カテゴリー「連帯保証人」の記事

2010年3月29日 (月)

【Q&A】 承諾しない更新後の借主の滞納家賃を連帯保証人は支払義務があるのか

(問) 10年前にマンション入居の際、頼まれてAの連帯保証人になった。ところがAの家主から突然、3年分の滞納家賃と共益費の支払を求められた。請求に応じなければならないのか。

(答) 家主から契約更新後の保証人の継続に関する承諾の連絡などは一度もなかったという。保証契約が継続しているという自覚がない保証人に対し、家主からの滞納家賃の支払請求は寝耳に水の事である。

 判例は保証人の責任に対しては厳しいものである。最高裁は原則として契約更新後についても保証人の債務責任を認めている。即ち、「特段の事情のない限り、保証人が更新後の賃貸借から生ずる賃借人の債務についても保証の責を負う趣旨で合意されたものと解するのが相当であり、保証人は賃貸人において保証債務の履行を請求することが信義則に反すると認められる場合を除き、更新後の賃貸借から生ずる賃借人の債務についても保証の責めを免れない」(最高裁平成9年11月13日判決 判例タイムズ969号)と判示した。最高裁判決の原則から言えば、相談者は家主からの滞納家賃請求に応じなければならないことになる。

 しかし、最高裁は同判決で例外として「特段の事情」がある場合は保証債務を免れることが出来ると云っている。
 それは、どういう場合なのか。例えば、
 ①「賃貸契約に2ヶ月の賃料の支払を怠った場合に無催告解除が出来るという特約があって、更新までにそれを上回る高額の延滞賃料が発生したにも関わらず、漫然と契約を解除しないで法定更新をして、このことによって延滞額が更に高額になった場合について、このような場合についてまで連帯保証人に責任を負わせることはできない」(東京地裁平成10年12月28日判決)。

 ②貸主(原告)の広島県福山市は約13年間、連帯保証人に対して借主の滞納家賃等の明細を通知するなどの措置を全くしていなかった。「催告書を全く送付することなく、また、訴外A(借主)の賃料滞納の状況についても一切知らせずに放置していたものであり、原告(貸主)には内部的な事務引継上の過失又は怠慢が存在するにもかかわらず、その責任を棚上げにする一方、民法上,連帯保証における責任範囲に限定のないことや、連帯債務における請求に絶対効が認められることなどから、被告に対する請求権が形骸的に存続していることを奇貨として、敢えて本件訴訟提起に及んでいるものであり、本件請求における請求額に対する被告の連帯保証人としての責任範囲等を検討するまでもなく、本件請求は権利の濫用として許されないものというべきである」( 広島地方裁判所 福山支部平成20年2月21日判決
 
①、②のような場合が「特段の事情」として挙げられる。

 相談者の場合、家主はAの滞納家賃が高額になっているにも拘らず、保証人に滞納の事実を連絡せず、又は契約を解除するなどして保証人の損害を回避すべき義務があった。それにも拘らず、契約の更新を行い、その回避義務を怠って損害を拡大した責任は重い。これらは家主が保証債務の履行を請求することが信義則に反する「特段の事情」に該当する。よって、保証人は保証債務の支払義務は無いというのが結論である。


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2010年3月16日 (火)

【Q&A】  連帯保証人に年金生活者はだめなのか

(問) 東京の豊島区で2年前にマンションの賃貸借契約を結び、2か月後に契約更新をむかえます。管理会社から更新の手続の書類が送られてきましたが、その書類の中に「連帯保証人について、年金生活者は認められません。その場合は、弊社が指定する保証会社を保証人とする契約を結ぶことが契約更新の前提です」と記載されていました。父は今年定年で、年金生活者です。

 管理会社がいうように保証人を保証会社にしなければならないのでしょうか。現在、派遣社員として働いているので、収入が安定していません。追い出しや取り立てが問題になっていると報道されている保証会社を出来れば使いたくありません。

(答) 最近、管理会社や不動産会社が更新に際して、様々な理由をつけて連帯保証人に変わって保証会社を押し付けてくる事例が増えています。しかし、更新に際して必ず連帯保証人をつけなければいけないという法的根拠はありません。年金生活者である父の代わりに保証会社をつけなければいけないという根拠はありませんので拒否することが大事です。そのために合意更新できないならば法定更新の方法もあります。賃貸契約上なんら問題がありません。

全国借地借家人新聞より


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2009年4月17日 (金)

相続人が負わなければならない連帯保証人の責任

(質問) 3年前に、夫の友人が賃貸マンションを借りる時に、夫が連帯保証人になりました。ところが、管理会社から突然内容証明郵便で「3か月分の家賃が滞納されているので支払え」との督促状を受取りました。よく調べると、友人は3か月前から行方不明となっていることが判りました。夫は1年前に交通事故で死亡しており、この場合、妻である私が未払い家賃を全額支払わなければなりませんか。


(回答) 賃貸マンションを契約するときの条件として、連帯保証人を付けることが通例となっています。連帯保証人の法定相続人のあなたは、民法432条の規定により、友人の滞納家賃を支払う義務があります。

 また、行方不明の友人の賃貸契約が解約されるまでの家賃は、連帯保証人の法定相続人である妻のあなたへ支払義務が生じます。

 そこで、あなたは、警察へ借主の「行方不明」届けを提出し、債務者の代理人として貸主へ①賃貸借契約の解約請求、または、②連帯保証人の辞退と③以後の未払家賃の支払いの意思がないことを内容証明郵便で通知しておくことが必要です。

 なお、貸主は3か月前から友人が行方不明となっていることを知りながら、あなたへなんら事前の照会がなくて突然に支払の督促をしてきた場合は、貸主の催告の努力義務を怠ったことにより連帯保証責任を免れることも考えられます。いずれにしても、裁判所でその判断を委ねることになります。

全国借地借家人新聞より


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2009年4月15日 (水)

連帯保証人がいないのですが

(問) 間もなく引越しをする予定です。賃貸マンションを借りる時、連帯保証人がいないので仲介業者が紹介した保証会社と委託契約を結ぶようにいわれましたが、どうしたら良いか、注意する点はありますか。


(答) 連帯保証人を付けることができない借家人が賃貸マンションを契約する場合、公的保証制度があれば、安心して契約を結ぶことができます。すでに、神奈川県川崎市では、高齢者が民間借家を借りる時、連帯保証人を付けることが不可能な場合、川崎市が連帯保証人となり高齢者の住まいを確保する支援制度があります。

 このような地方自治体が連帯保証人を確保することが困難な市民に対して連帯保証人となる制度を確立することは歓迎されます。

 最近、高齢者・外国人・青年などで連帯保証人になっていただける身内がいない、非正規雇用の増大などで会社や上司に保証人を頼むことが出来ないなどの事情で、保証会社を利用する人が増えています。

 「保証会社の業務内容に対しては「宅建業法」上の規制はありません」(東京と都市整備局住宅政策推進部不動産業課)とされ、法的規制がないために賃料滞納の際には悪質な取立や借りている部屋への無断立入、施錠などをし、入居できないようにすることが出来る。貸主に代わって契約を解除する代理解除権を有するなど悪質な契約内容が多く存在します。

 一部は消費者契約法に違反している契約書もありますので、契約をする際には十分内容を検討することが求められています。少しでも不明瞭な点がある場合は最寄りの組合へご相談ください。

全国借地借家人新聞より


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2008年12月11日 (木)

借家の保証人契約が合意更新の場合も効力が存続するとされた事例

 判例紹介

 建物賃貸借が更新された場合に当初の保証契約の効力が更新後も存続するとされた事例 東京地裁昭和62年1月29日判決、判例時報1259号68頁)

 (事案)
 家主Xは借家人Aに対しその所有するマンションを英語教室として使用する目的で、期間2年、賃貸借契約終了後はAの費用で原状に回復し居住用マンションとして明渡すこと等の約定で賃貸し、YがAの一切の債務について連帯保証人になった。

 XとAは、その後賃料を改定し、その他の条件は従前のままとして、Yを加えることなく合意更新した。XとAはその後合意解約しAはXにマンションを明渡したが、Aには13カ月の賃料滞納があり、原状回復もしなかった。そこでXがAの保証人Yに滞納賃料と原状回復費用を請求した。

 Yは当初のXとの保証契約は賃貸借の合意更新後には及ばない、家主X には借家人Aの賃料不払いを保証人に通知すべき信義則上義務があり通常考えられる程度の延滞額を超える請求は無効である、といてXの請求を争った。

 (判例要旨)
 建物賃貸借は期間満了後も存続するのが原則であること、保証人も継続的に保証するものであることを認識していた筈であること、保証人の債務もほぼ一定しており更新後の債務について保証の効力を認めても保証人に酷ではないこと、などからしてXY間連の連帯保証契約の効力は合意更新後にも存続する。また、賃貸人には賃借人の賃料不払を保証人に通知すべき信義則上の義務はなく、仮にXがYにAの賃料不払いを通知したとしてもAが弁済しない限りYは全額を支払わなければならない。

 (短評)
 民法619条2項には「前賃借につき当事者が担保を供したるときはその担保は期間の満了により消滅す。但し敷金はこの限りにあらず」とある。これをそのまま適用すれば、当初契約の際保証人(保証人のことを人的担保という)になった人は、その契約に定められた期間内の債務についてのみ責任があり、更新後は関係ないと言えそうである。

 しかし、実際上は借家関係は更新により存続することが常識化されており、保証人も当然このことなどを理由に、借家権の続く限り保証責任も存続する、その考え方が判例上も支配的になっている。

 この判例は、保証人の責任は法定更新のみならず合意更新の場合も同じであるとしたものである。

 借家人には直接関係ない事例であるが(といっても保証人が支払えば借家人は保証人からの請求を免れ得ない)<保証人になるのは怖いですよ>ということを再認識するには好例と思い紹介する次第。

(1988.06.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より


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2008年5月23日 (金)

賃貸借での連帯保証人の責任

連帯保証人は承諾していない
更新契約後の借主債務の支払義務があるか

(問) 友人の息子Aのマンション入居時に保証人を頼まれ、連帯保証人になった。ところがAの家主から突然、1年分の滞納家賃と共益費の支払を求められたが、請求に応じなければならないのか。

(答) 入居時の契約でAの保証をしたが、その後家主から保証人に関する連絡などは何もなく、契約の更新にはノータッチであったという。このように保証人の自覚もない人間に対し、家主からの保証債務の履行請求は寝耳に水の事であり、その請求に不満を持つのは当然の気持ちである。

 だが判例の傾向は保証人には厳しいものである。最高裁は原則として契約更新後についても保証人の責任を認めている。

 その理由として賃貸契約は正当事由がない限り、更新拒絶が出来ないなど本来相当長期間の存続が予定されている。従って保証人も更新を前提とした賃貸借契約の存続を当然予測できる筈である。

 また保証人の債務は賃料債務を中心とするので賃料額は特定されており、更新後といえども保証人の予期せぬ責任が一挙に発生することがない。

 以上の理由から「特段の事情のない限り、保証人が更新後の賃貸借から生ずる賃借人の債務についても保証の責を負う趣旨で合意されたものと解するのが相当であり、保証人は賃貸人において保証債務の履行を請求することが信義則に反すると認められる場合を除き、更新後の賃貸借から生ずる賃借人の債務についても保証の責めを免れない」(最高裁平成9年11月13日判決)と判示した。

 最高裁判決の原則から言えば、相談者は家主からの滞納家賃請求に応じなければならないことになる。

 しかし最高裁は同判決で例外として
①更新後の債務について保証しないなどの期間満了後の保証責任について格別の定めがある場合、
②格別の定めがなくても、反対の趣旨をうかがわせるような特段の事情がある場合、
③保証債務の履行を請求することが信義則に反する場合、
①~③に関しては責任義務がないとしている。

 特段の事情」がある場合は保証債務を免れることが出来るというが、どのような場合か。
 「賃貸契約に2ヶ月の賃料の支払を怠った場合に無催告解除が出来るという特約があって、更新までにそれを上回る高額の延滞賃料が発生したにも関わらず、漫然と契約を解除しないで法定更新をして、このことによって延滞額が更に高額になった場合について、このような場合についてまで連帯保証人に責任を負わせることはできない」(東京地裁平成10年12月28日判決)。このような場合、「特段の事情」があり、保証債務の履行を請求することが信義則に反する例として挙げられる。

 Aの家主は借主が家賃の滞納を繰り返し、延滞額が高額になっているにも拘らず、保証人に滞納の事実を連絡するなど、或は契約解除をするなどして保証人の損害を回避する努力をすべきであったが、徒に契約を更新していたため保証人の予想を超える高額家賃滞納になった「特段の事情」がある。

 家主には保証人の損害を回避すべき義務があり、それを怠って損害を拡大した責任は重い。相談者の場合は家主が保証債務の履行を請求することが信義則に反する前記「例外」の③に該当するので、保証人の保証債務責任は認められないと思われる。


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2008年5月22日 (木)

*賃貸借契約更新後も保証人としての責任は免れないとされた事例

 判例紹介

 本件は、借家人の債務を保証した者(保証人)が借家契約の更新後も保証人としての責任を免れないとされた事例である。最高裁平成9年11月13日判決 判例タイムズ969号126頁)

 (事件の概要)
 X:原告(個人、Aの保証人)
 Y:被告(賃貸人)

 (関係人)
 A:Xの実弟(賃借人)

 Yは、昭和60年5月31日にXの実弟であるAに兵庫県内のマンションを賃貸した。賃貸借契約においては、期間が同年6月から2年間、賃料が月額26万円と定められた。その際、XはYに対し、Aが賃貸借契約に基づいて負担するすべての債務について連帯して保証することとなった。

 YとAとの間の賃貸借契約においては、期間の定めに加えて「但し、必要あれば当事者合議の上、本契約を更新することも出来る」と規定されていた。Yは、賃貸借期間を家賃の更新期間と考えており、期間満了後も賃貸借関係を続けられることを予定していた。また、Xのほうは、保証契約締結当時にAが食品流通関係の仕事をしていて高額の収入があると認識していたことから、Aの支払い能力は心配していなかった。

 AとYとの間の賃貸借契約は、3回にわたり更新された。すなわち、まず昭和62年6月ころ、期間を同年6月から2年間と定めて更新する旨が合意され、ついで平成元年8月に、期間を同年6月から2年間、賃料を月額31万円と定めて更新する旨が合意され、そして平成3年7月に、期間を同年6月から2年間、賃料を月額33万円と定めて更新する旨が合意された。

 各回の更新の際に作成された契約書の連帯保証人欄には「前回に同じ」と記載されているにとどまり、Xによる署名押印がされていない。また、各更新の際にYからXに対してAの保証を続ける意思を確認する問い合わせがなされたことはなく、XがAに対して引き続き連帯保証人となることを明示して了承したこともなかった。

 Aは、2回目の合意更新による期間中の賃料のうちの75万円と3回目の合意更新による期間中の賃料など759万円を支払わなかった。Yは、平成4年の7月中旬ころ、Aに対し賃貸借契約の更新を拒絶する旨を通知すると共に、平成5年6月に賃料不払いが続いている旨をXに連絡した。Aは、同月Yに対しマンションを明け渡した。

 このような経過の後、XがYに対して保証人としての責任がないことを主張したのがこの事件の概要である。

 (理由)
 建物の賃貸借は、一時使用のための賃貸借等の場合を除き、期間の定めの有無に関わらず、本来相当の長期間にわたる存続が予定された継続的な契約関係であり、期間の定めのある建物の賃貸借においても、賃貸人は自ら建物を使用する必要があるなどの正当事由を具備しなければ、更新を拒絶することができず、賃借人が望む限り、更新により賃貸借関係を継続するのが通常であって、賃借人のために保証人となろうとする者にとっても、右のような賃貸借関係の継続は当然予測できるところであり、また保証における主たる債務が定期的かつ金額の確定した賃料債務を中心とするものであって、保証人が予期しないような保証責任が一挙に発生するようなことはない。

 期間の定めのある建物の賃貸借において、賃借人のために保証人が賃貸人との間で保証契約を締結した場合には、反対の趣旨をうかがわせるような特段の事情のない限り、保証人が更新後の賃貸借から生ずる賃借人の債務についても保証の責めを負う趣旨で合意がされたものと解するのが相当であり、保証人は、賃貸人において保証債務の履行を請求することが信義則に反すると認められる場合を除き、更新後の賃貸借から生ずる賃借人の債務についても保証の責めを免れないというべきである。

 (解説)
 保証人の責任は、保証契約に基づいて生ずるものであり、この保証契約は、保証人になろうとする者と債権者との間で結ばれる。この事件の保証契約は、賃借人が賃料などを支払わない場合には、保証人が不払いの債務を弁済する趣旨のものである。

 銀行からの借り入れなどと異なり、賃料債務は一定期間ごとに定まった額で発生するものであるから、債務額の予測が容易であり、また建物の賃貸借は更新がなされることが少なくない。これらのことを考えると、この事件の判決が保証人の責任は更新後も残ると考えていることが原則であるとし、そのように考えたとしても保証人にとって過酷ではないとするところも一応理解することが出来る。

 しかし、事例によっては長期に賃料滞納が続くなどして保証人の責任が予想外に大きくなり、保証人にとって過酷となることもなくはない。大審院の判例(後掲参考判例(1))においても、一定の要件の下に、保証人が将来に向けて保証契約を解除することを認めたものがある。

 一定の要件とは、(1)保証期間の定めがないこと、(2)保証契約締結後相当の期間を経過したこと、(3)賃借人がしばしば賃料の支払いを怠り将来も誠実にその債務を履行する見込みがないか、あるいは、保証後賃借人の資産状態が著しく悪化し、それ以上保証を継続するとその後の分に対し将来求償権の実現がおぼつかなくなるおそれがあるか、もしくは、賃借人が継続して債務の履行を怠っているのに賃貸人が保証人にその事実を告知せず、また、遅滞の生ずるごとに保証債務の履行を求めず突如として一時に多額の延滞賃料の支払いを求め保証人を予期せぬ困惑に陥らしめる等の事態が生じたこと、(4)それにも関わらず賃貸人が賃貸借の解除、明渡請求等の処置を取ることなく依然として賃借人に使用収益をさせていること、である(副田隆重・判例タイムズ982号57頁)。

 また、保証契約の解除を認めるところまではいかなくても、ある金額を超えた部分については保証人の責任が及ばないとする保証責任の限定を認めた裁判例もみられる(後掲参考判例(2))。

 この事件の判決それ自体も、一般論としては、特別の事情がある場合に保証人に対する責任の追及が信義に反することとなる場合があることを認め、ただし、本件事件の具体的な処理においては、これを認めなかった。更新の経過などに鑑みれば、保証人の損害を回避すべき義務が賃貸人にあったとみる余地もあると思われる。

(参考判例)
(1)大審院 昭和8年4月6日 判決 民集12巻791頁
(2)東京地裁 昭和51年7月16日 判決 判例時報853号70頁

(国民生活センターHPより)

参考> こちらで、今回と同じ最高裁の判例を扱っています。


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2008年3月 3日 (月)

滞納家賃を返済中の契約の保証人自身も失業

  足立区保木間の野間さんは、友人の賃貸借契約の保証人になった。
 初めのうちは順調に家賃が支払われていたが、借家人が不況の影響で退職に追い込まれて家賃が滞った。一度は保証人の野間さんが支払ったが二度目の請求を受けてたまらず組合に相談した

 しかし、保証人は一方的には解除できないので、組合と一緒に家主と粘り強く交渉を続けて、どうにか一年半たまった賃料の一年分を支払う約束で保証人を解除してもらった。

 ところが、今度は野間さん自身が失業してしまい、月5000円の分割で支払い中。

東京借地借家人新聞より


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2008年2月16日 (土)

「家賃保証(保証人)サービス」が危ない

保証会社の保証委託契約書で
消費者機構日本に申入れ

 賃貸借契約を結ぶ際に、頼める保証人がいない、また親族でも保証人を頼みにくいという借主が多い。そんな借主の弱みに付け込んで行なっている事業が「家賃保証(保証人)サービス」だ。借主と家主が賃貸借契約を結ぶと同時に、保証会社は借主と賃貸保証委託契約、家主とは賃貸保証契約を締結する。

 これによって、保証会社は借主が家賃を滞納しても保証会社が貸主に滞納家賃を立替払いをし、夜逃げをした借主の荷物の処分費用も負担する。

 問題なのは、保証委託契約書の中身で、保証会社大手の日本セーフティ株式会社の契約書には、

 家賃を滞納すると「保証物件内に立入り、鍵・カードの交換、入口の暗証番号変更、施錠等の処置を行なうことに乙(借主)は承諾し異議・損害の請求を申立てない」、

 「賃貸人からの本賃貸借契約解除を承諾する行為を委託するものとする。乙が本賃貸借契約に違反し、2ヶ月以上全部あるいは一部の家賃滞納をした場合、または本条第2項(更新保証料を支払わない場合)に違反した場合において、甲(保証会社)は賃貸人からの本賃貸借契約解除の承諾を行なうことを乙は承諾し、異議・損害の請求を申し立てない」という借主には一方的に不利な内容となっている。

①「家賃を一ヶ月滞納しただけで貸室の退去を求められた」、
②「滞納家賃を支払っても明渡しを請求された」、
③「家賃の滞納で転居したら親に対し保証会社が家賃の激しい取り立てを行なっている」、
④「4日以内に滞納家賃を支払わないと貸室を封鎖すると予告通知が来た」
 等の相談が組合に寄せられている。

 東借連では、こうした悪質な保証委託契約書が消費者契約法に違反し、今後社会的問題なることが予想されるため、1月に消費者機構日本に団体訴訟の差し止め請求の検討を要請した。

 今後、保証委託契約の被害の実態を調査し、保証契約と原契約の資料を集める活動をすすめていくことが重要である。

東京借地借家人新聞より


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2008年1月 9日 (水)

(問題17) 連帯保証人に代わる賃貸保証委託契約の解除

(問題17) 連帯保証人に代わる賃貸保証委託契約の解除

 連帯保証人がいないので連帯保証会社に保証料を支払って契約した。2年の契約期間が満了し、不動産会社から賃貸保証委託契約を再度結ぶように要求されたが、委託契約を解除できるか。更新保証料を支払わないと、賃貸借契約は解除されるとの特約が記載されている。

 (①解除できる。 ②解除できない。)

 解答は以下の解説で

1,資料として貰った「日本セーフティー株式会社」の委託契約書の第2条に次の約定があります。「2 賃借人は保証期間の満了日までに保証会社の指定する期間内において,上記規定の更新保証料を支払わなければならない。その場合の保証期間は上記更新期間で更新するものとし,以後の保証期間の満了日においても同様とする。賃借人が更新保証料を支払わない場合は,本契約及び本賃貸借契約を解除したものとみなし上記保証物件を明渡しするものとする。」。下線の部分の特約が問題です。

2,同じ契約書の第5条に「4 賃借人は保証会社に対し本賃貸借契約解約を申し出る行為,または賃貸人からの本賃貸借契約解除を承諾する行為を委託するものとする」とあります。これを解除代理権の付与といいます。

3,賃借人が,賃料を延滞したり,保証会社に更新保証料を払わなかったりすると,保証会社が賃借人を代理して賃貸借を解除すると賃貸人に通告してしまい,賃借人は物件を明け渡さなくてはならない(追い出される),という訳です。

4,賃借人が更新保証料は高いので今度は身内・友人を保証人にして更新したと希望すると,借り続ける意思(や賃料支払いの事実)自体はあるのに,更新保証料を支払わないというだけで,借家権を失う。かような特約は,民法90条(公序良俗)に反する,あるいは消費者契約法違反として,無効とすべきではないかと思います。判例はまだないようです。

5,根本的に,賃借人に原賃貸借契約違反(賃料延滞等)があった場合,賃借人の代理で保証会社が賃貸人に対して原賃貸借契約を解除できるということ自体に問題があります。さらに,保証会社の契約書は,この代理解除権を前提に,契約違反のあるときに,①無断立ち入り権,②物件使用の一時禁止(施錠),③部屋の中の家財の処分権,等を規定していますが,賃貸人がやれば自力救済として違法となるこれらのことが,保証会社だからできるという法はあり得ません。

6,消費者契約法が改正され,消費者契約法違反の約款を以て事業している事業者に対し,認定適格消費者団体(日本消団連も認定団体となった)から,「消費者契約法違反の条項を含んだ契約の締結の差し止め命令」を請求できるようになりました。賃貸保証委託契約は,この一つの適用事例となりかもしれません。

 (関連)連帯保証人サービスに関してはこちらも参考にして下さい。



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