カテゴリー「承諾に関して」の記事

2010年1月 5日 (火)

クレーンの設置は建物所有の借地の利用目的外で契約解除を認めた事例

 判例紹介

 クレーンを設置することは、建物所有の借地の利用目的の範囲外であり、地主の承諾を得ない設置につき契約解除を認めた事例 東京地裁昭和63年1月25日判決、未掲載)

 (事案)
 Y1(賃借人)は資源回収を業とする先代からこれら業務に供する倉庫、事務等の所有を目的とする土地賃貸借権を相続し、その後右建物等をY1が代表する有限会社Y2の資源回収業に供してきたところ、Yらは営業上の必要から借地上にクレーンを設置する必要に迫られ、従前存していたY1所有の倉庫等の大半を取壊し、その跡地に地下1.2mを下らない深さを掘ってレールを敷き、Y2所有の高さ10m(Y2は7mを主張)の移動式のクレーンを設置した。

 X(賃貸人)は右クレーンの設置を承諾したことはないと主張して契約を解除し、Y2はXから承諾を受けたこと、本件借地は古鉄解体業のため営業上の建物所有を目的として賃借してきたものであり、本件クレーンの設置は、本件土地の利用目的の範囲内のものであって、そもそもXの承諾の有無は問題にならないとして争った事案である。結果はXが勝訴。

 (判旨)
 「被告らは前記各建物を使用して資源回収を業としていたことは前記のとおりであるが、倉庫事務所89.52㎡及び倉庫19.87㎡を解体し、本件土地の南北西側に平行してクレーンを設置することは、従前の利用目的の範囲以内のものであるということはできず、原告の承諾を要する事柄であることは明らかである。」

 (寸評)
 本件の如く大型クレーンを設置することが、資源回収、古鉄解体事業の営業上の建物所有の借地の利用目的外であるとした例は、初めてであるが、先例として参考のために紹介した。
 同種の事例として、有料駐車場の開設や、大型機器の設置など本来の建物所有の目的と直接に結びつかない借地の利用に対しても生じうることである。判例の集積をまつ以外にないと思われる。

(1988.03.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より


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2009年3月19日 (木)

譲渡承諾を受けていない借地権付きマンションを買ってしまった

 杉本さんは家を買いたいと思って、手頃な家を物色していた。不動産屋へも足繁く通った。そんな折、知人からマンションを格安で売りに出している人がいるとの情報を得て、その人を紹介してもらった。そのマンションは借地権付ではあったが、2千万円と格安で部屋数の多い掘出し物であった。

 杉本さんは即決で買うことにした。不動産業者が介在していないので仲介手数料(66万円)も支払わなくて済むと思うと安い買物である。

 杉本さんはマンションの登記も済ませ、そのマンションに引越した。ところが、マンションの土地所有者から、借地権の無断譲渡であるというクレームがついた。土地所有者は「部屋の前所有者は、私(土地所有者)から借地権の譲渡承諾を受けずに、売ったので、その譲渡承諾料を支払え」と言い、「支払わなければ、賃貸借契約を解除する」と杉本さんを脅したのである。

 杉本さんは困って、組合に相談してきた。組合は杉本さんに、「土地所有者の言っている通り部屋の前所有者が譲渡承諾料を支払っていないことが事実であれば、借地権付きマンションであるから敷地利用権が賃借権であり、その無断譲渡ということで、民法612条2項の規定から賃貸借契約を解除されることは当然あり得ることである」と回答した。

 但し、借地契約の解除が認められたとしても、マンションという構造上、当該一室の収去・土地明渡を執行するのは無理があるので「建物の区分所有等に関する法律」10条に基づく建物売渡請求(*)をされる場合が多い。

 敷地利用権に対して予め一定の金銭を支払って包括的に賃借権の譲渡承諾を土地所有者から受けている場合は、自由に譲渡が出来る(譲渡権利付賃借権)。しかし、そうではないとすると、譲渡の度毎に土地所有者の承諾を得なければならない。その場合の譲渡承諾料は一般的には各室の敷地利用権価額の10%程度であるが、売買代金の10%位の支払いで承諾を認める場合が多い。

 杉本さんの場合、45万円支払えば承諾すると言っているのであるから取敢えず支払って、後日、売主に損害賠償請求をして、その代金を取返すことを提案した。

(*)(区分所有権売渡請求権)
第10条 敷地利用権を有しない区分所有者があるときは、その専有部分の収去を請求する権利を有する者は、その区分所有者に対し、区分所有権を時価で売り渡すべきことを請求することができる。


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2008年10月15日 (水)

親子間の借地の転貸借について承諾料を転借地権価格の1%とした例

 判例紹介

 親子間の借地の転貸借について、承諾料を転借地権価格の約1%とした例 (東京地裁平成4年9年25日判決、判例集未登載)

 (事案)
 BはAから宅地35坪を借地しているが、借地上の建物の建替(改築)を計画、しかしBは高齢で無職のためもはや住宅ローンを借りられない。同居を予定している二男Cが建築するしかない。

 この場合、①BからCに借地権を譲渡するか、②Bの借地をCに転貸するか、いずれかによることになる。①の場合は贈与税が気がかりだし、②の場合には無償使用の届出を税務署に提出しておけば贈与税はかからない(その代わりB死亡後B名義の借地権は相続の対象になる。しかし相続税の方が贈与税よりずっと安くてすむ)。

 そこでBCは②を選択。地主Aに改築と合わせて転貸借の承諾を求めたが、Aは間近に更新を控えているので(平成3年12年31日が期間満了)、先ず更新料を支払ってもらい更新契約を済ますことが前提だと主張して譲らない。

 BCは已む無く改築の許可と転貸の許可を求めて借地非訟の申立をした。(BCは新築後は同居する親子であるから、転貸の承諾又は承諾に代わる裁判所の許可がなくても無断転貸を理由とする借地解除が認められる可能性は極めて低いといえるが、そういったトラブル回避のため転貸の点も申立をした)

 (決定)
 1、改築承諾料は更地価格の約3%が相当である。

 2、転貸承諾料について、鑑定委員会は、本件転貸借を許可する場合の財産上の給付を、借地権を第三者に譲渡する場合の譲渡承諾料の慣行(借地権価格の10%程度)に照らし転借地権価格(更地価格の49%。すなわち借地権価格の70%の更にその70%)の約10%が相当だとする。

 しかし、当裁判所は、本件が第三者ではなく親子間の転貸借であること、転貸借後も申立人Bは本件土地の上に居住し土地の利用者に実質的な変更はないこと、転貸借の設定によりBに何ら権利金等の金銭的利益の生じていないことに照らし第三者への借地権譲渡の承諾料割合を用いるのは相当ではなく転借地権価格(前記のように更地価格の49%)の1%が相当と判断する(坪当り1万円強)。

 3、なお相手方Aは更新料の支払を命ずるべきだと主張するが、当事者間の利益を図るためには前記1、2及び賃料も改定することで足りるからAの主張は採用しない。

 (寸評)
 「決定」のうち1は判例通り、3も当然のこと。問題は2の転貸借承諾料であったが、本当はゼロでもよいと考えられる。裁判所が転借地価格の約1%(更地価格に対する割合にすりと0.49%)としたのは、親子間の場合には形式的名目的なものでよいということである。先例が見当らないのでご紹介する次第。   (1992.11)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より


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2008年3月10日 (月)

貸工場の全焼で建替承諾料(地価の3%)で合意

 大田区多摩川2丁目に居住の高浜さんは、95・5坪の土地を普通建物所有目的に借地して、自宅と貸工場を所有している。2年前には高額な更新料を支払い、合意更新し円満な環境にあった。

 今年春に借家人が原因の出火によって、貸工場が全焼した。共同住宅建設の承諾を求めたが、地主の代理人は執拗に等価交換を主張し、交渉は長期化した。組合に入会し交渉の結果、地価の3%の承諾料で合意し、建築工事に着工した。

 更新料を払って円満な状況でも、求めるものは当然のごとく求めるのが貸主であることの事例である。

東京借地借家人新聞より

  (*)  火災後の再築に関しては、こちらも参照して下さい。



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2008年2月29日 (金)

貸したのは先代だと地主が借地の相続を拒否

 江東区大島4丁目で25坪の土地を借りている田辺さんは昨年先代が亡くなった後、相続を地主に通知した。

 地主は、「貸したのは、先代で、あなたとは契約していない」と言ってきたので心配になった。以前、区民センターで組合の相談会にでたことを思い出し、組合に相談に来た。

 田辺さんの借地は、1970年から借りて、地代は年間21万6300円(坪・月額721円)の年払い。更新は、特別にせず、法定更新になっていた。

 相談の結果、田辺さんは、地主に対して借地権の相続と今後も従前と同一の条件で賃借を続けたいという通知を出した。地主は、その後は黙ってしまった。年払いの地代も何も言わず受取った。

東京借地借家人新聞より


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2007年7月 7日 (土)

非訟手続で堅固建物の許可を得る

      大道路拡幅での建替えに
               地主が承諾せず裁判所に申立て

 東村山市栄町2丁目で、西武線の八坂駅の傍でパン屋を営業する澤田浩司さんは、東京都の道路拡幅工事で建物と借地の一部112坪が買収されるため、拡幅後の残地176坪に堅固建物を建てるため平成8年地主に許可を求めた。

 地主は建替えを許可しないばかりか、道路拡幅の借地権の補償も5分5分を主張したため、澤田さんは同じ借地人の阿倍さんとともに東京地裁八王子支部に借地条件変更の申立てを行った。審理は長期化し、鑑定も2度行われた。昨年の5月8日にやっと裁判所の「決定」が下りた。

 決定は、澤田さんの道路拡幅後の残地に鉄骨造地上4階建の堅固建物を建てることを認め、付随処分として条件変更に伴う財産上の給付として更地価格1708万円の1割170万8千円が相当であり地代は月額2万4844円(残地月額1万5167円)に変更することが決まった。

 裁判所の判断では、道路拡幅で澤田さんの店が全てなくなり、2階も居宅の6畳2間を失い営業も生活も出来なくなることから、4階建の堅固建物に改築することが必要であることが認められた。借地の一部についてのみ条件変更の申立てをすることは許されないとの地主の主張については、「相手側に不当な不利益は認められない」と退けた。

東京借地借家人新聞より


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2006年7月22日 (土)

*建物競売の場合に借地権譲渡許可の裁判で敷金の差し入れを命じた事例

 判例紹介

 建物競売等の場合における借地権譲渡許可の裁判で、敷金(保証金)を差し入れることを命じた事例 最高裁平成13年11月21日決定、判例時報1768号86頁)

(事案の概要)
 YはAに対して、堅固建物所有を目的として、土地を賃貸し、Aはその土地上に5階建ビルを建築して所有していた。
 ところが、Aの建物について競売が申し立てられ、Xが借地権付建物として競落した。

 XはYに対して、借地権譲渡の承諾を求めたが、Yが承諾しなかったので、Xは、借地借家法第20条に基き、裁判所に対して地主の承諾に代わる許可を求める申立てをした。
 ところで、本件においては、もともとAがYに対して敷金(保証金)1000万円を差し入れていた経過がある。
 鑑定委員会は、申立てを容認するのが相当としたうえ、付随的裁判としてXに対して譲渡承諾料の支払をさせるほか、敷金として金1000万円を差し入れさせるのが相当であるとの意見を出した。

 大阪地裁及び大阪高裁は、借地権譲渡を許可し、付随的裁判として、譲渡承諾料の給付のみを命じ、敷金に関しては、借地借家法第20条1項後段の付随的裁判として敷金の差し入れを命ずることはできないと判示した。

 これに対し、Yは付随的裁判として敷金の差し入れを命ずべきであるとして、もしそれを命じないのであれば、申立てを棄却すべきであると抗告許可の申立てをした。

(裁判)
 最高裁は、「旧賃借人が交付していて敷金の額、第三者の経済的信用、敷金に関する地域的な相場等の一切の事情を考慮した上で、法20条1項後段の付随的裁判の1つとして、当該事案に応じた相当な額の敷金を差し入れるべき旨を定め、第三者に対してその交付を命ずることができるものと解するのが相当である」として原決定を破棄し、大阪高裁に差し戻した。

(短評)
 競売・公売により借地権付建物を取得した場合、競落人には譲渡の承諾に代わる許可の制度が設けられている。そして、許可の申立てを認容する場合、裁判所は当事者間の利益の衡平を図るため、必要があるときは、付随的裁判として借地条件を変更し、又は財産上の給付を命ずることができるとされている。(借地借家法第20条)

 ところで、これまで敷金(保証金)の差し入れを命ずることができるかどうかについては最高裁の判例がなかったところ、今回の決定により、敷金(保証金)の差し入れも借地条件の変更・財産上の給付とされたことから、今後は、競落に当たって、従前の敷金(保証金)の有無・金額を調査する必要があり、また、敷金(保証金)の差し入れを命じられることがあることを覚悟する必要が出てきた。         2002.3.               

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より


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2006年7月21日 (金)

*法20条1項後段の付随的裁判で敷金の交付を命ずることが出来るとした事例

判例紹介

  地借家法20条1項後段の付随的裁判として敷金を差し入れるべき旨を定めその交付を命ずることが出来るとした事例 最高裁第2小法定・平成13年11月21日決定。判例タイムス1079号175頁)

(事案)
 借地上の建物を競売により取得した者が、借地借家法20条に基づき、賃借権の譲渡について借地権設定者である抗告人の承諾に代わる許可申立事件。

 抗告人は昭和57年10月14日、その所有土地を堅固な建物の所有を目的とし、期間を平成38年12月14日までと定めて、A会社に賃貸。Aは敷金1000万円を右契約によって生ずるすべての債務を担保するために、契約が終了し土地明渡し時に返還を受ける約定で、抗告人へ差し入れていた。

 その後、Aは借地上の建物について担保権の実行による競売をされ本件抗告の相手方が競落して建物の所有権を取得。右競売事件の物件明細書には、本件土地賃借権の期間は昭和57年10月14日から44年間、賃料月額19万1150円、敷金1000万円と記載されていた。

 借地非訟手続において抗告人は、申立の棄却を求めると共に、許可を与える場合には付随裁判として地代の増額と財産上の給付およびAが抗告人に交付したいたものと同額の敷金の交付を求めていた。また、Aの敷金返還請求権に対し、国は差押をしていた。

 原々審および原審は、敷金については借地借家法20条1項後段の付随的裁判としてその交付を命ずることができないとしていた。原決定を破棄、高裁に差し戻しを命じた。

(判旨)
 「土地の賃借人が賃貸人に敷金を交付していた場合に、賃借権が賃貸人の承諾を得て旧賃借人から新賃借人に移転しても、敷金に関する旧賃借人の権利義務関係は、特段の事情のない限り新賃借人に承継されるものではない(最高裁昭和53・12・22判決)。したがって、この場合に賃借権の目的である土地の上の建物を競売によって取得した第三者が土地の賃借権を取得すると、特段の事情がない限り、賃貸人は敷金による担保を失うことになる、そこで、裁判所は上記第三者に対し法20条に基づく賃借権の譲受けの承諾に代わる許可の裁判をする場合には、賃貸人が上記の担保を失うことになることをも考慮して、法20条1項後段の付随的裁判の内容を検討する必要がある。その場合、付随的裁判が当事者の利益の衡平を図るものであることや、紛争の防止という賃借権の譲渡の許可の制度の目的からすると、裁判所は旧賃借人が交付していた敷金の額、第三者の経済的信用、敷金に関する地域的な相場等の一切の事情を考慮した上で、法20条1項後段の付随的裁判の一つとして、当該事案に応じた相当な額の敷金を差し入れるべき旨を定め、第三者に対してその交付を命ずることができるものとするのが相当である。」

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 同じ最高裁判決(平成13年11月12日)を扱っている2006年7月18日の「判例紹介」も参照して下さい。

 借地借家法
第20条(建物競売等の場合における土地の賃借権の譲渡の許可)
 第三者が賃借権の目的である土地の上の建物を競売又は公売により取得した場合において、その第三者が賃借権を取得しても借地権設定者に不利となるおそれがないにもかかわらず、借地権設定者がその賃借権の譲渡を承諾しないときは、裁判所は、その第三者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。この場合において、当事者間の利益の衡平を図るため必要があるときは、借地条件を変更し、又は財産上の給付を命ずることができる。
2 前条第2項から第6項までの規定は、前項の申立てがあった場合に準用する。
3 第1項の申立ては、建物の代金を支払った後2月以内に限り、することができる。
4 民事調停法(昭和26年法律第222号)第19条の規定は、同条に規定する期間内に第1項の申立てをした場合に準用する。
5 前各項の規定は、転借地権者から競売又は公売により建物を取得した第三者と借地権設定者との間について準用する。ただし、借地権設定者が第2項において準用する前条第3項の申立てをするには、借地権者の承諾を得なければならない。


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2006年5月 8日 (月)

離婚による借地権分与

 離婚による財産分与や夫婦間の無断借地権譲渡は
                                                   契約解除原因になるか


  (問) 夫と協議離婚することになりました。.離婚の条件として夫名義の建物を分与されることになりましたが、地主との関係はどうなりますか。

 (答) 借地上の建物の所有名義を変更することは、借地人の変更を意味し、借地権の譲渡又は転貸があったことになる。借地人が借地権を第三者に譲渡する時は、地主の承諾を得ることが必要であり、それをせずに建物を財産分与して夫から妻への所有権移転登記をしたことが地主に露顕した場合、借地権の無断譲渡として借地契約の解除理由になる(民法612条)。その場合、地主は借地契約を解除した上で、建物収去土地明渡請求をすることが果たして出来るのか。     

 例えば、夫が宅地を賃借し、妻はその地上に建物を所有して同居生活をしていた夫婦の離婚に伴い、夫が妻へ借地権を譲渡した場合、「貸主は同居生活及び妻の建物所有を知った上で夫に宅地を賃貸したものである等の事情がある時は、借地権の譲渡につき貸主の承諾が無くても貸主に対する背信行為とは認められない」(最高裁1969年4月24日判決)。     

 また、借地人と共同して鮨屋を経営していた内縁の妻が夫の死亡後、その相続人から借地権の譲渡を受けたのに対して地主が無断譲渡を理由に借地契約を解除した事案.。地主の承諾無く借地権が譲渡された場合でも、地主が借地人と内縁の妻が共同生活をしている事実を知っていったという事情がある時は、「賃貸人にたいする背信行為と認めるに足らない特段の事情がある場合、賃貸人は民法612条2項による賃貸借の解除をすることが出来ない」(最高裁1964年6月30日判決)。     

 夫婦間の借地権の譲渡や転貸、離婚による財産分与としての借地権の譲渡は、土地の使用収益の実権を持つ主体が変化するのであるから、本来的には貸主との関係では無断譲渡や無断転貸となり、契約の解除原因となる。しかし、契約締結時、借地人に配偶者、内縁関係にある者があり、それらの者も借地を使用することを知って地主が貸した場合、その後借地人から借地権が移転しても最高裁の判例は地主との信頼関係を破壊しないと認められる特段の事情がある時は、地主の契約解除及び土地明渡請求を認めていない.。


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2006年5月 2日 (火)

借地権を売却したいのだが、地主が借地譲渡の承諾をしない 

    借地権を売却したいのだが 
       無断譲渡を理由に契約解除、土地明渡を通告して来た

 (問) 借地上建物の売却を不動産業者に依頼し、売買契約書を作成し、手付金の授受及び所有権の移転の仮登記も終了している。しかし地主は無断譲渡を理由に、契約解除、土地明渡を通告して来た。

 (答) 建物を譲渡する場合、借地権の譲渡について予め地主の承諾を必要とする(民法612条1項)。

 承諾を得ずに借地権を譲渡すると地主は、無断譲渡を理由に借地契約を解除することが出来る(民法612条2項)。

 契約が解除されると借地人は地上建物を収去し、土地を明渡さらければならない。

 また地主が契約を解除しない場合でも、譲受人は無断譲渡ということで借地権の取得を地主に対抗出来ない。従って、譲受人は土地を不法占拠していることになり、地主から直接建物収去・土地明渡の裁判を申立てられることもある。

 明渡請求に対して譲受人は地主に建物買取請求権を行使することが出来る(借地借家法14条)。しかし建物買取価格は借地権価格の20~30%位であり、最終的に譲受人は金銭的損害を蒙ることになる。

 このようなトラブルを回避するためにも、地主の承諾に代わる許可を裁判所に申立てて譲渡代諾許可を受けておく必要がある(借地借家法19条1項)。

 申立の時期は「譲渡」の前になされなければならない。譲渡とは建物の所有権の移転の本登記又は引渡を受けて土地を使用する状態と解されている。売買契約を既に締結している場合でもその履行前に申立をしないと「不適切な申立」として却下される。

 相談者は仮登記の状態なので未だ代諾許可の裁判の申立は出来る。この申立をすると裁判所が借地条件の変更や財産上の給付を条件に地主に代わって譲渡の許可をする。

 その場合譲渡許可の承諾料は、特段の事情が無ければ借地権価格の10%を基準額としている。残存期間が5年以下の場合は基準額より2~4%程度増額される。

 但し裁判所に代諾許可の申立をする場合、譲渡する「第三者」は特定されていなければならない。しかし、譲受予定者は必ずしも1人の者に限る訳ではなく、予備的(AでなければB)又は選択的(AまたはBのどちらか)な複数であってもよい。

 また地主は「第三者」に優先して買受ける権利を有している(借地借家法19条3項)。地主は、第三者に貸したくないというのであれば、「優先買受権」を行使して借地権を優先的に買受けることが出来る。従って、借地人が売りたいと思っている第三者に売渡すことが出来ないということもあり得る。

 尚、原則的には、許可後の6ヶ月以内に建物を譲渡しないと効力は失われる(借地借家法51条)。


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