、原告側弁護団の長野浩三弁護士は「今回のように議論を重ねた末の判断ではなく、先例的な価値はない」としている。

 京都地裁が違法と認定した場合、01年4月の同法施行後の更新料が、家主側の不当利得となる可能性もある。全国1100社加盟の「日本賃貸住宅管理協会」(東京)の吉田光一・京都府支部長は「家主にとっては更新料も事業収入で、判決次第で経営に大きな痛手になる。どんな判決が出ても、今後も家主側を全面的に支援する」と話している。

(2008年1月27日  読売新聞)



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2008年1月23日 (水)

地代は更新が終わってないと受領拒否したので即供託

 大田区西蒲田1丁目所在の宅地約32・21坪を借地している赤木さんは、約3年前借地の譲渡に関する承諾を求めたが、地主は回答を引き延ばすばかりなので組合に相談し入会された。

 組合役員が交渉を行うことになって、地主はこれまでの理不尽な対応は改めたのです。しかし、組合役員が借地権購入者を提示して承諾を求めたにも関わらず、地主は自分が買い取るというものの、赤木さんの希望を無視した低額な価格を提示して時間稼ぎするという態度に終始したのです。

 土地の契約更新を迎えて不動産業者を代理人にして更新料を請求する地主に対して、赤木さんは譲渡を取りやめて息子さんが祖父の借地権を相続するとともに住むことを通告した。

 交渉継続中に組合役員が死去するとの不幸な状況が生じたのですが、担当交代して交渉に臨むことになりました。新たな担当者は赤木さんから預かった地代を地主に直接会って、提供したのですが「更新手続き」が終わっていないと受領拒否。

 そこで更新料の金額を尋ねると代理人の請求額より100万円も多い金額を提示するので、代理人の業者に確認して間違いが明らかになっても、詫びもしない地主には呆れるばかりです。

 この交渉内容を聞いた赤木さん親子の決断は早く明確でした。借地法第4条・6条を理解し、更新料の支払いの習慣はないとの最高裁判決に確信をもって、更新料支払いを拒否することを決意した。

 地主代理人との交渉は決裂し地代供託となった。

東京借地借家人新聞より


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2007年12月17日 (月)

借地の更新料を今回も不払で押通した

 東池袋で40坪を借地している田原さんは、今年の元旦を、とりわけさわやかな気持ちで迎えることが出来た。

 田原さんが組合に加入したのは、今から21年も前のことだ。その頃は毎年のように地代が値上げされていた。固定資産税や都市計画税の引き上げがその理由だった。

 田原さんとしても、将来の地代を考えると不安だったし、近所には供託している人もあるようだったが、すぐ近所に住む地主との関係を考えると、供託に踏み切る気にはなれず、地主に言われるままに値上げをしていた。

 そんな田原さんに、坪当り8万円、総額320万円の更新料の請求があったのだ。とても支払える金額ではなかった。地主宅を訪れ、何とか支払える100万円程度にしてくれるようお願いしたが、受け入れては貰えなかった。
 玄関に置かれた小さな椅子に掛けさせられ、一段高い位置に座った地主と話した時の屈辱感は、田原さんにとって今でも忘れられない。

 そのときが組合との出会いだった。地主の一方的な更新料請求には支払い義務はない、不払を貫きましょうと励まされた。
 田原さんは思い切って不払に踏み切り、その後20年間地代の供託を続けてきた。

 昨年8月、2度目の借地の更新時期を迎え、更新料を再度請求されたが、田原さんは今回も自信をもって断った。さすがの地主も遂に更新料を断念。

 昨年12月20日、新契約書を取交し合意更新が成立したのだ。

東京借地借家人新聞より

 地主の一方的な更新料請求に対し、借地人には更新料支払義務が無いという最高裁判決がある。



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2007年11月21日 (水)

更新料も地代値上げも拒否することにした

 山田さんは、西池袋で30坪を借地している。公道から細い2項道路を入った位置にある宅地である。
 山田さんが組合に加入したのは今から18年前の地代の値上げがきっかけだった。18年前というと平成元年で、バブル景気絶頂の頃であった。

 当時は毎年のように地主から地代値上げを言われていた。借地を相続したばかりの山田さんとしては、そのまま値上げに応じていたので、既に坪当り1000円を超えていた。
 その頃、近所の公道に面した宅地の地代が700円程度。そのことを偶然知った山田さんに対し、更に坪当り140円の値上げがきた。

 その時、山田さんは相当額の支払いで、不当な値上げは防げることを初めて知った。この時が組合との出会い、その後今回までは、値上げの請求は一切なかった。

 今年の3月末日で契約期間が満了。3月早々、地主から通知が届いた。更新料として360万円余を支払え、4月分以降の地代は坪当り180円値上げする内容だった。多少の話し合いには応じるつもりだから、来宅する日を知らせるようとの言葉も添えられてあったが、山田さんはそんな言葉には惑わされず、久しぶりに組合を訪ねた。

 結局、「更新料」も「値上げ」も拒否し頑張ることにした。納得できないまま、値上げに応じた頃の嫌な思いは、もう終わりだ。

東京借地借家人新聞より


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2007年11月17日 (土)

借地の更新料を支払わず、法定更新を選択

 大田区中央4丁目所在の宅地36・94坪を賃借している渡辺さんは、平成16年2月、契約更新時を6カ月後に控えて同業者(クリーニング業)の紹介で組合に入会した。地主から請求される更新料の悩みを打ち明けていたら、組合を紹介してもらった。

 組合の役員から法律的にも裁判の判例でも、支払い義務はないことの説明を受けて、不払いの決意をして更新の8月に地代を持参したが、更新料の請求はなく、地代は通常通り受領した。

 2年経過した昨年秋、地主が更新について代理人から連絡させると伝えてきた。早速連絡があり、渡辺さんは組合員であることを伝え、交渉は組合を通してと主張した。

 今年の1月になって代理人より組合事務所に電話での問い合わせがあり、担当者の留守を伝えたが、その後4月末になるが組合事務所にも渡辺さん宅にも連絡はない。また、地主からも連絡はない。

 渡辺さんは、「法定更新のままでも組合員であるので安心しています」と笑顔が頼もしい。

東京借地借家人新聞より


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2007年11月16日 (金)

更新料と地代増額の調停、1回で地主取下げる

 荒川区東日暮里2丁目で、60年前父親の代から36坪を借地している熊倉さんは、父親亡き後、借地権を相続し昨年11月22日に20年の期間満了を迎えた。

 更新の条件として、地主は月額4万100円の地代を12月から6900円値上げして4万7000円に、更新料は247万4850円を支払えと通告してきた。困った熊倉さんは、組合に入会し、地税を計算した。その結果、6900円の値上げには応じないが、4500円の値上げを認める。更新料は支払う法的根拠は全くないと内容証明郵便で回答した。

 地主から文書が届き、一部値上げを認めたことのお礼と更新料を1割値引きするから支払って欲しいとの内容だった。熊倉さんは、この請求も拒否したところ、地主は3ヵ月後に二人の弁護士名で代理人を立て、地代増額と更新料請求の調停を申立ててきた。

 熊倉さんは調停の場でもきっぱり請求を断った。調停官も地主の要求には必ずしも応じなくてもよいと助言があった。2回目の調停が4月11日となっていたが、4月6日に地主側が調停を取り下げ、出頭しなくてよいと通知があり、熊倉さんは一安心した。

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2007年11月 7日 (水)

更新料請求の法的根拠算出根拠の回答を求めた

 豊島区巣鴨に住む尾崎さんは、親の代から借地していた。昨年の12月に更新を迎えた。地主の代理人という不動産会社から更新料の請求と更新に際して更新料を支払うという約定の契約書の締結を求められた。その上、更新事務手数料まで請求された。

 組合と相談し、更新料についてはその法的根拠、その算出根拠を求めることにした。また、更新料支払いの特約については拒否することにした。同時に更新手数料なるものは、地主の代理人であるので当然拒否することにした。

 代理人の事務所で話合いをもった時に、事務手数料問題で追求すると「根拠はありません。もらえたらもらうつもりで請求した」などとあまりにも無責任な回答であった。同様に更新料請求の法的根拠算出根拠についても回答不能となった。

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2007年10月12日 (金)

借地権価格の10%の更新料突然請求される

 福生市志茂に住む借地人の西田さんは、11月に地主から借地契約が12月で満了するので更新料として借地権価格の10%、72坪で192万7000円の更新料を請求されました。

 西田さんは、昭和31(19956)年に当時約2万円の権利金を支払い、借地契約を口頭で結び契約書を作成せず、今日まで来ました。先代の地主さんからも更新料など請求されたこともなく、全く寝耳に水の話。おまけに契約書を作成するといって契約書の案文を渡されました。

 この暮れに来て、200万円弱の高額な更新料を請求されてほとほと困った西田さんは、組合に相談に来ました。契約期間を旧借地法で計算すると昭和31年から当初の存続期間30年で、その後地主は何も言わず20年間法定更新しているので、平成18(2006)年の12月に期間が満了します。

 西田さんは、組合から「更新料は相場も法的根拠のない金銭なので地主の請求額を認める必要はなく、契約書も借地人との合意で作成するので借地人にとって不利な条項を削除、訂正してよい。」とアドバイスを受け、「地主と交渉してみます」と元気を取り戻しました。

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2007年10月 2日 (火)

価格交渉が決裂すると更新料680万円を請求され、調停へ

 板橋区大谷口の梨木さんは近所に住む地主から、自宅用に34坪を借地している。商店街ではないが、数件の商店が混在する通りに面した場所である。

 昨年の11月末に、契約期間が満了するという僅か数日前のことだ。地主からわざわざ「折り入って御相談したいことが有り、是非とも御来宅をお願います」との趣旨の手紙が届いた。

 その日の夜、梨木さんは早速に地主宅を訪問した。型通りの挨拶が済むと、直ぐに地主は2つの提案を切り出してきた。このまま更新しても相当の更新料も頂くことになるから、この際、底地を買って貰いたい。それが無理なら、私の方で家を買取ると言うのである。余りに突然な話で、梨木さんも少々困惑したが、返事は後日にすると約し、その場を引き上げた。

 数日後、梨木さんが地主に売却価格・買取価格の提示を求めたところ、契約期間が到来しているから、借地権価格は4割、底地価格を6割にするとの高圧的な回答だった。

 その後2度、話し合いの機会を持ったが、地主の意向は最初と全く変わらず、売買の話は結局は物別れで終った。

 その1週間後、更新料680万円を請求する旨の手紙が届いた。しかし、梨木さんは更新請求には、全く動じなかった。予め、覚悟していたし、組合と事前の打ち合わせも済ませていたからだ。即日、更新料を拒否する旨の通知を地主に送り付けた。

 その後、地主は更新料支払請求の調停を申立てたが、調停は第1回期日で不調に終った。

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2007年9月25日 (火)

寺は懲りずに更新料で続けざまの調停攻撃

 豊島区高田町の藤本さんの借地は30坪。接道(注)の関係で残念ながら再建築は出来ない。地主は、Kという寺で、一帯に相当の土地を持つ大地主。借地人泣かせで有名な寺だ。6年前の更新のとき、藤本さんは、更新料900万円を請求された。藤本さんも、100万円や200万円位は言われるものと覚悟はしていたが、金額を聞いて驚いた。

 その時が藤本さんと組合との最初の出会い。安い高いの問題ではなく、不払で頑張ろうと組合に励まされ、藤本さんが更新料の支払を断ったら、直に地主から更新拒絶の通知がきた。寺は、更新料ではなく、900万円は参詣者用の宿泊施設を建てる建築協力金ということを理由に挙げたが、何はともあれ寺への費用支払を拒否したことで、寺から更新拒絶を言い渡された。でも藤本さんは、そんなことでは怯まなかった。

 その後、寺は対応を変え、更新料支払請求の調停を申し立てたが、藤本さんはきっぱりと更新料支払を拒否の態度を貫いた。結局、調停は不調で終った。

 それから3年目の今年の4月、寺は再び調停を起してきた。調停の内容は①土地を明渡せ、②出来なければ、更新料450万円を支払え、③それに加えて地代の値上げ、というものだった。

 しかし、再度の調停も寺の思惑通りには進まなかった。藤本さんが明渡し・更新料で話し合う意思はないとの態度を貫いたので、2回目からは地代だけの話しに切替えられたのだ。2度くらいの調停など、何のその予め決めた方針は必ず貫き通す。調停に臨んだ藤本さんの対応は、実に見事だった。

東京借地借家人新聞より

(注)建築基準法では建物の敷地は道路に2m以上接していなければならない(建築基準法43条1項)。この道路幅の制限を充たしていないため。


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2007年9月15日 (土)

不動産屋が更新料を強要

 荒川区荒川6丁目に住むOさんは、20年前に約17坪の借地権付きの家屋を買い、今年3月に1回目の借地の更新を迎える。

 近所の人達から借地の事に関して「更新料をいくら払った。地主に何か言うと後が恐いから」等々を聞かされていた。初めての借地更新でいくらの更新料を請求されるのか不安になっていたところ、不動産屋から「今後も地主と仲良くしたいなら坪10万円にまけるから合計170万円支払え」と言われた。

 組合に相談に行ったOさんは、更新料を支払わなくてもいいことが解って、その旨を不動産屋に伝えた。すると、不動産屋は「それなら30万円まける。駄目なら土地を買取れ。住み続けるなら今後一切家屋の修理は認めない。嫌なら出て行け」と言った。

 Oさんは徹底して闘う決意でいる。

東京借地借家人新聞より


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2007年9月14日 (金)

更新料を支払わなくても借金にならないが、銀行から借りて払えば借金になる

 足立区伊興町の山田真理子さんは、夫を無くした後、息子さんと2人で小さな町工場を細々と経営している。

 土地の更新になる昨年9月1坪13万円の更新料を請求された。山田さんも更新料についてはある程度は覚悟していたが、なんと1坪13万円とは、天と地がひっくり返るような思いだった。

 "どうしよう"そんな時、息子さんが組合のあることを知り飛び込んでいった。組合では、更新料は支払義務のないことを話すと、山田さんは本を買って40年ぶりに猛勉強をした。

 組合で勉強した一番の収穫は「更新料を支払わなくても借金にならないが、銀行から借りて払えば借金になる」という説明を聞いたことだ。この言葉で目がさめ、更新料坪13万円から1円も下げないと言う地主を相手に、現在地代を供託して頑張っている。

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2007年9月12日 (水)

地主宅を訪問し、更新料を堂々と断る

    夫婦は地主宅を訪問し、
         830万円の更新料の請求を堂々と断った

  豊島区千川町の杉本さんが借地したのは40年前。借地面積90坪、南側道路に面し広い庭のある立派な屋敷だ。豊島区内では市街化が比較的遅れた地域だが、地下鉄駅も近くに出来、敷地も広く緑の多いもの地域は、都内でも有数の住宅地である。

 今年の4月末で、2度目の更新である。3月末、近いうちに来宅するようにとの連絡が地主からあった。以前から考えてきたことだが、遂に来るべきものがきたとの思いだった。

 杉本さんの家では、2人の息子が今年大学を卒業したばかりのところで、大した蓄えはない。更新料の支払義務はないと聞いてはいたものの、前回は支払った経過もあり拒否するわけにはいかないのでは、との不安はどうしても拭えなかった。何とかしなくては、そんな思いで、2週間が過ぎた。

 杉本さんが思い切って組合を訪ねたのは4月15日、奥さんだけの訪問だった。相談員から法定更新制度、更新料の判例、不払の実態等について話を聞いたが、そんな訳にいかないのではとの先入観がわざわいし、充分な確信にはならないようだった。

 「大事な問題です。ご主人とご一緒に来て下さい」と言われ、翌日夫婦そろって再び組合を訪れた。この時のご主人の態度は実に見事だった。「組合に加入し不払を貫こう」とのご主人の一言が、奥さんの気持ちを決めた。

 数日後、夫婦は地主宅を訪問し、830万円の更新料の請求を堂々と断った。

東京借地借家人新聞より


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2007年8月18日 (土)

一旦支払った更新料を取り戻す

      改めて更新料の支払義務が
              無いことを地主に通知した

 練馬区に住む千葉さんは、この2月に地主から、契約更新に際して、更新料の支払いとして250万円請求された。

 すでに子供さんも嫁いで他の所に住んでおり、本人は年金生活を送っていた。その中からお金を工面し、100万円を持って地主宅を訪問したが、地主は「これでは駄目だから借地を娘名義にして残りの残金を娘に出してもらえ」と言われ困っていた。知り合いの人に相談したところ組合を紹介してもらい組合事務所に来た。

 組合で、よくよく話を聞くと100万円を支払ってもまだ領収書ももらっていないという事なので、このお金を返してもらうことから考え、次に更新料については支払う必要のないことを通告する事にした。

 嫁ぎ先の娘さんに電話で連絡を取り、娘さんから地主に電話してもらい「いろいろ検討するので、一旦100万円を返してください」と言ったところ、100万円は返してもらえる事になった。

 喜びの千葉さん「今度は、更新料の支払義務のないことを地主に通告し、地代の値上げも今まで言われたとおりにしてきたけれど、今後は頑張ってやっていきたい」と話している。

東京借地借家人新聞より

 

貸主の更新料支払要求に対して借主は、その支払を拒否出来るのか。法律上更新料の支払義務はあるのか。更新料支払に関する最高裁判決は、こちらを参照して下さい。 (N)   


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2007年8月13日 (月)

更新料と地代の値上げを拒否する

   荒川区西日暮里4丁目で49坪の借地をしている深津重雄さんは、10月末日で20年目の更新を迎えたが、地主は8月頃から前回の更新料は350万円支払ってもらったから、今回は20年経過しているので倍の700万円を支払えと要求して来た。

  深津さんは長引く不況で支払えないと断った。地主は「それなら650万円にするが、それ以上はダメだ。支払は分割でも構わない。更新料の支払は慣習であり、当然借地人は支払うのが当たり前」と強気一点張りである。

  何度か地主と話合い行い、300万円まで値下げした。地主はこんなに誠意を持って値下げしたのだから更新料は間違いなく支払え。嫌なら明渡すか地代を大幅に上げると通告して来たので借地借家人組合入会した。
  早速、内容証明郵便で「更新料の支払は拒否する。地代も税額の4倍も支払っているので一方的な値上げは認められない」という趣旨の通告した。

東京借地借家人新聞より


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2007年7月28日 (土)

更新料不払い

 借地人8人が一致団結し更新料の不払いで大きな成果

 八王子市本町の大村富三さん他7世帯の借地人一同は、地主の更新料請求の調停申立てに対し、八王子簡易裁判所に調停不調の上申書を昨年9月に提出した。

 上申書には、更新料請求を拒否した経過と、地主の代理人から契約解除の通告を受け、地主には正当事由がないため昨年5月1日をもって法定更新していることを主張した。また、更新料については最高裁昭和51年10月1日判決、同53年1月24日判決で、借地人には更新料支払い義務のないことは確定していることを主張した。

 地主の代理人から「前回更新時の契約書で次回の更新の際に更新料を支払う。金額は契約更新の時期に至った時当事者双方で協議して定める旨の約定がある」との全く嘘の主張に対しては、契約書の中にもそのような合意は一切ないことを明確に反論した。

 八王子簡易裁判所からは、昨年11月19日付で地主側が8名の借地人全員の調停申立てを全て取り下げたとの事由で「調停終了通知」が各借地人に送られてきた。その後現在まで、地主の側からは何らの動きもなく、地主の不動産業者や弁護士まで使った執ような更新料請求はひとまず陰をひそめた。

 最初は地主の代理人から、契約解除の内容証明郵便を送りつけられたり、「更新料を支払わないと孫子の代で借地権はなくなる」と脅かされたり、裁判所に調停を申し立てられたりと、この1年、借地人一同「ハラハラドキドキ」だったが、組合の指示に従ってしっかりと結束したことが、今回の結果に結びついた。

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2007年7月26日 (木)

更新料請求を撤回

  八王子市本郷町で70坪を借地している中西さんは、今年の6月末で契約期間が満了する。地主の代理人の弁護士から、①更新する意思があるか。②更新する場合は地代を月額坪当り500円から750円に値上げする。更新料については協議して欲しい。③契約書を作成して欲しい。以上3点について回答を求められた。

 中西さんは、組合から内容証明郵便で①更新については旧借地法第4条に基づき前契約と同一条件で更新を請求する。②更新料は法律上支払義務のない金銭であり支払えない。地価下落の中50%の値上げには応じられない。③前契約と同一の条件で地代を据え置くなら契約書の作成には応じる用意はあると回答した。

 地主はその後、無断で増改築したとの因縁をつけてきたが、壁や屋根を塗装し、窓をサッシにしただけで増改築には当たらないと反論。その後、脅しが通用しないとわかったのか地主の態度が変わり、協議の結果他の借地人も含め坪20円の値上げで決着した。

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2007年7月12日 (木)

更新料を請求される

      地主からの更新料請求は断わり、
                 法定更新を主張した

 昭島市拝島町で113坪を借地している森谷さんは、地主から今年の4月末で借地契約が満了するので、更新料として205万9000円を試算したので協議に応じるよう通告された。

 森谷さんは、戦後間もなく義理の兄が工場として借地していた土地を地主の了解を受け、昭和30年に名義変更して借地権を引き継いだ。

 その後、地主から20年経過した昭和51年に契約書を作成するとの話があり、森谷さんは法律のことは何も分からず、言われるままに契約期間10年の更新契約書を作成した。

当初、旧借地法第5条に基づきさらに20年間法定更新されると、平成28年が更新時期で今年は更新時期ではないと主張したが、地主は借地法2条1項に基づき、期間10年は無効となり、当初の存続期間30年で、そこから契約時期が始まっていると主張してきた。

 その後、森谷さんに事情を聞いたところ、戦後兄が契約した当時は、契約書もなく借地の目的が建物所有を目的としていたかどうかも不明で、昭和51年に森谷さんの自宅を建てるために初めて契約書を作成した経緯があった。

 そこで、今年の4月末日で契約期間が満了したという地主の主張は認めるが、契約期間満了後も借地の継続について地主は異議を述べていないことから、森谷さんは法定更新を主張することにした。また、更新料については支払い義務がないことから、はっきりと拒否することにした。

東京借地借家人新聞より

借地法
第2条
 借地権ノ存続期間ハ石造、土造、煉瓦造又ハ之ニ類スル堅固ノ建物ノ所有ヲ目的トスルモノニ付テハ60年、其ノ他ノ建物ノ所有ヲ目的トスルモノニ付テハ30年トス
但シ建物カ此ノ期間満了前朽廃シタルトキハ借地権ハ之ニ因リテ消滅ス
 契約ヲ以テ堅固ノ建物ニ付30年以上、其ノ他ノ建物ニ付20年以上ノ存続期間ヲ定メタルトキハ借地権ハ前項ノ規定ニ拘ラス其ノ期間ノ満了ニ因リテ消滅ス
第3条 契約ヲ以テ借地権ヲ設定スル場合ニ於テ建物ノ種類及構造ヲ定メサルトキハ借地権ハ堅固ノ建物以外ノ建物ノ所有ヲ目的トスルモノト看做ス
第5条 当事者カ契約ヲ更新スル場合ニ於テハ借地権ノ存続期間ハ更新ノ時ヨリ起算シ堅固ノ建物ニ付テハ30年、其ノ他ノ建物ニ付テハ20年トス
此ノ場合ニ於テハ第2条第1項但書ノ規定ヲ準用ス
 当事者カ前項ニ規定スル期間ヨリ長キ期間ヲ定メタルトキハ其ノ定ニ従フ
第11条 第2条、第4条乃至第8条ノ2、第9条ノ2(第9条ノ4ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)及前条ノ規定ニ反スル契約条件ニシテ借地権者ニ不利ナルモノハ之ヲ定メサルモノト看做ス

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2007年6月10日 (日)

更新料返還請求訴訟 (京都)

   賃貸借更新料返還請求訴訟
    家主側「適法」と答弁書 弁護団結成、全面対決 /京都

 左京区のマンションを借りていた男性(52)が、賃貸借契約で年1回家主に払ってきた更新料は違法だとして、5回分計50万円の返還を家主に求めた訴訟で5日、家主側が「更新料は賃料の補充や(契約を)更新できる地位確保の対価などであって適法」として棄却を求める答弁書を京都簡裁に提出した。家主のために、これまで同種の訴訟で貸主側の代理人を務めてきた京都弁護士会の弁護士10人が「この家主1人の問題ではなく、首都圏などにも影響を及ぼす」と「貸主更新料弁護団」(田中伸代表)を結成。借り手側の「京都敷金・保証金弁護団」(野々山宏団長)と全面的に争う展開となった。【太田裕之】

 訴状などによると、借り手の男性は00年8月、賃料月4万5000円で毎年10万円の更新料を支払う契約を家主と結び、06年11月の退去までに6回更新した。男性は5回払った更新料について「消費者の利益を一方的に害するもので消費者契約法に違反するか、暴利行為で公序良俗に反して無効」と訴えている。

 家主側は答弁書で「更新料は消費者契約法にも公序良俗にも違反しない。借り手が納得了解して契約を結び、異議なく支払ってきたのを、退去後に返還請求することは信義に反する」と反論。さらに「日本全国の建物賃貸借に重大な影響を与える訴訟で、詳細・厳密に審理されるべきだ」として京都地裁への移送も申し立てた。

 会見した家主側弁護団の田中代表は「借り手の権利のみが過大主張されている。契約で明記して受領し、税務申告もしている更新料の返還請求を認められれば、家主側は経営が成り立たない。メニューを見て注文し飲食代を払った後でサービス料を返せと言うのと同じで不当だ」と述べた。

毎日新聞 2007年6月6日


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2007年6月 9日 (土)

地主が更新料の請求を断念

           更新料の法的根拠を求めた
                 地主の弁護士は更新料の請求を断念

 豊島区要町に33.5坪の土地を借地している加藤さんは、昨年末で借地契約期間の20年が満了し、更新を迎えた。10月頃に地主の代理人である弁護士から「近隣の相場である136万円を支払うよう」請求された。

 加藤さんは、組合と相談し「更新料の法的根拠、金額の根拠」を示すよう回答した。法的根拠を示すことの出来ない弁護士は「前回、更新料を支払った。これは更新料支払いの同意と同じである」と主張した。

  これに対して、加藤さんは「前回の支払いは建替え承諾料で更新料ではない。又、前回支払っても、今回も同意したとはみなされないという裁判の判例もある」と回答した。

  相手側の弁護士は、返事が出来なくなり、この4月に「更新料の請求を断念した。新しい契約書を作成したいので検討してください」という文書を送ってきた。

 加藤さん「組合と相談したおかげで、100%満足の回答です。でも、新しい契約がどのようなものか組合と引き続き相談していきます」と語った。

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2007年5月17日 (木)

更新料は坪10万円

組合のアドバイスで地主に更新料の根拠を示せと主張

 豊島区上池袋に住む榎本さんは借地して60年になる。20年前に親が地主の言いなりになり更新料を支払った。 定年を過ぎ、年金生活の現在、今回の更新及び更新料については、どうなることなのか不安でしょうがなかった。

 地主から「更新についてのご案内」という通知をもらった。その中には「更新する意思があるのか。更新するなら坪当り10万円を支払え」と記されていた。30数坪を借りている榎本さんにとっては300数10万円を支払わなければならない。そんな矢先に城北借地借家人組合のチラシが入った。そこには西武百貨店で借地借家の無料相談を行う案内が載っていたので、さっそく相談にいった。

 榎本さんの「更新料の相場はいくらかですか。更新の期間が過ぎてしまったらどうなるのですか」という質問に対して相談員は「更新料支払うという約束がなければ支払う必要がないこと。更新時期が過ぎても正当な事由がないかぎり更新拒絶はできないことその場合、法定更新されて期間は20年になること」などを丁寧に説明された。

目からうろこが取れた榎本さんは組合に入会し、その上で地主に「(1)更新料を支払うという法的根拠を示してください(2)坪10万円という数字の公の根拠(裁判の判例など)を示してください」という通知を出すことにした。その後、地主からの回答はない。榎本さん「回答がないというのは、多少不安であるが、組合に入会してよかった」と述べた。

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2007年5月15日 (火)

高額更新料

  家主の一方的な値上げと受領拒否に対し供託で頑張る

 豊島区南長崎で2軒長屋の店舗を借りて商売をしていた橋本さんと須永さんは昨年の年末に5年目の契約更新の時期を迎えた。2人とも、この不況の中で商売も大変で、売上も中々伸びないどころか後退している。本来ならば、賃料を下げてほしいと思いつつも、現行のままの条件で更新すると思っていた。

 その矢先の12月に、家主が持ってきた更新に際しての通知書には「(1)賃料を現行の12万円を13万円に値上げする。(2)更新に際して更新料として新賃料の2カ月分を支払うこととする。(3)契約期間は3年間とする。」というものであった。

 「賃料を値下げしてほしいと思っていたのに値上げを通知され、その上、今まで支払っていなかった更新料まで請求され、期間も5年から3年契約に変更を要求されている」こんな理不尽なことが許されるのかと思って、知人に相談したところ、組合を紹介された。

 組合で、賃料の増減、契約内容の変更には双方の合意が必要なことを説明され、この時期に一方的な値上げは認められないとして、現行どおりの賃料を持参したところ家主は受取を拒否してきた。橋本さんは隣の須永さんも同じ通知書を受け取っていたので2人で組合に入会し、合意更新が出来ないならば、法定更新で、賃料の受取を拒否したので供託して頑張ることにした。2人とも「組合に入会したことで安心して対応できる。」と語った。

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2007年5月11日 (金)

更新料を断ると明渡請求

 地主の車の出入の邪魔という理由

 大田区南蒲田2丁目に居住する借地人の飯田さんは、高額な更新料を請求されて知人の紹介で組合に加入した。

 知人も借地人で今年2月に地上げされたことから組合に加入し、地上げ業者と対応して希望する価格で底地を購入することができたことを説明して、組合への加入を勧めた。

 飯田さんは18坪の借地権付の建物を40年前に購入し、クリーニング業を営んできた。前回の更新時は坪当たり5万円の更新料だったが、今回は坪15万円の請求で、あらかじめ考えていた金額を大幅に上回っていた。

 しかも円満に更新ができればと思い、近隣よりも高額な地代に応じてきたのに、地主は周辺の更新料請求額の2倍強の高額な請求をしてきた。

 飯田さんは、坪15万円の更新料の支払を断り、月々の地代を提供したが受領を拒否された。地主は「立退料を出すから明渡せ」と言ううので、それも断り、地代は供託すると伝えた。

 地主は、道路の角地にある飯田さんの建物が車の出入りの邪魔だと言う。飯田さんは、こんな無謀な話しには絶対に妥協しないと決意している。

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2007年5月 3日 (木)

更新料を払えば借地契約書名義を相続人に書替えてあげると言われた

(問) 2年前に借地人だった父親が死亡し長男の私が相続することになりましたが、何の手続きもせず現在までそのまま放置しています。借地権の相続はどのような手続きをすればいいのでしょうか。

 借地契約は今年の2月15日で契約期間が満了します。すでに地主から更新料を坪当たり10万円、57坪で570万円要求されています。

 私は借地更新料は支払義務がないという話を聞いていますが、地主は更新料を払えば、借地人名義を私の名前で契約書を作ってあげると言っています。このため、更新料の支払を拒否すると私名義の契約書ができないと思いますが大丈夫でしょうか。

 (答) 借地の相続は、借地上の建物の登記の所有者名義を相続人に変更するだけでいいのです。これは司法書士に頼めば簡単にできます。その際に地主の承諾は不要です。地主に対しては、建物所有者の相続による移転登記終了後に「借地権は私が引継ぎました」という通知をするだけでいいのです。これで借地権の相続は完了です。相続人名義の借地契約書は無くてもなんの問題もありません。

 借地更新料はご指摘のとおり支払義務はありません。それは、借地契約の更新は地主にしてもらわなくても法律の定めで自動的に更新されるからです。

 借地契約の更新には、地主と借地人が更新契約条件に合意して、更新契約書に署名捺印する「合意更新」と従前の契約期間が過ぎると法律の定めで自動的に更新する「法定更新」の2通りあります。

 法定更新した場合の契約条件は、借地上の建物が非堅固(木造並)では期間は20年で、その他の契約条件は従前と同一です。

 地主は更新料を請求する根拠として「更新料の授受は世間の慣習だ」と主張しましたが、最高裁判所で慣習説は否定され、借地更新料は支払義務なしとされました。最高裁判所昭和51年10月1日および最高裁判所昭和53年1月24日の判決で法的には決着済みの問題になりました。

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2007年4月30日 (月)

借地の更新料の支払い拒否

地主に 更新料の支払いを断り、
          拒否された地代の供託を通知

 大田区新蒲田3丁目所在の宅地39坪を賃借中の中本さんの契約期間満了は平成14年の6月。また、同一地主から賃借人の荒井さんも宅地50坪の期限は同年10月であった。

 地主より不動産業者を差し向けるとの連絡があり、やっと平成17年になって業者と話し合いとなった。業者は地主より伝えられていた、坪5万円の更新料に固守し交渉は決裂した。

 しかし、地主は請求額の更新料を3月末日までに、持参せよとの書面により催促してきた。

 組合と相談し、中本・荒井の両氏は、平成16年12月分までの持参した地代が受領されていることから、既に借地契約が法定更新されていると説明された。更新料の支払い義務は法律上の規定にはなく、更新料支払いの商習慣も最高裁が否定していることも説明された。

 そこで、組合は、地主に対して借地人らは更新料の支払いに応じないことと、拒否された地代を供託する旨を内容証明郵便にて通告した。

 中本さんと荒井さんは、今後も自信を持って対応すると決意している。

東京借地借家人新聞より


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2007年4月28日 (土)

今回も借地更新料を拒否

 大田区羽田3丁目に居住する石井・小島・佐藤・須山(正)・須山(新)・田村(アイウエオ順)ら借地人6名が借地人組合に加入して20年余を経過する。

   前回の更新の時は、父から相続した息子より依頼された小田原の弁護士との交渉であった。当時周辺で更新料を支払う事例を見聞きする中、石井さんら6名の借地人は借地法や判例を学習の上、更新料不払いで意志を統一し団結を強めて交渉に臨んだのです。

   その結果、地主代理人弁護士は法律上更新料を諦めざるをえないが、地主を説得するので地代を増額してほしいと提案する。交渉は長引き小田原への通いは1ヶ月余に及んだが遂に、更新料請求は撤回され、地代も納得出来る増額内容で合意した。

  早いものです。あれから20年も経ちました。その間の数回の地代値上げは地主との直接交渉であったので、今回の更新についても地主との交渉と想定したが、組合を嫌がったのでしょう。地主は地元の不動産業者に依頼されたのです。業者は借地人らにではなく、組合に書面にて契約更新を打診してきた。

   直ちに、借地法第4条に基づき更新を請求することを通告すると、業者は更新料は頂けないだろうと請求せずに地代の増額を提示してきたのです。その内容は坪当たり60円の値上げであった。

   借地人らは更新契約書を手にすることが出来ればと了承するつもりであったが交渉で坪当たり50円で合意し12月に締結。嬉しい新年を迎えられました。
           

東京借地借家人新聞より


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2007年4月25日 (水)

更新料を断わる  

  豊島区JR大塚駅より歩いて数分のところに親の代より借地している仲村さんの所に地主から借地の更新の話があったのは昨年のことであった。

   20年前の更新時に支払った更新料より高い300万円を請求され、しかも、地代の値上げを請求された。知合いの組合員さんから紹介されて組合に入会した。

   組合から更新料の支払いについてその法的根拠、及び算出根拠を求める手紙を出したところ、回答に窮して、私道の駐車問題などで財産権の侵害だなどと称して話合いがつかないならば裁判だと主張してきた。また、前回更新料を支払ったのだから、暗黙の了解があったと解すべきだ主張してきた。

   組合では、仲村さんに、先の東京借地借家人新聞に載った更新料支払いの了解についての判例紹介(*)などをもとに貸主に反論することを提案した。この間、数度にわたる通知書のやり取りをしてきた仲村さんは「組合に入って、このような問題でも安心して相談できる。本当に助かります」と話していた。

東京借地借家人新聞 より

 (*)「かつて更新料を支払った事実があるというだけで更新料支払の合意があったことの根拠とすることはできない」(東京地裁2004年5月21日判決)。そして、更新料の支払いの慣習があるとする地主の主張も認められなかった。


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2007年4月23日 (月)

約定更新料を地主が請求

建築確認も取れない土地と支払を拒否

 大田区南六郷1丁目に、所在する宅地約17.82坪を木造住宅建てて使用している山下さんは、父から引きついだ家屋に夫と子供2人と生活している。

借地契約は今年9月末日で期間満了を迎えて、地主より105万円請求された。返事を渋ると、地主は、契約書に借地権価格の1割以上の更新料を支払うと約してあると、電話で執拗に支払いを求めた。

 山下さんはこれまで色々と相談していた隣人(同一借地人の林さん)に相談。林さんは組合の存在は知っていたが、場所は判らず、区の消費者センターに問合わせて組合事務所を訪ねて2人で入会。

 約定更新料は借地法第11条〔〕により無効になることを勉強した山下さんは、組合に入会したことも含め地主に通告。

 地主の依頼を受けた弁護士から組合に連絡があり、地主は請求額に固執し支払いは月賦でも良いとの条件を提示。 

 法律を学んだ山下さんは、建築許可も取れない奥まった宅地を踏まえ重ねて支払い拒否。林さんも2年後の更新を控えて、山下さんに続くと決意している。

  東京借地借家人新聞 より

 

 〔〕借地法 第11条 第2条、第4条乃至第8条ノ2、第9条ノ2(第9条ノ2ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)及前条規定ニ反スル契約条件ニシテ借地権者ニ不利ナルモノハ之ヲ定メサルモノト看做ス


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2007年4月 2日 (月)

更新料支払特約

  更新料の授受は慣習に多く頼っており、地域差が非常に大きいという理由から「借地借家法」においても更新料の規定は置かれなかった。更新料については法律には何の規定もない。
 従って法律上は、賃借人が更新料支払の義務を負っている訳ではないし、また賃貸人が更新料を請求する権利を持っている訳でもない。

 最高裁は更新料に関して「賃借期間満了に際し賃貸人の一方的な請求に基づき当然に賃借人に賃貸人に対する更新料支払義務を生じさせる事実たる慣習が存在するものとは認められない」(最高裁1978年1月24日判決)と判断した。

 即ち、予め更新料の支払約束が無い場合は賃貸人が賃借人に対して更新料を請求することが出来ない。前記最高裁判決後、借地・借家に関して更新料支払合意が無い場合には更新料支払を認めた判例は存在しない。

 それでは、契約書に更新料支払特約がある場合、賃借人は更新料の支払義務を負うのか。
更新料支払の理由として多くの裁判例で指摘されるのは、
(A)賃料の不足を補充する趣旨
(B)賃貸人の更新拒絶権・異議権放棄の対価
(C)合意更新された期間は解約申入れの危険を回避出来るという利益の対価、
 以上三点である。

更新料支払特約がある場合、契約を合意更新せずに、法定更新するとどうなるか。
 ①「肯定説」更新料特約は契約自由の原則によって合意したのであるから合意更新は勿論であり、法定更新にも有効である。即ち、更新料特約が有る場合、賃借人は更新料支払の義務がある

 ②「否定説」更新料特約は合意更新の場合にのみ有効であり、法定更新になった場合は効力を有しない。即ち法定更新した場合は賃借人に更新料支払の義務はない

 借家の場合において、最高裁は②の立場から「本件建物賃貸借契約における更新料支払の約定は特段の事情の認められない以上、専ら賃貸借契約が合意される場合に関するものであって法定更新された場合における支払の趣旨までも含むものではない」(1982年4月15日判決)と明快な判断をしている。

 更新料支払特約は合意更新を想定したもので、法定更新には適用されない。法定更新した場合は賃借人に更新料支払の義務はない。

 これは当然の結論である。借地借家法は経済的負担の無い法定更新を定めている。更新料特約は法の趣旨に反して借主に不利益な経済的負担を課している。特約が法定更新の場合にも適用されるとすれば、それは実質的に経済負担を強制する合意更新を義務付け、無償の法定更新を排除するに等しい。換言すれば法定更新制度の否定である。


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2007年3月 6日 (火)

更新料と地代値上げを拒否

 更新料と地代値上げを拒否、
             不利益な特約条項を削除させる

 板橋に住む、西郷さんの家は板橋区と豊島区の区界で、昔は、目の前を川が流れており、今は暗渠になって遊歩道と公園になっている。

 昨年の夏に、西郷さんの自宅に地主の代理人の不動産会社が訪問してきた。内容は、法定更新中の契約を更新したいので、更新料の支払と地代の値上げ、そして契約書を取り交わしたいと言ってきた。

 昔、借地借家人組合に相談した事がある西郷さんは、知り合いの人を通じて組合事務所に相談に来た。組合では、直ちに地主宛てに「更新料については法的根拠がないこと。地代の値上げについても、経済事情の動向、公租公課の増減、近隣の相場のいずれもとっても値上げの要因がないこと」との断りの通知書を出した。 

 この通知書に対して代理人は更新料と値上げをあきらめ財務省に物納したいので契約書の作成に応じて欲しいと言ってきた。財務省に提出予定の契約書案は増改築特約や更新料支払などの内容で認められないと返答。最終的には借地人に不利な条項を全て削除した契約で文書が出来上がった。

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2007年3月 3日 (土)

借地の更新料を拒否

 更新料特約も無いのに
             200万円の更新料 を請求

 豊島区要町に住む田沼さんは、約58坪の借地で今年の6月で20年の契約期間が満了した。地代は毎月きちんと支払い、建物を改築した時は承諾料も支払ってきた。

 今年の3月に、地主の代理人と称する不動産業者が訪れ「契約を更新したいのならば、更新料を200万円(坪34,500円)支払え」と請求された。年金暮しで息子夫婦と一緒に暮らしていた田沼さんにとっては、いきなりの大金の請求で困っていた時に、組合のチラシが入り、急いで組合に相談に行った。

 組合では、更新料については、法律上の定めもなく契約上の定めのないものは、支払う必要が無いことを説明され、早速組合に入会した。組合では不動産業者に「田沼さんは借地借家人組合の組合員であること、今後の協議は組合を窓口にして行うこと」を通告した。

 その後、不動産業者から「更新料について話合いしたい」と組合に電話があったが、「法的にも契約上でも義務のない更新料は一切支払わない」と通告すると「法律上なくても、私の知るかぎりでは、全員が更新料を支払っている」と言い張ったが、最高裁判例などを説明すると「判りました」と言って電話をきった。

 その後、不動産業者は代理人を下りてしまい、地主も更新料請求については断念した。
 田沼さんは「更新料を支払わずに済んだのは組合を知ったからです。いつ、追出されるのか不安の毎日でしたけれど、これからは安心して、眠れます」と語った。

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2007年3月 1日 (木)

借地の更新料不払い

  借地人には更新料支払義務はない

 20年、30年の借地契約期間の満了時に必ずといっていいほどに請求される「更新料」は、借地人にとっては頭の痛い問題だ。各地で開催されている借地借家講座・相談会でも「地主さんから請求された場合、一体どの位払ったらいいのでしょうか」、「更新料の相場を教えて下さい」と言った質問がよく出される。

  確かに旧借地法にも借地借家法にも、更新料に関する法律上の規定は何もない。地主が更新料を請求する法律的根拠は何も無いということである。従って、その請求に対して借地人は更新料を支払う必要もないし、支払義務がないことは当然のことである。

  借地法・借地借家法では、借地の契約期間が満了しても契約は当然に終了するのではなく、地主に正当事由がなければ、従前の契約と同一の条件で更新したものとみなされる(借地法法4条・6条、借地借家法5条・6条)。

  従って、契約の更新に際して借地人が更新料の支払いを拒否した場合、地主はそれを理由にして更新を拒否しても法律の規定に従って自動的に借地契約は法定更新される。

  各地で更新料不払い。地主が請求する更新料の金額も千差万別である。
 ①千代田区富士見町1丁目で借地している奥田さんは、契約が昨年末で期間満了した際に地主から更新料を763万円(坪当たり173,000円)を請求され、組合を通じて更新料全額を拒否する通知を出した。
 その後、地主の代理人の弁護士から更新料500万円支払えという調停をかけてきたが、奥田さんは調停には出席しない旨の上申書を裁判所に提出し、あくまでも更新料の支払いを拒否する意向だ。

 ②豊島区西池袋に住む萩原さんは102坪の借地で期間満了に当たり「更新するなら5,000万円(坪49万円)支払え」と言われた。組合に相談し、「契約を更新するが、更新料は支払う意思も資力もない」とはっきり文書で断った。
 その後、地主は金額を半分にしてもいいと言って来たが、萩原さんは地代の供託を続けている。

 ③府中市府中町で約138坪を借地している正宗さんは、地主の代理人から3,000万円(坪217,400円)の更新料を請求されたが、組合より「更新料は法律上支払う義務はなく、借地契約は法定更新にしたい」と回答したところ、地主はあっさり断念した。

 このように坪何十万という高額な請求がある一方で、高額な請求をして借地人に支払いを拒否されるよりは少しでも支払って貰う方が徳と考え、借地人が支払えそうな金額を請求する事例が多く見掛けるようになった。

 ④台東区谷中で35坪を借地している石井さんは寺の土地を管理する管理会社から105万円(坪3万円)の更新料を請求された。公示価格坪150万円の2%で算定しているという説明を受けた。台東区内でも3~5万円ぐらいの請求がかなり多い。

 ⑤足立区の西新井地域で更新料が坪8~12万円という高めの請求がある一方で、坪2~3万円といた請求もあり、地主の更新料請求もかなりばらつきがある。

 地主も現実的になり、借地人の支払い可能な限度で請求するようになった(④、⑤の後者の事例)。

 それでも支払いが困難な借地人は、組合を頼り法定更新と更新料不払の途を選択する(①、②、③の事例)。
 この傾向は1976(昭和51)年10月1日の最高裁判所が法定更新時における更新料支払いの慣習を否定したことから、平成初年代からバブル経済の崩壊に伴う地価の下落と経済不況は、更新料不払の増大を加速し、更新料支払い慣行は衰退化の途を辿っている。

 その後の下級審の裁判例は、法定更新の場合について、更新料支払いの事実たる慣習或は慣習法の存在を認めた判例はない事から法定更新を選択し、更新料不払の途を選ぶ借地人が多くなっている。

 東京借地借家人組合連合会と各借地借家人組合では金額の額に拘らず更新料は不当で根拠のない請求であることを多くの借地人に呼びかけ更新料不払の運動を展開している。


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2007年2月22日 (木)

更新料支払特約は法定更新の場合には

更新料支払特約は法定更新の場合には
            適用が無く更新料支払義務は無い

 (問)京都地裁(2004年5月8日判決)で更新料支払特約があっても契約を法定更新した場合には、借主に更新料支払義務は無いという借家での判決があった。他に約定更新料の支払義務無しという借家に関する高裁又は最高裁の判例はあるのか。

  (答)東京では更新料特約がある場合、契約を法定更新した時に更新料の支払義務の有無が裁判で幾度となく争われている。

 具体的な判例で検討してみる。借主Aは、賃貸マンションを期間2年、更新の際は新家賃の2ヵ月分の更新料を支払うという更新特約が有る契約を結んだ。2年後の更新時に家賃の増額で紛糾し、合意更新ができなかった。Aは更新料を拒否し、相当と思われる家賃を供託し、法定更新の途を選択した。貸主は増額家賃・更新料の不払を理由に契約解除を通告し、未払家賃・更新料の支払と建物明渡を求めて提訴した。

  地裁は、約定更新料は法定更新には適用されず、支払義務は無いとしてAの主張を全面的に認め、貸主の請求を棄却した。

 控訴を受けて東京高裁は「法定更新の場合、賃借人は何らの金銭的負担なくして更新の効果を享受することができるとするのが借家法の趣旨であると解すべきものであるから、たとえ建物の賃貸借契約に更新料支払の約定があっても、その約定は、法定更新の場合には適用の余地がない」(東京高裁1981年7月15日判決)とした。

 この判決を不服として貸主が上告したが、最高裁は上告を棄却した。最高裁は「本件建物賃貸借契約における更新料支払の約定は特段の事情の認められない以上、専ら右賃貸借契約が合意される場合に関するものであって法定更新された場合における支払の趣旨までも含むものではない」(最高裁1982年4月15日判決)と明快な判断を下している。

  このように更新料支払特約は合意更新を想定したもので、法定更新には適用されない。これは当然の結論である。借地借家法は経済的負担の無い法定更新を定めている。更新料特約は法の趣旨に反して借主に不利益な経済的負担を課している。特約が法定更新の場合にも適用されるとすれば、それは実質的に経済負担を強制する合意更新を義務付け、無償の法定更新を排除するに等しい。換言すれば法定更新制度の否定である。

             更新料支払特約は法定更新には適用されない。
                参照 (1) (2) (3) (4) (5)  


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2007年2月21日 (水)

更新料支払特約があっも法定更新した場合には更新料の支払義務が無いという最高裁判決

判例紹介

次に掲載する最高裁判決は前日紹介した東京高裁判決(昭和56(1981)年7月15日)を不服として賃貸人が最高裁に上告したものである。判決は賃貸人の全面敗訴。

      最高裁昭和57(1982)年4月15日判決

言渡 昭和57年4月15日
昭和56年(オ)第1118号

    判      決
東京都世田谷区若林4丁目**番**号
上告人             T実業株式会社
代表者代表取締役      N   M
訴訟代理人弁護士      雨宮 真也
                                       中村 順子
                                       川合 善明
                                       島田 康男
東京都世田谷区若林4丁目**番**号
          Sメゾネット105号室
被上告人            A 

  
 右当事者間の東京高等裁判所昭和55年(ネ)第1066号、第1094号建物明渡請求事件について、同裁判所が昭和56年7月15日言渡した判決に対し、上告人から全部破棄を求める旨の上告の申立があった。よって、当裁判所は次のとおり判決する。

    主       文

本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。

    理        由
 上告人代理人雨宮真也、中村順子、川合善明、島田康男の上告理由について所論の点に関する原審の認定判断は、本件建物賃貸借契約における更新料支払の約定は、特段の事情の認められない以上、専ら右賃貸借契約が合意更新される場合に関するものであって法定更新された場合における支払の趣旨までも含むものではないと認めるべきであるとするものと解されるところ、本件における証拠関係及び事実関係の下においては右認定判断はこれを是認することができないではない。
 論旨は、原判決を正解しないでその不当をいうものであって、採用することはできない.。
 よって、民訴法401条、95条、89条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

      最高裁判所第一小法廷
        裁判長裁判官    山  本      亨
              裁判官        団  藤  重  光
              裁判官        藤  崎  萬  理
             裁判官    中  村  治  朗
             裁判官    谷  口  正  孝

 昭和57年4月15日
 最高裁判所第一小法廷

             


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2007年2月20日 (火)

更新料支払特約があっても、法定更新された場合は更新料の支払義務がない

  判例紹介

 更新料の支払約束があっても、法定更新された場合には、支払義務がなく、支払を理由に契約解除は出来ないとした事例 東京高裁昭和56年7月15日判決

 (事実)
 借家人Aは、更新時に、新改定家賃の2か月分の更新料を支払う約定で、マンションの一室を賃貸したが2年後の更新時に、賃料改定をめぐって紛糾し、合意更新することが出来なかった。そこでAは、更新料を払わず、自己が相当と思料する賃料を提供し、法定更新を求めたところ賃貸人から増額賃料(増額未確定にも拘らず)の未払いと、約定更新料の不払を理由に契約解除し、建物の明渡し、未払賃料、約定更新料の支払を求めて来た事案。

 原審は、支払賃料の一部支払を認容した(供託無効を理由)他は、請求棄却。そこで、賃貸人から控訴、Aから一部控訴。その結果、Aの全部勝訴となった。

 なお、一審判決も、更新料の不払については、「法定更新された本件賃貸借契約そのものの解除理由となり得ない」として、Aの主張を全面的に認めている。

 (判旨)
 「建物の賃貸借契約においては、借家法第1条の2、第2条により、これらに定める要件の認められない限り、特に賃貸人のした更新拒絶ないし異議に正当事由の存しない限り、賃貸借契約は従前と同一の条件をもって当然に継続されるべきものと規定されている(法定更新)うえに、同法第6条によれば右規定に違反する特約で賃借人に不利なものは無効とされていることを考えると、法定更新の場合、賃借人は、何らの金銭的負担なくして更新の効果を享受することができるとするのが借家法の趣旨であると解すべきものであるから、たとえ建物の賃貸借契約に更新料支払の約定があっても、その約定は、法定更新の場合には、適用の余地がないと解するのが相当である。そして、本件賃貸借契約において、叙上と異った解釈を採るべき特段の事情の存することは認められない。
 ところで、本件の更新が法定更新であることは、前記のとおり当事者間に争いがないから、第一審被告に更新料支払の義務があるとする第一審原告の主張は、その余の点について検討するまでもなく、その理由がないというべきである」。

 (短評)
 判旨は論旨明快である。法定更新制度の要件を正確に解釈している点で1つの参考になろう。この判決の判旨に反対する下級審判例もあり、高等裁判所の段階で、このような明快な判決が出たことの意義は、大きいと思われる。

   第一審被告=借家人A   第一審原告=家主・賃貸人

 借家法
第1条ノ2
 建物ノ賃貸人ハ自ラ使用スルコトヲ必要トスル場合其ノ他正当ノ事由アル場合ニ非サレハ賃貸借ノ更新ヲ拒ミ又ハ解約ノ申入ヲ為スコトヲ得ス

第2条 当事者カ賃貸借ノ期間ヲ定メタル場合ニ於テ当事者カ期間満了前6月乃至1年内ニ相手方ニ対シ更新拒絶ノ通知又ハ条件ヲ変更スルニ非サレハ更新セサル旨ノ通知ヲ為ササルトキハ期間満了ノ際前賃貸借ト同一ノ条件ヲ以テ更ニ賃貸借ヲ為シタルモノト看做ス

 前項ノ通知ヲ為シタル場合ト雖モ期間満了ノ後賃借人カ建物ノ使用又ハ収益ヲ継続スル場合ニ於テ賃貸人カ遅滞ナク異議ヲ述ヘサリシトキ亦前項ニ同シ

第6条 前7条ノ規定ニ反スル特約ニシテ賃借人ニ不利ナルモノハ之ヲ為ササルモノト看做ス

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より


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2007年2月17日 (土)

更新料を支払う慣習或は慣習法の存在が否定された事例

  判例紹介

 更新料を支払う旨の慣習あるいは慣習法の存否 (東京地裁平成7年12月8日判決、判例タイムズ918号)

 (事案)
 賃借人は銀座の土地を借地していた不動産会社であるが、倒産して会社更生手続が開始された。会社更生手続の中でこの不動産会社は他の会社に吸収合併されることになった。この結果、賃借権も新会社に譲渡された。そこで、地主は、新借地人である新会社に対して、賃借権譲渡の承諾料及び更新料として総額3億円を請求した。新賃借人は、更新料の支払を拒否し、譲渡承諾料について話合いをしていたが、交渉決裂となったため、地主が提訴した。

 地主は、新賃借人が、右交渉において、更新料支払約束をしたと主張、それが認められないとしても、慣習あるいは慣習法に基づいて更新料支払義務があると主張した。

 判決は、更新料の支払い合意は成立していないとした上で、慣習に基づく更新料支払請求について、次のように判決した。

 (判決要旨)
 「土地の賃貸借契約の更新に際して賃料を補充するものとしての更新料の支払がなされる事例の存することは否定し得ないところであり、東京都内、特に銀座地区においては、賃貸借契約の更新に際して、更新料が支払われる例が多くみられるが、これらの更新料の支払は、賃貸借契約の更新時における更新条件等の協議に基づいた合意の結果、支払がなされるに至ったもので、原告が主張するように、当事者間の更新料に関する合意が存しないにも関らず慣習あるいは慣習法に基づいて当然に更新料の支払がなされたという事例は散見することができない。
 したがって、東京都内、特に銀座地区においては、賃料の増額が地価の高騰に追いつかず、適正賃料額と現実の賃料額との格差が拡大する傾向にあることから、更新料の支払いが一般的に行われるとしても、右更新料の支払が、慣習あるいは慣習法に基づいてなされているという事実を認めることはできない。

 (説明)
 更新料の支払約束がない場合、慣習によって更新料支払義務を認めることはできないということは、最高裁昭和51(1976)年10月1日判決で明確にされ、その後も地裁、高裁で同様の判決が出されており、判例上確定した見解となっている。
 本判決もこの流れの中にあるものだが、昭和51年10月1日の最高裁判決から既に久しい年月が経過している。慣習とは、日々の積み重ねで作られたり消えたりするものであるから、その間に更新料支払に関する慣行が変化することもありえる。その意味で、本判決が慣習に基づく更新料支払の慣行はない、としたことは意義があるので、判決例として紹介した。  1996.12.

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

参照 ①(借地)法定更新の場合でもで更新料支払の慣習は認められないとした判決(東京地裁平成14年1月24日)
      ②借地の更新料支払の慣習は認められないとした判決(東京地裁平成16年5月21日)                  


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2007年1月29日 (月)

地主が更新料を要求

       地主に借地契約の更新請求を通知した

 台東区千束で永年雑貨商を営む野口さんは16坪を借地している。先月末に3軒先に住む地主に地代を持参した折り、突然地主から「来月10日に契約が満了になる。契約を更新するのであれば更新料として500万円支払って頂きたい」と言われ、慌ててしまった。家に帰り、家族と更新料について話し合った。だが昨今の景気動向では、とても高額な更新料を支払うことは出来ない。

 困り果て、近所の人から借地借家人組合があることを知り早速組合に相談し、加入した。組合の説明では、野口さんの借地契約書には「更新料支払特約」が書き込まれていない。このように更新料の支払い約束の無い場合は、更新料の支払義務がないことは判例上確定している。従って更新料を支払わなくても借地の更新は問題なく出来る。また建替えも組合の指導に随えば問題なく行えるという説明であった。

 後日組合が準備した「借地法」4条に基づく「借地契約の更新請求」を地主に配達証明付内容証明郵便で通知した。

  借地法4条は借地権が消滅した場合でも借地人からの請求によって一方的に更新を認め、地主は原則としてこれを拒めない。借地契約は地主と合意しなくても前の契約と同一条件の借地権が設定されたものとみなされ、木造建物の場合は借地期間20年と法定される。契約書が無くても借地契約は自動更新される。

 「次回、地主宅に地代を持参する時は地主に更新料は法定されていないし、判例上も支払義務がないことは確定していることを説明し、更新料支払い拒否の意思を明確に伝える積りである。今ままでは地主の要求に言われるままに応じて来た。これからは借地法を勉強して根拠の無い要求には一切応じない決心を固めた。これからは組合とともに頑張りたい」と語った。


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2007年1月17日 (水)

借地人がなぜ更新料を支払うのか

地主側には更新料を請求する法的根拠はないが

  地主側の立場から書かれた『悪質借地人に対抗する地主の正攻法』安西勉著(自由国民社)の中に次のような内容が書いてある。

  借地人がなぜ更新料を支払うのかという理由で一番多いのが
  特別な理由があるというのではなく、「更新料を払うのは慣行だから」というものだ。
 次に多いのが地主と争うのがいやだからという結果があるという。

  このことから著者の結論は、地主側には更新料を請求する法的根拠はない。
  しかし、「更新料というものは、なにも特別な理由づけをしなくても、当然のこととして支払ってもらえる場合が多いということ」要するに、駄目もとでいいから、取敢えず借地人に更新料支払いを要求する。 すると、大概の借地人は理由もわからずに払うケースが多い。

 [もしそうでなく、借地人としては本当は支払いたくない場合であっても、地主が更新拒絶などの権利を行使すれば、支払ってもらえることが多いということです」要するに、支払わないとごねてゴチャゴチャ言うようであれば更新拒絶で威嚇してみれば、借地人はビックリして厭々ながらでも更新料を払うものである。

 地主側には更新料を請求する法的根拠はなくとも、「地主がもっと強く更新料を請求していれば、支払ってもらえたであろうケースが多い」というのが地主側の結論である。

 地主側の更新料支払い請求はこの程度のものでしかなく、裁判になれば勝てないことは充分承知している。しかし、更新料を支払ってもらえない理由は「そのもっとも大きな原因は、要するに地主が怠慢だということ」が著者の下した最終結論である。

 最高裁は、地主の一方的な更新料請求に対して借地人の更新料支払義務がないことを明確に判断している()。 特約で更新料の支払いを約束した場合についてはこちら

) 「宅地賃貸借の期間満了にあたり、賃貸人の請求があれば当然に賃貸人に対する賃借人の更新料支払義務が生ずる旨の商習慣ないし事実たる慣習が存在するものとは認めるに足りない」(最高裁1976年10月1日判決)。

 ()[建物所有を目的とする土地賃貸借契約における賃借期間満了に際し賃貸人の一方的な請求に基づき当然に賃貸人に対する賃借人の更新料支払義務が生じさせる事実たる慣習が存在するものとは認められない」(最高裁1978年1月24日判決)。


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2007年1月13日 (土)

更新料支払い請求

更新料支払い請求を拒否し、賃貸契約は法定更新

 浅草橋のマンションに2年前から親子二人で住んでいる田中さんは、家業不振な折に今年4月に契約更新を迎え、不動産屋から家賃2ヶ月分相当の更新料を請求された。月々の家賃も前払いから当月払いにして、何とか支払ってきた。そんな状態では更新料を請求されても払える訳も無い。

 その頃から階上に住む管理人が何かに付けて嫌味を言うようになった。最近では、田中さん親子が昼間営業に出ている間に「無契約状態だから、部屋の鍵を取り替え、室内の物品は田中さんの事業所に送る」などと言われるようになった。

 田中さんは、組合役員と相談し、役員立会いの元で家主と管理人に「申し入れ」をすることにした。家主に都合を打診したところ当分都合が悪いと言うので、書面による以下の「申入書」を送った。

 家主宛には(1)特約で更新料支払いを約束していないし、借地借家法でも借家人の更新料支払い義務は法定されていない。従って更新料の支払義務は無い。(2)契約は借地借家法26条の規定で既に法定更新されている。従って無契約状態ではない。

 管理人宛には(1)公序良俗に反する言動はしない事。(2)管理・点検以外の目的で勝手に部屋に立ち入らない事。

 その後は、管理人の不穏当な言動は影を潜めた。

第26条 建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の1年前から6月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、その期間は、定めがないものとする。
2  前項の通知をした場合であっても、建物の賃貸借の期間が満了した後建物の賃借人が使用を継続する場合において、建物の賃貸人が遅滞なく異議を述べなかったときも、同項と同様とする。


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2006年12月26日 (火)

借家の更新料支払い請求

                    更新料の供託で危機を脱出     

 台東借地借家人組合員の谷本さん夫妻は、台東区今戸で作業場(10坪)を月8万円で借りている。前回(3年前)の更新時に更新料問題で揉め、調停で更新料が家賃の3ヶ月分から1ヶ月分へと減額された経緯がある。家主は更新料が減額されたことにかなり固執している。     

 本年、7月の更新を前に6月中旬、家主は翌月からの家賃値上げ2000円を通告し、現行家賃での受取を拒否した。それを受けて、組合は東京法務局に現行家賃8万円で供託の手続きをした。     

 7月末に家主は更新料支払と更新料支払い特約付きの契約書へのサインと押印を強要してきた。
 8月中旬、更新料及び家賃値上げを撤回するように家主と交渉をした。結果、家主は2000円の値上げのみを撤回し、頑強に更新料の支払いに固執した。後日、「更新料を払わない場合は、家屋の明渡しを要求する」という趣旨を内容証明郵便で通告してきた。     

 組合の顧問弁護士とも相談し、これ以上、更新料拒否を強行するのは危険と判断した。家屋の明渡し要求をされているので、取敢えず更新料も供託し、借地借家法26条の規定によって借家契約を法定更新することへ方針転換した。     

 供託による更新料支払いには家主も肩透かしを喰った形になった。借家契約を法定更新することによて、更新料支払特約付の契約書にサインと押印をすること無く、借家の契約更新は成された。契約期間は借地借家法26条の規定によって「その期間は、定めがないものとする」ということになり、3年という期間の区切りが無くなるので、以後、法律の上では契約の更新は無くなる。これにより更新料支払から解放される第一歩を踏み出すことができた。


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2006年12月13日 (水)

更新料・名義書換料・20年間の差額地代を請求

       地主が不当請求を撤回

 台東借組の組合員である田中さんは地代の供託を既に20年に亘って続けている。これまで地主との揉め事は組合との二人三脚で何とか切り抜けて来た。

 今回の借地の更新に際して地主は①更新料の支払いと②名義書換料を請求している。加えて③20年間の差額地代+利息を請求している。更に④前回不支払の更新料も再度要求している。

 田中さんは組合に対応を相談し、組合役員の立会いの下で地主と折衝することになった。地主側も不動産業者を加えてガードを固めている。交渉は約4時間に亘って行われた。

 更新料に関しては更新料支払の合意が無いので請求の根拠が無い。仮に支払の約定が前の契約書にあったとしても最高裁の判例は「更新料支払の約定は、合意更新される場合に関するものであって法定更新された場合における支払の趣旨まで含むものではない」(1982年4月15日)と明言している。

 従って①と④に関しては前回・今回とも法定更新され、最高裁の判例から更新料支払義務が無いことは明らかである。勿論④は既に時効であり、支払義務は無い。更新料債権が他の債権と同様に一般には10年、商事については5年で時効消滅する。

 ②に関しては母親の死亡に伴う借地権の相続であるから名義書換の問題は発生しない。名義書換料の要求は不当なものである。

 ③は地主の一方的な主張であり、借地借家法11条2項の規定に従った取扱いをしてもらいたい。
 地代等は民法169条規定から5年で消滅時効となり、既に15年分が消滅時効となっている。
 地主は説明が間違いでないことを不動産業者に確認して渋々ながら不当請求を全面的に撤回した。

 借地借家法
第11条 地代又は土地の借賃(以下この条及び次条において「地代等」という。)が、土地に対する租税その他の公課の増減により、土地の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍類似の土地の地代等に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって地代等の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間地代等を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。

2 地代等の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の地代等を支払うことをもって足りる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払った額に不足があるときは、その不足額に年1割の割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない。

3 地代等の減額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の地代等の支払を請求することができる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払を受けた額が正当とされた地代等の額を超えるときは、その超過額に年1割の割合による受領の時からの利息を付してこれを返還しなければならない。

民法 (定期給付債権の短期消滅時効)
第169条 年又はこれより短い時期によって定めた金銭その他の物の給付を目的とする債権は、5年間行使しないときは、消滅する。


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2006年8月22日 (火)

新賃料の合意がないことを理由に更新料支払義務を排斥した事例

  判例紹介

 更新料支払特約があった場合において、新賃料につき合意が成立しておらず更新料が具体的債務として発生していないとされた事例 東京地裁平成5年2月25日判決、判例タイムズ854号)

 (事案)
 賃借人は、店舗賃貸業者であるが、平成元年6月、飲食業の店舗として転貸する目的で、マンション1階にある店舗を賃料15万円で賃借したが、その契約書には「賃借人は3年後の更新において新賃料の2カ月分を更新料として支払う」との特約があった。

 賃貸人は、更新時期に際して、賃料を20万6000円に増額請求し合わせて更新料の41万2000円、それに敷金50万円の請求(契約時に差し入れるべきものが3年後に延期されていた)をした。賃借人は、改定賃料の折り合いがついた後に更新料を支払うと回答したが、賃貸人は、更新料と敷金不払を理由に契約を解除して、建物明渡の訴訟を提起した。

 本件判決は、いまだ更新料支払義務は発生していないとして賃貸人の明渡請求を排斥した。更新料に関する部分の判決要旨は次のとおり。

 (判決要旨)
 「被告は、原告に対して、3年後の更新時において新賃料2カ月の更新料を支払う約束をしてはいたが、新賃料の具体的な算定が予め合意されていたことを認めるに足りる証拠はない。
 新賃料の金額は、第一次的には、更新時における双方の合意によって定めることが予定され、従って更新料も右金額の確定をまって初めて、その2カ月分相当額の具体的債務として更新時に発生するものといわなければならない。
 本件においては、いまだ合意が成立していないことが明らかであるから、新賃料の金額の確定を前提とする更新料も、本件解除前において、その具体的債務として発生していなっかたものというべきである。この点について、原告は、被告が少なくても1カ月15万円の従前賃料を基準にした更新料30万円の支払義務を有していた旨主張するが、更新料の算定方法は前記のとおりであるし、原告のような性急な交渉態度は、いたずらに被告を困惑させるものというほかなく、こうした点にかんがみると、被告に原告主張のような右金額による更新料支払義務があったとまでいうことはできない。」

 (説明)
 本判決は、「新賃料が合意されていないから更新料も確定できない」と判断したが、支払特約更新料の支払義務を排斥する論理の1つを示している。
 賃借人は、新賃料が合意されていないとしても従前賃料の2カ月分の更新料支払義務が肯定される危険を避けるために、契約解除後であるが15万円の2カ月分の30万円を供託していたが、本判決は、従前賃料の2カ月分についても、支払義務はなかったと判断した。

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より


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2006年8月21日 (月)

更新料支払特約があっても法定更新の場合は更新料の支払義務はない

 判例紹介

 更新料支払特約には、特段の事由がない限り、法定更新の場合を含まないとされた事例 東京地裁平成4年1月8日判決、判例タイムス825号)

 (事実概要)
 賃借人は、昭和56年10月から店舗(ゲーム喫茶)建物を賃借したが、昭和63年10月の契約期間到来に際して、43万1570円の賃料を50万621円に値上げ請求され、また契約書に定められている更新料として賃料の2カ月分の請求を受けた。

 (判決の要旨)
 「本件賃貸借契約書には『本件契約の更新の際は、賃借人は賃貸人に対し更新料として新家賃の2カ月分相当の金額を支払うものとする』と規定しているが、文言上は合意による更新のみを指すのか法定更新を含むのか判然とせず、解釈によって判断するしかない。『新賃料』という表現からは、通常新賃料が定められることのない法定更新は念頭に置かれていないと考えられる。

 ところで、一般に更新料を支払う趣旨は、
賃料の不足を補充するためであるとの考え方、
期間満了時には異議を述べて更新を拒絶することができるが、更新料を受領することにより異議を述べる権利を放棄するものであるとの考え方、
あるいは期間を合意により更新ことによりその期間は明渡を求められない利益が得られることの対価であるとの考え方などがある。

 右の賃料補充説にたてば、法定更新と合意更新とを区別する理由はないが、そのように推定すべき経験則は認められず、かえって適正賃料の算定に当たっては、更新料の支払の有無は必ずしも考慮されておらず(実質賃料を算定する際には更新料の償却額及び運用益を考慮することはあるとしても)、また実質的に考えても、賃貸借の期間中も賃料の増減請求はできるのであるから、あえて更新料により賃料の不足を補充する必要性は認められないのに対し、賃貸人は更新を拒絶することにより、いつでも期間の定めのない契約に移行させることができ、その場合は、期間の経過を待たずに、正当事由さえ具備すれば明渡を求めることができるのであるから、賃借人においては、更新料を支払うことによりその不利益を回避する利益ないし必要性が現実に認められること等を総合考慮すると、特段の事由がない限り、更新時に更新料を支払うというのみの合意には、法定更新の場合を含まないと解すのが相当である。

 (解説)
 更新料支払特約がある場合、法定更新のときも更新料の支払義務があるのかどうかについては、最高裁昭和57年4月15日判決がこれを否定しているが、その後も、法定更新でも更新料支払義務があるとする判決がなされることがある。
 本判決は、法定更新の場合には、約定更新料の支払義務はないと判決し、その理由も詳細である。特に、更新料とは賃料を補充するものであるから根拠のある請求であるという賃料補充説に対して明確な批判をしている。       1994.3.

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より


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2006年7月27日 (木)

更新料請求の消滅時効は5年、更新料は法定更新の場合には支払義務が無い

 判例紹介

 家主から借家人に対する建物明渡請求訴訟継続中でも、更新料債権の消滅時効の進行は妨げられないとされた事例および更新料支払の合意は法定更新の場合には効力がないとされた事例 (東京地裁平成3年5月9日判決、判例時報1407号80頁)

(事例)
 不動産賃貸・管理を業とする会社が、家主として借家人との間で、昭和55年1月30日、期間5年で建物を賃貸したが、その際契約更新時には最終賃料の2倍相当の更新料を支払うとの合意が成立した。

 ところで、家主は、昭和55年7月、借家人に対して、債務不履行があったとして賃貸契約を解除して建物明渡請求訴訟を提起したが、昭和62年5月、訴訟上の和解が成立した。

 その後、家主は、平成2年4月、借家人に対し、昭和60年1月31日の更新および平成2年1月31日更新を理由とする更新料の支払を請求した。

 (争点)
 1、昭和60年の更新を理由とする更新料債権について商事消滅時効が成立するか。
 2、平成2年の更新(法定更新)を理由とする更新料について、更新料支払の合意は賃貸借が法定更新された場合にも及ぶか。

 (判決の要旨)
 について、判決は、家主が借家人に対して建物明渡請求訴訟を提起していたとしても、これによって権利行使について法律上の障害はないから、更新料債権の消滅時効の進行は妨げられず、商事消滅時効5年の経過によって消滅しているとした。

 2について、判決は、本件建物賃貸借契約書の文書上、更新料支払義務は合意更新の場合を念頭に置いて定められたものと認められることおよび建物賃貸借契約では法定更新されると期間の定めのない賃貸借となり借家人はいつでも解約申入れを受ける危険を負担することを理由として、更新料の支払の合意にはその効力がないとした。

 (短評)
 更新料債権が、他の債権と同様に一般には10年、商事について5年で時効消滅することについては、事新しいことではないが、家主が賃貸借契約解除を理由として建物明渡請求訴訟を提起している場合である点に問題がある。

 この場合、家主としては明渡を請求しているので、他方で更新料の請求をすることは賃貸借契約の存在を認めることになるため実際には更新料を請求することができない立場になる。

 しかし、更新料を請求できない立場といっても、それは事実上の問題にすぎず法律上権利行使をすることの障害になるものとはいえない以上時効の進行を妨げないというべきであり、本判決は、妥当な判決といえる。

 なお、本判決は、更新料支払特約の合意が法定更新の場合に及ばないとする事例の1つである。   1992.5.

(東借連常任弁護団)

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2006年6月30日 (金)

かつて更新料を支払った事実があっても更新料の合意とは認められない

 判例紹介

 借地の更新料について支払いの慣習があるとは認められないとした事例東京地裁平成16年5月21日民事37部判決。未掲載)

 (事実)
 Xは土地の賃貸人であるところ、平成12年12月末日に契約期間が満了したため借地人Yにたいし更新料700万円を請求した。Yは更新料支払いのため交渉には応じたが、結果は合意に至らなかった。

 そこで、XはYが前回の更新時に更新料として331万2500円を支払った際にも次の更新時にも更新料を支払うとの合意がなさねたと主張。また、仮に合意がなかったとしても目黒区中央町およびその隣接地域には、土地賃貸契約の更新に際し、更新料を支払う慣習が存在すると主張した。

 判決は、更新料を支払う旨の合意については、Yがかつて更新料を支払った事実があるというだけで更新料支払の合意があったことの根拠とすることはできない、としてXの主張を認めなかった。そして、更新料の支払いの慣習があるとするXの主張も認めず、Xの請求を棄却した事案。

 (判旨)
 「証拠によれば、本件土地の存在する東京都目黒区中央町及びその隣接地においては、土地賃貸契約の更新に際に、借地人から地主に対し、更新料が支払われる事例が多数存在することが認められる。しかい、このような更新料の支払は、当事者間の合意が成立した結果である場合が多いと認められる上、その支払の趣旨は、契約を円滑に進めるための代償であったり、賃料の補充を目的とするものであったりと多様であると認められるから、たとえ本件土地近辺において、土地の借主が地主に更新料を支払うことが多数見られるからといって、それをもって同地域に更新料支払の慣習があると認めることはできない

 (寸評)
  本件は東京借地借家人組合連合会(東借連)の会員の事件。判決の結論は当然であるが、繰返し訴訟が提起される更新料の支払請求について、更新料の性格に言及して支払の慣習を否定したものであり理論的な説得力のある判決の1つとして紹介した。          2005.4.

(東借連常任弁護団)

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2006年6月11日 (日)

借地法定更新で更新料支払いの慣習は認められないとした事例

 判例紹介

 土地賃貸借契約の法定更新の場合でも更新料の支払義務があるとする慣習は認められないとした事例 平成14年1月24日、東京地方裁判所民事第45部判決。未掲載)


  (事案)
 Xは、東京都墨田区内に土地428.08平方メートルを所有し、これをYに建物所有の目的で賃貸していた。

 右契約が平成12年10月31日の経過により満了するため、Xはその10ヶ月前に期間満了の通知をした。

 YはXに対し、契約更新の希望と更新の際の条件の提示を要請した。

  Xは堅固建物の存在を前提として、契約期間を30年とする場合の更新料を2040万9963円(1平方メートル当たり4万9125円)と提示。

 合意に達しないまま、平成12年11月1日、法定更新となり、XはYに対し、賃貸借契約の更新に当たっては、合意更新であると法定更新であるとを問わず、更新料の支払いが条件になることは、現在では社会的な慣習となっていると主張して、更新料2040万9963円等の支払を求めた事案。Xの請求棄却。

  (判旨)
 「YがXに対して本件賃貸借契約更新の条件の提示を要請したのは、YがXの条件の提示を見て、これに応じるかどうかを検討しようとしたものであって、更新料の支払義務を認めたものということはできない。……また、賃貸借契約の法定更新の場合でも更新料の支払義務があるとする慣習は認められない」

  (寸評)
 法定更新の場合に、更新料支払の義務があるとする慣習はないとするのが判例の立場であることは、周知のこと。それにもかかわらず、依然として、更新料請求の訴訟が提起されるのは、更新料の支払拒絶を明言せずに、条件交渉をする賃借人が多いことをあらわしている。更新料交渉について注意を喚起するために紹介した。       2002.6.

(東借連常任弁護団)

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2006年5月31日 (水)

地主が更新料を請求

    年金暮しなので更新料は断るつもりですが、
                                   借地契約はどうなるのか

(問) 今年の11月12日で20年間の借地契約期間が満了する。地主は近所の不動産屋を通じて更新料を坪10万円、34坪で総額340万円請求してきた。
 20年前は坪1万円だったし、私はまだ若く収入もそれなりにあったので更新料の支払いをした。ところが現在、収入は年金だけで、とても地主の請求に応じられない。
 借地借家人組合では、更新料は支払義務がないと言っていますが、更新料を支払わないと新しい契約書がもらえないと思います。その場合、借地契約はどうなるのでしょうか。

(答)  借地契約の更新には、地主と借地人が更新契約条件に合意して、新しい契約書に署名捺印する「合意更新」と、新しい契約書を作らずに、そのまま従前の契約期間が過ぎると法律の定めで自動的に更新してしまう「法定更新」の2通りある。

 法定更新した場合の契約条件は、借地上の建物が木造などの非堅固建物ならば契約期間は20年で、その他は従前と同一条件で継続される。

 借地借家法が1992年8月に改正されたが、借地契約を今更新しても新法の適用はされず、旧借地法が引き続き適用される。

 更新料は地主に契約を更新してもらう対価として支払うものと言われている。だが、更新は地主にしてもらわなくても法律の定めで自動的に出来るので、更新料を支払う理由が見出せない。

 また地主は更新料を請求する根拠として「更新料の授受は世間の慣習だ」と主張したが、最高裁判所で慣習説は否定され、借地更新料は支払義務なしとされました(最高裁判所1976年10月1日及び1978年1月24日判決・東京借地借家人組合連合会発行のパンフレット「借地借家更新料について」参照)。

 借地更新料は支払う必要のないものであり、更新料を支払わなくても借地人が後に不利益を蒙ることは全くない。既に更新料を支払わずに法定更新した借地人は大勢いますが、今も従前どおり借地を続けています。

 具体的にすることは、借地法4条に基づいて、
 ①契約期間満了後も従前通り引き続き借りたいという「借地の更新請求」をする、
 ②更新料の請求を断わる、

 以上のことを組合を通じて行えば一層効果的に借地の更新と更新料支払い拒否が達成出来る。


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2006年5月15日 (月)

法定更新したにも拘らず更新料を請求される

 調停で支払い約束をした更新料は
          法定更新した後も支払い義務があるのか

(問) 3年前に、更新料を支払って、法定更新をした。それにも拘らず、家主は弁護士を使って更新料の支払を要 求する。平成6年の簡易裁判所の調停で、家賃の一ヵ月分の更新料を支払うという条項があり、それを根拠に支払えというのだ。

(答) 法定更新は、「適法な更新拒絶の通知、条件変更の通知、および正当事由の立証は賃貸人がしなければならず、この立証がないかぎり賃貸借は法律上当然に更新される」(東京高裁1956年1月30日判決)ということである。

  家主は法定通知期間(契約満了の1年前から6か月前)に適法な更新拒絶・条件変更の通知を行っていない。相談者の借家契約は、借地借家法26条1項の規定に基づいて適法に、従前の契約と同一の条件で3年前に法定更新されている。

  法定更新後の借家契約の契約期間は26条の但し書により「定めがないものとする」ということになる。従前の3年契約のように契約に期間を区切って更新を繰返す契約ではないので、法定更新すれば以後契約の更新という事態は生じない。更新は法的に発生しないから更新料の支払い問題は発生する余地はない。

  関係する判例を挙げると
①「賃貸人の請求があれば当然に賃貸人に対する賃借人の更新料支払義務が生ずる旨の商慣習ないし事実たる慣習は、存在しない」(最高裁1976年10月1日判決)。

②「法定更新の場合、賃借人は何らかの金銭的負担なくして更新の効果を享受することが出来るとするのが借家法 の趣旨であると解すべきものであるから、たとえ建物の賃貸借契約に更新料支払い約定があっても、その約定は、法定更新の場合には適用の余地がないと解するのが相当である。」(東京高裁1981年7月1日判決)。

③更新前の調停・和解の効力は、「更新された賃貸借は旧契約とは別個のものだから更新前の調停・和解の執行力は新賃貸借には及ばない。」(広島地裁1966年6月6日判決、大阪地裁1971年6月26日判決)。

  相談者が簡裁で合意した調停条項の「更新料として新賃料の1か月分を支払う」という調停の効力は、法定更新された契約には及ばないことは勿論のことである。

 以上のことから、家主の更新料支払い請求は理由がない。相談者は家主の不当な更新料支払請求を拒否することが出来る。


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2006年5月13日 (土)

法定更新した場合の約定更新料は

更新料支払特約は法定更新の場合には
               適用が無く更新料支払義務は無い
     

(問) 京都地裁で更新料支払特約があっても契約を法定更新した場合には、借主に更新料支払義務は無いという借家での判決があった。他に約定更新料の支払義務無しという借家に関する高裁又は最高裁の判例はあるのか。     

(答) 東京では更新料特約がある場合、契約を法定更新した時に更新料の支払義務の有無が裁判で幾度となく争われている。 
具体的な判例で検討してみる。借主Aは、賃貸マンションを期間2年、更新の際は新家賃の2ヵ月分の更新料を支払うという更新特約が有る契約を結んだ。2年後の更新時に家賃の増額で紛糾し、合意更新ができなかった。Aは更新料を拒否し、相当と思われる家賃を供託し、法定更新の途を選択した。貸主は増額家賃・更新料の不払を理由に契約解除を通告し、未払家賃・更新料の支払と建物明渡を求めて提訴した。     

 地裁は、約定更新料は法定更新には適用されず、支払義務は無いとしてAの主張を全面的に認め、貸主の請求を棄却した。     

 控訴を受けて東京高裁は「法定更新の場合、賃借人は何らの金銭的負担なくして更新の効果を享受することができるとするのが借家法の趣旨であると解すべきものであるから、たとえ建物の賃貸借契約に更新料支払の約定があっても、その約定は、法定更新の場合には適用の余地がない」(東京高裁1981年7月15日判決)とした〈注1〉。     

 この判決を不服として貸主が上告したが、最高裁は上告を棄却した。
 最高裁は「本件建物賃貸借契約における更新料支払の約定は特段の事情の認められない以上、専ら右賃貸借契約が合意される場合に関するものであって法定更新された場合における支払の趣旨までも含むものではない」(1982年4月15日判決)と明快な判断を下している〈注2〉。     

   このように更新料支払特約は合意更新を想定したもので、法定更新には適用されない。これは当然の結論である。借地借家法は経済的負担の無い法定更新を定めている。更新料特約は法の趣旨に反して借主に不利益な経済的負担を課している。特約が法定更新の場合にも適用されるとすれば、それは実質的に経済負担を強制する合意更新を義務付け、無償の法定更新を排除するに等しい。換言すれば法定更新制度の否定である。     

 〈注1〉「借地・借家 更新料について」(東京借地借家人組合連合会500円)の資料4に判決が掲載されている。     

 〈注2〉「借地・借家 更新料について」の資料3に判決全文が掲載されている。     


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2006年5月 4日 (木)

更新料支払特約

 法定更新された場合は契約書で特約した更新料を
                        支払う必要があるのか

問) 前回の更新の際、更新料支払が一方的に書き込まれていた借地契約書にサイン・押印してしまった。更新が2年後にあるが、更新料は、支払わなければならないのか。

(答) 更新料支払の理由として多くの裁判例で指摘されるのは、
 (a)賃料の不足を補充する趣旨(例えば賃料の前払)
 (b)賃貸人の更新拒絶権・異議権放棄の対価
 (c)合意更新された期間は明渡を求められず、法定更新の場合の、解約申入れの危険を回避出来るという利益の対価、以上三点である。 (a)は、最近余り強調されず、中心は(b)と(c)に移っている。     

 更新料特約の効力を法定更新した場合の裁判例で検討すると、 
 ①「肯定説」更新料特約は契約自由の原則によって合意したのであるから合意更新は勿論であり、法定更新にも有効である。即ち更新料特約が有る場合は賃借人は更新料支払の義務がある。     

 ②「否定説」更新料特約は合意更新の場合にのみ有効であり、法定更新になった場合は効力を有しない。即ち法定更新した場合は賃借人に更新料支払の義務はない。     

 江東借地借家人組合の組合員(借地人)の実際の裁判例で検討してみたい。
 裁判では、法定更新した場合の契約更新料の支払義務の有無が争点となった。借地人は裁判で前記②説の立場から更新料支払理由の前提となっている(b)と(c)の事実を欠くので地主の更新料請求は根拠がないと主張した。     

 だが東京地裁は更新料支払合意が法定更新の場合を除外するものとは認められないとして(b)と(c)を否定し、①の立場から更新料支払を命じた(2000年3月13日判決)。     

 それに対して、東京高裁は借地人の主張を認め、②の立場から借地人に更新料支払の義務はないと判示した2000年9月27日)。借地に関してはこの見解が裁判例では有力になっている。     

 最高裁は②の見解に立つ東京高裁の判決を是認する判決を下した2002年2月22日)。
 既に、②の見解に立つ同趣旨の借家に関する最高裁の判例(1982年4月15日)がある。     

 相談者は法定更新を選択すれば裁判例から更新料の不払は可能である。但し実行する場合は組合の顧問弁護士とよく相談する必要がある。


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2006年4月10日 (月)

借家の更新料支払特約

     京都で借主勝訴判決
          法定更新の場合は更新料の支払不要

 
 2004年5月18日京都地裁で更新料支払特約が有っても契約が法定更新された場合は、特約は適用されず、更新料の支払義務が無いという借主勝訴の判決があった。

 勝訴したのは京都借地借家人組合の組合員である。更新料支払が慣習化している京都では約定更新料支払義務無しの判決は初めてであり、京都の家主側に衝撃を与えた。

 元来関西圏は礼金・更新料の支払慣習が無い地域であるが、京都と滋賀は例外である。
 例えば、京都の中心部の1Kタイプ(約20㎡)の賃貸マンションの場合は
 ①家賃(5~6万円)、
 ②礼金(15~20万円)、
 ③敷金(15~20万円)、
 ④更新料(家賃の2ヶ月分)、
 ⑤管理費(5000~1万円)、
 契約期間1年というものが多い。
 京都と滋賀の敷金の精算は通常損耗も敷金でカバーする関西式の「敷引き」であるが、余りがある場合は原則返金するのが特徴である。

 京都地裁で争った借主の場合は1Kタイプのマンションで契約期間1年、家賃(6万2000円)、管理費(8510円)特約として更新料(家賃の2ヵ月分)、更新手数料(1万5000円)を支払うという契約で入居した。借主は先の例と同程度の礼金・敷金も支払っている筈である。家主の代理人の管理会社は、契約満了の1ヵ月前に前回と同一の契約内容の書類に署名・押印を求め、更に特約の更新料と更新手数料を請求してきた。

 契約内容に不満があるので借主は、①契約期間2年、②特約の更新料と③原状回復の承諾条項の削除を求めたが、管理会社に一蹴された。更新料支払か解約かを強要されたが、借地借家法に基づいて契約は法定更新された。だが、家主はあくまで特約に基づく更新料と手数料の合計13万4500円の支払いを求めて提訴した。

 裁判では法定更新された場合、更新料支払特約は有効なのか否かが争点となった。即ち借主の更新料支払義務の有無が争われた。

 (ア)家主は、更新料約定は有効であり、合意更新に限らず、法定更新にも適用される。従って借主は更新料等の支払義務があると主張した。

 (イ)借主は、更新料約定は合意更新を前提としたもので無効であり、法定更新には適用されない。従って更新料等の支払義務は無い。そもそも更新料約定は、消費者契約法10条によって無効であると主張した。

 (ウ)裁判所は「更新約定は全体としても、合意更新を前提としたものであって、法定更新には適用されない」として家主が特約に基づき「更新料及び更新手数料の支払いを求めることはできない」という判断を下した。

 この裁判で注目されたのは借主側が更新料支払義務無しの根拠として、今までにない消費者契約法10条を適用した点である。

 更新料約定は借主(消費者)に民法・借地借家法の適用上は存在しない更新料支払義務を課し、更に1年契約で2ヵ月分の賃料相当額という高額の更新料を課す暴利的なものである。これは借主の権利を制限し、又は借主の義務を加重する条項であって借主の利益を一方的に害するものは無効であるとする消費者契約法10条に違反する特約条項であると主張した。

 これに対して、京都地裁は「それが消費者契約法10条に違反するものとして無効であるかどうかはさておく」と判断を回避してしまったのは残念である。    


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2006年4月 9日 (日)

借地の約定更新料は支払義務無し

約定更新料で新判断―最高裁が地主の上告を棄却

合意無ければ支払義務無し〉 
 法務省の司法統計によると「借地紛争」が多発したのは、1965年(昭和40年)前後と1985年(昭和60年)前後である。統計的に予測される次の「借地紛争」多発の時期は戦後60年に当る2005年(平成17年)である。「借地紛争」の実体は、借地人側から見ると更新料問題である。

 更新料の授受は慣習に多く頼っており、地域差が非常に大きいという理由から「借地借家法」(1992年8月1日施行)においても更新料の規定は置かれなかった。更新料については法律には何の規定もない。従って法律上は、賃借人が更新料支払の義務を負っている訳ではないし、また賃貸人が更新料を請求する権利を持っている訳でもない。

  最高裁は更新料に関して「賃借期間満了に際し賃貸人の一方的な請求に基づき当然に賃借人に賃貸人に対する更新料支払義務を生じさせる事実たる慣習が存在するものとは認められない」(最高裁1978年1月24日判決・同趣旨の最高裁1976年10月1日判決)()としている。
 即ち、予め更新料の支払約束が無い場合は賃貸人が賃借人に対して更新料を請求することが出来ないというのが判例の主流である。実際、前記最高裁判決後、借地・借家に関して更新料支払合意が無い場合に更新料支払義務を認めた判例は存在しない。

  〈約定更新料は支払義務無し
 それでは、契約書に更新料支払の特約がある場合、賃借人は更新料の支払義務を負うのか。
 借家に関しては、既に更新料支払約定があっても法定更新された場合には借家人に更新料支払義務がないという最高裁判決(1982年4月15日)がある。

 借地に関してはどうだろうか。
 地主が借地人に対して契約で合意した(約定)更新料の支払を求めて東京地裁に訴えた事例を検討してみたい。これは江東借地借家人組合の会員の場合である。
裁判では法定更新の場合、借地人の約定更新料の支払義務の有無が争点になった。

 東京地裁は「更新料支払合意が契約の法定更新の場合を除外する趣旨のもの」とは認められないとして借地人は法定更新しても約定更新料の支払義務を負うと判示し、借地人に更新料約76万円(坪当り約25,600円)の支払いを命じた(2000年3月13日判決)。

  しかし、地主は更新料が低額であるとして東京高裁へ控訴した。東京高裁は「法定更新された本件においては、本件更新料支払合意は効力を有するとは認められず、したがって、右合意を根拠とした控訴人(地主)らの本件請求は本来理由のないもの」(2000年9月27日判決)として地主の請求を根拠が無いと否認した。

 地主はこの判決を不服として最高裁へ上告した。
最高裁は地主の上告を棄却し、予め合意された更新料支払の約定は法定更新の場合には適用されず、借地人の更新料支払義務を負わないとする東京高裁の判決趣旨を是認した(最高裁2002年2月22日判決)。

借地人の「2005年問題」の闘いに・更新料不払実行に有利な判決がまた一つ追加された。

 (
「宅地賃貸借の期間満了にあたり、賃貸人の請求があれば当然に賃貸人に対する賃借人の更新料支払義務が生ずる旨の商習慣ないし事実たる慣習が存在するものとは認めるに足りない」(最高裁1976年10月1日判決)

 「建物所有を目的とする土地賃貸借契約における賃借期間満了に際し賃貸人の一方的な請求に基づき当然に賃貸人に対する賃借人の更新料支払義務が生じさせる事実たる慣習が存在するものとは認められない」(最高裁1978年1月24日)


東京・台東借地借家人組合
 
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