カテゴリー「仲介責任・更新(仲介)手数料」の記事

2009年6月22日 (月)

暴言・恫喝の不動産業者に東京都・不動産業課が厳重注意

 八王子市の木造2階建てのアパートの1階に住むAさんは、平成11年5月に入居した。1DK(24・16㎡)で家賃は月額3万5000円、共益費3000円を支払っている。ここは八王子駅から少し離れているが近くに都立小宮公園もあって環境が良く、家賃も比較的安いのが魅力だった。

 今年の3月初めに不動産業者から、契約更新の条件として更新料(家賃の1か月分)を請求された。また、送付された契約書も従前には書いてなかった「更新の際乙は甲に更新料として新賃料の1か月分支払う」特約や明渡しの際の原状回復特約など様々な条件がついていた。

 Aさんは、入居時の条件と違うので是正を求めたところ、不動産業者は突然怒り出し「おまえなんか出て行け!」、「おまえは日本人か!」「更新したければ頭を下げてこい!」などと、激しい剣幕で食ってかかってきた。Aさんは恐怖を感じ、紹介を受け組合に相談に行った。組合から早速、不動産業者に従前と同じ条件で更新することと、更新料は支払わない旨の通知を出した。

 しかし、業者が組合との話し合いも拒否したためAさんは東京都・都市整備局住宅政策推進部不動産業課(tel 03-5320-4958)に行って実情を話し「こんな悪質な業者が野放しにされることは絶対に許されない」との申請書を提出した。都市整備局不動産業課では直ちに業者を呼び出し厳重に注意した。その結果、不動産業課の担当者から「業者は深く恥じて反省している」との連絡が入った。

東京借地借家人新聞より


東京・台東借地借家人組合
 
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2009年6月11日 (木)

賃貸マンションの契約時に支払った申込金

  賃貸マンションの契約時に支払った申込金


 結婚後の新居を探すために不動産業者を訪ねた。そこで、建設中の5階建てマンションを勧められた。気に入ったが、他の物件も探したい旨を伝えたところ、「この物件は入居希望者が多い。あらかじめ部屋を押さえておく必要がある」と言われ、1ヶ月分の家賃(63,000円)を申込金として支払った。
 数日後、申込金を支払った物件の周辺環境等が気になったので、断ることにした。不動産業者に電話をしたが、「申込金は貸主の承諾後は返金できない。領収書に明記してある」と言われた。申込金を返金してほしい。
                                          (20歳代 女性 給与生活者)

アドバイス

 賃貸借契約を申し込む際、申込金・手付金・内金・予約金などの名目で一定の金銭(預り金)を求められることがあります。契約前に借主が断ると「貸主の承諾を得ているので返金できない」などと不動産業者が説明し、預り金の返金を拒否するケースが少なからず見受けられます。

 そもそも賃貸借契約の成立には、契約の成立前に宅地建物取引業者から当該物件の重要事項についての説明を受けた上で、書面が交付されることになっています(宅地建物取引業法第35条、注1参照)。

 賃貸借契約の成立前に支払われた金銭は、名目を問わず、すべて預り金とみなされます。そのため、契約成立前に預り金を受領していた場合、その預り金は申し込み順位確保のための証拠金として授受されるにすぎず、賃貸借契約が成立するわけではありません。よって、キャンセルした場合には、業者は預り金を返金しなければなりません。

 この相談では、預り金は返金されるべき性質の金銭であることを主張した結果、全額が返金されました。

コメント&解説

 この相談のように、預り金をめぐるトラブルが絶えないため、宅地建物取引業法第47条の2第3項の国土交通省令(注2参照)及び同法施行規則第16条の12第2項(参照)で「預り金の返還の拒否の禁止」を定めています。

 業者は、金銭の支払いを求めることによって消費者が簡単にキャンセルすることを防ごうと考え、申込金などの名目で預かっているものと思われます。

 このようなトラブルを防ぐためには、預り金を求める業者には注意し、どうしても預り金を支払わなければならない場合には、契約の締結に至らなかった場合には返金される旨を明記してもらうことが大切です。

注1宅地建物取引業法第35条
宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者(以下「宅地建物取引業者の相手方等」という。)に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、取引主任者をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第5号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない。(以下省略)

注2宅地建物取引業法第47条の2第3項
宅地建物取引業者等は、前2項に定めるもののほか、宅地建物取引業に係る契約の締結に関する行為又は申込みの撤回若しくは解除の妨げに関する行為であつて、宅地建物取引業者の相手方等の保護に欠けるものとして国土交通省令で定めるものをしてはならない。

注3宅地建物取引業法施行規則第16条の12第2項
宅地建物取引業者の相手方等が契約の申込みの撤回を行うに際し、既に受領した預り金を返還することを拒むこと。

<国民生活センター>HP より

(注)本文中に付した青字赤字強調は東京・台東借地借家人組合


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2009年6月10日 (水)

建物賃貸借契約に係る媒介等の業務の適正化について

     建物賃貸借契約に係る媒介等の業務の適正化について

                         (社)京都府宅地建物取引業協会
                         (社)全日本不動産協会京都府本部
                         (財)日本賃貸住宅管理協会京都支部

 最近、居住用建物の賃貸借契約の媒介業務等に関連して、京都府・京都市及び協会等の不動産無料相談所に一般消費者から入・退去時のトラブルが多く寄せられることに鑑み、建物賃貸借契約に係る媒介等の業務の適正化に関し、下記事項についてご留意のうえ業務を処理されますようお願いします。

1.交渉預り金・申込証拠金について
  (1)会員は、原則として申込金・交渉預り金等その名目の如何を問わず、借り受け予定者から預り金を受領してはならないものとする。
  (2)会員が例外として預り金を受領する場合は、借り受け予定者が物件を特定しその物件を確保するために特段の依頼をした場合に限るものとする。
この場合には、次のすべての事項について借り受け予定者に書面に記載して説明しなければならない。
   ① 重要事項説明書の発行
   ② 会員が賃貸人あるいは賃貸人から業務委託(契約)を受けた管理会社から媒介依頼(委任代理を含む)を受けていることを証する書面、並びに預り金等の代理受領権限を証する書面の提示。(代理委任状、業務委託契約書等)
   ③ 次のことを掲載した「預り証」を発行する。
    ア 預りの目的(物件確保のため)
    イ 預り金の有効期限
    ウ 当該預り金は、借り受け予定者からの返還申し入れがされた時には速やかに返還する。
    エ 当該預り金は、契約の成立・不成立に拘わらず全て借り受け予定者に返還されるものであること。
    オ 金額その他契約のために必要とする事項等

2.契約成立時における金員の取り扱いについて
   契約成立時(注1,2)において、借り受け予定者から賃貸人に支払われる金員は、媒介業者において保管されるものではない。しかし、例外として媒介業者が保管をする場合には、賃貸人(管理会社)からその保管依頼の委任状等を取り付け、それを借り受け予定者に提示し、同時に受理書を発行しなければならない。
   また契約成立日から入居までに発生する、契約履行着手前の解除等の解約トラブル等の防止と解決のため、契約締結時には解約手付金や違約金を定める等して、借り受け予定者・賃貸人双方に合意をしてもらうことが望ましい。

 (注1) 宅地建物取引業法第37条(書面の交付が充たされる契約)
 (注2) 一般的に契約の成立時期は、媒介業者が重要事項を説明した上で申込者が物件の賃借を申し込み、貸主(又は委託を受けた管理会社)が要件審査の後これを承諾して、更に手付金授受を定めているときは当該金銭が貸主に交付されたときである。
    なお、保証人の確保等、契約の停止条件を貸主から提示している場合は、申込者から当該保証書面が交付されることを要する。(平成5年1月13日付、5建第57号:京都府土木建築部建築指導課長「賃貸物件の媒介等の適正化について(抜粋)」)

3.媒介手数料について
 居住の用に供する建物の媒介に際して、依頼者の一方から借賃の一月分の2分の1を超える金額(上限は借賃の一月分に相当する金額以内)を媒介手数料として受領しようとする場合には、その依頼人より承諾書をもらうことが望ましい。

 宅建業者が媒介業務に際して依頼者の双方から受けることの出来る報酬の額の合計額は、当該物件の借賃(税を含まない)の一月分に相当する金額以内であり、居住の用に供する建物の媒介に際して依頼者の一方から受けることの出来る報酬の額は、当該媒介の依頼を受けるに当たって依頼者の承諾を得ている場合を除き、借賃の一月分の2分の1に相当する金額以内である。(宅地建物取引業法第46条及び報酬に関する建設省告示)

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2009年6月 9日 (火)

契約書を取交わしていないのに違約金を請求される

 江戸川区に住むMさんは、2月7日に東葛西の不動産屋に行き、賃貸物件を紹介された。内金2万円を本日中にと言われ、手持金がなかったので不動産会社の取引主任者の社員が自宅まで来て、事務所に戻り支払った。

 契約もしないのに1週間後に残金21万5450円を振込むよう指示され送金したところ、自宅のポストに契約書と重要事項説明書が届けられた。

 契約の日付がすでに2月14日になっているので不審に思い理由を聞くが社員は困るという。Mさんは重要事項の説明も受けておらず、契約書にもサインしていないので、2月17日にキャンセルした。

 不動産屋から「契約は成立しているので違約金を払え」と言われ、消費者センターの紹介で江東借組に相談に来た。

 組合役員が3月4日にMさんと不動産屋を訪問、不動産会社はMさんを激しく威嚇したが、観念したか2日後に全額を返還してきた。

東京借地借家人新聞より


  参考関連記事

 賃貸マンションの契約時に支払った申込金

 建物賃貸借契約に係る媒介等の業務の適正化について


  参考関連記事

<大阪府 住宅まちづくり部 建築振興課>HP

より

  契約はどの時点で成立するか

 さきにも触れましたが、厳密に言うと、契約は双方の合意があれば成立するものであり、契約書がなければ契約は成立しない」という考え方はされていません。

 ですから、実際の取引の場においては、申込者が重要事項説明を受け、入居希望の意思表示として預り金(申込証拠金)を支払い、それを受けた貸主が入居を承諾して、その旨を仲介業者に伝えた時点をもって契約の成立と見なしているケースが大半を占めています。

 契約成立までの一般的な流れは、次のようになっています

(1) 貸主が媒介業者に対して、物件の媒介(仲介)の依頼をする。

(2) 媒介業者が一般の借主(消費者)に対して、物件の広告(提示)をする。

(3) 借主が媒介業者に対して、物件の案内(書面による説明以外の情報提供)を求める。

(4) 媒介業者が借主に対して、書面を交付した上での物件の説明(重要事項説明、契約書面の提示など)をする。

(5) 借主が媒介業者に対して、預り金(申込証拠金)を支払う。

(6) 媒介業者が貸主に対して、借主の契約意思の確認を証する書類(入居申込書など)を送付(電話などでの連絡も考えられる)して、貸主の契約意思を確認する。【到達主義】(民法第97条)

〔ここで注意〕
 次の(7)に至らない段階で、借主側から申込の撤回があれば、媒介業者は預り金(申込証拠金)を借主に返金しなければならない。

(7) 貸主が媒介業者に対して、契約意思を伝える(貸す・貸さないの意思表示)。

〔ここで注意〕
 この段階で貸主から契約意思の発信(表示)があると、貸主と借主の双方の意思が一致することになり、契約が成立したとみなされる。そのために、預り金(申込証拠金)は、手付金として処理される。借主が申込意思を撤回する場合、それは「契約の解除」となるため、手付金を放棄しなければならない。この場合、貸主の契約意思は必ずしも借主に到達しなくてもよい。【発信主義】(民法第526条)

(8) 媒介業者が借主に対して、貸主の契約意思を伝達する。

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2009年4月22日 (水)

建物の隣人との間にトラブルがあることについての不動産仲介業者の説明義務

 判例紹介

 本件は、購入した建物について隣人との間にトラブルがあることを買い主に説明しなかった不動産仲介業者に、説明義務違反があったとして、不動産の価値下落分(売買代金の2割)の損害賠償が認められた事例である。(大阪高等裁判所平成16年12月2日判決 『金融・商事判例』1223号15ページ(上告後和解))


事件の概要
X(原告):建物の買い主(消費者)
Y(被告):不動産仲介業者
A(被告):建物の売り主(2人の個人)
B(関係者):不動産仲介業者
C(関係者):購入する土地の隣接地に住む者(個人)

 XとAとの間において、平成14年3月16日に、Aが所有する建物およびその敷地である土地を代金2280万円でXに売り渡す旨の契約が成立した。Xは、この建物を居住の目的で購入したものである。この売買契約は、いずれも宅地建物取引業者であるYおよびBの仲介で成立した。Yは、Aとの間の媒介契約に基づいてAのために売買の成立に尽力することとなったものであり、また、Bは、Xとの間の媒介契約に基づいてXのために売買の成立に尽力することとなったものである。

 Aは、平成11年10月に、この事件の土地と建物を購入した。その際、引っ越しの翌日に、隣地に住むCから、「子どもがうるさい」などと苦情があり、さらに洗濯物に水をかけられる被害があった。Xについても、売買契約締結後に、建物を訪れた際に、Cから、「あんたのガキうるさいんじゃ!」「Aみたいに追い出したるわ!」などと言われる事態となり、引っ越しを断念した。また、Yの従業員は、平成14年3月3日に、Xではない購入希望者とともに建物を内覧したことがあったが、やはりCが「うるさい!」と苦情を言い、購入話が流れていた。

 このような経緯から、Xが、Cとのトラブルがあるため建物が居住の用に耐えないとし、Yに対し、YのXに対する説明義務違反があったことを理由として、不法行為に基づく損害賠償請求として2800万円余の請求をしたのが、この事件である。第一審判決はXの請求を棄却した。これに対し、控訴審判決は、Yの説明義務違反により不法行為が成立することを認めた。ただし、Xの被った損害については、Cの存在による不動産の価格の低下を売買代金の2割相当であるものと認定し、その限度においてXの請求を認容している。

理由
 Yは、宅地建物取引業者として、売り主たるA両名の依頼により本件土地売買契約の仲介を行うに際し、買い主たるXに対して、本件売買契約における重要な事項について説明すべき義務を負う。そして、宅地建物取引業法35条1項は、一定の重要な事項につき、宅地建物取引業者に説明義務を課しているが、宅地建物取引業者が説明義務を負うのは同条所定の事項に限定されるものではなく、宅地建物取引業者は、購入希望者に重大な不利益をもたらす恐れがあり、その契約締結の可否の判断に影響を及ぼすことが予想される事項を認識している場合には、当該事項について説明義務を負うと解するのが相当である(宅地建物取引業法47条1項1号参照)。

 Xのように、土地建物を家族とともに居住する目的で購入しようとする者が、当該建物において平穏に居住することを願うことは当然であるから、当該建物の隣人から迷惑行為を受ける可能性が高く、その程度も著しいなど、当該建物において居住するのに支障を来す恐れのあるような事情がある場合には、そのような事情は当該建物を購入しようとする者に重大な不利益をもたらす恐れがあり、その契約締結の可否の判断に影響を及ぼすことが予想されるというべきである。したがって、居住用不動産の売買の仲介を行おうとする宅地建物取引業者は、当該不動産の隣人について迷惑行為を行う可能性が高く、その程度も著しいなど、購入者が当該建物において居住するのに支障を来す恐れがあるような事情について客観的事実を認識した場合には、当該客観的事実について説明する義務を負うと解するのが相当である。

解説
 住宅の購入に際し、近隣の環境がどのようになっているか、ということは買い手にとっての関心事の一つであり、とりわけ隣接して居住する者が問題のある言動を繰り返すことで生活の平穏が脅かされることになるとすると、それは、法的な問題として取り上げなければならないものとなる。具体的には、不動産の取引に関与した宅地建物取引業者の説明義務違反の責任が、まず問題となる。

 もっとも、宅地建物取引業者の責任といっても、いくつか注意をしておかなければならない問題がある。(1)宅地建物取引業法が必要としている重要事項説明の明示事項の中に隣人の言動などが掲げられてはおらず(宅地建物取引業法35条1項参照)、しかも(2)重要事項説明をするべきものとされているのは宅地建物取引業者自身ではなく、そこに置かれている宅地建物取引主任者であり、また、そもそも(3)重要事項説明を怠るという行政取締法規違反が直ちに民事責任を肯定する決め手となるものではなく(宅地建物取引業法35条の重要事項説明義務違反に基づく行政監督処分を受ける可能性について同法65条2項2号)、また、(4)業者が売り手と買い手のどちらをサポートする立場にあるか、も一応は検討を要する。

 これらの理論的な諸障害のうち、まず(1)は、宅地建物取引業法35条1項の柱書(注1)に「少なくとも」とあるから、法文に明白に掲げられていなくても当事者が重視をする事項であることが事案の経過に即して明らかであるならば、説明の義務が肯定されるべきである。

 (2)は、法律上は別のものであるにしても、宅地建物取引業者とそこに置かれている宅地建物取引主任者は、一体として考えるべきである。いちいち履行補助者とか使用者責任のような法律的構成を挟まなくても、両者を区別せずに論じられることは少なくない。

 (3)は、たしかに行政取締法規違反と民事責任は理屈のうえで別であるとしても、後者を判断するうえで、重要事項説明義務違反ということがもつ意味は重い。

 そして、そのことは、(4)の業者の関与の態様の論点にも関係する。売り手との間で媒介契約を結び売り手をサポートする業者を元付といい(この事件のY)、同じく買い手側の業者を客付という(この事件のB)が、問題は、重要事項説明をめぐるトラブルが、しばしば買い手からみて直接の契約関係にない元付との間で起こることである。そこでの不法行為責任を考えるに当たり、しかし判例は、この点について、専門家としての責任を加味した「業務上の一般的注意義務」(最高裁昭和36年5月26日判決(参考判例3)(注2) として、決して軽くはないものとしてとらえている。この事件もまた、専門家責任を認める方向での事例を一つ加えるものにほかならない。

 なお、本件は、売り主が事業者でないから、たとえ近隣事情が消費者契約法にいう重要事項に当たる場合であっても、同法に基づいて契約を取り消すことはできない。仮に売り主が事業者であった場合には、重要事項について、元付業者による不利益事実の不告知があり、これによって消費者が誤認して売買契約が締結されたならば、買い主たる消費者は、消費者契約法4条2項・5条に基づき売買契約を取り消すことができる(松本恒雄・畔柳達雄・高崎仁著『Q&A消費者契約法解説』(平成12年、三省堂)、21ページ松本恒雄氏のいう「不動産仲介業者が、分譲業者の委託を受けて、消費者に新築マンションの販売を媒介する場合」と同じ)。

 なお、この場合の元付業者・売り主間の媒介契約を買い主は取り消すことができないことが強調されることがあるが〔経済企画庁国民生活局消費者行政第一課編『逐次解説 消費者契約法』平成12年、商事法務研究会、121~124ページ〕、むしろ重要であるのは、この事件でも問題とされている買い主から元付業者に対する損害賠償請求の可能性である。



注1
柱書:「号」がある条項のうち各号以外の部分

注2
参考判例(3)において、最高裁は、宅地建物取引業者につき、「直接の委託関係はなくても、業者の介入に信頼して取引をなすに至った第三者一般に対しても、信義誠実を旨とし、権利者の真偽につき格別に注意する等の業務上の一般的注意義務がある」と判示した。

参考判例
(1)東京地方裁判所平成7年8月29日判決  『金融・商事判例』1012号27ページ
(2)東京地方裁判所平成9年10月20日判決 『判例タイムズ』973号184ページ
(3)最高裁昭和36年5月26日判決『最高裁判所民事判例集』15巻5号1440ページ

参照条文
*宅地建物取引業法35条1項(柱書)
「宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者(略)に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、取引主任者をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第五号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない。」

*宅地建物取引業法47条1項1号
「宅地建物取引業者は、その業務に関して、宅地建物取引業者の相手方等に対し、次の各号に掲げる行為をしてはならない。
一  重要な事項について、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為 」

国民生活センターHPより)


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2009年4月 8日 (水)

不動産業者から更新時の更新手数料を支払うよう請求された

 問) 家主が依頼した不動産業者から更新時の更新手数料(家賃の1か月相当分)を支払うよう請求されました。支払わなくてはならないのでしょうか。


 (答) あなたが仲介業者に依頼して契約条件の変更をしたのでなければ手数料の支払義務はありませんので支払いを拒否して下さい。

 斡旋行為とは建物に関する賃貸借期間満了の場合、条件変更です。
 「建物の賃貸借期間満了の場合の条件変更契約の依頼者は特別の場合を除いて貸主である。仮に、賃料値上げを条件変更として貸主から更新契約の依頼を受け、斡旋行為に入った場合、貸主から賃料について不服があり、折衝を依頼された場合など借主も依頼者となるように見えるが、この場合は依頼とはならない。」(千葉県宅地建物取引業協会の「建物契約更新時の労務報酬」の規定)

 このような仲介業者の協会でも、依頼者以外から更新手数料を受取ってはいけないことを規定しています。

 東京都などは、借主から「契約更新時に不動産業者から更新手数料を請求されたという苦情が寄せられた場合には借主には支払義務はない」と回答しています。

 このような宅地建物取引業協会や自治体でも依頼者以外から手数料を受取らないよう指導しています。たとえ請求されても支払う必要はなく、そのことを理由に契約更新を拒否することは出来ません。迷わずに支払を拒否して頑張ってください。

全国借地借家人新聞より

  参照記事   不動産業者から更新手数料を請求されたが支払義務があるのか


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2008年6月17日 (火)

*防火戸の操作方法等につき買主に対して説明すべき信義則上の義務があるとされた事例

 判例紹介

 平成17年09月16日 最高裁第二小法廷判決 平成16年(受)第1847号 損害賠償請求事件

(要旨)
 売主から委託を受けてマンションの専有部分の販売に関する一切の事務を行っていた宅地建物取引業者に専有部分内に設置された防火戸の操作方法等につき買主に対して説明すべき信義則上の義務があるとされた事例


(内容)
件名
損害賠償請求事件 (最高裁判所 平成16年(受)第1847号 平成17年09月16日 第二小法廷判決 破棄差戻し)
原審
東京高等裁判所 (平成15年(ネ)第1961号)


           主    文

 原判決を破棄する。
 本件を東京高等裁判所に差し戻す。



           理    由

 上告代理人奥田純司ほかの上告受理申立て理由について

 1 原審が確定した事実関係の概要は,次のとおりである。

 (1) 上告人の亡夫A(以下「A」という。)は,平成11年4月30日,被上告人Y1(以下「被上告人Y1」という。)との間で,1審判決別紙物件目録記載1の建物(以下「本件マンション」という。)の一部である同目録記載3の専有部分(以下「802号室」という。)を5億3000万円で購入する旨の契約(以下「本件売買契約」という。)を締結した。
 被上告人Y2(以下「被上告人Y2」という。)は,宅地建物取引業者であり,被上告人Y1から委託を受け,本件売買契約の締結手続をした。

 (2) 802号室の中央付近にある室内廊下の北側主寝室寄りには,防火戸(以下「本件防火戸」という。)が設置されていた。本件防火戸は,その電源スイッチが入っていれば,802号室内で火災が発生した場合には自動的に閉じて,床,壁等と共に,上記主寝室を含む北側の区画(以下「本件北側区画」という。)と南側の区画(以下「本件南側区画」という。)に区切り,出火した側の区画から他の区画への延焼等を防止するようになっていた。

 (3) Aは,平成12年4月7日,802号室の引渡しを受け,上告人と共に同年9月28日から居住を開始した。被上告人Y2は,A及び上告人の入居時までに,A又は上告人に対し,重要事項説明書,図面等を交付した。上記重要事項説明書には,802号室の防火設備等として,火災感知器及び火災報知器の場所が示されていたが,本件防火戸の記載はなく,上記図面に本件防火戸の位置が点線で表示されていたのみであった。また,被上告人らは,A又は上告人に対し,本件防火戸の電源スイッチの位置及び操作方法,火災発生時における本件防火戸の作動の仕組み等については,全く説明していなかった。
 なお,本件防火戸の電源スイッチは,802号室の納戸の壁に設置されていたが,ふたがねじで固定された連動制御器の中にあり,上記電源スイッチが同制御器内にあることが一見して明らかとはいえない造りになっていた。

 (4) 同年10月4日午前5時15分ころ,802号室の主寝室を出火場所とする火災(以下「本件火災」という。)が発生した。本件火災は,Aが上記主寝室で吸ったたばこ又はその火種がベッドの布団に落下して着火したことにより発生したものと判定された。

 (5) 本件防火戸は,本件火災発生当時,電源スイッチが切られて作動しない状態にあり,自動的に閉じなかったため,出火場所である上記主寝室を含む本件北側区画から本件南側区画への延焼等を防止することができなかった。

 (6) 本件マンションを巡回していた警備員の通報により,同日午前5時24分ころ,麻布消防署の消防隊が臨場し,消火活動に当たった。本件火災は,同日午前7時55分に鎮火した。

 (7) 本件火災により,802号室(床面積約210㎡)の主寝室その他の部分98㎡及び天井等49㎡が焼損した。本件南側区画の損傷状態については,室内廊下のうち,本件防火戸に近い部分は,天井の石膏ボードが落下し,比較的遠い部分の天井や壁は,化粧仕上材が焼失して石膏が露出するなどしたほか,本件南側区画のほぼ全室にわたり,天井及び壁の全体又は一部が変色し又はすすけ,居間やその北側の寝室の空調設備が溶融して垂れ下がるなどというものであった。

 (8) 本件火災により,Aは,顔面及び気管の火傷等を負い,同年11月15日死亡した。Aの法定相続人は,Aの妻である上告人並びにAの姉,弟及び妹の合計4名である。

 2 本件は,上告人が,被上告人Y1については,本件防火戸の電源スイッチが切られて作動しない状態で引き渡されたことにつき売買の目的物に隠れた瑕疵があったことなど,被上告人Y2については,上記電源スイッチの位置,操作方法等を説明すべき義務を怠った注意義務違反があったことなどにより,本件南側区画にも本件火災による損傷が及び,その原状回復に要する費用等に係るAの損害賠償請求権を相続により4分の3の割合で取得したなどと主張して,被上告人Y1に対し売主の瑕疵担保等による損害賠償を,被上告人Y2に対し不法行為等による損害賠償をそれぞれ求める事案である。

 3 原審は,前記事実関係等の下において,上告人の請求を棄却すべきものとした。本件防火戸が作動しなかったことによる本件南側区画の損害に関する原審の認定判断は,次のとおりである。

 (1) 802号室は,本件防火戸の電源スイッチが切られて作動しない状態で引き渡されたものであり,売買の目的物に隠れた瑕疵があった。したがって,被上告人Y1は,売主の瑕疵担保責任として,本件防火戸が作動しなかったことと相当因果関係のある損害について賠償すべき責任を負う。

 (2) 本件防火戸の電源スイッチは,ふたがねじで固定された連動制御器の中に設置されており,居住者がそれを操作することが予定されているとはいえないような造りになっているものであって,売主である被上告人Y1において,上記電源スイッチを入れた状態で引き渡すべきことが当然の前提とされていたと考えられることに照らすと,被上告人Y2には,上記電源スイッチの位置,操作方法等を買主に説明すべき義務があったとはいえない。また,被上告人Y2は,被上告人Y1から委託を受けて本件売買契約の締結手続をした者にすぎず,802号室を引き渡すに際し,本件防火戸の作動状況についての調査,確認義務があったとはいえないから,上記電源スイッチを入れた状態で802号室を引き渡すべき義務があったともいえない。

 (3) 本件防火戸が作動していた場合には,本件南側区画の焼損,変色等の範囲及び程度は,本件火災後の状況に比べて軽度に抑えられていたであろうと推認することができる。しかしながら,本件防火戸が作動したとしても,消火活動等に当たり,本件防火戸が開けられ,ばい煙,高熱,水蒸気等が本件南側区画に出ることは避けられず,相当範囲に汚れ等が付着し,特に,ばい煙によるにおいは,広範囲にわたって天井,壁等に染み込んだはずである。本件火災後の原状回復工事については,本件防火戸が作動した場合であっても,802号室を再び居住の用に供するためには,全部屋の天井及び壁の石膏ボード等を交換する作業が必要となることが十分考えられ,空調設備,家具等についても,具体的な焼損が生じなかったとしても,ばい煙によるにおいの吸着のため,新たなものと交換する方が部品交換やクリーニング等よりも安価な対処方法となる場合も考えられる。したがって,本件防火戸が作動しなかったからといって,本件火災により現実に生じた損害の額が,本件防火戸が作動した場合に比べて高額になるとは認められない。

 4 しかしながら,原審の上記認定判断(2),(3)は是認することができない。その理由は,次のとおりである。

 (1) ア 前記1の事実関係によれば,本件防火戸は,火災に際し,防火設備の一つとして極めて重要な役割を果たし得るものであることが明らかであるところ,被上告人Y1から委託を受けて本件売買契約の締結手続をした被上告人Y2は,本件防火戸の電源スイッチが,一見してそれとは分かりにくい場所に設置されていたにもかかわらず,A又は上告人に対して何らの説明をせず,Aは,上記電源スイッチが切られた状態で802号室の引渡しを受け,そのままの状態で居住を開始したため,本件防火戸は,本件火災時に作動しなかったというのである。

 イ また,記録によれば,(ア) 被上告人Y2は,被上告人Y1による各種不動産の販売等に関する代理業務等を行うために,被上告人Y1の全額出資の下に設立された会社であり,被上告人Y1から委託を受け,その販売する不動産について,宅地建物取引業者として取引仲介業務を行うだけでなく,被上告人Y1に代わり,又は被上告人Y1と共に,購入希望者に対する勧誘,説明等から引渡しに至るまで販売に関する一切の事務を行っていること,(イ) 被上告人Y2は,802号室についても,売主である被上告人Y1から委託を受け,本件売買契約の締結手続をしたにとどまらず,Aに対する引渡しを含めた一切の販売に関する事務を行ったこと,(ウ) Aは,上記のような被上告人Y2の実績や専門性等を信頼し,被上告人Y2から説明等を受けた上で,802号室を購入したことがうかがわれる。

 ウ 上記アの事実関係に照らすと,被上告人Y1には,Aに対し,少なくとも,本件売買契約上の付随義務として,上記電源スイッチの位置,操作方法等について説明すべき義務があったと解されるところ,上記イの事実関係が認められるものとすれば,宅地建物取引業者である被上告人Y2は,その業務において密接な関係にある被上告人Y1から委託を受け,被上告人Y1と一体となって,本件売買契約の締結手続のほか,802号室の販売に関し,Aに対する引渡しを含めた一切の事務を行い,Aにおいても,被上告人Y2を上記販売に係る事務を行う者として信頼した上で,本件売買契約を締結して802号室の引渡しを受けたこととなるのであるから,このような事情の下においては,被上告人Y2には,信義則上,被上告人Y1の上記義務と同様の義務があったと解すべきであり,その義務違反によりAが損害を被った場合には,被上告人Y2は,Aに対し,不法行為による損害賠償義務を負うものというべきである。
 そうすると,802号室の販売に関し,被上告人Y2が被上告人Y1から受けた委託の趣旨及び内容,被上告人Y2の具体的な役割等について十分に審理することなく,被上告人Y2の上記義務を否定した原審の判断には,審理不尽の結果,法令の適用を誤った違法があるといわざるを得ない。

 (2) 前記1の事実関係によれば,本件防火戸は,本来,802号室内で火災が発生した場合には自動的に閉じて,床,壁等と共に区画を区切り,出火した側の区画から他の区画への延焼等を防止するようになっていたというのであるから,本件南側区画の焼損,変色等による損傷は,本件防火戸が作動していた場合には,消火活動等により本件防火戸が開けられたとしても,本件防火戸が作動しなかった場合に比べ,その範囲が狭く,かつ,程度が軽かったことは明らかというべきである。したがって,前者の場合における原状回復に要する費用の額は,特段の事情がない限り,後者の場合における原状回復に要する費用の額に比べて低額にとどまると推認するのが相当である。これについて,原審は,前者の場合であっても,消火活動等により,ばい煙等が本件南側区画に出ることが避けられなかったなどということから,本件南側区画の天井及び壁の石膏ボード,空調設備,家具等の交換が必要となることが考えられるとして,後者の場合における損害の額が,前者の場合に比べて高額になるとは認められないと認定しているが,上記認定の前提とされた事情は,上記石膏ボード等の交換が必要となる可能性があるとするものにすぎず,上記特段の事情というには不十分であることが明らかである。そうすると,原審の上記認定には,経験則に違反する違法があるというべきである。

 5 以上によれば,原審の前記3の(2)及び(3)の認定判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨は,この趣旨をいうものとして理由があり,その余の点について判断するまでもなく,原判決は破棄を免れない。そして,本件について更に審理を尽くさせるため,これを原審に差し戻すこととする。
 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。

 (裁判長裁判官 津野 修 裁判官 滝井繁男 裁判官 今井 功 裁判官 中川了滋)

この裁判を朝日新聞は次のように報道している。



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2006年5月20日 (土)

賃貸物件の不動産仲介手数料

不動産業者の仲介手数料は
       家賃の半月分プラス消費税(5%)が原則だ

(問) マンション・アパート等の仲介手数料は町の不動産屋では家賃の1.05倍というのが殆どである。しかし、最近テレビCM等で大手不動産会社の仲介手数料は1か月の0.525倍と宣伝している。仲介手数料に関して法改正でもあったのだろうか。

(答) 不動産業者が貸借の媒介(仲介)・代理に関して受取ることの出来る報酬額(仲介手数料)は、宅地建物取引業法(宅建業法)第46条1項の規定に基づき、昭和45年10月23日の建設省告示第1552号で定められている。     

貸借の媒介に関する報酬の額
 「宅地建物取引業者が宅地又は建物の貸借の媒介に関して依頼者双方から受取ることのできる報酬額の合計額は、当該宅地又は建物の借賃の1月分に相当する金額以内とする。この場合において、居住の用に供する建物の賃貸借の媒介に関して依頼者の一方から受けることのできる報酬の額は、当該媒介を受けるに当たって当該依頼者の承諾を得ている場合を除き、借賃の1月分の2分の1に相当する金額以内とする。」     

 このように不動産業者が受取れる仲介手数料は、賃料の1か月分が最高限度であり、宅建業法46条2項では、これ以上の金額を報酬として受取ることを禁じている。
 殊に、居住用建物に関しては、貸主・借主双方から受取れる仲介手数料は家賃の0.5か月分以内とすることを原則としている。     

 そのことを説明しないで当然の如く仲介手数料として家賃の1か月分を要求し、受領するのが不動産業界の習慣と化している。悪質な業者は貸主と借主の両者からそれぞれ家賃の1か月分相当の仲介手数料を受領する。貸主に対しては広告費という名目で仲介手数料を受領する。     

 これなどは明白に宅建業法46条2項に違反する。同法82条で30万円以下の罰金に処せられる行為である。又同法65条2項で1年以内の期間で業務の全部又は一部の停止の行政処分を受けることに繋がる重大な違法行為である。     

 賃貸住宅の仲介業界で1位のエイブルと2位のミニミニが家賃の1か月以上の仲介手数料を受領していたとして、この46条2項違反として業界で初めて東京都から2000年3月29日付で「業務の全部停止10日間」の行政処分を受けた。     

 尚、消費税の総額表示の実施に伴い、国土交通省告示第100号で前記「1月分」が「1月分の1.05倍」に、「1月分の2分の1」が「1月分の0・525倍」に改正され、2004年4月1日より施行されている。下記参照      

   貸借の媒介に関する報酬の額
 宅地建物取引業者が宅地又は建物の貸借の媒介に関して依頼者の双方から受けることのできる報酬の額(当該媒介に係る消費税等相当額を含む。以下この規定において同じ。)の合計額は、当該宅地又は建物の借賃(当該貸借に係る消費税等相当額を含まないものとし、当該媒介が使用貸借に係るものである場合においては、当該宅地又は建物の通常の借賃をいう。以下同じ。)の1月分の1.05倍に相当する金額以内とする。この場合において、居住の用に供する建物の賃貸借の媒介に関して依頼者の一方から受けることのできる報酬の額は、当該媒介の依頼を受けるに当たって当該依頼者の承諾を得ている場合を除き、借賃の1月分の0.525倍に相当する金額以内とする。(最終改正 平成16年2月18日国土交通省告示第100号)

参考法令宅地建物取引業法
(報酬)
第46条 宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買、交換又は貸借の代理又は媒介に関して受けることのできる報酬の額は、国土交通大臣の定めるところによる。

2 宅地建物取引業者は、前項の額をこえて報酬を受けてはならない。

3 国土交通大臣は、第1項の報酬の額を定めたときは、これを告示しなければならない。

4 宅地建物取引業者は、その事務所ごとに、公衆の見やすい場所に、第1項の規定により国土交通大臣が定めた報酬の額を掲示しなければならない。


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2006年5月14日 (日)

更新手数料を請求された

  不動産管理会社から不当な更新手数料を
            請求されても支払う必要はない

(問) 家主に支払う更新料以外に管理会社から更新手数料の請求が来た。契約書をみると確かに特約として更新の際には更新料と更新手数料が必要であるという記載があった。更新手数料の支払を拒否することが出来るのか。

(答) 元来は契約の更新は家主と借主の間で行うものであった。しかし、家主が自ら更新手続きを行うことを煩わしく思い、家主の代理人として管理会社に業務を委託することがある。

 その場合、家主は管理会社に契約更新の手数料を支払うことになる。管理会社は更新手数料を家主から受け取れば業務終了ということになる。

 だが、中には家主から手数料以外に借主からも何の合理的理由も無く更新手数料を請求してくる業者もある。家主から受け取るべき手数料を総て借主に転嫁して徴収する悪質な業者もある。

  一般的には更新に関与する業者は、家主から委託を受けて更新事務を行うものであるからその労務報酬は家主が負うべきものである。

 借主から支払うべき理由が無い更新手数料を徴収することは不当利得に当る。、もし既に支払っているのであれば、支払った手数料の返還請求をすべきである。裁判所に提訴して過去に支払った手数料を全額返還させた例もある。

 ところが常識的に支払う必要が無い費用を「特約」として入れた場合、判例では、
 ①特約の必要性に加えて暴利的でないなどの客観的、合理的理由が存在すること
 ②通常の義務を超え義務を負うことについて認識していること
 ③借主が特約による義務負担の意思表示をしていること
 以上3つの用件を充たしている場合でなければ特約として認められないのが裁判例である。

  先ず借主が管理会社に更新手続きを依頼していないので、更新手数料を支払う必要性や支払う合理的な理由があるとは考えられない。 従って契約書に更新手数料の記載があるとしても「特約」として認められないということになる。

 2001年4月以降に結ばれた契約及び、更新した契約書の中にそのような特約があれば消費者契約法10条の「消費者の利益を一方的に害する条項」に該当し、そのような特約は無効ということになるので、借地借家人組合に相談してみるべきである。


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2006年4月16日 (日)

競売による店舗(借家)の明渡請求

不動産業者の杜撰なテナント契約で
                              店舗閉鎖に追込まれ損害賠償を請求
     

  (問) 不動産業者の媒介でビル1階部分の店舗を契約期間5年、保証金500万円、家賃20万円で賃貸借契約を締結した。店舗改装費に800万円をかけてラーメン屋を開業した。
  ところがこのビルは既に裁判所の競売開始決定に基づき差押の登記がなされていた。不動産業者からはこの事に関して何の説明も受けなかった。
  その後、買受人から明渡請求をされ、店舗は閉鎖し、杜撰な媒介で大損を蒙った。不動産業者の損害賠償責任を追及したい。     

  (答) 問題は不動産業者が賃貸借に係る土地建物の媒介に際して登記簿を閲覧する義務があるのか。

宅建業法35条は不動産業者の重要事項説明義務の内容として当該土地・建物の上に存する登記された権利の種類、内容、登記名義人又は登記簿の表題部に記載された所有者の氏名、これらを記載した書面を交付して契約前に宅建主任者が説明しなければならないとしている。     

  これらは不動産を巡る権利関係の基本であり、取引に係わる媒介業者が登記簿を閲覧するなどして権利関係を調査する義務を負うことは明らかである。     

 不動産業者は媒介に当っては、善良な管理者の注意をもって媒介する義務を負う。契約前に既に差押の登記がある場合は、当然相談者の賃借権は競売による買受人に対抗出来ないのは自明である。     

  従って相談者が明渡請求を受ける可能性は極めて高いと言える。このようなリスクの多い賃貸借契約を防ぐ手段は登記簿を調査することである。差押の登記の有無は登記簿によって簡単に知ることが出来る。差押登記簿の有無の調査は不動産業者の基本的義務である。この初歩的義務を尽くしていない。     

 業者は、重要事項を記載した書面を交付して宅建主任者が口頭で説明する義務を果たしていないことは明白である。     

 登記簿の調査義務に関して、裁判所は「宅建業者は賃貸人に確認するのはもとより、疑問のある場合は登記簿を閲覧するなどして差押登記等の有無を確認し、賃借人に不測の損害を被らせないように配慮すべき義務がある」(東京地判1992年4月16日判決)として損害賠償請求を認めている。   


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2006年4月15日 (土)

建物賃貸借の仲介手数料は家賃の0.5か月が原則

 不動産業者は居住用建物の賃貸借の仲介料として家賃の1か月分相当の報酬を借主に充分な説明もせずに当然のように要求する。しかしこれは宅建業法に違反する不当行為である。
 建設省は、建設省計画局不動産業室長名で、昭和48年2月26日付で宅地建物取引業法により禁止されている不当行為を行わないよう都道府県へ業界の指導監督を強めるように通知した。


  〈昭和48年2月26日、建設省計宅業発第16号〉

  賃貸借の媒介に関する報酬の遵守について
 宅地建物取引業者が宅地建物の売買、交換又は貸借の代理、又は媒介に関して受けることのできる報酬の額については、宅地建物取引業法第46条第1項の規定に基づき、昭和45年10月23日建設省告示第1552号で定められ、同年12月1日から施行され数年を経過したところであるが、これが必ずしも遵守されていない。

 特に同告示第3の居住の用に供する建物の賃貸借の媒介に関する報酬の額については、依頼者である借主の承諾の有無にかかわらず借主に対し借賃の1か月に相当する金銭を報酬として当然に要求、受領する事例が多く見受けられる。また借主から媒介の報酬として借賃の1か月相当分を支払うことにつき承諾を得た場合であっても、その取引経過から見て必ずしも借主の自由な意思に基づく承諾がなされたと認められない取引もある。特に媒介者が契約の締結に際し、媒介の報酬として借賃の1か月分に相当する金銭を支払う旨の特約を一方的に定め、物件説明書等に記載してる場合には、正規の報酬が原則として1か月の借賃の2分の1であることを説明しないこととあいまって承諾が借主の無知に乗じてなされる結果となっている。

 したがって、報酬額の制限を超過して受領した場合、及び承諾を得て借賃の1か月相当分を報酬として受領した場合であっても、当該承諾が借主の無知に乗じ不当になされたと認められる場合には、宅地建物取引法第46条第2項、違反又は第65条第2項第5号の規定に該当するものとして厳重な監督処分を行うので当該告示の遵守について留意されたい。

  賃貸借物件の管理について
 最近、賃貸借物件の仲介あっせんの延長として、賃料の集金をはじめ賃料値上げの手続きその他貸主の代理としての賃借人との交渉事項を含めた賃貸借物件の総合管理を貸主より受託している業者が増加している傾向があり、そのために賃貸借物件の管理、特に賃料の値上げ交渉を中心とするトラブルに宅地建物取引業者が介在することについての苦情相談が増加している。

 もとより賃貸借物件の管理そのものは、宅地建物取引法の適用外のことであり、基本的に民事上のことと判断できるが、その管理に際して対応する賃借人は、宅地建物取引業者としての仲介あっせんにより、入居されている顧客であることを考えると、専門的な知識を有する宅地建物取引業者が一方的に代理として貸主の側に立って賃料値上げ等の交渉を行ってトラブルを生ずることは、宅地建物取引業法第31条に規定している業務処理の原則に背くものであるといわざるを得ない。

 したがって、賃貸借物件の管理については、一方に偏することのないよう十分留意の上業務に当られたい。


宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額

(昭和45年10月23日建設省告示第1552号)

最終改正 平成16年2月18日国土交通省告示第100号

第1 定義

 この告示において、「消費税等相当額」とは消費税法(昭和63年法律第108号)第2条第1項第9号に規定する課税資産の譲渡等につき課されるべき消費税額及び当該消費税額を課税標準として課されるべき地方消費税額に相当する金額をいう。

第4 貸借の媒介に関する報酬の額

 宅地建物取引業者が宅地又は建物の貸借の媒介に関して依頼者の双方から受けることのできる報酬の額(当該媒介に係る消費税等相当額を含む。以下この規定において同じ。)の合計額は、当該宅地又は建物の借賃(当該貸借に係る消費税等相当額を含まないものとし、当該媒介が使用貸借に係るものである場合においては、当該宅地又は建物の通常の借賃をいう。以下同じ。)の1月分の1.05倍に相当する金額以内とする。この場合において、居住の用に供する建物の賃貸借の媒介に関して依頼者の一方から受けることのできる報酬の額は、当該媒介の依頼を受けるに当たって当該依頼者の承諾を得ている場合を除き、借賃の1月分の0.525倍に相当する金額以内とする。

第5 貸借の代理に関する報酬の額

 宅地建物取引業者が宅地又は建物の貸借の代理に関して依頼者から受けることのできる報酬の額(当該代理に係る消費税等相当額を含む。以下この規定において同じ。)は、当該宅地又は建物の借賃の1月分の1.05倍に相当する金額以内とする。ただし、宅地建物取引業者が当該貸借の相手方から報酬を受ける場合においては、その報酬の額と代理の依頼者から受ける報酬の額の合計額が借賃の1月分の1.05倍に相当する金額を超えてはならない。

  附則

1 この告示は、昭和45年12月1日から施行する。
2 昭和40年4月建設省告示第1174号は、廃止する。
3 宅地又は建物の売買、交換又は貸借の契約でこの告示の施行前に成立したものの代理又は媒介に関して宅地建物取引業者が受けることのできる報酬の額については、なお従前の例による。

  附則(平成元年2月17日建設省告示第263号)

 この告示は、平成元年4月1日から施行する。

  附則(平成9年1月17日建設省告示第37号)

 この告示は、平成9年4月1日から施行する。

  附則(平成16年2月18日国土交通省告示第100号)

 この告示は、平成16年4月1日から施行する。

 


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2006年3月30日 (木)

更新手数料を請求されたが

貸主が依頼した宅建業者の更新手続に対して
                                  報酬支払義務があるのか

 (問) 借家の賃貸借契約を更新する際、貸主に委託された不動産業者の仲介で契約の更新手続が行われた。その際の更新手数料(家賃の半月分)を不動産業者から請求された。支払わなければならないのか。

 (答) 借家の賃貸借契約が期間満了した場合、合意で契約を更新する。その際に不動産業者(宅建業者)が賃貸人と賃借人の間に入って契約の更新手続を行うことが日常的になっている。この場合、宅建業者は更新手続の依頼者に報酬を請求出来るのは勿論であるが、直接依頼していない者に対しても報酬の請求が出来るのか。

  「宅地建物取引業者は商法543条にいう他人間の商行為の媒介を業とする者ではないから、商事仲立人ではなく、民事仲立人である」(最高裁1969年6月26日判決)と言われている。

 民事仲立人とは、他人間の商行為以外の法律行為の成立に向けて尽力する事実行為であり、他人間の商行為の成立を目的とする商事仲立と区別される。民事仲立については明文の規定がなく学説・判例は一般に民事仲立を準委任と解している。従って宅建業者の行う媒介行為は民法上の準委任関係になる。宅建業者が当事者に報酬を請求出来るのは媒介に際して委任を受けた当事者に限られる。

 しかし宅建業者は営業として媒介を行うので商法上の商人に該当する。商人がその営業の範囲内において他人のために一定の行為をしたときは相当の報酬を請求することが出来る(商法512条商人の報酬請求権)。

  だが宅建業者が委任を受けない相手に対して商法512条に基づく報酬請求権を取得するためには「客観的にみて、該当業者が相手方当事者のためにする意思をもって媒介行為をしたものと認められることが必要である。単に委託者のためにする意思を持ってした媒介行為によって契約が成立し、その媒介行為の反射的利益が相手方当事者にも及ぶというだけでは足りない」(最高裁1975年12月26日判決)としている。

 従って宅建業者が契約更新に際して媒介報酬の請求が出来るのは原則として委託を受けた当事者に限られ、依頼していない当事者には報酬を請求出来ない。宅建業者が依頼していない相談者に更新手数料を請求するのは不当である。宅建業者が依頼者である貸主に対して報酬請求出来る上限は賃料の1ヶ月相当額+消費税である。


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